コンピュータ構成要素を装着する方法および装置
【課題】ラック内にコンピュータ構成要素をコンパクトに装着可能とし、交換作業を容易に行い得る電源分配ユニット。
【解決手段】所定の間隔にて互いに隣接して装着された一連の直立コンピュータブレード(32)に電力を供給する電源分配ユニット(29)は、直立ブレード(32)に対して横方向に延びる本体(74)であって、同本体(74)の片側上にて互いに隣接して配置された一連のコネクタ(76)を有する本体(74)と、直立ブレード(32)とコネクタ(76)とを個別に電気接続する手段と、コネクタ(76)に電力を供給して、ブレード(32)に電力を供給する手段(72)とを備える。
【解決手段】所定の間隔にて互いに隣接して装着された一連の直立コンピュータブレード(32)に電力を供給する電源分配ユニット(29)は、直立ブレード(32)に対して横方向に延びる本体(74)であって、同本体(74)の片側上にて互いに隣接して配置された一連のコネクタ(76)を有する本体(74)と、直立ブレード(32)とコネクタ(76)とを個別に電気接続する手段と、コネクタ(76)に電力を供給して、ブレード(32)に電力を供給する手段(72)とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、コンピュータ構成要素を装着するための改良された方法および装置に関する。より詳細には、本発明は、コンピュータ構成要素をコンパクトな形態にてラック内に装着するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ構成要素を装着するには、様々な異なる種類の方法とシステムが存在する。例えば、特許文献1〜19を参照にされたい。
【特許文献1】米国特許第4,258,967号明細書(ボウドリュー(Boudreau)等)
【特許文献2】米国特許第4,879,634号明細書(ストロウ(Storrow)等)
【特許文献3】米国特許第4,977,532号明細書(ボルコビッツ(Borkowics)等)
【特許文献4】米国特許第5,010,444号明細書(ストロウ等)
【特許文献5】米国特許第5,216,579号明細書(バサラ(Basara)等)
【特許文献6】米国特許第5,460,441号明細書(ハースティング(Hasting)等)
【特許文献7】米国特許第5,571,256号明細書(グッド(Good)等)
【特許文献8】米国特許第5,684,671号明細書(ホッブス(Hobbs)等)
【特許文献9】米国特許第5,877,938号明細書(ホッブス等)
【特許文献10】米国特許第5,896,273号明細書(ホッブス等)
【特許文献11】米国特許第6,025,989号明細書(バーギース(Varghese)等)
【特許文献12】米国特許第6,058,025号明細書(エイド(Ayd)等)
【特許文献13】米国特許第6,075,698号明細書(エッカー(Ecker)等)
【特許文献14】米国特許第6,220,456B1号明細書(ジェンセン(Jensen)等)
【特許文献15】米国特許第6,305,556B1号明細書(メイヤー(Mayer)等)
【特許文献16】米国特許第6,315,249B1号明細書(ジェンセン等)
【特許文献17】米国特許第6,325,636B1号明細書(ヒップ(Hipp)等)
【特許文献18】米国再発行特許第35,915号明細書(ハースティング等)
【特許文献19】米国意匠特許第407,358号明細書(ベランジャー(Belanger)等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンピュータ構成要素を装着する異なる種類の技術が数多く存在するため、所定のモジュラ構成に従って、ラック内にコンピュータ構成要素を装着する標準規格が採用されている。この観点から、コンピュータ構成要素、例えばコンピュータプロセッサユニットは、標準寸法を有するラック構造内で、互いに重なり合って柱状に装着される。標準規格は、サーバーラック規格(Server Rack Specification)(SSI)により、EIA−310−D標準規格と称されている。
【0004】
各コンピュータ装置のハウジングは、標準規格に従った一定の高さを有する必要がある。高さは、標準単位「U」の倍数でなければならない。従って、1「U」(標準単位)の高さ、またはその複数倍の高さを有するコンピュータ構成要素が存在し得る。また、標準ラックに装着可能な1U,2U,3U,4U等の高さを備えたコンピュータ構成要素も存在し得る。
【0005】
従って、目下使用されている従来の標準規格によれば、コンピュータ構成要素を狭い間隔で水平に配向させて、緊密に詰め込んで格納するラックが提供される。ラック内に装着される各コンピュータ構成要素は、適切に標準単位Uの倍数の寸法を有している。ラックはキャスター等の上部にて移動可能に装着されるため、コンピュータ装置を適切に冷却する、厳密に制御された空調システムを備えたコンピュータ室内等へ容易に配置される。
【0006】
特定の用途においては、コンピュータ構成要素をラック内でコンパクトに、かつ非常に緊密に配置することが望ましい。従って、多くの用途において、コンピュータ室または他の割り当て空間内に可能な限り多数のコンピュータ構成要素を配置することが重要になっている。
【0007】
ラック上でコンピュータ構成要素を非常に緊密かつコンパクトに装着するために、コンピュータ構成要素は、互いに緊密に積み重ねられて、柱状に配置される。データケーブルおよび電源ケーブルは、ラック内の後部平坦領域または空間内に配置される。
【0008】
冷却を目的として、様々な技術が使用されている。例えば、各コンピュータ構成要素のハウジング内には、個別のファンが設けられている。ハウジング室内の空気は、多くの場合、ハウジング室内の片側に設けられたファン排気強制換気室に排気される。
【0009】
この従来のラック装着システムは、いくつかの不都合を有する。各構成要素内に装着される個別のファンは高価であり、故障した場合、その交換に時間を要する。また、後部平坦空間およびファン排気強制換気室は、コンピュータ構成要素が充填され得る空間を占有し、空間を無駄にしている。
【0010】
さらに、現場にてラック装着システムを組み立てる際、各構成要素をラック内の定位置に取り付けて、その後各ユニットのケーブルをラック内のラック後部空間内にて装着しなければならない。この操作は時間を要し、従ってこのような装着を行うには熟練者を必要とするために費用が高額になる。さらに、一旦コンピュータ構成要素を装着すると、コンピュータ構成要素が故障した場合、交換の際に、システム全体、または少なくともシステムの相当部分をシャットダウンして、故障したユニットを取り外し、新しいユニットを装着して、再び接続しなければならない。このこともまた時間と費用とを要する。
【0011】
従来のラック装着されたコンピュータ構成要素では、多くの場合、コンピュータ構成要素のケーブルはラック後部に配置されるため、マザーボード等の主要な回路基板は、コンピュータ構成要素のハウジングの後部に置かれて、ラック後部でのケーブルの取付けが容易にされていた。コンピュータ構成要素のハウジング内のこのような回路基板配置は、ある用途において望ましいものではなかった。例えば、ユーザはキーボード、モニター等の試験構成要素を、ラック装着されたコンピュータ構成要素の所定の1個に接続することを希望する場合、マザーボードがハウジング後に装着されているため、マザーボードへのアクセスを通常通り行うことが困難である。即ち、所定のコンピュータ構成要素へアクセスする際、多数のケーブルが存在するラック後部にて行う必要があり、それ故、コンピュータモジュールへのアクセスが妨害されていた。さらに、マザーボードがコンピュータ構成要素のハウジング後に装着されているため、空気をハウジング前から入り込ませて、同空気がハウジング後から排気されるファンおよびバッフルの装着が困難で、高価になる場合が多かった。
【0012】
従って、個々の構成要素にユーザが比較的容易にアクセスでき、かつ冷却のための換気を比較的効率よく効果的に行うことが可能な、新たに改良されたコンピュータ構成要素の構造が所望されている。
【0013】
従来のラック装着されたコンピュータ構成要素では、吸引ファンを装着して、ハウジング内にハウジング前部を介して空気を引き込むことによって構成要素のハウジング内の回路が冷却される。通常、ハウジングの側部に排気ファンも装着されて、コンピュータ構成要素ハウジング内の加熱された空気を排気する。冷却を目的として、マイクロプロセッサ・チップ等の回路素子上にはヒートシンクが装着されて、同回路素子内に蓄積した熱を放散する。その後、移動する空気がヒートシンクから熱を移動させて、同空気はハウジング外部に排気される。
【0014】
空気はハウジング前部から入り込み、ハウジング側部から退出するため、空気の移動経路は不規則である。従って、気流経路内にヒートシンクを配置することは困難であり得る。この観点から、バッフル等を使用して、気流をヒートシンク上にて離間されたフィンを通過するように指向さあせる必要があり得る。
【0015】
コンピュータ構成要素ハウジング内の電子回路の冷却には、吸引排気ファンが使用される。一般に構成要素ハウジング前部にて複数の吸引ファンが配置され、一般にハウジング側部にて空気を排気する別のファンのセットが配置される。ファンの1個または2個以上が故障した場合、コンピュータ構成要素全体を交換するか、もしくは故障したファンを取り替えるか、または修理するために、コンピュータ構成要素の作動を休止する必要がある。このようにシステム機能を延期することは、多くの用途において望ましいものではない。
【0016】
従って、コンピュータ構成要素をラック装着システム内で非常に緊密な状態にてコンパクトに装着することが望ましい。しかしながら、一つのラック内に装着される多数のコンピュータ構成要素を、そのケーブル設置の必要性を維持しながら、ラック内にて非常に緊密に収容することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願に開示される本発明の実施形態の少なくとも一つにおいて、鉛直方向に装着され、かつブレード形態を有するコンピュータ構成要素を使用して、回路デバイス等の作動可能な部品を支持するラック装着システムを提供する。ブレードは、鉛直方向にて互いに離間された一連の区画内に装着される。各区画内において、鉛直方向に装着されたブレードは、電源分配ユニットの長尺片と接続されることでコンパクトに装着される。従って、鉛直方向に装着された一対のブレードのセットは、同一区画内で電源分配ユニットの対向する側部に取り付けられる。鉛直方向に離間された各区画間に冷却ファンユニットが配置されて、システム全体を介して鉛直方向に流れる気流を形成する。
【0018】
本願に開示される本発明の実施形態の少なくとも一つにおいて、ラック内でほぼ直立して、または鉛直方向に装着されるよう形成された、開放されたコンピュータ構成要素の構造、即ちブレードの構造を有する、ラック装着可能なコンピュータ構成要素を開示する。マザーボード等の作動可能な部品は、コンピュータ構成要素、即ちブレードの前部に装着されて、同部品へのユーザのアクセスが可能にされる。作動可能な部品は、装着されたブレードに対して鉛直方向に流れて部品の冷却を促進する気流により冷却される。
【0019】
本願に開示される本発明の実施形態の少なくとも一つにおいて、コンピュータ構成要素の構造は、少なくともその片面上に装着された作動可能な部品を有し、かつほぼ直立して支持されるよう構成された支持体を備える。支持体の前縁部に対して横方向に前パネルが延び、該パネルに配置された出力は、作動可能な部品の少なくとも一つと接続されている。支持体の後縁部には、作動可能な部品のために電力を受容する電源入力が装着されている。
【0020】
