説明

コンバイン

【課題】引起装置の着脱作業が面倒であり、メンテナンスが容易でなかった。
【解決手段】引起装置8の駆動軸32と出力軸33とを分割する。引起装置8は下部横枠37を支点に前後回動自在な状態で下部横枠37に支持し、引起装置8の上部を後方に傾動させて上側着脱手段47を上部横伝動筒35に取付けた状態で前記出力軸33および駆動軸32が駆動力を伝達可能な状態になると共に、下側係合手段65が前記下部横枠37より着脱不能な状態になる構成とし、前記引起装置8の上部を前方に傾動させることで前記上側着脱手段47を離間させて出力軸33と駆動軸32とが分離され、伝動が遮断された状態になると共に、前記下側係合手段65が着脱可能となる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、刈取装置の引起装置の駆動軸を出力軸にスプライン嵌合させて、着脱自在にした構成は、公知である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−75031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知のものは、単に、引起装置の駆動軸部分の着脱に関するものであり、他の部分の引起装置の着脱は面倒あり、メンテナンスが容易でないという課題がある。
本願は、引起装置の取付構成を工夫し、引起装置の着脱を容易にすると共に、引起装置の取付及び支持強度を向上させ、刈取装置全体の剛性を向上させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、走行装置2の上方に脱穀装置3を設け、該脱穀装置3の横側にグレンタンク5を設け、該グレンタンク5の前側に操縦部6を設け、該操縦部6の前方に刈取装置4を設け、該刈取装置4には、少なくとも、複数の分草体7および引起装置8を設け、該引起装置8の後側に刈刃11を設け、前記分草体7と引起装置8と刈刃11を取付ける刈取フレーム20の前部上側に上部横伝動筒35を設け、前記刈取フレーム20の前部下側に前記引起装置8の下部を取付ける下部横枠37を設け、前記引起装置8と前記上部横伝動筒35および下部横枠37との間には、該引起装置8の上部および下部を前記上部横伝動筒35および下部横枠37に着脱可能に取付ける上側着脱手段47と下側係合手段65を夫々設け、刈取装置4の前記上部横伝動筒35の近傍の部位に、前記引起装置8へ駆動力を出力する出力軸33を設け、引起装置8の上部の前記上側着脱手段47の近傍に前記出力軸33からの駆動力が入力される駆動軸32を設け、前記引起装置8は前記下部横枠37を支点に前後回動自在な状態で下部横枠37に支持し、前記引起装置8の上部を後方に傾動させて前記上側着脱手段47を前記上部横伝動筒35に取付けた状態で前記出力軸33および駆動軸32が駆動力を伝達可能な状態になると共に、前記下側係合手段65が前記下部横枠37より着脱不能な状態になる構成とし、前記引起装置8の上部を前方に傾動させることで前記上側着脱手段47を離間させて出力軸33と駆動軸32とが分離され、伝動が遮断された状態になると共に、前記下側係合手段65が着脱可能となる構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、分草体7により分草し、引起装置8により引起し、刈刃11により刈り取り、脱穀する。
左右に複数並設した引起装置8のうち、非引起作用側を対向させた二つの引起装置8は、引起装置8の下部の下側係合手段65を下部横枠37に取付け、引起装置8を後側に回動させて、引起装置8の駆動歯車27の駆動軸32を、引起支持枠体34側の出力軸33にスプライン嵌合させ、上側着脱手段47により引起装置8の上部を上部横伝動筒35側に固定して、引起装置8を装着する。
反対に、上側着脱手段47を外して引起装置8を前側に回動させると、引起装置8の駆動軸32が、刈取装置4側の出力軸33から外れ、引起装置8の後方に空間が形成され、メンテナンス作業を行える。
また、下側係合手段65を外すと、引起装置8を下部横枠37から外せ、引起装置8および引起装置8を取り外した刈取装置4のメンテナンス作業を行う。
請求項2の発明は、前記上部横伝動筒35に前記出力軸33を設け、前記上部横伝動筒35と前記下部横枠37とは、前記引起装置8の背面側で縦枠36により連結したことを特徴とするコンバインとしたものであり、上部横伝動筒35と下部横枠37とを、引起装置8の背面側で縦枠36により連結しているので、引起装置8は上部横伝動筒35と下部横枠37と縦枠36により支持された状態で分草体7により分草された穀稈を引き起こす。
請求項3の発明は、前記下側係合手段65は、前記引起装置8に設けた一部に係合孔66を開口させた開環円筒状の係合体67と、前記下部横枠37に設けた係合体67の内周に当接する円弧状の一対の当接面68と、一対の当接面68を結ぶ平行な挿入面69とにより形成した固定側係合部70とにより形成し、固定側係合部70は前記挿入面69を前上がりに傾斜させて前記下部横枠37に設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、引起装置8の係合体67の係合孔66を下部横枠37の固定側係合部70の当接面68に合せ、係合体67を固定側係合部70の外周に嵌合させる。次に、引起装置8を後方回動させると、係合体67の係合孔66と当接面68との位置がずれ、係合孔66が固定側係合部70の内周に当接し、下側係合手段65は下部横枠37から外れずに係合状態になり、刈取作業を行う。
反対に、引起装置8を前側に回動させると、係合体67の係合孔66に固定側係合部70の当接面68が臨むので、斜め前方に引き抜くように引起装置8を移動させると、引起装置8を下部横枠37から取り外せる。
