説明

コンバイン

【課題】本発明の課題は、燃料タンクと補助タンクの構成が簡素であり、これらのタンクのメンテナンス性に優れるコンバインを提供することである。
【解決手段】前部の刈取装置5の後側の左側に脱穀装置6を搭載し、脱穀装置6の右側に脱穀された穀粒を袋詰めするホッパー30を備え、ホッパー30の後側に燃料タンク32を設け、燃料タンク32上部に燃料タンク32に燃料を補給する燃料サブタンク33を設けたコンバインである。燃料タンク32の上部に燃料サブタンク33を設けることで、燃料タンク32上部の空間が有効利用でき、スペースを取らない。また、燃料タンク32と燃料サブタンク33との位置が近く上方の燃料サブタンク33から下方の燃料タンク32に燃料を補給できるため、両タンク32,33の接続部の配策が簡素に構成できる。そして、ホッパー30の後部の開放された空間からこれらタンク32,33のメンテナンスが容易に行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインは、エンジンを駆動源とする走行装置の上部に、刈り取った穀稈を脱穀する脱穀装置と脱穀装置で脱穀した穀粒を一時的に貯蔵するグレンタンク又は穀粒を袋詰めするホッパーを備え、前記脱穀装置の前側に、植立穀稈を分草する分草体と植立穀稈を引き起こす引起装置と引き起こされた穀稈を刈り取る刈刃を有する刈取装置を設けた構成である。
そして、コンバインには、上記走行装置や脱穀装置の他に、これらの装置を駆動するための燃料を収納する燃料タンクが設けられている。この燃料タンクの燃料補給をスムーズに行えるように、例えば、特許文献1には、燃料タンク自体を携行可能にし、着脱自在な燃料タンクの燃料吐出口に開閉弁機構を装着して燃料タンクの着脱操作に連係して燃料吐出口を開閉作動するように構成した燃料タンクが開示されている。
【0003】
特許文献1記載の構成によれば、燃料タンクの着脱操作に連係して燃料吐出口が開閉作動するため燃料タンクを機外に持ち出して燃料補給を容易且つ速やかに行うことができる。しかし、コンバインの大型化に伴って長時間の作業ができるように、燃料タンクも大きくする必要がある。また燃料タンクを大きくすると、燃料の減少時には機体の振動により燃料吐出口から空気が侵入してエンジンの給油パイプ内に空気が入り、エンジンの不具合が生じる場合がある。
【0004】
そこで、特許文献2には、燃料タンクの下方の機体フレーム内に補助タンクを設けて補助タンクを介して燃料タンクとエンジンを連通連結した構成が開示されている。特許文献2記載の構成によれば、燃料タンクの大型化に対応できると共に、燃料タンクを機体の下方に設けることで燃料補給の労力軽減を図っており、更に、燃料タンク内の燃料が少なくなっても、補助タンクに燃料が充填されているのでエンジンと補助タンクを連通する給油パイプ内への空気の侵入を防止できる。
【特許文献1】実開平4−109625号公報
【特許文献2】実開平2−77135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように特許文献1記載の構成によれば、燃料タンクを機外に持ち出して燃料補給を容易に行うことができるが、燃料タンクの大型化には対応していない。一方、特許文献2記載の構成によれば、燃料タンクの大型化に対応できると共に燃料吐出口からの空気の侵入を防止できる。
しかし、特許文献2に記載の補助タンクは燃料タンクとエンジンとの間に設けられているため、補助タンク内の給油パイプが詰まると、エンジン停止等の不具合が生じる可能性もある。その場合に、補助タンクは機体フレーム内に設けられているため、フレーム内から取り外すことは困難であり補助タンクのメンテナンスが容易にできず、メンテナンス性に劣るという問題がある。また、補助タンクを機体フレーム内に設けるという複雑な構造であり、燃料タンクと補助タンクとの連結や補助タンクとエンジンとの連結構成も容易にできない。
【0006】
そこで、本発明の課題は、燃料タンクと補助タンクの構成が簡素であり、これらのタンクのメンテナンス性に優れるコンバインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は次の解決手段により解決できる。