本願に開示するように、支持体は切り取り部分を有し、この部分の近傍に電源入力が配置されている。このセグメントは略矩形で、実質的に剛性を備えている。本願に開示されるように、支持体の前縁部近傍に少なくとも一つの作動可能な部品、例えばマザーボード等が配置されて、出力と電気接続される。本願にて更に開示するように、前パネル上の出力に対して、作動可能な部品からの電気情報を伝達するケーブルが電気接続されている。
【0021】
本願に開示される本発明の実施形態の少なくとも一つにおいて、前パネル縁部の一つが支持体縁部に配置されて、L字形を形成している。従って、横方向に延びる前パネルおよび支持体は、結果として構成要素の構造がほぼ直立して隣接して、類似するユニット同士が密接するように構成配置される。従って、互いに類似するコンピュータ構成要素の前パネルがほぼ連続した直立壁を形成するが、作動可能な部品は、直立支持体上にて開放された状態に装着される。この形態によれば、コンピュータ構成要素の構造は、この直立支持体上に装着された作動部品を通過する鉛直方向の気流の経路内に配置され得る。
【0022】
本願に開示される本発明の実施形態の少なくとも一つにおいて、ラック装着されたコンピュータ構成要素のためにヒートシンクを装着する方法と装置とを提供する。ヒートシンクは、鉛直方向に装着されたコンピュータ構成要素ブレード上に装着されるよう構成されている。ヒートシンクは、効率的で迅速な冷却を目的として、鉛直方向に流れる気流がヒートシンクのフィンと十分に接触するように配置される。
【0023】
本願に開示される本発明の実施形態の少なくとも一つにおいて、ヒートシンクは、直立支持体上に装着されたコンピュータマザーボードの一部を形成する作動部品、例えばマイクロプロセッサのために使用される。ヒートシンクは基部を有し、同基部は、基部から延びる互いに離間された一連のフィンを有し、比較的広い表面積を提供して、フィン間をほぼ鉛直方向に流れる冷却空気が通過する際に、該表面から熱を放散する。基部はほぼ鉛直方向に装着され、フィンもほぼ鉛直方向に延びている。本発明の実施形態の少なくとも一つにおいて、基部の高さに対するフィンの高さの比は、7より大きい。
【0024】
本願に開示される本発明の別の実施形態において、ヒートシンク基部の高さに対するフィンの高さの比は、約7.5〜10.45である。さらに、本願に開示されるように、基部には伝熱スラグ板が重なり、同スラグ板は、基部と、冷却される作動部品との間に介在している。
【0025】
本願に開示される本発明の実施形態において、ヒートシンクを用いて作動部品の冷却を補助する方法を開示する。本方法は、支持体をほぼ直立状態に装着し、同支持体の片面上に作動部品を装着する工程を含む。作動部品上に、ヒートシンクをほぼ鉛直方向に装着する。このときヒートシンクは、基部からほぼ鉛直方向に延びる互いに離間されたフィンを有している。基部と、冷却される作動部品との間に、スラグ板が介在する。
【0026】
本発明の特定の実施形態において、支持体に装着され、かつ狭い間隔で離間された一連の直立コンピュータ構成要素を冷却する配置を提供する。この配置は、複数の空気移動装置、例えばファンを備えたトレイを有する。トレイを支持体に対してほぼ水平方向にて着脱可能に装着する部材が使用される。空気移動装置は、ほぼ鉛直方向の移動経路内で空気を移動させて、直立コンピュータ構成要素の冷却を補助する。トレイは、個々のコンピュータ構成要素の出力と電気接続する一連のコネクタポートも備える。
【0027】
本発明の別の実施形態において、トレイは、その上部にて列を構成するコネクタポートを有する前パネルを備える。本願に開示するように、前パネルは開放することが可能であり、修理または交換のために空気移動装置にアクセスしたり、または取り出したりすることが可能である。空気移動装置は、支持体ユニットから離脱することが可能である。また、本願に開示するように、本発明の別の実施形態では、空気移動装置は個別のサブグループに構成され、前パネルが開放された際に、空気移動装置の選択されたサブグループを一つのユニットとしてトレイから取り出すことが可能である。
【0028】
本願に開示される本発明の実施形態において、コネクタポートに電気ケーブルが接続されて、コネクタポートから信号を伝達する。ケーブルは十分に緩慢な部分を有して、コネクタポートに対する電気接続を保持したまま、前パネルを開放位置へ離脱させることが可能である。従って、空気移動装置は「ホットスワップ可能(hot swappable)」であり、その間にコンピュータ構成要素は作動を継続する。
【0029】
本願に開示される本発明の少なくとも一つの実施形態において、ラック内にて水平に装着され、ラック内にて鉛直方向に装着されたコンピュータ構成要素を介した鉛直方向の空気の移動を促進するように構成されたファントレイ、即ちファンユニットが提供される。本発明の一例において、一連のファントレイは、ラック内で鉛直方向にて互いに離間されて配置されるよう構成されている。各ファントレイは、コンピュータ構成要素が通常通り作動中に、離脱および交換されるよう構成されている。
【0030】
本願に開示される本発明の少なくとも一つの実施形態において、互いに隣接し、かつ狭い間隔にて離間された一連の直立コンピュータブレードに、電力を供給する方法を提供する。本方法は、長尺状の電源分配ユニットを、直立ブレードに対して横方向に配置する工程と、分配ユニットの片面上で互いに隣接して配置された一連のコネクタに直立ブレードを電気接続する工程とを含む。本発明の一実施形態では、電源分配ユニット本体の対向面上において、一連の第二のコネクタが互いに隣接して配置されている。
【0031】
本発明の別の実施形態において、各コンピュータ構成要素ブレードは、互いに類似する切り取り部分を有する。電源分配ユニットの本体は、このブレードの切り取り部分により受容される相補的な断面形状を有して、コンパクトな装着構造を提供する。
【0032】
本願に開示される本発明の実施形態の少なくとも一つにおいて、鉛直方向に装着された一対のコンピュータ構成要素を、その後部同士が対向し、かつ鉛直方向にて互いに非常に近接した状態にて装着されることを可能にする電源分配ユニットを提供する。電源分配ユニットはさらに、鉛直方向に装着された構成要素を都合よくラック内に摺入させて電源分配ユニットと電気的に係合させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
特に図1〜図21、図29および図30を参照すると、本発明の開示された実施形態に従ったラック装着システム10が図示されている。ラック装着システム10はラックハウジング12を備える。このハウジングは、鉛直方向に配置された複数の区画14を有する矩形の箱体として構成されている。図示される実施形態は、鉛直方向にて互いに離間された3個の区画14を備えている。
【0034】
各区画14は、中央部にて横方向に延びる水平仕切19により、前区画部16と後区画部18とに分割されている。中央部の仕切19は、図7にて最も明確に図示されている。区画14は、ラックハウジング12内にて、鉛直方向にて互いに積み重なるように配置されている。ラックハウジング12の底部に制御区画21が存在する。この制御区画21は、以下にてより詳細に説明する様々な制御部品を収容する。
【0035】
ラックハウジング12は、さらに、各区画14の上部にファン/LANトレイスロット23を備える。各扇/LANトレイスロットは、ファン/LANトレイ、例えばトレイ27を収容するように構成されている。
【0036】
図示される実施形態は制御区画21(図7)を備える。この制御区画21は、床28の通気開口部26から鉛直方向に流れる気流を促進し、かつ気流がファン/LANトレイにより補助されてシステム10を介して鉛直方向に流れることを促進する底部開口部25(図7)を有する。ラックハウジング12の頂部には、開口された頂部パネル26(図1)が存在して、鉛直方向に流れる空気がシステム10から排出される。
【0037】
図1,5,6,および8に最も明確に図示されるように、各区画14の頂部の前区画部16と後区画部18との間の中央領域に、電源分配ユニット(PDU)29が設けられて、ラック装着システム内に装着されている様々な構成要素に電力を供給する。各区画は、前区画部16と後区画部18との各々の内部にて、複数のコンピュータ構成要素を、開放構造を備えたコンピュータ構成要素、またはブレード、例えばブレード32(図1)として収容するよう適合されている。図示する実施形態では、各前区画部および各後区画部区画内に11個のブレードがほぼ直立して収容されている。従って、図示される実施形態では、システム10は66個のコンピュータ構成要素を、互いに密接して、狭い間隙でコンパクトに収容する。
【0038】
底部制御区画21は、様々な制御部品を収容するよう適合されている。図6に最も明確に示すように、制御構成要素はブレーカ連結ボックス34を備えてもよい。ブレーカ連結ボックス34は、各PDUと電気接続されている。図4に示すように、制御区画21内にスイッチモジュール36が配置されていてもよい。スイッチモジュール36は、ブレード32等の様々なブレードと、ローカルエリアネットワーク、広範囲ネットワーク、またはインターネット等の公衆ネットワーク等のネットワークとの間を制御する。制御区画21は、さらに、空気吸引ファンモジュール38(図1および図5)を収容して、底部開口部25を介して空気を吸引し、ブレードと区画14とを通過して頂部開口パネル26から退出する、気流の鉛直方向の流れを促進する。
【0039】
図示されているラックシステム10の実施形態は4個のキャスター41を備え、同システムを床26(図5)にて移動可能に支持し、ラックシステム10に可搬性を付与している。本発明によるラックシステムの別の実施形態は、床に設置されてもよく、従ってキャスターの位置に脚またはスキッドが配置されて、床へ直接設置される。
【0040】
ファン/LANトレイ
図8、図9を参照して、ファン/LANトレイ27と、ラックハウジング12へのファン/LANトレイ27の装着をより詳細に説明する。図9に、図面に示すラックシステム10等の適切な支持体に装着されるファン/LANトレイ27の一実施形態を示す。ファン/LANトレイ27は8個の空気移動装置を備えており、気流の鉛直方向の流れを促進する。図示される実施形態は、ファン/LANトレイ1個につき8個のファン43を有するが(図9)、ファンは適切な任意の数を有し得る。
【0041】
ファン/LANトレイ27の前部に、一連のLANコネクタポート45(図1および図9)が配置されている。図9に示す実施形態では、各ファン/LANトレイ27は12個のLANコネクタポート45を有し、末端のポートは試験目的で使用され得る。本実施形態では12個のLANコネクタが開示されているが、所定用途のために任意数のコネクタを配置し得ることが理解されよう。各LANコネクタポート45からの内部配線リード線(図示せず)は、ファン/LANトレイ27後部に配置された2個の信号コネクタ47(図9)のうちの1個に延びている。一実施形態において、各信号コネクタ47は50ピンコネクタであり、スイッチモジュール36に電気接続されている。各ファン/LANトレイは、さらに、その後部にて、ファン/LANトレイ27に電力を供給するためのAC電源入力49を備えている。ファン/LANトレイが装着されると、PDU29からAC電源入力49を介してファン43等のファンに対して電力が供給され得る。
【0042】
ファン/LANトレイ27を、ラックハウジング12のファン/LANトレイスロット23内へ装着することを容易にするために、図9に示すように、各ファン/LANトレイ27の側部上に案内52を設けてもよい。装着工程中、好ましくはナイロン製の案内である案内は、ファン/LANトレイスロット23の側部上の対応する部材と係合し、ファン/LANトレイの支持を補助し得る。さらに、ファン/LANトレイ27をファン/LANトレイスロット23内に固定するために、案内52に関連するロック機構を設けてもよい。ファン/LANトレイが一旦取り付けられると、各ファン/LANトレイ27は、前区画部16および後区画部18のいずれかの直上領域を占有する。従って、前区画内のファン/LANトレイと、後区画内のファン/LANトレイとは、各区画14の上部レベルを完全に覆い得る。図10に最も明確に示すように、合計で6個のファン/LANトレイ27と、空気吸引ファンモジュール38とが、本発明の一実施形態による三区画レベルのラック装着システム10に提供され得る。
