説明

コンバイン

【課題】レバーフレームを前後2分割構成とし、前後の各レバーフレームをステップフレームや脱穀部に固定するものでありながら、レバーフレームの全体強度を高めると共に、部品の兼用化により部品点数の削減やコストダウンを図る。
【解決手段】運転部6の左側に配置されるサイドパネル16及び各種レバー17を支持するレバーフレーム12を設けてなるコンバイン1において、レバーフレーム12を前後2分割構成とし、前部レバーフレーム18は、前後端をそれぞれステップフレーム10に固定する一方、後部レバーフレーム19は、前端を前部レバーフレーム18、後端を脱穀部3に固定し、さらに、前部レバーフレーム18と後部レバーフレーム19とを連結する補強フレーム24を設け、該補強フレーム24の一部又は全体をサイドパネル16より上方に配置してグリップとして機能させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転部の左側に配置されるサイドパネルや各種レバーを支持するレバーフレームを備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンバインでは、運転部の左側にサイドパネルや各種レバーが配置されると共に、これらをレバーフレームで支持するようになっている(例えば、特許文献1、2参照)。さらに、運転部の左側に、脱穀入口部の詰まり除去作業などに際して利用可能なグリップを備えるコンバインも知られている(例えば、特許文献2参照)。
ところで、レバーフレームは、通常、パイプ材を曲げ加工して形成されており、運転部のステップフレーム、機体フレーム、脱穀部などに固定して必要な強度を確保しているが、レバーフレームを一本のパイプ材から形成するとなると、パイプ材の曲げ箇所が多くなり、加工が難しくなるという問題がある。
そこで、特許文献1に示されるコンバインでは、レバーフレームを前後2分割構成とすることにより、レバーフレームの形状を単純化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−103827号公報
【特許文献2】特許第4105362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、レバーフレームを前後2分割構成とした場合、前後レバーフレーム同士の連結強度不足にもとづき、レバーフレーム全体の強度が低下する惧れがある。特に、レバーフレームでフロントパネルの左端部を支持するコンバインでは、フロントパネルの支持強度が低下するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、茎稈を刈り取る前処理部と、刈り取った茎稈から穀粒を脱穀する脱穀部と、脱穀部の右前方に配置される運転部とを備えると共に、運転部に、運転部のステップ部を支持するステップフレームと、運転部の左側に配置されるサイドパネル及び各種レバーを支持するレバーフレームとを設けてなるコンバインにおいて、前記レバーフレームを前後2分割構成とし、前部レバーフレームは、前後端をそれぞれステップフレームに固定する一方、後部レバーフレームは、前端を前部レバーフレーム、後端を脱穀部に固定し、さらに、前部レバーフレームと後部レバーフレームとを連結する補強フレームを設け、該補強フレームの一部又は全体をサイドパネルより上方に配置してグリップとして機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、レバーフレームを前後2分割構成とし、前後の各レバーフレームをステップフレームや脱穀部に固定するものでありながら、前後の各レバーフレームを補強フレームで連結することにより、レバーフレームの全体強度を高めることができ、しかも、補強フレームをグリップとして機能させることにより、専用のグリップを別途設ける場合に比して、部品点数の削減やコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンバインの全体右側面図である。
【図2】コンバインの全体平面図である。
【図3】運転部の斜視図である。
【図4】運転部のフレーム構造を示す斜視図である。
【図5】運転部のフレーム構造を示す分解斜視図である。
【図6】運転部のフレーム構造を示す左側面図である。
【図7】運転部のフレーム構造を示す平面図である。
【図8】乗降ステップ開状態を示す運転部の右斜視図である。
