説明

コンバイン

【課題】中割り刈り形態での作業を4条刈りでかつ構造簡単にでき、しかも回り刈り形態での作業を良好な仕上がり状態で行なえるコンバインを提供する。
【解決手段】中分草具12Cと運転部側の外分草具12Rの先端どうしの間隔W1、および運転部側とは反対側の外分草具12Lと中分草具12Cの先端どうしの間隔W2を、2条の植立穀稈の導入が可能に設定してある。中分草具12C及び運転部側の外分草具12Rからの植立穀稈の株元側を刈取装置15に掻き込む掻き込み輪体16bと、中分草具12C及び運転部側と反対側の外分草具12Lからの植立穀稈の株元側を刈取装置15に掻き込む掻き込み輪体16aとを、噛み合い連動させてある。一対の掻き込み輪体16a,16bが噛み合う箇所Zを、中分草具12Cの先端の位置に対して運転部側と反対側に偏倚させてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右一対のクローラ走行装置、および搭乗型の運転部を有した走行機体を備え、走行機体横方向に並ぶ三つの分草具を備えた刈取前処理部が、前記走行機体における前記運転部の横側方箇所に連結されたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインにおいて、従来、たとえば特許文献1に示されるように、走行機体横方向に並ぶ三つのデバイダ80L,80C,80Rを備え、右側デバイダ80Rおよび中央デバイダ80Cからの植立作物と、左側デバイダ80Lおよび中央デバイダ80Cからの植立作物とを掻き込み合流させる左右一対の掻き込み回転パッカ12L,12Rを備えたものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−34103号公報(段落〔0065〕、図11,12,15)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
三つの分草具のうちの中央に位置する中分草具と運転部側での外側に位置する外分草具との先端どうしの間隔、および運転部側とは反対側での外側に位置する外分草具と中分草具との先端どうしの間隔を、2条の植立穀稈の導入が可能な間隔に設定すれば、分草具の後方に二つの引起し経路を備えるだけの構造簡単なものでありながら、中割り刈り形態での作業を行う場合、4条の植立穀稈の刈り取りを行えるよう有利なコンバインを得ることができる。
【0005】
この種のコンバインを得るのに、一対の掻き込み輪体を噛み合い連動させて設け、中分草具および一方の外分草具からの植立穀稈と中分草具および他方の外分草具からの植立穀稈との株元側を一対の掻き込み輪体によって刈取装置に掻き込むように、かつ、刈取穀稈の株元を一対の掻き込み輪体によって刈取装置の後方に送るように構成すれば、両方の掻き込み輪体に駆動力を伝達せずとも、一方の掻き込み輪体に駆動力を伝達するだけで済むなど構造簡単に伝動構造を得ることができる。
【0006】
しかし、上記した従来の技術を適用した場合、刈り後の仕上がりに問題が発生することがあった。
つまり、従来の技術を適用することによって一対の掻き込み輪体を設けた場合、一対の掻き込み輪体が噛み合う箇所と中分草具の先端の位置とが走行機体横方向で一致する。
通常、回り刈り形態での作業では、中分草具と運転側の外分草具との間に1条の植立穀稈を導入し、運転部側とは反対側の外分草具と中分草具との間に2条の植立穀稈を導入する形態で行なわれる。運転部側とは反対側の外分草具と中分草具との間に導入される2条の植立穀稈のうち、殊に外分草具に近い側の植立穀稈は、掻き込み輪体による掻き込みを受けた際、掻き込み輪体の噛み合う箇所に向けて長い距離にわたって引き寄せられることになる。したがって、外分草具に近い側の植立穀稈の引き寄せに起因した倒伏角度が大となり、外分草具に近い側の植立穀稈の刈取装置による刈取箇所と、中分草具に近い側の植立穀稈の刈取装置による刈取箇所との高さの差が大となり、刈り後における切り株高さの不揃いが目立ちやすくなりやすい。
【0007】