【0043】
図9A,9Bを参照すると、開示された本発明の別の一実施形態によれば、ファン/LANトレイ27に類似するファン/LANトレイ42は、複数の個別トレイ、即ちトレイ部分、例えばトレイ部分44に分割されている。各々を別個に取り出すことが可能であるため、残りの1個または複数のトレイ部分は、その後も機能し得る。この観点において、LAN接続は、ファントレイ、即ちトレイ部分とは分離しているため、トレイ部分はLAN構成要素から独立して取り出すことが可能である。
【0044】
ファントレイ42は、空洞を有する略矩形の平坦枠46を備え、該枠は、一連の案内、例えば案内68を有して、ファントレイ42を、図1のラックハウジング12に類似し得る適切な支持体(図示せず)に装着することを補助する。枠46は、個々のトレイ部分、例えばトレイ部分44を受容するための前開口部48(図9B)を有する。着脱可能な前パネル51は開口部48の全体に対して嵌合し、例えば固定装置(図示せず)を使用する等、任意の適切な手段を使用して定位置に固定される。前パネル51上には一連のコネクタポート、例えばコネクタポート53が装着されており、同コネクタポート53は、図9の信号コネクタ47に類似し得る信号コネクタ(図示せず)と電気接続される。この観点において、ケーブル、例えばケーブル55は、コネクタポート、例えばコネクタポート53に対して個別に接続されている。前パネル51の離脱を可能にするために、ケーブル、例えばケーブル55は、ケーブル緩み部分、例えばケーブル緩み部分57を有して、前パネル51を枠46から離脱させることを可能にし、かつコンピュータ構成要素に対する電気接続を保持して、システムが通常通り作動することを可能にする。この観点において、修理あるいは置換のために個々のファントレイ部分を取り出すことが可能であり、残りのファントレイ部分は独立して機能し冷却を行い得る一方、コンピュータ構成要素は通常通り作動する。
【0045】
トレイ部分44をより詳細に考察すると、トレイ部分は互いに類似し得ることが理解されよう。図9Bに示すように、トレイ部分44は前鍔部59を有し、ユーザがトレイ部分を把持して枠46から外部へ牽引することを容易にする。ファントレイ部分は、一対の空気移動装置、例えばファン70と、ファンに動力を付与するために電源分配ユニット62上の電源出力60と係合する、図9の電源入力49に類似する電源入力(図示せず)とを有している。この構成において、トレイ部分44は、トレイ部分44を電源出力60から単に取り外すだけで、枠46から外部へ引き出され得る。その後、別の同型のファントレイ部分が定位置に挿入されて電源出力60と接続された後、前パネル51が開口部48上に戻され得る。
【0046】
以上のように、空気移動装置のグループをトレイ部分の小グループに分割することができ、残りの空気移動装置の作動を妨害することなく、数個の空気移動装置のみを取り出すことが可能であることが明白となろう。空気移動装置のトレイ部分の小グループは、1個以上の任意数であり得ることに留意されたい。また、個々のトレイ部分、例えばトレイ部分44は、前パネル51の後部に配置され、類似するトレイ部分のセット(図示せず)が、枠46の後部に取り付けられて、電源分配ユニット62と相互接続され得ることに留意されたい。後パネル(図示せず)は着脱可能で、かつ前パネル51と類似し、前パネルと同一目的を果たす。
【0047】
コンピュータ構成要素の構造
図11、図25および図26を参照して、コンピュータ構成要素、即ちブレード32と、該ブレード32のラックハウジング12内への装着とをより詳細に説明する。各ブレードには、前パネルの前面から突出する一対のハンドル54が設けられている。前パネルは剛性の直立支持体または支持板に向かって横方向に延びて、同支持体の前端部にL字形をなすよう連結される。ハンドルは、ユーザにより把持されてブレード32を区画内へ、または区画から外部へ容易に摺動させ得る。
【0048】
各ブレード32は、1個以上のマザーボード56を備え得る。図25、図26に示す実施形態では、各ブレード32は2個のマザーボード56a,56bを備える。各ブレード32内に含まれるマザーボードの数は、設計により変動し得ることが理解されるであろう。マザーボードは、ヒートシンク、例えばヒートシンク58,59を備えて、マザーボードの冷却が促進されている。各マザーボードは、さらに、ランダムアクセスメモリ(RAM)61を備える。各マザーボードに含まれるRAM61の総量は、必要に応じて変動され得る。ブレード32上には一対の電源63a,63bが設けられて、対応するマザーボード56a,56bに電力を供給する。ブレード32上には、一対のハードディスク64a,64bも同様に設けられている。
【0049】
全構成要素は、区画内にて鉛直方向に支持されるように構成された剛性板、即ち支持体64の片面上に装着されている。各ブレード32は、その上部後部に、角部の切り取り部分、即ちセクション65を有する。角部65は、その内部にPDU29を受容かつ収容する寸法を有し、従って2個の対向するブレード32,32aは(図26に示すように)、PDU29をほぼ完全に収容する。従って、PDU29の装着面積は実質的にゼロとなる。各ブレード32には、角部65にて、またはその近傍にてAC電源入力、例えば入力67が設けられている。従って、ブレード32がラックハウジング12内に装着されると、AC電源入力67が対応するPDU29のACコネクタ、例えばコネクタ76(図17)と電気的に係合する。
【0050】
図11に最も明確に示すように、ブレード32の装着は、迅速かつ効率のよい方法にて行われる。ブレード32は単に、ラックハウジング12の区画14の前区画16か後区画18の内部へ摺動される。各ブレード32は、AC電源入力67がPDU29上の対応するACコネクタと係合するまで、後へ摺動される。中間部の仕切19はブレード32の後部停止部としての役割を果たす。各ブレード32は、4個のブレードネジ69によってそのスロットに固定され、それによりブレード32はラックハウジング12に取り付けられる。
【0051】
一旦ブレード32がラックハウジング12上に装着されると、短いブレード/LANコネクタケーブル、例えばケーブル45(図12)、即ちケーブル71(図1)は、ブレード32と、ネットワーク、例えばローカルエリアネットワーク、広範囲ネットワークまたはインターネット等の公衆ネットワークとの間に電気的なネットワーク接続を形成する。この観点において、マザーボードは各々、各ブレードの前部に装着され、従ってマザーボードへのアクセスは、前部出力、例えば出力73(図12)等にて容易に行われる。従って、データ接続は、出力73から短ケーブル45を介して、スイッチモジュール36に結合されたPDU29の入力77へ形成され得る。
【0052】
電源分配ユニット
図17〜図20を参照して、電源分配ユニット29をより詳細に説明する。電源分配ユニット29は、ラック内にて狭い間隔にて互いに隣接して装着された一連の直立するコンピュータ構成要素、即ちブレードに電力を供給する。図26に最も明確に示すように、ブレード、例えばブレード32,32aは、その上部後部に切り取り部分、即ちセクション65を有してPDU29を受容する。この観点において、切り取り部分65は、PDU29の断面形状に対して相補的な形状を有している。PDU29は断面が略矩形であり、角部の切り取り部分65は略L字形をなして、PDU29の対向する側部をコンパクトに受容する。従って、ブレード、例えばブレード32,32aは、個々のケーブルを受容するための後部平坦空間を設ける必要なく、極めてコンパクトにPDU29内へプラグインされ得る。
【0053】
PDU29は、外部電源から回路ブレーカ連絡ボックス34を介して、様々なブレード32およびファン/LANトレイ27に電力を供給する。各PDU29は、好ましくは18ゲージの鋼鉄製ケースからなる2個の部品から形成された、長尺状のPDU本体74を備える。PDU本体74の両面の各々は、一連の雌ACコネクタ76を有する。図17〜図20に示す実施形態において、各側面には12個の雌ACコネクタ76が設けられている。この12個のコネクタ76は、各区画14の前区画部16内と後区画部18内と装着される11個のブレードと、ファン/LANトレイ27とに対応している。12番目のコネクタは、ファントレイ前面上のAC電源出力に接続される。
【0054】
従って、PDU本体74の前面および後面の各々に、12個の雌ACコネクタ76が設けられている。12個の雌ACコネクタの各セットは、一対の電源ケーブル72を介して電力を受容する。一実施形態にて、電源ケーブル72は15アンペアの電源ケーブルであり、PDU本体74との連結点の近傍にてストレイン・リリーフ(strained relief)を有する。以下に説明するように、電源ケーブル72は制御区画21内のブレーカ連結ボックス34に繋がれる。PDU本体74は、PDU本体74をラックハウジング12に対して取り付ける一連の錨78を備えてもよい。
【0055】
図13〜図16を参照して、様々な電源ケーブルおよびLANケーブルの配線(routing)を、より詳細に説明する。図13に最も明確に示すように、各区画レベルのPDU29に由来する電源ケーブル72は、ラックハウジング12の右側に沿ってラックハウジング12の前部へ指向されて、底部へ指向されている。底部にて、ケーブルは回路ブレーカ連結ボックス34と電気接続される。従って、図示される実施形態では、3個のPDUの各々から2個のケーブルが延びているため、6個のケーブル72が回路ブレーカ連結ボックス34に接続されている。符号80にて示す3個のケーブルのセットは、各々、適切なAC電源に結合されてシステム10に対して電力を供給する。
【0056】
同様に図13に示すように、ファン/LANトレイとPDUとに由来する6個のLANケーブル81のセットは、ラックハウジング12の後部右側に沿って、スイッチモジュール36へと配線されている。図示する実施形態にて、各PDUから2個のLANケーブル81が延び、同ケーブルは次に一対の15ピンコネクタ47と電気接続される。従って、6個のケーブル81が、ラックハウジング12の右側に沿って指向されている。同様に、図15に最も明確に示すように、6個のLANケーブル81がファン/LANトレイ27およびPDUから、ラックハウジング12の前部左側に沿って延びている。これら6個のケーブル81も、その低部端をスイッチモジュール36に対して接続されている。
【0057】
ファン/LANトレイ27、PDU29およびブレード32の全てが定位置に配置されて、ラックシステム10が完全に組み立てられると、フルアセンブルの効率のよいラック装着システムが形成される。このシステムでは、ブレード32上に装着された様々な構成要素のネットワーク機能も同様に効率よく実行される。図示する実施形態では、各区画14にて前区画部16と後区画部18との各々に11個のブレードが収容される。従って、図示する実施形態では、66個のブレード32が収容され得る。しかしながら、スロットのいくつかはマスターコンピュータ構成要素、または、例えば図4および図6にて符号32aで示すマスターブレード32a等のブレードによって占有され得る。図示する実施形態では、スイッチモジュール36の直上の3個のブレード区画の底部に、2個のマスターブレード32aが配置されている。マスターブレード32aは、ファイバー・オプティック・コネクション(fiber optic connection)等の高速接続(図示せず)を介して、スイッチモジュール36に直接、電気接続されている。マスターブレードはスイッチモジュール36を制御して、様々なスレーブブレード32とマスターブレードとの間の連絡を切り替える。従って、図示する実施形態のシステムによって、64個のスレーブブレードが収容され得る。64個のスレーブブレードの各々はホットスワップ可能であってもよく、例えば、システム10をシャットダウンさせずに、ブレード32を交換することが可能である。
