説明

コンバイン

【課題】作業待機時間をできる限り少なくしたコンバインを提供する。
【解決手段】マイコン40は、注油スイッチ32が入り操作されると、注油ポンプPを作動させて前処理部の駆動部に潤滑油を供給する。また、同時に強制再生装置82にも電気指令を出力し、燃料噴射インジェクタ83によって燃料をポスト噴射すると共に、この噴射された燃料に点火装置85によって点火する。これにより、注油作業と同時に、エンジンからの排出ガスが昇温され、排出ガスフィルタ80の再生作業が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス中の微小固形物を除去する排出ガスフィルタを備えたコンバインに関し、詳しくは排出ガスフィルタによって収集された微小固形物を燃焼させる強制再生装置の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境の観点から車輌の排出ガス中に含まれるすすなどの微小固形物(パティキュレート,PM)の規制が強化されており、トラックなどのディーゼルエンジンが搭載される車輌では、このPMを除去するための排出ガスフィルタが取付けられている。
【0003】
このような排出ガスフィルタは、排出ガスの排出経路中に配設されてPMを収集するため、一定量のPMがフィルタ中に体積すると、フィルタの濾過性能が低下すると共に排気抵抗も上昇してしまう。そこで、従来、排出ガスフィルタに供給される排出ガスの温度を上昇させ、この昇温された排出ガスによって排出ガスフィルタ中のPMを燃焼させる排出ガスフィルタの強制再生装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−167950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、上記排出ガスフィルタの再生作業は、車輌を停止して行うため、排出ガスフィルタ及び強制再生装置を、コンバインなどの作業車輌に搭載しようとした場合、強制再生装置が作動している間は、収穫作業などが出来なくなるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、コンバインの前処理部に注油を行う注油スイッチの入り操作に基づいて、上記強制再生装置を作動させ、これら注油作業とフィルタの強制再生作業とを同時に行うことによって、収穫作業が不能な時間を少しでも短くすることを可能にしたコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、エンジン(50)と、該エンジン(50)からの回転によって駆動する前処理部(5)と、少なくとも前記前処理部(5)の駆動部(34)に注油を行う注油装置(33)と、を備えたコンバイン(1)において、
前記注油装置(33)を作動させる注油スイッチ(32)と、
前記エンジン(50)の排気ガス中に含まれる微小固形物を除去する排出ガスフィルタ(80)と、
前記排出ガスフィルタ周りの雰囲気温度を上昇させて、該排出ガスフィルタ(80)に収集された前記微小固形物を燃焼させる強制再生装置(82)と、
前記注油スイッチ(32)の入り操作に基づいて、前記強制再生装置(82)を作動させる制御部(40,44)と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記エンジン(50)からの回転を変速して前記前処理部(5)に伝達する変速装置(45)を備え、
前記制御部(40,44)は、前記注油スイッチ(32)の入り操作が行われると、前記エンジン(50)の回転速度を、作業時に使用される定格回転速度以上の回転速度に設定すると共に、前記変速装置(45)により前記エンジン(50)からの回転を減速して前記前処理部(5)に伝達する、ことを特徴とする。
【0009】
なお、括弧内の符号等は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によると、注油スイッチの入り操作に基づいて前処理部の駆動部分への注油作業と同時に、排出ガスフィルタの強制再生作業を行うため、収穫作業などの他の作業を行うことの出来ない時間を少なくすることができ、作業効率が向上すると共に、より長い連続作業が可能となった。
【0011】
