説明

コンベアベルト

【課題】耳桟や横桟とベースベルトとが剥がれにくいコンベアベルトを提供する。
【解決手段】ベースベルト2と、ベースベルト2の搬送面10の幅方向Aの両側部9:9にベースベルト2の搬送面10の長手方向Bに沿って延長して設けられた耳桟(波桟3)と、ベースベルト2の搬送面10の長手方向Bに沿って所定間隔毎に搬送面10より突出するように複数設けられて搬送面10を仕切る横桟4とを備えたコンベアベルト1において、耳桟(波桟3)及び横桟4のうちの1つ以上とベースベルト2とが締結手段5により取付けられた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耳桟や横桟とベースベルトとが剥がれにくい構成を備えたコンベアベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
急傾斜コンベアと呼ばれるベルトコンベア装置の無端帯状のコンベアベルトは、駆動ローラ及び複数のガイドローラに掛け渡されて駆動ローラにより搬送駆動される。このコンベアベルトは、搬送面を形成するベースベルトと、耳桟としての波桟と、横桟とを備える。
波桟は、ベースベルトの搬送面の幅方向の両側部にベースベルトの搬送面の長手方向に沿って延長して設けられる。横桟は、搬送面の長手方向に沿って所定間隔毎に搬送面より突出するように複数設けられて搬送面を仕切る。この波桟と横桟とで囲まれた搬送面に搬送物が載置されて搬送される。
【特許文献1】実開平6−3924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のコンベアベルトは、ベースベルトと波桟とが接着され、ベースベルトと横桟とが接着された構成であるので、波桟や横桟とベースベルトとが剥がれやすく、剥がれが進行して、波桟とベースベルトとの間に搬送面と搬送面外とに跨って貫通する隙間が生じたり、横桟がベースベルトから取れてしまう。波桟とベースベルトとの間に搬送面と搬送面外とに跨って貫通する隙間が生じた場合には、搬送面に載置された搬送物が、上記隙間を経由して搬送面外に流出してしまう問題点があった。横桟がベースベルトから取れてしまった場合には、搬送面の仕切が欠落して、急傾斜で搬送する部分で搬送物が脱落してしまう問題点が生じる。即ち、波桟や横桟とベースベルトとが剥がれることによって、搬送物の搬送に不具合が生じるという問題点があった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、耳桟や横桟とベースベルトとが剥がれにくいコンベアベルトを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のコンベアベルトは、ベースベルトと、ベースベルトの搬送面の幅方向の両側部にベースベルトの搬送面の長手方向に沿って延長して設けられた耳桟と、ベースベルトの搬送面の長手方向に沿って所定間隔毎に搬送面より突出するように複数設けられて搬送面を仕切る横桟とを備えたコンベアベルトにおいて、耳桟及び横桟のうちの1つ以上とベースベルトとが締結手段により取付けられたことを特徴とする。
ベースベルトと、ベースベルトの搬送面の幅方向の両側部にベースベルトの搬送面の長手方向に沿って延長して設けられた耳桟と、ベースベルトの搬送面の長手方向に沿って所定間隔毎に搬送面より突出するように複数設けられて搬送面を仕切る横桟とを備えたコンベアベルトにおいて、耳桟及び横桟のうちの1つ以上とベースベルトとが締結手段と接着との併用によって取付けられたことも特徴とする。
締結手段が、ベースベルトの裏面と表面とに跨って貫通するベース取付孔と、耳桟又は横桟に設けられたベースベルトに対する取付フランジの下面と上面とに跨って貫通する桟取付孔と、ベースベルトの裏面に位置されるベース座金と、ベースベルトの裏面側からベース座金のボルト通し孔、ベース取付孔、桟取付孔に貫通されたボルトと、桟取付孔より突出するボルトの先端部に締結されたナットとを備え、ボルトとナットとが互いに締結された状態において、ベース座金が、ベースベルトの裏面より突出するボルトの頭をベース座金より下方に突出しないようにボルトの頭を収容した収容凹部を備えたことも特徴とする。
