説明

コンベアベルトの伸び測定方法およびコンベアベルト伸び測定装置

【課題】
コンベアベルトに形成された磁気マークを高い信頼性をもって検出することができ、しかも、有機繊維コードをテンションメンバーとするコンベアベルトにも適用することのできる、コンベアベルトの伸び測定方法ならびにそれに用いる測定装置を提供する。
【解決手段】
コンベアベルトの内部にゴム磁石を埋設し、もしくは、コンベアベルトの表面にシート状のゴム磁石を貼り付けて、前記磁気マークをコンベアベルト上に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行中のコンベアベルトの伸びを測定する方法およびそのための測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大型のコンベアベルトは、天然資源の採掘現場等、人が近づけるように整備されていない現場で用いられることが多く、保守点検整備が十分行われていない状況にある。このような現場においては、例えば、突然、コンベアベルトが切断してしまい、作業の中断を余儀なくされることがあり、この場合、その復旧に多大の時間と費用とを要し、そのため、予防保全を行えるよう、前もって事故の予兆を検出する手段が強く望まれている。その対応策の一つとして、コンベアベルトの伸びが所定の大きさを越えた場合、異常と判断して、点検修理等の処置を行えるよう、コンベアベルトの伸びを測定する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この公知のコンベアベルト伸び測定方法は、コンベアベルトのテンションメンバーとなるスチールコードの、コンベアベルト長さ方向に間隔を置いた2箇所の位置を着磁して、これらを磁気マークとし、これら一対の磁気マークのそれぞれを、コンベアベルトから離れた位置でコンベアベルト長さ方向に並べられた二個の磁気センサで検出し、これらの磁気マークが磁気センサに最接近するタイミングの差に基づいてコンベアベルトの伸びを求める方法であり、この方法は、磁気的なセンシングによる方法であるので、屋外における風雨や光等による環境の影響を受けにくいという特長はあるものの、軟質磁性体であるスチールコードを着磁して磁気マークとしているので、その磁力が弱いことに加えて、外部磁界の影響によって磁気マークが消えたり他の位置に磁気マークが形成されてしまったりして信頼性が十分ではないという問題があった。
【0004】
また、当然のことではあるが、この方法は、有機繊維コードをテンションメンバーとするコンベアベルトには用いることができないという問題もあった。
【特許文献1】特開昭57−48521
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、コンベアベルトに形成された磁気マークを高い信頼性をもって検出することができ、しかも、有機繊維コードをテンションメンバーとするコンベアベルトにも適用することのできる、コンベアベルトの伸び測定方法ならびにそれに用いる測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>の発明は、走行するコンベアベルト上に形成され、コンベアベルト長さ方向に間隔を置いて配置された一対の磁気マークのそれぞれを、コンベアベルトから離れた位置でコンベアベルト長さ方向に並べられた二個の磁気センサで検出し、これらの磁気マークが磁気センサに最接近するタイミングの差に基づいてコンベアベルトの伸びを求めるコンベアベルト伸び測定方法において、
コンベアベルトの内部にゴム磁石を埋設し、もしくは、コンベアベルトの表面にシート状のゴム磁石を貼り付けて、前記磁気マークをコンベアベルト上に形成するコンベアベルト伸び測定方法である。
【0007】
<2>の発明は、<1>において、前記磁気マークが最接近するタイミングを検出する磁気センサとして、ループのコンベア長さ方向寸法が前記ゴム磁石のコンベアベルト長さ方向寸法より小さいループコイル型センサを用い、コンベアベルト走行時の磁気マークの変位に伴う、ループコイル内の磁束線の変化によってコイルを生起される電流を測定し、この電流変化の波形から、磁気マークの再接近タイミングを求めるコンベアベルト伸び測定方法である。
