説明

コンピュータカラーマッチング方法、カラーマッチング装置及びプログラム

【課題】下地の意匠性を生かす隠蔽性の低い着色材及び白顔料の配合計算を自動的に行うことができるコンピュータカラーマッチング方法を提供する
【解決手段】所定種類の下地の画像及び複数の着色材を種類の下地に塗布してなるサンプルの画像、複数の着色材のうち少なくとも一部に対して白顔料を混ぜ合わせてなる混合着色材を種類の下地に塗布してなるサンプルの画像、所与の着色材を種類の下地に塗布してなる塗装見本の画像を取得する工程と、種類の下地の画像の色情報に関するばらつき程度、サンプルの画像の色情報に関するばらつき程度、塗装見本の画像の色情報に関するばらつき程度を算出する工程と上記各ばらつき程度に基づいて、各着色材、混合着色材及び所与の着色材について、種類の下地を遮蔽する程度を示すぼかし評価値データを算出する工程と、それらぼかし評価値データに基づいて所与の着色材に応じた各着色材及び白顔料の配合を決定する工程とを含む

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンピュータカラーマッチング方法、カラーマッチング装置及びプログラムに関し、隠蔽性の低い着色材及びそれに混ぜる白顔料の配合計算を好適に行うことができるコンピュータカラーマッチング方法、カラーマッチング装置及びプログラムを提供することにある。
【背景技術】
【0002】
隠蔽度が比較的大きな着色材に関しては、クベルカ・ムンクの光学濃度式やダンカンの混色理論を利用したコンピュータカラーマッチング(以下CCMという)により、その配合計算が可能であり、例えば下記特許文献1に記載のように、その自動化が進展している。
【特許文献1】特開平11−228877号公報
【0003】
また、下地の意匠性を生かすために、あまり隠蔽性を持たせずに着色を行う場合も、同様の式を利用して、下地の変化を考慮した配合計算を行うことで、CCMが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような隠蔽性の低い着色材とともに白顔料を使用して、下地感を多少ぼかす場合の調色については、現在までCCMでは実現されておらず、人間の勘と経験に頼って調色が行われている。
【0005】
本来、白顔料のような散乱成分が非常に強い着色材に関するCCMには、ダンカンの混色理論を用いた2定数法を使用してCCM計算を実施すべきである。しかし、この理論モデルは隠蔽が十分で下地が見えないということが条件となっており、隠蔽性の低い着色材に対して、この式を使用して計算しても運用に十分な精度が出ない。
【0006】
また、木材のように模様が可変的な下地を用いる場合、一定数法を使用して下地色を考慮した計算を行う方法があるが、この場合、着色目的ではない白顔料の配合を計算することが出来ない。
【0007】
さらに、白顔料を使用する目的としては、ぼかし効果を出すことがあり、CCM装置に使用される測色計では、このぼかし感を評価することが出来ない。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、下地の意匠性を生かす隠蔽性の低い着色材及び白顔料の配合計算を自動的に行うことができるコンピュータカラーマッチング方法、カラーマッチング装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るコンピュータカラーマッチング方法は、所定種類の下地の画像を取得する工程と、複数の着色材を前記種類の下地に塗布してなるサンプルの画像を取得する工程と、前記複数の着色材のうち少なくとも一部に対して白顔料を混ぜ合わせてなる混合着色材を作成する工程と、前記混合着色材を前記種類の下地に塗布してなるサンプルの画像を取得する工程と、所与の着色材を前記種類の下地に塗布してなる塗装見本の画像を取得する工程と、前記種類の下地の画像の色情報に関するばらつき程度と、前記サンプルの画像の色情報に関するばらつき程度と、に基づいて、前記各着色材及び前記混合着色材について、前記種類の下地を遮蔽する程度を示すぼかし評価値データを算出する工程と、前記種類の下地の画像の色情報に関するばらつき程度と、前記塗装見本の画像の色情報に関するばらつき程度と、に基づいて、前記所与の着色材について、前記ぼかし評価値データを算出する工程と、前記各着色材及び前記混合着色材について算出される前記ぼかし評価値データと、前記所与の着色材について算出される前記ぼかし評価値データと、に基づいて、前記所与の着色材に応じた前記各着色材及び前記白顔料の配合を決定する工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るカラーマッチング装置は、所定種類の下地の画像の色情報に関するばらつき程度と、複数の着色材を前記種類の下地に塗布してなるサンプル並びに前記複数の着色材のうち少なくとも一部に対して白顔料を混ぜ合わせてなる混合着色材を前記種類の下地に塗布してなるサンプルの画像の色情報に関するばらつき程度と、に基づいて、前記各着色材及び前記混合着色材について、前記種類の下地を遮蔽する程度を示すぼかし評価値データを算出する手段