コンピュータ装置及びプログラム、並びにノート
【課題】複数のノートを適切に管理すること。
【解決手段】科目シール23に電子ペン1で記入すると、コンピュータ装置3は、電子ペンからの記入情報に基づいて、文字認識処理を行い、その科目シール23の属性に関する情報として設定する。そのシール23をノート2の表紙に貼り、電子ペン1でシール23をタップすると、コンピュータ装置3は、受信した記入情報に基づいて、そのノート2の属性を特定する。さらに、ノート用紙24に対して電子ペン1による記入の操作を行うと、コンピュータ装置3は、記入情報に基づき、ストロークを描画し、ノート2に記入された内容として記憶する。
【解決手段】科目シール23に電子ペン1で記入すると、コンピュータ装置3は、電子ペンからの記入情報に基づいて、文字認識処理を行い、その科目シール23の属性に関する情報として設定する。そのシール23をノート2の表紙に貼り、電子ペン1でシール23をタップすると、コンピュータ装置3は、受信した記入情報に基づいて、そのノート2の属性を特定する。さらに、ノート用紙24に対して電子ペン1による記入の操作を行うと、コンピュータ装置3は、記入情報に基づき、ストロークを描画し、ノート2に記入された内容として記憶する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペンによりノートに記入された内容を記憶するシステムにおいて、複数のノートを適切に管理することが可能な、コンピュータ装置及びプログラム、並びにノートに関する。
【背景技術】
【0002】
記入した情報を電子化する電子ペンが開発されており、その代表的なものとしてスウェーデンのAnoto社が開発した「アノトペン(Anoto pen)」が知られている。アノトペンは、所定のドットパターンが印刷された専用紙とともに使用される。アノトペンは、ペン先部に、文字等を書くための通常のインクカートリッジに加えて、専用紙に印刷されたドットパターンを撮像するための小型カメラと、撮像したドットパターンから専用紙における位置座標を演算するプロセッサと、演算された位置座標等を外部機器へ送信するデータ通信ユニットとを搭載している。ユーザが専用紙上にアノトペンで文字等を書いたり、専用紙上に図案化されている画像にチェックマークを記入したりすると、ペンの移動に伴って小型カメラが専用紙に印刷されたドットパターンを撮像し、プロセッサによって演算された連続する位置座標から、ユーザが書き込んだ文字、画像等の記入情報が認識される。そして、この記入情報が、データ通信ユニットによりアノトペンから近くのパーソナルコンピュータや携帯電話等のコンピュータ装置に送信される(例えば、特許文献1参照)。また、ドットパターンに対向する電子ペン1の角度に起因するドットの画像上の配列を補正する回転補正処理機能については、例えば特許文献2に記載されている。
【0003】
このような電子ペンやコンピュータ装置等で構成されるシステムを用いて、ユーザが、ノートに設けられた行確認マークを通る線を記入すると、サーバがその線に応じて段落エリアを設定する技術が、特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3842283号公報
【特許文献2】特表2003−529853号公報
【特許文献3】特開2009−151803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ノートの用紙にドットパターンを形成し、用紙に電子ペンで記入して、コンピュータ装置で記入したストロークを保存し管理したい場合に複数のノートが存在する場合、コンピュータ装置は、これらの複数のノートを適切に管理して、例えば電子ペンの記入対象はいずれのノートであるか等を適切に認識する必要がある。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、電子ペンによりノートに記入された内容を記憶するシステムにおいて、複数のノートを適切に管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るノート管理システムは、ページごとに異なるコード化パターンが形成された複数のノート用紙を有し、表紙に属性を識別するためのコード化パターンが設けられるノートと、コード化パターンを読み取り、コード化パターンに関する情報を記入情報として送信する電子ペンと、前記電子ペンから記入情報を受信して所定の処理を行うコンピュータ装置とを備えるノート管理システムであって、前記コンピュータ装置は、前記電子ペンから送信される記入情報を受信する通信手段と、前記属性を識別するためのコード化パターンが設けられた領域に、前記電子ペンによる記入の操作がなされることによって、前記通信手段により受信された記入情報に基づいて、前記属性に対応する情報をノートファイルに設定する属性設定手段と、前記属性設定手段により前記属性に対応する情報が設定された状態で、前記属性を識別するためのコード化パターンが前記電子ペンによって読み取られることによって前記通信手段に受信された前記記入情報に基づいて、前記属性を特定する属性特定手段と、前記ノート用紙に対して前記電子ペンによる記入の操作がなされることによって前記通信手段に受信された前記記入情報に基づいて、ストロークを描画するとともに、前記ストロークを、前記属性特定手段により特定された前記属性に対応する前記ノートファイルに記憶させるストローク描画手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、ユーザは、属性を識別するためのコード化パターンが設けられた領域に、電子ペンで記入すると、電子ペンは、記入に応じてコード化パターンを読み取り、コード化パターンに関する情報を記入情報として送信する。コンピュータ装置の通信手段は、電子ペンから送信される記入情報を受信し、属性設定手段は、その記入情報に基づいて、上記属性に対応する情報をノートファイルに設定する。さらに、ユーザは、属性を識別するためのコード化パターンを電子ペンに読み取らせると、電子ペンは、そのコード化パターンを読み取り、コード化パターンに関する情報を記入情報として送信する。コンピュータ装置の通信手段は、電子ペンから送信される記入情報を受信し、その記入情報に基づいて、上記属性を特定する。その後、ユーザが、ノート用紙に電子ペンで記入すると、電子ペンは、記入に応じてノート用紙に形成されたコード化パターンを読み取り、コード化パターンに関する情報を記入情報として送信する。コンピュータ装置の通信手段は、電子ペンから記入情報を受信し、ストローク描画手段は、その記入情報に基づいて、ストロークを描画するとともに、ストロークを、属性特定手段により特定された属性に対応する上記ノートファイルに記憶させる。したがって、ユーザは、属性に対応する情報を電子ペンで記入することでコンピュータ装置に設定することができるとともに、属性を識別するためのコード化パターンを電子ペンで読み取らせて、コンピュータ装置に属性を特定させて、その属性に対応するノートファイルにストロークを記憶させることができるため、複数のノートを適切に管理することができる。
【0009】
上記ノート管理システムにおいて、前記ノートには、複数の異なる属性を示すためのシールが貼付されており、各シールには、各々を識別するための文字又は記号と、属性に応じて異なるコード化パターンとが形成され、さらに前記属性に対応する情報を記入するための領域が設けられており、前記複数のシールから特定のシールを選択して前記表紙に貼付するとともに、前記領域に電子ペンで記入することで、当該ノートの属性が設定可能であるよう構成するとよい。
この構成により、ユーザは、ノートに貼付されている複数のシールから、シールに付されている文字又は記号を参照に区別して、特定のシールを選択して表紙に貼付するとともに、当該領域に電子ペンで属性に対応する情報を記入することで、当該ノートの属性に対応する情報をコンピュータ装置に設定することができる。また、コンピュータ装置に、ノートの属性を特定するために、ノートの表紙に貼付したシールに形成されたコード化パターンを電子ペンに読み取らせるとよい。
【0010】
上記ノート管理システムにおいて、記入文字に基づいてストロークを認識し、文字認識処理を施して文字情報を出力する文字認識手段をさらに備え、前記属性設定手段は、前記属性を識別するためのコード化パターンに対して前記電子ペンによる記入の操作がなされることによって、前記通信手段が受信した記入情報に基づいて前記文字認識手段から出力された文字情報を、前記属性に対応する情報として前記ノートファイルに設定するよう構成するとよい。
この構成により、ユーザが、属性を識別するためのコード化パターンに対して電子ペンで記入することによって、文字認識手段は、通信手段によって受信した記入情報に基づいて、ストロークを認識し、文字認識処理を施して文字情報を出力する。さらに、属性設定手段は、その文字情報を、属性に対応する情報としてノートファイルに設定する。したがって、属性を識別するためのコード化パターンに対して電子ペンで記入した文字が文字認識されて、属性に対応する情報としてノートファイルに設定することができる。
【0011】
また、上記ノート管理システムにおいて、前記ストローク描画手段は、描画したストロークをノート用紙のページに応じて前記ノートファイルに記憶させるよう構成するとよい。
この構成により、ストローク描画手段により描画されたストロークは、ノート用紙のページに応じてノートファイルに記憶されるため、ユーザが実際のノートと同じ感覚でノートファイルを利用することができる。
【0012】
また、上記ノート管理システムにおいて、前記コンピュータ装置は、前記属性特定手段によりノートの属性が特定されている状態で、前記通信手段により前記ノート用紙に係る記入情報を受信した場合に、前記ノート用紙のページに応じてノートファイルを開いてディスプレイに表示させ、前記属性特定手段によりノートの属性が特定されていない状態で、前記通信手段により前記ノート用紙に係る記入情報を受信した場合に、属性を識別するためのコード化パターンを前記電子ペンで読み取るよう促す出力をさせる情報処理手段をさらに備えるよう構成するとよい。
この構成により、属性特定手段によりノートの属性が特定されている状態で、ユーザがノート用紙に電子ペンで記入すると、通信手段はノート用紙に係る記入情報を受信し、情報処理手段は、ノート用紙のページに応じてノートファイルを開いてディスプレイに表示させる。その一方、属性特定手段によりノートの属性が特定されていない状態で、ユーザがノート用紙に電子ペンで記入すると、通信手段はノート用紙に係る記入情報を受信し、情報処理手段は、属性を識別するためのコード化パターンを電子ペンで読み取るよう促す出力をさせる。したがって、属性が特定されていない場合に、ユーザに、属性を識別するためのコード化パターンを電子ペンで読み取るよう促すことができる。
【0013】
また、本発明に係るプログラムは、上記ノート管理システムにおける前記コンピュータ装置として機能させることを特徴とする。このプログラムをコンピュータ装置にインストールして実行させることにより、ノート管理システムのコンピュータ装置を実現することができる。
【0014】
また、本発明に係るノートは、ページごとに異なるコード化パターンが形成された複数のノート用紙を有し、表紙に属性を識別するためのコード化パターンが設けられるノートであって、複数の異なる属性を示すためのシールが貼付されており、各シールには、各々を識別するための文字又は記号と、属性に応じて異なるコード化パターンとが形成され、さらに前記属性に対応する情報を記入するための領域が設けられており、前記複数のシールから特定のシールを選択して前記表紙に貼付するとともに、前記領域に電子ペンで記入することで、当該ノートの属性が設定可能であることを特徴とする。
この構成により、ユーザは、ノートに貼付されている複数のシールから、シールに付されている文字又は記号を参照に区別して、特定のシールを選択して表紙に貼付するとともに、当該領域に電子ペンで属性に対応する情報を記入することで、当該ノートの属性に対応する情報をコンピュータ装置に設定することができる。また、コンピュータ装置に、ノートの属性を特定するために、ノートの表紙に貼付したシールに形成されたコード化パターンを電子ペンに読み取らせるとよい。
【0015】
また、本発明に係るノートは、ページごとに異なるコード化パターンが形成された複数のノート用紙を有し、表紙に属性を識別するためのコード化パターンが設けられるノートであって、前記属性を識別するためのコード化パターンに電子ペンで記入することにより、その記入内容を、前記属性に対応する情報としてコンピュータ装置に設定することができ、前記属性に対応する情報が設定された状態で、前記属性を識別するためのコード化パターンを前記電子ペンに読み取らせることで、前記コンピュータ装置に前記属性を認識させ、前記ノート用紙に対して前記電子ペンによる記入の操作がなされることにより、その記入内容が、前記属性のノートに記入された内容として記憶されることを特徴とする。
この構成により、ユーザは、属性を識別するためのコード化パターンに電子ペンで記入して、属性に対応する記入内容を情報としてコンピュータ装置に設定し、コンピュータ装置に属性を認識させるとともに、ノート用紙に対して電子ペンによる記入の操作を行うことで、その記入内容を該当する属性のノートに記入された内容として記憶することができる。また、コンピュータ装置に、ノートの属性を識別するために、ノートの表紙に設けられたコード化パターンを電子ペンに読み取らせるとよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電子ペンによるノートの記載内容をストロークとして描画して、ノートファイルに格納するシステムにおいて、複数のノートの各々についての複数のノートファイルを適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態におけるノート管理システムのシステム構成図である。
【図2】本実施形態におけるノートの1枚目を開いた様子を示す模式図である。
【図3】本実施形態におけるノートの表紙の表面を示す模式図である。
【図4】ドットパターンにおけるドットの配置と変換される値との関係を示す説明図である。
【図5】(A)は、ドットパターンを模式的に示し、(B)は、それに対応する情報の例を示す図である。
【図6】電子ペンの構造を示す概略図である。
【図7】コンピュータ装置の機能ブロック図である。
【図8】コンピュータ装置の処理フローを示すフローチャートである。
【図9】コンピュータ装置の処理フローで出力手段に表示される画像の例を示す図である。
【図10】コンピュータ装置の処理フローで出力手段に表示される画像の例を示す図である。
【図11】コンピュータ装置の処理フローで出力手段に表示される画像の例を示す図である。
【図12】コンピュータ装置の処理フローで出力手段に表示される画像の例を示す図である。
【図13】ノートのノート用紙に電子ペンで記入される手書きのストロークの例を示す図である。
【図14】コンピュータ装置の処理フローで出力手段に表示されるストロークの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
[ノート管理システムの構成]
図1は、本実施形態に係るノート管理システム10の構成を示す。図1に示すように、本実施形態に係るノート管理システム10は、電子ペン1と、n冊のノート2−1〜2−nと、コンピュータ装置3とを有する。
なお、以下、ノート2−1〜2−nを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて単に「ノート2」と呼ぶ。
【0020】
ユーザは、ドットパターンが印刷されたノート2の各ページに対して、電子ペン1で手書きのストロークを記入することができる。電子ペン1からの記入情報は、Bluetooth(登録商標)により、コンピュータ装置3に無線送信される。なお、電子ペン1のさらなる詳細については、図6等を用いて後述する。
【0021】
コンピュータ装置3は、パーソナルコンピュータ(Personal computer)等で構成され、電子ペン1からの記入情報を受信すると、当該記入情報に基づいて、ノート2上に手書きで記入されているものと同様のストロークを描画して記録するとともに、出力手段31に表示させる。
【0022】
ここで、n冊のノート2−1〜2−nの所定ページの各々に対して、仮にユニークなドットパターンがそれぞれ印刷されている場合には、コンピュータ装置3は、手書きのストロークがノート2−1〜2−nのうちのいずれに記入されたのかを容易に認識することができる。ただし、この場合には、1冊のノート2が製作される度に、未だ割り当てられていないドットパターンの座標領域が新たに割り当てられることになる。このため、ノート2が製作されるごとに、未だ割り当てられていないドットパターンの座標領域が減少していくことになる。また、同一ページであっても、ノート2が異なれば、割り当てられたドットパターンが異なるため、ノート2ごとにドットパターンの座標領域を管理せねばならず、ノート2の製作数が増加する程、この管理が困難になっていく。
そこで、本実施形態では、未だ割り当てられていないドットパターンの座標領域の無用な減少を防止するとともに、ノート2に割り当てられたドットパターンの座標領域の管理を容易なものとすべく、図1に図示するノート2−1〜2−nも含め全てのノート2について、同一ページの同一位置には、同一のドットパターンが印刷されている。ただし、この場合、何らかの工夫がなされていなければ、コンピュータ装置3は、手書きのストロークがノート2−1〜2−nのうちのいずれに記入されたのかを認識することができない。