本発明の目的は、中割り刈り形態での作業を4条刈りでかつ構造簡単にでき、しかも回り刈り形態での作業を良好な仕上がり状態で行なえるコンバインを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本第1発明は、左右一対のクローラ走行装置、および搭乗型の運転部を有した走行機体を備え、走行機体横方向に並ぶ三つの分草具を備えた刈取前処理部が、前記走行機体における前記運転部の横側方箇所に連結されたコンバインにおいて、
前記三つの分草具のうちの中央に位置する中分草具と運転部側での外側に位置する外分草具との先端どうしの間隔、および前記三つの分草具のうちの運転部側とは反対側の外側に位置する外分草具と前記中分草具との先端どうしの間隔を、2条の植立穀稈の導入が可能な間隔に設定し、
前記中分草具および前記運転部側の外分草具からの植立穀稈の株元側を刈取装置に掻き込むように、かつ刈取穀稈の株元側を前記刈取装置の後方に送るように回転する掻き込み輪体と、前記中分草具および前記運転部側とは反対側の外分草具からの植立穀稈の株元側を前記刈取装置に掻き込むように、かつ刈取穀稈の株元側を前記刈取装置の後方に送るように回転する掻き込み輪体とを、噛み合いによって連動させて設け、
前記一対の掻き込み輪体が噛み合う箇所を、前記中分草具の先端の位置に対して前記運転部が位置する側とは反対側に偏倚させて配置してある。
【0009】
本第1発明の構成によると、中分草具と運転部側の外分草具との先端どうしの間隔、および運転部側と反対側の外分草具と中分草具との先端どうしの間隔を、2条の植立穀稈の導入が可能な間隔に設定してあるものだから、運転部側の外分草具と中分草具の後方の引起し経路、および運転側と反対側の外分草具と中分草具の後方の引起し経路それぞれに2状の植立穀稈を導入して中割り刈り形態での作業を行なうことができる。
【0010】
中分草具および運転部側の外分草具からの植立穀稈に掻き込み作用する掻き込み輪体と、中分草具および運転部側とは反対側の外分草具からの植立穀稈に掻き込み作用する掻き込み輪体とを噛み合いによって連動させて設けたものだから、一方の掻き込み輪体に駆動力を伝達するだけで一対の掻き込み輪体を駆動して、三つの分草具からの植立穀稈を所定どおりに刈取るとともに搬送して処理することができる。
【0011】
一対の掻き込み輪体が噛み合う箇所を中分草具の先端の位置に対して運転部が位置する側とは反対側に偏倚させて配置してあるものだから、回り刈り形態での作業を行う場合、運転部側と反対側の外分草具と中分草具の間に導入される2条の植立穀稈のうちの外分草具に近い植立穀稈が、掻き込み輪体による掻き込みによって掻き込み輪体の噛み合い箇所に向けて引き寄せられる距離を極力短く済ませ、その植立穀稈の引き寄せによる倒伏角度を極力小に済ませて外分草具に近い植立穀稈と中分草具に近い植立穀稈の刈取箇所の高さの差を小にした状態で刈取りを行なわせることができる。
【0012】
したがって、二つの引起し経路を備えるだけで、かつ一方の掻き込み輪体に動力伝達するだけの構造簡単なものでありながら、中割り刈り形態での作業を4条刈りで能率よく行なうことができ、しかも、回り刈り形態での作業を切り株高さの揃いが良い仕上がり状態で行なうことができる。
【0013】
本第2発明では、前記運転部側の外分草具の先端の位置と、前記左右一対のクローラ走行装置のうちの前記運転部が位置する側に位置するクローラ走行装置におけるクローラベルトの走行機体横方向での外側端の位置とが、走行機体横方向で一致又はほぼ一致し、
前記運転部側と反対側の外分草具の先端の位置と、前記左右一対のクローラ走行装置のうちの前記運転部が位置する側とは反対側に位置するクローラ走行装置におけるクローラベルトの走行機体横方向での外側端の位置とが、走行機体横方向で一致又はほぼ一致している。
【0014】
本第2発明の構成によると、中割り刈り形態での作業を行なう場合、運転部側の外分草具と中分草具の間に導入される2条の植立穀稈のうちの外分草具に近い植立穀稈の株元の位置と、運転部側の走行装置のクローラベルトの外側端の位置とを走行機体方向でほぼ一致させ、運転部側とは反対側の外分草具と中分草具の間に導入される2条の植立穀稈のうちの外分草具に近い植立穀稈の株元の位置と、運転部側とは反対側の走行装置のクローラベルトの外側端の位置とを走行機体方向でほぼ一致させて、左右のクローラベルトによる未刈地の植立穀稈の踏み付けを回避しやすい。
【0015】