請求項1記載の発明は、走行装置(3)を備えた機体フレーム(1)の前部に刈取装置(5)を上下回動自在に支持し、該刈取装置(5)の後側における機体フレーム(1)の左側に脱穀装置(6)を搭載し、該脱穀装置(6)の右側に、脱穀された穀粒を袋詰めするホッパー(30)を備え、該ホッパー(30)の後側に燃料タンク(32)を設け、該燃料タンク(32)の上部に、燃料タンク(32)に燃料を補給するための燃料サブタンク(33)を設けたコンバインである。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記燃料サブタンク(33)は、燃料タンク(32)に着脱自在に取り付けた請求項1記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、燃料タンク(32)の上部に燃料サブタンク(33)を設けることで、燃料タンク(32)の上部の空間部が有効利用でき、スペースを取らずに燃料サブタンク(33)を配置できると共に、容量の増加によって長時間の作業が可能となり、作業効率が向上する。また、燃料タンク(32)と燃料サブタンク(33)との位置が近いこと、上方の燃料サブタンク(33)から下方の燃料タンク(32)に燃料を補給できることから、両タンク(32,33)の接続部の配策が簡素に構成できる。
そして、ホッパー部(30)の後部に燃料タンク(32)及び燃料サブタンク(33)を設けることで、ホッパー部(30)の後部の開放された空間から燃料タンク(32)及び燃料サブタンク(33)のメンテナンスが容易に行える。
【0010】
また、請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、燃料サブタンク(33)が着脱可能であるため、燃料サブタンク(33)の操作や燃料補給が容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1には本発明の一実施形態のコンバインの右側面図を示し、図2には図1のコンバインの正面図を示し、図3には図1のコンバインの平面図を示す。
図1に示すコンバインの機体フレーム1の下部には、ゴムなどの可撓性材料から成る無端帯状に成型したクローラ2により、乾田はもちろんのこと、湿田においても沈下しないで走行できる走行装置3を備える。該走行装置3は、ミッションケースから駆動される前端部の駆動スプロケット3aと転輪フレーム3bに支持される転輪群3c・・・と後端部の緊張輪3dとにわたって前記クローラ2を巻き掛けて構成する。また、機体フレーム1の前部には刈取装置5を上下回動自在に支持し、該刈取装置5の後側における機体フレーム1の後部左側には脱穀装置6を搭載する。
【0012】
また、機体フレーム1の前部右側には操作席7aを有する操縦部7を設ける。前記操縦部7は、エンジンを被覆するエンジンカバー13上に取り付けた操作席7aと、該操作席7aの前方に配置した前部操作パネル(図示せず)と、操作席7aの左側に配置した側部操作パネル(図示せず)から構成する。前記前部操作パネル上には、操縦者が立ち姿勢で操縦する際に把持するハンドル7bと、前記ミッションケース内の伝動機構を切り換えて機体の走行方向を左右に調節する操向レバー7cとを設ける。また、前記側部操作パネル上には、エンジン(図示せず)の回転数を調節するスロットルレバー7dと、前記ミッションケースへ駆動入力する静油圧式無段変速装置を変速操作する主変速レバー7eと、ミッションケース内の副変速機構を変速切換操作する副変速レバー7fと、刈取装置5の駆動を入り切り操作する刈取クラッチレバー(図示省略)と、脱穀装置6の駆動を入り切り操作する脱穀クラッチレバー(図示省略)を設ける。
【0013】
前記刈取装置5は、基部を機体フレーム1に回動自在に取付けた前後方向の縦支持フレーム9によって支持され、刈取シリンダ(図示せず)により上下動自在に構成される。該刈取装置5は、最前方位置に複数の分草体10を設け、各分草体10の後方には分草した穀稈を引起す引起ラグ11aを備えた引起装置11をそれぞれ設ける。