そこで、このような工夫として、本実施形態では、各ノート2−1〜2−nのそれぞれに対して、他のノート2との識別が容易に可能となるように、一意の属性(例えばユーザが受講する複数の科目のうち、任意の1つの科目)が設定される。ただし、ノート2に対して属性は予め設定されておらず、ユーザが所定のノート2を使用する際に、当該所定のノート2に対して所望の属性を与える。具体的には、当該所定のノート2には、ドットパターンが印刷されたシールが予め付加されており、ユーザは、当該シールに電子ペン1で所望の属性を示す内容を記入し、当該シールを当該所定のノート2の表紙等に貼り付けることで、当該所定のノート2に属性を与える。なお、シールへの記入と、シールの貼り付けとの順番は特に限定されない。
コンピュータ装置3は、このようにしてユーザにより与えられた属性を当該ノート2に対して設定し(より詳しくは、属性はシールに与えられ、結果として、当該シールが貼り付けられたノートにも同一の属性が設定されることになる)、その設定結果を保持する。これにより、コンピュータ装置3は、それ以降、当該ノート2を、他のノート2と区別して認識することができるようになる。
なお、如何にしてノート2を認識するのか等、コンピュータ装置3の具体的な処理については後述する。
【0023】
[ノート]
図2は、ノート2の表紙を開いた様子を示す模式図である。
ノート2においては、表紙21と、mページ分(mは1以上の整数値)のノート用紙24−1〜24−mとがその順番で積層するように結束されている。なお、kを1以上(m−1)以下の奇数とするならば、ノート用紙24−k,24−(k+1)の各々が、1枚の紙媒体(ドットパターン用紙)の表面と裏面にそれぞれ相当する。
ノート2の表紙21が開かれると、当該表紙21の裏面が左方に現れ、1ページ目のノート用紙24−1が右方に現れる。
図2に示すように、ノート2の表紙21の裏面(見返し)には剥離紙22が設けられており、この剥離紙22には、ユーザが属性を与えるために用いられる複数のシール23−1〜23−5が着脱自在に貼付されている。ここで、本実施形態では、ユーザは、とある学校の生徒であり、その学校の各授業の学習科目ごとにノート2−1〜2−nをそれぞれ用いるため、各授業の科目を属性として、ノート2−1〜2−nにそれぞれ与えるものとする。このため、シール23−1〜23−nを、以下、「科目シール23−1〜23−n」と呼ぶ。なお、本実施形態では、5枚の科目シール23−1〜23−5がノート2に用意されているが、これは例示であり、ノート2に用意される科目シールの枚数は特に限定されない。
科目シール23−1〜23−5の各々には、番号〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕の各々が付されている。ユーザは、これらの番号から科目シール23−1〜23−5の各々を一意に視認することができるので、科目シール23−1〜23−5のうち所望の番号が付されたものを、剥離紙22から剥がして、ノート2の表紙21の表面に貼り付けることができる。
【0024】
図3は、ノート2の表紙21の表面を示す模式図である。
図3の例では、番号〔1〕が付された科目シール23−1が、ノート2の表紙21に貼り付けられている。
【0025】
ここで、図3に示す科目シール23−1を含め、各科目シール23−1〜23−5には、それぞれユニークに形成されたドットパターン(コード化パターン)が印刷されている。なお、科目シール23に用いられる座標範囲のドットパターンは、ノート用紙24に用いられる座標範囲とは異なる座標範囲のドットパターンである。
このため、ノート2に貼り付けられた科目シール23−1が電子ペン1でタップ(ペン先による軽叩)されたならば、コンピュータ装置3は、タップにより電子ペン1から送信されてくる記入情報に基づいて、科目シール23−1がタップされたことを認識することができる。
【0026】
したがって、コンピュータ装置3は、科目シール23−1と、それが貼り付けられたノート2との対応関係を保持すれば、科目シール23−1がタップされると、それが貼り付けられたノート2を、他のノート2とは区別して認識することができるようになる。このような対応関係を構築するために、上述した「属性」、本実施形態では「科目」が用いられている。即ち、ユーザは、所望の科目(属性)を科目シール23−1に割り当て、当該科目シール23−1を、当該所望の科目の授業に用いるノート2に対して貼り付けることで、当該科目(属性)によって、科目シール23−1と、それが貼り付けられたノート2とが対応付けられる。
【0027】
このような科目(属性)の割り当てが可能となるように、科目シール23−1においては、番号〔1〕の右方に、電子ペン1による科目(属性)の記入が可能となるように、空欄(図2参照)が設けられている。
具体的には図3の例では、ユーザは、科目シール23−1が貼り付けられるノート2を、理科という科目の授業に用いる1冊目のノートであると決定すると、電子ペン1を用いて手書きで「理科No.1」というストローク群を記入する。ここで、同一の理科という科目であっても、1冊目と2冊目とでは、それぞれ違うノート2が用いられるため、これらを識別すべく、科目のみならず、何冊目という情報も「属性」の1種類として採用される。もちろん、理科のノートとして一冊で十分であれば、科目シール23−1に「理科」と電子ペンで記入してもよい。
【0028】
このようにして、電子ペン1により科目シール23−1に対してストローク群が記入されている間、当該電子ペン1からは各記入情報が逐次コンピュータ装置3に送信される。コンピュータ装置3は、これらの各記入情報を逐次受信し、当該各記入情報に基づいてストロークを描画し、さらに当該ストローク群に対して文字認識処理を施すことで、「理科No.1」という日本語の文字列を認識する。
そして、コンピュータ装置3は、「理科No.1」という日本語の文字列を、科目シール23−1の属性として設定する。
【0029】
ここで、詳細については後述するが、各ノート2のノート用紙24−1〜24−mに対しても、それぞれユニークなドットパターンが印刷されている。このため、コンピュータ装置3は、ノート2のノート用紙24−1〜24−mに対して電子ペン1で記入された内容をストロークとして描画することができるため、本実施形態では、これらのストロークをノート2の単位で保持するファイル(以下、「ノートファイル」と呼ぶ)を記憶する。
ただし、第pページ目(pは、1〜mの範囲内の任意の整数値)のノート用紙24−pに印刷されるドットパターンは、各ノート2−1〜2−nによらず同一である。このため、ノートファイルが単に作成されただけでは、当該ノートファイルが、各ノート2−1〜2−nのうちのいずれのものであるかが識別できる状態にない。
そこで、コンピュータ装置3は、科目シール23−1が貼り付けられたノート2についてのノートファイルに対して、科目シール23−1の属性、即ち「理科No.1」という属性を設定する。これにより、科目シール23−1と、それが貼り付けられたノート2とは、「理科No.1」という属性により対応づけられて、その対応関係がコンピュータ装置3により保持される。
なお、ノートファイルに対する属性の設定の手法は特に限定されないが、本実施形態では、科目シール23−1の属性、即ち「理科No.1」という日本語の文字列が、ノートファイルのファイル名の少なくとも一部に含まれることで、当該属性の設定がなされるものとする。
【0030】
このような属性の設定がなされた以降、ユーザは、科目シール23−1が貼り付けられたノート2を利用する際には、当該科目シール23を電子ペン1でタップする。すると、コンピュータ装置3は、タップにより電子ペン1から送信されてくる記入情報に基づいて、科目シール23−1の属性、即ち「理科No.1」という日本語の文字列を認識する。そして、コンピュータ装置3は、当該属性をファイル名に有するノートファイル、即ち科目シール23−1が貼り付けられたノート2についてのノートファイルを開き、当該ノートファイルに対して読み書きをする。
【0031】
なお、1冊目のノート2においては、科目シール23−1が用いられたので、2冊目の別のノート2においては、科目シール23−1とは異なる科目シール23−2〜23−5が科目を特定するシールとして用いられる。
【0032】
[ドットパターン]
続いて、科目シール23−1〜23−5及びノート用紙24−1〜24−mに形成されるアノト方式のドットパターン(コード化パターン)について説明する。
なお、以下、科目シール23−1〜23−5を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「科目シール23」と呼ぶ。同様に、ノート用紙24−1〜24−mを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「ノート用紙24」と呼ぶ。
【0033】
図4は、ドットパターンのドットとそのドットが変換される値との関係を説明する図である。図4に示すように、ドットパターンの各ドットは、その位置によって所定の値に対応付けられている。即ち、ドットの位置を格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右のどの方向にシフトするかによって、各ドットは、0〜3の値に対応付けられている。また、各ドットの値は、さらに、X座標用の第1ビット値及びY座標用の第2ビット値に変換できる。このようにして対応付けられた情報の組合せにより、科目シール23やノート用紙24上の位置座標が決定されるよう構成されている。
なお、上述したように本実施形態では、第pページ目にのノート用紙24−pに印刷されるドットパターンは、各ノート2−1〜2−nによらず同一であるため、各ノート2−1〜2−nの第pページ目における位置座標は、同一位置であれば同一になる。
【0034】
図5(A)は、あるドットパターンの配列を示している。図5(A)に示すように、縦横約2mmの範囲内に6×6個のドットが、科目シール23やノート用紙24上のどの部分から6×6ドットを取ってもユニークなパターンとなるように配置されている(ただし、本実施形態ではノート2−1〜2−nを含む全ノート2の同一ページには同一のドットパターンが配置されている)。これら36個のドットにより形成されるドットパターンは位置座標を保持している。図5(B)は、図5(A)に示す各ドットを、格子の基準位置からのシフト方向によって、図4に示す規則性に基づいて対応付けられた値に変換したものである。この変換は、ドットパターンの画像を撮影する電子ペン1によって行われる。
【0035】
[電子ペン]
次に電子ペン1について説明する。図6に示すように、電子ペン1は、その筐体101の内部に、インクカートリッジ104、LED105、CMOSカメラ106、圧力センサ107、CPU等により構成されるプロセッサ108、ROMやRAMといったメモリ109、リアルタイムクロック110、アンテナ等により構成される通信ユニット111及びバッテリー112を備える。インクカートリッジ104の先端は、インクを備えるペン先部103となっており、ユーザは、電子ペン1のペン先部103を科目シール23やノート用紙24上に当接させて、文字等のストローク(手書きのストローク)を記入したり、タップ(ペン先部103による科目シール23やノート用紙24への軽叩)したりする。ここで、電子ペン1のペン先部103が科目シール23やノート用紙24に接触することをペンダウンと呼び、接触している(当接している)状態からペン先部103が離れることをペンアップと呼ぶ。電子ペン1のペンダウンからペンアップまでの間に記入される軌跡が1つのストロークとなり、文字や図形等は、1つ又は複数個のストロークからなる。また、電子ペン1のペンダウンからペンアップまでにペン先部103から科目シール23やノート用紙24上に流出するインクにより、ストロークと略同一軌道の軌跡が科目シール23やノート用紙24上に描かれる。
【0036】
バッテリー112は、電子ペン1内の各部品に電力を供給するためのものであり、例えば電子ペン1のキャップ(図示せず)の脱着により電子ペン1自体の電源のオン/オフを行うよう構成させてもよい。リアルタイムクロック110は、現在時刻(タイムスタンプ)を示す時刻情報を発信し、プロセッサ108に供給する。圧力センサ107は、ユーザが電子ペン1により科目シール23やノート用紙24に文字やマークを書いたりタップしたりする際にペン先部103からインクカートリッジ104を通じて与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、その値をプロセッサ108へ伝送する。
【0037】
プロセッサ108は、圧力センサ107から与えられる筆圧データに基づいて、LED105及びCMOSカメラ106のスイッチのオン/オフを切替える。即ち、ユーザが電子ペン1で科目シール23やノート用紙24に文字等を書くと、ペン先部103に筆圧がかかり、圧力センサ107によって所定値以上の筆圧が検出されたときに、プロセッサ108は、ユーザが記入を開始したと判定して、LED105及びCMOSカメラ106を作動させる。そして、通信ユニット111が、圧力センサ107により検出されたペンダウン情報と、後述するペンIDとを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置3へ送信する。また、ユーザが1つのストロークを記入し終えて電子ペン1を科目シール23やノート用紙24から離すと、圧力センサ107は、所定値以上の筆圧が検出されなくなることでペンアップを検出する。すると、通信ユニット111が、圧力センサ107により検出されたペンアップ情報とペンIDとを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置3へ送信する。
【0038】
LED105とCMOSカメラ106は、電子ペン1のペン先部103付近に取り付けられており、筐体101におけるLED105及びCMOSカメラ106と対向する部分には、開口部102が形成されている。LED105は、科目シール23やノート用紙24上のペン先部103近傍に向けて赤外線を照明する。その領域は、ペン先部103が科目シール23やノート用紙24に接触する位置とはわずかにずれている。CMOSカメラ106には、赤外線を透過し赤外線以外を遮断する赤外線透過フィルタが設けられており、CMOSカメラ106は、LED105によって照明された領域内におけるドットパターンを撮影し、そのドットパターンの画像データをプロセッサ108に供給する。ここで、ドットのインク素材は、赤外線を吸収するため、LED105によって照射された赤外線は、ドットによって吸収される。そのため、ドットの部分は、赤外線の反射量が比較的少なく、ドット以外の部分は赤外線の反射量が比較的多い。CMOSカメラ106の撮影により、赤外線の反射量の違いから閾値を設けることによって、ドットの領域とそれ以外の領域を区別することができる。なお、CMOSカメラ106による撮影領域は、図5(A)に示すような約2mm×約2mmの大きさを含む範囲であり、CMOSカメラ106の撮影は毎秒50〜100回程度の定間隔で行われる。また、CMOSカメラ106は、ドットを鮮明に撮影するため、十分な被写界深度を有している。
【0039】
プロセッサ108は、ユーザの記入が行われる間、CMOSカメラ106によって供給される画像データのドットパターンから、ユーザが記入するストローク(筆跡)の科目シール23やノート用紙24上におけるX,Y座標(単に「位置座標」、「座標情報」とも呼ぶ)を連続的に演算していく。即ち、プロセッサ108は、CMOSカメラ106によって供給される、図5(A)に示されるようなドットパターンの画像データを図5(B)に示すデータ配列に変換し、さらに、X座標ビット値・Y座標ビット値に変換して、そのデータ配列から所定の演算方法によりX,Y座標データを演算する。なお、プロセッサ108は、ドットパターンに対向する電子ペン1の角度に起因するドットの画像上の配列を補正する回転補正処理機能を備えており、座標演算の際、その機能を実行させる。そして、プロセッサ108は、リアルタイムクロック110から発信される現在時刻(タイムスタンプ:記入された時刻情報)、筆圧データ及びX,Y座標データを関連付ける。以後、これらの関連付けたデータを、まとめて「座標属性情報」と呼ぶ。なお、科目シール23−1〜23−5の各々における6×6のドットパターンは、他の科目シール23やノート用紙24内で重複することはないため、ユーザが、科目シール23−q(qは、1〜5のうちの任意の整数値)を電子ペン1でタップしたり文字等を記入すると、タップ又は記入された位置が、科目シール23−1〜23−5のうち、科目シール23−qであって、かつ、科目シール23−qのどの位置に当たるかを、プロセッサ108による座標演算により特定することができる。同様に、ノート2のノート用紙24−1〜24−mにおける6×6のドットパターンは、他のページのノート用紙24及び科目シール23内で重複することはないため、ユーザが、第pページ目のノート用紙24−pにタップしたり電子ペン1で文字等を記入すると、記入された位置が、第pページ目のノート用紙24−pであって、かつ、第pページ目のノート用紙24―p内のどの位置に当たるかを、プロセッサ108による座標演算により特定することができる。
【0040】
ただし、本実施形態では、上述したように、各ノート2−1〜2−nによらず、第pページ目のノート用紙24−pには同一のドットパターンが印刷されている。このため、電子ペン1による記入対象が第pページであることまでは、プロセッサ108による座標演算により特定することができるが、その第pページは各ノート2−1〜2−nのうちのいずれのものなのかについて、プロセッサ108による座標演算により特定することができない。
そこで、ユーザは、記入対象の所定のノート2をコンピュータ装置3に特定させるために、当該所定のノート2に貼り付けられた科目シール23を電子ペン1でタップする。