締結手段が、ベースベルトの裏面と表面とに跨って貫通するベース取付孔と、耳桟又は横桟に設けられたベースベルトに対する取付フランジの下面と上面とに跨って貫通する桟取付孔と、ベースベルトの裏面に位置されるベース座金と、ベースベルトの裏面側からベース座金のボルト通し孔、ベース取付孔、桟取付孔に貫通されたボルトと、桟取付孔より突出するボルトの先端部に締結されたナットとを備え、ボルトとナットとが互いに締結された状態において、ベース座金が、ベースベルトの裏面と接触する外周縁と、外周縁からベースベルトの裏面より離れる方向に傾斜してベースベルトの裏面とのなす角度として鈍角を形成する傾斜面を備えたことも特徴とする。
締結手段が、ベースベルトの裏面と表面とに跨って貫通するベース取付孔と、耳桟に設けられたベースベルトに対する取付フランジの下面と上面とに跨って貫通する耳桟取付孔と、ベースベルトの裏面に位置されるベース座金と、耳桟の取付フランジの上面に位置される耳桟座金と、ベースベルトの裏面側からベース座金のボルト通し孔、ベース取付孔、耳桟取付孔及び耳桟座金のボルト通し孔に貫通されたボルトと、耳桟座金のボルト通し孔より突出するボルトの先端部に締結されたナットとを備え、ボルトとナットとが互いに締結された状態において、ベース座金が、ベースベルトの裏面と接触する外周縁と、外周縁からベースベルトの裏面より離れる方向に傾斜してベースベルトの裏面とのなす角度として鈍角を形成する傾斜面と、傾斜面の最下端に位置した下周縁部と、下周縁部より孔縁に延長するよう形成されてボルトの頭が下周縁部より下方に突出しないようにボルトの頭を収容した収容凹部とを備えたことも特徴とする。
締結手段が、ベースベルトの裏面と表面とに跨って貫通するベース取付孔と、横桟に設けられたベースベルトに対する取付フランジの下面と上面とに跨って貫通する横桟取付孔と、ベースベルトの裏面に位置されるベース座金と、横桟の取付フランジの上面に位置されて複数のボルトを貫通させるために下面と上面とに跨って貫通するよう形成された複数のボルト通し孔を備えた横桟座金と、ベースベルトの裏面側からベース座金のボルト通し孔、ベース取付孔、横桟取付孔及び横桟座金のボルト通し孔に貫通されたボルトと、横桟座金のボルト通し孔より突出するボルトの先端部に締結されるナットとを備え、ボルトとナットとが互いに締結された状態において、横桟座金が、横桟の取付フランジの上面である傾斜面と互いに接触する傾斜面からなる下面と、ナットの締結面と接触する上面とを備え、ベース座金が、ベースベルトの裏面と接触する外周縁と、外周縁からベースベルトの裏面より離れる方向に傾斜してベースベルトの裏面とのなす角度として鈍角を形成する傾斜面と、傾斜面の最下端に位置した下周縁部と、下周縁部より孔縁に延長するよう形成されてボルトの頭が下周縁部より下方に突出しないようにボルトの頭を収容した収容凹部とを備えたことも特徴とする。
締結手段が、ベースベルトの裏面側からベースベルトに形成されたベース取付孔及び耳桟あるいは横桟に設けられたベースベルトに対する取付フランジに形成された取付孔を貫通するボルトと、取付フランジに形成された取付孔より突出するボルトの先端部に締結されたナットとを備え、ベースベルトの裏面に位置されたボルトの頭が被覆材により被覆されたことも特徴とする。
締結手段が、ベースベルトの裏面側からベースベルトに形成されたベース取付孔及び耳桟あるいは横桟に設けられたベースベルトに対する取付フランジに形成された取付孔を貫通するボルトと、取付フランジに形成された取付孔より突出するボルトの先端部に締結されたナットとを備え、ベース取付孔におけるベースベルトの裏面には、ボルトの頭がベースベルトの裏面より突出しないようにボルトの頭を収容する収容凹部が形成され、ボルトとナットとが互いに締結された状態において、ボルトの頭が収容凹部に収容されたことも特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明のコンベアベルトによれば、耳桟及び横桟のうちの1つ以上とベースベルトとが締結手段により取付けられたので、耳桟や横桟とベースベルトとが剥がれにくいコンベアベルトが得られる。