請求項4の発明は、前記下側係合手段65は、前記下部横枠37に基部を固定した軸75の先端に大径部76を設けて固定側係合部70を形成し、前記係合体67は前記大径部76を通過させうる挿通孔77とこの挿通孔77に連通する前記軸75が移動自在かつ前記大径部76が通過しない移動溝78とにより構成したことを特徴とするコンバインとしたものであり、下部横枠37の大径部76に挿通孔77を合わせて係合させ、次に、引起装置8を後方回動させると、軸75が移動溝78を移動し、大径部76が移動溝78から抜けずに、係合状態になり、下側係合手段65は下部横枠37から外れずに係合状態になり、刈取作業を行う。
反対に、引起装置8を前側に回動させると、軸75が移動溝78を移動して、大径部76が挿通孔77に臨むので、斜め前方に引き抜くように引起装置8を移動させると、引起装置8を下部横枠37から取り外せる。
請求項5の発明は、前記下側係合手段65は、下部横枠37に該下部横枠37に対して回転のみ自在の回転部80と、該回転部80に形成した係合孔81とにより前記固定側係合部70を構成し、引起フレーム26の下部の係合体67を前記係合孔81に係合する係合軸82により構成したことを特徴とするコンバインとしたものであり、下部横枠37の回転部80の係合孔81に下側係合手段65の係合軸82を係合させ、引起装置8を後側に回動させて、引起装置8の駆動軸32を、刈取装置4側の出力軸33にスプライン嵌合させ、上側着脱手段47により引起装置8の上部を刈取装置4の上部横伝動筒35側に固定して、引起装置8を装着する。
反対に、上側着脱手段47を外し、引起装置8を前側に回動させて、引起装置8の駆動軸32を、刈取装置4側の出力軸33から外し、斜め前方に引き抜くように引起装置8を移動させると、回転部80の係合孔81から下側係合手段65の係合軸82が抜けて、引起装置8を下部横枠37から取り外せる。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、上側着脱手段47を外して引起装置8を前側に回動させると、引起装置8の駆動軸32を出力軸33から外すことができ、引起装置8の後方に空間を形成してメンテナンス作業を容易にすることができ、また、下側係合手段65を外すと、引起装置8を下部横枠37から外せて、引起装置8の着脱を容易にすることができる。
請求項2の発明では、上部横伝動筒35と下部横枠37とを縦枠36により連結しているので、引起装置8の支持剛性を向上させ、引起作用を安定させて行うことができ、また、刈取フレーム20全体の剛性も向上させることができ、刈取作業の作業安定性を向上させることができ、また、下部横枠37と出力軸33との位置関係が変化しにくく、引起装置8を下部横枠37に支持させた状態で、出力軸33と駆動軸32との位置合わせを容易に行うことができる。
請求項3の発明では、引起装置8の係合体67の係合孔66を下部横枠37の固定側係合部70の当接面68に合せて嵌合させて引起装置8を後方回動させると、下側係合手段65は下部横枠37から外れずに係合状態になり、着脱操作を容易にでき、また、簡単な構成で安価な着脱機構を提供できる。
請求項4の発明では、下側係合手段65を軸75と大径部76の固定側係合部70と、挿通孔77と移動溝78とにより構成しているので、着脱操作を容易にでき、また、簡単な構成で安価な着脱機構を提供できる。
請求項5の発明では、下部横枠37の回転部80と係合孔81により固定側係合部70を構成しているので、着脱操作を容易にでき、また、簡単な構成で安価な着脱機構を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】刈取装置の一部を省略した概略平面図。
【図3】同一部を省略した正面図。
【図4】同一部を省略した側面図。
【図5】引起装置の背面図。
【図6】非引起作用側を対向させた引起装置の背面図。
【図7】引起装置の駆動軸の嵌合させる状態の断面図。
【図8】引起支持枠体の正面図。
【図9】下側係合手段の側面図および下側係合手段の係合操作状態の側面図。
【図10】引起装置の作業状態の側面図。
【図11】下側係合手段の他の実施例の係合操作状態の側面図。
【図12】同下側係合手段の係合状態の側面図。
【図13】同引起装置の作業状態の側面図。
【図14】下側係合手段の他の実施例の一部背面図。
【図15】同係合操作状態の側面図。
【図16】同下側係合手段の係合状態の側面図。
【図17】同引起装置の作業状態の側面図。
【図18】引起装置の前側回動状態の側面図。
【図19】引起装置の側面図。
【図20】下側係合手段の他の実施例の開放状態側面図。
【図21】同係合状態側面図。
【図22】同背面図。
【図23】同斜視図。
【図24】上側着脱手段の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施例を図により説明すると、1は機体フレーム、2は走行装置、3は走行装置2の上方位置に設けた脱穀装置、4は刈取装置、5は脱穀装置3の側部に設けたグレンタンク、5はグレンタンク、6は操縦部である。
刈取装置4は、分草体7と、各分草体7の後方の引起装置8等を有して構成する。9は引起装置8の後方の掻込装置、10は前側株元搬送装置、11は刈刃、12は穂先搬送装置、13は後側搬送装置、14は後側穂先搬送装置、15は株元引継搬送装置、16は穂先引継搬送装置、17は脱穀装置3に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置である。
刈取装置4は、前記分草体7や引起装置8等を取付けた刈取フレーム20を有して構成し、刈取フレーム20の下部横伝動ケース21に、前後方向の縦支持フレーム22の先端を取付け、縦支持フレーム22の基部に設けた基部側横伝動ケース(図示省略)を、機体フレーム1の支持台に回動自在に取付け、刈取上下シリンダ(図示省略)により刈取装置4を上下動自在に構成している。
【0009】
前記刈取フレーム20は、下部横伝動ケース21の左右側のうちの一方側に側部伝動ケース(図示省略)を設け、下部横伝動ケースの左右側のうちの他方側に側部フレーム(図示省略)を設け、側部伝動ケースと側部フレームの間に上部横伝動ケース24を設ける。
上部横伝動ケース24には縦軸筒形状の引起伝動筒25の上部を取付け、引起伝動筒25には引起装置8を吊設する。