【0058】
各ファン/LANトレイ27は、12個のLANコネクタポート、例えばポート45(図1)を備える。12個のLANコネクタポート45のうちの11個は、様々なスレーブブレード32とスイッチモジュール36との間の連絡を可能にするよう適合されている。12番目のLANコネクタポート45は、外部ユーザが、外部装置、例えばラップトップコンピュータをネットワークに接続することを可能にする。さらに、各ファン/LANトレイ27は、外部装置を接続するための、中心部に配置されたAC電源出力を備える。
【0059】
開示された本発明の実施形態によれば、図21にて図式的に示すように、図示されるシステム10は十分な気流を提供して、ブレード32上に装着された様々な構成要素のために低い作動温度を保持する。空気は、制御区画21内に配置された吸気ファンモジュール38によって、底部開口部25から導入される。吸気ファンモジュール38は、各区画レベル14において開放構造を有する様々なブレード32を通して、気流を鉛直方向に指向させる。この気流はさらに、各ファン/LANトレイ27内のファン43によって、上方に指向される移動経路内を移動するよう促進される。気流は、開口された頂部パネル26を介して、ラックハウジング12の外部へ指向される。
【0060】
図21〜図24に、本発明の更なる実施形態を示す。図21〜図24に示すように、気流の吸引および排出は、周辺の環境内に空気を供給させる目的により、様々な構成に対応するよう変更され得る。例えば、図22にて、吸気ファンモジュール38aは、図1〜図21に示した実施形態で説明したものと同様に、底部開口部25aより空気を引き込む。気流は、ファン/LANトレイ上に装着されたファン43aの補助により、鉛直方向に指向される。しかしながら、前述した実施形態と異なり、図22に示す実施形態では、気流は、鉛直方向の移動経路から、水平方向の移動経路へ直角方向に再指向されて、ラックシステム10aを脱出しラックハウジング背部へ指向される。気流フード85aは、気流の後への再指向を促進する。
【0061】
図23に、本発明の更なる別の一実施形態によるラックシステムを示す。本実施形態において、吸気ファンモジュール38bは、ラックハウジングの底部前部内の、例えば穿孔された板87bにより画定された開口部等を介して、空気を水平方向内側へ引き込む。その後、気流は、ファン/LANトレイ内に装着されたファン43bの補助により、上方へ再指向される。気流は鉛直方向に指向されて、ラックシステム10bの頂部から退出する。
【0062】
図24に示す実施形態では、吸気ファンモジュール38cは、ラックハウジングの底部前部内の、例えば穿孔された板87cにより画定された開口部等を介して、空気を水平方向に引き込む。気流は、ファン43cの補助により、システムを介して鉛直方向に再指向される。気流は水平方向の移動経路へと直角方向に再指向されて、ラックハウジングの頂部においてラックハウジング背部へ退出する。気流の後への再指向は、気流フード85cにより促進される。当業者は、本発明の他の実施形態によれば、気流の吸引排出に関して他の様々な別例が可能であることを認識するであろう。
【0063】
ヒートシンクの構造
図27、図28および図29を参照すると、ヒートシンク58がより詳細に図示されている。パッシブヒートシンクであるヒートシンク58は、マザーボード56a(図26)上のマイクロプロセッサ(図示せず)等の回路素子に取り付けられて、同回路素子から望ましくない熱を放散するよう構成されている。ヒートシンク58がマザーボード上に装着される際の好ましい配向を、図26に示す。ヒートシンク58は、概してアルミニウム合金(6063−T5)、または他の適切な金属材料から形成されている。ヒートシンク58は基部102から延びる一連のフィン、例えばフィン101を備え、比較的広い面積を提供して、フィン間を気流がほぼ鉛直方向に通過する際に、該フィンから熱を放散する。ヒートシンク58は、成形体であり得る。ヒートシンク58は、銅等の適切な金属材料から形成された基板、即ちスラグ板103を備え、同基板は基部102の上に重なり、はんだ等の任意の適切な方法によって保護されるべき構成要素に取り付けられている。金属製のスラグ板103は、保護されるべき構成要素から熱を吸収し、その熱は鉛直方向に流れる気流がフィン間を通過すると同時にフィンから放散される。
【0064】
図26に示すように、フィン、例えばフィン101は、ヒートシンク58が作動可能な部品に装着されているとき、鉛直方向に延びている。フィンは、一般に、等間隔で離間されている。
【0065】
好ましい作動のために、本発明の好ましい実施形態のヒートシンク58は、所定の重要な寸法を有する。即ち、ヒートシンク58は、一般に、断面が略矩形をなす略ブロック形状を有する。好ましい一用途において、ヒートシンク全体の寸法は、幅が約64.237〜68.580mm、長さが約81.331〜95.606mm、高さが約24.765〜32.258mmである。高さ全体の寸法は、スラグ板103の高さを含む。好ましい用途において、スラグ板の高さは約3.175mmである。フィンの高さは約19.050〜26.543mmであることが好ましく、フィン間の間隔は約2.311〜2.362mmであることが好ましい。基部102の厚さは約2.540mmであることが好ましい。
【0066】
本発明の好ましい実施形態にて、ヒートシンク全体の高さと対比して長いフィンを備えることが重要である。長いフィンにより、気流が十分に冷却される。それ故、ヒートシンクに対して、またはヒートシンク近傍にファンを配置する必要がない。ブレードを介して流れる空気は、殆ど妨害を受けることなく、ヒートシンク58を介して、またフィン101等のフィン間にて鉛直方向上方に通過する。
【0067】
本発明の好ましい実施形態において、フィン、例えばフィン101の高さの、基部、例えば基部102等の高さに対する比は、7より大きくことが好ましく、約7.5〜10.45であることがより好ましい。この好ましい比によって、図26に示すようにフィンが鉛直方向に延びている状態にてヒートシンクが装着されると、所望の冷却効果が達成されることが証明されている。
【0068】
ヒートシンク58は鉛直方向に配置されて、例えばボルトまたはネジの形態を備えた一組の固定装置、例えば固定装置105により定位置に固定される。この形態にて、例えばフィン101等のフィンは、ほぼ鉛直方向に延びて、鉛直方向に流れる気流と相互作用する。
【0069】
図30、図31および図32を参照すると、取り付け手段が異なる以外はヒートシンク58とほぼ同一である、別のヒートシンク107が示されている。ヒートシンク107は、互いに離間された一連のフィン、例えばフィン109を備えて、熱の放散を促進する。ヒートシンク107は基板、即ちスラグ112を有し、同スラグ112はスラグ103とほぼ同一であり、銅等の金属材料から構成されることが好ましい。
【0070】
ヒートシンク107は、フィングループ間の中央部に配置された空間114と係合する適切な取り付け装置、例えばクリップ113または他の取り付け装置により、保護されるべき作動可能な部品110、例えばマイクロプロセッサに対して取り付けられる。
【0071】
本発明の特定の実施形態について説明してきたが、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内にて様々な異なる改良および組み合わせが可能であることが理解されよう。従って、本願に開示された正確な概略を限定する意図は存在しない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に従って構成されたラック装着システムの前面、左方側面および頂面を示す斜視図。
【図2】図1に示したラック装着システムの前面図。
【図3】図1に示したラック装着システムの左方側面図。
【図4】図1に示したラック装着システムの後面図。
【図5】図1に示したラック装着システムの右方側面図。
【図6】図1に示したラック装着システムの後面、右方側面、頂面を示す斜視図。
【図7】説明を目的として装着されている様々な構成要素が図示されていない、図1のラック装着システムのハウジングの斜視図。
【図8】ファン/LANトレイの取り付け工程を示す、図7に示したハウジングの斜視図。
【図9】図1のラック装着システムに使用されるファン/LANトレイの一実施形態の拡大斜視図。
【図9A】図1のラック装着システムに使用されるファン/LANトレイの別の一実施形態の拡大斜視図。
【図9B】数個のファンが離脱されている、図9Aに示したトレイの一部拡大斜視図。
【図10】ファン/LANトレイが取り付けられた、図7のハウジングの斜視図。
【図11】ブレード装着工程を示す、図7のハウジングの斜視図。
【図12】ファン/LANトレイとブレードとの相対的な配置を示す、図1のラック装着システムの一部拡大前面図。
【図13】右側のケーブル配置を示す、図1のラック装着システムの略右方側面図。
【図14】制御区画の前部右側内のケーブル配置を示す、図1のラック装着システム底部の一部斜視図。
【図15】左側のケーブル配置を示す、図1のラック装着システムの略左方側面図。
【図16】制御区画の後部左側内のケーブル配置を示す、図1のラック装着システムの底部の一部斜視図。
【図17】図1のラック装着システムに使用される電源分配ユニット(PDU)の一実施形態の一部を示す拡大斜視図。
【図18】図17に示したPDUの前面図。
【図19】図17に示したPDUの一部平面図。
【図20】図17に示したPDUの後面図。
【図21】ラック装着システムを介した空気の流れを示す、図1のラック装着システムの概略図。
【図22】ラック装着システムを介した空気の流れを示す、本発明のラック装着システムの別の実施形態の概略図。
【図23】ラック装着システムを介した空気の流れを示す、本発明のラック装着システムの更なる別の実施形態の概略図。
【図24】ラック装着システムを介した空気の流れを示す、本発明のラック装着システムの更なる別の実施形態の概略図。
【図25】図1のラック装着システムのブレードの一実施形態の拡大平面図。
【図26】図1のブレードの左方側面図。
【図27】90°回転させた、図25のブレードのヒートシンクの拡大平面図。
【図28】図27のヒートシンクの側面図。
【図29】図27のヒートシンクの底面図。
【図30】図25のコンピュータブレードと共に使用され得る、本発明の別の実施形態に従った別のヒートシンクの平面図。
【図31】図30のヒートシンクの側面図。
【図32】図30のヒートシンクの側面図。
【符号の説明】
【0073】
27,42:トレイ、29,62:電源分配ユニット、32:ブレード(コンピュータ構成要素)、72:電源ケーブル(電力を供給する手段)、74:電源分配ユニット本体、76:コネクタ。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、コンピュータ構成要素を装着するための改良された方法および装置に関する。より詳細には、本発明は、コンピュータ構成要素をコンパクトな形態にてラック内に装着するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ構成要素を装着するには、様々な異なる種類の方法とシステムが存在する。例えば、特許文献1〜19を参照にされたい。
【特許文献1】米国特許第4,258,967号明細書(ボウドリュー(Boudreau)等)