耳桟及び横桟のうちの1つ以上とベースベルトとが締結手段と接着との併用によって取付けられたので、締結手段と接着との二者によって耳桟や横桟とベースベルトとがさらに剥がれにくいコンベアベルトが得られる。
締結手段が、ベース取付孔と、桟取付孔と、ベース座金と、ボルトと、ナットとを備え、ボルトとナットとが互いに締結された状態において、ベース座金が、ベースベルトの裏面より突出するボルトの頭をベース座金より下方に突出しないようにボルトの頭を収容した収容凹部を備えたので、ベースベルトの搬送を案内するガイドローラのローラ外周面とボルトの頭との接触を防止できるので、ローラ外周面の傷つきを防止できるとともに、ローラ外周面とボルトの頭との接触によってボルトが緩んでしまうといった事態も回避できる。
締結手段のベース座金が、ベースベルトの裏面と接触する外周縁と、外周縁からベースベルトの裏面より離れる方向に傾斜してベースベルトの裏面とのなす角度として鈍角を形成する傾斜面とを備えたので、ローラ外周面に加わる面圧が小さくなって、ガイドローラのローラ外周面の傷つきを防止できる。
締結手段が、ベース取付孔と、耳桟取付孔と、ベース座金と、耳桟座金と、ボルトと、ナットとを備え、ボルトとナットとが互いに締結された状態において、ベース座金が、ベースベルトの裏面と接触する外周縁と、外周縁からベースベルトの裏面より離れる方向に傾斜してベースベルトの裏面とのなす角度として鈍角を形成する傾斜面と、傾斜面の最下端に位置した下周縁部と、下周縁部より孔縁に延長するよう形成されてボルトの頭が下周縁部より下方に突出しないようにボルトの頭を収容した収容凹部とを備えたので、ローラ外周面の傷つきを防止できるとともに、ローラ外周面とボルトの頭との強い接触によってボルトが緩んでしまうといった事態も回避できる。
締結手段が、ベース取付孔と、横桟取付孔と、ベース座金と、横桟座金と、ボルトと、ナットとを備え、ボルトとナットとが互いに締結された状態において、横桟座金が、横桟の取付フランジの上面である傾斜面と互いに接触する傾斜面からなる下面と、ナットの締結面と接触する上面とを備え、ベース座金が、外周縁と、傾斜面と、下周縁部と、収容凹部とを備えたので、ローラ外周面の傷つきを防止できるとともに、ローラ外周面とボルトの頭との強い接触によってボルトが緩んでしまうといった事態も回避でき、しかも、横桟座金が複数のナットに押圧されて取付フランジをベースベルトの表面の方向に押圧するので、ベースベルトと横桟の取付フランジとを強固に結合できる。
ベースベルトの裏面に位置されたボルトの頭が被覆材により被覆されたので、ガイドローラのローラ外周面の傷つき防止対策を簡単にできる。
ベース取付孔におけるベースベルトの裏面には、ボルトの頭がベースベルトの裏面より突出しないようにボルトの頭を収容する収容凹部が形成され、ボルトとナットとが互いに締結された状態において、ボルトの頭が収容凹部に収容されたので、ベースベルトの裏面より突出する突出物をなくせるので、ガイドローラのローラ外周面の傷つきを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
最良の形態1
以下、図1乃至図4を参照し、コンベアベルトの構造を説明する。図1はコンベアベルトを示し、図2は締結手段によって締結された横桟とベースベルトとを示し、図3の横桟の取付フランジとベースベルトとを結合する締結手段の断面を示し、図4は波桟の取付フランジとベースベルトとを結合する締結手段の断面を示す。
【0007】
図1に示すように、最良の形態1によるコンベアベルト1は、ベースベルト2と、耳桟としての波桟3と、横桟4とを備え、ベースベルト2と波桟3とが締結手段5により互いに結合され、ベースベルト2と横桟4とが締結手段5により互いに結合された構成である。ベースベルト2、波桟3、横桟4は、ゴムにより形成される。
尚、断面を図示しないが、ベースベルト2は、搬送面10側となる表ベルト面7を形成する表ゴム層と、表ベルト面7に対して裏面となるベースベルト2の裏面としての裏ベルト面17を形成する裏ゴム層と、表ゴム層と裏ゴム層との間に設けられた補強層とが積層された構造である。補強層としては、例えば、織物により形成された帆布を備えた補強層やスチールコードのような金属を備えた補強層を備える。波桟3や横桟4もベースベルト2と同様な層構造のゴムにより構成される。