と、前記種類の下地の画像の色情報に関するばらつき程度と、所与の着色材を前記種類の下地に塗布してなる塗装見本の画像の色情報に関するばらつき程度と、に基づいて、前記所与の着色材について、前記ぼかし評価値データを算出する手段と、前記各着色材及び前記混合着色材について算出される前記ぼかし評価値データと、前記所与の着色材について算出される前記ぼかし評価値データと、に基づいて、前記所与の着色材に応じた前記各着色材及び前記白顔料の配合を決定する手段と、を含むことを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明に係るプログラムは、所定種類の下地の画像の色情報に関するばらつき程度と、複数の着色材を前記種類の下地に塗布してなるサンプル並びに前記複数の着色材のうち少なくとも一部に対して白顔料を混ぜ合わせてなる混合着色材を前記種類の下地に塗布してなるサンプルの画像の色情報に関するばらつき程度と、に基づいて、前記各着色材及び前記混合着色材について、前記種類の下地を遮蔽する程度を示すぼかし評価値データを算出する手段、前記種類の下地の画像の色情報に関するばらつき程度と、所与の着色材を前記種類の下地に塗布してなる塗装見本の画像の色情報に関するばらつき程度と、に基づいて、前記所与の着色材について、前記ぼかし評価値データを算出する手段、及び前記各着色材及び前記混合着色材について算出される前記ぼかし評価値データと、前記所与の着色材について算出される前記ぼかし評価値データと、に基づいて、前記所与の着色材に応じた前記各着色材及び前記白顔料の配合を決定する手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0012】
ここで、前記ばらつき程度は、画像の色情報に基づいて算出される各画素の明度の分散又は標準偏差であってもよい。また、前記ぼかし評価値データは、前記種類の下地の画像の色情報に関するばらつき程度と、前記サンプルの画像の色情報に関するばらつき程度と、の差であってもよい。
【0013】
また、前記配合を決定する工程は、前記所与の着色材に応じた前記各着色材及び前記白顔料の配合の候補について、前記各着色材及び前記混合着色材について算出される前記ぼかし評価値データに基づいて、前記ぼかし評価値データの予測値を算出する工程をさらに含み、前記配合の候補について算出されるぼかし評価値データの予測値と、前記所与の着色材について算出される前記ぼかし評価値データと、に基づいて、前記配合の候補を評価するようにしてもよい。
【0014】
この場合、前記配合を決定する工程は、前記サンプルの各分光反射率データを記憶手段に記憶させる工程と、前記塗装見本の分光反射率データを取得する工程と、前記記憶手段に記憶される前記サンプルの分光反射率データと、前記塗装見本の分光反射率データと、に基づいて、前記所与の着色材に応じた前記各着色材及び前記白顔料の配合の候補を算出する工程をさらに含むようにしてもよい。
【0015】
さらに、前記配合を決定する工程は、前記記憶手段に記憶される、前記混合着色材を前記種類の下地に塗布してなるサンプルの分光反射率データを用いた内挿処理又は外装処理により、前記複数の着色材の前記一部に対して所与の割合で白顔料を混ぜ合わせてなる前記混合着色材について、分光反射率データの予測値を算出する工程をさらに含むようにしてもよい。
【0016】
また、前記混合着色材について算出される前記ぼかし評価値データを用いた内挿処理又は外挿処理により、前記複数の着色材の前記一部に対して所与の割合で白顔料を混ぜ合わせてなる前記混合着色材について、前記ぼかし評価値データの予測値を算出する工程をさらに含み、前記配合を決定する工程は、前記混合着色材について算出される前記ぼかし評価値データの予測値と、前記所与の着色材について算出される前記ぼかし評価値データと、に基づいて、前記所与の着色材に応じた前記各着色材及び前記白顔料の配合を決定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、下地の意匠性を生かす隠蔽性の低い着色材及び白顔料の配合計算を自動的に行うことができるようになる。例えば、木目を生かす木工用塗料及び白顔料の配合計算を自動化することができ、調色時間を大幅に短縮させることができる。また、色のみならず、ぼかし感を数値により客観的に評価することができるので、人による判断の違いを減らすことができる。また、このように信頼性の高いCCMが実現されることにより、実際の調色回数を削減でき、これにより材料コストを削減することができる。さらに、人により調色作業の時間が異なることが無くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係るCCMを実行するカラーマッチング装置の構成例である。同図に示すように、このカラーマッチング装置は、LCDやCRT等の表示部10と、公知のコンピュータを用いて構成される演算部12と、塗装サンプルの分光反射率データを測定する分光光度計等の測色計14と、スキャナーやデジタルカメラ等の画像取得機器16と、を含んで構成される。
【0020】
