説明

コンロ付調理台装置

【課題】 椅子に座っての電気発熱体によるコンロ調理作業が快適且つ安全に行えると共に、燃焼式発熱体によるコンロ調理作業が直火から離れて安全に行える。
【解決手段】 調理台1上面に設けたコンロ2を、少なくとも2つ以上の発熱体3を並列配置することで構成する。この2つ以上の発熱体3を電気発熱体3aと燃焼式発熱体3bで構成する。電気発熱体3aの下方にニースペース4を形成し、燃焼式発熱体3bの下方に調理台キャビネット5aを配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニースペースを有するコンロ付調理台装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ニースペースを有するコンロ付調理台装置として特許文献1、特許文献2等が知られている。
【0003】
上記特許文献1、特許文献2に示された従来例は、調理台の上面にコンロを配置し、このコンロの下方にニースペースを形成し、椅子に座った作業者が該ニースペースに膝を入れることができるような構成としている。上記特許文献1においては、調理台上面に配置したコンロの手前側に左右方向に2つの発熱体を配置すると共に、該2つの発熱体間の後方に1つの発熱体を配置している。また、特許文献2においては、左右方向に複数の発熱体を配置している。
【0004】
上記特許文献1、特許文献2に示された従来例において、コンロ下方に形成したニースペースは、コンロの左右方向の全巾にわたって形成している。これらの従来例において、椅子に座った使用者がニースペースに膝を入れてコンロ調理作業を行なう場合、発熱体がガスバーナのような燃焼式発熱体であると、使用者の上半身が、燃焼式発熱体の直火に近づき過ぎ、安全上問題が生じ、且つ、直火と上半身の距離が近いため、熱的な不快感が極めて高いものである。
【0005】
したがって、上記特許文献1、特許文献2に示されたニースペースを有するコンロ付調理台装置においては、直火の無い電気発熱体を用いることが望ましいものとなる。
【0006】
一方、調理内容によっては、直火で調理するのが好ましいものがあり、ニースペースを有するコンロ付調理台装置として、電気発熱体と燃焼式発熱体を並列配置するコンロを備えたものが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−319571号公報
【特許文献2】特開2003−180460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の従来例の問題点に鑑みて発明したものであって、直火加熱が可能な燃焼式発熱体と直火の無い電気発熱体の両方を使用可能であり、且つ、使用者が座位姿勢で使用する場合における安全性と熱快適性を向上させるコンロ付調理台装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のコンロ付調理台装置は以下のような構成となっている。
【0010】
調理台1上面に設けたコンロ2を、少なくとも2つ以上の発熱体3を並列配置することで構成する。該2つ以上の発熱体3を、電気発熱体3aと燃焼式発熱体3bで構成する。そして、本発明の特徴は、上記電気発熱体3aの下方がニースペース4となり、燃焼式発熱体3bの下方に調理台キャビネット5aを配置したことにある。
【0011】
このように電気発熱体3aの下方がニースペース4となっているので、椅子13に座った使用者Mが膝をニースペース4に入れて電気発熱体3aに近づいてコンロ調理作業ができ、椅子13に座っての電気発熱体3aを用いたコンロ調理作業の作業性が向上し快適且つ安全な調理が行なえる。また、燃焼式発熱体3bの下方に調理台キャビネット5aが配置してあるので、椅子13に座った使用者Mが燃焼式発熱体3bを使用する際、直火から遠ざかっての使用となって直火によるコンロ調理作業が安全に行なえる。
【0012】
また、少なくとも電気発熱体3aの奥の上方に、手前に開口6aを有する物品収納部6を設けることが好ましい。
【0013】
このような構成とすることで、椅子13に座った使用者Mがニースペース4に膝を入れた状態で、直火のない電気発熱体3aの奥の方に手を伸ばすことで物品収納部6内への物品の出し入れが容易にでき、奥の物品収納部6への収納作業性が向上する。
【0014】
また、少なくとも電気発熱体3aの奥の上方に、手前に開口7aを有する厨房用機器7を設けることが好ましい。
【0015】
このような構成とすることで、椅子13に座った使用者Mがニースペース4に膝を入れた状態で、直火のない電気発熱体3aの奥の方に手を伸ばすことで、奥に配置した厨房用機器7を用いた作業ができ、椅子13に座っての作業利便性が向上する。
【0016】
また、電気発熱体3aの手前、及び、電気発熱体3aの燃焼式発熱体3bと反対側の側方に広がる調理スペース8を設けることが好ましい。
【0017】