前記引起装置8は、引起フレーム26に設けた駆動歯車27と下部従動ローラー28とテンション歯車29とに引起ラグ30を所定間隔おいて複数起伏自在に取付けた引起チェン31を掛け回して構成している。前記駆動歯車27は、駆動軸32により引起フレーム26に軸装する。駆動軸32は引起フレーム26に回転のみ自在に軸装している。駆動軸32は出力軸33に着脱自在にスプライン嵌合させる。
【0010】
即ち、駆動軸32と出力軸33とは、引起フレーム26側に設けたハブ部92に軸装した駆動軸32と、後述する引起支持枠体34の上部横伝動筒35に設けたメタル部材90に軸装した出力軸33とに分割形成し、出力軸33に形成したスプライン溝91にハブ部92を着脱自在に印籠継ぎ状態でスプライン嵌合させる構成としている。
また、引起装置8は、引起フレーム26に後述する引起カバー93と引起フレーム26と引起チェン31とテンションアーム94とテンション調節機構95をアッシー状態に組み付けて構成して、引起装置8の駆動軸32のハブ部92をメタル部材90の出力軸33に着脱自在にスプライン嵌合させる。
【0011】
左右に複数並設した引起装置8のうち、非引起作用側を対向させた二つの引起装置8は、その引起フレーム26を引起伝動筒25の下部に設けた矩形形状の引起支持枠体34に取付ける。
引起支持枠体34は、その上部横伝動筒35の左右中央部分を固定状態に取付ける上部横伝動筒35の両側には前記メタル部材90を夫々設ける。
上部横伝動筒35の左右両側には前記引起支持枠体34の左右の縦枠36の上部を固定状態に取付ける。左右の縦枠36の下部には下部横枠37を固定状態に取付ける。下部横枠37の下部は、縦杆38により分草杆39に取付け、分草杆39の基部は刈刃フレーム40に固定する。
そのため、刈取装置4の刈取フレーム20の剛性を高め、作業負荷による刈取装置4の各部の位置ずれが起こりにくく、刈取作業を円滑にする。
【0012】
また、引起支持枠体34に、非引起作用側を対向させた二つの引起装置8の引起フレーム26を着脱自在に取付ける。
そのため、メンテナンス作業を容易にする。
この場合、非引起作用側を対向させた二つの引起装置8の引起フレーム26の上下部分を連結杆41により連結しておくと、二つの引起装置8を引起支持枠体34に対して一度に着脱でき、着脱が容易になる。
前記引起装置8の引起フレーム26は、引起ラグ30の案内レール等を引起ラグ30の作用側に設けるために、引起フレーム26の引起ラグ30の作用側の側縁43は引起ラグ30の移動軌跡より外側に位置させるが、引起ラグ30の非作用側は倒伏した引起ラグ30の移動スペースを考慮して開放部44に形成しており、前記非引起作用側を対向させた二つの引起装置8は、左右の引起フレーム26の夫々の外側を引起ラグ30の作用域として配置し、前記引起支持枠体34の縦枠36は開放部44から外した位置に配置する。
【0013】
そのため、引起装置8の引起フレーム26の開放部44から排出される藁屑が、引起支持枠体34の縦枠36によって邪魔されることなく排出され、藁屑の詰まりによる引起装置8の作動不良が起こりにくくなり、刈取作業を円滑に維持できる。
即ち、引起支持枠体34の縦枠36は、正面視において引起フレーム26と重なるようにし、引起フレーム26の裏側に所定の間隔おいて略平行に配置しており、縦枠36の存在が、引起装置8の引起フレーム26の開放部44からの藁屑の排出に影響せず、藁屑の詰まりによる引起装置8の作動不良が起こりにくくなり、刈取作業を円滑に維持できる。
前記引起フレーム26の上部は前記引起支持枠体34の上部横伝動筒35側に着脱自在に上側着脱手段47により取付け、前記引起フレーム26の下部は前記引起支持枠体34の下部横枠37に下側係合手段65により着脱自在に係合させて取付ける。
そのため、引起装置8の下部を下側係合手段65により引起支持枠体34の下部横枠37に係合させ、引起装置8の上部を下部横枠37中心に後側に回動させて、引起装置8の駆動歯車27の駆動軸32を、引起支持枠体34側の出力軸33にスプライン嵌合させ、上側着脱手段47により引起フレーム26の上部を前記引起支持枠体34の上部横伝動筒35側に固定して、引起装置8を装着する。
【0014】
前記下側係合手段65は、引起フレーム26の一部に設けた係合孔66により開口させて開環円筒状に形成した係合体67と、該係合体67の内周に当接する円弧状の一対の当接面68および一対の当接面68を結ぶ平行な挿入面69とにより形成した固定側係合部70とにより構成する。
固定側係合部70は、前上がりに傾斜させ、引起支持枠体34から離れた状態の引起装置8側の係合体67の係合孔66を下部横枠37の固定側係合部70の当接面68に合致させ、係合体67内に固定側係合部70を挿入して引起装置8を下部横枠37中心に後方回動させて引起装置8の上部を引起支持枠体34に当接させると、係合体67の係合孔66と当接面68との位置がずれ、下側係合手段65が下部横枠37から外れない構成としている。
そのため、一々着脱操作をすることなく、引起装置8を前後方向に回動させるだけで、脱着できるので、着脱操作を容易にする。
【0015】
また、円筒状の係合体67と円柱の外周に挿入面69を形成した固定側係合部70により下側係合手段65を構成できるので、構成を簡素にでき、安価に提供できる。
また、上側着脱手段47の構成は任意であるが、一例を示すと、引起装置8側に係合部材48を設け、係合部材48に係合する係合フック49を引起支持枠体34側に設け、前記係合フック49をレバー部50の操作により係合部材48に対して遠近移動するように取付けて構成する(図7)。
即ち、レバー部50を軸51により引起支持枠体34側の所定箇所に回動自在に取付け、レバー部50の軸51よりレバー部50の操作端52側の位置にU形状の係合フック49の基部を取付け、レバー部50を操作すると、係合フック49の基部が軸51の軸周りを移動して、係合フック49の先端位置を移動させて、前記引起装置8側の係合部材48に係合離脱するように構成している。
【0016】