図2は、このカラーマッチング装置を用いた調色手順を示すフロー図である。CCMを行うためには、まず各有彩色顔料の濃度を段階的に増やしてなる着色材、及びそれらを各種下地に塗布してなるサンプルを用意する。そして、測色計14でそれらサンプルについて分光反射率データを測定し、基礎データとして演算部12に備えられたハードディスク記憶装置等の記憶手段に保存する(S101)。
【0021】
この基礎データを、白顔料が全く含まれない各濃度の着色材のみならず、クリアベース(溶剤)に対して3段階程度の割合で各濃度の着色材に白顔料を混合させてなる混合着色材についても、同様にして分光反射率データを測定し、例えば図3に示すテーブルの形式により保存する(S101)。
【0022】
次に、これらの着色材及び混合着色材について、各種下地をどの程度遮蔽する効果を有しているかを示すぼかし評価値データを作成する。このため、図4に示すように、画像取得機器16を用いて、これらの着色材及び混合着色材を各種下地に塗布してなるサンプルの着色前と着色後の画像を取得する(S201)。そして、こうして得られた画像から十分小さな範囲(例えば1ドット単位)毎にRGB値(色情報)を取得し(S202)、そのRGB値からXYZ値(三刺激値)を求め(S203)、さらにCIE(国際照明委員会)のL*(明度)を求める(S204)。次に、埃やその他の外乱による誤差を極力省くため、全体の上下0.5%はデータから削除し(S205)、残った明度について標準偏差(σL*)を求めることにより、明度のばらつき度合いを得る(S206)。この値は当該サンプルのぼかし感を示している。つまり、この値が小さければ、明度のばらつきが小さいので木目が見え難い、つまりぼかし感が強いということになる。なお、標準偏差に代えて分散を求めるようにしてもよい。また、明度の変わりに、色情報に基づく他の情報の標準偏差又は分散を求めるようにしてもよい。そして、着色材及び混合着色材を塗布する前の下地の画像に関するσL*と、塗布した後の画像に関するσL*と、の差ΔσL*を計算する。このΔσL*は、当該着色材又は混合着色材が下地を遮蔽する(ぼかす)程度を示すものと考えられ、以下の処理では、この値ΔσL*を用いてCCMによる計算結果に対する評価を行う。ここでは、このΔσL*をぼかし評価値データと呼び、ΔσL*を、下地の種類毎に、全ての濃度・白割合の着色材及び混合着色材について保存しておく(S101(図2))。
【0023】
次に、塗装見本のサンプルと実際に塗装する下地のそれぞれの画像から、見本の画像の各画素の明度の標準偏差(σL*)sと下地の画像の各画素の明度の標準偏差(σL*)uを求め、その差(ΔσL*)sを算出する。この値は、見本に関するぼかし評価値データであり、演算部12の記憶手段に保存する(S102)。また、見本サンプルと下地をそれぞれ測色計14等で測定し、その分光反射率データを保存する(S102)。この測定された分光反射率を目標として、上記基礎データを用いてダンカンの混色理論式とクベルカ・ムンクの光学濃度式を使用し、CCM計算を実施する(S103)。この時、白色割合を任意の幅で変動させ、算出する。各白色割合で計算された配合より、その配合で用いられた着色材及び混合着色材に関するぼかし評価値データに基づき(例えば平均化したり、配合割合に応じた係数を乗算したものを加算したりして)、その配合の場合のΔσL*の予測値を算出する。
【0024】
その後、計算された中で、見本色に一致し、かつ目標の(ΔσL*)sに一致する配合が存在した場合、その配合を計算結果として出力する(S104)。この中で一致するものが存在しない場合は、最も近似の値の上下5%内で、さらに白色割合を変化させ、同様の処理を行う。この中で一致する配合が存在した時、その配合を計算結果として出力する。完全に一致しない場合は、最も近似のものを計算結果として出力する(S104)。最も近似のものを評価するためには、見本と計算結果の“色差”と“ぼかし評価値データの差”より2次元的に評価する必要がある。この評価値の算出方法として、ここでは以下の式を使用する。
評価値(S)=(ΔσL*の差)k1+K2
k1:任意の係数
k2:色差(x)に応じて増加する曲線 k1=ax2+bx a,bは任意の係数
【0025】
上記のk1及びa,b値は、実際の目視と合うように任意に設定すればよい。
【0026】
なお、予想反射率の計算部分及び予想ΔσL*値の計算部分については、実績値があれば、この値を、ファジー推論を用いて学習することで予測精度の向上を図れば好適である。
【0027】
その後、計算結果に従って調色を行い、塗装サンプルを作成するとともに(S105)、この塗装サンプルについて分光反射率データを測定し、またその画像を取得してぼかし評価値データを算出し、実績値として演算部12の記憶手段に保存する(S106)。そして、計算結果が合格基準を満たすまで(S107)、CCMの各種パラメータを修正して(S108)、S103乃至S107の処理を繰り返す。
【0028】