【0008】
<3>の発明は、<1>もしくは<2>において、前記磁気マークの検出を、コンベアベルト長さ方向に沿って並べられた二個の磁気センサで行い、これらの磁気センサの一方がそれぞれの磁気マークの最接近を検出するタイミングの差をtとし、二個の磁気センサのそれぞれが同じ磁気マークの最接近を検出するタイミングの差をtとして、式(1)に基づいてコンベアベルトの伸びεを求める請求項1もしくは2に記載のコンベアベルトの伸び測定方法である。

ε=((Lxt/t−L)/L)x100(%) (1)
ただし、
:二個の磁気センサの、コンベアベルト長さ方向に沿って測った離隔距離
:コンベアベルトの伸びがゼロの状態における両磁気マークの、コンベアベルト長さ方向に沿って測った離隔距離
【0009】
<4>の発明は、<1>〜<3>のいずれかのコンベアベルト伸び測定方法に用いられる伸び測定装置であって、
コンベアベルトの長さ方向に沿って互いに離隔した位置に埋設され、もしくは貼り付けられ、前記磁気マークのそれぞれを形成する一対のゴム磁石と、コンベアベルトから離れた位置にコンベアベルト長さ方向に沿って相互に所定の間隔をおいて固定され、前記磁気マークを検出する一対の磁気センサとを具えてなるコンベアベルト伸び測定装置である。
【0010】
<5>の発明は、<4>において、磁気センサからコンベアベルト幅方向両側に離れた位置に、コンベアベルトの幅方向位置を規制する幅方向ガイドを設けてなる請求項4に記載のコンベアベルト伸び測定装置である。
【0011】
<6>の発明は、<4>もしくは<5>において、前記一対のゴム磁石を、コンベアベルトを構成する補強材の、コンベアベルト幅方向に延在する接合部の両側に一個ずつ配置してなるコンベアベルト伸び測定装置である。
【発明の効果】
【0012】
<1>の発明によれば、磁気マークとして、スチールコードを着磁したものを用いる代わりに、コンベアベルトの内部に埋設され、もしくは、その表面に貼り付けられたゴム磁石を用いるので、硬質磁性体であり抗磁力の大きいゴム磁石は、周囲の磁場の影響を受けにくく、磁気センサによる検出の信頼性を高めることができ、しかも、テンションメンバーが有機繊維コードとするコンベアベルトに対してもその伸びを測定することができる。
【0013】
また、ゴム磁石は、ゴムをマトリックスとしてその中に磁石粉を分散させたものであり、大きな可撓性を有し、曲げ変形されながら用いられるコンベアベルト中に埋設もしくは貼り付けられても、このベアベルトの変形に追従して変形することができ、高い耐久性を得ることができる。
【0014】
<2>の発明によれば、前記磁気マークが最接近するタイミングを検出する磁気センサとしてループコイル型センサを用い、コンベアベルト走行時の磁気マークの変位に伴う、ループコイル内の磁束線の変化に比例してコイルを流れる電流を測定し、この電流変化の波形から、磁気マークの再接近タイミングを求めるので、コンベアベルトが蛇行したりして芯ずれが発生しても、磁気マークを検出することができ、測定の信頼性を高めることができる。しかも、ループのコンベア長さ方向寸法を前記ゴム磁石のコンベアベルト長さ方向寸法より小さく設定してあるので、ループが広さをもつことによって検出精度が悪化することはない。
【0015】
<3>の発明によれば、前記磁気マークの検出を、コンベアベルト長さ方向に沿って並べられた二個の磁気センサで行い、式(1)に基づいて磁気センサの最接近のタイミングを検出するので、きわめて簡易な測定装置で伸びを測定することができる。
【0016】
<4>の発明によれば、コンベアベルトの長さ方向に沿って互いに離隔した位置に埋設され、もしくは貼り付けられ、前記磁気マークのそれぞれを形成する一対のゴム磁石と、コンベアベルトから離れた位置にコンベアベルト長さ方向に沿って相互に所定の間隔をおいて固定され、前記磁気マークを検出する一対の磁気センサとを具えてなるので、上述のように、簡易な装置構成でしかも高い信頼性をもって伸びを測定することができる。
