コンバイン
【課題】運転座席の前方下方側の視界を大きく確保しながら、各種スイッチ類や計器類の操作や視認を行い易いところのコンバインを提供する。
【解決手段】運転キャビン5の左右一対のフロントピラー52a,52bの間にフロントガラス54を設け、運転座席50の横側部に、走行用の主変速レバー72が配設されたサイドパネルボックス7を配備し、作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具の少なくともいずれか一方を配備した操作面を備える作業操作パネル8を、フロントピラー52bに設けた。
【解決手段】運転キャビン5の左右一対のフロントピラー52a,52bの間にフロントガラス54を設け、運転座席50の横側部に、走行用の主変速レバー72が配設されたサイドパネルボックス7を配備し、作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具の少なくともいずれか一方を配備した操作面を備える作業操作パネル8を、フロントピラー52bに設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転キャビン内に運転座席、及び走行用の変速レバーが配設されたサイドパネルボックスを配備してあるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転キャビン内に運転座席、及び走行用の変速レバーが配設されたサイドパネルボックスを配備してあるコンバインとしては、下記の[1]及び[2]に記載のものが存在する。
[1]運転座席の前方側にフロントパネルボックスを備え、運転座席の左側部にサイドパネルボックスを備えていて、その左側部のサイドパネルボックスに、主変速レバーとともに主制御スイッチ群及び副制御スイッチ群を配設してあり、前記フロントパネルボックスには、パワステレバーと走行関連のコンビネーションスイッチなどを設けたもの(特許文献1参照)。
[2]運転座席の前方位置にステアリングハンドルを備え、走行用の変速レバーが配設された運転座席の左側部に位置するサイドパネルボックスとは別の、前記ステアリングハンドルを支持するステアリングコラムの上部に、各種スイッチ類等が配設されたフロントパネルや計器パネルを設けたもの(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−18557号公報(段落「0023」,図1,図2,図3)
【特許文献2】特開2004−275142号公報(段落「0010」,図5,図6,図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記[1]に記載の構造を有したコンバインでは、運転座席の左側部に位置するサイドパネルボックスに、主制御スイッチ群と副制御スイッチ群との両方を配設しているので、制御スイッチ群の大部分がサイドパネルボックスに配備されていて、運転座席の側部におけるサイドパネルボックス上の制御スイッチ等を操作しにくかったり、目視し難いという問題がある。
【0005】
上記[2]に記載の構造を有したコンバインでは、各種スイッチ類や計器類を、ステアリングコラムの上部に配設されたフロントパネルや計器パネルに設けたものであるから、各種スイッチ類や計器類を運転座席の前方側で操作したり、目視し易いという点で有利なものであるが、ステアリングハンドルが比較的大きなものであることに加え、大部分の各種スイッチ類や計器類を装備するフロントパネルや計器パネルも比較的大きなものとなって、運転座席の前方下方側の視界を大きく確保し難いものであった。
【0006】
本発明の目的は、運転座席の前方下方側の視界を大きく確保しながら、各種スイッチ類や計器類の操作や視認を行い易いところのコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために講じた本発明におけるコンバインの技術手段では、次の点に構成上の特徴、及び作用効果がある。
〔解決手段1〕
運転キャビン内に運転座席を配備してあり、前記運転キャビンの左右一対のフロントピラーの間にフロントガラスを設け、前記運転座席の横側部に、走行用の主変速レバーが配設されたサイドパネルボックスを配備してあるコンバインであって、
作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具の少なくともいずれか一方を配備した操作面を備える作業操作パネルを、前記フロントピラーに設けたことを特徴とする。
【0008】
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕
上記解決手段1で示した特徴構成によると、作業関連情報を表示する表示用機器や作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具を備える作業操作パネルがフロントピラーに設けられるものであるため、フロントピラーを作業操作パネルの取付手段として利用して構造の簡素化を図り得るととともに、運転キャビン内で極力前方側に寄せた位置に作業操作パネルを配設することができて、運転キャビン内空間を有効利用できる利点がある。
しかも、フロントピラーに設けられた作業操作パネルは、その操作面が上下方向に沿う状態となるので、運転座席に搭座する操縦者の視線に対してほぼ垂直に近い面となる。このため、例えば水平に近いような面である場合に比べて目視し易く、かつ操作面のどの位置に設けられた表示用機器や操作指令具も、運転座席からの距離が遠近方向で大きな差のない箇所に配設されるので操作も行い易いという利点がある。
【0009】
〔解決手段2〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記作業操作パネルは、前記操作面に、作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具の少なくともいずれか一方の複数種が一体的に組み込まれたパネルユニットによって構成されているということである。
【0010】
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
上記解決手段2で示した特徴構成によると、作業操作パネルとして、作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具の少なくともいずれか一方の複数種が操作面に一体的に組み込まれたパネルユニットを用いて、比較的コンパクトで構造簡単な構造のものを得やすいという利点がある。
【0011】
〔解決手段3〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記作業操作パネルは、前記運転座席の座面の中央位置から前記フロントピラーへの投影方向で前記フロントピラーと重複する位置に取り付けられているということである。
【0012】
〔解決手段3にかかる発明の作用及び効果〕
上記解決手段3で示した特徴構成によると、作業操作パネルとフロントピラーとが、運転座席に搭座する操縦者の視界の中で重複して位置することになるので、作業操作パネルとフロントピラーとが左右に位置ずれして設けられている場合に比べて、操縦者の視界をより大きく確保し得る利点がある。
【0013】
〔解決手段4〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記作業操作パネルは、その操作面が前記運転座席側に向かうように、内側後方に向けて設けられているということである。
【0014】
〔解決手段4にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段4で示した構成によると、作業操作パネルの操作面が、運転座席に搭座する操縦者の方に向いた状態で設けられるので、その作業操作パネルの視認性、及び操作性をより一層向上させることができる利点がある。
【0015】
〔解決手段5〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記作業操作パネルは前記フロントピラーの上下方向に沿って縦長形状に形成されているということである。
【0016】
〔解決手段5にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段5で示した構成によると、作業操作パネルが上下方向に長い縦長形状に形成されているので、作業操作パネルによって左右方向での前方視界が狭められる虞が少ない点で有利である。
【0017】
〔解決手段6〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記作業操作パネルは、前記サイドパネルボックスの上面に設けられた第1パネル部分と、前記サイドパネルボックスの前記主変速レバーよりも前方側箇所に位置する前記フロントピラーに設けられた第2パネル部分との組み合わせによって構成してあり、このうち前記第2パネル部分が、前記第1パネル部分よりも高い位置で、上下方向に沿う前記操作面を備えたものであるということである。
【0018】
〔解決手段6にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段6で示した構成によると、作業関連情報を表示する表示用機器や作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具を備える作業操作パネルは、その全体がサイドパネルボックスに設けられるのではなく、そのうちの第1パネル部分がサイドパネルボックスの上面に設けられ、第2パネル部分は、サイドパネルボックスよりも前方側箇所に位置する前記フロントピラーに設けられる。したがって、第2パネル部分は、作業操作パネルの全体から第1パネル部分の大きさを除いた大きさのもので済み、サイドパネルボックスよりも前方側に存在する第2パネル部分の大きさをコンパクトに構成し易くなる。
また、第2パネル部分は、上述したように第1パネル部分よりも高い位置に存在していて、上下方向に沿う操作面を備えたものであるから、運転座席に搭座する操縦者が自然に前方を目視する視線の範囲内に入り易く、主変速レバーを把持するように自然に前方へ延ばした腕での操作を行い易い箇所の近く位置にあり、視認性、及び操作性を向上し得る利点がある。
【0019】
〔解決手段7〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記第2パネル部分は、前記運転キャビン内の左右方向で前記走行用の主変速レバーが配設された側に配備されているということである。
【0020】
〔解決手段7にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段7で示した構成によると、第2パネル部分は走行用の変速レバーが配設された側に近い位置に位置するので、操縦者が連続して把持している頻度が高い走行用の主変速レバーを把持する手で、その位置に近い第2パネル部分を操作することになり、迅速な操作も可能となる利点がある。
【0021】
〔解決手段8〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記フロントガラスは、前記運転キャビンの屋根部から前記運転座席の座面よりも下方にわたる範囲に設けられているということである。
【0022】
〔解決手段8にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段8で示した構成によると、運転座席の前方側における前方視界を上下方向で広く確保することができるので、作業操作パネルがフロントピラーに設けられて運転キャビン内の前方側箇所に存在していることとの相乗によって、運転座席をできるだけ運転キャビン内での前方寄り位置に配設することができ、より一層運転キャビンの前方下方に対する視認性を向上させ得る利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る普通型コンバインの右側面図である。
【図2】本発明に係る普通型コンバインの左側面図である。
【図3】本発明に係る普通型コンバインの平面図である。
【図4】運転キャビンの右側面図である。
【図5】運転キャビンの正面図である。
【図6】運転キャビンの左側面図である。
【図7】運転キャビンの横断平面図である。
【図8】運転キャビンの縦断正面図である。
【図9】図8におけるIX−IX線断面図である。
【図10】第1パネル部分を示す平面図である。
【図11】第2パネル部分を示す背面図である。
【図12】ステアリングレバー付近を示す背面図である。
【図13】ステアリングレバー付近を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を適用したコンバインの実施形態を図面の記載に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1乃至図3は本発明のコンバインの一例である普通型コンバインの全体を示している。
左右一対のクローラ式走行装置10を備えた機体フレーム11上に、脱穀装置2、穀粒タンク3、及び運転キャビン5を搭載した走行機体1の前部に、刈取搬送装置4を昇降操作自在に装備させて普通型コンバインが構成されている。前記機体フレーム11上では、図3に示すように、右前部に運転キャビン5が配設され、その後方側の右後部に穀粒タンク3が設けられ、その穀粒タンク3の左方側である左後部に脱穀装置2が配設されている。
【0025】
前記刈取搬送装置4は、前記脱穀装置2の前部から運転キャビン5の左横側方を通って前方へ延出された処理物搬送用のフィーダ40と、そのフィーダ40に対して被処理物を供給する刈取部41、及び刈取部41の上部で植立茎稈の穂先側を掻き寄せるリール装置42とを備えている。
前記刈取部41は、植立茎稈を刈り取るバリカン型の刈刃41aと、刈り取られることによって被処理物となった茎稈をフィーダ40の入り口部40a側へ向けて寄せ集めるための横送りオーガ41bとを備え、前記フィーダ40はチェーン式の掻き揚げコンベア40bを内装している。
したがって、倒伏状態の茎稈はリール装置42である程度掻き上げられ、刈刃41aで刈り取られた後、オーガ41bでフィーダ40の入り口部40aへ向けて搬送され、前記入り口40aに到達した茎稈(被処理物)が掻き揚げコンベア40bによってフィーダ40の底面に沿って掻き揚げ搬送され、脱穀装置2の前端部に投入される。
【0026】
前記刈取搬送装置4は、図2に示すように、機体フレーム11上の固定箇所に対して水平方向の横軸心x周りで上下揺動自在に枢支されていて、昇降用油圧シリンダ12を伸縮操作することで、刈取部41が地面に近接した刈取作業姿勢と、刈取部41が地面から所定高さまで上昇した非刈取作業姿勢とに姿勢変更自在に構成されている。
【0027】
前記脱穀装置2は、全稈投入型に形成されていて、前後方向に長い扱胴20を備えて脱穀処理し、被処理物中の塵埃を後方から排出するとともに、脱穀された穀粒を含む被処理物を穀粒タンク3へ送り込むように構成されている。
穀粒タンク3では、脱穀装置2側から送り込まれた穀粒を含む被処理物を一時的に貯留し、穀粒タンク3から穀粒排出用オーガ30を介して外部へ穀粒を含む被処理物が回収されるように構成されている。
【0028】
前記運転キャビン5の下部には、図6に示すようにエンジンルーム13が設けてあり、運転キャビン5内の運転座席50の後方下方に位置する状態で左側から順にエンジン14、及びラジエータ15が配設されている。
エンジンルーム13の右外側には、図4に示すように防塵カバー16を配設してあり、右外側から外気を吸引するラジエータ15が、吸気時に外部の塵埃等を吸入するのを防止するように構成してあり、ラジエータ15を通過した吸入外気はエンジン14を冷却したのち、エンジンルーム13の左側方へ排気されるように構成してある。