【0014】
圃場に植立する穀稈は、刈取装置5の前端下部にある分草体10によって分草作用を受け、次いで引起装置11の引起し作用によって倒伏状態にあれば直立状態に引起こされ、穀稈の株元が刈刃に達して刈取られ、前部搬送装置に掻込まれて後方に搬送され、扱深さ調節装置、供給搬送装置に受け継がれて順次連続状態で後部上方に搬送され脱穀装置6に供給される。脱穀装置6により脱穀後の穀粒は一番揚穀筒29を経てホッパー30へ搬送されて一時貯留される。また、二番穀粒は、二番揚穀筒36から搬送された後、脱穀装置6内で再び処理されて、脱穀後の穀粒がホッパー30に送られる。
一方、脱穀装置6で脱穀された残りの穀稈で長尺のままのものは、脱穀装置6の後部の排藁カッター部31で切断され、圃場に放出される。
【0015】
本実施例のコンバインは、図1に示すように、機体前方に刈取装置5を設け、その後方に脱穀装置6を設け、該脱穀装置6の右側に隣接してホッパー30を設け、該ホッパー30の前側に操作席7aを有する操縦部7を設けている。そして、機体前後方向で該ホッパー30と排藁カッター部31の間に燃料タンク32を設置した。
【0016】
従来のコンバインでは、機体前方に刈取装置を設け、その後方に脱穀装置を設け、脱穀装置の後方に燃料タンクを設置していたため、ホッパータイプのホッパーを備えたコンバインでは機体の左右バランスがとれず、機体左側が重くなり、機体右側の後方にウエイトを付けバランス修正をする必要があり、機体重量の増加による湿田走行性能の低下及びコストアップの要因になっていた。
【0017】
しかし、上記本実施形態の構成によると、ウエイトを用いることなく機体の左右バランスの適正化が図れ、機体重量の軽量化及びコストの上昇を抑えられる。また、本実施形態では、燃料タンク32をホッパー30よりも後方で且つ排藁カッター部31よりも前方の位置に配置したので、ホッパー30の設置部側から給油が容易に行える。
排藁カッター部31は、排藁カッター部31の右側のカッター部開閉支点となるカッターフレーム31dを中心として開閉可能とし、該カッターフレーム31dを燃料タンク32より後方に設けているので、カッター部31が燃料タンク32に干渉せずに開閉可能となる。
【0018】
また、図1に示すようにホッパー30の漏斗部30aにはシャッタ(図示せず)を設け、漏斗部30aの下方にはビニール製の円筒部30bを接続しており、該円筒部30bの両側には穀粒を袋詰めする袋を仮止めするホルダ30cがあり、該ホルダ30cに袋の鳩目部(袋の上部の左右両隅部に設けた貫通孔)を差し込み可能になっている。
また、ホッパー30の後端部よりも後側に燃料タンク32を配置しているため、この燃料タンク32が、ホッパー30の下側において穀粒を袋詰めする作業の邪魔にならず、コンバイン作業の能率を高めることができる。
【0019】
また、前記ホルダ30cはホッパー30を支持する支持フレーム30dに設けてあり、該支持フレーム30dに一番揚穀筒29の上下中間部を連結し、さらに一番揚穀筒29の下部と二番揚穀筒36の下部の間を別の連結フレーム(図示せず)で溶接接続する。これにより、支持フレーム30dと連結フレームでホッパー30を強固に支持固定することができ、脱穀作業中の安定性が良くなる。
【0020】
また、図1に示すコンバインは、ホッパー30の近傍に配置する籾袋を載置するキャリア35を備え、該キャリア35に隣接する位置にサブキャリア37を配置している。図1の機体右側面図と図2の機体正面図に示すように、ホッパー30の下方に配置されるキャリア35の外側に隣接して配置したサブキャリア37が下端の回動軸Pを中心に開放可能な構成にされており、サブキャリア37を開放した状態とすれば、エンジンカバー13をサブキャリア37の上方位置で回動できる構成としている。
【0021】