【0017】
<5>の発明によれば、磁気センサからコンベアベルト幅方向両側に離れた位置に、コンベアベルトの幅方向位置を規制する幅方向ガイドを設けたので、コンベアベルトの幅方向の蛇行や位置ずれによる計測誤差を排除することができ、測定をより高精度に行うことができる。
【0018】
<6>の発明によれば、ゴム磁石を、もっともベルト切断が発生しやすい、補強材の接合部の両側に一個ずつ設けたので、高い確率でベルト切断を予兆することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施形態について、図1〜図5に基づいて説明する。図1は、本実施形態のコンベアベルト伸び測定装置を示す側面図、図2は、図1のA部を拡大して示す断面図、また、図3は、図1のB−B矢視に対応する部分断面図である。コンベアベルト伸び測定装置1は、コンベアベルト長さ方向に沿って所定間隔Lだけ互いに離隔した配置で設けられた磁気測定ステーション10A、10Bと、コンベアベルト11内の、コンベアベルト長さ方向に互いに離隔した位置に埋設された一対のゴム磁石2とを具えて構成される。図中12は、コンベアベルト11を駆動する、もしくはガイドするプーリを示す。
【0020】
一対のゴム磁石2は、図2にMで示す磁力線をもつ磁界、すなわち、磁気マークをそれぞれ形成し、一方、磁気測定ステーション10A、10Bにはそれぞれ磁気センサ3A、3Bが設けられ、コンベアベルトの走行に際して、コンベアベルト長さ方向に沿って通過する磁気マークの最接近タイミングを検出するよう配置される。なお、それぞれのゴム磁石2は、コンベアベルト11の補強材となるスチールコード層11bによって区切られる表裏いずれの側のゴム部分にも埋設してもよい。
【0021】
ここで、磁気マークとして、コンベアベルトのゴム部分に埋設されたゴム磁石2を用いる点が本発明の特徴であり、このことにより、透磁率が高いものの抗磁力の低いスチールコードの一部を磁化して磁気マークとした場合に対比して、外部磁界の影響を受けにくく、安定して信頼性の高い測定を可能にすることができる。
【0022】
なお、本実施形態では、コンベアベルトのゴム中にゴム磁石を埋設したが、この代わりにゴム磁石をシート状にしてコンベアベルトの表面に貼り付けて用いることもできる。
【0023】
磁気センサ3A、3Bは、大地に固定された支柱15の支持ブロック15aにバネ16を介して弾性支持されたベースプレート17に取付けられ、ベースプレート17は、図示しない拘束手段によりコンベアベルト11の長さ方向の変位は拘束されるが、幅方向および厚さ方向には、バネ16の伸縮により変位可能に設けられる。そして、磁気センサ3A、3Bは、高い検出感度を得るため、ゴム磁石2の通過位置に、できるだけ近づけて設けるのが好ましく、コンベアベルト11の、ゴム磁石2が埋設された側の表面に近接した垂直面L上に配置される。
【0024】
そして、磁気センサ3からベルト幅方向両側に離れた位置には、コンベアベルト11の幅方向位置を規制して、コンベアベルト11に埋設されたゴム磁石2の、磁気センサ3に対する幅方向位置を一定に保持する幅方向ガイド9が設けられ、幅方向ガイド9は、磁気センサ3を支持するベースプレート17の、一方のサイドプレート22に取付けられたガイドローラ19a、支柱15に取付けられたバネ23、リニアガイド27、リニアガイド27に案内されベースプレート17上を幅方向に変位可能に設けられたガイドローラ19b、および、他方のサイドプレート24に支持されたバネ26よりなり、ガイドローラ19aを、バネ23の作用により、コンベアベルト11の一方の幅方向端に押し当て磁気センサ3とコンベアベルト11との相対位置を保持するとともに、ガイドローラ19bを、バネ26の作用により、コンベアベルト11の他方の幅方向端に押し当て、コンベアベルト11の、ガイドローラ19aからの離隔を防止するよう機能する。
【0025】
さらに、厚さ方向ガイドローラ9aがベースプレート17に取付けられ、バネ16の作用により、ガイドローラ9aをコンベアベルト11の厚さ方向内側面に押し当てることにより、この部分のコンベアベルト部分と磁気センサ3との離隔距離を一定に保つことが出きる。