【0008】
波桟3は、波板31、取付フランジ32を備える。波板31は、長尺な板が長尺な方向に沿って波打つように形成されたものであり、波板31の幅方向Dの両端部33;33が波形状に見える。取付フランジ32は、長尺な平板により形成され、平板の幅Wは、波板31の端部33の波の高さHの寸法よりも若干大きい。波板31の幅方向Dの一方の端部33と取付フランジの一方の平面34とが長尺な方向に沿って互いに接着されたことによって波桟3が形成される。この取付フランジ32の他方の面35とベースベルト2の表ベルト面7とが互いに接触するように波桟3の取付フランジ32とベースベルト2とが締結手段5により互いに結合される。このようにして、波桟3は、ベースベルト2の搬送面10の幅方向Aの両側部9:9にベースベルト2の搬送面10の長手方向Bに沿って延長して設けられる。
即ち、波桟3は、ベースベルト2の幅方向Aの両方の側縁8;8からベースベルト2の幅方向Aの中央部の方向に所定間隔aを隔てたベースベルト2の幅方向Aの両方の側部9;9に位置する表ベルト面7より突出するようにベースベルト2の長手方向Bに沿って設けられる。ベースベルト2の幅方向Aの一方の側部9aに設けられた一方の波桟3aの取付フランジ32aとベースベルト2の幅方向Aの他方の側部9bに設けられた他方の波桟3bの取付フランジ32bとの間の表ベルト面7によって、ベースベルト2の搬送面10が形成される。
【0009】
横桟4は、ベースベルト2の搬送面10の長手方向Bに沿って所定間隔毎に搬送面10より突出するように複数設けられて搬送面10を仕切る。横桟4と波桟3とで囲まれた搬送面10に搬送物が載置されて搬送される。
横桟4は、仕切板部41、取付フランジ42を備える。仕切板部41は、矩形板状に形成され、矩形を形成する一の辺43の長さが搬送面10の幅方向Aの長さに合せて形成され、矩形を形成する他の辺44の長さが、ベースベルト2に取付けられた波桟3の高さ寸法より短い長さに形成される。
【0010】
図2に示すように、取付フランジ42は、仕切板部41の矩形を形成する一の辺43のうちの一方の辺43a側に形成される。取付フランジ42は、仕切板部41の一方の辺43a側における両方の仕切面45;45から仕切面45;45と直交する方向に互いに離反するように延長して形成された取付土台であり、両方の仕切面45;45から延長する上面46;46が一方の辺43aの方向に下るように傾斜する傾斜面に形成され、各々の上面46;46の端部47;47同士を繋ぐ下面48が、仕切板部41の他の辺44に沿った方向と直交する平坦面に形成される。
【0011】
図3に示すように、ベースベルト2と横桟4とを互いに結合する締結手段6は、ベース取付孔11、桟取付孔としての横桟取付孔12、ベース座金13、横桟座金14、ボルト15、ナット16とを備える。
ベース取付孔11は、ベースベルト2の裏面として裏ベルト面17とベースベルト2の表面としての表ベルト面7とに跨って貫通する孔により形成される。
横桟取付孔12は、横桟4の取付フランジ42の下面48と上面46とに跨って貫通する孔により形成される。
ベース座金13は、ベースベルト2の裏ベルト面17に位置される。ベース座金13は、ボルト通し孔18と、ベースベルト2の裏ベルト面17と接触する外周縁19と、外周縁19からベースベルト2の裏ベルト面17より離れる方向に傾斜してベースベルト2の裏ベルト面17とのなす角度として鈍角を形成する傾斜面20と、傾斜面20の最下端に位置した下周縁部21と、下周縁部21よりボルト通し孔18の孔縁22に延長するよう形成されてボルト15の頭23(以下、ボルト頭23という)が下周縁部21より下方に突出しないようにボルト頭23を収容する収容凹部24とを備える。