ここで、本実施形態に係るカラーマッチング処理によるCCM処理について説明する。図5は、この処理を示すフロー図である。同図に示すように、この処理では、まず全ての着色材(全ての顔料、濃度、白割合の着色材)について基礎データ(ぼかし評価値データを含む。)を読み込む(S301)。そして、フラグ(Roop_flg)の値を0に設定してから、白割合0%の基礎データを用いてCCM計算を行う(S302)。上記フラグは、サンプルが実際に作成されていない白割合についてCCMを行ったか否かを示すものである。次に、CCM計算の結果である配合から、ΔσL*を計算する(S303)。例えば、計算結果である配合に用いられる各着色材のぼかし評価値に、その配合割合を乗算してから合計して、CCM計算の結果である配合のΔσL*の推定値を計算する。さらに、上記評価値評価値(S)を算出する(S304)。そして、S303で算出されたΔσL*の推定値と目標値(見本のΔσL*)との差が所定値未満となり、且つ色差ΔE*、すなわちCCM計算の結果である配合の色と見本の色との差が所定値未満となるまで(S305,S306)、S307の処理に進み、ここで上記フラグの値が1であるか否かを判断する。
【0029】
フラグの値が1でなければ(すなわち0であれば)、白割合(白割合変数)を5%上昇させる(S308)。そして、上昇後の白割合の値が最大濃度(例えば100%)を超えていなければ(S309)、その白割合の基礎データ及びぼかし評価値データを内挿又は外挿により算出し(但し、元々用意されていればそれを用いる。)、得られた基礎データを用いてCCM処理を再実行する(S310)。そして、S303に戻る。
【0030】
その後、S303で算出されたΔσL*の推定値と目標値との差が所定値未満となり、且つ色差ΔE*が所定値未満となれば、処理を終了する。一方、S309において、上昇後の白割合が最大濃度を超えたと判断されると、次に既に計算された配合の中から、S304で算出される評価値が最も小さいものを検索する(S313)。そして、フラグが1でなければ、フラグの値を1に更新し(S315)、見本に最も近い白割合の上下に、補間処理の対象となる白割合範囲を設定する(S316)。この白割合範囲は、実際にサンプルが作成され、基礎データ(ぼかし評価値データを含む。)が既に用意されている白割合を上限値及び下限値とする範囲である。この白割合範囲を所定数に均等に分割し、白割合の変動幅を算出するとともに(S317)、その変動幅だけ白割合範囲の下限値から白割合を増やした場合について、基礎データ及びぼかし評価値を補間により算出し(このとき、白割合変数は下限値にS317で算出された変動幅を足した値である。)、得られた基礎データを用いてCCM処理を再度実行する(S310)。その後、S303の処理に戻る。
【0031】
S307でフラグの値が1であると判断されると、白割合(白割合変数)をS317で算出された割合だけ増加させ(S311)、S317における分割回数に達するまで(S312)、S310乃至S311の処理を繰り返す。その後、評価値の最も小さな配合を検索し(S313)、フラグが1であれば処理を終了する。
【0032】
以下、CCMに用いるクベルカ・ムンクの式、ダンカンの混色理論及びファジィ推論について説明する。塗料のCCMでは、基礎データのサンプルに、目標色に合致せしめる調色着色材として供される各々の有彩色着色材と、目標色に合致せしめる調色着色材として有彩色着色材に同時に組み合わせて使用される白顔料とを組み合わせた配合サンプルを用いることがある。そして、この配合サンプルを、有彩色着色材の白顔料に対する発色性を表す基礎データとして利用し、複数の有彩色着色材と白顔料とを混合させた際の反射率を予測計算する際には、予め測定した基礎データの分光反射率をクベルカ・ムンクの式を用いて塗膜である着色層の吸収係数Kと散乱係数Sの比で表される光学濃度K/Sに変換し、ダンカンの混色理論式を用いて混合時の光学濃度K/Sを求め、更にこれを反射率に変換することで計算を実行している。
【0033】
この際、より予測精度を向上させるために、塗料を形成する樹脂層と空気層の界面にて生じる内部鏡面反射や屈折率差による、分光反射率の測定に対する影響を補正するため、サンダーソンの式を用いて理想状態の反射率に変換した後、混色計算を行っている。また、着色材の配合を目標色に合致させるために、着色材の配合比を調整する方法には、ニュートン・ラプソン法による反復計算が用いられ、また、目標反射率と予想反射率の色彩一致性の評価には、反射率から計算される色彩値XYZ、L*a*b*等を利用し、目標値と予測値の差を評価しつつニュートン・ラプソン法にて収束計算を行うメタメリック法や、目標反射率と予測反射率の差の2乗和を評価しつつ収束計算を行うアイソメリック法が用いられている。
【0034】
以下に上記の各計算機構,推論機構の詳細について、順を追って説明する。まず、第1の計算機構について説明する。配合に供する複数の着色材から分光反射率を予測計算するには、着色材各々の測定分光反射率の測定波長域に対する吸収係数と散乱係数を求める必要がある。この吸収係数と散乱係数を求める方法として、クベルカ・ムンクの光学濃度式と、ダンカンの混色理論式による2定数法の計算法が知られている。クベルカ・ムンクの光学濃度式は、
【数1】

であり、また、ダンカンの混色理論式は、
【数2】