【0029】
〔運転キャビン〕
図4乃至図9に示すように、運転キャビン5は、機体フレーム11に固設された支持材11aによって支持された床板51の上面側に床面5Aを備えており、前記床板51の上側に四本の支柱52が立設され、その支柱52によって屋根部53が支持されている。
上記四本の支柱52のうち、機体前方側の左右一対の支柱52a,52b(フロントピラーに相当する)は、床板51の最下部の床面5Aから立設されているが、左右の後方側の支柱52c,52dは、床板51のうち、運転座席50の支持台及びボンネット隔壁を兼ねる床板上部51aから立設されている。
【0030】
前記四本の支柱52のうち、機体前方側の左右一対の支柱52a,52b(フロントピラーに相当する)同士の間には、曲面ガラスで構成されたフロントガラス54が設けてある。
このフロントガラス54は前記床面5Aから屋根部53までの全範囲にわたって設けてあり、図9に示すように、前記床面5Aの前縁よりも前方側へ膨出させてあるとともに、フロントガラス54が、側面視で水平面に対する下方側部分の傾斜角度θ1よりも上方側部分での傾斜角度θ2が大きくなるように、下端側ほど後側に位置するように前側に凸状に湾曲した傾斜面に形成してある。
また、前記フロントガラス54は、平面視でも、図7に示すように、左右方向での中央部箇所が左右方向での両端部箇所よりも前方側へ膨出する突曲形状に形成してある。したがって、フロントガラス54は、単なる水平方向もしくは上下方向の何れかの軸線周りでの曲率を有した単曲面ではなく、上下方向と左右方向との互いに交差する複数の軸線周りでの曲率を有した複曲面によって構成されている。
【0031】
上記フロントガラス54の側面視での曲面形状は、図9に示すフロントガラス54の上端よりも少し下方側の位置が最も機体前方側に位置する最大前方突出位置Pとなるように、一定曲率の曲面で形成されたフロントガラス54の取付姿勢を定めたものであるが、このフロントガラス54の側面視での曲率は、一定曲率のものに限らず、例えば、下方側部分の曲率が上方側部分の曲率よりも大きいもの、あるいは、逆に下方側部分の曲率が上方側部分の曲率よりも小さいもの等を採用することも可能である。
上記のように、フロントガラス54の最大前方突出位置Pを、フロントガラス54の上端よりも少し下方側の位置としているのは、運転キャビン5の前方下方を覗き込むとき、操縦者の頭部を最大限フロントガラス54に近づける際に、この最大前方突出位置Pがフロントガラス54の上端と一致している場合よりも、少しでも前方に近づけられるからである。
【0032】
上記フロントガラス54の平面視での曲面形状は、図7に示すように左右方向の全体にわたって一定の曲率で形成されたものではなく、両端部箇所近くの曲率が中央部箇所近くの曲率よりも大きくなっており、中央部箇所では直線に近い緩やかな湾曲面となっている。
ただし、これはあくまでも一例であり、前記フロントガラス54の平面視での曲面形状を、左右方向の全体にわたって一定の曲率で形成したものを採用することも可能である。
【0033】
前記フロントガラス54の左右両端側に位置するところの、前記機体前方側の左右一対の支柱52a,52bは、図4及び図6に示すように、前記フロントガラス54の横側端縁の形状に沿って、側面視でのフロントガラス54の前記傾斜面の傾斜と同様な傾斜を有した形状のものに形成されている。
つまり、この支柱52a,52bは、側面視で水平面に対する下方側部分の傾斜角度θ1よりも上方側部分での傾斜角度θ2が大きくなるように形成されたフロントガラス54の湾曲形状と同様に、下端側ほど後側に位置するように前側に凸状に湾曲した傾斜を有しており、前記運転キャビン5の床面5Aへの取付箇所よりも上部側が前方側に位置するように設けてある。
【0034】
運転キャビン5の横側面箇所のうち、右側面箇所では、右前方側の支柱52aと右後方側の支柱52cとの間が、操縦者が乗り降りするための乗降口として形成されており、この乗降口を開閉するための乗降用ドア55が右後方側の支柱52c側に設けたヒンジ55aを介して開閉操作自在に装着してある。
この乗降用ドア55の機体前方側の端縁は、前記フロントガラス54の傾斜面の傾斜と同様な傾斜を有した右前方側の支柱52aの湾曲形状に沿った端縁形状に形成してあり、この端縁部分では、下端側よりも上端側が大きく前方側へ張り出している。
【0035】
この乗降用ドア55は、図4に示すように、外周枠55bを上下方向での中間位置で横切るように掛け渡された横桟部材55cを境にして、下方側が一枚物の透明ガラス55dによって構成され、上方側は前後一対の透明ガラス製の引き違い戸でスライド操作により開閉可能に構成されたドア窓55eとなっている。
上記横桟部材55cの上下方向の高さ位置は、運転キャビン5内の運転座席50の座面50aよりも高く、後述する操作ボックス6の上面よりも低い高さ位置に設定してある。
尚、図4及び図5図中の符号55gは、外方側から開閉操作する際に用いる取っ手であり、運転キャビン5の機体前方側の支柱52aに沿った傾斜姿勢で取り付けてある。
【0036】
運転キャビン5の横側面箇所のうち、左側面箇所では、図6,7に示すように、左横側壁56の一部に、左前方側の支柱52bと左後方側の支柱52dとの間で、かつ横側面箇所の上下方向の中間位置から上方側に、前後一対の透明ガラス製の引き違い戸でスライド操作により開閉可能に構成された横窓56aが設けてある。
この引き違い戸で構成された開閉可能な横窓56aは、下端側が前記操作ボックス6の上面や前記乗降用ドア55の横桟部材55cの上下方向高さよりも低く形成されていて、かつ運転キャビン5内の運転座席50の座面50aよりも低い位置にあり、後述するサイドパネルボックス7のボックス主部70の上面と同程度の高さに設定してあって、上端側は屋根部53の下縁に達する上下方向高さ位置に設定してある。
【0037】
運転キャビン5の側面部分のうち、前記乗降用ドア55が設けられた右側面箇所の前記乗降用ドア55よりも後方側の部分から、後側面箇所に至る箇所には、図4及び図7に示すように、右後方側の支柱52cよりも後方側の右側面箇所の前記乗降用ドア55よりも後方側の部分から、後側面箇所に至る箇所にわたって、運転キャビン5の右後方の角部相当箇所を見通し可能な透明ガラスを嵌め込んで、開閉不能な固定窓57を構成してある。この固定窓57及び固定窓57が取り付けられた運転キャビン5の右後方角部の外壁は、図7に示すように湾曲した形状に形成されている。
また、運転キャビン5の後面側箇所では、図7、及び図9に示すように、後壁58の一部に、前記固定窓57が形成された箇所よりも左側で、かつ、運転座席50のシートバック50bの上端よりも上方側から屋根部53の下縁にわたって、左右一対の透明ガラス製の引き違い戸でスライド操作により開閉可能に構成された後窓58aが形成されている。
【0038】
前記四本の支柱52によって支持される屋根部53は、図4乃至図6に示されるように、その前面側部分がフロントガラス54の上端部よりも前方側に突出した状態で設けてあり、この前面側部分で左右の端部と、その端部に近い位置とに、刈取部41及び刈取部41の前方を照らす前照灯53aが四基取り付けられている。
【0039】
前記運転キャビン5の床面5Aは、平面視におけるフロントガラス54の下端縁の形状が、図7に示すように、左右方向での中央部箇所が左右方向での両端部箇所よりも前方側へ膨出する突曲形状であることから、その前縁形状が、フロントガラス54の下端縁の形状に沿って、左右方向での中央部箇所が左右方向での両端部箇所よりも前方側へ膨出する突曲形状に形成されている。
これによって、運転座席50も相対的に前方側へ寄せて配設することが可能となり、運転キャビン5の前方下方を覗き込む際に有利である。
【0040】
図4、図5、及び図7に示すように、前記運転キャビン5の乗降用ドア55を設けた側の横側面箇所の前側で、前記右前方側の支柱52aに対してキャビンガード59を連設してある。このキャビンガード59は、側面視でフロントピラーである右前方側の支柱52aの湾曲形状に沿って湾曲した形状の金属製パイプ材によって形成されていて、前記右前方側の支柱52aの下端部近くと上端部近くとにボルト連結されている。
そして、キャビンガード59は、前記右前方側の支柱52aに対して、横外方側に所定間隔を隔てて位置する第1棒状ガード部59aと、さらにその第1棒状ガード部59aの前方側へ所定間隔を隔てて位置する第2棒状ガード部59bとを有して構成されている。
このキャビンガード59は、その第1棒状ガード部59a、及び第2棒状ガード部59bが、前記乗降用ドア55を開放して操縦者が乗り降りする際に、手摺りとして把持しながら乗り降りすることが可能であるように十分な強度を有して、掴みやすい位置に設けてある。
【0041】
上記のように構成されたキャビンガード59に対して、図4及び図5に示すように、ウインカー90が、左右方向で前記右前方側の支柱52aと第1棒状ガード部59aとの間に位置し、前後方向で第1棒状ガード部59aと第2棒状ガード部59bとの間に位置し、かつ、上下方向で乗降ドア55の取っ手55gよりも下方に位置する状態で第1棒状ガード部59aに装着してある。
また、上記のキャビンガード59に対しては、図4及び図5に示すように、バックミラー91が、前記第2棒状ガード部59bの横外側で、かつ、上下方向では運転座席50のシートバック50bの上端と同程度、もしくはそれよりも高い位置に位置するように取り付けてある。
さらに前記キャビンガード59の第1棒状ガード部59aの上端部箇所には、アンテナ92が上方に向けて延出した状態で取り付けてある。
図5に示すように、フロントガラス54の上部外面には、ワイパー93が配設されている。
【0042】
〔操縦部の構造〕
図7に示すように、操縦部である運転キャビン5の内部では、運転座席50が左右方向でのほぼ中央に配設してあるとともに、前記運転座席50の右前方側にステアリング操作等を行うための操作ボックス6が設けられ、運転座席50の左側に変速操作等を行うためのサイドパネルボックス7が設けられ、さらに、このサイドパネルボックス7と前記左前方側の支柱52bとに、作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具を配備した操作面を備える作業操作パネル8が分配して設けられている。
すなわち、作業操作パネル8は、サイドパネルボックス7の上面に操作面を沿わせて設けた第1パネル部分80と、左前方側の支柱52bに設けられ操作面が上下方向に沿う第2パネル部分81とによって構成されている。
【0043】
運転座席50は、座面50aとシートバック50bとを備えている。また、この運転座席50の右横側部には、図4、図7、及び図9に示すように、乗降用ドア55を開放して運転キャビン5内に乗り込む際に、操縦者が掴んで身体を引き上げながら機上へ上がる際の補助として用いることができるように乗降用取っ手50cを設けてある。
この乗降用取っ手50cは、図7及び図9に示すように、運転キャビン5内の床板上部51bにおける運転座席50の搭載箇所とその背部側に立設されている箇所とにわたって設けられた側面視で逆L字型の取付部材51dに対して取り付けられた側面視でコの字状の部材によって構成してある。
【0044】
〔操作ボックス〕
運転キャビン5の右横側端部に設けられる操縦操作用の操作ボックス6は、図7、図8、及び図11、図12に示されるように、ボックス本体60の上面側にステアリングレバー61、コンビネーションスイッチ62、及びキースイッチ63が装備されている。
そして、このボックス本体60には、その下面側に下端部を固定した状態でボックス本体60の左側面に沿って後方上方へ延出されるとともに、ボックス本体60の後方側箇所で水平右横方向に延出されたアームレスト64が取り付けられている。したがって、アームレスト64に操縦者の手首を乗せた状態でステアリングレバー61の前後左右の揺動操作を安定良く行えるように構成してある。
また、操作ボックス6のボックス本体60は、運転座席50の右前方側で、運転キャビン5の乗降用ドア55が設けられた側である右前方側の支柱52aに対して、取付部材6aを介して片持ち状に固定支持されている。
【0045】
前記操作ボックス6は、そのボックス本体60が支柱52aに支持された状態で、平面視でボックス本体60の前側に、運転キャビン5の左右方向での端部側ほど前方寄りで運転キャビン5の左右方向での中央側ほど後方寄りとなるように傾斜した前面60aを備え、後側にも、平面視で運転キャビン5の左右方向での端部側ほど前方寄りで運転キャビン5の左右方向での中央側ほど後方寄りとなるように傾斜した後面60bを備えている。
これによって、運転座席50に搭座した操縦者がボックス本体60を見たときのボックス本体60の水平方向幅が短く見えるようになる。
【0046】
つまり、例えば図8に仮想線で示すように、前面側が機体前方側に向き、後面側が機体後方側に向く単なる矩形のものでボックス本体60が構成されていれば、運転座席50側からみるボックス本体60の水平方向幅は、ボックス本体60の前面側における運転キャビン5の左右方向での中央側の角部と、ボックス本体60の後面側における運転キャビン5の左右方向での端部側の角部とを結ぶ対角方向の長さに相当する幅広のものとなる。
上記のボックス本体60は、このような矩形状のボックス本体60ではなく、前述したように、運転キャビン5の左右方向での端部側ほど前方寄りで運転キャビン5の左右方向での中央側ほど後方寄りとなるように傾斜した前面60aと、平面視で運転キャビン5の左右方向での端部側ほど前方寄りで運転キャビン5の左右方向での中央側ほど後方寄りとなるように傾斜した後面60bとを備えている。
したがって、平面視で操縦者の存在位置となる運転座席50の座面50aの中央位置Oを視点として、この中央位置Oからボックス本体60の左右方向の端部への投影線L1,L2は、前述した矩形状のボックス本体60(図7中の仮想線参照)の左右方向の端部への投影線L1’,L2’よりも幅の狭いものとなる。これによって、操縦者の視界を広く確保できるようになる。
【0047】
前記ボックス本体60の上面側に設けられるステアリングレバー61とコンビネーションスイッチ62とは、前記ステアリングレバー61が運転座席50に近い後方側寄りに位置し、前記コンビネーションスイッチ62が前記ステアリングレバー61よりも運転座席50から遠い前方側寄りに設けられている。
前記操作ボックス6の取付位置は、図4,5,8に示すように、運転座席50の座面50aよりも高い位置で、かつ、前記アームレスト64の手首をのせる部位よりも少し低い位置にボックス本体60の上面が位置するように設けてある。
また、この操作ボックス6の平面視での位置は、図7及び図8に示されているように、操作ボックス6に設けてある操向操作用のステアリングレバー61が、運転座席50の前方よりも少し右外側に外れて位置している。
つまり、前記ステアリングレバー61が運転座席50の直前方位置から左右方向での横一側方に外れた位置の運転キャビン5内に配設されたことにより、操縦操作用の操作具に相当する前記ステアリングレバー61や、ステアリングレバー61を取り付けるための支持構造に相当するものであるボックス本体60等が運転座席50の直前位置からは除外され、直前方の前方視界を遮るものがほとんどなくなるので、前記運転座席50とその直前方位置のフロントガラス54の下方との間に運転キャビン5の前方側下方を見通し可能な空間部S0が存在した状態となる。これによって、運転座席50に搭座した状態での運転キャビン5の前方下方の視認性を向上させることができたものである。
【0048】
そして、前記操作ボックス6は、図4乃至図7、及び図12,13に示されるように、側面視で運転キャビン5の右前方側の支柱52aの下端よりも機体前方側に位置するように配設されている。したがって、運転キャビン5への乗降時には、前記運転キャビン5の右前方側の支柱52aの下端よりも機体後方側に存在する運転キャビン5内の床面5Aの上方に存在する領域に対して乗り降りするものであるところの操縦者が、前記領域から外れた前方側に設けてある操作ボックス6に接触する可能性は少なくて済む。