即ち、上述したように、科目シール23の空欄に電子ペン1で記入された内容、より詳細には当該内容の文字認識結果(図3の例では「理科No.1」という日本語の文字列)が、当該科目シール23及びそれが貼り付けられた所定のノート2の属性として設定されている。即ち、当該属性により、当該科目シール23とそれが貼り付けられた所定のノート2とは関連付けられている。
このため、当該属性を有する科目シール23が電子ペン1でタップされると、コンピュータ装置3は、当該属性により関連付けられた所定のノート2を特定することができる。その後、ユーザがノート用紙24−pに電子ペン1で文字等を記入すると、コンピュータ装置3は、記入された位置が、所定のノート2におけるノート用紙24―p内のどの位置に当たるかを特定することができる。
【0041】
メモリ109には、電子ペン1を識別するための「pen01」といったペンID、ペン製造者番号、ペンソフトウェアのバージョン等のプロパティ情報が記憶されている。そして、通信ユニット111は、ペンIDと、座標属性情報(時刻情報と、筆圧データと、X、Y座標データ)とを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置3へ送信する。通信ユニット111によるコンピュータ装置3への送信は、Bluetooth(登録商標)等の無線送信によって、即時的かつ逐次的に行われる。ここで、電子ペン1のペンダウンからペンアップまでの間に生成されてコンピュータ装置3に送信された1個又は複数個の記入情報(座標属性情報)は、コンピュータ装置3によりストローク情報として記憶される。換言すると、1つのストロークは、1個又は複数個のX,Y座標(座標点)に基づいて描画されるため、コンピュータ装置3は、ペンダウン情報及びペンアップ情報によって、1つのストロークを描画するために必要な1個又は複数個の座標属性情報を認識する。このように、ユーザの1つのストロークの記入により、電子ペン1によって生成される座標属性情報の集合を「ストローク情報」と呼ぶ。また、ペン先部103は、筆圧をインクカートリッジ104を介して圧力センサ107に伝達する。
【0042】
[コンピュータ装置の構成]
次に、コンピュータ装置3の構成について説明する。
コンピュータ装置3は、ハードウェアとして、電子ペン1とのデータ通信が可能なアンテナ装置、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリ、ディスプレイ、マウスやキーボード等を含むパーソナルコンピュータ等で構成される。
【0043】
図7は、コンピュータ装置3の機能ブロック図である。コンピュータ装置3は、機能的には、出力手段31、入力手段32、通信手段33、記憶手段34及び処理手段35を備える。そして、コンピュータ装置3は、電子ペン1から受信した記入情報に基づいて所定の処理を行う。
【0044】
出力手段31は、ディスプレイやスピーカ等によって構成され、処理手段35によって指示された内容を画像として表示したり、音声として発声したりする。
入力手段32は、マウスやキーボード等により構成され、ユーザの操作に応じた各種情報を入力して、処理手段35に供給する。
通信手段33は、アンテナ受信回路等により構成され、電子ペン1から記入情報等を受信し、処理手段35に伝送する。
【0045】
記憶手段34は、ハードディスクやROM、RAMといったメモリによって構成される。記憶手段34は、処理手段35の処理命令により、電子ペン1から受信した記入情報をペンIDごとに記憶する他、ノート2の科目シール23の属性や、当該属性が設定されたノートファイル等の各種情報を記憶する。また、記憶手段34は、本ノート管理システム10で使用するプログラムや辞書データベース、ノート2の科目シール23やノート用紙24に形成されたドットパターンの位置座標に関する座標定義情報等を予め記憶している。そのため、ノートファイルには、ノート2のページ数に合わせてページが用意される。
【0046】
処理手段35は、各手段31〜手段34を制御して各種情報を授受することで、各種の処理を実行する。処理手段35は、主に、情報処理手段351、ストローク描画手段352、文字認識手段353、属性設定手段354、及び属性特定手段355により構成される。
【0047】
情報処理手段351は、後述するす各手段352〜355により実行される処理を除く、処理手段35にとって必要な各種情報処理一般を実行する。例えば、情報処理手段351は、電子ペン1から送信される記入情報を通信手段33を介して受信し、受信した記入情報を記憶手段34に記憶させる。
【0048】
ストローク描画手段352は、ノート用紙24に記入することで電子ペン1から送信されて通信手段33によって受信された記入情報を、例えばストローク情報の単位で用いることによって、ストロークを描画する。そして、ストローク描画手段352は、必要に応じて、当該ストロークを出力手段31のディスプレイに表示させる。
【0049】
文字認識手段353は、科目シール23に記入することで電子ペン1から送信されて通信手段33によって受信された記入情報に基づいて、ストロークを認識し、文字認識処理を施し、その文字認識の結果として、所定の国語(本実施形態では日本語)の文字列(テキスト情報)を示す情報(以下、「文字情報」と呼ぶ)を出力する(図3の例では、「理科No.1」という日本語の文字列)。
【0050】
属性設定手段354は、文字認識手段353から出力された文字情報に基づいて、ノート2の科目シール23の属性を設定する。具体的には、属性設定手段354は、文字情報が示す文字列によって、科目名や、事業のプロジェクト名等の属性を科目シール23に対して設定し、その設定結果を記憶手段34に記憶させる。
さらに、属性設定手段354は、当該科目シール23が貼り付けられたノート2についてのノートファイルに対しても、当該属性を設定する。なお、ノートファイルに対する属性の設定タイミングは、特に限定されないが、本実施形態ではノートファイルの作成時であるものとする。属性設定手段354のノートファイルに対する属性の設定方法としては、ファイル名を、文字認識手段353から出力された文字情報とするとよい。
このように、ノート2に設けられた科目シール23−1〜23−5のうち、特定の科目シール23(図3の例では科目シール23−1)に対し電子ペン1により記入の操作がなさると、属性設定手段354により、特定された当該科目シール23に対して所定の属性が設定される。即ち、ユーザは、当該科目シール23に対し電子ペン1による記入の操作をするだけで、様々な種別の属性(例えばユーザが受講する複数の科目のうち、任意の1つの科目、あるいはその科目のうちのノート番号)を当該科目シール23に自在に割り当てることができる。この場合、属性設定手段354により、その割り当てられた所定の属性が、当該科目シール23に設定される。
【0051】
そして、ユーザが、所定の属性が設定された科目シール23をノート2に貼り付けて、当該科目シール23を電子ペン1によりタップすると、属性特定手段355が機能する。
即ち、属性設定手段354により所定の属性が設定された科目シール23をノート2に貼り付けた後、当該科目シール23に対して電子ペン1によるタップの操作がなされると、属性特定手段355は、電子ペン1から送信され通信手段33によって受信された記入情報に基づいて、設定された属性を特定する。
【0052】
その後、ユーザが、電子ペン1により当該ノート2に記入の操作をすると、その記入の内容を示すストロークが、当該科目シール23が貼り付けられたノート2に記入された内容として、当該ノート2についてのノートファイルに含められて記憶される。
【0053】
[コンピュータ装置の処理フロー]
次に、図8を参照して、コンピュータ装置3の処理フローについて説明する。
【0054】
先ず前提事項として、コンピュータ装置3の記憶手段34には、ユーザが用いる電子ペン1のペンIDが「登録ペンID」として予め記憶されているものとする。即ち、コンピュータ装置3は、ユーザの近傍で用いられる他のユーザが用いている別の電子ペン1からの記入情報も受信する可能性があるため、登録ペンIDを含む記入情報(以下、「登録ペンIDの記入情報」と呼ぶ)のみを有効なものとして利用することを前提とする。
このような前提の下、初めに、ユーザが、所定のノート2の科目シール23やノート用紙24に対して、電子ペン1でタップしたり手書きのストロークを記入すると、電子ペン1は、生成した記入情報をコンピュータ装置3へ送信する。具体的には、電子ペン1は、ペンダウン時には、ペンダウン情報及びペンID(登録ペンID)を関連付けた記入情報を生成して、生成した記入情報をコンピュータ装置3へ送信する。電子ペン1は、ストロークの記入等により電子ペン1の科目シール23やノート用紙24への当接状態が継続すると、ドットパターンを撮像して演算した座標情報を含む座標属性情報と、ペンID(登録ペンID)とを関連付けた記入情報を連続的に生成して、コンピュータ装置3へ逐次送信する。電子ペン1は、ペンアップ時には、ペンアップ情報及びペンID(登録ペンID)を関連付けた記入情報を生成してコンピュータ装置3へ送信する。
【0055】
コンピュータ装置3では、通信手段33が、電子ペン1との通信可能状態となったことを契機として1回目の処理が開始され、それ以降、登録ペンIDの記入情報が電子ペン1から送信されてくるごとに繰り返して処理が実行される。
処理手段35の情報処理手段351は、電子ペン1から送信された、登録ペンIDの記入情報を、通信手段33に受信させて、記憶手段34に記憶させる(ステップS1)。
【0056】
次に、属性特定手段355は、ステップS1の処理で受信された登録ペンIDの記入情報に基づき、電子ペン1により記入又はタップされた対象が、科目シール23であるのか、それとも、ノート用紙24であるのかを特定する(ステップS2)。
属性特定手段355は、電子ペン1により記入又はタップされた対象がノート用紙24であると判定した場合(ステップS2:ノート用紙)、処理をステップS8に進める。ただし、ステップS8以降の処理については後述する。
これに対して、属性特定手段355は、電子ペン1により記入又はタップされた対象が科目シール23であると判定した場合(ステップS2:科目シール)、処理をステップS3に進める。
【0057】
属性設定手段354は、ステップS2において特定されたその科目シール23に科目等の属性が設定されているか否かを判別する(ステップS3)。
属性設定手段354は、その科目シール23に科目等の属性が設定されていないと判別した場合(ステップS3:NO)、処理をステップS4に進める。
【0058】
情報処理手段351は、ステップS2において特定されたその科目シール23に科目等の属性を記入して設定するか否かを判断する(ステップS4)。
即ち、情報処理手段351は、その科目シール23に科目等の属性を記入して設定するか否かをユーザに対して問い合わせるための画像を出力手段31のディスプレイに表示させる。具体的には、図9に示すように、情報処理手段351は、「ノートの科目を設定しますか?」といったメッセージを含む画像を出力手段31のディスプレイに表示させる。
【0059】
図9は、ステップS4の処理で出力手段31のディスプレイに表示される画像の例を示している。
図9(A)に示すように、科目シール23に科目等の属性が記入されておらず、属性が何ら設定されていない状態(ステップS3:NO)で、ユーザが科目シール23に電子ペン1でタップすると、図9(B)に示すように、コンピュータ装置3の出力手段31には、「ノートの科目を設定しますか?」といったメッセージを含む画像が表示される。
ここで、本実施形態では、入力手段32の一構成要素としてタッチパネルが、出力手段31のディスプレイに積層するように配置されている。このため、図9(B)に示すように、「ノートの科目を設定しますか?」といったメッセージの下方には、ユーザのタッチパネルに対する入力操作を受け付けるように、「はい」及び「いいえ」のアイコンが表示される。
ユーザが「いいえ」のアイコン(より正確には、タッチパネル内の当該アイコンに相当する位置)を指や電子ペン1でタッチすると、情報処理手段351は、「いいえ」のアイコンが選択されたと認識し、その科目シール23に科目等を記入して設定することをユーザが行わないと判断して(ステップS4:NO)、コンピュータ装置3による処理を終了させる。
これに対して、ユーザが「はい」のアイコン(より正確には、タッチパネル内の当該アイコンに相当する位置)を指や電子ペン1でタッチすると、情報処理手段351は、「はい」のアイコンが選択されたと認識し、その科目シール23に科目等を記入して設定することをユーザが行うと判断して(ステップS4:YES)、処理をステップS5に進める。
【0060】
ユーザは、「はい」のアイコンをタッチした後、電子ペン1を用いて、その科目シール23の空欄に科目等を示す手書きのストロークを記入する。情報処理手段351は、この間に電子ペン1から逐次送信されてくる記入情報を通信手段33を介して受信する。文字認識手段353は、これらの記入情報に基づいて、その科目シール23へのストロークを認識し、その科目シール23へのストロークに対して文字認識処理を施し、属性設定手段354は、当該文字認識の結果を科目等の属性として、その科目シール23に対して設定する(ステップS5)。これにより、コンピュータ装置3による処理は終了になる。
【0061】
なお、ユーザが、図9に示す「はい」のアイコンをタッチした後、電子ペン1を用いて、その科目シール23の空欄に手書きのストロークを記入した場合、科目等の属性が誤まって設定されるおそれがある。このようなおそれを防止すべく、ステップS5による科目等の属性の設定の前に、情報処理手段351は、図10に示すような確認画像を出力手段31に表示させてもよい。
【0062】
図10は、ステップS5の処理中に出力手段31に表示される画像の例を示している。
ステップS2において特定されたその科目シール23が科目シール23−1であり、図10(A)に示すように、ユーザが、電子ペン1を用いて、科目シール23−1の空欄に「理科No.1」という手書きのストロークを記入したものとする。
この場合、情報処理手段351は、この間に電子ペン1から逐次送信されてくる記入情報を通信手段33を介して受信する。文字認識手段353は、これらの記入情報に基づいて、ストロークを認識し、当該ストロークに対して文字認識処理を施することにより、「理科No.1」という日本語の文字列を示す文字情報を情報処理手段351に供給する。
情報処理手段351は、当該文字情報に基づいて、図10(B)に示すように、「ノートの科目は、〔1〕「理科No.1」でよろしいですか?」といったメッセージを含む確認画像を、コンピュータ装置3の出力手段31に表示させる。
このメッセージの下方には、ユーザのタッチパネルに対する入力操作を受け付けるように、「はい」及び「取止める」のアイコンが表示される。
ユーザが「取止める」のアイコン(より正確には、タッチパネル内の当該アイコンに相当する位置)を指や電子ペン1でタッチすると、情報処理手段351は、「取止める」のアイコンが選択されたと認識し、属性設定手段354による処理を中止する。
これに対して、ユーザが「はい」のアイコンを指や電子ペン1でタッチすると、情報処理手段351は、「はい」のアイコンが選択されたと認識し、属性設定手段354による処理を許可する。すると、属性設定手段354は、「理科No.1」という日本語の文字列を科目等の属性として、その科目シール23−1に対して設定するとともに、その科目シール23用のノートファイルに「理科No.1」という文字列を登録する。これにより、ステップS5が終了し、コンピュータ装置3による処理も終了となる。
なお、図10には図示しないが、ユーザの便宜のため、「修正する」のアイコンをさらに含めるようにしてもよい。この場合、ユーザが「修正する」のアイコンを指や電子ペン1でタッチすると、情報処理手段351は、「修正する」のアイコンが選択されたと認識し、属性設定手段354による処理を中止する。そして、ユーザが電子ペン1で別の科目シール23−2(科目シール23−1に記入された「理科No.1」というインクの文字が消去可能ならば、科目シール23−1でもよい)を新たな科目シール23として用いて、新たな内容を記入するまでの間、処理を待機する。
その後、ユーザは、新たな科目シール23に対して新たな内容を記入した後、「はい」のアイコンを指や電子ペン1でタッチすると、情報処理手段351は、「はい」のアイコンが選択されたと認識し、属性設定手段354による処理を許可する。すると、属性設定手段354は、新たな内容を科目等の属性として、新たな科目シール23に対して設定する。これにより、ステップS5が終了し、コンピュータ装置3による処理も終了となる。
【0063】
このようにして科目等の属性が科目シール23に設定された後、その科目シール23が電子ペン1により再度タップされると、コンピュータ装置3による処理が再度開始され、ステップS1、ステップS2:科目シール、及びステップS3:YESの処理が実行された後に、処理はステップS6に進む。
属性特定手段355は、ステップS2において特定されたその科目シール23について、それに設定されている科目等の属性を特定する(ステップS6)。
さらに、属性特定手段355は、当該科目等の属性を有するノートファイルを特定する。
情報処理手段351は、このようにして特定されたノートファイルを開く(ステップS7)。
なお、ステップS6において特定された科目等の属性を有するノートファイルが存在しない場合、ステップS7の処理の前に、情報処理手段351は、新たなノートファイルを作成する。属性設定手段354は、当該新たなノートファイルに対して、ステップS6において特定された科目等の属性を設定する。そして、情報処理手段351は、ステップS7の処理として、当該新たなノートファイルを開く。