実施例では、前記引起フレーム26の裏面に係合部材48を設け、前記引起支持枠体34の上部横伝動筒35側に係合フック49を設けている。
前記上側着脱手段47の係合フック49は、レバー部50の開き方向を引起ラグ30の作用域側に開くように構成する。
そのため、引起装置8の外側から上側着脱手段47付近への手の挿入を容易にし、操作性を向上させられる。
図12〜図14は、下側係合手段65の他の実施例を示し、前記下部横枠37に設けた固定側係合部70を、軸75の先端に大径部76を設けて形成し、円筒部材により形成した前記係合体67を引起装置8側に設けて構成し、係合体67には前記大径部76を通過させうる挿通孔77とこの挿通孔77に連通する前記軸75のみが移動自在の細幅の移動溝78とを設けている。
そのため、引起装置8の係合体67の挿通孔77を固定側係合部70の大径部76に挿通し、この状態で引起装置8を下部横枠37中心に後側に回動させると、固定側係合部70の軸75が係合体67の移動溝78に嵌り、引起装置8の下部は引起支持枠体34の下部横枠37から外れなくなる。
【0017】
したがって、一々着脱操作をすることなく、引起装置8を前後方向に回動させるだけで、脱着できるので、着脱操作を容易にする。
この場合、下側係合手段65の固定側係合部70は、下部横枠37の引起装置8の搬送通路側に設ける。
そのため、下側係合手段65に穀稈や藁屑の引っ掛かりを防止する。
図15〜図18は、下側係合手段65の他の実施例を示し、下部横枠37の一部を回転のみ自在に構成した回転部80と、該回転部80に形成した係合孔81とにより前記固定側係合部70を構成し、引起フレーム26の下部に設けた係合体67を前記係合孔81に係合する係合軸82により構成する。
そのため、引起装置8の係合体67の係合軸82を固定側係合部70の係合孔81に係合させ、この状態で引起装置8を下部横枠37中心に後側に回動させ、引起装置8の駆動歯車27の駆動軸32を、引起支持枠体34側の出力軸33にスプライン嵌合させ、上側着脱手段47により引起フレーム26の上部を前記引起支持枠体34の上部横伝動筒35側に固定して、引起装置8を装着する。
【0018】
また、図示は省略するが、下部横枠37の左右両側に外側に至るに従い細くなるテーパー部を設けて前記固定側係合部70を構成し、前記引起フレーム26の下部の係合体67を前記テーパー部の外周を挟持するテーパー状のテーパー係合体により構成してもよい。
このように構成すると、引起装置8の係合体67のテーパー係合体を固定側係合部70のテーパー部に挟持係合させ、この状態で引起装置8を後側に回動させ、引起装置8の駆動歯車27の駆動軸32を、引起支持枠体34側の出力軸33にスプライン嵌合させ、上側着脱手段47により引起フレーム26の上部を前記引起支持枠体34の上部横伝動筒35側に固定して、引起装置8を装着する。
そして、固定側係合部70のテーパー部と係合体67のテーパー係合体により、左右方向の引起装置8の移動が規制され、着脱操作に伴う引起装置8の左右方向の位置ずれ発生を防止でき、円滑な引起作業を確保しつつ引起装置8の着脱操作を容易にする。
【0019】
図19〜図25は、下側係合手段65の他の実施例を示し、引起装置8に係合部材48と係合フック49を設けて係合体67とし、断面略正円んの下部横枠37を固定側係合部70として構成し、係合体67である係合フック49と係合部材48により固定側係合部70となる下部横枠37の外周を包囲(挾持)して係合状態とするように構成している。
係合体67は、レバー部50を軸51により引起フレーム26の所定箇所に回動自在に取付け、レバー部50の軸51よりレバー部50の操作端52側の位置にU形状の係合フック49の基部を取付け、レバー部50を操作すると、係合フック49の基部が軸51の軸周りを移動して、係合フック49の先端位置を移動させて、前記係合部材48に係合離脱するように構成している。
実施例では、前記引起フレーム26の裏面の下側に係合部材48を設け、上側に係合フック49を設けている。係合部材48は、引起フレーム26の裏面に設けた取付部53に受部54の基部を軸55により回動自在に取付け、受部54に係合部56を設け、受部54の上方に上側受部54Aを設け、下部横枠37を挟持するように構成している。
【0020】
したがって、取付部53を下部横枠37の上面に当接させ、係合部材48の受部54を軸55中心に上方回動させて、係合フック49を係合させ、レバー部50を操作すると、係合部材48と取付部53による挾持状態を係合フック49が保持し、引起装置8を下部横枠37の軸心を中心に前後に回動させられる。
引起装置8の下側係合手段65と引起支持枠体34の下部横枠37との間において、引起装置8の取付位置を変更長可能にする調節手段96を設ける(図6、図22,図23)。
例えば、調節手段96は、縦杆38に板部材97を設け、板部材97の縦の長孔98から螺子を挿通して下部横枠37の取付孔(図示省略)に螺合させる。
そのため、縦の長孔98の長さ分引起装置8を上下させられ、部品の製造誤差や組付誤差を吸収し、組立作業を容易にする。
【0021】
左右に複数並設した引起装置8のうち、非引起作用側を対向させた二つの引起装置8の引起フレーム26を取付けた引起支持枠体34の下部横枠37の左右中間部分には縦杆38により分草杆39に取付け、分草杆39から前記引起装置8の引起フレーム26の上端部背面側に亘る第一分草ガイド棒61を設ける。第一分草ガイド棒61の下部は分草体7の取付部62に軸63により回動自在に取付ける。
分草体7の取付部62は分草杆39に前後一対のボルト64により取付け、後側のボルト64を取り外すか弛めると、分草体7は分草杆39に対して下方回動可能に構成する。
そのため、刈取装置4を下降させて、分草体7の取付部62と分草杆39との取付部分の後側のボルト64を取り外しあるいは弛めて、分草体7と分草杆39と第一分草ガイド棒61を一体に下方回動させる。
【0022】
次に、第一分草ガイド棒61と引起装置8の前面との間に空間ができるので、第一分草ガイド棒61と引起フレーム26上端との上側着脱手段47の係合を解除し、引起フレーム26を下部横枠37の軸心を中心に前側回動させ、駆動軸32を出力軸33から外せる。