【0049】
操向操作用のステアリングレバー61は、前後左右の十字方向に揺動操作が可能であるようにボックス本体60に支持させてある。そして、ステアリングレバー61の操作位置は、ボックス本体60に内装されている図示しない位置検出体によって検出されるものであり、ステアリングレバー61の操作位置をリンク機構などの機械的連係機構で操向機構などに連係させるような構造のものではなく、ボックス本体60内の各機器は導電線や信号線からなるハーネス66を介して連係対象の装置と連係されている。
【0050】
上記のステアリングレバー61を右方向に揺動操作すると、ボックス本体60に内装されている図示しない位置検出体の検出結果に基づいて、クローラ式走行装置10が右方向に旋回するように操向操作され、ステアリングレバー61を左方向に揺動操作すると、ボックス本体60に内装されている図示しない位置検出体の検出結果に基づいて、クローラ式走行装置10が左方向に旋回するように操向操作される。
また、ステアリングレバー61を前方に揺動操作すると、ボックス本体60に内装されている図示しない位置検出体の検出結果に基づいて、フィーダ40及び刈取部41が、ステアリングレバー61の操作位置に対応した速度で下降する。同様に、ステアリングレバー61を後方に揺動操作すると、フィーダ40及び刈取部41が、ステアリングレバー61の操作位置に対応した速度で上昇する。中立位置からの揺動操作量が多い程、下降速度または上昇速度が速くなる。ステアリングレバー61の揺動操作を止めて中立位置に保持すると、フィーダ40及び刈取部41はその位置で停止する。
【0051】
前記操作ボックス6に装備されているコンビネーションスイッチ62は、図12及び図13に示すように、中央の押しボタン62aを押すことで警報用のフォーンを鳴らし、押しボタン62aの周部に備えたレバー62bを回動操作することで前照灯53aの入り切り操作を行うように構成されている。
さらに前記操作ボックス6には、キーを差し込んでエンジン14を始動及び停止可能なスタータスイッチを操作するためのキースイッチ63も装備されている。
【0052】
図12及び図13に示すように、前記操作ボックス6に導入される導電線、及び信号線などのハーネス66は、運転キャビン5の右前方側の支柱52aに沿って、その支柱52aとは別個に運転キャビン内部に配設されたハーネスカバー65に内装されている。
したがって、ハーネス66の配線や点検等の必要が生じた場合には、前記支柱52aを分解するような作業を要さず、ハーネスカバー65を着脱あるいは分解することで簡単に内部のハーネス66に対する作業を行うことができる。
【0053】
〔サイドパネルボックス〕
運転キャビン5内での運転座席50の左横側部には、図7乃至図9に示すようにサイドパネルボックス7が設けられている。
このサイドパネルボックス7は、図8及び図9に示すように、その上面が前記運転座席50の座面50aよりも低く形成されているとともに、走行用の主変速レバー72等が配設されたボックス主部70と、前記ボックス主部70の前端側に位置して計器類が配設された計器類配置部71とを備えている。
【0054】
前記ボックス主部70は、運転座席50から遠い側で走行用の主変速レバー72や副変速レバー73などの各種レバー類が配設された外側部分70Aと、運転座席50に近い側で各種の操作スイッチやダイヤル操作具等を備えた第1パネル80が配設されている内側部分70Bとを備えている。
この内側部分70Bに備えた各種の操作スイッチやダイヤル操作具を備えた部分が、後述する作業操作パネル8の作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具を配備した第1パネル部分80を構成している。
前記主変速レバー72及び副変速レバー73などの各種レバー類の握り部は前記座面50aよりも高い位置にあるように取り付けられている。
【0055】
前記ボックス主部70では、運転座席50から遠い側の外側部分70Aに、機械的連係機構(図示せず)を介して各種関連装置(図外)に連係される走行用の主変速レバー72や副変速レバー73などの各種レバー類を配設してあり、その外側部分70Aよりも運転座席50に近い側の内側部分70Bに、機械的連係機構を用いずに電気的に各種関連機器と接続されるところの前記第1パネル部分80が配設されている。
そして、図8、9、及び図10に示すように、前記外側部分70Aは運転キャビン5の床板51から立設された箱状に形成されているものであるが、前記内側部分70Bは、外側部分70Aの上部から運転座席50側に張り出すように膨出形成してあり、その内側部分70Bの下方側には、前記運転座席50から離れる方向に凹入するに凹入空間S2を設けてある。
【0056】
上記外側部分70Aに設けられる主変速レバー72や副変速レバー73などの各種レバー類は、図5及び図9に示すように、その握り部近くが、運転キャビン5の左側面箇所の左横側壁56、もしくは横窓56aから離れて運転座席50が存在する側へ近づくように傾斜させてある。
つまり、前記外側部分70Aの上面のレバーガイドから上向きに突出した主変速レバー72のレバー基部が前方右方に屈曲し、前記外側部分70Aの上面のレバーガイドから上向きに突出した副変速レバー73などのレバー基部が運転座席50側に屈曲している。
【0057】
前記計器類配置部71では、通常の刈取脱穀作業中に目視する頻度の高い計器類を備えた計器表示部71aが樹脂製のケースに収容された状態で設けてあり、メータパネルとして機能するものであり、前記ボックス主部70の機体前方側の端部に一体的に取り付けてある。
前記計器表示部71aでは、例えば、中央部に実際の作業車速を表示する作業速度計やエンジン回転数からの負荷を表示する負荷表示メータなどが設けられ、その両側には、例えばエンジン回転計や燃料計が設けられている。
この計器類配置部71は、各種計器部分を液晶などの画像表示手段で表示するようにしたものであってもよい。
【0058】
図6及び図9に示されるように、前記計器類配置部71は、上下方向の厚みが前記ボックス主部70と比べると薄いものであり、上面はボックス主部70と同一面上にあるようにボックス主部70の前端上部から斜め右方前方側へ片持ち状に連設されている。
したがって、計器類配置部71の下面と運転キャビン5の床面5Aとの間には上下方向での間隔が生じ、また、ボックス主部70の前端縁70aと前方のフロントガラス54の内面との間にも前後方向での間隔が生じている。つまり、前記計器類配置部71の下側に相当する箇所には、運転座席50側からサイドパネルボックス7が存在する側の運転キャビン5の側部下方を目視可能な開放空間S1が形成されている。
前記ボックス主部70の前端縁70aは、図6及び図9に示されるように、フロントガラス54の内面の傾斜に沿って、下方側ほど機体後方側に位置するように傾斜する形状に形成されている。
【0059】
前記ボックス主部70の前端部から延出される計器類配置部71は、図7及び図9に示されるように、前記フロントガラス54の両端側に位置する機体前方側の左右一対の支柱52a,52bの下端、及び運転キャビン5の床面5Aの前縁よりも機体前方側へ延出されている。
そして、この計器類配置部71は、前記ボックス主部70の前端部から前方側へ延出されている前縁側がフロントガラス54の背面に沿うように屈曲形成されて、平面視では、運転座席50に近い後方側が直線的な側縁を有し、フロントガラス54に近い前方側がフロントガラス54の内面形状に近い湾曲した側縁を備えている。
さらに、この計器類配置部71は、図7乃至図9に示すように、計器類配置部71の上面が、水平面に対して運転座席50に対する遠近方向で、運転座席50に近い側よりも遠い側ほど上方に位置する傾斜姿勢に設けてあり、かつ、ボックス主部70の前端部からの延出方向で、計器類配置部71の延出端側ほど下方側に位置する先端下がりの傾斜姿勢に設けてある。
【0060】
これによって、前記計器類配置部71を、例えば、その計器表示部71aで各種計器部分が機体前後方向に並べて配設してある構造のものに比べ、前記計器表示部71aでの各種計器部分がフロントガラス54の背面に沿う方向で並ぶ状態となる。このため、前述のように各種計器部分が機体前後方向に並ぶ構造のものに比べ、運転座席50から各計器部分が配置されている箇所までの距離の差を少なくし得て、機体前方側に位置するものほど運転座席50からの距離が遠くなって見難いというような不具合を招くことなく、目視し易くなる利点がある。
さらに、前記計器類配置部71の計器表示部71aが水平面に対して運転座席50に近い側よりも遠い側ほど上方に位置する傾斜姿勢に設けてあることでより一層目視し易くなり、また、図8及び図9に示すように、ボックス主部70の前端部からの延出方向で、計器類配置部71の延出端側ほど下方側に位置する先端下がりの傾斜姿勢に設けてあることにより、運転座席50の直前方の視界をより広く確保し易い点でも有利である。
それでいて、前記計器類配置部71はボックス主部70側から片持ち状で延出され、計器類配置部71の下側には前記開放空間S1が存在し、計器類配置部71の下側に前方視界を遮るものが存在していないので、運転座席50側から計器類配置部71の下側を通して運転キャビン5の前方側の側部下方をも目視し易いものである。
【0061】
前記内側部分70Bは、図7に示すように、その機体前方側の前端縁部76が、前記外側部分70Aと、これに接続される計器類配置部71との接続箇所75よりも機体後方側に位置するように形成されている。また、この内側部分70Bの前端縁部76は、運転座席50に近づく側ほど後方に位置するように平面視で傾斜した形状に形成されている。
これによって、前記内側部分70Bの前端縁部76と前記計器類配置部71の内向きの側縁との間で、計器類配置部71とボックス主部70との接続箇所75を含んでその前後に位置するキャビン室内側の側縁部分に、平面視で運転座席50から離れる方向に凹入する形状の凹入部S3が形成されている。
このように、計器類配置部71とボックス主部70との接続箇所75を含む位置のキャビン室内側の側縁部分に凹入部S3が形成されたことで、計器類配置部71やボックス主部70よりも高い位置である運転座席50に塔座している操縦者の視点から、運転キャビン5の前方側の側部下方をさらに目視し易くすることができる。
【0062】
また、前記凹入部S3が形成された箇所と平面視で重合する運転キャビン5の床面5A上には、図7乃至図9に示すように、駐車ブレーキペダル94が配設されている。
これによって、運転座席50に搭座する操縦者が駐車ブレーキペダル94を踏み込む際に、運転座席50の座面50aよりも低い位置にあるサイドパネルボックス7の存在によって邪魔されることなく、前記凹入部S3に脚部を入り込ませた状態で駐車ブレーキペダル94を踏み込み操作することができる。
【0063】
〔作業操作パネル〕
作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具を配備した操作面を備える作業操作パネル8は、図5乃至図11に示すように、前記サイドパネルボックス7の上面に設けられた第1パネル部分80と、左前方側の支柱52b(サイドパネルボックス7とは別に設けてある運転キャビン5内の固定部に相当する)に設けられた第2パネル部分81とで構成されている。
【0064】
前記第1パネル部分80は、サイドパネルボックス7のボックス主部70の上面で、運転座席50に近い側の内側部分70Bに設けてあり、ボックス主部70の上面に沿う操作面を備えている。この操作面に、手動操作式の機体姿勢制御スイッチ82、自動姿勢制御スイッチ83、及び手動操作によるダイヤル操作式のオートアクセル設定器84等が配備されている。
【0065】
前記手動操作式の機体姿勢制御スイッチ82は、右上げスイッチ82a、水平スイッチ82b、左上げスイッチ82c、及び上昇スイッチ82d、下降スイッチ82eを備え、自動姿勢制御スイッチ83が入り状態であるときには、前記自動制御の目標となる位置を設定するものであり、自動姿勢制御スイッチ83が切り状態であるときには、右上げスイッチ82a、水平スイッチ82b、左上げスイッチ82cの各スイッチを押し操作している間だけ機体右上がり、水平、あるいは左上がりに制御し、スイッチの押し操作をやめるとその位置で停止するように構成されている。
そして、前記上昇スイッチ82d、及び下降スイッチ82eは、自動姿勢制御スイッチ83が入り状態であるときには、この上昇スイッチ82d、又は下降スイッチ82eが押し操作されている間だけ機体全体を上昇又は下降させ、スイッチの押し操作をやめると下限位置まで機体が下降するように制御される。自動姿勢制御スイッチ83が切り状態であるときには、この上昇スイッチ82d、又は下降スイッチ82eが押し操作されている間だけ機体全体を上昇又は下降させ、スイッチの押し操作をやめるとその位置で機体を保持するように制御される。
【0066】
前記自動姿勢制御スイッチ83は、機体の左右の自動水平制御を入り切り操作するものであり、入り操作で機体の左右の自動水平制御を行い、その自動水平制御を行いながらの作業が行われた後に、図示されていない脱穀クラッチ又は刈取クラッチを切り操作するか、あるいは自動姿勢制御スイッチ83を再び押して切り状態に操作することによって、機体を下限位置まで下降させるように構成されている。
【0067】
前記オートアクセル設定器84は、エンジン回転数をダイヤルで設定した回転数まで上昇させるためのものであり、このオートアクセル設定器84が入り状態であるときに、脱穀クラッチ、又は刈取クラッチを入り操作する、又は機体走行を開始すると、自動的に設定された回転数までエンジン回転を上昇させるように制御する。オートアクセル設定器84が切り状態であるときには、常にダイヤルで設定された回転数で駆動されるように構成してある。
【0068】
前記第2パネル部分81は、図6及び図9に示すように、左前方側の支柱52bの上下方向での中間部に位置し、操作面が前記支柱52bの上下方向と平行であるように、上下方向に沿って設けられている。
つまり、上下方向では、図8及び図9に示されているように、第2パネル部分81は、その下端側がサイドパネルボックス7の上面に操作面を沿わせて設けた第1パネル部分80や、運転座席50の座面50aよりも高い位置にあり、かつ上端側は、サイドパネルボックス7の上面側で上方に突出している主変速レバー72の握り部72a、及び操作ボックス6に設けたステアリングレバー61の握り部よりも高い位置にある。
【0069】
この第2パネル部分81の前後方向での位置は、図6乃至図9に示されているように、サイドパネルボックス7の前方側箇所であるところの、前記主変速レバー72よりも前方側における左前方側の支柱52bに設けられている。
そして、この第2パネル部分81の水平方向での位置は、図7に示されているように、サイドパネルボックス7の前方側箇所で、前記主変速レバー72よりも前方側において、運転座席50の座面50aの中央位置Oから前記第2パネル部分81への投影方向で前記左前方側の支柱52bと重複する状態で左前方側の支柱52bに取り付けられている。
つまり、図7に示すように、第2パネル部分81は、その操作面が前記運転座席50側に向かうように、運転キャビン5の斜め後方側の中央部に向けた状態で支柱52bに取り付けてあり、前記運転座席50の座面50aの中央位置Oから前記第2パネル部分81の左右各側縁への投影線L3,L4の間に位置する範囲と重複する箇所に前記左前方側の支柱52bが存在する状態で取り付けられている。
【0070】
また、この第2パネル部分81は、左右方向幅が支柱52bの左右方向幅よりも少し広く形成してあり、かつ上下方向長さは左右方向幅よりも数倍大きい寸法に形成された縦長形状のものである。