これにより、コンピュータ装置3による処理が終了する。
【0064】
なお、ステップS7の処理の前に、情報処理手段351は、ステップS6の処理で特定された科目等の属性でよいか否かを確認すべく、上述した図10(B)に示すような確認画像を出力手段31に表示させるようにしてもよい。この場合、「はい」のアイコンが選択された場合には、処理はステップS7に進み、「取止める」のアイコンが選択された場合には、ステップS7の処理は実行されずに、コンピュータ装置3による処理が終了になる。
【0065】
また、ステップS7の処理によってノートファイルが開かれた場合、情報処理手段351は、図11に示すような画像を出力手段31に表示させるとよい。
図11は、ノートファイルが開かれた直後に出力手段31に表示される画像の例を示している。
図11(A)に示すように、ノート2の表紙21には科目シール23−1が貼り付けられており、当該科目シール23−1、及びそれが貼り付けられたノート2についてのノートファイルには、「理科No.1」という科目等が属性として既に設定されているものとする。
この状態で、ユーザが科目シール23−1に対して電子ペン1でタップすると、上述したように処理はステップS7に進み、「理科No.1」という科目等が属性として既に設定されているノートファイルが開くとともに、コンピュータ装置3の出力手段31には、図11(B)に示すような画像が表示される。この画像には、「理科No.1」という日本語の文字列が含まれている。したがって、ユーザは、この図11(B)のような画像を視認することにより、これから用いるノート2には、「理科No.1」という科目等が属性として設定されていることを容易に確認できる。
【0066】
以上、ユーザの電子ペン1による操作対象が科目シール23の場合における、コンピュータ装置3による処理について説明した。
次に、ユーザの電子ペン1による操作対象がノート用紙24の場合における、コンピュータ装置3による処理について説明する。この場合、コンピュータ装置3による処理が開始されると、ステップS1、ステップS2:ノート用紙、の処理が実行された後に、処理はステップS8に進む。
【0067】
属性特定手段355は、ステップS6の処理により、科目が特定されているか否かを判別する(ステップS8)。
前回までのコンピュータ装置3による処理で、ステップS6の処理が未だ実行されていない場合、科目が特定されていないと判断され(ステップS8:NO)、処理はステップS9に進む。
情報処理手段351は、科目を指定するようなアラーム表示又は音声を出力手段31から出力させる(ステップS9)。これにより、コンピュータ装置3による処理は終了となる。
【0068】
図12は、ステップS9の処理で情報処理手段351が出力手段31に表示させる画像の例を示している。
科目が特定されていない状態で、ユーザがノート用紙24に電子ペン1でタップしたり手書きのストロークを記入すると、上述したように処理はステップS9に進み、図12に示すように、コンピュータ装置3の情報処理手段351は、出力手段31のディスプレイには、「ノートの科目を指定してください」といったメッセージを含むアラーム画像を表示させる。この時、コンピュータ装置3の情報処理手段351は、出力手段31のスピーカから、「ノートの科目を指定してください」といったアラーム音声を発声させてもよい。
【0069】
これに対して、前回までのコンピュータ装置3による処理で、ステップS6の処理が実行された後、即ち、科目が特定された後に、ユーザがノート用紙24に電子ペン1でタップしたり手書きのストロークを記入すると、ステップS8においてYESであると判断された後に、処理はステップS10に進む。
【0070】
情報処理手段351は、ノート2についてのノートファイルにおいて、ステップS1で受信した記入情報により特定されるページを開いているか否かを判別する(ステップS10)。ここで、ノートファイルは、ノート2の各ページ単位で読み書き可能に構成されている。後述する図14に示すように、ノートファイルにおいて開かれているページ、即ち読み書き対象となっているページを示す画像は、出力手段31に表示される。なお、図14のように、画像は、ノート2を開いているように見開きの状態で表示されるとよい。
したがって、情報処理手段351は、ノートファイルにおいて読み書き対象となっているページが開かれていないと判断した場合、図11(B)に示すような画像が出力手段31に表示されていると判断した場合や、ステップS1で受信した記入情報により特定されるページとは異なるページが開かれていると判断した場合(ステップS10:NO)、ステップS1で受信した記入情報に基づきノート用紙24のページを特定して、当該ページを開く(ステップS11)。これにより、処理はステップS12に進む。
これに対して、ノートファイルにおいて、ステップS1で受信した記入情報により特定されるページ(読み書き対象となっているページ)が既に開いている場合、後述する図14に示すような画像が出力手段31に表示されている場合、情報処理手段351は、当該ページが開かれていると判断して(ステップS10:YES)、ステップS11の処理を実行せずに、処理をステップS12に進める。
【0071】
ストローク描画手段352は、記入情報から特定されるストロークを、開かれたページに描画し、記憶手段34内のノートファイルに記憶(上書き)させる(ステップS12)。これにより、コンピュータ装置3による処理は終了となる。
【0072】
図13は、ノート2のノート用紙24に電子ペン1で記入される手書きのストロークの例を示している。
図13に示すように、ユーザが所定のノート用紙24に対して、「消化液 酵素」、「だ液 アミラーゼ」、「胃液 ペプシン」といった各種のストローク群を電子ペン1で記入することができる。この間、電子ペン1は、各記入情報を逐次コンピュータ装置3に送信する。
【0073】
図14は、ステップS12の処理でコンピュータ装置3の出力手段31に表示されるストロークの例を示している。
コンピュータ装置3の情報処理手段351は、図13に示すように電子ペン1でノート用紙24に対して手書きのストロークが記入されている間、逐次送信されてくる各記入情報を通信手段33を介して受信する。
コンピュータ装置のストローク描画手段352は、このような各記入情報を例えばストローク情報の単位で用いて、各ストロークを描画し、ノートファイルに記憶させる(ステップS12)とともに、図14に示すような画像を出力手段31に表示させる。
具体的には、ユーザによりノート用紙24に対して電子ペン1で記入された手書きのストローク(図13参照)に対応して、出力手段31には、「消化液 酵素」、「だ液 アミラーゼ」、「胃液 ペプシン」といったストロークが、ノート用紙24の記載位置に対応する位置に配置された画像が表示される。
【0074】
[本実施形態による作用効果]
以上説明したように本実施形態によれば、ユーザは、ノート2の表紙の裏面(見返し)に貼付された複数の科目シール23(図2参照)から、1つの科目シール23を選択して、ノート2として利用したい科目名を電子ペン1で記入する(図9、図10)。この場合、ノート番号を書き添えてもよい。これにより、選択された科目シール23に対して、科目(属性)がコンピュータ装置3に設定される(図10参照)。さらに、ユーザは、科目名を記入した科目シール23を剥がし、ノート2の表紙に貼付する(図3参照)。そして、ユーザは、そのノート2にその科目について記入する前に、表紙に貼付した科目シール23に形成されたドットパターンを電子ペン1に読み取らせて、コンピュータ装置3に、設定されたノートの科目(属性)を認識させる(図11参照)。そのうえで、ノート2のノート用紙24に電子ペン1で記入することによって、ノート用紙24に記入したストロークを、電子データとして、記入したノート用紙24のページに合わせて、コンピュータ装置3に描画させ表示させることができるとともに、記憶させることができる(図13、図14参照)。したがって、ユーザは、実際のノート2と同じ感覚で、コンピュータ装置3のノートファイルに、記入内容を描画、記憶させることができる。
ここで、ユーザは、ノート2ごとに、異なる科目シール23(付された番号が異なるもの)を利用して、電子ペン1で科目名を記入することにより、コンピュータ装置3に科目(属性)を設定させて、ノート2の表紙に科目シール23を貼付し、そのノート2にその科目について記入する前に、科目シール23に形成されたドットパターンを電子ペン1に読み取らせて、コンピュータ装置3に、ノートの科目を認識させるため、ノート2のノート用紙24においてページが同じであれば同じ座標範囲のドットパターンが形成されていても、コンピュータ装置3は、設定された科目(属性)の違いによって、ノート2を識別することができる。
また、ユーザは、科目シール23に対して、科目名に限らず、任意の属性を表す用語を記入して、コンピュータ装置3に属性を設定することができ、便宜である。
また、ノート2の利用前に、科目シール23のドットパターンが電子ペン1によって読み取られずに科目(属性)が特定されていない状態であると、ノート用紙24に電子ペン1で記入しようとしても、科目を特定するようコンピュータ装置3が促す出力をするため(図12参照)、利用しやすい。
【0075】
[変形例]
なお、本発明は、上記実施形態に限られない。
上記実施形態においては、属性設定手段354は、当該文字認識の結果を科目等の属性として、その科目シール23に対して設定しているがこれに限られるものではない。例えば、属性設定手段354は、文字認識の結果の属性として、ユーザの「学年」や、業務の「プロジェクト名」を属性として設定してもよい。
「学年」が属性として設定される場合には、コンピュータ装置3側の記憶手段34に複数のフォルダ(記憶領域)が設けられる。そして、情報処理手段351は、「学年」のフォルダを特定(アクティブ)にし、特定したフォルダにおいて、ノートファイルの記憶(上書き)を行うようにすることができる。
なお、「学年」を属性として設定し特定した場合には、情報処理手段351は、毎年特定の月日(例えば、4月1日など期の変わり目)に、特定したフォルダとは異なるフォルダを新たに生成する。そして、情報処理手段351は、当該フォルダ内において、ノートファイルの記憶(上書き)を行うようにすることが好適である。
【0076】
また、上記実施形態では、ノート2の表紙の裏面(見返し)に貼付されている、異なる番号が付された複数の科目シール23から、1つの科目シール23を選択して剥がし、ノート2の表紙に貼付した。その代わりに、ノート2ごとに、表紙に、ノート2を識別できるように異なる番号が付され、その番号に応じたドットパターンが形成されたエリアを設け、そのエリアに、電子ペン1で科目名を記入できるようにしてもよい。もちろん、番号の代わりに、記号等を付してもよい。また、記入する内容は、科目に、「ノート番号」や「学年」を付加してもよく、科目名の代わりに、「プロジェクト名」を記入してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、ユーザにより、第pページ目のノート用紙24−pにタップしたり電子ペン1で文字等を記入することにより、第pページ目のノート用紙24−pが特定され、コンピュータ装置3において、該当するページが開かれて表示されている。これに加えて、コンピュータ装置3のタッチパネル上を指で移動させてページをめくる操作を検出して、めくられたページを開いて表示するようにしてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、電子ペン1を用いる対象は、ノート2とされたが、特にこれに限られず、アノト式のドットパターンが印刷された任意の書き込み媒体であればよい。また、コード化パターンや、記入情報、電子ペンは、アノト方式に限られなくともよい。
【0079】
また、上記実施形態では、科目シール23に対する属性の設定は、当該科目シール23に電子ペン1で記入された内容を示すストロークが文字認識された結果得られる文字情報に基づいて行われたがこれに限らない。例えば、ユーザは、科目シール23に対して文字列以外の絵やシンボル等を電子ペン1で記入することができる。この場合、所定科目シール23に対する属性の設定は、当該所定科目シール23に電子ペン1で記入された内容を示すストローク自体に基づいて行われる。また、科目シール23に対して電子ペン1で記入するストロークが文字であっても、文字認識処理を施さずに、属性を文字を描いたストローク(イメージデータ)としてもよい。
【0080】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
【0081】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【符号の説明】
【0082】
1…電子ペン
2…ノート
21…表紙
22…剥離紙
23…科目シール
24…ノート用紙
3…コンピュータ装置
10…ノート管理システム
31…出力手段
32…入力手段
33…通信手段
34…記憶手段
35…処理手段
351…情報処理手段
352…ストローク描画手段
353…文字認識手段
354…属性設定手段
355…属性特定手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペンによりノートに記入された内容を記憶するシステムにおいて、複数のノートを適切に管理することが可能な、コンピュータ装置及びプログラム、並びにノートに関する。
【背景技術】
【0002】
記入した情報を電子化する電子ペンが開発されており、その代表的なものとしてスウェーデンのAnoto社が開発した「アノトペン(Anoto pen)」が知られている。アノトペンは、所定のドットパターンが印刷された専用紙とともに使用される。アノトペンは、ペン先部に、文字等を書くための通常のインクカートリッジに加えて、専用紙に印刷されたドットパターンを撮像するための小型カメラと、撮像したドットパターンから専用紙における位置座標を演算するプロセッサと、演算された位置座標等を外部機器へ送信するデータ通信ユニットとを搭載している。ユーザが専用紙上にアノトペンで文字等を書いたり、専用紙上に図案化されている画像にチェックマークを記入したりすると、ペンの移動に伴って小型カメラが専用紙に印刷されたドットパターンを撮像し、プロセッサによって演算された連続する位置座標から、ユーザが書き込んだ文字、画像等の記入情報が認識される。そして、この記入情報が、データ通信ユニットによりアノトペンから近くのパーソナルコンピュータや携帯電話等のコンピュータ装置に送信される(例えば、特許文献1参照)。また、ドットパターンに対向する電子ペン1の角度に起因するドットの画像上の配列を補正する回転補正処理機能については、例えば特許文献2に記載されている。
【0003】
このような電子ペンやコンピュータ装置等で構成されるシステムを用いて、ユーザが、ノートに設けられた行確認マークを通る線を記入すると、サーバがその線に応じて段落エリアを設定する技術が、特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3842283号公報
【特許文献2】特表2003−529853号公報
【特許文献3】特開2009−151803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ノートの用紙にドットパターンを形成し、用紙に電子ペンで記入して、コンピュータ装置で記入したストロークを保存し管理したい場合に複数のノートが存在する場合、コンピュータ装置は、これらの複数のノートを適切に管理して、例えば電子ペンの記入対象はいずれのノートであるか等を適切に認識する必要がある。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、電子ペンによりノートに記入された内容を記憶するシステムにおいて、複数のノートを適切に管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るノート管理システムは、ページごとに異なるコード化パターンが形成された複数のノート用紙を有し、表紙に属性を識別するためのコード化パターンが設けられるノートと、コード化パターンを読み取り、コード化パターンに関する情報を記入情報として送信する電子ペンと、前記電子ペンから記入情報を受信して所定の処理を行うコンピュータ装置とを備えるノート管理システムであって、前記コンピュータ装置は、前記電子ペンから送信される記入情報を受信する通信手段と、前記属性を識別するためのコード化パターンが設けられた領域に、前記電子ペンによる記入の操作がなされることによって、前記通信手段により受信された記入情報に基づいて、前記属性に対応する情報をノートファイルに設定する属性設定手段と、前記属性設定手段により前記属性に対応する情報が設定された状態で、前記属性を識別するためのコード化パターンが前記電子ペンによって読み取られることによって前記通信手段に受信された前記記入情報に基づいて、前記属性を特定する属性特定手段と、前記ノート用紙に対して前記電子ペンによる記入の操作がなされることによって前記通信手段に受信された前記記入情報に基づいて、ストロークを描画するとともに、前記ストロークを、前記属性特定手段により特定された前記属性に対応する前記ノートファイルに記憶させるストローク描画手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、ユーザは、属性を識別するためのコード化パターンが設けられた領域に、電子ペンで記入すると、電子ペンは、記入に応じてコード化パターンを読み取り、コード化パターンに関する情報を記入情報として送信する。コンピュータ装置の通信手段は、電子ペンから送信される記入情報を受信し、属性設定手段は、その記入情報に基づいて、上記属性に対応する情報をノートファイルに設定する。さらに、ユーザは、属性を識別するためのコード化パターンを電子ペンに読み取らせると、電子ペンは、そのコード化パターンを読み取り、コード化パターンに関する情報を記入情報として送信する。コンピュータ装置の通信手段は、電子ペンから送信される記入情報を受信し、その記入情報に基づいて、上記属性を特定する。その後、ユーザが、ノート用紙に電子ペンで記入すると、電子ペンは、記入に応じてノート用紙に形成されたコード化パターンを読み取り、コード化パターンに関する情報を記入情報として送信する。コンピュータ装置の通信手段は、電子ペンから記入情報を受信し、ストローク描画手段は、その記入情報に基づいて、ストロークを描画するとともに、ストロークを、属性特定手段により特定された属性に対応する上記ノートファイルに記憶させる。したがって、ユーザは、属性に対応する情報を電子ペンで記入することでコンピュータ装置に設定することができるとともに、属性を識別するためのコード化パターンを電子ペンで読み取らせて、コンピュータ装置に属性を特定させて、その属性に対応するノートファイルにストロークを記憶させることができるため、複数のノートを適切に管理することができる。