それゆえ、引起装置8を引起支持枠体34に対して第一分草ガイド棒61を分草杆39から外すことなく、引起装置8を前側回動させて、引起装置8と引起支持枠体34との間に空間を形成でき、藁屑除去等の操作性および作業性を向上させられる。
更に、前記下側係合部下側係合手段65の係合フック49を、係合部材48から外すと、引起支持枠体34から引起装置8全体を外せる。
また、分草体7を分草杆39に対して下方させられるので、引起装置8の周辺に空間を形成でき、引起装置8を前方回動させたときの分草体7との干渉を避けられる。
【0023】
反対に、分草杆39と第一分草ガイド棒61を一体に上方回動させ、第一分草ガイド棒61の上部を引起支持枠体34側に設けた保持具100に係合させ、分草体7の取付部62と分草杆39とをボルト64により固定して、第一分草ガイド棒61を装着する。
また、前記前記第一分草ガイド棒61は引起支持枠体34の左右中央部に設けると、第一分草ガイド棒61の左右両側で中央2条の引起フレーム26を背面対向状態で配置でき、第一分草ガイド棒61によって分草された穀稈を、この2条の引起装置8で円滑に引き起こせる。
なお、86は最も左側にある分草体7に設けた第二分草ガイド棒であり、未刈地側のの穀稈を分草体7に引き続き案内誘導する(図3)。85はガイド体であり、引起穀稈を後方に案内誘導する(図8)。
保持具100は面で支持する構成とする。
そのため、支持強度を向上させられる。
【0024】
前記引起支持枠体34の下部横枠37は、引起装置8の引起フレーム26の下部を支持した状態において、引起フレーム26の下部に設けた下部従動ローラー28の軸心より上方に位置させる。
そのため、引起装置8の引起ラグ30の作用域下端から下部横枠37が上方に遠ざかるので、下部横枠37は引起ラグ30が引き起こしている穀稈の株元から離れ、引起穀稈の株元への下部横枠37の干渉を抑制し、引起作業を円滑にする。
前記引起フレーム26は、引起装置8の引起カバー93の後方に設ける。
そのため、引起カバー93の着脱に影響せず、着脱を容易にする。
前記引起フレーム26は、引起フレーム26の前側に装着する引起カバー93の後方で、正面視において引起カバー93のシルエット内に収まるように設けると、引起装置8により引き起こされる穀稈は、引起カバー93により引起フレーム26の外側の引起ラグ30の作用域に誘導されるので、引起穀稈と引起フレーム26との接触を避け、引起フレーム26に藁屑が引っ掛かるのを防止でき、好適である。
【0025】
また、上記した引起装置8のフレーム構成の全ての構成品を引起カバー93のシルエット内に収まるように設けると、一層、藁屑が引っ掛かるのを防止でき、好適である。
また、左右に複数並設した引起装置8のうち、非引起作用側を対向させた二つの引起装置8の引起ラグ30の左右両側の作用域内に、引起カバー93と引起フレーム26と引起支持枠体34とを配置すると、引起装置8の引起作用に影響を与えずに、引起装置8および引起支持枠体34を設けることができ、引起搬送を円滑にする。
前記引起装置8の引起フレーム26は、少くなくとも、前記引起支持枠体34の上部横伝動筒35の左右両側のメタル部材90の後端より前側に位置させる。
そのため、引起カバー93と引起フレーム26とメタル部材90の前後幅を小さくコンパクトにし、引起装置8の後方の穀稈搬送空間を広くさせられる。
【0026】
(実施例の作用)
左右に複数並設した分草体7により分草されて引起装置8により引起された穀稈は、並行状態のまま刈刃11により根元が切断されて搬送され、株元引継搬送装置15と穂先引継搬送装置16に受け渡し、その後、株元引継搬送装置15と穂先引継搬送装置16から脱穀装置3の穀稈供給搬送装置17に引継ぎ、脱穀装置3で脱穀される。
刈取装置4は、分草体7と各分草体7の後方の引起装置8等を有して構成し、分草体7や引起装置8等は刈取フレーム20に取付け、刈取フレーム20は、左右方向の下部横伝動ケースの左右側に設けた側部伝動ケースと側部フレームの間の上部横伝動ケース24に前記引起装置8に回転伝達する引起伝動筒25の上部を取付け、引起伝動筒25の下部には、左右に複数並設した引起装置8のうち、非引起作用側を対向させた二つの引起装置8の引起フレーム26を取付けた矩形形状の引起支持枠体34を取付けているので、非引起作用側を対向させた二つの引起装置8は矩形形状の引起支持枠体34に支持された状態で穀稈を引き起こし、刈取装置4の刈取フレーム20の剛性を高める。
【0027】
そのため、作業負荷による刈取装置4の各部の位置ずれが起こりにくく、刈取作業を円滑にする。
即ち、引起支持枠体34は、左右方向の上部横伝動筒35の左右両側に左右一対の縦枠36の上部を取付け、左右の縦枠36の下部を下部横枠37により連結して、矩形形状に形成しているので、引起支持枠体34の四辺により荷重を支持できて、刈取フレーム20の剛性を高められる。
引起装置8の引起フレーム26は、引起ラグ30の作用側の側縁43を案内レール等を設けるために、引起ラグ30の移動軌跡に接近させているが、引起ラグ30の非作用側は倒伏した引起ラグ30の移動スペースを考慮して開放部44に形成しており、非引起作用側を対向させた二つの引起装置8は、左右の引起フレーム26の夫々の外側を引起ラグ30の作用域として配置し、引起支持枠体34の縦枠36を引起フレーム26の開放部44から偏倚した位置に配置しているので、引起装置8の引起フレーム26の開放部44から排出される藁屑が、引起支持枠体34の縦枠36によって邪魔されることなく排出され、藁屑の詰まりによる引起装置8の作動不良が起こりにくくなり、刈取作業を円滑に維持できる。
【0028】
即ち、引起支持枠体34の縦枠36は、正面視において引起フレーム26と重なるようにし、引起フレーム26の裏側に所定の間隔おいて略平行に配置しているので、縦枠36の存在が、引起装置8の引起フレーム26の開放部44からの藁屑の排出に影響せず、藁屑の詰まりによる引起装置8の作動不良が起こりにくくなり、刈取作業を円滑に維持できる。