そして、運転キャビン5の室内側に向く操作面に作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具が装備されるものであるが、この操作面の向きは、図7に示すように、運転座席50の座面50aの中央位置Oに対して、平面視でも、側面視でも垂直な面で構成されているのではなく、平面視では操作面に対する垂直線が前記座面50aの中央位置Oの外側に少し外れるように内側後方向きの面で構成されている。
また、側面視では、操作面に対する垂直線が水平線に対して少し上向きとなるように、支柱52bの前方斜め上方に傾斜する部位に取り付けてあって、上向きの面で構成されている。
【0071】
第2パネル部分81の操作面には、作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具として、刈取関連操作具85、リール変速操作具86、及び脱穀関連操作具87が、操作頻度、あるいは目視頻度を考慮して、この順で上方から頻度の高い順番に備えられている。
【0072】
前記刈取関連操作具85は、自動刈高さスイッチ85aと、刈高さ調節ダイヤル85bと、対地平行自動スイッチ85cと、オートクラッチ切換スイッチ85dとを備えて構成されている。
【0073】
前記自動刈高さスイッチ85aは、刈取作業中における刈高部の高さを一定に保つための自動刈高さ制御の入り切りをするためのスイッチであり、押し操作の都度、入り状態と切り状態とが切り替わり、入り状態であるときに表示ランプが点灯するように構成されている。
刈高さ調節ダイヤル85bは、刈取部41の高さ調節を行うダイヤル操作具であり、時計方向に回すと刈高さが高くなり、反時計方向に回すと低くなるように構成されている。
対地平行自動スイッチ85cは、刈取部41を自動的に地面に対して平行となるように姿勢変更する対地平行自動制御を入り切り操作するためのスイッチであり、押し操作の都度、入り状態と切り状態とが切り替わり、入り状態であるときに表示ランプが点灯するように構成されている。
オートクラッチ切換スイッチ85dは、パワーステアリングレバーを操作して刈取部41が地面から予め設定された高さまで上昇すると刈取搬送装置4の駆動を停止し、その後、予め設定された高さまで下降すると再度刈取搬送装置4の駆動を開始するように刈取オートクラッチ(図外)を入り切り操作するためのスイッチであり、押し操作の都度、入り状態と切り状態とが切り替わるとともに、入り状態を示す表示ランプと、切り状態を示す異なる色の表示ランプとを備えている。
【0074】
リール変速操作具86は、リール変速自動スイッチ86aと、リール変速調節ダイヤル86bとを備えて構成されている。
【0075】
前記リール変速自動スイッチ86aは、刈取作業中のリール装置42の回転数を刈取速度(機体の走行速度)に応じて自動的に最適なリール回転数となるように、自動リール回転制御を入り切りするためのスイッチであり、押し操作の都度、入り状態と切り状態とが切り替わり、入り状態であるときに表示ランプが点灯するように構成されている。
リール変速調節ダイヤル86bは、作物の刈り取り方向や倒伏状態に応じて、刈取速度に対する基準となるリール回転数の調整を行うためのダイヤルであり、時計回りに回すと高くなり、反時計回りに回すと低くなるように構成してある。
【0076】
脱穀関連操作具87は、作物選択スイッチ87aと、チャフ調節ダイヤル87bとを備えて構成されている。
【0077】
作物選択スイッチ87aは、作物の種類に合わせて扱胴20の駆動速度などの脱穀条件を選択するためのスイッチであり、作物選択スイッチ87aを押すと、順に「稲」、「麦」、「豆」の順番で表示状態が切り替わり、選択された作物を示すランプが点灯する。
チャフ調節ダイヤル87bは、シーブケース(図外)内におけるチャフシーブ(図外)の開度調節を行うためのダイヤルであり、時計方向に回すと開度が大きくなり、反時計方向に回すと開度が小さくなるように構成されている。
【0078】
上記第2パネル部分81に備えられた刈取関連操作具85、リール変速操作具86、及び脱穀関連操作具87に対する通電用のハーネスは、図示しないハーネスカバーを介してサイドパネルボックス7内に導かれ、所要の関連機器と接続されている。
【0079】
〔その他〕
上記のように構成された普通型コンバインでは、フロントガラス54が単なる扁平ガラスではなく、水平面に対して下方側部分よりも上方側部分での傾斜角度が大きい傾斜面を有した湾曲形状に形成されているので、運転キャビン5の室内側から前方下方の覗き込みを良好に行うことができ、かつ、運転キャビン5内で運転座席50の左側に配設されるサイドパネルボックス7の前部に位置する計器類配置部71と運転キャビン5の床面5Aとの間に開放空間S1を形成して、図8に示すように運転座席50から左右方向の視野β1を、前記開放空間S1が形成されない場合の視野β2に比べて広く確保することができる。
これによって、図3に示すように、刈取搬送装置4の刈取部41における右端(既刈り側)で、運転キャビン5と刈取部41との間から刈取搬送装置4の通過後における地面の刈り残しの有無を見るための一つのチェックポイントCP1、及び、刈取部41からフィーダ40への受け継ぎ箇所での受け継ぎ状態が良好であるか否かを確認するための他のチェックポイントCP2での目視を行い易くなっている。
【0080】
〔別実施形態の1〕
フロントガラス54は、実施の形態で示したように、上下方向と左右方向との互いに交差する複数の軸線周りでの曲率を有した複曲面によって構成されたものに限らず、例えば水平方向の軸線周りでの曲率を有した単曲面で構成されたものであってもよい。
この場合、運転キャビン5の床面5Aの前端縁は直線形状になるが、機体前方側の左右一対の支柱52a,52b(フロントピラーに相当する)は、フロントガラス54の左右方向の両端縁形状に沿って、側面視で水平面に対する下方側部分の傾斜角度θ1よりも上方側部分での傾斜角度θ2が大きくなるように湾曲した形状となるように形成すればよい。
その他の構成は前述した実施形態のものと同様である。
【0081】
〔別実施形態の2〕
フロントガラス54は、実施の形態で示したように、上下方向と左右方向との互いに交差する複数の軸線周りでの曲率を有した複曲面によって構成されたもの、あるいは単曲面で形成されたものに限らず、例えば、側面視で水平面に対する下方側部分の傾斜角度θ1よりも上方側部分での傾斜角度θ2が大きい屈折形状となるように、複数の扁平ガラスを組み合わせて形成してもよい。
この場合も、運転キャビン5の床面5Aの前端縁は直線形状になるが、機体前方側の左右一対の支柱52a,52b(フロントピラーに相当する)は、フロントガラス54の左右方向の両端縁形状に沿って、側面視で水平面に対する下方側部分の傾斜角度θ1よりも上方側部分での傾斜角度θ2が大きくなるように屈折した形状となるように形成すればよい。
その他の構成は前述した実施形態のものと同様である。
【0082】
〔別実施形態の3〕
上記実施形態では、フロントガラス54を屋根部53から床面5Aに達する範囲に設けたものであるが、これに限られるものではなく、例えば、フロントガラス54の下端が運転座席50の座面50aよりも下側で前記床面5Aよりも高い位置にまで達する範囲としてもよい。
この場合、フロントガラス54の下端が床面5Aに達する範囲にまで設けたものに比べれば運転キャビン5の前方下方側の視野は狭くなるが、フロントガラス54が単なる扁平ガラスではなく、側面視で水平面に対する下方側部分の傾斜角度θ1よりも上方側部分での傾斜角度θ2が大きくなるような傾斜を有したものであることによって、運転座席50を運転キャビン5内でかなり前方側へ配設できるものであるから、フロントガラス54が着座した操縦者の腰部付近にまでしか達していないような構造のものと比べて、運転キャビン5の前方下方側の視野をかなり大きく確保して、運転キャビン5の直前の下方に近い側まで操縦者は視線を落とすことができる。
その他の構成は前述した実施形態のものと同様である。
【0083】
〔別実施形態の4〕
作業操作パネル8は、サイドパネルボックス7の上面側に設けた第1パネル部分80とフロントピラーに相当する左前方側の支柱52bに支持させた第2パネル部分81との組み合わせで構成されたものに限らず、例えば、サイドパネルボックス7に設けずに、フロントピラーに相当する左前方側の支柱52bに支持させた構造のみによって構成してもよい。
この場合、作業操作パネル8を、第1パネル部分80と第2パネル部分81とに区分して設けてもよいが、特に区分しなくて単一のパネル部分の操作面に、作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具の少なくともいずれか一方の複数種のものが組み込まれたパネルユニットによって構成したものであってもよい。
その他の構成は前述した実施形態のものと同様である。
【0084】
〔別実施形態の5〕
第2パネル部分81は、実施の形態で示したように、フロントピラーに相当する左前方側の支柱52bに支持させた構造のものに限らず、例えば、右前方側の支柱52aに支持させた構造のものであってもよい。
このように第2パネル部分81を右前方側の支柱52aに支持させる場合には、第2パネル部分81は操作ボックス6のボックス本体60の上面よりも上方側に設けるのが望ましい。
また、このように第2パネル部分81を右前方側の支柱52aに支持させた構造であると、特に自脱型コンバインでは、刈取対象茎稈の刈り残しの有無を確認するために刈取部41の右側を注目しながら作業する場合に、近くにある第2パネル部分81を操作する際に便利である。
その他の構成は前述した実施形態のものと同様である。
【0085】
〔別実施形態の6〕
第2パネル部分81の操作面は、実施の形態で示したように、下端側がサイドパネルボックス7の上面よりも高い位置にあり、上端側は、サイドパネルボックス7の上面側で上方に突出している主変速レバー72の握り部72a、及び操作ボックス6に設けたステアリングレバー61の握り部よりも高い位置にあるというものに限らず、例えば、次のように構成されたものであってもよい。
つまり、操作面の全体が主変速レバー72の握り部72aの上端よりも上側に位置するようなものであっても、その操作面の下端部が主変速レバー72の握り部72aと同程度とみられる程度であれば多少上方側に位置していてもよい。
また、操作面の全体が主変速レバー72の握り部72aの上端よりも下側に位置するようなものであっても、その操作面の上端部が主変速レバー72の握り部72aと同程度とみられる程度であれば多少下方側に位置していてもよい。
その他の構成は前述した実施形態のものと同様である。
【0086】
〔別実施形態の7〕
第2パネル部分81は、その操作面が、実施の形態で示したように、運転座席50の座面50aの中央位置Oから第2パネル部分81の左右各側縁への投影線L3,L4の間に位置する範囲と重複する箇所に、左前方側の支柱52bが存在する状態で取り付けられているものに限らず、例えば、前記左前方側の支柱52bが前記左右各側縁への投影線L3,L4の左右何れかの外側へ部分的にはみ出している、もしくは左前方側の支柱52bの全体が前記左右各側縁への投影線L3,L4の左右何れの外側、あるいは両外側に位置しているものであってもよい。
その他の構成は前述した実施形態のものと同様である。
【0087】
〔別実施形態の8〕
第2パネル部分81は、その操作面が、実施の形態で示したように、平面視では操作面に対する垂直線が前記座面50aの中央位置Oの外側に少し外れるように内側後方向きの面で構成されているものに限らず、例えば、前記操作面に対する垂直線が前記座面50aの中央位置Oと一致する状態、もしくは、操作面に対する垂直線が、前記座面50aの中央位置Oの外側とは逆に、前記座面50aの中央位置Oの内側に外れるように、より内向きの面で構成されたものであってもよい。
また、側面視では、操作面に対する垂直線が水平線に対して少し上向きとなるように、上向きの面で構成されているものに限らず、操作面に対する垂直線が水平線と平行であるように水平方向に向く面、もしくは、操作面に対する垂直線が水平線に対して少し下向きとなるように下向きの面に構成されたものであってもよい。
その他の構成は前述した実施形態のものと同様である。
【0088】
〔別実施形態の9〕
第2パネル部分81は、実施の形態で示したように、操作面に、作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具として、刈取関連操作具85、リール変速操作具86、及び脱穀関連操作具87を、この順で上方から順番に備えたものであるが、これに限らず、例えば、その配置の順を変更したり、一部を省略したり、別の操作具を付設してもよい。
また、操作指令を入力するための操作指令具を備えずに表示ランプや液晶表示などの表示用機器のみを備えるように構成してもよく、また、操作指令具のみを備えるように構成してもよい。
その他の構成は前述した実施形態のものと同様である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明に係るコンバインの構成は、実施の形態で示したような普通型コンバインに限らず自脱型コンバインにも適用可能であり、また、稲、麦等の穀物を収穫するコンバインに限らず、大豆などの豆類や菜種などを収穫するコンバインに適用してもよい。
【符号の説明】
【0090】
5 運転キャビン
7 サイドパネルボックス
8 作業操作パネル
50 運転座席
50a 座面
52a,52b フロントピラー
53 屋根部
54 フロントガラス
72 主変速レバー
72a 握り部
80 第1パネル部分
81 第2パネル部分
O 中央位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転キャビン内に運転座席、及び走行用の変速レバーが配設されたサイドパネルボックスを配備してあるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転キャビン内に運転座席、及び走行用の変速レバーが配設されたサイドパネルボックスを配備してあるコンバインとしては、下記の[1]及び[2]に記載のものが存在する。
[1]運転座席の前方側にフロントパネルボックスを備え、運転座席の左側部にサイドパネルボックスを備えていて、その左側部のサイドパネルボックスに、主変速レバーとともに主制御スイッチ群及び副制御スイッチ群を配設してあり、前記フロントパネルボックスには、パワステレバーと走行関連のコンビネーションスイッチなどを設けたもの(特許文献1参照)。
[2]運転座席の前方位置にステアリングハンドルを備え、走行用の変速レバーが配設された運転座席の左側部に位置するサイドパネルボックスとは別の、前記ステアリングハンドルを支持するステアリングコラムの上部に、各種スイッチ類等が配設されたフロントパネルや計器パネルを設けたもの(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−18557号公報(段落「0023」,図1,図2,図3)
【特許文献2】特開2004−275142号公報(段落「0010」,図5,図6,図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記[1]に記載の構造を有したコンバインでは、運転座席の左側部に位置するサイドパネルボックスに、主制御スイッチ群と副制御スイッチ群との両方を配設しているので、制御スイッチ群の大部分がサイドパネルボックスに配備されていて、運転座席の側部におけるサイドパネルボックス上の制御スイッチ等を操作しにくかったり、目視し難いという問題がある。
【0005】