請求項2に係る発明によると、注油スイッチの入り操作に基づいてエンジン回転速度を上昇させることにより、エンジンから排出される排出ガスの温度を高め、排出ガスフィルタの強制再生を効率良く行うことができる。また、前処理部へは、変速装置によって減速された回転が伝動されるため、駆動部をゆっくり駆動させながら確実に注油を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本願発明の実施の形態に係るコンバインの平面図。
【図2】上記コンバインの運転部の平面図。
【図3】上記コンバインの注油経路図。
【図4】上記コンバインの注油操作部の平面図。
【図5】上記コンバインの制御ブロック図。
【図6】上記コンバインの注油スイッチが入り操作された際の制御を説明するタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面に基づいて本発明の実施の形態に係るコンバインについて説明をする。なお、説明中の方向は作業者が機体に着座した状態を基準として考えるものとする。
【0014】
[コンバインの概略]
図1に示すように、コンバイン1は、左右一対のクローラ走行装置(不図示)に支持された機体3を有しており、機体3の前方には、穀稈を刈取ると共に機体後方側(脱穀部)へと搬送する前処理部5が昇降自在に設けられている。機体3の中央部には作業者が着座して運転操作する運転操作部6が設けられ、その後方には穀稈を脱穀する脱穀部7及び排藁を処理する後処理部9が設けられている。また、脱穀された穀粒は、脱穀部7の側方かつ、運転操作部6の後方に設けられたグレンタンク10に一時的に貯留され、排出オーガ11によって機外へと排出されるように構成されている。
【0015】
前処理部5は、その前部に複数設けられて穀稈を分草するデバイダ12と、デバイダ12の後方で分草された穀稈を引起す引起装置13と、穀稈を刈取るレシプロ式の刈刃を有する刈取り部(不図示)と、引起された穀稈の株元側を掻き込む掻込搬送装置(不図示)と、刈取り部によって刈取られた穀稈を搬送して脱穀部7のフィードチェン16に受け渡す穀稈搬送装置(不図示)などから構成されている。
【0016】
運転操作部6は、図2に示すように、中央には操縦者が着座する運転座席8が配置されており、その前方には運転座席8の下に配置されたエンジン50を始動させるイグニッションキー4が設けられている。イグニッションキー4の機体右側方には機体の左右旋回及び前処理部5の昇降を操作するマルチステアリングレバー17が設けられ、その機体左側には前処理部5の下限高さを任意の位置に決めて刈高さを調節する刈高さダイヤル19が設けられている。この刈高さダイヤル19は、リフトシャットスイッチとしても構成されており、押し操作をすることによって、エンジン50からの駆動を脱穀部7に伝達する脱穀クラッチ71(図5参照)と、該脱穀クラッチ71の伝動後流側に設けられ、エンジン50からの駆動を前処理部5に伝達する、刈取りクラッチ51(図5参照)が接続(ON)状態において前処理部5が上昇位置にある場合、穀稈の刈取り及び搬送作業を停止させることができる。
【0017】
また、運転座席8の側方には、脱穀クラッチ71と刈取りクラッチ51をON、OFFさせるパワークラッチスイッチ20が設けられ、さらにエンジン50の回転速度を調整するエンジンコントロールレバー22、機体3を変速操作する主変速レバー25及びこぎ深さ自動スイッチなどの各種自動スイッチ群27が設けられている。なお、この運転操作部6の前方には、図1に示すように注油を行う際に操作される注油操作部30が設けられている。
【0018】
次に、図3に基づいてコンバイン1の注油経路について説明する。ここで、本実施の形態において、注油する注油対象物は、刈刃(左、中、右)15a〜15c、引起し装置(左、左中、右中、右)13a〜13d、かき込みベルト駆動チェン13e、穂先株元搬送チェン14a、こぎ深さ搬送チェン14b、穂先搬送チェン14c、株元チェン(左、右)14d,14e、かき込み駆動チェン14f、フィードチェン16、排ワラチェン9a、排ワラタイン9bである。そして、この注油対象物に対して、注油操作部30に設けられた注油ダイヤル31の設定に基づき、注油ポンプPにより、タンクTに収納されている潤滑油が注油される。なお、本コンバイン1においては、この注油ダイヤル31と、注油ポンプPと、タンクTとにより注油装置33が構成される。
【0019】