したがって、未刈地の植立穀稈のクローラベルトによる踏み付けを回避しやすくて楽に中割り刈り形態での作業を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】コンバインの全体を示す左側面図である。
【図2】コンバインの全体を示す平面図である。
【図3】コンバインの全体を示す右側面図である。
【図4】コンバインの全体を示す正面図である。
【図5】刈取前処理部の概略平面図である。
【図6】刈取前処理部の前部を示す平面図である。
【図7】刈取前処理部における掻き込み輪体および掻き寄せ無端ベルトの配設構造を示す平面図である。
【図8】刈取前処理部における掻き込み輪体および掻き寄せ無端ベルトの配設構造を示す正面図である。
【図9】刈取前処理部における掻き込み輪体および掻き寄せ無端ベルトの配設構造を示す側面図である。
【図10】別の実施の形態を備えた刈取間処理部の前部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るコンバインの全体を示す左側面図である。図2は、本発明の実施の形態に係るコンバインの全体を示す平面図である。図3は、本発明の実施の形態に係るコンバインの全体を示す右側面図である。図4は、本発明の実施の形態に係るコンバインの全体を示す正面図である。これらの図に示すように、本発明の実施の形態に係るコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1L,1Rが装備された走行機体を備え、この走行機体の機体フレーム2の前端部に連結された刈取前処理部10を備え、走行機体の機体フレーム2の後部側に走行機体横方向に並べて設けた脱穀装置3と穀粒袋詰め部4を備えて構成してある。
【0018】
このコンバインは、稲、麦などの収穫作業を行なう。
すなわち、走行機体は、機体フレーム2の前端側の右端部に設けたエンジン5を備え、このエンジン5の出力によって左右一対の走行装置1L,1Rを駆動して自走する。走行機体は、エンジン5の上方に設けた運転座席21が装備された搭乗型の運転部20を備えており、この運転部20に搭乗して操縦するよう搭乗型になっている。
【0019】
刈取前処理部10の前処理部フレーム11は、走行機体の機体フレーム2に運転部20の左横側方箇所で走行機体横向きの軸芯Pまわりに上下揺動自在に連結されている。
【0020】
刈取前処理部10は、前処理部フレーム11が昇降シリンダ6(図1参照)によって揺動操作されることにより、刈取前処理部10の前端部に走行機体横方向に並んで位置する三つの分草具12L,12C,12Rが地面の近くまで下降した下降作業位置と、各分草具12L,12C,12Rが地面から高く上昇した上昇非作業位置とに昇降する。
【0021】
刈取前処理部10を下降作業位置に下降させて走行機体を走行させると、刈取前処理部10は、植立穀稈を引き起こすとともに刈り取り、刈取穀稈を脱穀装置3の脱穀フィードチェーン3aの始端部に供給する。脱穀装置3は、脱穀フィードチェーン3aによって刈取穀稈の株元側を挟持して走行機体後方側に搬送し、これによって刈取穀稈の穂先側を扱室(図示せず)に供給して脱穀処理する。
【0022】
図3に示すように、穀粒袋詰め部4は、脱穀装置3の穀粒搬出部に始端部が連通した揚穀装置4a、この揚穀装置4aの吐出部に投入口が連通した穀粒タンク4b、この穀粒タンク4bの底部に走行機体前後方向に並べて設けた2つの袋詰めホッパー部4c,4cを備えている。
【0023】
すなわち、脱穀粒袋詰め部4は、脱穀装置3の選別部(図示せず)によって単粒化状態になったものとして選別処理された脱穀粒を、揚穀装置4aによって穀粒タンク4bに投入して、穀粒タンク4bによって回収して貯留する。各袋詰めホッパー部4cは、これの吐出口4dに籾袋が装着されて吐出口4dが開き操作されることにより、穀粒タンク4bに貯留された脱穀粒を自然流出によって籾袋に投入する。
【0024】
刈取前処理部10について詳述する。
図1、図6に示すように、刈取前処理部10の前処理部フレーム11は、機体フレーム2に上下揺動自在に支持された伝動ケースに兼用のメインフレーム11aを備え、このメインフレーム11aの先端部から走行機体前方向きに延出した三本の分草具支持杆11bを備えて構成してある。三本の分草具支持杆11bは、走行機体横方向に所定間隔を隔てて並んでおり、隣り合う一対の分草具支持杆11b、11bによって一つの引起し経路13を形成し、全体として二つの引起し経路13,13を形成している。