【0026】
コンベアベルトの、幅方向ならびに厚さ方向の両方向に対する規制のため、平板ではなくガイドローラ19a、19b、9aを用いたが、これは、もし平板を用いた場合には、平板との摩擦により、コンベアベルト11が摩耗し、磁気センサ3との相対位置が変化するのを防止するためである。
【0027】
そして、磁気測定ステーション10Aは、磁気センサ3Aの他、幅方向ガイド9、ベースプレート17、サイドプレート22、ガイドローラ19a、19b、9a、支柱15、バネ16、23、26、および、リニアガイド27も含んで構成され、同様に、磁気測定ステーション10Bも、磁気センサ3Bの他、上記のものを含んで構成される。そして、磁気センサ3A、3B間の離隔距離は、磁気測定ステーション10A、10B間の離隔距離と同じに設定されている。
【0028】
図4は、コンベアベルト伸び測定装置1の制御部分を示すブロック線図であり、コンベアベルト伸び測定装置1は、両方の磁気センサ3A、3Bからそれぞれの測定値を入力し、入力した値からコンベアベルト11の伸びを演算して求め、演算結果を電波により送信する現場制御装置5と、現場制御装置5からの演算結果を受信して、演算結果を出力端末7に出力しあるいは伸びが所定の閾値を超えた場合に警報を出す中央制御装置6とを具える。
【0029】
なお、上記の説明において、コンベアベルト11の伸びを求める演算手段を現場制御装置5に配置したが、これを中央制御装置6に設けることもでき、その場合、現場制御装置5は、磁気センサ3A、3Bからのデータを中央制御装置6に送信するだけのトランスミッタとして機能する。
【0030】
以上のように構成されたコンベアベルト伸び測定装置1を用いて、コンベアベルト11の伸びを求める方法について説明する。この伸びの測定方法に原理は次の通りである。コンベアベルト11に応力が作用せずその伸びがゼロの状態における、コンベアベルト11に埋設された一対のゴム磁石2相互のコンベアベルト長さ方向に沿って測った離隔距離をL、コンベアベルト11に伸びが生じた状態における、ゴム磁石2相互の離隔距離をLとしたとき、伸びεは、一般的に式(2)によって表わすことができる。

ε=(L―L)/Lx100(%) (2)
【0031】
そして、磁気センサ3A、3Bの一方、例えば、磁気センサ3Aが、両方のゴム磁石2のそれぞれによって形成される磁気マークを検知したタイミングの差をtとし、コンベアベルト11の走行速度をVとしたとき、式(2)における離隔距離Lを、式(3)で表わすことが出きる。

=txV (3)
【0032】
一方、対をなす磁気マークのうちの一方、例えば、コンベアベルト進行方向先端側の磁気マークに対して、磁気センサ3A、3Bのそれぞれが検知するタイミングの差をtとし、これらの磁気センサの、相互の離隔距離をLとしたとき、式(3)における走行速度Vを、式(4)によって表わすことができる。

V=L/t (4)
【0033】
以上の式(2)、(3)および(4)から、容易に、前述の式(1)を導くことができ、この式(1)には、変数として、タイミングの差t,tしか含まれておらず、このことより、上記に説明した、一対のゴム磁石2と、ゴム磁石2による磁気マークを検知する一対の磁気センサ3A、3Bとを組み合わせただけの簡単な構成で、コンベアベルト11の伸びを測定することができる。
【0034】
以上の原理を用いた本発明の伸びの測定方法を、図5を参照してより具体的に説明する。図5(a)は、一方の磁気センサ3Aが検出した磁束密度の変化を、時間を横軸にとって示すグラフであり、図5(b)は、同様に、他方の磁気センサ3Bが検出した磁束密度の変化を示すグラフである。これらの磁気センサ3A、3Bが検知する磁束密度のピーク部分が、ゴム磁石2によって形成された磁気マーク13a、13bに相当し、現場制御装置5は、一定の閾値Hを越えた磁束密度を検知した場合、それを磁気マーク13a、13bと判断して処理を行うよう構成されている。
【0035】