横桟座金14は、図2に示すように、ベースベルト2の搬送面10の幅方向Aに沿った方向に長尺な板により形成され、複数のボルト15を貫通させるための複数のボルト通し孔25を備える。複数のボルト通し孔25は、横桟座金14の長尺な方向に間隔を隔てて形成される。横桟座金14は、横桟4の取付フランジ42の上面46に位置される。横桟座金14は、横桟4の取付フランジ42の上面46の傾斜に対応する傾斜面に形成されて取付フランジ42の上面46と接触する下面26と、取付フランジ42の下面48と平行に位置されてナット16の締結面28と接触する上面27とを備える。横桟座金14を用いて締結されるボルト15の配置間隔(ピッチ)Pは例えば100mm〜125mm、P1は例えば25mm〜50mmに設定される。
【0012】
次に締結手段6によるベースベルト2と横桟4との結合形態について説明する。ボルト15が、ベースベルト2の裏ベルト面17側からベース座金13のボルト通し孔18、ベース取付孔11、横桟取付孔12及び横桟座金のボルト通し孔25に貫通され、横桟座金のボルト通し孔25より突出するボルト15の先端部にナット16が取り付けられ、当該ボルト15とナット16とが互いに締結される。
【0013】
当該ボルト15とナット16とが互いに締結された場合、図3に示すように、ベース座金13の外周縁19がベースベルト2の裏ベルト面17に押し付けられてベースベルト2の裏ベルト面17よりベースベルト2の内側に埋没し、ボルト頭23が下周縁部21より下方に突出しないように収容凹部24に収容される。これにより、ベースベルト2の裏ベルト面17と接触してベースベルト2を搬送方向に案内する図外のガイドローラのローラ外周面の傷つきを防止できる。
【0014】
即ち、急傾斜コンベアと呼ばれるベルトコンベア装置のコンベアベルト1においては、ベースベルト2の裏ベルト面17は、図外の駆動ローラで搬送されるベースベルト2の搬送を案内する図外のガイドローラのローラ外周面と接触するが、本形態では、ベースベルト2の裏ベルト面17より突出する突出部となるベース座金13の傾斜面20とベースベルト2の裏ベルト面17とのなす角度が鈍角となり、ガイドローラのローラ外周面とベース座金13との接触面積が大きくなるので、ガイドローラのローラ外周面とベース座金13とが接触した場合に、ローラ外周面に加わる面圧が小さくなり、ローラ外周面がベース座金13との接触によって傷つきにくくなる。一方、ベースベルト2の裏ベルト面17より突出する突出部が、ガイドローラのローラ外周面との接触面積の小さい角部を有するような場合は、この角部によってガイドローラのローラ外周面が傷ついてしまう。
【0015】
即ち、締結手段6は、ローラ外周面に加わる面圧が小さくなるように断面形状が逆台形形状に形成されたベース座金13を備えたので、ガイドローラのローラ外周面の傷つきを防止できるようになる。
【0016】
また、ボルト頭23がベース座金13の収容凹部24に収容されたので、ガイドローラのローラ外周面とボルト頭23との接触を防止できるので、ガイドローラのローラ外周面の傷つきを防止できるとともに、ガイドローラのローラ外周面とボルト頭23とが強く接触してボルト15が緩んでしまうといった事態も回避できるようになる。
【0017】
また、ボルト15とナット16とが互いに締結された状態において、横桟座金14の下面26が、取付フランジ42の上面46である傾斜面と互いに接触し、横桟座金14の上面27が、取付フランジ42の下面48と平行に位置してナット16の締結面28と接触するので、ベースベルト2と取付フランジ42とが強固に結合される。
【0018】
さらに、横桟座金14には複数のボルト通し孔25が設けられ、横桟座金14が複数のナット16に押圧されて取付フランジ42を表ベルト面7の方向に押圧するので、ベースベルト2と取付フランジ42とが強固に結合される。
【0019】
図4を参照し、ベースベルト2と波桟3とを互いに結合する締結手段5を説明する。締結手段5は、ベース取付孔51、桟取付孔としての波桟取付孔52、ベース座金53、波桟座金54、ボルト55、ナット56とを備える。
ベース座金53はベース座金13と同じである。ボルト55、ナット56は、ボルト15、ナット16と同じである。ベース取付孔51とベース取付孔11とは、ベースベルト2に対する形成場所が違うだけで機能は同じである。