【特許文献2】米国特許第4,879,634号明細書(ストロウ(Storrow)等)
【特許文献3】米国特許第4,977,532号明細書(ボルコビッツ(Borkowics)等)
【特許文献4】米国特許第5,010,444号明細書(ストロウ等)
【特許文献5】米国特許第5,216,579号明細書(バサラ(Basara)等)
【特許文献6】米国特許第5,460,441号明細書(ハースティング(Hasting)等)
【特許文献7】米国特許第5,571,256号明細書(グッド(Good)等)
【特許文献8】米国特許第5,684,671号明細書(ホッブス(Hobbs)等)
【特許文献9】米国特許第5,877,938号明細書(ホッブス等)
【特許文献10】米国特許第5,896,273号明細書(ホッブス等)
【特許文献11】米国特許第6,025,989号明細書(バーギース(Varghese)等)
【特許文献12】米国特許第6,058,025号明細書(エイド(Ayd)等)
【特許文献13】米国特許第6,075,698号明細書(エッカー(Ecker)等)
【特許文献14】米国特許第6,220,456B1号明細書(ジェンセン(Jensen)等)
【特許文献15】米国特許第6,305,556B1号明細書(メイヤー(Mayer)等)
【特許文献16】米国特許第6,315,249B1号明細書(ジェンセン等)
【特許文献17】米国特許第6,325,636B1号明細書(ヒップ(Hipp)等)
【特許文献18】米国再発行特許第35,915号明細書(ハースティング等)
【特許文献19】米国意匠特許第407,358号明細書(ベランジャー(Belanger)等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンピュータ構成要素を装着する異なる種類の技術が数多く存在するため、所定のモジュラ構成に従って、ラック内にコンピュータ構成要素を装着する標準規格が採用されている。この観点から、コンピュータ構成要素、例えばコンピュータプロセッサユニットは、標準寸法を有するラック構造内で、互いに重なり合って柱状に装着される。標準規格は、サーバーラック規格(Server Rack Specification)(SSI)により、EIA−310−D標準規格と称されている。
【0004】
各コンピュータ装置のハウジングは、標準規格に従った一定の高さを有する必要がある。高さは、標準単位「U」の倍数でなければならない。従って、1「U」(標準単位)の高さ、またはその複数倍の高さを有するコンピュータ構成要素が存在し得る。また、標準ラックに装着可能な1U,2U,3U,4U等の高さを備えたコンピュータ構成要素も存在し得る。
【0005】
従って、目下使用されている従来の標準規格によれば、コンピュータ構成要素を狭い間隔で水平に配向させて、緊密に詰め込んで格納するラックが提供される。ラック内に装着される各コンピュータ構成要素は、適切に標準単位Uの倍数の寸法を有している。ラックはキャスター等の上部にて移動可能に装着されるため、コンピュータ装置を適切に冷却する、厳密に制御された空調システムを備えたコンピュータ室内等へ容易に配置される。
【0006】
特定の用途においては、コンピュータ構成要素をラック内でコンパクトに、かつ非常に緊密に配置することが望ましい。従って、多くの用途において、コンピュータ室または他の割り当て空間内に可能な限り多数のコンピュータ構成要素を配置することが重要になっている。
【0007】
ラック上でコンピュータ構成要素を非常に緊密かつコンパクトに装着するために、コンピュータ構成要素は、互いに緊密に積み重ねられて、柱状に配置される。データケーブルおよび電源ケーブルは、ラック内の後部平坦領域または空間内に配置される。
【0008】
冷却を目的として、様々な技術が使用されている。例えば、各コンピュータ構成要素のハウジング内には、個別のファンが設けられている。ハウジング室内の空気は、多くの場合、ハウジング室内の片側に設けられたファン排気強制換気室に排気される。
【0009】
この従来のラック装着システムは、いくつかの不都合を有する。各構成要素内に装着される個別のファンは高価であり、故障した場合、その交換に時間を要する。また、後部平坦空間およびファン排気強制換気室は、コンピュータ構成要素が充填され得る空間を占有し、空間を無駄にしている。
【0010】
さらに、現場にてラック装着システムを組み立てる際、各構成要素をラック内の定位置に取り付けて、その後各ユニットのケーブルをラック内のラック後部空間内にて装着しなければならない。この操作は時間を要し、従ってこのような装着を行うには熟練者を必要とするために費用が高額になる。さらに、一旦コンピュータ構成要素を装着すると、コンピュータ構成要素が故障した場合、交換の際に、システム全体、または少なくともシステムの相当部分をシャットダウンして、故障したユニットを取り外し、新しいユニットを装着して、再び接続しなければならない。このこともまた時間と費用とを要する。
【0011】
従来のラック装着されたコンピュータ構成要素では、多くの場合、コンピュータ構成要素のケーブルはラック後部に配置されるため、マザーボード等の主要な回路基板は、コンピュータ構成要素のハウジングの後部に置かれて、ラック後部でのケーブルの取付けが容易にされていた。コンピュータ構成要素のハウジング内のこのような回路基板配置は、ある用途において望ましいものではなかった。例えば、ユーザはキーボード、モニター等の試験構成要素を、ラック装着されたコンピュータ構成要素の所定の1個に接続することを希望する場合、マザーボードがハウジング後に装着されているため、マザーボードへのアクセスを通常通り行うことが困難である。即ち、所定のコンピュータ構成要素へアクセスする際、多数のケーブルが存在するラック後部にて行う必要があり、それ故、コンピュータモジュールへのアクセスが妨害されていた。さらに、マザーボードがコンピュータ構成要素のハウジング後に装着されているため、空気をハウジング前から入り込ませて、同空気がハウジング後から排気されるファンおよびバッフルの装着が困難で、高価になる場合が多かった。
【0012】
従って、個々の構成要素にユーザが比較的容易にアクセスでき、かつ冷却のための換気を比較的効率よく効果的に行うことが可能な、新たに改良されたコンピュータ構成要素の構造が所望されている。
【0013】
従来のラック装着されたコンピュータ構成要素では、吸引ファンを装着して、ハウジング内にハウジング前部を介して空気を引き込むことによって構成要素のハウジング内の回路が冷却される。通常、ハウジングの側部に排気ファンも装着されて、コンピュータ構成要素ハウジング内の加熱された空気を排気する。冷却を目的として、マイクロプロセッサ・チップ等の回路素子上にはヒートシンクが装着されて、同回路素子内に蓄積した熱を放散する。その後、移動する空気がヒートシンクから熱を移動させて、同空気はハウジング外部に排気される。
【0014】
空気はハウジング前部から入り込み、ハウジング側部から退出するため、空気の移動経路は不規則である。従って、気流経路内にヒートシンクを配置することは困難であり得る。この観点から、バッフル等を使用して、気流をヒートシンク上にて離間されたフィンを通過するように指向さあせる必要があり得る。
【0015】
コンピュータ構成要素ハウジング内の電子回路の冷却には、吸引排気ファンが使用される。一般に構成要素ハウジング前部にて複数の吸引ファンが配置され、一般にハウジング側部にて空気を排気する別のファンのセットが配置される。ファンの1個または2個以上が故障した場合、コンピュータ構成要素全体を交換するか、もしくは故障したファンを取り替えるか、または修理するために、コンピュータ構成要素の作動を休止する必要がある。このようにシステム機能を延期することは、多くの用途において望ましいものではない。
【0016】
従って、コンピュータ構成要素をラック装着システム内で非常に緊密な状態にてコンパクトに装着することが望ましい。しかしながら、一つのラック内に装着される多数のコンピュータ構成要素を、そのケーブル設置の必要性を維持しながら、ラック内にて非常に緊密に収容することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願に開示される本発明の実施形態の少なくとも一つにおいて、鉛直方向に装着され、かつブレード形態を有するコンピュータ構成要素を使用して、回路デバイス等の作動可能な部品を支持するラック装着システムを提供する。ブレードは、鉛直方向にて互いに離間された一連の区画内に装着される。各区画内において、鉛直方向に装着されたブレードは、電源分配ユニットの長尺片と接続されることでコンパクトに装着される。従って、鉛直方向に装着された一対のブレードのセットは、同一区画内で電源分配ユニットの対向する側部に取り付けられる。鉛直方向に離間された各区画間に冷却ファンユニットが配置されて、システム全体を介して鉛直方向に流れる気流を形成する。
【0018】
本願に開示される本発明の実施形態の少なくとも一つにおいて、ラック内でほぼ直立して、または鉛直方向に装着されるよう形成された、開放されたコンピュータ構成要素の構造、即ちブレードの構造を有する、ラック装着可能なコンピュータ構成要素を開示する。マザーボード等の作動可能な部品は、コンピュータ構成要素、即ちブレードの前部に装着されて、同部品へのユーザのアクセスが可能にされる。作動可能な部品は、装着されたブレードに対して鉛直方向に流れて部品の冷却を促進する気流により冷却される。
【0019】
本願に開示される本発明の実施形態の少なくとも一つにおいて、コンピュータ構成要素の構造は、少なくともその片面上に装着された作動可能な部品を有し、かつほぼ直立して支持されるよう構成された支持体を備える。支持体の前縁部に対して横方向に前パネルが延び、該パネルに配置された出力は、作動可能な部品の少なくとも一つと接続されている。支持体の後縁部には、作動可能な部品のために電力を受容する電源入力が装着されている。
【0020】
本願に開示するように、支持体は切り取り部分を有し、この部分の近傍に電源入力が配置されている。このセグメントは略矩形で、実質的に剛性を備えている。本願に開示されるように、支持体の前縁部近傍に少なくとも一つの作動可能な部品、例えばマザーボード等が配置されて、出力と電気接続される。本願にて更に開示するように、前パネル上の出力に対して、作動可能な部品からの電気情報を伝達するケーブルが電気接続されている。
【0021】
本願に開示される本発明の実施形態の少なくとも一つにおいて、前パネル縁部の一つが支持体縁部に配置されて、L字形を形成している。従って、横方向に延びる前パネルおよび支持体は、結果として構成要素の構造がほぼ直立して隣接して、類似するユニット同士が密接するように構成配置される。従って、互いに類似するコンピュータ構成要素の前パネルがほぼ連続した直立壁を形成するが、作動可能な部品は、直立支持体上にて開放された状態に装着される。この形態によれば、コンピュータ構成要素の構造は、この直立支持体上に装着された作動部品を通過する鉛直方向の気流の経路内に配置され得る。
【0022】
本願に開示される本発明の実施形態の少なくとも一つにおいて、ラック装着されたコンピュータ構成要素のためにヒートシンクを装着する方法と装置とを提供する。ヒートシンクは、鉛直方向に装着されたコンピュータ構成要素ブレード上に装着されるよう構成されている。ヒートシンクは、効率的で迅速な冷却を目的として、鉛直方向に流れる気流がヒートシンクのフィンと十分に接触するように配置される。
【0023】
本願に開示される本発明の実施形態の少なくとも一つにおいて、ヒートシンクは、直立支持体上に装着されたコンピュータマザーボードの一部を形成する作動部品、例えばマイクロプロセッサのために使用される。ヒートシンクは基部を有し、同基部は、基部から延びる互いに離間された一連のフィンを有し、比較的広い表面積を提供して、フィン間をほぼ鉛直方向に流れる冷却空気が通過する際に、該表面から熱を放散する。基部はほぼ鉛直方向に装着され、フィンもほぼ鉛直方向に延びている。本発明の実施形態の少なくとも一つにおいて、基部の高さに対するフィンの高さの比は、7より大きい。