そして、ホッパー30の後側には、燃料タンク130の他に、燃料タンク130に燃料を補給するための燃料サブタンク33を設けている。燃料サブタンク33は、図1に示すように、燃料タンク32の上部に設けているため、燃料タンク32の上部の空間部が有効利用でき、スペースを取らずに燃料サブタンク33を配置できると共に、容量の増加によって長時間の作業が可能となり、作業効率が向上する。
また、燃料タンク32と燃料サブタンク33との位置が近いこと、上方の燃料サブタンク33から下方の燃料タンク32に燃料を補給できることから、両タンク32,33の接続部の配策が簡素に構成できる。
【0022】
そして、ホッパー30の後部に燃料タンク32及び燃料サブタンク33を設けることで、ホッパー30の後部の開放された空間から燃料タンク32及び燃料サブタンク33のメンテナンスが容易に行える。
そして、燃料サブタンク33を上下方向で着脱可能に取り付けると、燃料サブタンク33の着脱操作や燃料補給が容易に行える。
【0023】
図4には、図1の燃料サブタンク33の拡大側面図を示す。図4(a)は給油ハンドル75を外したときの図を示し、図4(b)は給油ハンドル75を取り付けたときの図を示している。また、図5及び図6には、図1の燃料サブタンク33及び燃料タンク32付近の側面図を示す。図5は、燃料サブタンク33の底部に取り付けたバルブブロック71が、受皿部材79に嵌合する前の状態を示し、図6は、燃料サブタンク33の底部に取り付けたバルブブロック71が、受皿部材79に嵌合した後の状態を示している。
【0024】
すなわち、図4(a)、図4(b)に示すように、燃料サブタンク33の底部には、バルブブロック71を取り付ける。該バルブブロック71には、燃料サブタンク33の底部に上端部を連通させた小径の第一流出路72と、該第一流出路72の下端部からバルブブロック71の外部へ向けて横向きに設けた第二流出路73と、該第二流出路73の下部からバルブブロック71の外部へ向けて下向きに設けた大径の第三流出路74を形成する。前記第二流出路73の内周面には雌螺子部73aを形成する。
【0025】
一方、給油ハンドル75の先端部に雄螺子部76を形成し、この雄螺子部76よりも先端側の部位にゴムパッキン77を取り付ける。これにより、給油ハンドル75の回転操作によって雄螺子部76を雌螺子部73aにねじ込み、ゴムパッキン77を第一流出路72と第二流出路73との接続部の端面に押し当てることで、第一流出路72から第二流出路73を経て第三流出路74へ至る流路が閉ざされる構成とする。給油ハンドル75の逆方向への回転操作によって、ゴムパッキン77の押し当てが解除され、燃料サブタンク33内の燃料が、第一流出路72から第二流出路73を経て第三流出路74から下方へ流出可能となる構成である。これによって、弁47が形成される。
【0026】
また、前記バルブブロック71の下部外周にはゴムパッキン78を取り付ける。そして、図5に示すように、燃料タンク32の上部に送油パイプ45の下端部を連通し、該送油パイプ45の上端部に、円筒状の受皿部材79を取り付け、該受皿部材79の中央に形成した孔と送油パイプ45の上端部とを連通させる。
【0027】
そして、図6に示すように、前記燃料サブタンク33の下降操作によって、該燃料サブタンク33の底部に取り付けたバルブブロック71が、受皿部材79内に上側から嵌合する。これによって、バルブブロック71の下部外周のゴムパッキン78が受皿部材79の内周に嵌合し、燃料サブタンク33と燃料タンク32とが連通状態となる。この状態で、給油ハンドル75を回転操作してゴムパッキン77の押し当てを解除すると、燃料タンク33内の燃料が、第一流出路72と、第二流出路73と、第三流出路74と、送油パイプ45を経て、燃料タンク32内に補給される。以上の構成により、燃料サブタンク33が燃料タンク32に装着される。そして、カバー41の上部に蓋80を装着すると良い。
燃料サブタンク33を燃料タンク32から離脱する際には、給油ハンドル75を逆方向へ回転操作して第一流出路72から第二流出路73を経て第三流出路74へ至る流路を閉ざしてから、該燃料サブタンク33を引き上げればよい。
【0028】