【0025】
図6は、刈取前処理部10の前部を示す平面図である。この図および図1,2,4,5に示すように、刈取前処理部10は、前記三つの分草具12L,12C,12Rを備える他、分草具12L,12C,12Rの後方で各引起し経路13に設けた引起し装置14を備え、引起し装置14の下端側の後方に設けたバリカン形の刈取装置15を備え、刈取装置15の上方に設けた左右一対の掻き込み輪体16a,16bおよび左右一対の掻き寄せ無端ベルト17a,17bを備え、左右一対の掻き込み輪体16a,16bの上方に搬送始端部が位置した供給装置18を備えており、4条までの植立穀稈の引起しおよび刈取処理と、刈取穀稈の脱穀装置3への供給とを行なう。
【0026】
すなわち、図4,6に示すように、三つの分草具12L,12C,12Rのうちの中央に位置する中分草具12Cと運転部20側に位置する外分草具12Rの先端12c,12bどうしの間隔W1、および、三つの分草具12L,12C,12Rのうちの運転部20側とは反対側に位置する外分草具12Lと中分草具12Cの先端12a,12cどうしの間隔W2を、2条の植立穀稈aの導入が可能な間隔に設定してある。
【0027】
つまり、刈取前処理部10は、中割り刈り形態での作業が行なわれる場合、運転部側の外分草具12Rと中分草具12Cとによって2条の植立穀稈aを運転部側の引起し経路13に導入し、運転部側とは反対側の外分草具12Lと中分草具12Cとによって2条の植立穀稈aを運転部側とは反対側の引起し経路13に導入して計4条の植立穀稈の刈り取りを行なう。
【0028】
各引起し装置14は、上端側ほどやや後方側に位置した傾斜姿勢の引起しケース14a、およびこの引起しケース14aから横側に突出して引起しケース14aに沿って上昇移送される複数の引起し爪14bを備えており、対応する引起し経路13に導入された植立穀稈を引起し爪14bによってすき上げて引起し処理する。
【0029】
図7は、刈取前処理部10における掻き込み輪体16a,16bおよび掻き寄せ無端ベルト17a,17bの配設構造を示す平面図である。図8は、刈取前処理部10における掻き込み輪体16a,16bおよび掻き寄せ無端ベルト17a,17bの配設構造を示す正面図である。これらの図及び図6に示すように、各掻き込み輪体16a,16bは、一体回転自在に周設された複数の掻き込み爪16cを備えている。左右一対の掻き込み輪体16a,16bの一方の掻き込み輪体16bは、メインフレーム11aに駆動自在に支持され、他方の掻き込み輪体16aは、メインフレーム11aに遊転自在に支持されている。遊転側の掻き込み輪体16aは、これの掻き込み爪16cと駆動側の掻き込み輪体16bの掻き込み爪16cとが噛み合って左右一対の掻き込み輪体16a,16bを連動させていることにより、駆動側の掻き込み輪体16bの駆動力を伝達されて駆動される。左右一対の掻き込み輪体16a,16bが噛み合う箇所Zは、中分草具12Cの先端12cに対して運転部20が位置する側とは反対側に偏倚距離Dを偏倚した位置に配置してある。
【0030】
各掻き寄せ無端ベルト17a,17bは、対応する掻き寄せ輪体16a,16bに一体回転自在に設けた駆動プーリ30と、ベルトカバー31の先端部に回転自在に支持された遊転プーリ32とに巻回されており、駆動プーリ30によって駆動される。各掻き寄せ無端ベルト17a,17bは、これの回転方向に並べて一体成形された複数本の掻き寄せアーム17cを備えている。
【0031】
図9は、刈取前処理部10における掻き込み輪体16a,16bおよび掻き寄せ無端ベルト17a,17bの配設構造を示す側面図である。この図及び図7に示すように、各掻き込み輪体16a,16bの前端側、および各掻き寄せ無端ベルト17a,17bの始端側は、刈取装置15の刃先15aよりも前方に突出していて、植立状態の穀稈の株元側に作用する。
【0032】