【0024】
本願に開示される本発明の別の実施形態において、ヒートシンク基部の高さに対するフィンの高さの比は、約7.5〜10.45である。さらに、本願に開示されるように、基部には伝熱スラグ板が重なり、同スラグ板は、基部と、冷却される作動部品との間に介在している。
【0025】
本願に開示される本発明の実施形態において、ヒートシンクを用いて作動部品の冷却を補助する方法を開示する。本方法は、支持体をほぼ直立状態に装着し、同支持体の片面上に作動部品を装着する工程を含む。作動部品上に、ヒートシンクをほぼ鉛直方向に装着する。このときヒートシンクは、基部からほぼ鉛直方向に延びる互いに離間されたフィンを有している。基部と、冷却される作動部品との間に、スラグ板が介在する。
【0026】
本発明の特定の実施形態において、支持体に装着され、かつ狭い間隔で離間された一連の直立コンピュータ構成要素を冷却する配置を提供する。この配置は、複数の空気移動装置、例えばファンを備えたトレイを有する。トレイを支持体に対してほぼ水平方向にて着脱可能に装着する部材が使用される。空気移動装置は、ほぼ鉛直方向の移動経路内で空気を移動させて、直立コンピュータ構成要素の冷却を補助する。トレイは、個々のコンピュータ構成要素の出力と電気接続する一連のコネクタポートも備える。
【0027】
本発明の別の実施形態において、トレイは、その上部にて列を構成するコネクタポートを有する前パネルを備える。本願に開示するように、前パネルは開放することが可能であり、修理または交換のために空気移動装置にアクセスしたり、または取り出したりすることが可能である。空気移動装置は、支持体ユニットから離脱することが可能である。また、本願に開示するように、本発明の別の実施形態では、空気移動装置は個別のサブグループに構成され、前パネルが開放された際に、空気移動装置の選択されたサブグループを一つのユニットとしてトレイから取り出すことが可能である。
【0028】
本願に開示される本発明の実施形態において、コネクタポートに電気ケーブルが接続されて、コネクタポートから信号を伝達する。ケーブルは十分に緩慢な部分を有して、コネクタポートに対する電気接続を保持したまま、前パネルを開放位置へ離脱させることが可能である。従って、空気移動装置は「ホットスワップ可能(hot swappable)」であり、その間にコンピュータ構成要素は作動を継続する。
【0029】
本願に開示される本発明の少なくとも一つの実施形態において、ラック内にて水平に装着され、ラック内にて鉛直方向に装着されたコンピュータ構成要素を介した鉛直方向の空気の移動を促進するように構成されたファントレイ、即ちファンユニットが提供される。本発明の一例において、一連のファントレイは、ラック内で鉛直方向にて互いに離間されて配置されるよう構成されている。各ファントレイは、コンピュータ構成要素が通常通り作動中に、離脱および交換されるよう構成されている。
【0030】
本願に開示される本発明の少なくとも一つの実施形態において、互いに隣接し、かつ狭い間隔にて離間された一連の直立コンピュータブレードに、電力を供給する方法を提供する。本方法は、長尺状の電源分配ユニットを、直立ブレードに対して横方向に配置する工程と、分配ユニットの片面上で互いに隣接して配置された一連のコネクタに直立ブレードを電気接続する工程とを含む。本発明の一実施形態では、電源分配ユニット本体の対向面上において、一連の第二のコネクタが互いに隣接して配置されている。
【0031】
本発明の別の実施形態において、各コンピュータ構成要素ブレードは、互いに類似する切り取り部分を有する。電源分配ユニットの本体は、このブレードの切り取り部分により受容される相補的な断面形状を有して、コンパクトな装着構造を提供する。
【0032】
本願に開示される本発明の実施形態の少なくとも一つにおいて、鉛直方向に装着された一対のコンピュータ構成要素を、その後部同士が対向し、かつ鉛直方向にて互いに非常に近接した状態にて装着されることを可能にする電源分配ユニットを提供する。電源分配ユニットはさらに、鉛直方向に装着された構成要素を都合よくラック内に摺入させて電源分配ユニットと電気的に係合させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
特に図1〜図21、図29および図30を参照すると、本発明の開示された実施形態に従ったラック装着システム10が図示されている。ラック装着システム10はラックハウジング12を備える。このハウジングは、鉛直方向に配置された複数の区画14を有する矩形の箱体として構成されている。図示される実施形態は、鉛直方向にて互いに離間された3個の区画14を備えている。
【0034】
各区画14は、中央部にて横方向に延びる水平仕切19により、前区画部16と後区画部18とに分割されている。中央部の仕切19は、図7にて最も明確に図示されている。区画14は、ラックハウジング12内にて、鉛直方向にて互いに積み重なるように配置されている。ラックハウジング12の底部に制御区画21が存在する。この制御区画21は、以下にてより詳細に説明する様々な制御部品を収容する。
【0035】
ラックハウジング12は、さらに、各区画14の上部にファン/LANトレイスロット23を備える。各扇/LANトレイスロットは、ファン/LANトレイ、例えばトレイ27を収容するように構成されている。
【0036】
図示される実施形態は制御区画21(図7)を備える。この制御区画21は、床28の通気開口部26から鉛直方向に流れる気流を促進し、かつ気流がファン/LANトレイにより補助されてシステム10を介して鉛直方向に流れることを促進する底部開口部25(図7)を有する。ラックハウジング12の頂部には、開口された頂部パネル26(図1)が存在して、鉛直方向に流れる空気がシステム10から排出される。
【0037】
図1,5,6,および8に最も明確に図示されるように、各区画14の頂部の前区画部16と後区画部18との間の中央領域に、電源分配ユニット(PDU)29が設けられて、ラック装着システム内に装着されている様々な構成要素に電力を供給する。各区画は、前区画部16と後区画部18との各々の内部にて、複数のコンピュータ構成要素を、開放構造を備えたコンピュータ構成要素、またはブレード、例えばブレード32(図1)として収容するよう適合されている。図示する実施形態では、各前区画部および各後区画部区画内に11個のブレードがほぼ直立して収容されている。従って、図示される実施形態では、システム10は66個のコンピュータ構成要素を、互いに密接して、狭い間隙でコンパクトに収容する。
【0038】
底部制御区画21は、様々な制御部品を収容するよう適合されている。図6に最も明確に示すように、制御構成要素はブレーカ連結ボックス34を備えてもよい。ブレーカ連結ボックス34は、各PDUと電気接続されている。図4に示すように、制御区画21内にスイッチモジュール36が配置されていてもよい。スイッチモジュール36は、ブレード32等の様々なブレードと、ローカルエリアネットワーク、広範囲ネットワーク、またはインターネット等の公衆ネットワーク等のネットワークとの間を制御する。制御区画21は、さらに、空気吸引ファンモジュール38(図1および図5)を収容して、底部開口部25を介して空気を吸引し、ブレードと区画14とを通過して頂部開口パネル26から退出する、気流の鉛直方向の流れを促進する。
【0039】
図示されているラックシステム10の実施形態は4個のキャスター41を備え、同システムを床26(図5)にて移動可能に支持し、ラックシステム10に可搬性を付与している。本発明によるラックシステムの別の実施形態は、床に設置されてもよく、従ってキャスターの位置に脚またはスキッドが配置されて、床へ直接設置される。
【0040】
ファン/LANトレイ
図8、図9を参照して、ファン/LANトレイ27と、ラックハウジング12へのファン/LANトレイ27の装着をより詳細に説明する。図9に、図面に示すラックシステム10等の適切な支持体に装着されるファン/LANトレイ27の一実施形態を示す。ファン/LANトレイ27は8個の空気移動装置を備えており、気流の鉛直方向の流れを促進する。図示される実施形態は、ファン/LANトレイ1個につき8個のファン43を有するが(図9)、ファンは適切な任意の数を有し得る。
【0041】
ファン/LANトレイ27の前部に、一連のLANコネクタポート45(図1および図9)が配置されている。図9に示す実施形態では、各ファン/LANトレイ27は12個のLANコネクタポート45を有し、末端のポートは試験目的で使用され得る。本実施形態では12個のLANコネクタが開示されているが、所定用途のために任意数のコネクタを配置し得ることが理解されよう。各LANコネクタポート45からの内部配線リード線(図示せず)は、ファン/LANトレイ27後部に配置された2個の信号コネクタ47(図9)のうちの1個に延びている。一実施形態において、各信号コネクタ47は50ピンコネクタであり、スイッチモジュール36に電気接続されている。各ファン/LANトレイは、さらに、その後部にて、ファン/LANトレイ27に電力を供給するためのAC電源入力49を備えている。ファン/LANトレイが装着されると、PDU29からAC電源入力49を介してファン43等のファンに対して電力が供給され得る。
【0042】
ファン/LANトレイ27を、ラックハウジング12のファン/LANトレイスロット23内へ装着することを容易にするために、図9に示すように、各ファン/LANトレイ27の側部上に案内52を設けてもよい。装着工程中、好ましくはナイロン製の案内である案内は、ファン/LANトレイスロット23の側部上の対応する部材と係合し、ファン/LANトレイの支持を補助し得る。さらに、ファン/LANトレイ27をファン/LANトレイスロット23内に固定するために、案内52に関連するロック機構を設けてもよい。ファン/LANトレイが一旦取り付けられると、各ファン/LANトレイ27は、前区画部16および後区画部18のいずれかの直上領域を占有する。従って、前区画内のファン/LANトレイと、後区画内のファン/LANトレイとは、各区画14の上部レベルを完全に覆い得る。図10に最も明確に示すように、合計で6個のファン/LANトレイ27と、空気吸引ファンモジュール38とが、本発明の一実施形態による三区画レベルのラック装着システム10に提供され得る。
【0043】
図9A,9Bを参照すると、開示された本発明の別の一実施形態によれば、ファン/LANトレイ27に類似するファン/LANトレイ42は、複数の個別トレイ、即ちトレイ部分、例えばトレイ部分44に分割されている。各々を別個に取り出すことが可能であるため、残りの1個または複数のトレイ部分は、その後も機能し得る。この観点において、LAN接続は、ファントレイ、即ちトレイ部分とは分離しているため、トレイ部分はLAN構成要素から独立して取り出すことが可能である。
【0044】
ファントレイ42は、空洞を有する略矩形の平坦枠46を備え、該枠は、一連の案内、例えば案内68を有して、ファントレイ42を、図1のラックハウジング12に類似し得る適切な支持体(図示せず)に装着することを補助する。枠46は、個々のトレイ部分、例えばトレイ部分44を受容するための前開口部48(図9B)を有する。着脱可能な前パネル51は開口部48の全体に対して嵌合し、例えば固定装置(図示せず)を使用する等、任意の適切な手段を使用して定位置に固定される。前パネル51上には一連のコネクタポート、例えばコネクタポート53が装着されており、同コネクタポート53は、図9の信号コネクタ47に類似し得る信号コネクタ(図示せず)と電気接続される。この観点において、ケーブル、例えばケーブル55は、コネクタポート、例えばコネクタポート53に対して個別に接続されている。前パネル51の離脱を可能にするために、ケーブル、例えばケーブル55は、ケーブル緩み部分、例えばケーブル緩み部分57を有して、前パネル51を枠46から離脱させることを可能にし、かつコンピュータ構成要素に対する電気接続を保持して、システムが通常通り作動することを可能にする。この観点において、修理あるいは置換のために個々のファントレイ部分を取り出すことが可能であり、残りのファントレイ部分は独立して機能し冷却を行い得る一方、コンピュータ構成要素は通常通り作動する。