である。クベルカ・ムンクの光学濃度式は、吸収係数と散乱係数の比を分光反射率から計算して求めるもので、ダンカンの混色理論式を用いて混色計算を行うためには、吸収係数と散乱係数の各々を求めておく必要がある。この場合、以下に説明する相対法と絶対法が一般に利用されている。
【0035】
まず、相対法は白顔料の散乱係数を1として、相対的に白顔料の吸収係数と着色顔料の吸収係数、散乱係数をもとめるもので、次式のような形となる。
【0036】
【数3】

【0037】
一方、絶対法による散乱係数、吸収係数を求める式は次の通りである。
【0038】
【数4】

【0039】
理想状態の反射率を実在状態の反射率に変換する場合において、正反射光を含めて測定した状態を計算するためには、次式を用いる。
【0040】
【数5】

【0041】
一方、正反射光を含めないで測定した状態を計算するためには、次式を用いる。
【0042】
【数6】

【0043】
実在の反射率を理想状態の反射率に変換する場合、正反射光を含めて測定した状態を理想状態に計算するためには、次式を用いる。
【0044】
【数7】

【0045】
一方、正反射光を含めないで測定した状態を理想状態に計算するためには、次式を用いる。
【0046】
【数8】

【0047】
以下に計算の第2の機構である予測計算された分光反射率との差を測定波長全域に亘りファジィ推論にて補正するためのファジィ推論機構と、この計算に供するメンバーシップ関数を調整する調整計算機構について説明する。計算の第1の機構で説明した計算式で求められる予想分光反射率は、あくまでも推定値であり、これを用いただけでは正確で実用的な配合を得ることは困難である。そこで、この計算式の値を、コンピュータのメモリ上に予め登録した配合が既知の塗装サンプルの分光反射率から、ファジィ推論によって補正する。
【0048】
この補正方法について詳細に説明する。ファジィ推論では、曖昧性をファジィ集合論におけるメンバーシップ関数を用いることで定義する方法をとっている。即ち、全体集合Uにおけるファジィ集合Aは、
μA:U→[0,1]
なるメンバーシップ関数μAによって定義づけられ、値μA(u)(∈[0,1])は、Aにおけるu(∈U)のグレードを表すことになる。
【0049】
推論に応用する場合は、ファジィプロダクションルールによる方法が多く用いられる。このプロダクションルールRは、前件部と後件部から構成され、一般的には次式(前件部2、後件部1の例)で表される。
Ri:if x1 is Ai1
and x2 is Ai2 then y
is Bi (i=1,2,…,n)
1:前件部1の概念
2:前件部2の概念
i1:前件部1のi番目のメンバーシップ関数(ファジィラベル)
i2:前件部2のi番目のメンバーシップ関数(ファジィラベル)
y:後件部の概念
i:後件部のメンバーシップ関数(ファジィラベル)
【0050】
ファジィによる具体的な推論方法については、現在までに様々な方法が提案されているが、最も代表的な方法はマンダーニによって考案されたものである。いま、前件部の観測値をx10,x20とすると、i番目の規則の適合度ωiは、
ωi=Ai1(x10)∧Ai2(x20)
となり、出力は、
0(y)=[ω1∧B1(y)]∨[ω2∧B2(y)]∨・・・∨[ωn∧Bn(y)]
0=∫B0(y)ydy/∫B0(y)dy
0():後件部メンバーシップ関数の推論結果の関数
0:推論出力を非ファジィ化した出力結果
上記の式は、非ファジィ化を行う際には、重心座標を計算する事を表している。この非ファジィ化に関しても、いくつかの方法が提案されている。
【0051】
本実施形態では目標の分光反射率Rかつ、画像デバイスから得られるL値の分散度σL*となる着色材の配合x1,x2,x3・・・xiを求めることが目的である。従って、着色材、白顔料の配合に対する分光反射率の予測計算を正確に行うことができれば、配合の計算精度が向上する。
このためには、次の式が考えられる。
R(λ,x1,x2,・・・xi,xw
= Rt(λ,x1,x2,・・・xi,xw)+
CorrR(λ,x1,x2,・・・xi,xw
SL(x1,x2,・・・xi,xw
= SLt(x1,x2,・・・xi,xw)+
CorrL(x1,x2,・・・xi,xw

λ:波長λにおける予測反射率
SL :予測σL
1,x2,・・・xi:i種からなる着色材の配合
w:白顔料の配合
Rt:波長λにおける純理論的な予測反射率
SL:基礎データの各濃度から得られるσLを当該濃度にて補間計算した理論的な予測σL値。
CorrR:波長λにおける反射率の補正関数でファジィ推論により計算される補正量
CorrL:σLの補正関数でファジィ推論により計算される補正量
CorrR及びCorrは、ファジィ推論に機構よりなる補正関数であり、ファジィ推論を行うためのファジィプロダクションルールは、前件部が着色材の種類i+1件、後件部は補正値である1件となる。従って、例えば着色材が3種で白が1種である場合は、前件部は4、後件部1のファジィ推論となる。
【0052】