波桟取付孔12は、波桟3の取付フランジ32の下面57と上面58とに跨って貫通する孔により形成される。波桟座金54は、ボルト通し孔54aを備えた通常の平座金であって、波桟3の取付フランジ32の上面58に位置される。
従って、ボルト55とナット56とが互いに締結された状態において、波桟座金54の下面59が取付フランジ32の上面58と互いに接触し、波桟座金54の上面54bが、取付フランジ32の下面57と平行に位置してナット56の締結面28と接触するので、ベースベルト2と取付フランジ32とが強固に結合される。
また、ベース座金13と同じベース座金53を用いたので、締結手段6による結合と同じように、ガイドローラのローラ外周面の傷つきを防止できるとともに、ガイドローラのローラ外周面とボルト頭23とが強く接触してボルト15が緩んでしまうといった事態も回避できる。
【0020】
最良の形態1のコンベアベルト1によれば、ベースベルト2と波桟3とが締結手段5により互いに結合され、ベースベルト2と横桟4とが締結手段6により互いに結合されたので、波桟3とベースベルト2とが剥がれにくくなり、横桟4とベースベルト2とが剥がれにくくなるので、波桟3とベースベルト2との間に搬送面10と搬送面外とに跨って貫通する隙間が生じたり、横桟4がベースベルト2から取れてしまうようなことを防止でき、搬送物の搬送に不具合を生じさせないコンベアベルト1を提供できる。
【0021】
最良の形態1のコンベアベルト1によれば、締結手段5がベース座金13を備え、締結手段6がベース座金53を備えたので、ガイドローラのローラ外周面の傷つきを防止できるとともに、ガイドローラのローラ外周面とボルト頭とが強く接触してボルト15やボルト55が緩んでしまうといった事態も回避できるようになる。また、締結手段5が横桟座金14を備えたので、ベースベルト2と取付フランジ42とが強固に結合される。
【0022】
また、急傾斜コンベアと呼ばれるベルトコンベア装置のコンベアベルト1においては、コンベアベルト1の搬送経路の屈曲部、即ち、コンベアベルト1の状態が平坦な状態から、上又は下に傾斜する状態に切り替わる境界部分に図外のディスクローラと呼ばれるガイドローラが配置され、このディスクローラのローラ外周面とベースベルト2の側縁8から波桟3の取付フランジ32までの間の表ベルト面7により形成される側部ベルト面82(図1参照)とが互いに接触するが、本形態によれば、ベースベルト2と波桟3とが締結手段5により締結され、ベースベルト2と横桟4とが締結手段6により締結された構成なので、ベースベルト2と波桟3、及び、ベースベルト2と横桟4との着脱が容易となるため、波桟3や横桟4の交換が必要となった場合にも、これらのみを個別に交換でき、交換作業も簡単となる。
【0023】
最良の形態2
波桟3及び横桟4のうちの1つ以上とベースベルト2とを上述した締結手段5や締結手段6と接着との併用によって取付けた構成のコンベアベルト1としてもよい。この場合の接着は、例えば、熱加硫接着や自然加硫接着のような化学的接着方法、あるいは、接着剤により接着方法などを用いることによって、波桟3及び横桟4のうちの1つ以上とベースベルト2とを互いに接着させればよい。
最良の形態2によれば、波桟3とベースベルト2との剥がれ防止効果や、横桟4とベースベルト4との剥がれ防止効果をさらに向上できる。
【0024】
最良の形態3
図5に示すように、ベース取付孔11が対応するベースベルト2の裏ベルト面17に、ボルト頭23がベースベルト2の裏ベルト面17より突出しないようにボルト頭23を収容する収容凹部61を形成してもよい。
最良の形態3によれば、ベースベルト2の裏ベルト面17より突出する突出物をなくせるので、ガイドローラのローラ外周面の傷つきを防止できる。
【0025】
最良の形態4
図6に示すように、ベースベルト2の裏ベルト面17より突出するボルト頭23を被覆材62により被覆した構成としてもよい。被覆材62は、ゴム、樹脂等を用いればよい。
最良の形態4によれば、上述したように、特殊な形状に形成されたベース座金13;53を用いたり、ベースベルト2の裏ベルト面17に収容凹部61を形成する必要がなくなり、ガイドローラのローラ外周面の傷つき防止対策を簡単にできる。
【0026】
最良の形態5