【0009】
上記ノート管理システムにおいて、前記ノートには、複数の異なる属性を示すためのシールが貼付されており、各シールには、各々を識別するための文字又は記号と、属性に応じて異なるコード化パターンとが形成され、さらに前記属性に対応する情報を記入するための領域が設けられており、前記複数のシールから特定のシールを選択して前記表紙に貼付するとともに、前記領域に電子ペンで記入することで、当該ノートの属性が設定可能であるよう構成するとよい。
この構成により、ユーザは、ノートに貼付されている複数のシールから、シールに付されている文字又は記号を参照に区別して、特定のシールを選択して表紙に貼付するとともに、当該領域に電子ペンで属性に対応する情報を記入することで、当該ノートの属性に対応する情報をコンピュータ装置に設定することができる。また、コンピュータ装置に、ノートの属性を特定するために、ノートの表紙に貼付したシールに形成されたコード化パターンを電子ペンに読み取らせるとよい。
【0010】
上記ノート管理システムにおいて、記入文字に基づいてストロークを認識し、文字認識処理を施して文字情報を出力する文字認識手段をさらに備え、前記属性設定手段は、前記属性を識別するためのコード化パターンに対して前記電子ペンによる記入の操作がなされることによって、前記通信手段が受信した記入情報に基づいて前記文字認識手段から出力された文字情報を、前記属性に対応する情報として前記ノートファイルに設定するよう構成するとよい。
この構成により、ユーザが、属性を識別するためのコード化パターンに対して電子ペンで記入することによって、文字認識手段は、通信手段によって受信した記入情報に基づいて、ストロークを認識し、文字認識処理を施して文字情報を出力する。さらに、属性設定手段は、その文字情報を、属性に対応する情報としてノートファイルに設定する。したがって、属性を識別するためのコード化パターンに対して電子ペンで記入した文字が文字認識されて、属性に対応する情報としてノートファイルに設定することができる。
【0011】
また、上記ノート管理システムにおいて、前記ストローク描画手段は、描画したストロークをノート用紙のページに応じて前記ノートファイルに記憶させるよう構成するとよい。
この構成により、ストローク描画手段により描画されたストロークは、ノート用紙のページに応じてノートファイルに記憶されるため、ユーザが実際のノートと同じ感覚でノートファイルを利用することができる。
【0012】
また、上記ノート管理システムにおいて、前記コンピュータ装置は、前記属性特定手段によりノートの属性が特定されている状態で、前記通信手段により前記ノート用紙に係る記入情報を受信した場合に、前記ノート用紙のページに応じてノートファイルを開いてディスプレイに表示させ、前記属性特定手段によりノートの属性が特定されていない状態で、前記通信手段により前記ノート用紙に係る記入情報を受信した場合に、属性を識別するためのコード化パターンを前記電子ペンで読み取るよう促す出力をさせる情報処理手段をさらに備えるよう構成するとよい。
この構成により、属性特定手段によりノートの属性が特定されている状態で、ユーザがノート用紙に電子ペンで記入すると、通信手段はノート用紙に係る記入情報を受信し、情報処理手段は、ノート用紙のページに応じてノートファイルを開いてディスプレイに表示させる。その一方、属性特定手段によりノートの属性が特定されていない状態で、ユーザがノート用紙に電子ペンで記入すると、通信手段はノート用紙に係る記入情報を受信し、情報処理手段は、属性を識別するためのコード化パターンを電子ペンで読み取るよう促す出力をさせる。したがって、属性が特定されていない場合に、ユーザに、属性を識別するためのコード化パターンを電子ペンで読み取るよう促すことができる。
【0013】
また、本発明に係るプログラムは、上記ノート管理システムにおける前記コンピュータ装置として機能させることを特徴とする。このプログラムをコンピュータ装置にインストールして実行させることにより、ノート管理システムのコンピュータ装置を実現することができる。
【0014】
また、本発明に係るノートは、ページごとに異なるコード化パターンが形成された複数のノート用紙を有し、表紙に属性を識別するためのコード化パターンが設けられるノートであって、複数の異なる属性を示すためのシールが貼付されており、各シールには、各々を識別するための文字又は記号と、属性に応じて異なるコード化パターンとが形成され、さらに前記属性に対応する情報を記入するための領域が設けられており、前記複数のシールから特定のシールを選択して前記表紙に貼付するとともに、前記領域に電子ペンで記入することで、当該ノートの属性が設定可能であることを特徴とする。
この構成により、ユーザは、ノートに貼付されている複数のシールから、シールに付されている文字又は記号を参照に区別して、特定のシールを選択して表紙に貼付するとともに、当該領域に電子ペンで属性に対応する情報を記入することで、当該ノートの属性に対応する情報をコンピュータ装置に設定することができる。また、コンピュータ装置に、ノートの属性を特定するために、ノートの表紙に貼付したシールに形成されたコード化パターンを電子ペンに読み取らせるとよい。
【0015】
また、本発明に係るノートは、ページごとに異なるコード化パターンが形成された複数のノート用紙を有し、表紙に属性を識別するためのコード化パターンが設けられるノートであって、前記属性を識別するためのコード化パターンに電子ペンで記入することにより、その記入内容を、前記属性に対応する情報としてコンピュータ装置に設定することができ、前記属性に対応する情報が設定された状態で、前記属性を識別するためのコード化パターンを前記電子ペンに読み取らせることで、前記コンピュータ装置に前記属性を認識させ、前記ノート用紙に対して前記電子ペンによる記入の操作がなされることにより、その記入内容が、前記属性のノートに記入された内容として記憶されることを特徴とする。
この構成により、ユーザは、属性を識別するためのコード化パターンに電子ペンで記入して、属性に対応する記入内容を情報としてコンピュータ装置に設定し、コンピュータ装置に属性を認識させるとともに、ノート用紙に対して電子ペンによる記入の操作を行うことで、その記入内容を該当する属性のノートに記入された内容として記憶することができる。また、コンピュータ装置に、ノートの属性を識別するために、ノートの表紙に設けられたコード化パターンを電子ペンに読み取らせるとよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電子ペンによるノートの記載内容をストロークとして描画して、ノートファイルに格納するシステムにおいて、複数のノートの各々についての複数のノートファイルを適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態におけるノート管理システムのシステム構成図である。
【図2】本実施形態におけるノートの1枚目を開いた様子を示す模式図である。
【図3】本実施形態におけるノートの表紙の表面を示す模式図である。
【図4】ドットパターンにおけるドットの配置と変換される値との関係を示す説明図である。
【図5】(A)は、ドットパターンを模式的に示し、(B)は、それに対応する情報の例を示す図である。
【図6】電子ペンの構造を示す概略図である。
【図7】コンピュータ装置の機能ブロック図である。
【図8】コンピュータ装置の処理フローを示すフローチャートである。
【図9】コンピュータ装置の処理フローで出力手段に表示される画像の例を示す図である。
【図10】コンピュータ装置の処理フローで出力手段に表示される画像の例を示す図である。
【図11】コンピュータ装置の処理フローで出力手段に表示される画像の例を示す図である。
【図12】コンピュータ装置の処理フローで出力手段に表示される画像の例を示す図である。
【図13】ノートのノート用紙に電子ペンで記入される手書きのストロークの例を示す図である。
【図14】コンピュータ装置の処理フローで出力手段に表示されるストロークの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
[ノート管理システムの構成]
図1は、本実施形態に係るノート管理システム10の構成を示す。図1に示すように、本実施形態に係るノート管理システム10は、電子ペン1と、n冊のノート2−1〜2−nと、コンピュータ装置3とを有する。
なお、以下、ノート2−1〜2−nを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて単に「ノート2」と呼ぶ。
【0020】
ユーザは、ドットパターンが印刷されたノート2の各ページに対して、電子ペン1で手書きのストロークを記入することができる。電子ペン1からの記入情報は、Bluetooth(登録商標)により、コンピュータ装置3に無線送信される。なお、電子ペン1のさらなる詳細については、図6等を用いて後述する。
【0021】
コンピュータ装置3は、パーソナルコンピュータ(Personal computer)等で構成され、電子ペン1からの記入情報を受信すると、当該記入情報に基づいて、ノート2上に手書きで記入されているものと同様のストロークを描画して記録するとともに、出力手段31に表示させる。
【0022】
ここで、n冊のノート2−1〜2−nの所定ページの各々に対して、仮にユニークなドットパターンがそれぞれ印刷されている場合には、コンピュータ装置3は、手書きのストロークがノート2−1〜2−nのうちのいずれに記入されたのかを容易に認識することができる。ただし、この場合には、1冊のノート2が製作される度に、未だ割り当てられていないドットパターンの座標領域が新たに割り当てられることになる。このため、ノート2が製作されるごとに、未だ割り当てられていないドットパターンの座標領域が減少していくことになる。また、同一ページであっても、ノート2が異なれば、割り当てられたドットパターンが異なるため、ノート2ごとにドットパターンの座標領域を管理せねばならず、ノート2の製作数が増加する程、この管理が困難になっていく。
そこで、本実施形態では、未だ割り当てられていないドットパターンの座標領域の無用な減少を防止するとともに、ノート2に割り当てられたドットパターンの座標領域の管理を容易なものとすべく、図1に図示するノート2−1〜2−nも含め全てのノート2について、同一ページの同一位置には、同一のドットパターンが印刷されている。ただし、この場合、何らかの工夫がなされていなければ、コンピュータ装置3は、手書きのストロークがノート2−1〜2−nのうちのいずれに記入されたのかを認識することができない。
そこで、このような工夫として、本実施形態では、各ノート2−1〜2−nのそれぞれに対して、他のノート2との識別が容易に可能となるように、一意の属性(例えばユーザが受講する複数の科目のうち、任意の1つの科目)が設定される。ただし、ノート2に対して属性は予め設定されておらず、ユーザが所定のノート2を使用する際に、当該所定のノート2に対して所望の属性を与える。具体的には、当該所定のノート2には、ドットパターンが印刷されたシールが予め付加されており、ユーザは、当該シールに電子ペン1で所望の属性を示す内容を記入し、当該シールを当該所定のノート2の表紙等に貼り付けることで、当該所定のノート2に属性を与える。なお、シールへの記入と、シールの貼り付けとの順番は特に限定されない。
コンピュータ装置3は、このようにしてユーザにより与えられた属性を当該ノート2に対して設定し(より詳しくは、属性はシールに与えられ、結果として、当該シールが貼り付けられたノートにも同一の属性が設定されることになる)、その設定結果を保持する。これにより、コンピュータ装置3は、それ以降、当該ノート2を、他のノート2と区別して認識することができるようになる。
なお、如何にしてノート2を認識するのか等、コンピュータ装置3の具体的な処理については後述する。
【0023】
[ノート]
図2は、ノート2の表紙を開いた様子を示す模式図である。
ノート2においては、表紙21と、mページ分(mは1以上の整数値)のノート用紙24−1〜24−mとがその順番で積層するように結束されている。なお、kを1以上(m−1)以下の奇数とするならば、ノート用紙24−k,24−(k+1)の各々が、1枚の紙媒体(ドットパターン用紙)の表面と裏面にそれぞれ相当する。
ノート2の表紙21が開かれると、当該表紙21の裏面が左方に現れ、1ページ目のノート用紙24−1が右方に現れる。
図2に示すように、ノート2の表紙21の裏面(見返し)には剥離紙22が設けられており、この剥離紙22には、ユーザが属性を与えるために用いられる複数のシール23−1〜23−5が着脱自在に貼付されている。ここで、本実施形態では、ユーザは、とある学校の生徒であり、その学校の各授業の学習科目ごとにノート2−1〜2−nをそれぞれ用いるため、各授業の科目を属性として、ノート2−1〜2−nにそれぞれ与えるものとする。このため、シール23−1〜23−nを、以下、「科目シール23−1〜23−n」と呼ぶ。なお、本実施形態では、5枚の科目シール23−1〜23−5がノート2に用意されているが、これは例示であり、ノート2に用意される科目シールの枚数は特に限定されない。
科目シール23−1〜23−5の各々には、番号〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕の各々が付されている。ユーザは、これらの番号から科目シール23−1〜23−5の各々を一意に視認することができるので、科目シール23−1〜23−5のうち所望の番号が付されたものを、剥離紙22から剥がして、ノート2の表紙21の表面に貼り付けることができる。
【0024】
図3は、ノート2の表紙21の表面を示す模式図である。
図3の例では、番号〔1〕が付された科目シール23−1が、ノート2の表紙21に貼り付けられている。
【0025】
ここで、図3に示す科目シール23−1を含め、各科目シール23−1〜23−5には、それぞれユニークに形成されたドットパターン(コード化パターン)が印刷されている。なお、科目シール23に用いられる座標範囲のドットパターンは、ノート用紙24に用いられる座標範囲とは異なる座標範囲のドットパターンである。
このため、ノート2に貼り付けられた科目シール23−1が電子ペン1でタップ(ペン先による軽叩)されたならば、コンピュータ装置3は、タップにより電子ペン1から送信されてくる記入情報に基づいて、科目シール23−1がタップされたことを認識することができる。
【0026】
したがって、コンピュータ装置3は、科目シール23−1と、それが貼り付けられたノート2との対応関係を保持すれば、科目シール23−1がタップされると、それが貼り付けられたノート2を、他のノート2とは区別して認識することができるようになる。このような対応関係を構築するために、上述した「属性」、本実施形態では「科目」が用いられている。即ち、ユーザは、所望の科目(属性)を科目シール23−1に割り当て、当該科目シール23−1を、当該所望の科目の授業に用いるノート2に対して貼り付けることで、当該科目(属性)によって、科目シール23−1と、それが貼り付けられたノート2とが対応付けられる。
【0027】
このような科目(属性)の割り当てが可能となるように、科目シール23−1においては、番号〔1〕の右方に、電子ペン1による科目(属性)の記入が可能となるように、空欄(図2参照)が設けられている。
具体的には図3の例では、ユーザは、科目シール23−1が貼り付けられるノート2を、理科という科目の授業に用いる1冊目のノートであると決定すると、電子ペン1を用いて手書きで「理科No.1」というストローク群を記入する。ここで、同一の理科という科目であっても、1冊目と2冊目とでは、それぞれ違うノート2が用いられるため、これらを識別すべく、科目のみならず、何冊目という情報も「属性」の1種類として採用される。もちろん、理科のノートとして一冊で十分であれば、科目シール23−1に「理科」と電子ペンで記入してもよい。
【0028】
このようにして、電子ペン1により科目シール23−1に対してストローク群が記入されている間、当該電子ペン1からは各記入情報が逐次コンピュータ装置3に送信される。コンピュータ装置3は、これらの各記入情報を逐次受信し、当該各記入情報に基づいてストロークを描画し、さらに当該ストローク群に対して文字認識処理を施すことで、「理科No.1」という日本語の文字列を認識する。
そして、コンピュータ装置3は、「理科No.1」という日本語の文字列を、科目シール23−1の属性として設定する。
【0029】