【0045】
トレイ部分44をより詳細に考察すると、トレイ部分は互いに類似し得ることが理解されよう。図9Bに示すように、トレイ部分44は前鍔部59を有し、ユーザがトレイ部分を把持して枠46から外部へ牽引することを容易にする。ファントレイ部分は、一対の空気移動装置、例えばファン70と、ファンに動力を付与するために電源分配ユニット62上の電源出力60と係合する、図9の電源入力49に類似する電源入力(図示せず)とを有している。この構成において、トレイ部分44は、トレイ部分44を電源出力60から単に取り外すだけで、枠46から外部へ引き出され得る。その後、別の同型のファントレイ部分が定位置に挿入されて電源出力60と接続された後、前パネル51が開口部48上に戻され得る。
【0046】
以上のように、空気移動装置のグループをトレイ部分の小グループに分割することができ、残りの空気移動装置の作動を妨害することなく、数個の空気移動装置のみを取り出すことが可能であることが明白となろう。空気移動装置のトレイ部分の小グループは、1個以上の任意数であり得ることに留意されたい。また、個々のトレイ部分、例えばトレイ部分44は、前パネル51の後部に配置され、類似するトレイ部分のセット(図示せず)が、枠46の後部に取り付けられて、電源分配ユニット62と相互接続され得ることに留意されたい。後パネル(図示せず)は着脱可能で、かつ前パネル51と類似し、前パネルと同一目的を果たす。
【0047】
コンピュータ構成要素の構造
図11、図25および図26を参照して、コンピュータ構成要素、即ちブレード32と、該ブレード32のラックハウジング12内への装着とをより詳細に説明する。各ブレードには、前パネルの前面から突出する一対のハンドル54が設けられている。前パネルは剛性の直立支持体または支持板に向かって横方向に延びて、同支持体の前端部にL字形をなすよう連結される。ハンドルは、ユーザにより把持されてブレード32を区画内へ、または区画から外部へ容易に摺動させ得る。
【0048】
各ブレード32は、1個以上のマザーボード56を備え得る。図25、図26に示す実施形態では、各ブレード32は2個のマザーボード56a,56bを備える。各ブレード32内に含まれるマザーボードの数は、設計により変動し得ることが理解されるであろう。マザーボードは、ヒートシンク、例えばヒートシンク58,59を備えて、マザーボードの冷却が促進されている。各マザーボードは、さらに、ランダムアクセスメモリ(RAM)61を備える。各マザーボードに含まれるRAM61の総量は、必要に応じて変動され得る。ブレード32上には一対の電源63a,63bが設けられて、対応するマザーボード56a,56bに電力を供給する。ブレード32上には、一対のハードディスク64a,64bも同様に設けられている。
【0049】
全構成要素は、区画内にて鉛直方向に支持されるように構成された剛性板、即ち支持体64の片面上に装着されている。各ブレード32は、その上部後部に、角部の切り取り部分、即ちセクション65を有する。角部65は、その内部にPDU29を受容かつ収容する寸法を有し、従って2個の対向するブレード32,32aは(図26に示すように)、PDU29をほぼ完全に収容する。従って、PDU29の装着面積は実質的にゼロとなる。各ブレード32には、角部65にて、またはその近傍にてAC電源入力、例えば入力67が設けられている。従って、ブレード32がラックハウジング12内に装着されると、AC電源入力67が対応するPDU29のACコネクタ、例えばコネクタ76(図17)と電気的に係合する。
【0050】
図11に最も明確に示すように、ブレード32の装着は、迅速かつ効率のよい方法にて行われる。ブレード32は単に、ラックハウジング12の区画14の前区画16か後区画18の内部へ摺動される。各ブレード32は、AC電源入力67がPDU29上の対応するACコネクタと係合するまで、後へ摺動される。中間部の仕切19はブレード32の後部停止部としての役割を果たす。各ブレード32は、4個のブレードネジ69によってそのスロットに固定され、それによりブレード32はラックハウジング12に取り付けられる。
【0051】
一旦ブレード32がラックハウジング12上に装着されると、短いブレード/LANコネクタケーブル、例えばケーブル45(図12)、即ちケーブル71(図1)は、ブレード32と、ネットワーク、例えばローカルエリアネットワーク、広範囲ネットワークまたはインターネット等の公衆ネットワークとの間に電気的なネットワーク接続を形成する。この観点において、マザーボードは各々、各ブレードの前部に装着され、従ってマザーボードへのアクセスは、前部出力、例えば出力73(図12)等にて容易に行われる。従って、データ接続は、出力73から短ケーブル45を介して、スイッチモジュール36に結合されたPDU29の入力77へ形成され得る。
【0052】
電源分配ユニット
図17〜図20を参照して、電源分配ユニット29をより詳細に説明する。電源分配ユニット29は、ラック内にて狭い間隔にて互いに隣接して装着された一連の直立するコンピュータ構成要素、即ちブレードに電力を供給する。図26に最も明確に示すように、ブレード、例えばブレード32,32aは、その上部後部に切り取り部分、即ちセクション65を有してPDU29を受容する。この観点において、切り取り部分65は、PDU29の断面形状に対して相補的な形状を有している。PDU29は断面が略矩形であり、角部の切り取り部分65は略L字形をなして、PDU29の対向する側部をコンパクトに受容する。従って、ブレード、例えばブレード32,32aは、個々のケーブルを受容するための後部平坦空間を設ける必要なく、極めてコンパクトにPDU29内へプラグインされ得る。
【0053】
PDU29は、外部電源から回路ブレーカ連絡ボックス34を介して、様々なブレード32およびファン/LANトレイ27に電力を供給する。各PDU29は、好ましくは18ゲージの鋼鉄製ケースからなる2個の部品から形成された、長尺状のPDU本体74を備える。PDU本体74の両面の各々は、一連の雌ACコネクタ76を有する。図17〜図20に示す実施形態において、各側面には12個の雌ACコネクタ76が設けられている。この12個のコネクタ76は、各区画14の前区画部16内と後区画部18内と装着される11個のブレードと、ファン/LANトレイ27とに対応している。12番目のコネクタは、ファントレイ前面上のAC電源出力に接続される。
【0054】
従って、PDU本体74の前面および後面の各々に、12個の雌ACコネクタ76が設けられている。12個の雌ACコネクタの各セットは、一対の電源ケーブル72を介して電力を受容する。一実施形態にて、電源ケーブル72は15アンペアの電源ケーブルであり、PDU本体74との連結点の近傍にてストレイン・リリーフ(strained relief)を有する。以下に説明するように、電源ケーブル72は制御区画21内のブレーカ連結ボックス34に繋がれる。PDU本体74は、PDU本体74をラックハウジング12に対して取り付ける一連の錨78を備えてもよい。
【0055】
図13〜図16を参照して、様々な電源ケーブルおよびLANケーブルの配線(routing)を、より詳細に説明する。図13に最も明確に示すように、各区画レベルのPDU29に由来する電源ケーブル72は、ラックハウジング12の右側に沿ってラックハウジング12の前部へ指向されて、底部へ指向されている。底部にて、ケーブルは回路ブレーカ連結ボックス34と電気接続される。従って、図示される実施形態では、3個のPDUの各々から2個のケーブルが延びているため、6個のケーブル72が回路ブレーカ連結ボックス34に接続されている。符号80にて示す3個のケーブルのセットは、各々、適切なAC電源に結合されてシステム10に対して電力を供給する。
【0056】
同様に図13に示すように、ファン/LANトレイとPDUとに由来する6個のLANケーブル81のセットは、ラックハウジング12の後部右側に沿って、スイッチモジュール36へと配線されている。図示する実施形態にて、各PDUから2個のLANケーブル81が延び、同ケーブルは次に一対の15ピンコネクタ47と電気接続される。従って、6個のケーブル81が、ラックハウジング12の右側に沿って指向されている。同様に、図15に最も明確に示すように、6個のLANケーブル81がファン/LANトレイ27およびPDUから、ラックハウジング12の前部左側に沿って延びている。これら6個のケーブル81も、その低部端をスイッチモジュール36に対して接続されている。
【0057】
ファン/LANトレイ27、PDU29およびブレード32の全てが定位置に配置されて、ラックシステム10が完全に組み立てられると、フルアセンブルの効率のよいラック装着システムが形成される。このシステムでは、ブレード32上に装着された様々な構成要素のネットワーク機能も同様に効率よく実行される。図示する実施形態では、各区画14にて前区画部16と後区画部18との各々に11個のブレードが収容される。従って、図示する実施形態では、66個のブレード32が収容され得る。しかしながら、スロットのいくつかはマスターコンピュータ構成要素、または、例えば図4および図6にて符号32aで示すマスターブレード32a等のブレードによって占有され得る。図示する実施形態では、スイッチモジュール36の直上の3個のブレード区画の底部に、2個のマスターブレード32aが配置されている。マスターブレード32aは、ファイバー・オプティック・コネクション(fiber optic connection)等の高速接続(図示せず)を介して、スイッチモジュール36に直接、電気接続されている。マスターブレードはスイッチモジュール36を制御して、様々なスレーブブレード32とマスターブレードとの間の連絡を切り替える。従って、図示する実施形態のシステムによって、64個のスレーブブレードが収容され得る。64個のスレーブブレードの各々はホットスワップ可能であってもよく、例えば、システム10をシャットダウンさせずに、ブレード32を交換することが可能である。
【0058】
各ファン/LANトレイ27は、12個のLANコネクタポート、例えばポート45(図1)を備える。12個のLANコネクタポート45のうちの11個は、様々なスレーブブレード32とスイッチモジュール36との間の連絡を可能にするよう適合されている。12番目のLANコネクタポート45は、外部ユーザが、外部装置、例えばラップトップコンピュータをネットワークに接続することを可能にする。さらに、各ファン/LANトレイ27は、外部装置を接続するための、中心部に配置されたAC電源出力を備える。
【0059】
開示された本発明の実施形態によれば、図21にて図式的に示すように、図示されるシステム10は十分な気流を提供して、ブレード32上に装着された様々な構成要素のために低い作動温度を保持する。空気は、制御区画21内に配置された吸気ファンモジュール38によって、底部開口部25から導入される。吸気ファンモジュール38は、各区画レベル14において開放構造を有する様々なブレード32を通して、気流を鉛直方向に指向させる。この気流はさらに、各ファン/LANトレイ27内のファン43によって、上方に指向される移動経路内を移動するよう促進される。気流は、開口された頂部パネル26を介して、ラックハウジング12の外部へ指向される。
【0060】