また、燃料タンク32の上部に燃料サブタンク33を設置するための燃料サブタンク設置台43を設け、その上に燃料サブタンク33を搭載しても良い。一例として、燃料タンク32と燃料サブタンク33の接続部である受皿部材79を囲むように、底部を開放し、側面と上面からなる箱形形状の燃料サブタンク設置台43を設ける。また、箱形形状としなくても、上面と下面を支柱により連結させて側部を開放した(側面のない)形状の燃料サブタンク設置台43としても良い。
【0029】
燃料サブタンク設置台43の上面43aには、受皿部材79を上向きに開口させるための穴(図示せず)を設ける。これによって、燃料タンク32と燃料サブタンク33との接続部が保護されると共に、上面43a上に安定して燃料サブタンク33を設置することができる。そして、燃料タンク32と燃料サブタンク33の接続部は燃料サブタンク設置台43によって囲われることで、接続部内への埃などの浸入が防止できる。
【0030】
そして、燃料タンク32と燃料サブタンク33の接続部の構造として、上述のように燃料タンク32の下部と燃料サブタンク33の上部とを送油パイプ45で繋げば、上方の燃料サブタンク33内の燃料が下方の燃料タンク32へと流れるため、給油が容易にでき、また簡素な構成となる。更に、送油パイプ45には弁(バルブ)47を設けることで、弁47の開閉操作によって燃料サブタンク33から燃料タンク32への給油量を容易に調整できる。なお、弁47は燃料サブタンク設置台43の側方(側面)から突出させて設けることで、燃料サブタンク設置台43を動かすことなく、弁47の操作ができる。
このように、燃料タンク32と燃料サブタンク33とを送油パイプ45で繋ぎ、送油パイプ45には弁47を設けることで、上方の燃料サブタンク33から下方の燃料タンク32への燃料の補給が容易に行える。
【0031】
また、燃料サブタンク33内を加圧して、燃料を燃料タンク32へ送る構成としても良い。図示しない加圧装置により、燃料サブタンク33内を加圧して、大気開放キャップ33aで封止する。大気開放キャップ33aを閉じている状態では燃料サブタンク33内が加圧状態であり、加圧された燃料が下方の燃料タンク32へと送油パイプ45内を勢いよく流れる。そして、大気開放キャップ33aを空けることで、加圧状態が解除される構成である。
このように、燃料サブタンク33内を加圧することで、燃料を速やかに燃料タンク32へ送ることが可能となる。
【0032】
図7には本発明の他の実施形態のコンバインの右側面図を示し、図8には図7のコンバインの平面図を示す。
図7及び図8に示すように、燃料サブタンク33を包囲するカバー41を設けても良い。このカバー41も、底部を開放し、側面と上面からなる箱形の形状とすれば、上方から燃料サブタンク33にかぶせるだけで、容易に取り付けることができる。また、ピンなどでカバー41の下部を燃料サブタンク設置台43上に固定すると、燃料サブタンク33がより安定して安全である。また、カバー41の側面下部が燃料サブタンク33の側面(側部)を外部から覆って重複するように設けると、燃料サブタンク33の支持構造が強固なものとなり、カバー41も外れにくい。
【0033】
本構成により、燃料サブタンク33をカバー41により包囲することで、燃料サブタンク33への埃などの浸入が防止でき、燃料タンク32への給油部が清潔に保たれる。
そして、燃料サブタンク33は、カセット式タンクとすれば、満タンの燃料サブタンク33を複数個圃場に置いて用意しておき、使用中の燃料サブタンク33が空になると用意しておいた燃料サブタンク33と交換することで、燃料の補給が短時間で行えると共に、作業効率が向上する。
【0034】
図9には本発明の他の実施形態のコンバインの右側面図を示し、図10には図9のコンバインの平面図を示す。
また、燃料タンク32と燃料サブタンク33の接続部の構造として、上述のように送油パイプ45及び弁(バルブ)47を設けた構造とした場合に、燃料補給口32aを燃料タンク32にのみ設けても良い。着脱可能な燃料サブタンク33に補給口を設ける必要性は乏しく、燃料サブタンク33に補給口を設けても、送油パイプ45から下方の燃料タンク32に燃料が補給されるのに時間が掛かるが、燃料タンク32に補給口を設ければ、速やかに燃料補給ができる。