ここで、詳細については後述するが、各ノート2のノート用紙24−1〜24−mに対しても、それぞれユニークなドットパターンが印刷されている。このため、コンピュータ装置3は、ノート2のノート用紙24−1〜24−mに対して電子ペン1で記入された内容をストロークとして描画することができるため、本実施形態では、これらのストロークをノート2の単位で保持するファイル(以下、「ノートファイル」と呼ぶ)を記憶する。
ただし、第pページ目(pは、1〜mの範囲内の任意の整数値)のノート用紙24−pに印刷されるドットパターンは、各ノート2−1〜2−nによらず同一である。このため、ノートファイルが単に作成されただけでは、当該ノートファイルが、各ノート2−1〜2−nのうちのいずれのものであるかが識別できる状態にない。
そこで、コンピュータ装置3は、科目シール23−1が貼り付けられたノート2についてのノートファイルに対して、科目シール23−1の属性、即ち「理科No.1」という属性を設定する。これにより、科目シール23−1と、それが貼り付けられたノート2とは、「理科No.1」という属性により対応づけられて、その対応関係がコンピュータ装置3により保持される。
なお、ノートファイルに対する属性の設定の手法は特に限定されないが、本実施形態では、科目シール23−1の属性、即ち「理科No.1」という日本語の文字列が、ノートファイルのファイル名の少なくとも一部に含まれることで、当該属性の設定がなされるものとする。
【0030】
このような属性の設定がなされた以降、ユーザは、科目シール23−1が貼り付けられたノート2を利用する際には、当該科目シール23を電子ペン1でタップする。すると、コンピュータ装置3は、タップにより電子ペン1から送信されてくる記入情報に基づいて、科目シール23−1の属性、即ち「理科No.1」という日本語の文字列を認識する。そして、コンピュータ装置3は、当該属性をファイル名に有するノートファイル、即ち科目シール23−1が貼り付けられたノート2についてのノートファイルを開き、当該ノートファイルに対して読み書きをする。
【0031】
なお、1冊目のノート2においては、科目シール23−1が用いられたので、2冊目の別のノート2においては、科目シール23−1とは異なる科目シール23−2〜23−5が科目を特定するシールとして用いられる。
【0032】
[ドットパターン]
続いて、科目シール23−1〜23−5及びノート用紙24−1〜24−mに形成されるアノト方式のドットパターン(コード化パターン)について説明する。
なお、以下、科目シール23−1〜23−5を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「科目シール23」と呼ぶ。同様に、ノート用紙24−1〜24−mを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「ノート用紙24」と呼ぶ。
【0033】
図4は、ドットパターンのドットとそのドットが変換される値との関係を説明する図である。図4に示すように、ドットパターンの各ドットは、その位置によって所定の値に対応付けられている。即ち、ドットの位置を格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右のどの方向にシフトするかによって、各ドットは、0〜3の値に対応付けられている。また、各ドットの値は、さらに、X座標用の第1ビット値及びY座標用の第2ビット値に変換できる。このようにして対応付けられた情報の組合せにより、科目シール23やノート用紙24上の位置座標が決定されるよう構成されている。
なお、上述したように本実施形態では、第pページ目にのノート用紙24−pに印刷されるドットパターンは、各ノート2−1〜2−nによらず同一であるため、各ノート2−1〜2−nの第pページ目における位置座標は、同一位置であれば同一になる。
【0034】
図5(A)は、あるドットパターンの配列を示している。図5(A)に示すように、縦横約2mmの範囲内に6×6個のドットが、科目シール23やノート用紙24上のどの部分から6×6ドットを取ってもユニークなパターンとなるように配置されている(ただし、本実施形態ではノート2−1〜2−nを含む全ノート2の同一ページには同一のドットパターンが配置されている)。これら36個のドットにより形成されるドットパターンは位置座標を保持している。図5(B)は、図5(A)に示す各ドットを、格子の基準位置からのシフト方向によって、図4に示す規則性に基づいて対応付けられた値に変換したものである。この変換は、ドットパターンの画像を撮影する電子ペン1によって行われる。
【0035】
[電子ペン]
次に電子ペン1について説明する。図6に示すように、電子ペン1は、その筐体101の内部に、インクカートリッジ104、LED105、CMOSカメラ106、圧力センサ107、CPU等により構成されるプロセッサ108、ROMやRAMといったメモリ109、リアルタイムクロック110、アンテナ等により構成される通信ユニット111及びバッテリー112を備える。インクカートリッジ104の先端は、インクを備えるペン先部103となっており、ユーザは、電子ペン1のペン先部103を科目シール23やノート用紙24上に当接させて、文字等のストローク(手書きのストローク)を記入したり、タップ(ペン先部103による科目シール23やノート用紙24への軽叩)したりする。ここで、電子ペン1のペン先部103が科目シール23やノート用紙24に接触することをペンダウンと呼び、接触している(当接している)状態からペン先部103が離れることをペンアップと呼ぶ。電子ペン1のペンダウンからペンアップまでの間に記入される軌跡が1つのストロークとなり、文字や図形等は、1つ又は複数個のストロークからなる。また、電子ペン1のペンダウンからペンアップまでにペン先部103から科目シール23やノート用紙24上に流出するインクにより、ストロークと略同一軌道の軌跡が科目シール23やノート用紙24上に描かれる。
【0036】
バッテリー112は、電子ペン1内の各部品に電力を供給するためのものであり、例えば電子ペン1のキャップ(図示せず)の脱着により電子ペン1自体の電源のオン/オフを行うよう構成させてもよい。リアルタイムクロック110は、現在時刻(タイムスタンプ)を示す時刻情報を発信し、プロセッサ108に供給する。圧力センサ107は、ユーザが電子ペン1により科目シール23やノート用紙24に文字やマークを書いたりタップしたりする際にペン先部103からインクカートリッジ104を通じて与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、その値をプロセッサ108へ伝送する。
【0037】
プロセッサ108は、圧力センサ107から与えられる筆圧データに基づいて、LED105及びCMOSカメラ106のスイッチのオン/オフを切替える。即ち、ユーザが電子ペン1で科目シール23やノート用紙24に文字等を書くと、ペン先部103に筆圧がかかり、圧力センサ107によって所定値以上の筆圧が検出されたときに、プロセッサ108は、ユーザが記入を開始したと判定して、LED105及びCMOSカメラ106を作動させる。そして、通信ユニット111が、圧力センサ107により検出されたペンダウン情報と、後述するペンIDとを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置3へ送信する。また、ユーザが1つのストロークを記入し終えて電子ペン1を科目シール23やノート用紙24から離すと、圧力センサ107は、所定値以上の筆圧が検出されなくなることでペンアップを検出する。すると、通信ユニット111が、圧力センサ107により検出されたペンアップ情報とペンIDとを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置3へ送信する。
【0038】
LED105とCMOSカメラ106は、電子ペン1のペン先部103付近に取り付けられており、筐体101におけるLED105及びCMOSカメラ106と対向する部分には、開口部102が形成されている。LED105は、科目シール23やノート用紙24上のペン先部103近傍に向けて赤外線を照明する。その領域は、ペン先部103が科目シール23やノート用紙24に接触する位置とはわずかにずれている。CMOSカメラ106には、赤外線を透過し赤外線以外を遮断する赤外線透過フィルタが設けられており、CMOSカメラ106は、LED105によって照明された領域内におけるドットパターンを撮影し、そのドットパターンの画像データをプロセッサ108に供給する。ここで、ドットのインク素材は、赤外線を吸収するため、LED105によって照射された赤外線は、ドットによって吸収される。そのため、ドットの部分は、赤外線の反射量が比較的少なく、ドット以外の部分は赤外線の反射量が比較的多い。CMOSカメラ106の撮影により、赤外線の反射量の違いから閾値を設けることによって、ドットの領域とそれ以外の領域を区別することができる。なお、CMOSカメラ106による撮影領域は、図5(A)に示すような約2mm×約2mmの大きさを含む範囲であり、CMOSカメラ106の撮影は毎秒50〜100回程度の定間隔で行われる。また、CMOSカメラ106は、ドットを鮮明に撮影するため、十分な被写界深度を有している。
【0039】
プロセッサ108は、ユーザの記入が行われる間、CMOSカメラ106によって供給される画像データのドットパターンから、ユーザが記入するストローク(筆跡)の科目シール23やノート用紙24上におけるX,Y座標(単に「位置座標」、「座標情報」とも呼ぶ)を連続的に演算していく。即ち、プロセッサ108は、CMOSカメラ106によって供給される、図5(A)に示されるようなドットパターンの画像データを図5(B)に示すデータ配列に変換し、さらに、X座標ビット値・Y座標ビット値に変換して、そのデータ配列から所定の演算方法によりX,Y座標データを演算する。なお、プロセッサ108は、ドットパターンに対向する電子ペン1の角度に起因するドットの画像上の配列を補正する回転補正処理機能を備えており、座標演算の際、その機能を実行させる。そして、プロセッサ108は、リアルタイムクロック110から発信される現在時刻(タイムスタンプ:記入された時刻情報)、筆圧データ及びX,Y座標データを関連付ける。以後、これらの関連付けたデータを、まとめて「座標属性情報」と呼ぶ。なお、科目シール23−1〜23−5の各々における6×6のドットパターンは、他の科目シール23やノート用紙24内で重複することはないため、ユーザが、科目シール23−q(qは、1〜5のうちの任意の整数値)を電子ペン1でタップしたり文字等を記入すると、タップ又は記入された位置が、科目シール23−1〜23−5のうち、科目シール23−qであって、かつ、科目シール23−qのどの位置に当たるかを、プロセッサ108による座標演算により特定することができる。同様に、ノート2のノート用紙24−1〜24−mにおける6×6のドットパターンは、他のページのノート用紙24及び科目シール23内で重複することはないため、ユーザが、第pページ目のノート用紙24−pにタップしたり電子ペン1で文字等を記入すると、記入された位置が、第pページ目のノート用紙24−pであって、かつ、第pページ目のノート用紙24―p内のどの位置に当たるかを、プロセッサ108による座標演算により特定することができる。
【0040】
ただし、本実施形態では、上述したように、各ノート2−1〜2−nによらず、第pページ目のノート用紙24−pには同一のドットパターンが印刷されている。このため、電子ペン1による記入対象が第pページであることまでは、プロセッサ108による座標演算により特定することができるが、その第pページは各ノート2−1〜2−nのうちのいずれのものなのかについて、プロセッサ108による座標演算により特定することができない。
そこで、ユーザは、記入対象の所定のノート2をコンピュータ装置3に特定させるために、当該所定のノート2に貼り付けられた科目シール23を電子ペン1でタップする。
即ち、上述したように、科目シール23の空欄に電子ペン1で記入された内容、より詳細には当該内容の文字認識結果(図3の例では「理科No.1」という日本語の文字列)が、当該科目シール23及びそれが貼り付けられた所定のノート2の属性として設定されている。即ち、当該属性により、当該科目シール23とそれが貼り付けられた所定のノート2とは関連付けられている。
このため、当該属性を有する科目シール23が電子ペン1でタップされると、コンピュータ装置3は、当該属性により関連付けられた所定のノート2を特定することができる。その後、ユーザがノート用紙24−pに電子ペン1で文字等を記入すると、コンピュータ装置3は、記入された位置が、所定のノート2におけるノート用紙24―p内のどの位置に当たるかを特定することができる。
【0041】
メモリ109には、電子ペン1を識別するための「pen01」といったペンID、ペン製造者番号、ペンソフトウェアのバージョン等のプロパティ情報が記憶されている。そして、通信ユニット111は、ペンIDと、座標属性情報(時刻情報と、筆圧データと、X、Y座標データ)とを関連付けて、記入情報としてコンピュータ装置3へ送信する。通信ユニット111によるコンピュータ装置3への送信は、Bluetooth(登録商標)等の無線送信によって、即時的かつ逐次的に行われる。ここで、電子ペン1のペンダウンからペンアップまでの間に生成されてコンピュータ装置3に送信された1個又は複数個の記入情報(座標属性情報)は、コンピュータ装置3によりストローク情報として記憶される。換言すると、1つのストロークは、1個又は複数個のX,Y座標(座標点)に基づいて描画されるため、コンピュータ装置3は、ペンダウン情報及びペンアップ情報によって、1つのストロークを描画するために必要な1個又は複数個の座標属性情報を認識する。このように、ユーザの1つのストロークの記入により、電子ペン1によって生成される座標属性情報の集合を「ストローク情報」と呼ぶ。また、ペン先部103は、筆圧をインクカートリッジ104を介して圧力センサ107に伝達する。
【0042】
[コンピュータ装置の構成]
次に、コンピュータ装置3の構成について説明する。
コンピュータ装置3は、ハードウェアとして、電子ペン1とのデータ通信が可能なアンテナ装置、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリ、ディスプレイ、マウスやキーボード等を含むパーソナルコンピュータ等で構成される。
【0043】
図7は、コンピュータ装置3の機能ブロック図である。コンピュータ装置3は、機能的には、出力手段31、入力手段32、通信手段33、記憶手段34及び処理手段35を備える。そして、コンピュータ装置3は、電子ペン1から受信した記入情報に基づいて所定の処理を行う。
【0044】
出力手段31は、ディスプレイやスピーカ等によって構成され、処理手段35によって指示された内容を画像として表示したり、音声として発声したりする。
入力手段32は、マウスやキーボード等により構成され、ユーザの操作に応じた各種情報を入力して、処理手段35に供給する。
通信手段33は、アンテナ受信回路等により構成され、電子ペン1から記入情報等を受信し、処理手段35に伝送する。
【0045】
記憶手段34は、ハードディスクやROM、RAMといったメモリによって構成される。記憶手段34は、処理手段35の処理命令により、電子ペン1から受信した記入情報をペンIDごとに記憶する他、ノート2の科目シール23の属性や、当該属性が設定されたノートファイル等の各種情報を記憶する。また、記憶手段34は、本ノート管理システム10で使用するプログラムや辞書データベース、ノート2の科目シール23やノート用紙24に形成されたドットパターンの位置座標に関する座標定義情報等を予め記憶している。そのため、ノートファイルには、ノート2のページ数に合わせてページが用意される。
【0046】
処理手段35は、各手段31〜手段34を制御して各種情報を授受することで、各種の処理を実行する。処理手段35は、主に、情報処理手段351、ストローク描画手段352、文字認識手段353、属性設定手段354、及び属性特定手段355により構成される。
【0047】
情報処理手段351は、後述するす各手段352〜355により実行される処理を除く、処理手段35にとって必要な各種情報処理一般を実行する。例えば、情報処理手段351は、電子ペン1から送信される記入情報を通信手段33を介して受信し、受信した記入情報を記憶手段34に記憶させる。
【0048】
ストローク描画手段352は、ノート用紙24に記入することで電子ペン1から送信されて通信手段33によって受信された記入情報を、例えばストローク情報の単位で用いることによって、ストロークを描画する。そして、ストローク描画手段352は、必要に応じて、当該ストロークを出力手段31のディスプレイに表示させる。
【0049】
文字認識手段353は、科目シール23に記入することで電子ペン1から送信されて通信手段33によって受信された記入情報に基づいて、ストロークを認識し、文字認識処理を施し、その文字認識の結果として、所定の国語(本実施形態では日本語)の文字列(テキスト情報)を示す情報(以下、「文字情報」と呼ぶ)を出力する(図3の例では、「理科No.1」という日本語の文字列)。
【0050】
属性設定手段354は、文字認識手段353から出力された文字情報に基づいて、ノート2の科目シール23の属性を設定する。具体的には、属性設定手段354は、文字情報が示す文字列によって、科目名や、事業のプロジェクト名等の属性を科目シール23に対して設定し、その設定結果を記憶手段34に記憶させる。
