説明

コンバイン

【課題】燃料タンクを搭載する機体の左右重量バランスを良好に保持して安定した走行を行えるものとする。
【解決手段】走行フレーム(3)の後端部でグレンタンク(8)側の一側部に燃料タンク(25)のメインタンク部(25A)を配置すると共に、脱穀部(4)側の他側部には燃料タンク(25)のサブタンク部(25B)を配置し、該サブタンク部(25B)は脱穀部(4)の揺動選別ケース(19)の後端側下方空間内にあって走行フレームに着脱可能に装着した左右方向の横支持部材(28)と前後方向の縦支持部材(30)を介して支持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関し、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、走行機体上に脱穀装置とグレンタンクとを左右に並列配置してあるコンバインにおいて、脱穀装置の後部と走行機体との間に形成される側面視略三角形状の空隙部に燃料タンクのメインタンク部を配備し、グレンタンクの内側傾斜底板と走行機体と脱穀装置との間に形成される背面視三角形状の空隙部に燃料タンクのサブタンク部を配備してなる燃料タンクの配置構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−168943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、走行フレーム上後端部に燃料タンクを配備するにあたり、脱穀部とグレンタンクを左右に並列配備してある右側のグレンタンク側に燃料タンクのメインタンク部を配置し、左側の脱穀部側にサブタンク部を配置することによって左右の重量バランスを図り、そして、サブタンク部は、脱穀部の揺動選別ケースの後端側下方空間部位に配置することによって藁屑の排出を阻害しない位置に有効配置でき、かつ、走行フレームに対して着脱自在な支持部材を介して支持することにより、オプションとしての利用が図れるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、左右に走行クローラを備えた走行フレーム(3)上に脱穀部(4)とグレンタンク(8)を左右並列状に設け、走行フレーム(3)の後端部でグレンタンク(8)側の一側部に燃料タンク(25)のメインタンク部(25A)を配置すると共に、脱穀部(4)側の他側部には燃料タンク(25)のサブタンク部(25B)を配置し、該サブタンク部(25B)は脱穀部(4)の揺動選別ケース(19)の後端側下方空間内にあって走行フレームに着脱可能に装着した左右方向の横支持部材(28)と前後方向の縦支持部材(30)を介して支持させたことを特徴とするコンバインとする。
【0006】
比較的重量の軽いグレンタンク(8)側に燃料タンク(25)の容量の大きいメインタンク部(25A)を配置し、重い脱穀部(4)側には容量の小さいサブタンク部(25B)を配置することによって左右の重量バランスが保持され安定した走行が可能となる。また、サブタンク部(25B)は揺動選別ケース(19)の後端側下方空間内にあるため、藁屑の排出作用を阻害しな空間内に有効配置することができ、しかも、横支持部材(28)及び縦支持部材(30)は共に走行フレーム(3)に対し着脱できるため、サブタンク(25B)が不要なときにはそれらの支持部材も取り外すことができ、オプション設定する場合のみ取り付けて利用することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、燃料タンク(25)のメインタンク部(25A)とサブタンク部(25B)とをグレンタンク(8)側と脱穀部(4)側とに配置することによって左右の重量バランスが良好に保持されて安定した走行が可能となる。また、サブタンク部(25B)は揺動選別ケース(19)の後端側下方空間内に配置するため、藁屑の排出作用が阻害されず、空間内を有効に配置構成することができる。しかも、サブタンク部(25B)を支持する横支持部材(28)及び縦支持部材(30)は共に走行フレーム(3)に対して着脱自在であるため、サブタンクが不要な地域にあってはサブタンク部(25B)とともに取り外すことができ、オプションとしての利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】コンバインの側面図
【図2】脱穀部の側断面図
【図3】縦横支持部材の取り外し状態を示す走行フレーム要部の側面図
【図4】同上要部の平面図
【図5】同上要部の背面図
【図6】縦横支持部材の取り付け状態を示す走行フレーム要部の側面図
【図7】同上要部の平面図
【図8】同上要部の背面図
【図9】燃料タンクの支持状態を示す走行フレーム要部の側面図
【図10】同上要部の平面図
【図11】同上要部の背面図
【図12】運転座席の支持構造を示す要部の側面図
【図13】同上要部の平面図
【図14】籾収容ホッパの斜視図
【図15】同上要部の側面図
【図16】ホッパロック機構の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、コンバインの側面図を示すものであり、この走行車体1には、左右一対の走行クローラ2,2を備え、走行フレーム3上で左側に搭載した脱穀部(脱穀装置)4の前方部に刈取部5を設置し,刈取部5の右横側部には運転座席6や操作ボックス7等からなる運転操作部を備え、更に、その運転操作部の後方には脱穀部4の右側において脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンク8を装備している。また、脱穀部4の後部には脱穀後の排藁を切断処理する排藁カッター9を装備している。
【0010】
脱穀部4は、脱穀フィードチェン10により株元を挟持しながら搬送される穀稈の穂先部を扱室11内で駆動回転する扱胴12により脱穀処理するよう構成している。
前記扱室11のフィドチェン10側とは反対側一側には2番処理胴13が扱胴12と平行に設けられている。また、前記2番処理胴の後方にはこれと同一軸芯上において排塵処理胴14が設けられている。
【0011】
扱室11の下方から後方の排塵選別室にわたっては、移送棚15、チャフシーブ16、ストローラック17、グレンシーブ18等からなる揺動選別ケース19が配設されている。なお、20は唐箕、21は吸引排塵ファン、22は1番移送ラセン、23は2番移送ラセンを示す。