図21〜図24に、本発明の更なる実施形態を示す。図21〜図24に示すように、気流の吸引および排出は、周辺の環境内に空気を供給させる目的により、様々な構成に対応するよう変更され得る。例えば、図22にて、吸気ファンモジュール38aは、図1〜図21に示した実施形態で説明したものと同様に、底部開口部25aより空気を引き込む。気流は、ファン/LANトレイ上に装着されたファン43aの補助により、鉛直方向に指向される。しかしながら、前述した実施形態と異なり、図22に示す実施形態では、気流は、鉛直方向の移動経路から、水平方向の移動経路へ直角方向に再指向されて、ラックシステム10aを脱出しラックハウジング背部へ指向される。気流フード85aは、気流の後への再指向を促進する。
【0061】
図23に、本発明の更なる別の一実施形態によるラックシステムを示す。本実施形態において、吸気ファンモジュール38bは、ラックハウジングの底部前部内の、例えば穿孔された板87bにより画定された開口部等を介して、空気を水平方向内側へ引き込む。その後、気流は、ファン/LANトレイ内に装着されたファン43bの補助により、上方へ再指向される。気流は鉛直方向に指向されて、ラックシステム10bの頂部から退出する。
【0062】
図24に示す実施形態では、吸気ファンモジュール38cは、ラックハウジングの底部前部内の、例えば穿孔された板87cにより画定された開口部等を介して、空気を水平方向に引き込む。気流は、ファン43cの補助により、システムを介して鉛直方向に再指向される。気流は水平方向の移動経路へと直角方向に再指向されて、ラックハウジングの頂部においてラックハウジング背部へ退出する。気流の後への再指向は、気流フード85cにより促進される。当業者は、本発明の他の実施形態によれば、気流の吸引排出に関して他の様々な別例が可能であることを認識するであろう。
【0063】
ヒートシンクの構造
図27、図28および図29を参照すると、ヒートシンク58がより詳細に図示されている。パッシブヒートシンクであるヒートシンク58は、マザーボード56a(図26)上のマイクロプロセッサ(図示せず)等の回路素子に取り付けられて、同回路素子から望ましくない熱を放散するよう構成されている。ヒートシンク58がマザーボード上に装着される際の好ましい配向を、図26に示す。ヒートシンク58は、概してアルミニウム合金(6063−T5)、または他の適切な金属材料から形成されている。ヒートシンク58は基部102から延びる一連のフィン、例えばフィン101を備え、比較的広い面積を提供して、フィン間を気流がほぼ鉛直方向に通過する際に、該フィンから熱を放散する。ヒートシンク58は、成形体であり得る。ヒートシンク58は、銅等の適切な金属材料から形成された基板、即ちスラグ板103を備え、同基板は基部102の上に重なり、はんだ等の任意の適切な方法によって保護されるべき構成要素に取り付けられている。金属製のスラグ板103は、保護されるべき構成要素から熱を吸収し、その熱は鉛直方向に流れる気流がフィン間を通過すると同時にフィンから放散される。
【0064】
図26に示すように、フィン、例えばフィン101は、ヒートシンク58が作動可能な部品に装着されているとき、鉛直方向に延びている。フィンは、一般に、等間隔で離間されている。
【0065】
好ましい作動のために、本発明の好ましい実施形態のヒートシンク58は、所定の重要な寸法を有する。即ち、ヒートシンク58は、一般に、断面が略矩形をなす略ブロック形状を有する。好ましい一用途において、ヒートシンク全体の寸法は、幅が約64.237〜68.580mm、長さが約81.331〜95.606mm、高さが約24.765〜32.258mmである。高さ全体の寸法は、スラグ板103の高さを含む。好ましい用途において、スラグ板の高さは約3.175mmである。フィンの高さは約19.050〜26.543mmであることが好ましく、フィン間の間隔は約2.311〜2.362mmであることが好ましい。基部102の厚さは約2.540mmであることが好ましい。
【0066】
本発明の好ましい実施形態にて、ヒートシンク全体の高さと対比して長いフィンを備えることが重要である。長いフィンにより、気流が十分に冷却される。それ故、ヒートシンクに対して、またはヒートシンク近傍にファンを配置する必要がない。ブレードを介して流れる空気は、殆ど妨害を受けることなく、ヒートシンク58を介して、またフィン101等のフィン間にて鉛直方向上方に通過する。
【0067】
本発明の好ましい実施形態において、フィン、例えばフィン101の高さの、基部、例えば基部102等の高さに対する比は、7より大きくことが好ましく、約7.5〜10.45であることがより好ましい。この好ましい比によって、図26に示すようにフィンが鉛直方向に延びている状態にてヒートシンクが装着されると、所望の冷却効果が達成されることが証明されている。
【0068】
ヒートシンク58は鉛直方向に配置されて、例えばボルトまたはネジの形態を備えた一組の固定装置、例えば固定装置105により定位置に固定される。この形態にて、例えばフィン101等のフィンは、ほぼ鉛直方向に延びて、鉛直方向に流れる気流と相互作用する。
【0069】
図30、図31および図32を参照すると、取り付け手段が異なる以外はヒートシンク58とほぼ同一である、別のヒートシンク107が示されている。ヒートシンク107は、互いに離間された一連のフィン、例えばフィン109を備えて、熱の放散を促進する。ヒートシンク107は基板、即ちスラグ112を有し、同スラグ112はスラグ103とほぼ同一であり、銅等の金属材料から構成されることが好ましい。
【0070】
ヒートシンク107は、フィングループ間の中央部に配置された空間114と係合する適切な取り付け装置、例えばクリップ113または他の取り付け装置により、保護されるべき作動可能な部品110、例えばマイクロプロセッサに対して取り付けられる。
【0071】
本発明の特定の実施形態について説明してきたが、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内にて様々な異なる改良および組み合わせが可能であることが理解されよう。従って、本願に開示された正確な概略を限定する意図は存在しない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に従って構成されたラック装着システムの前面、左方側面および頂面を示す斜視図。
【図2】図1に示したラック装着システムの前面図。
【図3】図1に示したラック装着システムの左方側面図。
【図4】図1に示したラック装着システムの後面図。
【図5】図1に示したラック装着システムの右方側面図。
【図6】図1に示したラック装着システムの後面、右方側面、頂面を示す斜視図。
【図7】説明を目的として装着されている様々な構成要素が図示されていない、図1のラック装着システムのハウジングの斜視図。
【図8】ファン/LANトレイの取り付け工程を示す、図7に示したハウジングの斜視図。
【図9】図1のラック装着システムに使用されるファン/LANトレイの一実施形態の拡大斜視図。
【図9A】図1のラック装着システムに使用されるファン/LANトレイの別の一実施形態の拡大斜視図。
【図9B】数個のファンが離脱されている、図9Aに示したトレイの一部拡大斜視図。
【図10】ファン/LANトレイが取り付けられた、図7のハウジングの斜視図。
【図11】ブレード装着工程を示す、図7のハウジングの斜視図。
【図12】ファン/LANトレイとブレードとの相対的な配置を示す、図1のラック装着システムの一部拡大前面図。
【図13】右側のケーブル配置を示す、図1のラック装着システムの略右方側面図。
【図14】制御区画の前部右側内のケーブル配置を示す、図1のラック装着システム底部の一部斜視図。
【図15】左側のケーブル配置を示す、図1のラック装着システムの略左方側面図。
【図16】制御区画の後部左側内のケーブル配置を示す、図1のラック装着システムの底部の一部斜視図。
【図17】図1のラック装着システムに使用される電源分配ユニット(PDU)の一実施形態の一部を示す拡大斜視図。
【図18】図17に示したPDUの前面図。
【図19】図17に示したPDUの一部平面図。
【図20】図17に示したPDUの後面図。
【図21】ラック装着システムを介した空気の流れを示す、図1のラック装着システムの概略図。
【図22】ラック装着システムを介した空気の流れを示す、本発明のラック装着システムの別の実施形態の概略図。
【図23】ラック装着システムを介した空気の流れを示す、本発明のラック装着システムの更なる別の実施形態の概略図。
【図24】ラック装着システムを介した空気の流れを示す、本発明のラック装着システムの更なる別の実施形態の概略図。
【図25】図1のラック装着システムのブレードの一実施形態の拡大平面図。
【図26】図1のブレードの左方側面図。
【図27】90°回転させた、図25のブレードのヒートシンクの拡大平面図。
【図28】図27のヒートシンクの側面図。
【図29】図27のヒートシンクの底面図。
【図30】図25のコンピュータブレードと共に使用され得る、本発明の別の実施形態に従った別のヒートシンクの平面図。
【図31】図30のヒートシンクの側面図。
【図32】図30のヒートシンクの側面図。
【符号の説明】
【0073】
27,42:トレイ、29,62:電源分配ユニット、32:ブレード(コンピュータ構成要素)、72:電源ケーブル(電力を供給する手段)、74:電源分配ユニット本体、76:コネクタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔にて互いに隣接して装着された一連の直立コンピュータブレードに電力を供給する電源分配ユニットであって、
前記直立ブレードに対して横方向に延びる本体であって、同本体の片側上にて互いに隣接して配置された一連のコネクタを有する本体と、
前記直立ブレードとコネクタとを個別に電気接続する手段と、
前記コネクタに電力を供給して、ブレードに電力を供給する手段とを備える電源分配ユニット。
【請求項1】
所定の間隔にて互いに隣接して装着された一連の直立コンピュータブレードに電力を供給する電源分配ユニットであって、
前記直立ブレードに対して横方向に延びる本体であって、同本体の片側上にて互いに隣接して配置された一連のコネクタを有する本体と、
前記直立ブレードとコネクタとを個別に電気接続する手段と、
前記コネクタに電力を供給して、ブレードに電力を供給する手段とを備える電源分配ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2008−102966(P2008−102966A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337961(P2007−337961)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【分割の表示】特願2004−510300(P2004−510300)の分割
【原出願日】平成15年5月30日(2003.5.30)
【出願人】(504438750)ベラリ システムズ インコーポレイテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】VERARI SYSTEMS,INC.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【分割の表示】特願2004−510300(P2004−510300)の分割
【原出願日】平成15年5月30日(2003.5.30)
【出願人】(504438750)ベラリ システムズ インコーポレイテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】VERARI SYSTEMS,INC.
【Fターム(参考)】
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