さらに、属性設定手段354は、当該科目シール23が貼り付けられたノート2についてのノートファイルに対しても、当該属性を設定する。なお、ノートファイルに対する属性の設定タイミングは、特に限定されないが、本実施形態ではノートファイルの作成時であるものとする。属性設定手段354のノートファイルに対する属性の設定方法としては、ファイル名を、文字認識手段353から出力された文字情報とするとよい。
このように、ノート2に設けられた科目シール23−1〜23−5のうち、特定の科目シール23(図3の例では科目シール23−1)に対し電子ペン1により記入の操作がなさると、属性設定手段354により、特定された当該科目シール23に対して所定の属性が設定される。即ち、ユーザは、当該科目シール23に対し電子ペン1による記入の操作をするだけで、様々な種別の属性(例えばユーザが受講する複数の科目のうち、任意の1つの科目、あるいはその科目のうちのノート番号)を当該科目シール23に自在に割り当てることができる。この場合、属性設定手段354により、その割り当てられた所定の属性が、当該科目シール23に設定される。
【0051】
そして、ユーザが、所定の属性が設定された科目シール23をノート2に貼り付けて、当該科目シール23を電子ペン1によりタップすると、属性特定手段355が機能する。
即ち、属性設定手段354により所定の属性が設定された科目シール23をノート2に貼り付けた後、当該科目シール23に対して電子ペン1によるタップの操作がなされると、属性特定手段355は、電子ペン1から送信され通信手段33によって受信された記入情報に基づいて、設定された属性を特定する。
【0052】
その後、ユーザが、電子ペン1により当該ノート2に記入の操作をすると、その記入の内容を示すストロークが、当該科目シール23が貼り付けられたノート2に記入された内容として、当該ノート2についてのノートファイルに含められて記憶される。
【0053】
[コンピュータ装置の処理フロー]
次に、図8を参照して、コンピュータ装置3の処理フローについて説明する。
【0054】
先ず前提事項として、コンピュータ装置3の記憶手段34には、ユーザが用いる電子ペン1のペンIDが「登録ペンID」として予め記憶されているものとする。即ち、コンピュータ装置3は、ユーザの近傍で用いられる他のユーザが用いている別の電子ペン1からの記入情報も受信する可能性があるため、登録ペンIDを含む記入情報(以下、「登録ペンIDの記入情報」と呼ぶ)のみを有効なものとして利用することを前提とする。
このような前提の下、初めに、ユーザが、所定のノート2の科目シール23やノート用紙24に対して、電子ペン1でタップしたり手書きのストロークを記入すると、電子ペン1は、生成した記入情報をコンピュータ装置3へ送信する。具体的には、電子ペン1は、ペンダウン時には、ペンダウン情報及びペンID(登録ペンID)を関連付けた記入情報を生成して、生成した記入情報をコンピュータ装置3へ送信する。電子ペン1は、ストロークの記入等により電子ペン1の科目シール23やノート用紙24への当接状態が継続すると、ドットパターンを撮像して演算した座標情報を含む座標属性情報と、ペンID(登録ペンID)とを関連付けた記入情報を連続的に生成して、コンピュータ装置3へ逐次送信する。電子ペン1は、ペンアップ時には、ペンアップ情報及びペンID(登録ペンID)を関連付けた記入情報を生成してコンピュータ装置3へ送信する。
【0055】
コンピュータ装置3では、通信手段33が、電子ペン1との通信可能状態となったことを契機として1回目の処理が開始され、それ以降、登録ペンIDの記入情報が電子ペン1から送信されてくるごとに繰り返して処理が実行される。
処理手段35の情報処理手段351は、電子ペン1から送信された、登録ペンIDの記入情報を、通信手段33に受信させて、記憶手段34に記憶させる(ステップS1)。
【0056】
次に、属性特定手段355は、ステップS1の処理で受信された登録ペンIDの記入情報に基づき、電子ペン1により記入又はタップされた対象が、科目シール23であるのか、それとも、ノート用紙24であるのかを特定する(ステップS2)。
属性特定手段355は、電子ペン1により記入又はタップされた対象がノート用紙24であると判定した場合(ステップS2:ノート用紙)、処理をステップS8に進める。ただし、ステップS8以降の処理については後述する。
これに対して、属性特定手段355は、電子ペン1により記入又はタップされた対象が科目シール23であると判定した場合(ステップS2:科目シール)、処理をステップS3に進める。
【0057】
属性設定手段354は、ステップS2において特定されたその科目シール23に科目等の属性が設定されているか否かを判別する(ステップS3)。
属性設定手段354は、その科目シール23に科目等の属性が設定されていないと判別した場合(ステップS3:NO)、処理をステップS4に進める。
【0058】
情報処理手段351は、ステップS2において特定されたその科目シール23に科目等の属性を記入して設定するか否かを判断する(ステップS4)。
即ち、情報処理手段351は、その科目シール23に科目等の属性を記入して設定するか否かをユーザに対して問い合わせるための画像を出力手段31のディスプレイに表示させる。具体的には、図9に示すように、情報処理手段351は、「ノートの科目を設定しますか?」といったメッセージを含む画像を出力手段31のディスプレイに表示させる。
【0059】
図9は、ステップS4の処理で出力手段31のディスプレイに表示される画像の例を示している。
図9(A)に示すように、科目シール23に科目等の属性が記入されておらず、属性が何ら設定されていない状態(ステップS3:NO)で、ユーザが科目シール23に電子ペン1でタップすると、図9(B)に示すように、コンピュータ装置3の出力手段31には、「ノートの科目を設定しますか?」といったメッセージを含む画像が表示される。
ここで、本実施形態では、入力手段32の一構成要素としてタッチパネルが、出力手段31のディスプレイに積層するように配置されている。このため、図9(B)に示すように、「ノートの科目を設定しますか?」といったメッセージの下方には、ユーザのタッチパネルに対する入力操作を受け付けるように、「はい」及び「いいえ」のアイコンが表示される。
ユーザが「いいえ」のアイコン(より正確には、タッチパネル内の当該アイコンに相当する位置)を指や電子ペン1でタッチすると、情報処理手段351は、「いいえ」のアイコンが選択されたと認識し、その科目シール23に科目等を記入して設定することをユーザが行わないと判断して(ステップS4:NO)、コンピュータ装置3による処理を終了させる。
これに対して、ユーザが「はい」のアイコン(より正確には、タッチパネル内の当該アイコンに相当する位置)を指や電子ペン1でタッチすると、情報処理手段351は、「はい」のアイコンが選択されたと認識し、その科目シール23に科目等を記入して設定することをユーザが行うと判断して(ステップS4:YES)、処理をステップS5に進める。
【0060】
ユーザは、「はい」のアイコンをタッチした後、電子ペン1を用いて、その科目シール23の空欄に科目等を示す手書きのストロークを記入する。情報処理手段351は、この間に電子ペン1から逐次送信されてくる記入情報を通信手段33を介して受信する。文字認識手段353は、これらの記入情報に基づいて、その科目シール23へのストロークを認識し、その科目シール23へのストロークに対して文字認識処理を施し、属性設定手段354は、当該文字認識の結果を科目等の属性として、その科目シール23に対して設定する(ステップS5)。これにより、コンピュータ装置3による処理は終了になる。
【0061】
なお、ユーザが、図9に示す「はい」のアイコンをタッチした後、電子ペン1を用いて、その科目シール23の空欄に手書きのストロークを記入した場合、科目等の属性が誤まって設定されるおそれがある。このようなおそれを防止すべく、ステップS5による科目等の属性の設定の前に、情報処理手段351は、図10に示すような確認画像を出力手段31に表示させてもよい。
【0062】
図10は、ステップS5の処理中に出力手段31に表示される画像の例を示している。
ステップS2において特定されたその科目シール23が科目シール23−1であり、図10(A)に示すように、ユーザが、電子ペン1を用いて、科目シール23−1の空欄に「理科No.1」という手書きのストロークを記入したものとする。
この場合、情報処理手段351は、この間に電子ペン1から逐次送信されてくる記入情報を通信手段33を介して受信する。文字認識手段353は、これらの記入情報に基づいて、ストロークを認識し、当該ストロークに対して文字認識処理を施することにより、「理科No.1」という日本語の文字列を示す文字情報を情報処理手段351に供給する。
情報処理手段351は、当該文字情報に基づいて、図10(B)に示すように、「ノートの科目は、〔1〕「理科No.1」でよろしいですか?」といったメッセージを含む確認画像を、コンピュータ装置3の出力手段31に表示させる。
このメッセージの下方には、ユーザのタッチパネルに対する入力操作を受け付けるように、「はい」及び「取止める」のアイコンが表示される。
ユーザが「取止める」のアイコン(より正確には、タッチパネル内の当該アイコンに相当する位置)を指や電子ペン1でタッチすると、情報処理手段351は、「取止める」のアイコンが選択されたと認識し、属性設定手段354による処理を中止する。
これに対して、ユーザが「はい」のアイコンを指や電子ペン1でタッチすると、情報処理手段351は、「はい」のアイコンが選択されたと認識し、属性設定手段354による処理を許可する。すると、属性設定手段354は、「理科No.1」という日本語の文字列を科目等の属性として、その科目シール23−1に対して設定するとともに、その科目シール23用のノートファイルに「理科No.1」という文字列を登録する。これにより、ステップS5が終了し、コンピュータ装置3による処理も終了となる。
なお、図10には図示しないが、ユーザの便宜のため、「修正する」のアイコンをさらに含めるようにしてもよい。この場合、ユーザが「修正する」のアイコンを指や電子ペン1でタッチすると、情報処理手段351は、「修正する」のアイコンが選択されたと認識し、属性設定手段354による処理を中止する。そして、ユーザが電子ペン1で別の科目シール23−2(科目シール23−1に記入された「理科No.1」というインクの文字が消去可能ならば、科目シール23−1でもよい)を新たな科目シール23として用いて、新たな内容を記入するまでの間、処理を待機する。
その後、ユーザは、新たな科目シール23に対して新たな内容を記入した後、「はい」のアイコンを指や電子ペン1でタッチすると、情報処理手段351は、「はい」のアイコンが選択されたと認識し、属性設定手段354による処理を許可する。すると、属性設定手段354は、新たな内容を科目等の属性として、新たな科目シール23に対して設定する。これにより、ステップS5が終了し、コンピュータ装置3による処理も終了となる。
【0063】
このようにして科目等の属性が科目シール23に設定された後、その科目シール23が電子ペン1により再度タップされると、コンピュータ装置3による処理が再度開始され、ステップS1、ステップS2:科目シール、及びステップS3:YESの処理が実行された後に、処理はステップS6に進む。
属性特定手段355は、ステップS2において特定されたその科目シール23について、それに設定されている科目等の属性を特定する(ステップS6)。
さらに、属性特定手段355は、当該科目等の属性を有するノートファイルを特定する。
情報処理手段351は、このようにして特定されたノートファイルを開く(ステップS7)。
なお、ステップS6において特定された科目等の属性を有するノートファイルが存在しない場合、ステップS7の処理の前に、情報処理手段351は、新たなノートファイルを作成する。属性設定手段354は、当該新たなノートファイルに対して、ステップS6において特定された科目等の属性を設定する。そして、情報処理手段351は、ステップS7の処理として、当該新たなノートファイルを開く。
これにより、コンピュータ装置3による処理が終了する。
【0064】
なお、ステップS7の処理の前に、情報処理手段351は、ステップS6の処理で特定された科目等の属性でよいか否かを確認すべく、上述した図10(B)に示すような確認画像を出力手段31に表示させるようにしてもよい。この場合、「はい」のアイコンが選択された場合には、処理はステップS7に進み、「取止める」のアイコンが選択された場合には、ステップS7の処理は実行されずに、コンピュータ装置3による処理が終了になる。
【0065】
また、ステップS7の処理によってノートファイルが開かれた場合、情報処理手段351は、図11に示すような画像を出力手段31に表示させるとよい。
図11は、ノートファイルが開かれた直後に出力手段31に表示される画像の例を示している。
図11(A)に示すように、ノート2の表紙21には科目シール23−1が貼り付けられており、当該科目シール23−1、及びそれが貼り付けられたノート2についてのノートファイルには、「理科No.1」という科目等が属性として既に設定されているものとする。
この状態で、ユーザが科目シール23−1に対して電子ペン1でタップすると、上述したように処理はステップS7に進み、「理科No.1」という科目等が属性として既に設定されているノートファイルが開くとともに、コンピュータ装置3の出力手段31には、図11(B)に示すような画像が表示される。この画像には、「理科No.1」という日本語の文字列が含まれている。したがって、ユーザは、この図11(B)のような画像を視認することにより、これから用いるノート2には、「理科No.1」という科目等が属性として設定されていることを容易に確認できる。
【0066】
以上、ユーザの電子ペン1による操作対象が科目シール23の場合における、コンピュータ装置3による処理について説明した。
次に、ユーザの電子ペン1による操作対象がノート用紙24の場合における、コンピュータ装置3による処理について説明する。この場合、コンピュータ装置3による処理が開始されると、ステップS1、ステップS2:ノート用紙、の処理が実行された後に、処理はステップS8に進む。
【0067】
属性特定手段355は、ステップS6の処理により、科目が特定されているか否かを判別する(ステップS8)。
前回までのコンピュータ装置3による処理で、ステップS6の処理が未だ実行されていない場合、科目が特定されていないと判断され(ステップS8:NO)、処理はステップS9に進む。
情報処理手段351は、科目を指定するようなアラーム表示又は音声を出力手段31から出力させる(ステップS9)。これにより、コンピュータ装置3による処理は終了となる。
【0068】
図12は、ステップS9の処理で情報処理手段351が出力手段31に表示させる画像の例を示している。
科目が特定されていない状態で、ユーザがノート用紙24に電子ペン1でタップしたり手書きのストロークを記入すると、上述したように処理はステップS9に進み、図12に示すように、コンピュータ装置3の情報処理手段351は、出力手段31のディスプレイには、「ノートの科目を指定してください」といったメッセージを含むアラーム画像を表示させる。この時、コンピュータ装置3の情報処理手段351は、出力手段31のスピーカから、「ノートの科目を指定してください」といったアラーム音声を発声させてもよい。
【0069】
これに対して、前回までのコンピュータ装置3による処理で、ステップS6の処理が実行された後、即ち、科目が特定された後に、ユーザがノート用紙24に電子ペン1でタップしたり手書きのストロークを記入すると、ステップS8においてYESであると判断された後に、処理はステップS10に進む。
【0070】
情報処理手段351は、ノート2についてのノートファイルにおいて、ステップS1で受信した記入情報により特定されるページを開いているか否かを判別する(ステップS10)。ここで、ノートファイルは、ノート2の各ページ単位で読み書き可能に構成されている。後述する図14に示すように、ノートファイルにおいて開かれているページ、即ち読み書き対象となっているページを示す画像は、出力手段31に表示される。なお、図14のように、画像は、ノート2を開いているように見開きの状態で表示されるとよい。
したがって、情報処理手段351は、ノートファイルにおいて読み書き対象となっているページが開かれていないと判断した場合、図11(B)に示すような画像が出力手段31に表示されていると判断した場合や、ステップS1で受信した記入情報により特定されるページとは異なるページが開かれていると判断した場合(ステップS10:NO)、ステップS1で受信した記入情報に基づきノート用紙24のページを特定して、当該ページを開く(ステップS11)。これにより、処理はステップS12に進む。
これに対して、ノートファイルにおいて、ステップS1で受信した記入情報により特定されるページ(読み書き対象となっているページ)が既に開いている場合、後述する図14に示すような画像が出力手段31に表示されている場合、情報処理手段351は、当該ページが開かれていると判断して(ステップS10:YES)、ステップS11の処理を実行せずに、処理をステップS12に進める。
【0071】
ストローク描画手段352は、記入情報から特定されるストロークを、開かれたページに描画し、記憶手段34内のノートファイルに記憶(上書き)させる(ステップS12)。これにより、コンピュータ装置3による処理は終了となる。
【0072】
図13は、ノート2のノート用紙24に電子ペン1で記入される手書きのストロークの例を示している。
図13に示すように、ユーザが所定のノート用紙24に対して、「消化液 酵素」、「だ液 アミラーゼ」、「胃液 ペプシン」といった各種のストローク群を電子ペン1で記入することができる。この間、電子ペン1は、各記入情報を逐次コンピュータ装置3に送信する。
【0073】