図7に示すように、ベースベルト2の裏ベルト面17より突出するボルト頭23の断面形状が、ローラ外周面に加わる面圧が小さくなるように逆台形形状に形成されたボルト15(55)を用いれば、ベース座金13;53を用いた場合と同様な効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
耳桟は波桟3でなくともよい。即ち、ベースベルト2が屈曲した場合であっても搬送面10に収容された搬送物がベースベルト2の側部9より落下しないように搬送物の落下を抑止する機能を備えた構成の耳桟であればよい。
ベースベルト2の裏ベルト面17より突出する突出部は、ローラ外周面に加わる面圧が小さくなるように断面形状が逆台形形状で、かつ、その突出量が小さいほどよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】コンベアベルトの斜視図(最良の形態1)。
【図2】締結手段で締結された横桟とベースベルトとを示す斜視図(最良の形態1)。
【図3】横桟とベースベルトとを結合する締結手段の断面図(最良の形態1)。
【図4】波桟とベースベルトとを結合する締結手段の断面図(最良の形態1)。
【図5】締結手段を示す断面図(最良の形態3)。
【図6】締結手段を示す断面図(最良の形態4)。
【図7】締結手段を示す断面図(最良の形態5)。
【符号の説明】
【0029】
1 コンベアベルト、2 ベースベルト、3 波桟(耳桟)、4 横桟、
5;6 締結手段、10 搬送面、11;51 ベース取付孔、
12 横桟取付孔(桟取付孔)、13:53 ベース座金、14 横桟座金、
15;55 ボルト、16;56 ナット。17 裏ベルト面(裏面)、
18;25 ボルト通し孔、19 外周縁、20 傾斜面、21 下周縁部、
22 孔縁、23 ボルト頭、24;61 収容凹部、26 下面、27 上面、
28 締結面、32;42 取付フランジ、52 波桟取付孔(桟取付孔)、
54 波桟座金、62 被覆材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースベルトと、ベースベルトの搬送面の幅方向の両側部にベースベルトの搬送面の長手方向に沿って延長して設けられた耳桟と、ベースベルトの搬送面の長手方向に沿って所定間隔毎に搬送面より突出するように複数設けられて搬送面を仕切る横桟とを備えたコンベアベルトにおいて、耳桟及び横桟のうちの1つ以上とベースベルトとが締結手段により取付けられたことを特徴とするコンベアベルト。
【請求項2】
ベースベルトと、ベースベルトの搬送面の幅方向の両側部にベースベルトの搬送面の長手方向に沿って延長して設けられた耳桟と、ベースベルトの搬送面の長手方向に沿って所定間隔毎に搬送面より突出するように複数設けられて搬送面を仕切る横桟とを備えたコンベアベルトにおいて、耳桟及び横桟のうちの1つ以上とベースベルトとが締結手段と接着との併用によって取付けられたことを特徴とするコンベアベルト。
【請求項3】
締結手段が、ベースベルトの裏面と表面とに跨って貫通するベース取付孔と、耳桟又は横桟に設けられたベースベルトに対する取付フランジの下面と上面と跨って貫通する桟取付孔と、ベースベルトの裏面に位置されるベース座金と、ベースベルトの裏面側からベース座金のボルト通し孔、ベース取付孔、桟取付孔に貫通されたボルトと、桟取付孔より突出するボルトの先端部に締結されたナットとを備え、ボルトとナットとが互いに締結された状態において、ベース座金が、ベースベルトの裏面より突出するボルトの頭をベース座金より下方に突出しないようにボルトの頭を収容した収容凹部を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンベアベルト。
【請求項4】
締結手段が、ベースベルトの裏面と表面とに跨って貫通するベース取付孔と、耳桟又は横桟に設けられたベースベルトに対する取付フランジの下面と上面と跨って貫通する桟取付孔と、ベースベルトの裏面に位置されるベース座金と、ベースベルトの裏面側からベース座金のボルト通し孔、ベース取付孔、桟取付孔に貫通されたボルトと、桟取付孔より突出するボルトの先端部に締結されたナットとを備え、ボルトとナットとが互いに締結された状態において、ベース座金が、ベースベルトの裏面と接触する外周縁と、外周縁からベースベルトの裏面より離れる方向に傾斜してベースベルトの裏面とのなす角度として鈍角を形成する傾斜面とを備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンベアベルト。