引起装置8の下部は、引起支持枠体34の下部横枠37に下側係合手段65により着脱自在に取付けているので、引起装置8の着脱を容易にし、メンテナンス作用を容易にする。
下側係合手段65は、引起支持枠体34の左右の夫々の縦枠36に対して引起フレーム26の開放部44の反対側に偏倚させた下部横枠37に設けているので、引起フレーム26の開放部44から排出される藁屑が下側係合手段65に掛かりにくく、藁屑の堆積を防いで刈取作業を円滑にする。
【0029】
下側係合手段65は、下部横枠37により引起フレーム26の下部を支持した状態で、この係合状態を離脱不能にロックする構成とし、引起フレーム26の開放部44を避けた位置に配置しているので、引起フレーム26の開放部44から排出される藁屑が引起フレーム26により下側係合手段65に引っ掛かりにくくし、藁屑の堆積を防いで刈取作業を円滑にする。
しかして、引起装置8の駆動歯車27の駆動軸32と出力軸33とは、引起フレーム26側のハブ部92に軸装した駆動軸32メタル部材90側に軸装した出力軸33とに分割形成し、出力軸33にスプライン溝91を形成しているので、ハブ部92を出力軸33に印籠継ぎ状態でスプライン嵌合させると、装着できる。
反対に、駆動軸32のハブ部92を出力軸33から抜くだけで、引起装置8の伝動機構の取り外しができる。
【0030】
また、引起装置8は、引起フレーム26に引起カバー93と引起フレーム26と引起チェン31とテンションアーム94とをアッシー状態に組み付けて構成しているので、引起装置8の駆動軸32のハブ部92をメタル部材90の出力軸33にスプライン嵌合させれば、引起装置8全体を引起支持枠体34に着脱することになる。
そのため、引起装置8のメンテナンス作業を容易にする。
左右に複数並設した引起装置8のうち、非引起作用側を対向させた二つの引起装置8は、その引起フレーム26を引起伝動筒25の下部に設けた矩形形状の引起支持枠体34に取付け、引起支持枠体34は、上部横伝動筒35の両側の縦枠36と下部横枠37とにより構成し、下部横枠37の下部は、縦杆38により分草杆39に取付け、分草杆39の基部は刈刃フレーム40に固定しているので、刈取装置4の刈取フレーム20の剛性を高め、作業負荷による刈取装置4の各部の位置ずれが起こりにくく、刈取作業を円滑にする。
【0031】
また、引起支持枠体34に、非引起作用側を対向させた二つの引起装置8の引起フレーム26を着脱自在に取付けているので、メンテナンス作業を容易にする。
この場合、非引起作用側を対向させた二つの引起装置8の引起フレーム26の上下部分を連結杆41により連結しておくと、非引起作用側を対向させた二つの引起装置8を引起支持枠体34に対して一度に着脱でき、着脱が容易になる。
前記引起装置8の引起フレーム26は、引起ラグ30の案内レール等を引起ラグ30の作用側に設けるために、引起フレーム26の引起ラグ30の作用側の側縁43は引起ラグ30の移動軌跡より外側に位置させるが、引起ラグ30の非作用側は倒伏した引起ラグ30の移動スペースを考慮して開放部44に形成しており、前記非引起作用側を対向させた二つの引起装置8は、左右の引起フレーム26の夫々の外側を引起ラグ30の作用域として配置し、前記引起支持枠体34の縦枠36は開放部44から外した位置に配置しているので、引起装置8の引起フレーム26の開放部44から排出される藁屑が、引起支持枠体34の縦枠36によって邪魔されることなく排出され、藁屑の詰まりによる引起装置8の作動不良が起こりにくくなり、刈取作業を円滑に維持できる。
【0032】
即ち、引起支持枠体34の縦枠36は、正面視において引起フレーム26と重なるように、引起フレーム26の裏側に所定の間隔おいて略平行に配置しているので、縦枠36の存在が、引起装置8の引起フレーム26の開放部44からの藁屑の排出に影響せず、藁屑の詰まりによる引起装置8の作動不良が起こりにくくなり、刈取作業を円滑に維持できる。
引起フレーム26の上部は引起支持枠体34の上部横伝動筒35側に着脱自在に上側着脱手段47により取付け、引起フレーム26の下部は引起支持枠体34の下部横枠37に下側係合手段65により着脱自在に係合させて取付けているので、引起装置8の下側係合手段65を引起支持枠体34の下部横枠37に係合させ、引起装置8を後側に回動させて、引起装置8の駆動歯車27の駆動軸32を、引起支持枠体34側の出力軸33にスプライン嵌合させ、上側着脱手段47により引起フレーム26の上部を前記引起支持枠体34の上部横伝動筒35側に固定して、引起装置8を装着する。
したがって、引起装置8の装着を容易にする。
【0033】
下側係合手段65は、引起フレーム26側に設けた、一部に係合孔66を開口させた円筒状の係合体67と、前記下部横枠37に設けた係合体67の内周に当接する円弧状の一対の当接面68および一対の当接面68を結ぶ平行な挿入面69を有する固定側係合部70とにより形成し 固定側係合部70は前上がりに傾斜させているので、引起装置8の係合体67の係合孔66を下部横枠37の固定側係合部70に係合させ、引起装置8を後方回動させて引起支持枠体34に当接させると、下部横枠37から外れることがない。
そのため、一々着脱操作をすることなく、引起装置8を前後方向に回動させるだけで、脱着できるので、着脱操作を容易にする。
また、円筒状の係合体67と円柱の外周に挿入面69を形成した固定側係合部70により下側係合手段65を構成しているので、構成を簡素にでき、安価に提供できる。
【0034】
また、上側着脱手段47は、引起装置8側に設けた係合部材48に係合する係合フック49を、該係合フック49の操作するレバー部50に、レバー部50の操作により移動するように引起支持枠体34側に取付けて構成しているので、係合部材48に係合フック49を係合させ、レバー部50を回動させると、係合フック49の基部が軸51の軸周りを移動して、係合フック49の先端位置を移動させて、係合部材48に係合させる。