図14は、ステップS12の処理でコンピュータ装置3の出力手段31に表示されるストロークの例を示している。
コンピュータ装置3の情報処理手段351は、図13に示すように電子ペン1でノート用紙24に対して手書きのストロークが記入されている間、逐次送信されてくる各記入情報を通信手段33を介して受信する。
コンピュータ装置のストローク描画手段352は、このような各記入情報を例えばストローク情報の単位で用いて、各ストロークを描画し、ノートファイルに記憶させる(ステップS12)とともに、図14に示すような画像を出力手段31に表示させる。
具体的には、ユーザによりノート用紙24に対して電子ペン1で記入された手書きのストローク(図13参照)に対応して、出力手段31には、「消化液 酵素」、「だ液 アミラーゼ」、「胃液 ペプシン」といったストロークが、ノート用紙24の記載位置に対応する位置に配置された画像が表示される。
【0074】
[本実施形態による作用効果]
以上説明したように本実施形態によれば、ユーザは、ノート2の表紙の裏面(見返し)に貼付された複数の科目シール23(図2参照)から、1つの科目シール23を選択して、ノート2として利用したい科目名を電子ペン1で記入する(図9、図10)。この場合、ノート番号を書き添えてもよい。これにより、選択された科目シール23に対して、科目(属性)がコンピュータ装置3に設定される(図10参照)。さらに、ユーザは、科目名を記入した科目シール23を剥がし、ノート2の表紙に貼付する(図3参照)。そして、ユーザは、そのノート2にその科目について記入する前に、表紙に貼付した科目シール23に形成されたドットパターンを電子ペン1に読み取らせて、コンピュータ装置3に、設定されたノートの科目(属性)を認識させる(図11参照)。そのうえで、ノート2のノート用紙24に電子ペン1で記入することによって、ノート用紙24に記入したストロークを、電子データとして、記入したノート用紙24のページに合わせて、コンピュータ装置3に描画させ表示させることができるとともに、記憶させることができる(図13、図14参照)。したがって、ユーザは、実際のノート2と同じ感覚で、コンピュータ装置3のノートファイルに、記入内容を描画、記憶させることができる。
ここで、ユーザは、ノート2ごとに、異なる科目シール23(付された番号が異なるもの)を利用して、電子ペン1で科目名を記入することにより、コンピュータ装置3に科目(属性)を設定させて、ノート2の表紙に科目シール23を貼付し、そのノート2にその科目について記入する前に、科目シール23に形成されたドットパターンを電子ペン1に読み取らせて、コンピュータ装置3に、ノートの科目を認識させるため、ノート2のノート用紙24においてページが同じであれば同じ座標範囲のドットパターンが形成されていても、コンピュータ装置3は、設定された科目(属性)の違いによって、ノート2を識別することができる。
また、ユーザは、科目シール23に対して、科目名に限らず、任意の属性を表す用語を記入して、コンピュータ装置3に属性を設定することができ、便宜である。
また、ノート2の利用前に、科目シール23のドットパターンが電子ペン1によって読み取られずに科目(属性)が特定されていない状態であると、ノート用紙24に電子ペン1で記入しようとしても、科目を特定するようコンピュータ装置3が促す出力をするため(図12参照)、利用しやすい。
【0075】
[変形例]
なお、本発明は、上記実施形態に限られない。
上記実施形態においては、属性設定手段354は、当該文字認識の結果を科目等の属性として、その科目シール23に対して設定しているがこれに限られるものではない。例えば、属性設定手段354は、文字認識の結果の属性として、ユーザの「学年」や、業務の「プロジェクト名」を属性として設定してもよい。
「学年」が属性として設定される場合には、コンピュータ装置3側の記憶手段34に複数のフォルダ(記憶領域)が設けられる。そして、情報処理手段351は、「学年」のフォルダを特定(アクティブ)にし、特定したフォルダにおいて、ノートファイルの記憶(上書き)を行うようにすることができる。
なお、「学年」を属性として設定し特定した場合には、情報処理手段351は、毎年特定の月日(例えば、4月1日など期の変わり目)に、特定したフォルダとは異なるフォルダを新たに生成する。そして、情報処理手段351は、当該フォルダ内において、ノートファイルの記憶(上書き)を行うようにすることが好適である。
【0076】
また、上記実施形態では、ノート2の表紙の裏面(見返し)に貼付されている、異なる番号が付された複数の科目シール23から、1つの科目シール23を選択して剥がし、ノート2の表紙に貼付した。その代わりに、ノート2ごとに、表紙に、ノート2を識別できるように異なる番号が付され、その番号に応じたドットパターンが形成されたエリアを設け、そのエリアに、電子ペン1で科目名を記入できるようにしてもよい。もちろん、番号の代わりに、記号等を付してもよい。また、記入する内容は、科目に、「ノート番号」や「学年」を付加してもよく、科目名の代わりに、「プロジェクト名」を記入してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、ユーザにより、第pページ目のノート用紙24−pにタップしたり電子ペン1で文字等を記入することにより、第pページ目のノート用紙24−pが特定され、コンピュータ装置3において、該当するページが開かれて表示されている。これに加えて、コンピュータ装置3のタッチパネル上を指で移動させてページをめくる操作を検出して、めくられたページを開いて表示するようにしてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、電子ペン1を用いる対象は、ノート2とされたが、特にこれに限られず、アノト式のドットパターンが印刷された任意の書き込み媒体であればよい。また、コード化パターンや、記入情報、電子ペンは、アノト方式に限られなくともよい。
【0079】
また、上記実施形態では、科目シール23に対する属性の設定は、当該科目シール23に電子ペン1で記入された内容を示すストロークが文字認識された結果得られる文字情報に基づいて行われたがこれに限らない。例えば、ユーザは、科目シール23に対して文字列以外の絵やシンボル等を電子ペン1で記入することができる。この場合、所定科目シール23に対する属性の設定は、当該所定科目シール23に電子ペン1で記入された内容を示すストローク自体に基づいて行われる。また、科目シール23に対して電子ペン1で記入するストロークが文字であっても、文字認識処理を施さずに、属性を文字を描いたストローク(イメージデータ)としてもよい。
【0080】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
【0081】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【符号の説明】
【0082】
1…電子ペン
2…ノート
21…表紙
22…剥離紙
23…科目シール
24…ノート用紙
3…コンピュータ装置
10…ノート管理システム
31…出力手段
32…入力手段
33…通信手段
34…記憶手段
35…処理手段
351…情報処理手段
352…ストローク描画手段
353…文字認識手段
354…属性設定手段
355…属性特定手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ページごとに異なるコード化パターンが形成された複数のノート用紙を有し、表紙に属性を識別するためのコード化パターンが設けられるノートと、
コード化パターンを読み取り、コード化パターンに関する情報を記入情報として送信する電子ペンと、
前記電子ペンから記入情報を受信して所定の処理を行うコンピュータ装置とを備えるノート管理システムであって、
前記コンピュータ装置は、
前記電子ペンから送信される記入情報を受信する通信手段と、
前記属性を識別するためのコード化パターンが設けられた領域に、前記電子ペンによる記入の操作がなされることによって、前記通信手段により受信された記入情報に基づいて、前記属性に対応する情報をノートファイルに設定する属性設定手段と、
前記属性設定手段により前記属性に対応する情報が設定された状態で、前記属性を識別するためのコード化パターンが前記電子ペンによって読み取られることによって前記通信手段に受信された前記記入情報に基づいて、前記属性を特定する属性特定手段と、
前記ノート用紙に対して前記電子ペンによる記入の操作がなされることによって前記通信手段に受信された前記記入情報に基づいて、ストロークを描画するとともに、前記ストロークを、前記属性特定手段により特定された前記属性に対応する前記ノートファイルに記憶させるストローク描画手段と
を備えることを特徴とするノート管理システム。
【請求項2】
前記ノートには、複数の異なる属性を示すためのシールが貼付されており、各シールには、各々を識別するための文字又は記号と、属性に応じて異なるコード化パターンとが形成され、さらに前記属性に対応する情報を記入するための領域が設けられており、
前記複数のシールから特定のシールを選択して前記表紙に貼付するとともに、前記領域に電子ペンで記入することで、当該ノートの属性が設定可能であることを特徴とする請求項1に記載のノート管理システム。
【請求項3】
記入文字に基づいてストロークを認識し、文字認識処理を施して文字情報を出力する文字認識手段をさらに備え、
前記属性設定手段は、前記属性を識別するためのコード化パターンに対して前記電子ペンによる記入の操作がなされることによって、前記通信手段が受信した記入情報に基づいて前記文字認識手段から出力された文字情報を、前記属性に対応する情報として前記ノートファイルに設定することを特徴とする請求項1又は2に記載のノート管理システム。
【請求項4】
前記ストローク描画手段は、描画したストロークをノート用紙のページに応じて前記ノートファイルに記憶させることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のノート管理システム。
【請求項5】
前記コンピュータ装置は、
前記属性特定手段によりノートの属性が特定されている状態で、前記通信手段により前記ノート用紙に係る記入情報を受信した場合に、前記ノート用紙のページに応じてノートファイルを開いてディスプレイに表示させ、前記属性特定手段によりノートの属性が特定されていない状態で、前記通信手段により前記ノート用紙に係る記入情報を受信した場合に、属性を識別するためのコード化パターンを前記電子ペンで読み取るよう促す出力をさせる情報処理手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のノート管理システム。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の前記ノート管理システムにおける前記コンピュータ装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
ページごとに異なるコード化パターンが形成された複数のノート用紙を有し、表紙に属性を識別するためのコード化パターンが設けられるノートであって、
複数の異なる属性を示すためのシールが貼付されており、各シールには、各々を識別するための文字又は記号と、属性に応じて異なるコード化パターンとが形成され、さらに前記属性に対応する情報を記入するための領域が設けられており、
前記複数のシールから特定のシールを選択して前記表紙に貼付するとともに、前記領域に電子ペンで記入することで、当該ノートの属性が設定可能であることを特徴とするノート。
【請求項8】
ページごとに異なるコード化パターンが形成された複数のノート用紙を有し、表紙に属性を識別するためのコード化パターンが設けられるノートであって、
前記属性を識別するためのコード化パターンに電子ペンで記入することにより、その記入内容を、前記属性に対応する情報としてコンピュータ装置に設定することができ、
前記属性に対応する情報が設定された状態で、前記属性を識別するためのコード化パターンを前記電子ペンに読み取らせることで、前記コンピュータ装置に前記属性を認識させ、前記ノート用紙に対して前記電子ペンによる記入の操作がなされることにより、その記入内容が、前記属性のノートに記入された内容として記憶されることを特徴とするノート。
【請求項1】
ページごとに異なるコード化パターンが形成された複数のノート用紙を有し、表紙に属性を識別するためのコード化パターンが設けられるノートと、
コード化パターンを読み取り、コード化パターンに関する情報を記入情報として送信する電子ペンと、
前記電子ペンから記入情報を受信して所定の処理を行うコンピュータ装置とを備えるノート管理システムであって、
前記コンピュータ装置は、
前記電子ペンから送信される記入情報を受信する通信手段と、
前記属性を識別するためのコード化パターンが設けられた領域に、前記電子ペンによる記入の操作がなされることによって、前記通信手段により受信された記入情報に基づいて、前記属性に対応する情報をノートファイルに設定する属性設定手段と、
前記属性設定手段により前記属性に対応する情報が設定された状態で、前記属性を識別するためのコード化パターンが前記電子ペンによって読み取られることによって前記通信手段に受信された前記記入情報に基づいて、前記属性を特定する属性特定手段と、
前記ノート用紙に対して前記電子ペンによる記入の操作がなされることによって前記通信手段に受信された前記記入情報に基づいて、ストロークを描画するとともに、前記ストロークを、前記属性特定手段により特定された前記属性に対応する前記ノートファイルに記憶させるストローク描画手段と
を備えることを特徴とするノート管理システム。
【請求項2】
前記ノートには、複数の異なる属性を示すためのシールが貼付されており、各シールには、各々を識別するための文字又は記号と、属性に応じて異なるコード化パターンとが形成され、さらに前記属性に対応する情報を記入するための領域が設けられており、
前記複数のシールから特定のシールを選択して前記表紙に貼付するとともに、前記領域に電子ペンで記入することで、当該ノートの属性が設定可能であることを特徴とする請求項1に記載のノート管理システム。
【請求項3】
記入文字に基づいてストロークを認識し、文字認識処理を施して文字情報を出力する文字認識手段をさらに備え、
前記属性設定手段は、前記属性を識別するためのコード化パターンに対して前記電子ペンによる記入の操作がなされることによって、前記通信手段が受信した記入情報に基づいて前記文字認識手段から出力された文字情報を、前記属性に対応する情報として前記ノートファイルに設定することを特徴とする請求項1又は2に記載のノート管理システム。
【請求項4】
前記ストローク描画手段は、描画したストロークをノート用紙のページに応じて前記ノートファイルに記憶させることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のノート管理システム。
【請求項5】
前記コンピュータ装置は、
前記属性特定手段によりノートの属性が特定されている状態で、前記通信手段により前記ノート用紙に係る記入情報を受信した場合に、前記ノート用紙のページに応じてノートファイルを開いてディスプレイに表示させ、前記属性特定手段によりノートの属性が特定されていない状態で、前記通信手段により前記ノート用紙に係る記入情報を受信した場合に、属性を識別するためのコード化パターンを前記電子ペンで読み取るよう促す出力をさせる情報処理手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のノート管理システム。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の前記ノート管理システムにおける前記コンピュータ装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
ページごとに異なるコード化パターンが形成された複数のノート用紙を有し、表紙に属性を識別するためのコード化パターンが設けられるノートであって、
複数の異なる属性を示すためのシールが貼付されており、各シールには、各々を識別するための文字又は記号と、属性に応じて異なるコード化パターンとが形成され、さらに前記属性に対応する情報を記入するための領域が設けられており、
前記複数のシールから特定のシールを選択して前記表紙に貼付するとともに、前記領域に電子ペンで記入することで、当該ノートの属性が設定可能であることを特徴とするノート。
【請求項8】
ページごとに異なるコード化パターンが形成された複数のノート用紙を有し、表紙に属性を識別するためのコード化パターンが設けられるノートであって、
前記属性を識別するためのコード化パターンに電子ペンで記入することにより、その記入内容を、前記属性に対応する情報としてコンピュータ装置に設定することができ、
前記属性に対応する情報が設定された状態で、前記属性を識別するためのコード化パターンを前記電子ペンに読み取らせることで、前記コンピュータ装置に前記属性を認識させ、前記ノート用紙に対して前記電子ペンによる記入の操作がなされることにより、その記入内容が、前記属性のノートに記入された内容として記憶されることを特徴とするノート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−16080(P2013−16080A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149481(P2011−149481)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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