【0012】
走行フレーム3の後端部に搭載された燃料タンク25は、左右に並設された右側のグレンタンク8側に配備されたメインタンク部25Aと、左側の脱穀部4の後部で揺動選別ケース19の後端側下方空間内に配備されたサブタンク部25Bとからなり、両者をホース26でもって連通接続した構成になっている。メインタンク部25Aは、本来よりグレンタンク8側寄りに配設されていたもので通常の容量をもつ構成であり、このメインタンク側には給油口から燃料を供給する給油パイプ27が設けられている。サブタンク部25Bは、燃料タンク25の容量を増大させるために新設するもので、揺動選別ケース19の後端側下方空間内を有効利用して配備するようにしている。
【0013】
そして、このサブタンク部25Bは、走行フレーム3に対して着脱自在に装着された左右方向の横支持部材28と前後方向の縦支持部材30を介して支持するように構成されている。横支持部材28は、走行フレーム3の縦フレーム3y,3y側に固着した支持ステー29にボルト孔29aを介してボルト29b締めし、縦支持部材30は、サブタンク部の底部を安定よく低く支受させることができるように凹曲状のタンク載置部30aを形成すると共に、前端部をコの字型30bに形成して横支持部材28上に抱持状態に係合保持させ、後端部を走行フレーム3後端部の横フレーム3x側に固着した支持ステー31に前後方向の長孔状のボルト孔31aを介してボルト31b締めした構成としている。
【0014】
なお、縦支持部材30は、後端部の取付孔30cを前後方向の長孔状に形成して前後方向の位置調整ができるように構成している。また、縦支持部材30及び横支持部材28には載置するサブタンク部25Bをゴムバンドで固定するためのゴムバンド用係止フック32が設けられている。
【0015】
次に、コンバインの運転座席の構成例について説明する。
図12及び図13に示すように、座席6は、上部プレート35と下部プレート36と支持プレート37との三者によって三重合わせに構成すると共に、この三重合わせにした部分が座席の重心W位置にくるように配置することで、各プレートが比較的薄肉の材料でも全体として剛性をアップすることができる。しかも、上記三重合わせにした部分の下方に支柱38を配置することによっても比較的簡易な構成でありながら十分に剛性を確保することができる。また、上部プレート35を下部プレート36に重ねて構成することにより、座席の左右のズレを防ぐことができる。また、前記座席6は、下部プレート36の前端側に架設された支点軸39周りに揺動開閉する構成になっている。
【0016】
上部プレート35は、コの字型に構成して強度を確保し、中央部分を繰り抜いて繰抜穴35hを開設することで軽量化を図っている。また、上部プレート35のコの字形状の立ち上がり側壁部分35s,35sは、前端の支点軸39側の上下幅D1を広くし、後方側の上下幅D2を狭くした構成としている。また、この幅の広い部分から狭い部分にかけて円弧形状部35Rを形成することにより座席の揺動開閉が容易に行えるようにしている。なお、上部プレート35の後端部分は、座席6の後端近くまで延長し、オペレータが座席後方へ体重をかけた時、座席座面と上部プレート後端部に応力集中が加わっても十分耐え得る構成としている。
【0017】
上部プレート35と座席6とは4本の締付ボルト40により締結した構成としている。また、下部プレート36には、締付ボルト40のサラバネ付ナット40a部分を避けるように、該プレート36の前側に切欠穴36aを、後側に丸穴36bを設けた構成としている。
【0018】
前記支持プレート37は支柱38に固着され、下部プレート36は支持プレート37に連結ピン41によって連結されている。連結ピン41のスナップピン42側には座金43を入れることによって、スナップピンが下部プレートから遠ざかった状態となり、上部プレートとスナップピンが干渉することがなくなる。
【0019】
図14〜図16に示す実施例は、籾を収容するホッパに関する技術であって、脱穀部の1番揚穀装置45側の横側部に設置されたホッパ46を上下動可能に構成し、ホッパ前後にガスダンパ47を装備し、このガスダンパによりホッパを機体に対して上下に移動させることで、脱穀部のメンテ、エンジン後部の調整が容易に行えるようにしている。なお、1番揚穀装置45からホッパ46への籾出口部48を上下斜め方向の分割面(S−S線)に構成することで、ホッパを定位置に下動させた時に両分割面が確実に接合する。また、図16に示すように、ホッパには機体に対するロック機構49を設けてあり、ロック爪49aのロック解除によってホッパを上下動させる構成としている。ロック機構は補助作業者用ハンドル50の上下回動操作によりロック及びロック解除が行えるように連動構成している。作業者が意識的にハンドル50を上方に上げ操作すると、ロック爪49aによるロックが解除されるようになっており、意識的に解除操作を行わない限り、ロックが解除されないようにして作業者の安全性を確保している。
【符号の説明】
【0020】
2 走行クローラ
3 走行フレーム
4 脱穀部
8 グレンタンク
19 揺動選別ケース
25 燃料タンク
25A メインタンク部
25B サブタンク部
28 横支持部材
30 縦支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に走行クローラを備えた走行フレーム(3)上に脱穀部(4)とグレンタンク(8)を左右並列状に設け、走行フレーム(3)の後端部でグレンタンク(8)側の一側部に燃料タンク(25)のメインタンク部(25A)を配置すると共に、脱穀部(4)側の他側部には燃料タンク(25)のサブタンク部(25B)を配置し、該サブタンク部(25B)は脱穀部(4)の揺動選別ケース(19)の後端側下方空間内にあって走行フレームに着脱可能に装着した左右方向の横支持部材(28)と前後方向の縦支持部材(30)を介して支持させたことを特徴とするコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−252651(P2010−252651A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104235(P2009−104235)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】