この場合、上側着脱手段47の係合フック49は、レバー部50の開き方向を引起ラグ30の作用域側に開くように構成しているので、引起装置8の外側から上側着脱手段47付近への手の挿入を容易にし、操作性を向上させられる。
図12〜図14の下側係合手段65の他の実施例では、固定側係合部70を軸75の先端に大径部76を設けて形成し、係合体67を大径部76が通過しうる挿通孔77と前記軸75のみが移動自在の挿通孔77に連通する移動溝78とにより構成しているので、引起装置8の係合体67の挿通孔77を固定側係合部70の大径部76に挿通し、この状態で引起装置8を後側に回動させると、固定側係合部70の軸75が係合体67の移動溝78に嵌り、引起装置8の下部は引起支持枠体34の下部横枠37から外れなくなる。
【0035】
したがって、一々着脱操作をすることなく、引起装置8を前後方向に回動させるだけで、脱着できるので、着脱操作を容易にする。
この場合、下側係合手段65の固定側係合部70は、下部横枠37の引起装置8の搬送通路側に設けているので、下側係合手段65に穀稈や藁屑の引っ掛かりを防止する。
図15〜図18の下側係合手段65の他の実施例では、下部横枠37の一部を回転のみ自在に構成した回転部回転部80と、該回転部80に形成した係合孔81とにより前記固定側係合部70を構成し、引起フレーム26の下部に前記係合孔81に係合する係合軸82を設けて係合体67を構成しているので、引起装置8の係合体67の係合軸82を固定側係合部70の係合孔81に係合させ、この状態で引起装置8を後側に回動させ、引起装置8の駆動歯車27の駆動軸32を、引起支持枠体34側の出力軸33にスプライン嵌合させ、上側着脱手段47により引起フレーム26の上部を前記引起支持枠体34の上部横伝動筒35側に固定して、引起装置8を装着する。
したがって、引起装置8の装着が容易になる。
【0036】
図17〜図25の下側係合手段65の他の実施例では、引起フレーム26の裏面に係合部材48と係合フック49とを設けて係合体67とし、引起支持枠体34の下部横枠37を固定側係合部70としており、係合体67は係合部材48に係合する係合フック49と、該係合フック49の操作するレバー部50とにより構成しているので、係合フック49を係合部材48に係合させ、レバー部50を操作すると、係合フック49の基部が軸51の軸周りを移動して、係合フック49の先端位置を移動させて、前記係合部材48に係合し、係合部材48と係合フック49とが下部横枠37を保持して引起装置8の下部を固定する。
この場合、係合部材48は、引起フレーム26の裏面に設けた取付部53に受部54の基部を軸55により回動自在に取付け、受部54に係合部56を設けて構成し、この受部54は下部横枠37に合わせて円弧形状に形成しているので、下側係合手段65により引起装置8の下部を係合固定状態にしていても、引起装置8を下部横枠37の軸心を中心に前後に回動させられ、メンテナンスを行える。
【0037】
また、係合部材48と係合フック49により構成した下側係合手段65および上側着脱手段47は、係合部材48に係合する係合フック49を、該係合フック49の操作するレバー部50に、レバー部50の操作により移動するように取付けて構成しているので、レバー部50を操作すると、係合フック49の基部が軸51の軸周りを移動して、係合フック49の先端位置を移動させて、係合部材48から離脱する。
反対に、係合フック49を係合部材48に引っ掛けてレバー部50を引くと、係合フック49の係合状態を保持する。
したがって、引起装置8の着脱は、下側係合手段65と上側着脱手段47の操作により行えるので、頗る容易になる。
引起装置8の下側係合手段65と引起支持枠体34の下部横枠37との間において、引起装置8の取付位置を変更長可能にする調節手段96を設けているので、部品の製造誤差や組付誤差を吸収し、組立作業を容易にし、引起装置8の着脱を容易にする。
【0038】
この場合、調節手段96は、縦杆38に板部材97を設け、板部材97の縦の長孔98を通して下部横枠37に螺子(図示省略)を螺合させる構成なので、長孔98の長さの分取付位置を上下させられ、部品の製造誤差や組付誤差を吸収し、組立作業を容易にし、引起装置8の着脱を容易にする。
左右に複数並設した引起装置8のうち、非引起作用側を対向させた二つの引起装置8の引起フレーム26を取付けた引起支持枠体34の下部横枠37の左右中間部分には縦杆38により分草杆39に取付け、分草杆39から前記引起装置8の引起フレーム26の上端部背面側に亘る第一分草ガイド棒61を設けているので、中央2条の引起フレーム26の中間の分草体7が分草した穀稈を第一分草ガイド棒61によって引き続き分草し、この2条のされた穀稈を左右一対の中央引起装置8により円滑に引き起こせる。
【0039】
この第一分草ガイド棒61の下部は分草体7の取付部62に軸63により回動自在に取付けているので、刈取装置4を下降させて、分草体7の取付部62と分草杆39との取付部分の後側のボルト64を取り外すか弛めて、分草体7と分草杆39と第一分草ガイド棒61を一体に下方回動させる。
次に、第一分草ガイド棒61と引起装置8の前面との間に空間ができるので、第一分草ガイド棒61と引起フレーム26上端との上側着脱手段47の係合を解除し、引起フレーム26を下部横枠37の軸心を中心に前側回動させ、駆動軸32を出力軸33から外せる。
それゆえ、引起装置8を引起支持枠体34に対して第一分草ガイド棒61を分草杆39から外すことなく、引起装置8を前側回動させて、引起装置8と引起支持枠体34との間に空間を形成でき、藁屑除去等の操作性および作業性を向上させられる。
更に、前記下側係合手段65の係合フック49を、係合部材48から外すと、引起支持枠体34から引起装置8全体を外せる。
【0040】
また、分草体7を分草杆39に対して下方させられるので、引起装置8の周辺に空間を形成でき、引起装置8を前方回動させたときの分草体7との干渉を避けられる。