そして、現場制御装置5は、磁気センサ3Aにおいて検出されたコンベアベルト走行方向先端側の磁気マーク13aと、後端側の磁気マーク13bとの検出タイミングの差tを計測するとともに、磁気センサ3Aと3Bとが先端側の磁気マーク13aをそれぞれ検出するタイミングの差tを計測し、これらの計測値t、tと、予め設定された値LとLとを用いて、式(1)に基づいて伸びεを計算するよう構成されている。
【0036】
また、離隔距離LとLとが予め同じになるよう設定しておくことにより、式(1)は、式(5)と書き換えることができ、この式(5)から明らかなように、LやLの値を用いなくともコンベルトの伸びを求めることができる。

ε=(t/t−1)x100(%) (5)
【0037】
ここで、ゴム磁石2は、2個ずつまとめてならべたものを、例えば100m間隔で、ベルト長さ方向に配置することにより、ベルトの全長にわたって各位置におけるベルトの伸びを測定することができる。また、コンベアベルト11の補強材となるスチールコード11bの、幅方向に延在する接合部は、ゴムの接着だけで長さ方向の強力を支持する部分であり伸びが大きくなる可能性が高いので、接合部を挟んでその両側に一個ずつゴム磁石2を配置するのが好ましい。
【0038】
また、ゴム磁石2は、好ましくは、ブチルゴム及びシリコンゴムよりなる群から選択された少なくとも一種のゴム成分からなるマトリックスと、このマトリックス中に分散された磁気異方性磁性体粉、例えば、希土類合金よりなる磁性体粉とからなる。
【0039】
ゴム磁石2のマトリックスとして上記特定のゴム成分を用いることにより、断続的な曲げ応力や引張応力を受けても破断したり破壊されたりすることがなく、また、長期間に渡って磁力を安定させることができる。
【0040】
ゴム磁石2のゴム成分としてブチルゴムを使用する場合、このブチルゴムは、不飽和度が0.3%以下で、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が60以下であるのが好ましい。ブチルゴムの不飽和度が0.3%未満では、架橋点を充分に確保できない。また、ブチルゴムのムーニー粘度ML1+4(100℃)が60を超えると、柔軟性が低すぎ、磁性粉と混練する際の加工性が悪くなる。このブチルゴムはハロゲン化ブチルゴムを含んでもよく、ハロゲン化ブチルゴムとしては、臭素化ブチルゴム、塩素化ブチルゴムが挙げられる。
【0041】
また、ゴム磁石2のゴム成分としてシリコンゴムを使用する場合、シリコンゴムは、常温あるいは加温状態での混練時に低粘度となり、硬化後は高強度となる熱加硫型シリコンゴム、常温硬化2液型RTV等が好ましい。ここで常温硬化型RTVは、信越化学工業(株)から市販されているシリコンゴムである。
【0042】
ゴム磁石2に用いる磁性粉は、従来の硬質複合シートに用いられる磁性粉と同じものを用いることができ、具体的には、希土類磁性体粉等の磁気異方性磁性体粉を用いるのがよい。ここで、希土類磁性体としては、NdFeB、SmFeN等が挙げられる。
である。
【0043】
また、磁気センサとして、ホール素子をもちいることもできるが、ループコイル型のセンサを用い、磁気マークの接近に応じてループ内を通過する磁力線の数の変化に比例して生起される電流を測定することにより、磁気マークの最接近位置を求めることもでき、この方法によれば、コンベアベルトの蛇行や芯ずれがあっても確実に磁気マークを検出することができ、検出の信頼性を高めることができる点で好ましい。ここで、ループのコンベアベルト長さ方向寸法は、ゴム磁石2のコンベア長さ方向寸法より小さいことが好ましく、ループのコンベアベルト長さ方向寸法が大きくなりすぎると、検出精度が悪化してしまう。また、ループのコンベアベルト幅方向の寸法は、コンベアベルトの芯ずれの程度に合わせて、芯ずれをカバーできるような大きさにすればよく、例えば、コンベアベルト幅の10%程度とすることができる。
【0044】
以上に説明した通り、このコンベアベルトの伸び測定方法によれば、二個の磁気センサ3A、3Bとゴム磁石2とを用いるだけで、簡易にコンベアベルトの伸びを測定することができ、しかも、その測定は、磁気測定による非接触式であるので、ベルトの波打ち、脈動等によっても影響を受けることのない信頼性の高い方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る実施形態のコンベアベルト伸び測定装置を示す側面図である。