図4は、注油操作部30の構成を示す図であり、これら注油対象物に潤滑油を注油する際は、まず図4に示すように、通常は、注油セット位置のうち、「注油後」の位置にセットされている注油ダイヤル31を回し、注油ダイヤル31に設けられた注油位置マーク31aを、「排ワラフィードチェン」、「引起し搬送チェン」、「刈刃」のいずれかに、あるいは順番にセットする。そして、この後、注油スイッチ32を押圧操作(入り操作)する。これにより、例えば、注油ダイヤル31の注油位置マーク31aが「刈刃」にセットされた場合には、図3に示す注油ポンプPが作動し、タンクTに収納されている潤滑油が刈刃系統33Aの刈刃(左、中、右)15a〜15cに注油される。
【0020】
また、注油ダイヤル31の注油位置マーク31aが「引起し搬送チェン」にセットされた場合には、潤滑油が引起し搬送系統33Bの引起し(左、左中、右中、右)13a〜13d等に注油され、「排ワラフィードチェン」にセットされた場合には、潤滑油が排ワラフィード系統33Cのフィードチェン16等に注油される。
【0021】
図5は、コンバイン1の制御ブロック図であり、コンバイン1の動作を制御する制御部を構成するマイコン40の入力側には、主変速レバー25の操作位置を検出する主変速レバーポテンショメータ41と、パワークラッチスイッチ20と、搬送HST(変速装置)45の回転を検出する搬送HST回転センサ42、注油装置33を作動させる注油スイッチ32が接続されている。また、マイコン40の入力側には、更に、エンジン50からの排出ガスの排気経路中に配設され、排出ガス中に含まれる微小固形物(PM)を除去する排出ガスフィルタ80にどの程度の微小固形物が堆積したかを判定する排出ガスフィルタセンサ81が接続されている。
【0022】
一方、マイコン40の出力側には、該マイコン40と共に制御部を形成し、エンジン50を制御するエンジン制御マイコン44、搬送HST45の回転を制御する搬送HST制御モータ43、刈取りクラッチ51及び脱穀クラッチ71をON、OFFさせるための脱穀・刈取りクラッチモータ46、注油ポンプPが接続されていると共に、上記排出ガスフィルタ80周りの雰囲気温度を上昇させて、該排出ガスフィルタ80に収集された微小固形物を燃焼させる強制再生装置82が接続されている。
【0023】
上記強制再生装置82は、排出ガスフィルタ80に供給される排出ガスに燃料を噴射する燃料噴射インジェクタ83と、この噴射された燃料に点火する点火装置85と、を有しており、該燃料噴射インジェクタ83により排出ガスに燃料をポスト噴射し、この燃料に点火装置85により点火することにより排出ガスを昇温させている。
【0024】
次に、このようなマイコン40による注油時の制御について図6に示すタイミングチャートを用いて説明する。なお、本実施の形態において、マイコン40は、エンジン50の回転速度制御を、エンジン制御マイコン44を介して行うが、マイコン40が直接制御するようにしても良い。
【0025】
作業者は、コンバイン1の運転操作部6に乗り込むと、脱穀及び刈取りクラッチ71,51が切断(オフ)されていることを確認すると共に、エンジンコントロールレバー22を最低回転速度位置にしてイグニッションキー4を操作し、エンジン50を始動させる。
【0026】
そして、手扱ぎ作業を行う場合には、パワークラッチスイッチ(+)20を1回オンして(タイミングa)、脱穀・刈取りクラッチモータ46により脱穀クラッチ71を接続(オン)すると共に、エンジン50の回転速度を定格回転速度とし、エンジン50からの回転が脱穀部7やフィードチェン16に伝達されるようにする。
【0027】
なお、上記エンジン50からの回転は、脱穀クラッチ71と刈取りクラッチ51との間に配設された搬送HST45を介してフィードチェン16に出力されており、アイドリング回転速度付近に設定された設定低回転速度まで減速されてから出力される。また、上記定格回転速度は、作業時に使用される回転速度であり、エンジンのトルク曲線上の最大トルク付近の回転速度である。
【0028】
一方、圃場を走行して穀稈を刈取りながら脱穀する通常の収穫作業を行う場合には、脱穀クラッチ71が接続された状態からパワークラッチスイッチ(+)20を、更にもう1回オンし(タイミングb)、上記脱穀クラッチ71の伝動下流側に設けられた刈取りクラッチ51を接続する。これにより、エンジン50からの動力が前処理部5に伝達されるようになり、脱穀及び刈取り作業の両方が同時に可能となる。
【0029】
また、刈刃15やこぎ深さ搬送チェン14などからなる前処理部5の駆動部34へも、上記搬送HST45を介して、エンジン50からの動力が伝達されるが、該搬送HST45は、刈取りクラッチ71が接続されると停止し、これら前処理部5の駆動部34は車速と連動するようになる。
【0030】
そして、この状態で、作業者が主変速レバー25を増速操作すると(タイミングc〜d)、該主変速レバー25の増速操作が主変速レバーポテンショメータ41によって検出され、車速が最大車速(MAX)まで増速する。これに伴い、それまで停止していた搬送HSTの回転速度が車速連動して0から最高回転速度(MAX)に上昇し、コンバイン1は、圃場を走行しながら収穫作業を行う。
【0031】
この状態で所定時間(タイミングd〜e)、脱穀・刈取りを行った後、収穫作業が終了すると、作業者は、主変速レバー25を減速操作し、それまでMAXであった車速が0に降下する(タイミングe〜f)。これに伴い、コンバイン1が停止し、それまで最高回転速度(MAX)であった搬送HST45の回転も車速に連動して0となる。
【0032】
この後、パワークラッチスイッチ(−)20が1回オンされると(タイミングg)、脱穀・刈取りクラッチモータ46により刈取りクラッチ51がオフとなり、搬送HST45は手扱き回転である設定低回転となる。また、この後、パワークラッチスイッチ(−)20をもう1回オンすると(タイミングh)、脱穀・刈取りクラッチモータ46により脱穀クラッチ71がオフされ、搬送HST45は停止すると共に、エンジン50がアイドリング状態となる。
【0033】
ところで、作業者は、収穫作業を行う前や、一旦、作業を中断し、再度作業を再開する際に、上記注油スイッチ32を入り操作(オン)して(タイミングi)、前処理部5の駆動部34や、フィードチェン16などに注油を行う。
【0034】
ここで、注油スイッチ32が入り操作(ON)されると、マイコン40は、エンジン制御マイコン44に電気指令を出力して、エンジン50をアイドリング回転速度から、定格回転速度に設定すると共に、脱穀・刈取りクラッチモータ46により、刈取りクラッチ51及び脱穀クラッチ71を接続する。さらに、搬送HST45を制御して、エンジン50からの回転速度を手扱き回転速度である設定低回転速度まで減速して、前処理部5の駆動部34に出力し、刈刃15やフィードチェン16等を、潤滑油が駆動方向に飛び散ることのない低速度で駆動する。
【0035】
また、マイコン40は、このように刈刃やフィードチェン16等を低速度で駆動させると共に、注油ポンプPをオンとする。これにより、タンクTに収納されている潤滑油が、注油ダイヤル31により設定された系統に、選択的に注油される。なお、注油に必要な所定の設定時間Tが経過すると(タイミングj)、脱穀・刈取りクラッチモータ46をOFFとして刈取りクラッチ51及び脱穀クラッチ71をオフすると共に、エンジン50をアイドリング回転とする。これにより、注油が終了する。
【0036】
一方、マイコン40は、注油スイッチ32が入り操作されると、上記注油作業とは別に、強制再生装置82に電気指令を出力し、排出ガスフィルタ80の強制再生作業を行う(強制再生装置82を作動させる)。
【0037】
具体的には、上述したようにエンジン50の回転速度を、該エンジンの最大回転速度近傍である定格回転速度まで上昇させると共に、エンジン50が高回転で回転することにより、通常よりも高温となった排出ガスに、排出ガスフィルタ80よりも上流側で燃料噴射インジェクタ83によって燃料をポスト噴射し、この燃料を点火装置85によって点火する。
【0038】
これより、排出ガスが昇温すると共に、この昇温した排出ガスを上記注油に必要な時間Tの間、排出ガスフィルタ80に供給し、排出ガスフィルタ周りの雰囲気温度を上昇させ、排出ガスフィルタ80が収集した微小固形物を燃焼させる。
【0039】
以上説明したように、注油スイッチ32の入り操作に基づいて、注油作業と同時に排出ガスフィルタの強制再生作業を行うことによって、収穫作業などの他の作業を行うことの出来ない時間を少なくすることができ、作業効率が向上すると共に、より長い連続作業が可能となった。
【0040】
また、注油スイッチ32の入り操作に基づいてエンジン回転速度を上昇させることにより、エンジンから排出される排出ガスの温度を高め、排出ガスフィルタの強制再生を効率良く行うことができる。更に、前処理部5へは、搬送HST45によって減速された回転が伝動されるため、駆動部34をゆっくり駆動させながら確実に注油を行うことができる。
【0041】