前件部のファジィラベルは、着色材、白顔料の場合、「多い」「少ない」の表現であり、それに程度が加わる。塗料の場合、着色材の配合と白顔料の配合の合計は、常に100であるので、前件部の空間としては、着色材の配合のみを意識し、白顔料の配合については無視する。着色材の配合については、単純には直交座標系で表現できるが、本推論の場合は、着色顔料の合計配合値と、各着色顔料の合計値の中での配合比を組み合わせた座標系で表現する。即ち、着色材が3種類の場合は、合計配合値を表す軸と、着色顔料合計値に対する各顔料の配合を表現する正三角座標を組み合わせた、三角柱座標によって表現する。
【0053】
配合比の合計値は0から100までの値となるから、前件部のファジィメンバーシップ関数は、0から100までの間をn分割(nは2以上)する。分割は等間隔に行ってもよいが、着色材の合計配合値が比較的少量である淡色領域では、僅かな配合の変動でも色彩に与える影響は大きく、逆に着色材の合計配合値が比較的多い濃色領域では、配合の変動に対する色彩への影響が小さくなるため、淡色領域では分割を密に、濃色領域では分割を疎になるように、指数関数的に分割の程度を変化させた方がより効果的である。
【0054】
前件部の推論空間には、着色材の配合空間に、白顔料の総量Σyjが加わる。
【0055】
白顔料については、多くの場合、添加量の範囲に制限があるため、最大添加量を想定して、これを等間隔あるいは、着色材の合計配合値と同様に、指数関数的に不等間隔に分割してファジィラベルを設定する。
【0056】
以上に述べた着色材が3種、白顔料が1種の場合における、波長λにおけるファジィラベルをまとめると、次式のようになる。
10=x1/(x1+x2+x3
20=x2/(x1+x2+x3
30=(x1+x2+x3)/100
40=yw/ywmax
1:1番目の着色材の配合
2:2番目の着色材の配合
3:3番目の着色材の配合
w:白顔料の総量
wmax:想定される白顔料の最大添加量
10:1番目の着色材の全着色材の配合に占める割合の程度の観測値
20:2番目の着色材の全着色材の配合に占める割合の程度の観測値
30:全着色材の配合の大きさの程度の観測値
40:白顔料の添加量の程度の観測値
【0057】
4種の観測値をファジィ化するためのメンバーシップ関数をAi1,Ai2,・・・,Ai4とする。これらの関数は、上記x10,x20,・・・,x40観測値が全て[0,1]の範囲で正規化されているため、同様に[0,1]の範囲で、必要に応じて、等間隔または不等間隔にni分割し、分割点に対してメンバーシップ関数を形成する。メンバーシップ関数の外形はエクスポネンシャル型等、数種のものが提案されているが、計算の簡略化とファジィ推論のよって得られた出力値の平滑性を考えた場合、三角形のものが最も効果的である。ファジィ推論のためのファジィプロダクションルールは次のようになる。
Ri:if F1 is Ai1 and F2 is Ai2
And F3 is Ai3 and F4 is Ai4
then y is Bi (i=1,2,・・・,n)
ここでyは後件部の出力概念で、ある条件で作成された塗板の実測の分光反射率から計算される光学濃度と、作成条件から理論的に計算された光学濃度の差の程度を表すものである。またBiはi番目の後件部のメンバーシップ関数である。
【0058】
実測の反射率と理論反射率の差を表すyは、次式の定義に従って計算される。
y = R/R
:理論計算により求めた波長λにおける光学濃度
:実測の波長λにおける光学濃度
このようにした場合、yの値のとり得る範囲を想定しやすく、かつ推論結果の平滑性を確保しやすい。例えば、yの範囲を[0.2,2.0]のように想定して、この範囲を等間隔または不等間隔にn分割し、後件部のメンバーシップ関数を規定する。不等間隔に分割する場合は、1.0近辺が密に、範囲の最小値及び最大値近辺では疎になるように分割すると、より効果的である。
【0059】
本実施形態では、後件部メンバーシップ関数を、予めn点の条件で作成された塗板の作成条件と実測反射率をコンピュータのメモリ上に記憶せしめ、この情報を用いて正確なファジィ出力yが得られるように、後件部メンバーシップ関数とファジィプロダクションルールを調整することを特徴としている。この調整を容易に行うためには、前述の重心座標を求めて非ファジィ化する方法では、調整計算の際に、高次元関数の回帰計算を行う必要があり、事実上不可能となる。
【0060】
そこで本実施形態では、単純高さ法による非ファジィ化手法を用いて計算を行う。高さ法ではメンバーシップ関数は、出力概念yに対する広がりを持たず、y軸上の位置とその高さのみの関数となる。この時の推論は、次式のようになる。
0(yi)=[ω1∧B1(yi)]∨[ω2∧B2(yi)]∨・・・∨[ωn∧Bn(yi)]
0=ΣB0(yi)yi/ΣB0(yi)
【0061】
次に、後件部メンバーシップ関数の調整とファジィプロダクションルールの調整方法について述べる。
【0062】
調整の第1段階:コンピュータのメモリに記憶せしめた、ある条件下で作成した塗板の実測反射率とその条件からなる情報の数が少ない場合、即ち、条件を観測値に変換し、6次元のファジィラベルの同一のセルに1個しか情報が存在しない場合、Biを高さ1で設定する。ファジィプロダクションルールは、そのセルを発火したと見做し、前件部の論理からBiが導かれるように、プロダクションルールRiを設定する。