上記[2]に記載の構造を有したコンバインでは、各種スイッチ類や計器類を、ステアリングコラムの上部に配設されたフロントパネルや計器パネルに設けたものであるから、各種スイッチ類や計器類を運転座席の前方側で操作したり、目視し易いという点で有利なものであるが、ステアリングハンドルが比較的大きなものであることに加え、大部分の各種スイッチ類や計器類を装備するフロントパネルや計器パネルも比較的大きなものとなって、運転座席の前方下方側の視界を大きく確保し難いものであった。
【0006】
本発明の目的は、運転座席の前方下方側の視界を大きく確保しながら、各種スイッチ類や計器類の操作や視認を行い易いところのコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために講じた本発明におけるコンバインの技術手段では、次の点に構成上の特徴、及び作用効果がある。
〔解決手段1〕
運転キャビン内に運転座席を配備してあり、前記運転キャビンの左右一対のフロントピラーの間にフロントガラスを設け、前記運転座席の横側部に、走行用の主変速レバーが配設されたサイドパネルボックスを配備してあるコンバインであって、
作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具の少なくともいずれか一方を配備した操作面を備える作業操作パネルを、前記フロントピラーに設けたことを特徴とする。
【0008】
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕
上記解決手段1で示した特徴構成によると、作業関連情報を表示する表示用機器や作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具を備える作業操作パネルがフロントピラーに設けられるものであるため、フロントピラーを作業操作パネルの取付手段として利用して構造の簡素化を図り得るととともに、運転キャビン内で極力前方側に寄せた位置に作業操作パネルを配設することができて、運転キャビン内空間を有効利用できる利点がある。
しかも、フロントピラーに設けられた作業操作パネルは、その操作面が上下方向に沿う状態となるので、運転座席に搭座する操縦者の視線に対してほぼ垂直に近い面となる。このため、例えば水平に近いような面である場合に比べて目視し易く、かつ操作面のどの位置に設けられた表示用機器や操作指令具も、運転座席からの距離が遠近方向で大きな差のない箇所に配設されるので操作も行い易いという利点がある。
【0009】
〔解決手段2〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記作業操作パネルは、前記操作面に、作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具の少なくともいずれか一方の複数種が一体的に組み込まれたパネルユニットによって構成されているということである。
【0010】
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
上記解決手段2で示した特徴構成によると、作業操作パネルとして、作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具の少なくともいずれか一方の複数種が操作面に一体的に組み込まれたパネルユニットを用いて、比較的コンパクトで構造簡単な構造のものを得やすいという利点がある。
【0011】
〔解決手段3〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記作業操作パネルは、前記運転座席の座面の中央位置から前記フロントピラーへの投影方向で前記フロントピラーと重複する位置に取り付けられているということである。
【0012】
〔解決手段3にかかる発明の作用及び効果〕
上記解決手段3で示した特徴構成によると、作業操作パネルとフロントピラーとが、運転座席に搭座する操縦者の視界の中で重複して位置することになるので、作業操作パネルとフロントピラーとが左右に位置ずれして設けられている場合に比べて、操縦者の視界をより大きく確保し得る利点がある。
【0013】
〔解決手段4〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記作業操作パネルは、その操作面が前記運転座席側に向かうように、内側後方に向けて設けられているということである。
【0014】
〔解決手段4にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段4で示した構成によると、作業操作パネルの操作面が、運転座席に搭座する操縦者の方に向いた状態で設けられるので、その作業操作パネルの視認性、及び操作性をより一層向上させることができる利点がある。
【0015】
〔解決手段5〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記作業操作パネルは前記フロントピラーの上下方向に沿って縦長形状に形成されているということである。
【0016】
〔解決手段5にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段5で示した構成によると、作業操作パネルが上下方向に長い縦長形状に形成されているので、作業操作パネルによって左右方向での前方視界が狭められる虞が少ない点で有利である。
【0017】
〔解決手段6〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記作業操作パネルは、前記サイドパネルボックスの上面に設けられた第1パネル部分と、前記サイドパネルボックスの前記主変速レバーよりも前方側箇所に位置する前記フロントピラーに設けられた第2パネル部分との組み合わせによって構成してあり、このうち前記第2パネル部分が、前記第1パネル部分よりも高い位置で、上下方向に沿う前記操作面を備えたものであるということである。
【0018】
〔解決手段6にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段6で示した構成によると、作業関連情報を表示する表示用機器や作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具を備える作業操作パネルは、その全体がサイドパネルボックスに設けられるのではなく、そのうちの第1パネル部分がサイドパネルボックスの上面に設けられ、第2パネル部分は、サイドパネルボックスよりも前方側箇所に位置する前記フロントピラーに設けられる。したがって、第2パネル部分は、作業操作パネルの全体から第1パネル部分の大きさを除いた大きさのもので済み、サイドパネルボックスよりも前方側に存在する第2パネル部分の大きさをコンパクトに構成し易くなる。
また、第2パネル部分は、上述したように第1パネル部分よりも高い位置に存在していて、上下方向に沿う操作面を備えたものであるから、運転座席に搭座する操縦者が自然に前方を目視する視線の範囲内に入り易く、主変速レバーを把持するように自然に前方へ延ばした腕での操作を行い易い箇所の近く位置にあり、視認性、及び操作性を向上し得る利点がある。
【0019】
〔解決手段7〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記第2パネル部分は、前記運転キャビン内の左右方向で前記走行用の主変速レバーが配設された側に配備されているということである。
【0020】
〔解決手段7にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段7で示した構成によると、第2パネル部分は走行用の変速レバーが配設された側に近い位置に位置するので、操縦者が連続して把持している頻度が高い走行用の主変速レバーを把持する手で、その位置に近い第2パネル部分を操作することになり、迅速な操作も可能となる利点がある。
【0021】
〔解決手段8〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記フロントガラスは、前記運転キャビンの屋根部から前記運転座席の座面よりも下方にわたる範囲に設けられているということである。
【0022】
〔解決手段8にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段8で示した構成によると、運転座席の前方側における前方視界を上下方向で広く確保することができるので、作業操作パネルがフロントピラーに設けられて運転キャビン内の前方側箇所に存在していることとの相乗によって、運転座席をできるだけ運転キャビン内での前方寄り位置に配設することができ、より一層運転キャビンの前方下方に対する視認性を向上させ得る利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る普通型コンバインの右側面図である。
【図2】本発明に係る普通型コンバインの左側面図である。
【図3】本発明に係る普通型コンバインの平面図である。
【図4】運転キャビンの右側面図である。
【図5】運転キャビンの正面図である。
【図6】運転キャビンの左側面図である。
【図7】運転キャビンの横断平面図である。
【図8】運転キャビンの縦断正面図である。
【図9】図8におけるIX−IX線断面図である。
【図10】第1パネル部分を示す平面図である。
【図11】第2パネル部分を示す背面図である。
【図12】ステアリングレバー付近を示す背面図である。
【図13】ステアリングレバー付近を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を適用したコンバインの実施形態を図面の記載に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1乃至図3は本発明のコンバインの一例である普通型コンバインの全体を示している。
左右一対のクローラ式走行装置10を備えた機体フレーム11上に、脱穀装置2、穀粒タンク3、及び運転キャビン5を搭載した走行機体1の前部に、刈取搬送装置4を昇降操作自在に装備させて普通型コンバインが構成されている。前記機体フレーム11上では、図3に示すように、右前部に運転キャビン5が配設され、その後方側の右後部に穀粒タンク3が設けられ、その穀粒タンク3の左方側である左後部に脱穀装置2が配設されている。
【0025】
前記刈取搬送装置4は、前記脱穀装置2の前部から運転キャビン5の左横側方を通って前方へ延出された処理物搬送用のフィーダ40と、そのフィーダ40に対して被処理物を供給する刈取部41、及び刈取部41の上部で植立茎稈の穂先側を掻き寄せるリール装置42とを備えている。
前記刈取部41は、植立茎稈を刈り取るバリカン型の刈刃41aと、刈り取られることによって被処理物となった茎稈をフィーダ40の入り口部40a側へ向けて寄せ集めるための横送りオーガ41bとを備え、前記フィーダ40はチェーン式の掻き揚げコンベア40bを内装している。
したがって、倒伏状態の茎稈はリール装置42である程度掻き上げられ、刈刃41aで刈り取られた後、オーガ41bでフィーダ40の入り口部40aへ向けて搬送され、前記入り口40aに到達した茎稈(被処理物)が掻き揚げコンベア40bによってフィーダ40の底面に沿って掻き揚げ搬送され、脱穀装置2の前端部に投入される。
【0026】
前記刈取搬送装置4は、図2に示すように、機体フレーム11上の固定箇所に対して水平方向の横軸心x周りで上下揺動自在に枢支されていて、昇降用油圧シリンダ12を伸縮操作することで、刈取部41が地面に近接した刈取作業姿勢と、刈取部41が地面から所定高さまで上昇した非刈取作業姿勢とに姿勢変更自在に構成されている。
【0027】
前記脱穀装置2は、全稈投入型に形成されていて、前後方向に長い扱胴20を備えて脱穀処理し、被処理物中の塵埃を後方から排出するとともに、脱穀された穀粒を含む被処理物を穀粒タンク3へ送り込むように構成されている。
穀粒タンク3では、脱穀装置2側から送り込まれた穀粒を含む被処理物を一時的に貯留し、穀粒タンク3から穀粒排出用オーガ30を介して外部へ穀粒を含む被処理物が回収されるように構成されている。
【0028】
前記運転キャビン5の下部には、図6に示すようにエンジンルーム13が設けてあり、運転キャビン5内の運転座席50の後方下方に位置する状態で左側から順にエンジン14、及びラジエータ15が配設されている。
エンジンルーム13の右外側には、図4に示すように防塵カバー16を配設してあり、右外側から外気を吸引するラジエータ15が、吸気時に外部の塵埃等を吸入するのを防止するように構成してあり、ラジエータ15を通過した吸入外気はエンジン14を冷却したのち、エンジンルーム13の左側方へ排気されるように構成してある。
【0029】
〔運転キャビン〕
図4乃至図9に示すように、運転キャビン5は、機体フレーム11に固設された支持材11aによって支持された床板51の上面側に床面5Aを備えており、前記床板51の上側に四本の支柱52が立設され、その支柱52によって屋根部53が支持されている。
上記四本の支柱52のうち、機体前方側の左右一対の支柱52a,52b(フロントピラーに相当する)は、床板51の最下部の床面5Aから立設されているが、左右の後方側の支柱52c,52dは、床板51のうち、運転座席50の支持台及びボンネット隔壁を兼ねる床板上部51aから立設されている。
【0030】
前記四本の支柱52のうち、機体前方側の左右一対の支柱52a,52b(フロントピラーに相当する)同士の間には、曲面ガラスで構成されたフロントガラス54が設けてある。
このフロントガラス54は前記床面5Aから屋根部53までの全範囲にわたって設けてあり、図9に示すように、前記床面5Aの前縁よりも前方側へ膨出させてあるとともに、フロントガラス54が、側面視で水平面に対する下方側部分の傾斜角度θ1よりも上方側部分での傾斜角度θ2が大きくなるように、下端側ほど後側に位置するように前側に凸状に湾曲した傾斜面に形成してある。
また、前記フロントガラス54は、平面視でも、図7に示すように、左右方向での中央部箇所が左右方向での両端部箇所よりも前方側へ膨出する突曲形状に形成してある。したがって、フロントガラス54は、単なる水平方向もしくは上下方向の何れかの軸線周りでの曲率を有した単曲面ではなく、上下方向と左右方向との互いに交差する複数の軸線周りでの曲率を有した複曲面によって構成されている。
【0031】
上記フロントガラス54の側面視での曲面形状は、図9に示すフロントガラス54の上端よりも少し下方側の位置が最も機体前方側に位置する最大前方突出位置Pとなるように、一定曲率の曲面で形成されたフロントガラス54の取付姿勢を定めたものであるが、このフロントガラス54の側面視での曲率は、一定曲率のものに限らず、例えば、下方側部分の曲率が上方側部分の曲率よりも大きいもの、あるいは、逆に下方側部分の曲率が上方側部分の曲率よりも小さいもの等を採用することも可能である。
上記のように、フロントガラス54の最大前方突出位置Pを、フロントガラス54の上端よりも少し下方側の位置としているのは、運転キャビン5の前方下方を覗き込むとき、操縦者の頭部を最大限フロントガラス54に近づける際に、この最大前方突出位置Pがフロントガラス54の上端と一致している場合よりも、少しでも前方に近づけられるからである。
【0032】
上記フロントガラス54の平面視での曲面形状は、図7に示すように左右方向の全体にわたって一定の曲率で形成されたものではなく、両端部箇所近くの曲率が中央部箇所近くの曲率よりも大きくなっており、中央部箇所では直線に近い緩やかな湾曲面となっている。
ただし、これはあくまでも一例であり、前記フロントガラス54の平面視での曲面形状を、左右方向の全体にわたって一定の曲率で形成したものを採用することも可能である。
【0033】