【0035】
このように、燃料タンク32と燃料サブタンク33とを送油パイプ45で繋ぎ、送油パイプ45には弁47を設けた構造とした場合に、燃料補給口32aを燃料タンク32にのみに設けることで、燃料タンク32への燃料の補給が容易に、また速やかに行える。
【0036】
図11には本発明の他の実施形態のコンバインの平面図を示す。
また、燃料タンク130に燃料を補給するための燃料サブタンク33は複数個設けても良い。図11には、機体の左右方向に小型の燃料サブタンク33R,33Lを二つ設けた例を示している。
【0037】
このように、図1から図10に示す燃料サブタンク33よりも小型の燃料サブタンク33R,33Lを燃料タンク130上に左右に設ければ、燃料サブタンク33R,33Lを取り外して燃料を供給する際に、燃料サブタンク33の操作重量が軽減でき、作業効率が向上する。そして、燃料サブタンク設置台43には各燃料サブタンク33R,33Lと燃料タンク130の接続部(送油パイプ45や弁47などの構造)を通す穴をそれぞれ設ける。また、燃料サブタンク33R,33Lにカバー41を掛ける場合は、それぞれの燃料サブタンク33R,33Lを覆う別々のカバー41としても良いし、二つ燃料サブタンク33R,33Lを一つのカバー41で覆っても良い。
【0038】
また、燃料サブタンク33を前後方向に複数個設けたり、燃料サブタンク33を三つ以上設けても良い。
本構成により、燃料タンク130に燃料を補給するための燃料サブタンク33を複数個設けることで、こまめに燃料補給ができると共に、操作負担が軽減し、作業効率が向上する。
【0039】
図12には本発明の他の実施形態のコンバインの右側面図を示し、図13には図12のコンバインの平面図を示す。
燃料タンク32内に、燃料タンク32内の燃料量を量るための燃料ゲージ50を設け、更に送油パイプ45に電磁弁53を設けて、燃料ゲージ50により測定された燃料量が空になる又は少なくなると、電磁弁53が自動的に開くような制御装置(図示せず)を設けても良い。この場合は、送油パイプ45に手動操作用の弁47を設ける必要はない。
【0040】
燃料タンク32内の燃料量が空になる又は少なくなると、自動的に燃料サブタンク33から燃料タンク32に燃料が補給されることで、作業者の負担が軽減し、燃料タンク32内の燃料が空になる又は少なくなっても、燃料不足で作業に支障を来すこともない。また、燃料タンク32内の燃料の残量についても把握できるため、便利である。
【0041】
図14には本発明の他の実施形態のコンバインの平面図を示し、図15には、折り畳み式の柵55の斜視図を示す。
また、ホッパー30の近傍に配置する籾袋を載置するキャリア35及びサブキャリア37をホッパー30後方の排藁カッター部31終端まで伸ばし、キャリア35及びサブキャリア37の後端に折り畳み式の柵55を設ける構成としても良い。
【0042】
折り畳み式の柵55は、図15に示すように、左右方向に並列に立てて設けた3本のパイプ56a,56b,56cがヒンジ57,57により左右方向に開閉自在な構成である。また、各パイプ56a、56b、56cの下端部にはボス59,…に差し込む際の止め具61,…を設けている。柵55の使用時には、左右両端のパイプ56a、56cを左右方向に広げてキャリア35及びサブキャリア37の後端部の左右方向に亘って設けたボス59,…(機体に固定)に各パイプ56a、56b、56cの下端部を止め具61,…がボス59,…と接触するまで差し込み、キャリア35及びサブキャリア37に固定する。
【0043】
そして、柵55の不使用時には、右端部側のパイプ56cと中央のパイプ56bをボス59,59から外して、機体内側に折りたたむ。このとき、右端部側のパイプ56cは中央のパイプ56bを回動支点として矢印R方向に回動してキャリア35の左端部側の点線位置に移動し、中央のパイプ56bは左端部側のパイプ56aを回動支点として矢印Q方向に回動して点線位置に移動する。
【0044】