つまり、左側の掻き寄せ無端ベルト17aおよび左側の掻き込み輪体16aは、左側の引起し装置14によって引起し処理されている植立穀稈の株元側に掻き寄せアーム17cあるいは掻き込み爪16cを作用させて、左側の引起し装置14が作用している植立穀稈の株元側を、左右一対の掻き込み輪体16a,16bの噛み合い箇所Zに向けて横送りしながら刈取装置15に掻き寄せる。右側の掻き寄せ無端ベルト17bおよび右側の掻き込み輪体16bは、右側の引起し装置14によって引起し処理されている植立穀稈の株元側に掻き寄せアーム17cあるいは掻き込み爪16cを作用させて、右側の引起し装置14が作用している植立穀稈の株元側を、左右一対の掻き込み輪体16a,16bの噛み合い箇所Zに向けて横送りしながら刈取装置15に掻き寄せる。
【0033】
これにより、刈取装置15は、左右の引起し装置14によって引き起こし処理されている植立穀稈を株元側で刈り取る。
【0034】
左右一対の掻き寄せ無端ベルト17a,17bおよび左右一対の掻き込み輪体16a,16bは、刈取装置15によって刈り取り処理された刈り取り穀稈の株元側に掻き寄せアーム17cあるいは掻き込み爪16cを引き続き作用させ、刈取穀稈の株元側を刈取装置15の後方に送り込んで供給装置18の搬送始端部に供給する。左右一対の掻き寄せ無端ベルト17a,17bは、左右の外分草具12L,12Rの後部における最上端箇所の配置高さよりも低い配置高さの位置で植立穀稈および刈取穀稈に作用する。
【0035】
供給装置18は、刈取穀稈の株元側を無端回動チェーン18aによって挟持搬送する株元側搬送装置18bと、刈取穀稈の穂先側を係止アーム18cによって係止搬送する穂先側搬送装置18dとにより、刈取装置15からの刈取穀稈を刈取前処理部10の横外側向きにかつ後方向きに搬送して脱穀装置3の脱穀フィードチェーン3aの搬送始端部に供給する。
【0036】
図5,6に示す中ガイド杆35は、中央に位置する分草具支持杆11bの近くに位置する植立穀稈の株元側を掻き込み輪体16a,16bおよび掻き寄せ無端ベルト17a,17bに案内する。図6,7に示す左ガイド杆36は、左側の掻き寄せ無端ベルト17aおよび掻き込み輪体16aによる搬送経路を形成している。図6,7に示す右ガイド杆37は、右側の掻き寄せ無端ベルト16bおよび左右の掻き込み輪体16a,16bによる搬送経路を形成している。右ガイド杆37の左側の端部37aは、メインフレーム11aに設けた支持部に連結ボルトによって締め付け固定してある。右ガイド杆37の右側の端部37bは、分草具支持杆11bに設けた支持部に連結ボルトによって締め付け固定してある、左ガイド杆36および右ガイド杆37は、搬送される穀稈のボリュームの変化によって弾性変形してボリューム変化を吸収するようにバネ鋼材で成る帯板によって構成してある。
【0037】
図2,4に示すように、刈取前処理部10は、下降作業位置に下降した状態において刈取前処理部10の右側端部が運転部20の前方に位置する状態で構成されている。すなわち、刈取前処理部10の全体としての処理幅の大きさが左右の走行装置1,1のクローラベルト1aの外側端どうしの間隔に近い大きさとなり、刈取前処理部10は、中割り刈り形態での作業を、クローラベルト1aによる植立穀稈の踏み付けを回避しやすい状態で行なわせる。
【0038】
すなわち、図4に示すように、運転部側の外分草具12Rの先端12bの位置と、左右一対の走行装置1L,1Rのうちの運転部20が位置する側(右側)に位置する走行装置1Rにおけるクローラベルト1aの走行機体横方向での外側端の位置とを走行機体横方向でほぼ一致させてある。運転部側と反対側の外分草具12Lの先端12aの位置と、左右一対の走行装置1L,1Rのうちの運転部20が位置する側とは反対側(左側)に位置する走行装置1Lにおけるクローラベルト1aの走行機体横方向での外側端の位置とを走行機体横方向で一致させてある。
【0039】
この構成に替え、運転部側の外分草具12Rの先端12bの位置と、運転部側の走行装置1Rにおけるクローラベルト1aの外側端の位置とを走行機体横方向で一致させる構成を採用して実施してもよい。また、運転部側とは反対側の外分草具12Lの先端12aの位置と、運転部側と反対側の走行装置1におけるクローラベルト1aの外側端の位置とを走行機体横方向でほぼ一致させる構成を採用して実施してもよい。
【0040】