反対に、分草杆39と第一分草ガイド棒61を一体に上方回動させ、第一分草ガイド棒61の上部を引起支持枠体34側に設けた保持具100に係合させ、分草体7の取付部62と分草杆39とをボルト64により固定して、第一分草ガイド棒61を装着する。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示および説明しているが、これらの実施例は夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【0041】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取装置、5…グレンタンク、5…グレンタンク、6…操縦部、7…分草体、8…引起装置、9…掻込装置、10…前側株元搬送装置、11…刈刃、12…穂先搬送装置、13…後側搬送装置、14…後側穂先搬送装置、15…株元引継搬送装置、16…穂先引継搬送装置、17…穀稈供給搬送装置、20…刈取フレーム、21…下部横伝動ケース、22…縦支持フレーム、23……上部横伝動ケース、25…引起伝動筒、26…引起フレーム、27…駆動輪、28…下部従動輪、30…引起ラグ、31…引起チェン、32…駆動軸、33…出力軸、34…引起支持枠体、35…上部横伝動筒、36…縦枠、37…下部横枠、39…分草杆、40…刈刃フレーム、41…連結杆、43…側縁、44…開放部、47…上側着脱手段、48…係合部材、49…係合フック、50…レバー部、51…軸、52…操作端、53…取付部、54…受部、54A…上側受部、55…軸、56…係合部、61…第一分草ガイド棒、62…取付部、63…軸、64…ボルト、65…下側係合手段、66…係合孔、67…係合体、68…当接面、69…挿入面、70…固定側係合部、75…軸、76…大径部、77…挿通孔、78…移動溝、80…回転部、81…係合孔、82…係合軸、85…ガイド体、86…第二分草ガイド棒、90…メタル部材、91…スプライン溝、92…ハブ部、93…引起カバー、94…テンションアーム、100…保持具、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)の上方に脱穀装置(3)を設け、該脱穀装置(3)の横側にグレンタンク(5)を設け、該グレンタンク(5)の前側に操縦部(6)を設け、該操縦部(6)の前方に刈取装置(4)を設け、該刈取装置(4)には、少なくとも、複数の分草体(7)および引起装置(8)を設け、該引起装置(8)の後側に刈刃(11)を設け、前記分草体(7)と引起装置(8)と刈刃(11)を取付ける刈取フレーム(20)の前部上側に上部横伝動筒(35)を設け、前記刈取フレーム(20)の前部下側に前記引起装置(8)の下部を取付ける下部横枠(37)を設け、前記引起装置(8)と前記上部横伝動筒(35)および下部横枠(37)との間には、該引起装置(8)の上部および下部を前記上部横伝動筒(35)および下部横枠(37)に着脱可能に取付ける上側着脱手段(47)と下側係合手段(65)を夫々設け、刈取装置(4)の前記上部横伝動筒(35)の近傍の部位に、前記引起装置(8)へ駆動力を出力する出力軸(33)を設け、引起装置(8)の上部の前記上側着脱手段(47)の近傍に前記出力軸(33)からの駆動力が入力される駆動軸(32)を設け、前記引起装置(8)は前記下部横枠(37)を支点に前後回動自在な状態で下部横枠(37)に支持し、前記引起装置(8)の上部を後方に傾動させて前記上側着脱手段(47)を前記上部横伝動筒(35)に取付けた状態で前記出力軸(33)および駆動軸(32)が駆動力を伝達可能な状態になると共に、前記下側係合手段(65)が前記下部横枠(37)より着脱不能な状態になる構成とし、前記引起装置(8)の上部を前方に傾動させることで前記上側着脱手段(47)を離間させて出力軸(33)と駆動軸(32)とが分離され、伝動が遮断された状態になると共に、前記下側係合手段(65)が着脱可能となる構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記上部横伝動筒(35)に前記出力軸(33)を設け、前記上部横伝動筒(35)と前記下部横枠(37)とは、前記引起装置(8)の背面側で縦枠(36)により連結したことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記下側係合手段(65)は、前記引起装置(8)に設けた一部に係合孔(66)を開口させた開環円筒状の係合体(67)と、前記下部横枠(37)に設けた係合体(67)の内周に当接する円弧状の一対の当接面(68)と、一対の当接面(68)を結ぶ平行な挿入面(69)とにより形成した固定側係合部(70)とにより形成し、固定側係合部(70)は前記挿入面(69)を前上がりに傾斜させて前記下部横枠(37)に設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、前記下側係合手段(65)は、前記下部横枠(37)に基部を固定した軸(75)の先端に大径部(76)を設けて固定側係合部(70)を形成し、前記係合体(67)は前記大径部(76)を通過させうる挿通孔(77)とこの挿通孔(77)に連通する前記軸(75)が移動自在かつ前記大径部(76)が通過しない移動溝(78)とにより構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項5】
請求項1または請求項2において、前記下側係合手段(65)は、下部横枠(37)に該下部横枠(37)に対して回転のみ自在の回転部(80)と、該回転部(80)に形成した係合孔(81)とにより前記固定側係合部(70)を構成し、引起フレーム(26)の下部の係合体(67)を前記係合孔(81)に係合する係合軸(82)により構成したことを特徴とするコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−175950(P2012−175950A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41729(P2011−41729)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】