前記フロントガラス54の左右両端側に位置するところの、前記機体前方側の左右一対の支柱52a,52bは、図4及び図6に示すように、前記フロントガラス54の横側端縁の形状に沿って、側面視でのフロントガラス54の前記傾斜面の傾斜と同様な傾斜を有した形状のものに形成されている。
つまり、この支柱52a,52bは、側面視で水平面に対する下方側部分の傾斜角度θ1よりも上方側部分での傾斜角度θ2が大きくなるように形成されたフロントガラス54の湾曲形状と同様に、下端側ほど後側に位置するように前側に凸状に湾曲した傾斜を有しており、前記運転キャビン5の床面5Aへの取付箇所よりも上部側が前方側に位置するように設けてある。
【0034】
運転キャビン5の横側面箇所のうち、右側面箇所では、右前方側の支柱52aと右後方側の支柱52cとの間が、操縦者が乗り降りするための乗降口として形成されており、この乗降口を開閉するための乗降用ドア55が右後方側の支柱52c側に設けたヒンジ55aを介して開閉操作自在に装着してある。
この乗降用ドア55の機体前方側の端縁は、前記フロントガラス54の傾斜面の傾斜と同様な傾斜を有した右前方側の支柱52aの湾曲形状に沿った端縁形状に形成してあり、この端縁部分では、下端側よりも上端側が大きく前方側へ張り出している。
【0035】
この乗降用ドア55は、図4に示すように、外周枠55bを上下方向での中間位置で横切るように掛け渡された横桟部材55cを境にして、下方側が一枚物の透明ガラス55dによって構成され、上方側は前後一対の透明ガラス製の引き違い戸でスライド操作により開閉可能に構成されたドア窓55eとなっている。
上記横桟部材55cの上下方向の高さ位置は、運転キャビン5内の運転座席50の座面50aよりも高く、後述する操作ボックス6の上面よりも低い高さ位置に設定してある。
尚、図4及び図5図中の符号55gは、外方側から開閉操作する際に用いる取っ手であり、運転キャビン5の機体前方側の支柱52aに沿った傾斜姿勢で取り付けてある。
【0036】
運転キャビン5の横側面箇所のうち、左側面箇所では、図6,7に示すように、左横側壁56の一部に、左前方側の支柱52bと左後方側の支柱52dとの間で、かつ横側面箇所の上下方向の中間位置から上方側に、前後一対の透明ガラス製の引き違い戸でスライド操作により開閉可能に構成された横窓56aが設けてある。
この引き違い戸で構成された開閉可能な横窓56aは、下端側が前記操作ボックス6の上面や前記乗降用ドア55の横桟部材55cの上下方向高さよりも低く形成されていて、かつ運転キャビン5内の運転座席50の座面50aよりも低い位置にあり、後述するサイドパネルボックス7のボックス主部70の上面と同程度の高さに設定してあって、上端側は屋根部53の下縁に達する上下方向高さ位置に設定してある。
【0037】
運転キャビン5の側面部分のうち、前記乗降用ドア55が設けられた右側面箇所の前記乗降用ドア55よりも後方側の部分から、後側面箇所に至る箇所には、図4及び図7に示すように、右後方側の支柱52cよりも後方側の右側面箇所の前記乗降用ドア55よりも後方側の部分から、後側面箇所に至る箇所にわたって、運転キャビン5の右後方の角部相当箇所を見通し可能な透明ガラスを嵌め込んで、開閉不能な固定窓57を構成してある。この固定窓57及び固定窓57が取り付けられた運転キャビン5の右後方角部の外壁は、図7に示すように湾曲した形状に形成されている。
また、運転キャビン5の後面側箇所では、図7、及び図9に示すように、後壁58の一部に、前記固定窓57が形成された箇所よりも左側で、かつ、運転座席50のシートバック50bの上端よりも上方側から屋根部53の下縁にわたって、左右一対の透明ガラス製の引き違い戸でスライド操作により開閉可能に構成された後窓58aが形成されている。
【0038】
前記四本の支柱52によって支持される屋根部53は、図4乃至図6に示されるように、その前面側部分がフロントガラス54の上端部よりも前方側に突出した状態で設けてあり、この前面側部分で左右の端部と、その端部に近い位置とに、刈取部41及び刈取部41の前方を照らす前照灯53aが四基取り付けられている。
【0039】
前記運転キャビン5の床面5Aは、平面視におけるフロントガラス54の下端縁の形状が、図7に示すように、左右方向での中央部箇所が左右方向での両端部箇所よりも前方側へ膨出する突曲形状であることから、その前縁形状が、フロントガラス54の下端縁の形状に沿って、左右方向での中央部箇所が左右方向での両端部箇所よりも前方側へ膨出する突曲形状に形成されている。
これによって、運転座席50も相対的に前方側へ寄せて配設することが可能となり、運転キャビン5の前方下方を覗き込む際に有利である。
【0040】
図4、図5、及び図7に示すように、前記運転キャビン5の乗降用ドア55を設けた側の横側面箇所の前側で、前記右前方側の支柱52aに対してキャビンガード59を連設してある。このキャビンガード59は、側面視でフロントピラーである右前方側の支柱52aの湾曲形状に沿って湾曲した形状の金属製パイプ材によって形成されていて、前記右前方側の支柱52aの下端部近くと上端部近くとにボルト連結されている。
そして、キャビンガード59は、前記右前方側の支柱52aに対して、横外方側に所定間隔を隔てて位置する第1棒状ガード部59aと、さらにその第1棒状ガード部59aの前方側へ所定間隔を隔てて位置する第2棒状ガード部59bとを有して構成されている。
このキャビンガード59は、その第1棒状ガード部59a、及び第2棒状ガード部59bが、前記乗降用ドア55を開放して操縦者が乗り降りする際に、手摺りとして把持しながら乗り降りすることが可能であるように十分な強度を有して、掴みやすい位置に設けてある。
【0041】
上記のように構成されたキャビンガード59に対して、図4及び図5に示すように、ウインカー90が、左右方向で前記右前方側の支柱52aと第1棒状ガード部59aとの間に位置し、前後方向で第1棒状ガード部59aと第2棒状ガード部59bとの間に位置し、かつ、上下方向で乗降ドア55の取っ手55gよりも下方に位置する状態で第1棒状ガード部59aに装着してある。
また、上記のキャビンガード59に対しては、図4及び図5に示すように、バックミラー91が、前記第2棒状ガード部59bの横外側で、かつ、上下方向では運転座席50のシートバック50bの上端と同程度、もしくはそれよりも高い位置に位置するように取り付けてある。
さらに前記キャビンガード59の第1棒状ガード部59aの上端部箇所には、アンテナ92が上方に向けて延出した状態で取り付けてある。
図5に示すように、フロントガラス54の上部外面には、ワイパー93が配設されている。
【0042】
〔操縦部の構造〕
図7に示すように、操縦部である運転キャビン5の内部では、運転座席50が左右方向でのほぼ中央に配設してあるとともに、前記運転座席50の右前方側にステアリング操作等を行うための操作ボックス6が設けられ、運転座席50の左側に変速操作等を行うためのサイドパネルボックス7が設けられ、さらに、このサイドパネルボックス7と前記左前方側の支柱52bとに、作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具を配備した操作面を備える作業操作パネル8が分配して設けられている。
すなわち、作業操作パネル8は、サイドパネルボックス7の上面に操作面を沿わせて設けた第1パネル部分80と、左前方側の支柱52bに設けられ操作面が上下方向に沿う第2パネル部分81とによって構成されている。
【0043】
運転座席50は、座面50aとシートバック50bとを備えている。また、この運転座席50の右横側部には、図4、図7、及び図9に示すように、乗降用ドア55を開放して運転キャビン5内に乗り込む際に、操縦者が掴んで身体を引き上げながら機上へ上がる際の補助として用いることができるように乗降用取っ手50cを設けてある。
この乗降用取っ手50cは、図7及び図9に示すように、運転キャビン5内の床板上部51bにおける運転座席50の搭載箇所とその背部側に立設されている箇所とにわたって設けられた側面視で逆L字型の取付部材51dに対して取り付けられた側面視でコの字状の部材によって構成してある。
【0044】
〔操作ボックス〕
運転キャビン5の右横側端部に設けられる操縦操作用の操作ボックス6は、図7、図8、及び図11、図12に示されるように、ボックス本体60の上面側にステアリングレバー61、コンビネーションスイッチ62、及びキースイッチ63が装備されている。
そして、このボックス本体60には、その下面側に下端部を固定した状態でボックス本体60の左側面に沿って後方上方へ延出されるとともに、ボックス本体60の後方側箇所で水平右横方向に延出されたアームレスト64が取り付けられている。したがって、アームレスト64に操縦者の手首を乗せた状態でステアリングレバー61の前後左右の揺動操作を安定良く行えるように構成してある。
また、操作ボックス6のボックス本体60は、運転座席50の右前方側で、運転キャビン5の乗降用ドア55が設けられた側である右前方側の支柱52aに対して、取付部材6aを介して片持ち状に固定支持されている。
【0045】
前記操作ボックス6は、そのボックス本体60が支柱52aに支持された状態で、平面視でボックス本体60の前側に、運転キャビン5の左右方向での端部側ほど前方寄りで運転キャビン5の左右方向での中央側ほど後方寄りとなるように傾斜した前面60aを備え、後側にも、平面視で運転キャビン5の左右方向での端部側ほど前方寄りで運転キャビン5の左右方向での中央側ほど後方寄りとなるように傾斜した後面60bを備えている。
これによって、運転座席50に搭座した操縦者がボックス本体60を見たときのボックス本体60の水平方向幅が短く見えるようになる。
【0046】
つまり、例えば図8に仮想線で示すように、前面側が機体前方側に向き、後面側が機体後方側に向く単なる矩形のものでボックス本体60が構成されていれば、運転座席50側からみるボックス本体60の水平方向幅は、ボックス本体60の前面側における運転キャビン5の左右方向での中央側の角部と、ボックス本体60の後面側における運転キャビン5の左右方向での端部側の角部とを結ぶ対角方向の長さに相当する幅広のものとなる。
上記のボックス本体60は、このような矩形状のボックス本体60ではなく、前述したように、運転キャビン5の左右方向での端部側ほど前方寄りで運転キャビン5の左右方向での中央側ほど後方寄りとなるように傾斜した前面60aと、平面視で運転キャビン5の左右方向での端部側ほど前方寄りで運転キャビン5の左右方向での中央側ほど後方寄りとなるように傾斜した後面60bとを備えている。
したがって、平面視で操縦者の存在位置となる運転座席50の座面50aの中央位置Oを視点として、この中央位置Oからボックス本体60の左右方向の端部への投影線L1,L2は、前述した矩形状のボックス本体60(図7中の仮想線参照)の左右方向の端部への投影線L1’,L2’よりも幅の狭いものとなる。これによって、操縦者の視界を広く確保できるようになる。
【0047】
前記ボックス本体60の上面側に設けられるステアリングレバー61とコンビネーションスイッチ62とは、前記ステアリングレバー61が運転座席50に近い後方側寄りに位置し、前記コンビネーションスイッチ62が前記ステアリングレバー61よりも運転座席50から遠い前方側寄りに設けられている。
前記操作ボックス6の取付位置は、図4,5,8に示すように、運転座席50の座面50aよりも高い位置で、かつ、前記アームレスト64の手首をのせる部位よりも少し低い位置にボックス本体60の上面が位置するように設けてある。
また、この操作ボックス6の平面視での位置は、図7及び図8に示されているように、操作ボックス6に設けてある操向操作用のステアリングレバー61が、運転座席50の前方よりも少し右外側に外れて位置している。
つまり、前記ステアリングレバー61が運転座席50の直前方位置から左右方向での横一側方に外れた位置の運転キャビン5内に配設されたことにより、操縦操作用の操作具に相当する前記ステアリングレバー61や、ステアリングレバー61を取り付けるための支持構造に相当するものであるボックス本体60等が運転座席50の直前位置からは除外され、直前方の前方視界を遮るものがほとんどなくなるので、前記運転座席50とその直前方位置のフロントガラス54の下方との間に運転キャビン5の前方側下方を見通し可能な空間部S0が存在した状態となる。これによって、運転座席50に搭座した状態での運転キャビン5の前方下方の視認性を向上させることができたものである。
【0048】
そして、前記操作ボックス6は、図4乃至図7、及び図12,13に示されるように、側面視で運転キャビン5の右前方側の支柱52aの下端よりも機体前方側に位置するように配設されている。したがって、運転キャビン5への乗降時には、前記運転キャビン5の右前方側の支柱52aの下端よりも機体後方側に存在する運転キャビン5内の床面5Aの上方に存在する領域に対して乗り降りするものであるところの操縦者が、前記領域から外れた前方側に設けてある操作ボックス6に接触する可能性は少なくて済む。
【0049】
操向操作用のステアリングレバー61は、前後左右の十字方向に揺動操作が可能であるようにボックス本体60に支持させてある。そして、ステアリングレバー61の操作位置は、ボックス本体60に内装されている図示しない位置検出体によって検出されるものであり、ステアリングレバー61の操作位置をリンク機構などの機械的連係機構で操向機構などに連係させるような構造のものではなく、ボックス本体60内の各機器は導電線や信号線からなるハーネス66を介して連係対象の装置と連係されている。
【0050】
上記のステアリングレバー61を右方向に揺動操作すると、ボックス本体60に内装されている図示しない位置検出体の検出結果に基づいて、クローラ式走行装置10が右方向に旋回するように操向操作され、ステアリングレバー61を左方向に揺動操作すると、ボックス本体60に内装されている図示しない位置検出体の検出結果に基づいて、クローラ式走行装置10が左方向に旋回するように操向操作される。
また、ステアリングレバー61を前方に揺動操作すると、ボックス本体60に内装されている図示しない位置検出体の検出結果に基づいて、フィーダ40及び刈取部41が、ステアリングレバー61の操作位置に対応した速度で下降する。同様に、ステアリングレバー61を後方に揺動操作すると、フィーダ40及び刈取部41が、ステアリングレバー61の操作位置に対応した速度で上昇する。中立位置からの揺動操作量が多い程、下降速度または上昇速度が速くなる。ステアリングレバー61の揺動操作を止めて中立位置に保持すると、フィーダ40及び刈取部41はその位置で停止する。
【0051】
前記操作ボックス6に装備されているコンビネーションスイッチ62は、図12及び図13に示すように、中央の押しボタン62aを押すことで警報用のフォーンを鳴らし、押しボタン62aの周部に備えたレバー62bを回動操作することで前照灯53aの入り切り操作を行うように構成されている。
さらに前記操作ボックス6には、キーを差し込んでエンジン14を始動及び停止可能なスタータスイッチを操作するためのキースイッチ63も装備されている。
【0052】
図12及び図13に示すように、前記操作ボックス6に導入される導電線、及び信号線などのハーネス66は、運転キャビン5の右前方側の支柱52aに沿って、その支柱52aとは別個に運転キャビン内部に配設されたハーネスカバー65に内装されている。
したがって、ハーネス66の配線や点検等の必要が生じた場合には、前記支柱52aを分解するような作業を要さず、ハーネスカバー65を着脱あるいは分解することで簡単に内部のハーネス66に対する作業を行うことができる。
【0053】
〔サイドパネルボックス〕
運転キャビン5内での運転座席50の左横側部には、図7乃至図9に示すようにサイドパネルボックス7が設けられている。