【図2】図1のA部を拡大して示す断面図である。
【図3】図1のB−B矢視に対応する部分断面図である。
【図4】コンベアベルト伸び測定装置の制御部分を示すブロック線図である。
【図5】磁気センサで検知された磁力の時間変化を表すグラフである。
【符号の説明】
【0046】
1 コンベアベルト伸び測定装置
2 ゴム磁石
3A、3B 磁気センサ
5 現場制御装置
6 中央制御装置
7 出力端末
9 幅方向ガイド
9a 厚さ方向ガイド
11 コンベアベルト
11b スチールコード層
13 磁気マーク
12 プーリ
15 支柱
15a 支持ブロック
16 バネ
17 ベースプレート
19a、19b ガイドローラ
22 サイドプレート
23 バネ
24 サイドプレート
26 バネ
27 リニアガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行するコンベアベルト上に形成され、コンベアベルト長さ方向に間隔を置いて配置された一対の磁気マークのそれぞれを、コンベアベルトから離れた位置でコンベアベルト長さ方向に並べられた二個の磁気センサで検出し、これらの磁気マークが磁気センサに最接近するタイミングの差に基づいてコンベアベルトの伸びを求めるコンベアベルト伸び測定方法において、
コンベアベルトの内部にゴム磁石を埋設し、もしくは、コンベアベルトの表面にシート状のゴム磁石を貼り付けて、前記磁気マークをコンベアベルト上に形成するコンベアベルト伸び測定方法。
【請求項2】
前記磁気マークが最接近するタイミングを検出する磁気センサとして、ループのコンベア長さ方向寸法が前記ゴム磁石のコンベアベルト長さ方向寸法より小さいループコイル型センサを用い、コンベアベルト走行時の磁気マークの変位に伴う、ループコイル内の磁束線の変化によってコイルを生起される電流を測定し、この電流変化の波形から、磁気マークの再接近タイミングを求める請求項1に記載のコンベアベルト伸び測定方法。
【請求項3】
前記磁気マークの検出を、コンベアベルト長さ方向に沿って並べられた二個の磁気センサで行い、これらの磁気センサの一方がそれぞれの磁気マークの最接近を検出するタイミングの差をtとし、二個の磁気センサのそれぞれが同じ磁気マークの最接近を検出するタイミングの差をtとして、式(1)に基づいてコンベアベルトの伸びεを求める請求項1もしくは2に記載のコンベアベルトの伸び測定方法。

ε=((Lxt/t−L)/L)x100(%) (1)
ただし、
:二個の磁気センサの、コンベアベルト長さ方向に沿って測った離隔距離
:コンベアベルトの伸びがゼロの状態における両磁気マークの、コンベアベルト長さ方向に沿って測った離隔距離
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のコンベアベルトの伸び測定方法に用いられる伸び測定装置であって、
コンベアベルトの長さ方向に沿って互いに離隔した位置に埋設され、もしくは貼り付けられ、前記磁気マークのそれぞれを形成する一対のゴム磁石と、コンベアベルトから離れた位置にコンベアベルト長さ方向に沿って相互に所定の間隔をおいて固定され、前記磁気マークを検出する一対の磁気センサとを具えてなるコンベアベルト伸び測定装置。
【請求項5】
磁気センサからコンベアベルト幅方向両側に離れた位置に、コンベアベルトの幅方向位置を規制する幅方向ガイドを設けてなる請求項4に記載のコンベアベルト伸び測定装置。
【請求項6】
前記一対のゴム磁石を、コンベアベルトを構成する補強材の、コンベアベルト幅方向に延在する接合部の両側に一個ずつ配置してなる請求項4もしくは5に記載のコンベアベルト伸び測定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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