図2,4に示すように、刈取前処理部10は、中央に位置する分草具支持杆11cから上方向きに延出した分草バー39を備えている。この分草バー39は、左側の引起し経路13に導入された植立穀稈の株元側と、右側の引起し経路13に導入された植立穀稈の株元側とを押し分けて分離させる。図4に示す連結杆38は、左右一対の引起し装置14,14の上端側を連結している。
【0041】
図10は、別の実施の形態を備えた刈取前処理部10の前部を示す平面図である。この図に示すにように、別の実施の形態を備えた刈取前処理部10と、図7に示す発明の実施の形態を備えた刈取前処理部10とを比較すると、左右一対の掻き込み輪体16a,16bの噛み合い箇所Zが中分草具12Cの先端12cに対して偏倚している偏倚距離Dの大きさの点で相違しており、その他の点では、別の実施の形態を備えた刈取前処理部10と、図7に示す発明の実施の形態を備えた刈取前処理部10とは同一の構成を備えている。
別の実施の形態を備えた刈取前処理部10における偏倚距離Dは、図7に示す発明の実施の形態を備えた刈取前処理部10における偏倚距離Dよりも大になっている。
つまり、別の実施の形態を備えた刈取前処理部10における左右一対の掻き込み輪体16a,16bの噛み合い箇所Zは、中央の分草具支持杆11bに対してこの分草具支持杆11bの横外側に外れた位置に位置している。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、運転部20を走行機体に右側に設けたコンバインの他、運転部20を走行機体の左側に設け、刈取前処理部10が走行機体の運転部の右横側方箇所に連結されたコンバインにも利用できる。
【符号の説明】
【0043】
1L,1R クローラ走行装置
10 刈取前処理部
12L 運転部側と反対側の外分草具
12C 中分草具
12R 運転部側の外分草具
15 刈取装置
20 運転部
16a,16b 掻き込み輪体
W1 中分草具と運転部側の外分草具の先端どうしの間隔
W2 中分草具と運転部側と反対側の外分草具の先端どうしの間隔
Z 噛み合い箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のクローラ走行装置、および搭乗型の運転部を有した走行機体を備え、走行機体横方向に並ぶ三つの分草具を備えた刈取前処理部が、前記走行機体における前記運転部の横側方箇所に連結されたコンバインであって、
前記三つの分草具のうちの中央に位置する中分草具と運転部側での外側に位置する外分草具との先端どうしの間隔、および前記三つの分草具のうちの運転部側とは反対側の外側に位置する外分草具と前記中分草具との先端どうしの間隔を、2条の植立穀稈の導入が可能な間隔に設定し、
前記中分草具および前記運転部側の外分草具からの植立穀稈の株元側を刈取装置に掻き込むように、かつ刈取穀稈の株元側を前記刈取装置の後方に送るように回転する掻き込み輪体と、前記中分草具および前記運転部側とは反対側の外分草具からの植立穀稈の株元側を前記刈取装置に掻き込むように、かつ刈取穀稈の株元側を前記刈取装置の後方に送るように回転する掻き込み輪体とを、噛み合いによって連動させて設け、
前記一対の掻き込み輪体が噛み合う箇所を、前記中分草具の先端の位置に対して前記運転部が位置する側とは反対側に偏倚させて配置してあるコンバイン。
【請求項2】
前記運転部側の外分草具の先端の位置と、前記左右一対のクローラ走行装置のうちの前記運転部が位置する側に位置するクローラ走行装置におけるクローラベルトの走行機体横方向での外側端の位置とが、走行機体横方向で一致又はほぼ一致し、
前記運転部側と反対側の外分草具の先端の位置と、前記左右一対のクローラ走行装置のうちの前記運転部が位置する側とは反対側に位置するクローラ走行装置におけるクローラベルトの走行機体横方向での外側端の位置とが、走行機体横方向で一致又はほぼ一致している請求項1記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−263852(P2010−263852A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119144(P2009−119144)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】