このサイドパネルボックス7は、図8及び図9に示すように、その上面が前記運転座席50の座面50aよりも低く形成されているとともに、走行用の主変速レバー72等が配設されたボックス主部70と、前記ボックス主部70の前端側に位置して計器類が配設された計器類配置部71とを備えている。
【0054】
前記ボックス主部70は、運転座席50から遠い側で走行用の主変速レバー72や副変速レバー73などの各種レバー類が配設された外側部分70Aと、運転座席50に近い側で各種の操作スイッチやダイヤル操作具等を備えた第1パネル80が配設されている内側部分70Bとを備えている。
この内側部分70Bに備えた各種の操作スイッチやダイヤル操作具を備えた部分が、後述する作業操作パネル8の作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具を配備した第1パネル部分80を構成している。
前記主変速レバー72及び副変速レバー73などの各種レバー類の握り部は前記座面50aよりも高い位置にあるように取り付けられている。
【0055】
前記ボックス主部70では、運転座席50から遠い側の外側部分70Aに、機械的連係機構(図示せず)を介して各種関連装置(図外)に連係される走行用の主変速レバー72や副変速レバー73などの各種レバー類を配設してあり、その外側部分70Aよりも運転座席50に近い側の内側部分70Bに、機械的連係機構を用いずに電気的に各種関連機器と接続されるところの前記第1パネル部分80が配設されている。
そして、図8、9、及び図10に示すように、前記外側部分70Aは運転キャビン5の床板51から立設された箱状に形成されているものであるが、前記内側部分70Bは、外側部分70Aの上部から運転座席50側に張り出すように膨出形成してあり、その内側部分70Bの下方側には、前記運転座席50から離れる方向に凹入するに凹入空間S2を設けてある。
【0056】
上記外側部分70Aに設けられる主変速レバー72や副変速レバー73などの各種レバー類は、図5及び図9に示すように、その握り部近くが、運転キャビン5の左側面箇所の左横側壁56、もしくは横窓56aから離れて運転座席50が存在する側へ近づくように傾斜させてある。
つまり、前記外側部分70Aの上面のレバーガイドから上向きに突出した主変速レバー72のレバー基部が前方右方に屈曲し、前記外側部分70Aの上面のレバーガイドから上向きに突出した副変速レバー73などのレバー基部が運転座席50側に屈曲している。
【0057】
前記計器類配置部71では、通常の刈取脱穀作業中に目視する頻度の高い計器類を備えた計器表示部71aが樹脂製のケースに収容された状態で設けてあり、メータパネルとして機能するものであり、前記ボックス主部70の機体前方側の端部に一体的に取り付けてある。
前記計器表示部71aでは、例えば、中央部に実際の作業車速を表示する作業速度計やエンジン回転数からの負荷を表示する負荷表示メータなどが設けられ、その両側には、例えばエンジン回転計や燃料計が設けられている。
この計器類配置部71は、各種計器部分を液晶などの画像表示手段で表示するようにしたものであってもよい。
【0058】
図6及び図9に示されるように、前記計器類配置部71は、上下方向の厚みが前記ボックス主部70と比べると薄いものであり、上面はボックス主部70と同一面上にあるようにボックス主部70の前端上部から斜め右方前方側へ片持ち状に連設されている。
したがって、計器類配置部71の下面と運転キャビン5の床面5Aとの間には上下方向での間隔が生じ、また、ボックス主部70の前端縁70aと前方のフロントガラス54の内面との間にも前後方向での間隔が生じている。つまり、前記計器類配置部71の下側に相当する箇所には、運転座席50側からサイドパネルボックス7が存在する側の運転キャビン5の側部下方を目視可能な開放空間S1が形成されている。
前記ボックス主部70の前端縁70aは、図6及び図9に示されるように、フロントガラス54の内面の傾斜に沿って、下方側ほど機体後方側に位置するように傾斜する形状に形成されている。
【0059】
前記ボックス主部70の前端部から延出される計器類配置部71は、図7及び図9に示されるように、前記フロントガラス54の両端側に位置する機体前方側の左右一対の支柱52a,52bの下端、及び運転キャビン5の床面5Aの前縁よりも機体前方側へ延出されている。
そして、この計器類配置部71は、前記ボックス主部70の前端部から前方側へ延出されている前縁側がフロントガラス54の背面に沿うように屈曲形成されて、平面視では、運転座席50に近い後方側が直線的な側縁を有し、フロントガラス54に近い前方側がフロントガラス54の内面形状に近い湾曲した側縁を備えている。
さらに、この計器類配置部71は、図7乃至図9に示すように、計器類配置部71の上面が、水平面に対して運転座席50に対する遠近方向で、運転座席50に近い側よりも遠い側ほど上方に位置する傾斜姿勢に設けてあり、かつ、ボックス主部70の前端部からの延出方向で、計器類配置部71の延出端側ほど下方側に位置する先端下がりの傾斜姿勢に設けてある。
【0060】
これによって、前記計器類配置部71を、例えば、その計器表示部71aで各種計器部分が機体前後方向に並べて配設してある構造のものに比べ、前記計器表示部71aでの各種計器部分がフロントガラス54の背面に沿う方向で並ぶ状態となる。このため、前述のように各種計器部分が機体前後方向に並ぶ構造のものに比べ、運転座席50から各計器部分が配置されている箇所までの距離の差を少なくし得て、機体前方側に位置するものほど運転座席50からの距離が遠くなって見難いというような不具合を招くことなく、目視し易くなる利点がある。
さらに、前記計器類配置部71の計器表示部71aが水平面に対して運転座席50に近い側よりも遠い側ほど上方に位置する傾斜姿勢に設けてあることでより一層目視し易くなり、また、図8及び図9に示すように、ボックス主部70の前端部からの延出方向で、計器類配置部71の延出端側ほど下方側に位置する先端下がりの傾斜姿勢に設けてあることにより、運転座席50の直前方の視界をより広く確保し易い点でも有利である。
それでいて、前記計器類配置部71はボックス主部70側から片持ち状で延出され、計器類配置部71の下側には前記開放空間S1が存在し、計器類配置部71の下側に前方視界を遮るものが存在していないので、運転座席50側から計器類配置部71の下側を通して運転キャビン5の前方側の側部下方をも目視し易いものである。
【0061】
前記内側部分70Bは、図7に示すように、その機体前方側の前端縁部76が、前記外側部分70Aと、これに接続される計器類配置部71との接続箇所75よりも機体後方側に位置するように形成されている。また、この内側部分70Bの前端縁部76は、運転座席50に近づく側ほど後方に位置するように平面視で傾斜した形状に形成されている。
これによって、前記内側部分70Bの前端縁部76と前記計器類配置部71の内向きの側縁との間で、計器類配置部71とボックス主部70との接続箇所75を含んでその前後に位置するキャビン室内側の側縁部分に、平面視で運転座席50から離れる方向に凹入する形状の凹入部S3が形成されている。
このように、計器類配置部71とボックス主部70との接続箇所75を含む位置のキャビン室内側の側縁部分に凹入部S3が形成されたことで、計器類配置部71やボックス主部70よりも高い位置である運転座席50に塔座している操縦者の視点から、運転キャビン5の前方側の側部下方をさらに目視し易くすることができる。
【0062】
また、前記凹入部S3が形成された箇所と平面視で重合する運転キャビン5の床面5A上には、図7乃至図9に示すように、駐車ブレーキペダル94が配設されている。
これによって、運転座席50に搭座する操縦者が駐車ブレーキペダル94を踏み込む際に、運転座席50の座面50aよりも低い位置にあるサイドパネルボックス7の存在によって邪魔されることなく、前記凹入部S3に脚部を入り込ませた状態で駐車ブレーキペダル94を踏み込み操作することができる。
【0063】
〔作業操作パネル〕
作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具を配備した操作面を備える作業操作パネル8は、図5乃至図11に示すように、前記サイドパネルボックス7の上面に設けられた第1パネル部分80と、左前方側の支柱52b(サイドパネルボックス7とは別に設けてある運転キャビン5内の固定部に相当する)に設けられた第2パネル部分81とで構成されている。
【0064】
前記第1パネル部分80は、サイドパネルボックス7のボックス主部70の上面で、運転座席50に近い側の内側部分70Bに設けてあり、ボックス主部70の上面に沿う操作面を備えている。この操作面に、手動操作式の機体姿勢制御スイッチ82、自動姿勢制御スイッチ83、及び手動操作によるダイヤル操作式のオートアクセル設定器84等が配備されている。
【0065】
前記手動操作式の機体姿勢制御スイッチ82は、右上げスイッチ82a、水平スイッチ82b、左上げスイッチ82c、及び上昇スイッチ82d、下降スイッチ82eを備え、自動姿勢制御スイッチ83が入り状態であるときには、前記自動制御の目標となる位置を設定するものであり、自動姿勢制御スイッチ83が切り状態であるときには、右上げスイッチ82a、水平スイッチ82b、左上げスイッチ82cの各スイッチを押し操作している間だけ機体右上がり、水平、あるいは左上がりに制御し、スイッチの押し操作をやめるとその位置で停止するように構成されている。
そして、前記上昇スイッチ82d、及び下降スイッチ82eは、自動姿勢制御スイッチ83が入り状態であるときには、この上昇スイッチ82d、又は下降スイッチ82eが押し操作されている間だけ機体全体を上昇又は下降させ、スイッチの押し操作をやめると下限位置まで機体が下降するように制御される。自動姿勢制御スイッチ83が切り状態であるときには、この上昇スイッチ82d、又は下降スイッチ82eが押し操作されている間だけ機体全体を上昇又は下降させ、スイッチの押し操作をやめるとその位置で機体を保持するように制御される。
【0066】
前記自動姿勢制御スイッチ83は、機体の左右の自動水平制御を入り切り操作するものであり、入り操作で機体の左右の自動水平制御を行い、その自動水平制御を行いながらの作業が行われた後に、図示されていない脱穀クラッチ又は刈取クラッチを切り操作するか、あるいは自動姿勢制御スイッチ83を再び押して切り状態に操作することによって、機体を下限位置まで下降させるように構成されている。
【0067】
前記オートアクセル設定器84は、エンジン回転数をダイヤルで設定した回転数まで上昇させるためのものであり、このオートアクセル設定器84が入り状態であるときに、脱穀クラッチ、又は刈取クラッチを入り操作する、又は機体走行を開始すると、自動的に設定された回転数までエンジン回転を上昇させるように制御する。オートアクセル設定器84が切り状態であるときには、常にダイヤルで設定された回転数で駆動されるように構成してある。
【0068】
前記第2パネル部分81は、図6及び図9に示すように、左前方側の支柱52bの上下方向での中間部に位置し、操作面が前記支柱52bの上下方向と平行であるように、上下方向に沿って設けられている。
つまり、上下方向では、図8及び図9に示されているように、第2パネル部分81は、その下端側がサイドパネルボックス7の上面に操作面を沿わせて設けた第1パネル部分80や、運転座席50の座面50aよりも高い位置にあり、かつ上端側は、サイドパネルボックス7の上面側で上方に突出している主変速レバー72の握り部72a、及び操作ボックス6に設けたステアリングレバー61の握り部よりも高い位置にある。
【0069】
この第2パネル部分81の前後方向での位置は、図6乃至図9に示されているように、サイドパネルボックス7の前方側箇所であるところの、前記主変速レバー72よりも前方側における左前方側の支柱52bに設けられている。
そして、この第2パネル部分81の水平方向での位置は、図7に示されているように、サイドパネルボックス7の前方側箇所で、前記主変速レバー72よりも前方側において、運転座席50の座面50aの中央位置Oから前記第2パネル部分81への投影方向で前記左前方側の支柱52bと重複する状態で左前方側の支柱52bに取り付けられている。
つまり、図7に示すように、第2パネル部分81は、その操作面が前記運転座席50側に向かうように、運転キャビン5の斜め後方側の中央部に向けた状態で支柱52bに取り付けてあり、前記運転座席50の座面50aの中央位置Oから前記第2パネル部分81の左右各側縁への投影線L3,L4の間に位置する範囲と重複する箇所に前記左前方側の支柱52bが存在する状態で取り付けられている。
【0070】
また、この第2パネル部分81は、左右方向幅が支柱52bの左右方向幅よりも少し広く形成してあり、かつ上下方向長さは左右方向幅よりも数倍大きい寸法に形成された縦長形状のものである。
そして、運転キャビン5の室内側に向く操作面に作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具が装備されるものであるが、この操作面の向きは、図7に示すように、運転座席50の座面50aの中央位置Oに対して、平面視でも、側面視でも垂直な面で構成されているのではなく、平面視では操作面に対する垂直線が前記座面50aの中央位置Oの外側に少し外れるように内側後方向きの面で構成されている。
また、側面視では、操作面に対する垂直線が水平線に対して少し上向きとなるように、支柱52bの前方斜め上方に傾斜する部位に取り付けてあって、上向きの面で構成されている。
【0071】
第2パネル部分81の操作面には、作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具として、刈取関連操作具85、リール変速操作具86、及び脱穀関連操作具87が、操作頻度、あるいは目視頻度を考慮して、この順で上方から頻度の高い順番に備えられている。
【0072】
前記刈取関連操作具85は、自動刈高さスイッチ85aと、刈高さ調節ダイヤル85bと、対地平行自動スイッチ85cと、オートクラッチ切換スイッチ85dとを備えて構成されている。
【0073】
前記自動刈高さスイッチ85aは、刈取作業中における刈高部の高さを一定に保つための自動刈高さ制御の入り切りをするためのスイッチであり、押し操作の都度、入り状態と切り状態とが切り替わり、入り状態であるときに表示ランプが点灯するように構成されている。
刈高さ調節ダイヤル85bは、刈取部41の高さ調節を行うダイヤル操作具であり、時計方向に回すと刈高さが高くなり、反時計方向に回すと低くなるように構成されている。
対地平行自動スイッチ85cは、刈取部41を自動的に地面に対して平行となるように姿勢変更する対地平行自動制御を入り切り操作するためのスイッチであり、押し操作の都度、入り状態と切り状態とが切り替わり、入り状態であるときに表示ランプが点灯するように構成されている。
オートクラッチ切換スイッチ85dは、パワーステアリングレバーを操作して刈取部41が地面から予め設定された高さまで上昇すると刈取搬送装置4の駆動を停止し、その後、予め設定された高さまで下降すると再度刈取搬送装置4の駆動を開始するように刈取オートクラッチ(図外)を入り切り操作するためのスイッチであり、押し操作の都度、入り状態と切り状態とが切り替わるとともに、入り状態を示す表示ランプと、切り状態を示す異なる色の表示ランプとを備えている。
【0074】
リール変速操作具86は、リール変速自動スイッチ86aと、リール変速調節ダイヤル86bとを備えて構成されている。
【0075】
前記リール変速自動スイッチ86aは、刈取作業中のリール装置42の回転数を刈取速度(機体の走行速度)に応じて自動的に最適なリール回転数となるように、自動リール回転制御を入り切りするためのスイッチであり、押し操作の都度、入り状態と切り状態とが切り替わり、入り状態であるときに表示ランプが点灯するように構成されている。