【0063】
ファジィラベルの同一セルにn個のデータが存在した場合は、そのセルの近傍で、それぞれの観測値が発火するセルに、補外した形でBの値とそれに対するファジィプロダクションルールを設定する。前件部が4の場合、関連する近傍のセルの数は、最大16(=24)個存在する。n個のデータが関連する方向にそれぞれのメンバーシップ関数Biを推論計算した結果、出力値と観測値が一致するように、y軸上の位置をシフトして設定する。これをコンピュータのメモリ上に記憶したn個の情報について、全て行う。
【0064】
調整の第2段階:ファジィプロダクションルールRiの数は、前件部メンバーシップ関数の各次元のそれぞれの分割数の積に、更に分光反射率の測定波長数をかけたものとなる。従って、各次元を10個に分割した場合のルールの数は、31×104となり膨大な数となる。従って、全セルを発火することは事実上、無いと考えられる。この場合、調整の第1段階で発火しなかったセルについては、発火したセルのプロダクションルールを補間乃至は補外する。この際には、ファジィセルの配置を6次元の直交座標セルとし、ルールを補外する。
【0065】
以上の操作により、波長λにおける理論計算と実測の光学濃度の補正を推論するための機構を構築することになる。これにより、正確な光学濃度の予想、換言すれば分光反射率の予想が可能となり、目標色に合致するための調色計算の精度を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0066】
以上に説明したファジィ推論による分光反射率とσL値の補正計算機構を、第3の機構の中に組み込めば、本実施形態の目的である塗板の目標とする色彩とぼけ感を得るための着色材の配合と白顔料の配合量を、正確に計算することが可能になる。
【実施例】
【0067】
2つの見本について、上記実施形態に係るコンピュータカラーマッチング方法を用いて配合計算を行った。測色計14としてコニカミノルタ社製 「CM-3600d」を用い、波長範囲400nm〜700nm、波長間隔10nmにて分光反射率データを測定した。また、画像取得機器16としてキャノン社製「CanoScan D2400U」を用い、画素数400bps、カラー16bit、1200×1200ピクセルの条件にて、各サンプル、見本、下地の画像を取得した。また、評価値算出のための係数として、k1=1.8,a=0.02,b=0.04を用いた。初回計算及び2回の修正計算の結果は以下の通りである。各表において、「白」、「黒」、「赤」及び「黄」に対応づけて記された数値は、クリアベースに対する各色顔料の質量%である。
【0068】
【表1】

【0069】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施形態に係るカラーマッチング装置の構成を示す図である。
【図2】コンピュータカラーマッチング方法を用いた調色手順を示すフロー図である。
【図3】基礎データのテーブルの一例を示す図である。
【図4】サンプル、見本及び下地の画像の処理手順を示すフロー図である。
【図5】コンピュータカラーマッチング処理を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0071】
10 表示部、12 演算部、14 測色計、16 画像取得機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定種類の下地の画像を取得する工程と、
複数の着色材を前記種類の下地に塗布してなるサンプルの画像を取得する工程と、
前記複数の着色材のうち少なくとも一部に対して白顔料を混ぜ合わせてなる混合着色材を作成する工程と、
前記混合着色材を前記種類の下地に塗布してなるサンプルの画像を取得する工程と、
所与の着色材を前記種類の下地に塗布してなる塗装見本の画像を取得する工程と、
前記種類の下地の画像の色情報に関するばらつき程度と、前記サンプルの画像の色情報に関するばらつき程度と、に基づいて、前記各着色材及び前記混合着色材について、前記種類の下地を遮蔽する程度を示すぼかし評価値データを算出する工程と、
前記種類の下地の画像の色情報に関するばらつき程度と、前記塗装見本の画像の色情報に関するばらつき程度と、に基づいて、前記所与の着色材について、前記ぼかし評価値データを算出する工程と、
前記各着色材及び前記混合着色材について算出される前記ぼかし評価値データと、前記所与の着色材について算出される前記ぼかし評価値データと、に基づいて、前記所与の着色材に応じた前記各着色材及び前記白顔料の配合を決定する工程と、
を含むことを特徴とするコンピュータカラーマッチング方法。
【請求項2】
請求項1に記載のコンピュータカラーマッチング方法において、
前記ばらつき程度は、画像の色情報に基づいて算出される各画素の明度の分散又は標準偏差である、
ことを特徴とするコンピュータカラーマッチング方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコンピュータカラーマッチング方法において、