【請求項5】
締結手段が、ベースベルトの裏面と表面とに跨って貫通するベース取付孔と、耳桟に設けられたベースベルトに対する取付フランジの下面と上面と跨って貫通する耳桟取付孔と、ベースベルトの裏面に位置されるベース座金と、耳桟の取付フランジの上面に位置される耳桟座金と、ベースベルトの裏面側からベース座金のボルト通し孔、ベース取付孔、耳桟取付孔及び耳桟座金のボルト通し孔に貫通されたボルトと、耳桟座金のボルト通し孔より突出するボルトの先端部に締結されたナットとを備え、ボルトとナットとが互いに締結された状態において、ベース座金が、ベースベルトの裏面と接触する外周縁と、外周縁からベースベルトの裏面より離れる方向に傾斜してベースベルトの裏面とのなす角度として鈍角を形成する傾斜面と、傾斜面の最下端に位置した下周縁部と、下周縁部より孔縁に延長するよう形成されてボルトの頭が下周縁部より下方に突出しないようにボルトの頭を収容した収容凹部とを備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンベアベルト。
【請求項6】
締結手段が、ベースベルトの裏面と表面とに跨って貫通するベース取付孔と、横桟に設けられたベースベルトに対する取付フランジの下面と上面と跨って貫通する横桟取付孔と、ベースベルトの裏面に位置されるベース座金と、横桟の取付フランジの上面に位置されて複数のボルトを貫通させるために下面と上面とに跨って貫通するよう形成された複数のボルト通し孔を備えた横桟座金と、ベースベルトの裏面側からベース座金のボルト通し孔、ベース取付孔、横桟取付孔及び横桟座金のボルト通し孔に貫通されたボルトと、横桟座金のボルト通し孔より突出するボルトの先端部に締結されるナットとを備え、ボルトとナットとが互いに締結された状態において、横桟座金が、横桟の取付フランジの上面である傾斜面と互いに接触する傾斜面からなる下面と、ナットの締結面と接触する上面とを備え、ベース座金が、ベースベルトの裏面と接触する外周縁と、外周縁からベースベルトの裏面より離れる方向に傾斜してベースベルトの裏面とのなす角度として鈍角を形成する傾斜面と、傾斜面の最下端に位置した下周縁部と、下周縁部より孔縁に延長するよう形成されてボルトの頭が下周縁部より下方に突出しないようにボルトの頭を収容した収容凹部とを備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンベアベルト。
【請求項7】
締結手段が、ベースベルトの裏面側からベースベルトに形成されたベース取付孔及び耳桟あるいは横桟に設けられたベースベルトに対する取付フランジに形成された取付孔を貫通するボルトと、取付フランジに形成された取付孔より突出するボルトの先端部に締結されたナットとを備え、ベースベルトの裏面に位置されたボルトの頭が被覆材により被覆されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンベアベルト。
【請求項8】
締結手段が、ベースベルトの裏面側からベースベルトに形成されたベース取付孔及び耳桟あるいは横桟に設けられたベースベルトに対する取付フランジに形成された取付孔を貫通するボルトと、取付フランジに形成された取付孔より突出するボルトの先端部に締結されたナットとを備え、ベース取付孔におけるベースベルトの裏面には、ボルトの頭がベースベルトの裏面より突出しないようにボルトの頭を収容する収容凹部が形成され、ボルトとナットとが互いに締結された状態において、ボルトの頭が収容凹部に収容されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンベアベルト。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate