説明

コンピュータ断層撮影装置

【課題】撮影部位と有効視野との実空間における位置関係を撮影部位の位置決め時に確認することができるコンピュータ断層撮影装置を提供する。
【解決手段】実施形態に記載のコンピュータ断層撮影装置は、被検体が載置された天板を移動させる寝台部を有する。架台部は、天板が挿入される開口部を有する。投光部は、架台部に設けられている。設定部は、被検体に対する有効視野を設定する。制御部は、投光部を制御して、設定された有効視野を示す光を投射させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、コンピュータ断層撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ断層撮影(Computed Tomography:CT)装置は、放射線などを利用して物体を走査し、収集されたデータをコンピュータを用いて処理することにより、物体の内部を画像化する装置である。CT装置としては、X線CT装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置などがある。
【0003】
コンピュータ断層撮影装置は、架台部、寝台部、コンソール部等を有する。架台部には、その中央領域に開口部が設けられている。寝台部に載置された被検体は、開口部内に移動されて検査に供される。その際、架台部に設けられた投光器からの光線で被検体の体軸を想定することで、開口部の中心と被検体との位置決め(撮影部位の位置決め)を行っていた。
【0004】
また、コンピュータ断層撮影を行う際には有効視野(Field of View)が設定される。「有効視野」とは、コンピュータ断層撮影装置で撮影を行うことができる領域である。有効視野は撮影条件(撮影部位等)によって異なるため、一般的には装置毎にいくつかの有効視野が予め設定・記憶されている。有効視野には被検体の関心領域を含む撮影部位(例えば頭部や胴部)の全てが入っていることが望ましい。また、有効視野の範囲を被検体の撮影部位の大きさとほぼ同じに設定することにより、当該装置において解像度の高い撮影が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−23942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のコンピュータ断層撮影装置は、撮影部位の位置決めを行う際に、当該撮影部位と有効視野との実空間における位置関係を確認することができなかった。よって、被検体の体格が大きい場合等には、有効視野内に撮影部位が配置されていない状態で撮影を行ってしまう可能性があった。
【0007】
逆に、設定された有効視野に対して被検体の体格が小さい場合、撮影する必要が無い部分にまで放射線が照射される可能性がある。従って、被曝量が増大するという問題があった。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、撮影部位と有効視野との実空間における位置関係を撮影部位の位置決め時に確認することができるコンピュータ断層撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態のコンピュータ断層撮影装置は、放射線を被検体に照射して収集されたデータをコンピュータを用いて処理することにより、当該被検体内部を画像化する。寝台部は、被検体が載置された天板を移動させる。架台部は、天板が挿入される開口部を有する。投光部は、架台部に設けられている。設定部は、被検体に対する有効視野を設定する。制御部は、投光部を制御して、設定された有効視野を示す光を投射させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態に係るX線CT装置の外観図である。
【図2】第1実施形態に係るX線CT装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態に係る架台部の構成を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る架台部の構成を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る処理の概要を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態に係るフローチャートの説明を補足する図である。
【図7】第1実施形態の変形例1に係る構成の前提を説明するための図である。
【図8】第1実施形態の変形例1に係る架台部の構成を示す図である。
【図9】第1実施形態の変形例1に係る架台部の構成を示す図である。
【図10A】第1実施形態の変形例2に係る架台部の構成を示す図である。
【図10B】第1実施形態の変形例2に係る架台部の構成を示す図である。
【図11】第2実施形態に係るX線CT装置の内部構成を示すブロック図である。
【図12】第2実施形態に係る架台部の構成を示す図である。
【図13】第2実施形態に係る処理の概要を示すフローチャートである。
【図14】第3実施形態に係るX線CT装置の内部構成を示すブロック図である。
【図15】第3実施形態に係る架台部の構成を示す図である。
【図16】第3実施形態に係る処理の概要を示すフローチャートである。
【図17】第2、第3実施形態の変形例に係る架台部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
図1から図6を参照して第1実施形態に係るコンピュータ断層撮影装置の構成について述べる。本実施形態では、コンピュータ断層撮影装置としてX線CT装置1を用いて説明を行う。X線CT装置1は、被検体2に対して曝射したX線の透過を検出し、検出したX線の強度を示す投影データから被検体内の画像を再構成する画像診断装置である。
【0012】
<装置構成>
図1に示すようにX線CT装置1は、架台部3、寝台部4、コンソール部5、及び表示部6を備える。
【0013】
<架台部>
架台部3は、X線の曝射及び被検体2を透過したX線の検出を行う。架台部3の内部には、X線曝射部(図示なし)、X線検出部(図示なし)、及び投光部31(後述)が配置されている。X線曝射部は、高電圧発生部(図示なし)から高電圧が印加されることにより被検体2に対してX線を照射する。X線検出部は、被検体2を透過したX線を検出する。架台部3は、天板4a(後述)が挿入される開口部30(図3等参照)を有する。また、架台部3は、各種操作入力を行うための操作部(図示なし)を有する。
【0014】
架台部3内には、X線曝射部、X線検出部、及び投光部31が配置されるローテーションベース3aが設けられている(図1参照)。また、架台部3内にはローテーションベース3aを被検体2の周りで回転させるための駆動機構(図示なし)が設けられている。ローテーションベース3a、及び駆動機構が「回転機構」の一例である。なお、回転機構は、少なくとも投光部31のみを回転させることができる構成であればよい。
【0015】
<寝台部>
寝台部4は天板4aを有する。天板4a上には被検体2が配置される。寝台部4は、制御部52(後述)の指示に基づいて、被検体2が載置された天板4aを移動させる機構を有している。
【0016】
<コンソール部>
コンソール部5は、X線CT装置1の各種動作制御や処理を行う。例えば、コンソール部5は、X線曝射部によるX線の照射開始・停止や回転機構の回転開始・停止の動作制御を行う。或いは、コンソール部5は、架台部3によるX線の検出データを処理し、被検体2内の画像を再構成する。コンソール部5は、各種操作入力を行うための操作部(図示なし)を有する。
【0017】
<表示部>
表示部6は、コンソール部5と接続され、コンソール部5で再構成された画像を表示する。また、表示部6は、装置の設定画面等の各種画面や患者情報を表示する。
【0018】
次に、図2〜図4を参照して第1実施形態に係るコンピュータ断層撮影装置の内部構成について説明を行う。図3は、図1における架台部3のA−A断面である。図4は、図3における架台部3のB−B断面である。図3、図4は、投光部31(後述)から光Lが投射されている状態を示している。本実施形態では、天板4aに載置された被検体2の足側を「前」方向とし、被検体2の頭側を「後」方向とする。また、架台部3を寝台部4側から見たとき(例えば図3参照)の方向をそれぞれ「上下左右」方向とする。
【0019】
架台部3は投光部31を有する。投光部31は所定方向に光Lを投射する。投光部31からの光Lは、例えばレーザー光である。本実施形態においては、図3に示すように、投光部31は架台部3の上部に、開口部30の中心を挟んで左右2つ設けられている。
【0020】
投光部31は、発光部31a、移動機構31bを有する。
【0021】
発光部31aは、光Lを発生する光源である。本実施形態の発光部31aは、上方向から下方向に向かう光であって、発光部31aから左右方向に一定の幅を保ったまま、前後方向に広がっていく光を発生する(図3及び図4参照)。
【0022】
移動機構31bは、発光部31aを左右方向に移動させる。移動機構31bは、例えばモータやギア等からなる電動アクチュエータである。移動機構31bは、制御部52(後述)により動作制御が行われる。
【0023】
発光部31aによる発光の開始・停止、及び移動機構31bの動作は、制御部52(後述)により制御される。或いは、架台部3等に設けられたスイッチにより検査者が手動で操作することも可能である。
【0024】
なお、発光部31aは上記構成に限られない。発光部31aから投射される光が前後方向に広いほど、被検体2に対して光Lを確実に投射させることができる。従って、例えば前後方向に長尺の光源から矩形状の光Lを投射させることも可能である。或いは、発光部31aとしてライン状の光Lを発生する光源を用い、発光部31aを天板4aの長軸方向(前後方向)にスキャンさせる構成を用いることも可能である。このスキャンは例えば移動機構31bにより行われる。
【0025】
また、投光部31(発光部31a、移動機構31b)の数や位置は上記構成に限られない。例えば投光部31は、少なくとも1つあればよい。また、投光部31は、架台部3の下部に設けられていてもよいし、架台部3の外部に突出する形で設けられていてもよい。
【0026】
コンソール部5は、設定部51、制御部52、及び記憶部53を有する。
【0027】
設定部51は、被検体2に対する有効視野Fを設定する。有効視野Fは、予めいくつかの値(例えば有効視野の半径)が記憶部53に記憶されている。なお、記憶部53は、実際の有効視野よりも広い範囲(例えば有効視野の半径+1mm)や狭い範囲(例えば有効視野の半径−1mm)を有効視野Fの値として記憶することも可能である。すなわち、本実施形態における「有効視野F」は、実際の有効視野及びその近傍の領域を含む概念である。設定部51は、例えば検査者の指示入力に対応する値を記憶部53に記憶された複数の値から選択し、当該値に基づいて有効視野Fを設定する。
【0028】
制御部52は、投光部31を制御し、設定部51で設定された有効視野Fを示す光Lを投射させる。具体的には、制御部52は、設定部51で設定された有効視野Fに基づいて移動機構31bを制御し、発光部31aを移動させることにより、発光部31aからの光Lを有効視野Fの外周に接するように投射させる。例えば、開口部30中心位置からの距離rを半径とする有効視野Fの場合、制御部52は移動機構31bを制御し、発光部31aを初期位置(装置起動時に発光部31aが配置されている位置。デフォルトで定まっている)からrの位置まで移動させる。そして、当該位置において、制御部52が発光部31aを発光させることにより、有効視野Fの外周に接する光Lが投射される。
【0029】
<動作>
次に図3、図5、及び図6を参照して、本実施形態に係るX線CT装置1による有効視野の設定方法について説明を行う。
【0030】
まず、検査者はコンソール部5等から、被検体2の体型や撮影部位の情報を入力する。設定部51は、複数ある有効視野の値から当該入力情報に対応する有効視野Fの値を読み出して、有効視野Fを設定する(S10)。
【0031】
S10での設定結果に基づいて、移動機構31bは、光Lが有効視野Fの外周に接するように投射される位置まで発光部31aを移動させる(S11)。
【0032】
その後、コンソール部5は、寝台部4を制御して、被検体2が載置された状態の天板4aを開口部30内に配置させる(S12)。
【0033】
発光部31aは、S10で設定された有効視野Fの外周に接するように光Lを投射する(S13)。なお、S12及びS13のステップはどちらが先に行われてもよい。
【0034】
S13の投射状態を確認することにより、検査者は有効視野Fを確認することができる(S14)。すなわち、図3のように、光Lが被検体2に当たらない(或いは接する)位置に投射されていれば、少なくとも撮影部位は有効視野F内にあると判断できる。一方、図6のように、光Lが被検体2に当たる位置に投射されていると、撮影部位が有効視野Fの外になる可能性があると判断できる。
【0035】
<作用・効果>
本実施形態に係るX線CT装置を含むコンピュータ断層撮影装置の作用及び効果について説明する。
【0036】
コンピュータ断層撮影装置は、被検体2が載置された天板4aを移動させる寝台部4を有する。架台部3は投光部31を有する。設定部51は、被検体2に対する有効視野を設定する。制御部52は、投光部31を制御して、設定された有効視野を示す光を投射させる制御を行う。
【0037】
より具体的には、投光部31は、光を発生する発光部31a、及び発光部31aを移動させる移動機構31bを有する。制御部52は、設定された有効視野に基づいて移動機構31bを制御することにより、発光部31aからの光が有効視野を示すように(たとえば、有効視野の外周に接するように)投射させる。
【0038】
このような構成によれば、検査者は、投光部31からの光によって有効視野を認識することができる。つまり、撮影部位と有効視野との実空間における位置関係を撮影部位の位置決め時に確認することができる。
【0039】
また、投光部31は、複数設けられている。例えば、投光部31は、架台部3の上部に開口部30の中心を挟んで左右2つ設けられている。
【0040】
従って、被検体2が天板4a上に偏って載置されていたとしても、左右の投光部31からの光により撮影部位が有効視野に入っているかどうかを確かめることができる。つまり、撮影部位と有効視野との実空間における位置関係を撮影部位の位置決め時に確認することができる。
【0041】
<第1実施形態の変形例1>
図7から図9を参照して第1実施形態の変形例1について説明を行う。図8及び図9では、投光部31(発光部31a、移動機構31b)の構成は記載を省略している。
【0042】
第1実施形態の構成でヘリカルスキャンを行う場合等には、被検体2が撮影開始位置(X線撮影を開始する位置)にあっても撮影部位の一部(図7に示す範囲E)に発光部31aからの光が投射されない可能性がある(図7参照)。従って、撮影部位全てが有効視野に入っているかどうかを確認することができない。
【0043】
この問題を解決するため本変形例では、架台部3に設けられた回転機構により、投光部31を開口部30の周囲において回転させ有効視野を呈示することで、撮影部位全てが有効視野に入っているかどうかを確認することが可能となる。
【0044】
すなわち、投光部31を回転させることにより、投光部31からの光は被検体2の周辺で円柱状の軌跡を描くように投射される(図8のL(k=1〜n)、及び図9参照。Lは、開口部30の周囲のある位置から投光部31により投射された光を示す。図9は、光Lが投射される領域を仮想的に示したものである)。つまり、被検体2に対して様々な方向から有効視野を呈示させることが可能となる。よって、被検体2の位置に関わらず、撮影部位と有効視野との実空間における位置関係を撮影部位の位置決め時に確認することができる。
【0045】
<第1実施形態の変形例2>
図10A及び図10Bを参照して第1実施形態の変形例2について説明を行う。
【0046】
投射される光Lは、有効視野Fを示すもの(検査者が有効視野Fを認識できるもの)であればよい。
【0047】
そこで、図10Aに示すように、制御部52は、投光部31を制御して、設定された有効視野F内に発光部31aからの光を投射させることも可能である。図10Aでは、2つの投光部31からの光Lそれぞれが、有効視野F内に投射される例を示している。具体的には、一の投光部31からの光Lは、天板4aの左右方向の両端(両端は有効視野F内に位置する)に当たるように左右方向に広がる光(有効視野F内において左右方向に広がる光)として投射されている。なお、光Lの一端は、有効視野Fの外周と接していてもよい。検査者は、被検体2が光L内にあるか(被検体2に対して光Lが当たっているか)を確認することで、被検体2が有効視野F内にあるかを判断できる。図10Aでは、被検体2は光L内にある。つまり、検査者は、被検体2が有効視野F内にあると判断できる。このように、図10Aの構成によれば、有効視野F内にある被検体2全体に光Lが当たるため、被検体2が有効視野F内にあるかをより認識し易い。
【0048】
或いは、図10Bに示すように、制御部52は、投光部31を制御して、設定された有効視野Fの外周に接し、且つ設定された有効視野F外に発光部31aからの光を投射させることも可能である。図10Bでは、2つの投光部31からの光Lそれぞれが、有効視野F外に投射される例を示している。具体的には、一の投光部31からの光Lは、有効視野F外において開口部30の内面に当たるよう、左右方向に広がる光として投射されている。なお、光Lの一端は、有効視野Fの外周と接している(図10B参照)。検査者は、被検体2に光Lが当たっているかを確認することで、被検体2の有効視野F外にある領域を認識することができる。逆にいえば、被検体2に光が当たっていない場合、検査者は被検体2が有効視野F内にあると判断できる。図10Bでは、被検体2には光Lが当たっていない。つまり、検査者は、被検体2が有効視野F内にあると判断できる。更に、被検体2が有効視野F外にある場合、その全体に対して光Lが当たるため、有効視野F外にある領域を容易に認識することができる。
【0049】
上述の通り、本変形例における発光部31aからの光Lは、左右方向に広がった光である。このような光Lは、たとえば、投光部31に左右方向の広がりを持ったスリットを設けることで実現可能である。或いは、投光部31内の発光部31aを左右方向に振ることでも実現できる。
【0050】
<第2実施形態>
図11から図13を参照して第2実施形態に係るコンピュータ断層撮影装置について述べる。本実施形態では、コンピュータ断層撮影装置としてX線CT装置1を用いて説明を行う。また、第1実施形態と同様の構成については記載を省略する。本実施形態では、初期位置において発光部31aから投射された光と開口部30の中心との距離をαとする(図12参照)。
【0051】
図11及び図12に示すように、本実施形態では、架台部3に位置検出部32が設けられている。位置検出部32は、発光部31aの位置を検出する。位置検出部32は、例えばエンコーダからなる。
【0052】
本実施形態における移動機構31bは、投光部31を開口部30の径方向(図12の左右方向)に移動させる。移動機構31bは、制御部52により動作制御が行われる。
【0053】
本実施形態における設定部51は、位置検出部32による検出結果に基づいて発光部31aの移動量を算出し、当該検出結果に基づいて有効視野を設定する。移動量は、発光部31aが初期位置から移動した量を示す値である。
【0054】
具体的には、移動機構31bにより2つの投光部31間の距離を狭めていく(図12の矢印C方向)。そして、発光部31aからの光が位置P(撮影部位を含む領域の端部位置。図12参照)に投射されたとき、検査者からの指示入力により、位置検出部32は、その時点での発光部31aの位置を示す情報を設定部51に送る。設定部51は、発光部31aからの位置と初期位置から、発光部31aの移動量βを算出する。そして、設定部51は距離αと移動量βに基づいて、開口部30の中心から位置Pまでの距離γ(γ=α−β)を求め、開口部30の中心位置から半径γの領域を有効視野として設定する。
【0055】
このように、位置検出部32、及び設定部51における発光部31aの移動量を算出する機能が本実施形態における「算出部」に該当する。
【0056】
なお、制御部52が移動機構31bを動作させた制御信号に基づいて、設定部51が発光部31aの移動量を算出することも可能である。この場合には、制御部52及び設定部51における発光部31aの移動量を算出する機能が「算出部」に該当する。
【0057】
<動作>
次に図13を参照して、本実施形態に係るX線CT装置1による有効視野の設定方法について説明を行う。
【0058】
撮影開始の指示を受け、コンソール部5は、被検体2が載置された状態の天板4aを開口部30内に配置させる(S20)。
【0059】
初期位置にある発光部31aは光Lを投射する(S21)。なお、S20及びS21のステップはどちらが先に行われてもよい。
【0060】
検査者は、光Lの投射位置を確認しつつ、位置Pに光Lが投射されるまで投光部31間の距離を狭めるよう架台部3等を介して指示を行う(S22)。
【0061】
そして、位置Pに光Lが投射された場合、検査者からの指示に基づいて位置検出部32は、その時点での発光部31aの位置Pを検出する(S23)。位置検出部32による検出結果は設定部51に送られる。
【0062】
設定部51は、S23で検出された位置Pと発光部31aの初期位置から発光部31aの移動量βを算出する(S24)。
【0063】
そして、設定部51は、S24で算出された移動量βと初期位置から開口部30の中心までの距離αとに基づいて有効視野を設定する(S25)。すなわち、設定51は、開口部30の中心から位置Pまでの距離γ(γ=α−β)を求め、開口部30の中心位置から半径γの領域を有効視野として設定する。
【0064】
なお、図10Bで示したように、光Lを有効視野F外において開口部30の内面に当たるよう、左右方向に広がる光として投射することも可能である。
【0065】
或いは、図10Aで示したように、光Lを有効視野F内において左右方向に広がる光として投射することも可能である。この場合、位置検出部32は、検査者からの指示に基づいて光L内に被検体2が入った時点での発光部31aの位置Pを検出する。設定部51は、その位置Pに基づいて、S24及びS25の処理を行うことにより、有効視野を設定することも可能である。
【0066】
<作用・効果>
本実施形態に係るX線CT装置を含むコンピュータ断層撮影装置の作用及び効果について説明する。
【0067】
コンピュータ断層撮影装置の移動機構31bは、発光部31aを開口部30の径方向に移動させる。算出部は、移動機構31bによる発光部31aの移動量を算出する。設定部51は、算出部の算出結果に基づいて有効視野を設定する。
【0068】
この構成によれば、予め任意の有効視野を設定しなくても、被検体2の撮影部位に応じた有効視野を設定することができる。従って、被検体2の位置決め時に被検体2が有効視野内に入るよう設定することができる。更には、被検体2の体内部位(例えば胴部における心臓周辺領域)を撮影するための有効視野を設定することが可能となる。
【0069】
<第3実施形態>
図14から図16を参照して第3実施形態に係るコンピュータ断層撮影装置の構成について述べる。本実施形態では、コンピュータ断層撮影装置としてX線CT装置1を用いて説明を行う。また、第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成については記載を省略する。
【0070】
図14及び図15に示すように、本実施形態では架台部3に光センサ33が設けられている。光センサ33は、投光部31(発光部31a)からの光を検出するセンサである。光センサ33としては、例えばフォトディテクタが用いられる。投光部31(発光部31a)と光センサ33は、開口部30を挟んで対向する位置に配置されている。
【0071】
本実施形態における移動機構31bは、投光部31及び光センサ33を開口部30の径方向(図15の左右方向)に移動させる。
【0072】
本実施形態における設定部51は、光センサ33による光の検出結果に基づいて被検体2の端部位置を特定し、当該特定結果に基づいて有効視野を設定する。
【0073】
具体的には、移動機構31bにより2つの投光部31間(光センサ33間)の距離を狭めていく(図15の矢印D方向)。距離を狭めている間、投光部31からの光を光センサ33で検出する。そして、光センサ33が投光部31からの光を検出しなくなったときに(つまり投光部31からの光が被検体2に当たった場合)、設定部51は、その直前の投光部31の位置(或いは光センサ33の位置)を被検体2の端部位置として特定する。そして、設定部51は、光センサ33によって光が最後に検出された位置(被検体2の端部位置)から開口部30の中心までの距離を半径とし、開口部30の中心位置から当該半径の領域を有効視野として設定する。
【0074】
<動作>
次に図16を参照して、本実施形態に係るX線CT装置1による有効視野の設定方法について説明を行う。
【0075】
撮影開始の指示を受け、コンソール部5は、被検体2が載置された状態の天板4aを開口部30内に配置させる(S30)。
【0076】
発光部31aは架台部3に設けられた光センサ33に向けて光Lを投射する(S31)。なお、S30及びS31のステップはどちらが先に行われてもよい。
【0077】
光センサ33によって光Lが受光された場合(S32でYの場合)、発光部31aと光センサ33との間に光Lを遮るもの(被検体2)が無いこととなる。この場合、移動機構31bは、投光部31間(光センサ33間)の距離を狭めていく(S33)。なお、投光部31間(光センサ33間)の距離が狭まっている間、発光部31aから光センサ33に向けて投射される光Lは、連続的であってもよいし、断続的であってもよい。
【0078】
一方、投光部31間(光センサ33間)の距離を狭めていくと、光センサ33によって光Lが受光されない場合がある(S32でNの場合)。これは、被検体2により発光部31aからの光が遮られ、光センサ33で受光できないことに起因する。この場合、設定部51は、その直前の投光部31の位置(或いは光センサ33の位置)を被検体2の端部位置として特定する(S34)。
【0079】
設定部51は、S34で特定された位置から開口部30の中心までの距離を有効視野の半径として有効視野を設定する(S35)。すなわち、設定部51は、開口部30の中心からS34で特定された位置までの距離を半径とし、開口部30の中心位置から当該半径の領域を有効視野として設定する。
【0080】
<作用・効果>
本実施形態に係るX線CT装置を含むコンピュータ断層撮影装置の作用及び効果について説明する。
【0081】
コンピュータ断層撮影装置の架台部3は、投光部31からの光を検出する光センサ33を有する。投光部31及び光センサ33は、開口部30を挟んで対向する位置に配置されている。移動機構31bは、投光部31及び光センサ33を、これらを結ぶ方向の直交する方向であって且つ開口部30の径方向に移動させる。設定部51は、光センサ33による光の検出結果に基づいて被検体2の端部位置を特定し、当該特定結果に基づいて有効視野を設定する。
【0082】
この構成によれば、予め有効視野を指定しなくても、被検体2の撮影部位に応じた有効視野を求めることができる。従って、被検体2の位置決め時に、被検体2が有効視野内に入るよう設定することができる。
【0083】
<第2及び第3実施形態の変形例>
第2及び第3実施形態では、2つの投光部31を用いて有効視野を設定する構成について説明をしたがこれに限られない。
【0084】
例えば、図17に示すように本変形例のコンピュータ断層撮影装置は、1つの投光部31及び1つの光センサ33を有する。投光部31及び光センサ33を回転機構(第1実施形態の変形例1参照)により図16の矢印G方向に回転させつつ、移動機構31bにより被検体2と投光部31からの光Lとの距離を狭めていく。そして、光Lが被検体2と接する位置を被検体2の端部位置として特定し、設定部51により有効視野が設定される。なお、端部位置の特定には、投光部31の回転角度、回転に伴う投光部31及び光センサ33の位置の変化量、及び被検体2の幅等の情報を用いる。
【0085】
この構成によれば、投光部31が1つという簡易な構成により、被検体2の撮影部位に応じた有効視野を求めることができる。従って、被検体2の位置決め時に、被検体2が有効視野内に入るよう設定することができる。
【0086】
<変形例>
上記実施形態の構成はX線CT装置に限られない。有効視野を設定する必要があるコンピュータ断層撮影装置(例えば、PET装置、SPECT、MRI装置)にも適用することが可能である。
【0087】
また、上記第2、第3実施形態では、2つの発光部31a間の距離を狭めていく構成について説明したが、これに限られない。例えば、初期位置として開口部30の中心位置の上方向に発光部31aを配置し、当該初期位置から開口部30の外方向(例えば図12の左右方向)に向けて2つの発光部31a間の距離を広げていくことでも有効視野を設定することが可能である。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
1 X線CT装置
2 被検体
3 架台部
4 寝台部
5 コンソール部
6 表示部
30 開口部
31 投光部
31a 発光部
31b 移動機構
51 設定部
52 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を被検体に照射して収集されたデータをコンピュータを用いて処理することにより、当該被検体内部を画像化するコンピュータ断層撮影装置であって、
前記被検体が載置された天板を移動させる寝台部と、
前記天板が挿入される開口部を有する架台部と、
前記架台部に設けられた投光部と、
前記被検体に対する有効視野を設定する設定部と、
前記投光部を制御して、前記設定された有効視野を示す光を投射させる制御部と、
を有するコンピュータ断層撮影装置。
【請求項2】
前記投光部は、
前記光を発生する発光部と、
前記発光部を移動させる移動機構と、
を有し、
前記制御部は、前記設定された有効視野に基づいて前記移動機構を制御することにより、前記発光部からの光が前記有効視野を示すように投射させることを特徴とする請求項1記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記投光部を制御して、前記設定された有効視野の外周に接するように前記光を投射させることを特徴とする請求項1又は2記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記投光部を制御して、前記設定された有効視野内に前記光を投射させることを特徴とする請求項1又は2記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記投光部を制御して、前記設定された有効視野の外周に接し、且つ前記設定された有効視野外に前記光を投射させることを特徴とする請求項1又は2記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項6】
前記移動機構は、前記発光部を前記開口部の径方向に移動させ、
前記移動機構による前記発光部の移動量を算出する算出部を有し、
前記設定部は、
前記算出部の算出結果に基づいて前記有効視野を設定することを特徴とする請求項2記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項7】
前記架台部に設けられ、前記発光部からの光を検出する光センサを有し、
前記発光部及び前記光センサは、前記開口部を挟んで対向する位置に配置され、
前記移動機構は、前記発光部及び前記光センサを前記開口部の径方向に移動させ、
前記設定部は、
前記光センサによる前記光の検出結果に基づいて前記被検体の端部位置を特定し、当該特定結果に基づいて前記有効視野を設定することを特徴とする請求項2記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項8】
前記投光部は、複数設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のコンピュータ断層撮影装置。
【請求項9】
前記架台部は、前記開口部の周囲において前記投光部を回転させる回転機構を有することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のコンピュータ断層撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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