前記ぼかし評価値データは、前記種類の下地の画像の色情報に関するばらつき程度と、前記サンプルの画像の色情報に関するばらつき程度と、の差である、
ことを特徴とするコンピュータカラーマッチング方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のコンピュータカラーマッチング方法において、
前記配合を決定する工程は、
前記所与の着色材に応じた前記各着色材及び前記白顔料の配合の候補について、前記各着色材及び前記混合着色材について算出される前記ぼかし評価値データに基づいて、前記ぼかし評価値データの予測値を算出する工程をさらに含み、前記配合の候補について算出されるぼかし評価値データの予測値と、前記所与の着色材について算出される前記ぼかし評価値データと、に基づいて、前記配合の候補を評価する、
ことを特徴とするコンピュータカラーマッチング方法。
【請求項5】
請求項4に記載のコンピュータカラーマッチング方法において、
前記配合を決定する工程は、
前記サンプルの各分光反射率データを記憶手段に記憶させる工程と、
前記塗装見本の分光反射率データを取得する工程と、
前記記憶手段に記憶される前記サンプルの分光反射率データと、前記塗装見本の分光反射率データと、に基づいて、前記所与の着色材に応じた前記各着色材及び前記白顔料の配合の候補を算出する工程をさらに含む、
ことを特徴とするコンピュータカラーマッチング方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のコンピュータカラーマッチング方法において、
前記混合着色材について算出される前記ぼかし評価値データを用いた内挿処理又は外挿処理により、前記複数の着色材の前記一部に対して所与の割合で白顔料を混ぜ合わせてなる前記混合着色材について、前記ぼかし評価値データの予測値を算出する工程をさらに含み、
前記配合を決定する工程は、前記混合着色材について算出される前記ぼかし評価値データの予測値と、前記所与の着色材について算出される前記ぼかし評価値データと、に基づいて、前記所与の着色材に応じた前記各着色材及び前記白顔料の配合を決定する、
ことを特徴とするコンピュータカラーマッチング方法。
【請求項7】
請求項5に記載のコンピュータカラーマッチング方法において、
前記配合を決定する工程は、
前記記憶手段に記憶される、前記混合着色材を前記種類の下地に塗布してなるサンプルの分光反射率データを用いた内挿処理又は外装処理により、前記複数の着色材の前記一部に対して所与の割合で白顔料を混ぜ合わせてなる前記混合着色材について、分光反射率データの予測値を算出する工程をさらに含む、
ことを特徴とするコンピュータカラーマッチング方法。
【請求項8】
所定種類の下地の画像の色情報に関するばらつき程度と、複数の着色材を前記種類の下地に塗布してなるサンプル並びに前記複数の着色材のうち少なくとも一部に対して白顔料を混ぜ合わせてなる混合着色材を前記種類の下地に塗布してなるサンプルの画像の色情報に関するばらつき程度と、に基づいて、前記各着色材及び前記混合着色材について、前記種類の下地を遮蔽する程度を示すぼかし評価値データを算出する手段と、
前記種類の下地の画像の色情報に関するばらつき程度と、所与の着色材を前記種類の下地に塗布してなる塗装見本の画像の色情報に関するばらつき程度と、に基づいて、前記所与の着色材について、前記ぼかし評価値データを算出する手段と、
前記各着色材及び前記混合着色材について算出される前記ぼかし評価値データと、前記所与の着色材について算出される前記ぼかし評価値データと、に基づいて、前記所与の着色材に応じた前記各着色材及び前記白顔料の配合を決定する手段と、
を含むことを特徴とするカラーマッチング装置。
【請求項9】
所定種類の下地の画像の色情報に関するばらつき程度と、複数の着色材を前記種類の下地に塗布してなるサンプル並びに前記複数の着色材のうち少なくとも一部に対して白顔料を混ぜ合わせてなる混合着色材を前記種類の下地に塗布してなるサンプルの画像の色情報に関するばらつき程度と、に基づいて、前記各着色材及び前記混合着色材について、前記種類の下地を遮蔽する程度を示すぼかし評価値データを算出する手段、
前記種類の下地の画像の色情報に関するばらつき程度と、所与の着色材を前記種類の下地に塗布してなる塗装見本の画像の色情報に関するばらつき程度と、に基づいて、前記所与の着色材について、前記ぼかし評価値データを算出する手段、及び
前記各着色材及び前記混合着色材について算出される前記ぼかし評価値データと、前記所与の着色材について算出される前記ぼかし評価値データと、に基づいて、前記所与の着色材に応じた前記各着色材及び前記白顔料の配合を決定する手段
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−284318(P2006−284318A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−103383(P2005−103383)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000004374)日清紡績株式会社 (370)
【Fターム(参考)】