【図9】乗降ステップ閉状態を示す運転部の右斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1及び図2において、1はコンバインであって、該コンバイン1は、茎稈を刈り取る前処理部2と、刈り取った茎稈から穀粒を脱穀して選別する脱穀部3と、選別した穀粒が貯留される穀粒タンク4と、脱穀済みの排稈を後処理する後処理部5と、オペレータが乗車する運転部6と、クローラ式の走行部7とを備えて構成されている。
【0009】
脱穀部3は、機体の左側に配置されており、脱穀部3の右側面部に立設される揚穀筒8を介して穀粒タンク4に穀粒を移送するようになっている。また、運転部6は、脱穀部3の右前方に配置されており、機体の右側面前端部に形成される乗降口9を介して運転部6に対する乗り降りが行われるようになっている。
【0010】
図3〜図7に示すように、運転部6は、ステップフレーム10、フロントパネルフレーム11、レバーフレーム12などからなるフレーム構造を有する。
ステップフレーム10は、運転部6のステップ部13を支持するための枠状フレームであり、機体フレーム14の前端部に対して前方突出状に一体的に固定されている。
フロントパネルフレーム11は、運転部6の前側に立設されるフロントパネル15を支持するためのパネル状フレームであり、ステップフレーム10の前端部に対して立姿状に一体的に固定されている。
【0011】
レバーフレーム12は、運転部6の左側に配置されるサイドパネル16や各種レバー17を支持するためのパイプ状フレームであり、ステップフレーム10及び脱穀部3に対して一体的に固定されている。つまり、レバーフレーム12は、パイプ材を曲げ加工して形成され、運転部6のステップフレーム10及び脱穀部3に固定して必要な強度を確保しているが、レバーフレーム12を一本のパイプ材から形成するとなると、パイプ材の曲げ箇所が多くなり、加工が難しくなるので、レバーフレーム12を前後2分割構成(前部レバーフレーム18、後部レバーフレーム19)とすることにより、レバーフレーム12の形状を単純化している。
【0012】
前部レバーフレーム18は、パイプ材を側面視逆U字状に曲げ加工して形成されており、その前下端部及び後下端部がそれぞれステップフレーム10の左側部に一体的に固定される。また、前部レバーフレーム18の前端部には、フロントパネル固定プレート20が一体的に溶着されており、ここにフロントパネルフレーム11の左端部が一体的に固定される。
【0013】
後部レバーフレーム19は、パイプ材を側面視逆L字状に曲げ加工して形成されており、前端部が前部レバーフレーム18の後端部に一体的に溶着されている。後部レバーフレーム19の後端部には、脱穀部固定プレート21が一体的に溶着されている。脱穀部固定プレート21は、揚穀筒8から前方に延出するステー22の前端部に固定されると共に、脱穀前側板23の右端部に固定される。
【0014】
上記のように、レバーフレーム12を前後2分割構成とした場合、前後レバーフレーム18、19同士の連結強度不足にもとづき、レバーフレーム12全体の強度が低下する惧れがある。特に、レバーフレーム12でフロントパネルフレーム11の左端部を支持するものでは、フロントパネルフレーム11の支持強度が低下する可能性がある。そこで、本発明に係るコンバイン1では、前部レバーフレーム18と後部レバーフレーム19とを連結する補強フレーム24を設けることにより、前後レバーフレーム18、19同士の連結強度不足を解消している。
【0015】
補強フレーム24は、パイプ材を側面視逆U字状に曲げ加工して形成されており、その前後端には、それぞれレバーフレーム固定プレート25、26が一体的に溶着されている。前側のレバーフレーム固定プレート25は、前部レバーフレーム18に溶着される補強フレーム固定プレート27に固定され、後側のレバーフレーム固定プレート26は、後部レバーフレーム19に溶着される補強フレーム固定プレート28に固定される。
【0016】
さらに、補強フレーム24は、一部又は全体がサイドパネル16より上方に配置されており、脱穀入口部の詰まり除去作業などに際して利用可能な左グリップとして機能するようになっている。このようにすると、レバーフレーム12を前後2分割構成とすると共に、前後の各レバーフレーム18、19を補強フレーム24で連結して必要強度を確保するものでありながら、補強フレーム24を運転部6の左グリップとして機能させることにより、専用のグリップを別途設ける場合に比して、部品点数の削減やコストダウンを図ることができる。
【0017】