このように、キャリア35及びサブキャリア37の後端に折り畳み式の柵55を設けることで、一時的にキャリア35及びサブキャリア37上に置いた籾袋が落下しにくくなる。また、柵55は折り畳み式であることから、収穫作業時等の必要なときにのみ広げて使用すれば良く、便利である。そして、不使用時には折りたたんで収納できるため、場所を取らず嵩張らない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明はコンバインのみならず他の農作業機にも利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態のコンバインの右側面図である。
【図2】図1のコンバインの正面図である。
【図3】図1のコンバインの平面図である。
【図4】図1の燃料サブタンクの拡大側面図である。
【図5】図1の燃料サブタンク及び燃料タンク付近の側面図である。
【図6】図1の燃料サブタンク及び燃料タンク付近の側面図である。
【図7】本発明の他の実施形態のコンバインの右側面図である。
【図8】図7のコンバインの平面図である。
【図9】本発明の他の実施形態のコンバインの右側面図である。
【図10】図9のコンバインの平面図である。
【図11】本発明の他の実施形態のコンバインの平面図である。
【図12】本発明の他の実施形態のコンバインの右側面図である。
【図13】図12のコンバインの平面図である。
【図14】本発明の他の実施形態のコンバインの平面図である。
【図15】折り畳み式の柵の斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
1 機体フレーム 2 クローラ
3 走行装置 3a 駆動スプロケット
3b 転輪フレーム 3c 転輪群
3d 緊張輪 5 刈取装置
6 脱穀装置 7 操縦部
7a 操作席 7b ハンドル
7c 操向レバー 7d スロットルレバー
7e 主変速レバー 7f 副変速レバー
9 縦支持フレーム 10 分草体
11 引起装置 11a 引起ラグ
13 エンジンカバー 29 一番揚穀筒
30 ホッパー(グレンタンク)
30a ホッパー漏斗部 30b ホッパー円筒部
30c 袋仮止ホルダ 30d ホッパー支持フレーム
31 排藁カッター部 31d カッターフレーム
32 燃料タンク 32a 燃料補給口
33,33R,33L 燃料サブタンク
33a 大気開放キャップ 35 (メイン)キャリア
36 二番揚穀筒 37 サブキャリア
41 カバー 43 燃料サブタンク設置台
43 燃料サブタンク設置台 43a 上面
45 送油パイプ 47 弁(バルブ)
50 燃料ゲージ 53 電磁弁
55 柵 56a、56b、56c パイプ
57 ヒンジ 59 ボス
61 止め具 71 バルブブロック
72 第一流出路 73 第二流出路
73a 雌螺子部 74 第三流出路
75 給油ハンドル 76 雄螺子部
77、78 ゴムパッキン 79 受皿部材
80 蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(3)を備えた機体フレーム(1)の前部に刈取装置(5)を上下回動自在に支持し、該刈取装置(5)の後側における機体フレーム(1)の左側に脱穀装置(6)を搭載し、該脱穀装置(6)の右側に、脱穀された穀粒を袋詰めするホッパー(30)を備え、該ホッパー(30)の後側に燃料タンク(32)を設け、該燃料タンク(32)の上部に、燃料タンク(32)に燃料を補給するための燃料サブタンク(33)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記燃料サブタンク(33)は、燃料タンク(32)に着脱自在に取り付けたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−154795(P2010−154795A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334394(P2008−334394)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】