また、上記排出ガスフィルタ80の強制再生作業を、例えば、収穫作業開始時及び午後の作業の開始時など、一日の内、複数回行われる注油作業と同時に行うようにしたことと、コンバイン1が収穫作業時は定格回転速度で作業を行うため、排出ガスフィルタ80に堆積する微小固形物の量が比較的少ないこととが相俟って、強制再生作業の時間を注油作業の時間に一致させることができる。
【0042】
即ち、注油作業に必要となる時間が、排出ガスフィルタ80を十分、再生するのに必要な時間よりも短くとも、注油作業が時間を置いて複数回行われると共に、その間の作業時に堆積する微小固形物が比較的少ないため、最終的に排出ガスフィルタ80の性能を十分回復させることができる。
【0043】
なお、本実施形態においては、注油スイッチ32が入り操作された際には、常に強制再生装置82を作動させるように構成されていたが、排出ガスフィルタセンサ81が排出ガスフィルタ80の目詰まりを検出した際にのみ、強制再生作業を行うようにしても良い。
【0044】
また、強制再生の自動制御を入切するスイッチを設け、強制再生の自動制御を解除できるようにしても良いと共に、注油スイッチ32を2度押しすることによって、強制再生を停止できるように構成してもよい。
【0045】
更に、マイコン40及びエンジン制御マイコン44は、強制再生作業時には、エンジン回転速度を定格回転速度以上の高い回転速度としても良いと共に、強制再生作業を行わない際には、エンジン回転速度をアイドリング回転付近の手扱ぎ回転速度である設定低回転速度にしても良い。
【0046】
また、本実施形態では、燃料をポスト噴射して排出ガスフィルタ80を強制再生させていたが、触媒型など他の形式の強制再生装置を用いても当然に良い。更に、搬送HSTは、ベルト式の無段変速装置や、多段式の有段変速装置としても良い。また、排藁チェン9a及び排藁タイン9bへの伝動を、搬送HST45を介して行っても良いと共に、注油装置33は、少なくとも前処理部5の駆動部に注油するように構成されていれば良く、これら前処理部5の駆動部や排藁チェン9a以外にも、脱穀部7など、コンバインに搭載されている作業機で、注油が必要なところのいずれの箇所に注油するように構成しても良い。
【0047】
また、注油ダイヤル31を、電動モータによって切換えて、自動的に、作業機の各部(刈刃、引起し搬送チェン、排藁フィードチェンなど)に順番に注油をするようにしても良い。即ち、これら刈刃、引起し搬送チェン、排藁フィードチェンなどへの注油に必要な時間を、1単位として、上記注油に必要な時間Tを設定しても良い。
【符号の説明】
【0048】
1 コンバイン
5 前処理部
32 注油スイッチ
33 注油装置
40 制御部(マイコン)
44 制御部(エンジン制御マイコン)
45 変速装置(搬送HST)
50 エンジン
80 排出ガスフィルタ
82 強制再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、該エンジンからの回転によって駆動する前処理部と、少なくとも前記前処理部の駆動部に注油を行う注油装置と、を備えたコンバインにおいて、
前記注油装置を作動させる注油スイッチと、
前記エンジンの排気ガス中に含まれる微小固形物を除去する排出ガスフィルタと、
前記排出ガスフィルタ周りの雰囲気温度を上昇させて、該排出ガスフィルタに収集された前記微小固形物を燃焼させる強制再生装置と、
前記注油スイッチの入り操作に基づいて、前記強制再生装置を作動させる制御部と、を備えた、
ことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記エンジンからの回転を変速して前記前処理部に伝達する変速装置を備え、
前記制御部は、前記注油スイッチの入り操作が行われると、前記エンジンの回転速度を、作業時に使用される定格回転速度以上の回転速度に設定すると共に、前記変速装置により前記エンジンからの回転を減速して前記前処理部に伝達する、
請求項1記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−182716(P2011−182716A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51995(P2010−51995)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】