リール変速調節ダイヤル86bは、作物の刈り取り方向や倒伏状態に応じて、刈取速度に対する基準となるリール回転数の調整を行うためのダイヤルであり、時計回りに回すと高くなり、反時計回りに回すと低くなるように構成してある。
【0076】
脱穀関連操作具87は、作物選択スイッチ87aと、チャフ調節ダイヤル87bとを備えて構成されている。
【0077】
作物選択スイッチ87aは、作物の種類に合わせて扱胴20の駆動速度などの脱穀条件を選択するためのスイッチであり、作物選択スイッチ87aを押すと、順に「稲」、「麦」、「豆」の順番で表示状態が切り替わり、選択された作物を示すランプが点灯する。
チャフ調節ダイヤル87bは、シーブケース(図外)内におけるチャフシーブ(図外)の開度調節を行うためのダイヤルであり、時計方向に回すと開度が大きくなり、反時計方向に回すと開度が小さくなるように構成されている。
【0078】
上記第2パネル部分81に備えられた刈取関連操作具85、リール変速操作具86、及び脱穀関連操作具87に対する通電用のハーネスは、図示しないハーネスカバーを介してサイドパネルボックス7内に導かれ、所要の関連機器と接続されている。
【0079】
〔その他〕
上記のように構成された普通型コンバインでは、フロントガラス54が単なる扁平ガラスではなく、水平面に対して下方側部分よりも上方側部分での傾斜角度が大きい傾斜面を有した湾曲形状に形成されているので、運転キャビン5の室内側から前方下方の覗き込みを良好に行うことができ、かつ、運転キャビン5内で運転座席50の左側に配設されるサイドパネルボックス7の前部に位置する計器類配置部71と運転キャビン5の床面5Aとの間に開放空間S1を形成して、図8に示すように運転座席50から左右方向の視野β1を、前記開放空間S1が形成されない場合の視野β2に比べて広く確保することができる。
これによって、図3に示すように、刈取搬送装置4の刈取部41における右端(既刈り側)で、運転キャビン5と刈取部41との間から刈取搬送装置4の通過後における地面の刈り残しの有無を見るための一つのチェックポイントCP1、及び、刈取部41からフィーダ40への受け継ぎ箇所での受け継ぎ状態が良好であるか否かを確認するための他のチェックポイントCP2での目視を行い易くなっている。
【0080】
〔別実施形態の1〕
フロントガラス54は、実施の形態で示したように、上下方向と左右方向との互いに交差する複数の軸線周りでの曲率を有した複曲面によって構成されたものに限らず、例えば水平方向の軸線周りでの曲率を有した単曲面で構成されたものであってもよい。
この場合、運転キャビン5の床面5Aの前端縁は直線形状になるが、機体前方側の左右一対の支柱52a,52b(フロントピラーに相当する)は、フロントガラス54の左右方向の両端縁形状に沿って、側面視で水平面に対する下方側部分の傾斜角度θ1よりも上方側部分での傾斜角度θ2が大きくなるように湾曲した形状となるように形成すればよい。
その他の構成は前述した実施形態のものと同様である。
【0081】
〔別実施形態の2〕
フロントガラス54は、実施の形態で示したように、上下方向と左右方向との互いに交差する複数の軸線周りでの曲率を有した複曲面によって構成されたもの、あるいは単曲面で形成されたものに限らず、例えば、側面視で水平面に対する下方側部分の傾斜角度θ1よりも上方側部分での傾斜角度θ2が大きい屈折形状となるように、複数の扁平ガラスを組み合わせて形成してもよい。
この場合も、運転キャビン5の床面5Aの前端縁は直線形状になるが、機体前方側の左右一対の支柱52a,52b(フロントピラーに相当する)は、フロントガラス54の左右方向の両端縁形状に沿って、側面視で水平面に対する下方側部分の傾斜角度θ1よりも上方側部分での傾斜角度θ2が大きくなるように屈折した形状となるように形成すればよい。
その他の構成は前述した実施形態のものと同様である。
【0082】
〔別実施形態の3〕
上記実施形態では、フロントガラス54を屋根部53から床面5Aに達する範囲に設けたものであるが、これに限られるものではなく、例えば、フロントガラス54の下端が運転座席50の座面50aよりも下側で前記床面5Aよりも高い位置にまで達する範囲としてもよい。
この場合、フロントガラス54の下端が床面5Aに達する範囲にまで設けたものに比べれば運転キャビン5の前方下方側の視野は狭くなるが、フロントガラス54が単なる扁平ガラスではなく、側面視で水平面に対する下方側部分の傾斜角度θ1よりも上方側部分での傾斜角度θ2が大きくなるような傾斜を有したものであることによって、運転座席50を運転キャビン5内でかなり前方側へ配設できるものであるから、フロントガラス54が着座した操縦者の腰部付近にまでしか達していないような構造のものと比べて、運転キャビン5の前方下方側の視野をかなり大きく確保して、運転キャビン5の直前の下方に近い側まで操縦者は視線を落とすことができる。
その他の構成は前述した実施形態のものと同様である。
【0083】
〔別実施形態の4〕
作業操作パネル8は、サイドパネルボックス7の上面側に設けた第1パネル部分80とフロントピラーに相当する左前方側の支柱52bに支持させた第2パネル部分81との組み合わせで構成されたものに限らず、例えば、サイドパネルボックス7に設けずに、フロントピラーに相当する左前方側の支柱52bに支持させた構造のみによって構成してもよい。
この場合、作業操作パネル8を、第1パネル部分80と第2パネル部分81とに区分して設けてもよいが、特に区分しなくて単一のパネル部分の操作面に、作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具の少なくともいずれか一方の複数種のものが組み込まれたパネルユニットによって構成したものであってもよい。
その他の構成は前述した実施形態のものと同様である。
【0084】
〔別実施形態の5〕
第2パネル部分81は、実施の形態で示したように、フロントピラーに相当する左前方側の支柱52bに支持させた構造のものに限らず、例えば、右前方側の支柱52aに支持させた構造のものであってもよい。
このように第2パネル部分81を右前方側の支柱52aに支持させる場合には、第2パネル部分81は操作ボックス6のボックス本体60の上面よりも上方側に設けるのが望ましい。
また、このように第2パネル部分81を右前方側の支柱52aに支持させた構造であると、特に自脱型コンバインでは、刈取対象茎稈の刈り残しの有無を確認するために刈取部41の右側を注目しながら作業する場合に、近くにある第2パネル部分81を操作する際に便利である。
その他の構成は前述した実施形態のものと同様である。
【0085】
〔別実施形態の6〕
第2パネル部分81の操作面は、実施の形態で示したように、下端側がサイドパネルボックス7の上面よりも高い位置にあり、上端側は、サイドパネルボックス7の上面側で上方に突出している主変速レバー72の握り部72a、及び操作ボックス6に設けたステアリングレバー61の握り部よりも高い位置にあるというものに限らず、例えば、次のように構成されたものであってもよい。
つまり、操作面の全体が主変速レバー72の握り部72aの上端よりも上側に位置するようなものであっても、その操作面の下端部が主変速レバー72の握り部72aと同程度とみられる程度であれば多少上方側に位置していてもよい。
また、操作面の全体が主変速レバー72の握り部72aの上端よりも下側に位置するようなものであっても、その操作面の上端部が主変速レバー72の握り部72aと同程度とみられる程度であれば多少下方側に位置していてもよい。
その他の構成は前述した実施形態のものと同様である。
【0086】
〔別実施形態の7〕
第2パネル部分81は、その操作面が、実施の形態で示したように、運転座席50の座面50aの中央位置Oから第2パネル部分81の左右各側縁への投影線L3,L4の間に位置する範囲と重複する箇所に、左前方側の支柱52bが存在する状態で取り付けられているものに限らず、例えば、前記左前方側の支柱52bが前記左右各側縁への投影線L3,L4の左右何れかの外側へ部分的にはみ出している、もしくは左前方側の支柱52bの全体が前記左右各側縁への投影線L3,L4の左右何れの外側、あるいは両外側に位置しているものであってもよい。
その他の構成は前述した実施形態のものと同様である。
【0087】
〔別実施形態の8〕
第2パネル部分81は、その操作面が、実施の形態で示したように、平面視では操作面に対する垂直線が前記座面50aの中央位置Oの外側に少し外れるように内側後方向きの面で構成されているものに限らず、例えば、前記操作面に対する垂直線が前記座面50aの中央位置Oと一致する状態、もしくは、操作面に対する垂直線が、前記座面50aの中央位置Oの外側とは逆に、前記座面50aの中央位置Oの内側に外れるように、より内向きの面で構成されたものであってもよい。
また、側面視では、操作面に対する垂直線が水平線に対して少し上向きとなるように、上向きの面で構成されているものに限らず、操作面に対する垂直線が水平線と平行であるように水平方向に向く面、もしくは、操作面に対する垂直線が水平線に対して少し下向きとなるように下向きの面に構成されたものであってもよい。
その他の構成は前述した実施形態のものと同様である。
【0088】
〔別実施形態の9〕
第2パネル部分81は、実施の形態で示したように、操作面に、作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具として、刈取関連操作具85、リール変速操作具86、及び脱穀関連操作具87を、この順で上方から順番に備えたものであるが、これに限らず、例えば、その配置の順を変更したり、一部を省略したり、別の操作具を付設してもよい。
また、操作指令を入力するための操作指令具を備えずに表示ランプや液晶表示などの表示用機器のみを備えるように構成してもよく、また、操作指令具のみを備えるように構成してもよい。
その他の構成は前述した実施形態のものと同様である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明に係るコンバインの構成は、実施の形態で示したような普通型コンバインに限らず自脱型コンバインにも適用可能であり、また、稲、麦等の穀物を収穫するコンバインに限らず、大豆などの豆類や菜種などを収穫するコンバインに適用してもよい。
【符号の説明】
【0090】
5 運転キャビン
7 サイドパネルボックス
8 作業操作パネル
50 運転座席
50a 座面
52a,52b フロントピラー
53 屋根部
54 フロントガラス
72 主変速レバー
72a 握り部
80 第1パネル部分
81 第2パネル部分
O 中央位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転キャビン内に運転座席を配備してあり、前記運転キャビンの左右一対のフロントピラーの間にフロントガラスを設け、前記運転座席の横側部に、走行用の主変速レバーが配設されたサイドパネルボックスを配備してあるコンバインであって、
作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具の少なくともいずれか一方を配備した操作面を備える作業操作パネルを、前記フロントピラーに設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記作業操作パネルは、前記操作面に、作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具の少なくともいずれか一方の複数種が一体的に組み込まれたパネルユニットによって構成されている請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記作業操作パネルは、前記運転座席の座面の中央位置から前記フロントピラーへの投影方向で前記フロントピラーと重複する位置に取り付けられている請求項1又は2記載のコンバイン。
【請求項4】
前記作業操作パネルは、その操作面が前記運転座席側に向かうように、内側後方に向けて設けられている請求項1〜3のいずれか一項記載のコンバイン。
【請求項5】
前記作業操作パネルは前記フロントピラーの上下方向に沿って縦長形状に形成されている請求項1〜4のいずれか一項記載のコンバイン。
【請求項6】
前記作業操作パネルは、前記サイドパネルボックスの上面に設けられた第1パネル部分と、前記サイドパネルボックスの前記主変速レバーよりも前方側箇所に位置する前記フロントピラーに設けられた第2パネル部分との組み合わせによって構成してあり、このうち前記第2パネル部分が、前記第1パネル部分よりも高い位置で、上下方向に沿う前記操作面を備えたものであることを特徴とするコンバイン。
【請求項7】
前記第2パネル部分は、前記運転キャビン内の左右方向で前記走行用の主変速レバーが配設された側に配備されている請求項6記載のコンバイン。
【請求項8】
前記フロントガラスは、前記運転キャビンの屋根部から前記運転座席の座面よりも下方にわたる範囲に設けられている請求項1〜7のいずれか一項記載のコンバイン。
【請求項1】
運転キャビン内に運転座席を配備してあり、前記運転キャビンの左右一対のフロントピラーの間にフロントガラスを設け、前記運転座席の横側部に、走行用の主変速レバーが配設されたサイドパネルボックスを配備してあるコンバインであって、
作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具の少なくともいずれか一方を配備した操作面を備える作業操作パネルを、前記フロントピラーに設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記作業操作パネルは、前記操作面に、作業関連情報を表示する表示用機器、あるいは作業関連装置に対する操作指令を入力するための操作指令具の少なくともいずれか一方の複数種が一体的に組み込まれたパネルユニットによって構成されている請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記作業操作パネルは、前記運転座席の座面の中央位置から前記フロントピラーへの投影方向で前記フロントピラーと重複する位置に取り付けられている請求項1又は2記載のコンバイン。
【請求項4】
前記作業操作パネルは、その操作面が前記運転座席側に向かうように、内側後方に向けて設けられている請求項1〜3のいずれか一項記載のコンバイン。
【請求項5】
前記作業操作パネルは前記フロントピラーの上下方向に沿って縦長形状に形成されている請求項1〜4のいずれか一項記載のコンバイン。
【請求項6】
前記作業操作パネルは、前記サイドパネルボックスの上面に設けられた第1パネル部分と、前記サイドパネルボックスの前記主変速レバーよりも前方側箇所に位置する前記フロントピラーに設けられた第2パネル部分との組み合わせによって構成してあり、このうち前記第2パネル部分が、前記第1パネル部分よりも高い位置で、上下方向に沿う前記操作面を備えたものであることを特徴とするコンバイン。
【請求項7】
前記第2パネル部分は、前記運転キャビン内の左右方向で前記走行用の主変速レバーが配設された側に配備されている請求項6記載のコンバイン。
【請求項8】
前記フロントガラスは、前記運転キャビンの屋根部から前記運転座席の座面よりも下方にわたる範囲に設けられている請求項1〜7のいずれか一項記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−21975(P2013−21975A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159893(P2011−159893)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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