図8及び図9に示すように、運転部6の乗降口9には、運転部6への乗降に際して利用可能な乗降ステップ29が設けられている。乗降ステップ29は、フロアステップ30よりも一段低い位置に設けられるため、小型機種では、クローラの交換に際して邪魔になる惧れがある。そこで、本実施形態では、乗降ステップ29の前後幅を、乗降口9(フロアステップ30)の前後幅の略半分にすると共に、乗降口9の前側に寄せて乗降ステップ29を配置することにより、クローラの交換作業性を損なわないようにしている。また、運転部6への乗車に際しては、右足で乗降ステップ29を踏み、左足でフロアステップ30の奥側を踏みながら運転シート31に座るようにすると、スムーズな乗車が可能であるが、本実施形態の乗降ステップ29は、乗降口9の右側に寄せて配置されるので、右足で乗降ステップ29を踏むことを促し、スムーズな乗車が可能になる。
なお、本実施形態の乗降ステップ29は、ステップフレーム10に上下回動自在に設けられており、不使用時には、上方に回動させることにより、ステップフレーム10に沿って収納できるようになっている(図9参照)。
【0018】
本実施形態のコンバイン1には、油差し(図示せず)を収容する油差しホルダ32が設けられている。従来においては、この油差しホルダ32を運転部6内に設けていたので、油差しからこぼれた油でフロアステップ30が汚れるという問題があった。そこで、本実施形態では、フロントパネル15の右側面で、かつ、下方に何もない位置に油差しホルダ32を取り付けている。このようにすると、油差しから油がこぼれても、フロアステップ30が汚れることがなく、しかも、上記の取り付け位置は運転シート31から見える位置なので、油差しの油残量などを容易に確認することができる。
【0019】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、茎稈を刈り取る前処理部2と、刈り取った茎稈から穀粒を脱穀する脱穀部3と、脱穀部3の右前方に配置される運転部6とを備えると共に、運転部6に、運転部6のステップ部13を支持するステップフレーム10と、運転部6の左側に配置されるサイドパネル16及び各種レバー17を支持するレバーフレーム12とを設けてなるコンバイン1において、レバーフレーム12を前後2分割構成とし、前部レバーフレーム18は、前後端をそれぞれステップフレーム10に固定する一方、後部レバーフレーム19は、前端を前部レバーフレーム18、後端を脱穀部3に固定し、さらに、前部レバーフレーム18と後部レバーフレーム19とを連結する補強フレーム24を設け、該補強フレーム24の一部又は全体をサイドパネル16より上方に配置してグリップとして機能させるので、レバーフレーム12を前後2分割構成とし、前後の各レバーフレーム18、19をステップフレーム10や脱穀部3に固定するものでありながら、前後の各レバーフレーム18、19を補強フレーム24で連結することにより、レバーフレーム12の全体強度を高めることができ、しかも、補強フレーム24をグリップとして機能させることにより、専用のグリップを別途設ける場合に比して、部品点数の削減やコストダウンを図ることができる。
【符号の説明】
【0020】
1 コンバイン
2 前処理部
3 脱穀部
6 運転部
10 ステップフレーム
11 フロントパネルフレーム
12 レバーフレーム
13 ステップ部
16 サイドパネル
17 各種レバー
18 前部レバーフレーム
19 後部レバーフレーム
24 補強フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
茎稈を刈り取る前処理部と、刈り取った茎稈から穀粒を脱穀する脱穀部と、脱穀部の右前方に配置される運転部とを備えると共に、運転部に、運転部のステップ部を支持するステップフレームと、運転部の左側に配置されるサイドパネル及び各種レバーを支持するレバーフレームとを設けてなるコンバインにおいて、
前記レバーフレームを前後2分割構成とし、前部レバーフレームは、前後端をそれぞれステップフレームに固定する一方、後部レバーフレームは、前端を前部レバーフレーム、後端を脱穀部に固定し、さらに、前部レバーフレームと後部レバーフレームとを連結する補強フレームを設け、該補強フレームの一部又は全体をサイドパネルより上方に配置してグリップとして機能させることを特徴とするコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−83212(P2011−83212A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−237066(P2009−237066)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】