このような構成とすることで、電気発熱体3aの手前、及び、電気発熱体3aの燃焼式発熱体3bと反対側の側方に広がる調理スペース8を利用して、水作業、食材料理道具を用いる作業、コンロ調理作業、後片付け作業のすべてにおいて、ほぼ定位置に座った姿勢のまま、調理面上での上半身の姿勢を変えるだけの少ない動線移動で無理なく行うことができる。しかも、コンロ2の手前及び側方のスペースを利用して食器への盛り付けをしたり、コンロ2の手前及び側方の調理スペース8にコンロ2上の鍋やフライパンを移動でき、椅子13に座っての調理作業の利便性がより一層向上する。
【0018】
また、調理台1の少なくともコンロ2を配設した部分の奥行き寸法が50〜60cmであることが好ましい。
【0019】
このような構成とすることで、使用者Mが椅子13に座ってニースペース4に膝を入れた状態で、調理台1の奥の厨房用機器7や物品収納部6や上方吊戸棚に手を伸ばして届くようにでき、椅子13に座っての利便性が向上する。
【0020】
また、調理台1上面の燃焼式発熱体3bの電気発熱体3aと反対側の側方位置にコンロ2の廃気口9を設けることが好ましい。
【0021】
このような構成とすることで、椅子13に座っての調理作業、立ち姿勢での調理作業、あるいは調理台1を挟んだ対面作業において廃熱が不快、不安全にならない。
【0022】
また、調理台1上面に設けたコンロ2の廃気口9が、燃焼式発熱体3bの奥方にのみ設けてあることが好ましい。
【0023】
このような構成とすることで、椅子13に座っての調理作業、立ち姿勢での調理作業において廃熱が不快、不安全にならない。
【0024】
また、調理台1上面の奥の立面の少なくとも燃焼式発熱体3bに対応した位置に換気吸引口11を設けることが好ましい。
【0025】
このような構成とすることで、廃気ガス、熱の排出を発生源に最も近い処で吸引できる。
【0026】
また、コンロ2の操作部12が、コンロ2手前の燃焼式発熱体3bの手前側に片寄って調理台1前面に配置されていることが好ましい。
【0027】
このような構成とすることで、椅子13に座ってのコンロ調理作業において、コンロ2の操作部12が邪魔にならず、快適に作業ができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、上記のように電気発熱体の下方はニースペースとなり、燃焼式発熱体の下方は調理台キャビネットを配置したので、椅子に座っての電気発熱体によるコンロ調理作業が、ニースペースに膝を入れて電気発熱体に身体を近づけて作業性良く且つ安全に行え、また、燃焼式発熱体によるコンロ調理作業が直火から離れて安全に熱的不快感無く行え、この結果、椅子に座ってのコンロ調理作業において、電気発熱体による加熱調理、直火を用いた燃焼式発熱体による加熱調理を選択して調理内容に応じた最も好ましい加熱調理作業ができると共に、いずれの加熱調理作業も安全を確保し且つ熱的不快感を排除して快適に加熱調理ができ、椅子に座ってのコンロ加熱調理の利便性が優れている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のコンロ付調理台装置の一実施形態の斜視図である。
【図2】同上の椅子に座っての使用状態を説明する平面図である。
【図3】同上の椅子に座っての使用状態を説明する断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態の斜視図である。
【図5】同上の断面図である。
【図6】本発明の更に他の実施形態の斜視図である。
【図7】同上の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0031】
図1乃至図3には本発明の一実施形態が示している。
【0032】
調理台1は左右両側の調理台キャビネット5(5a、5b)の上にカウンター14を設けて構成したもので、カウンター14の下方の上記左右両側の調理台キャビネット5a、5b間がニースペース4となっている。
【0033】
調理台1上面を構成するカウンター14には調理面15、コンロ2、シンク16を設けており、添付図面の実施形態では、カウンター14の左右方向の中央部が調理面15となり、該調理面15の一側方にコンロ2を配設し、調理面15の他側方にシンク16を配設している。
【0034】
コンロ2は薄箱状をした本体部の上面にコンロ天板17を設けて主体が構成してあり、カウンター14に設けた開口部にコンロ2の主体部を嵌め付けて組み込むと共に、カウンター14部分にコンロ2のコンロ天板17を露出させている。コンロ天板17には複数の発熱体3を左右方向に並列配置している。
【0035】
上記コンロ2に並列配置する複数の発熱体3は、電磁誘導発熱体やその他の電気を用いた発熱体等の電気発熱体3aと、ガスバーナのような燃焼式発熱体3bよりなる。
【0036】
添付図面に示す実施形態では、左右方向に3個の発熱体3を並列配置し、この3個の発熱体3のうち、右側と中間に位置する各発熱体3が電気発熱体3aよりなり、左側に位置する発熱体3が燃焼式発熱体3bとなっている例が示してある。
【0037】
カウンター14のコンロ2を設けた部分の手前側の部位はコンロ手前調理面18となっており、コンロ2はこのコンロ手前調理面18の奥側に位置している。
【0038】
このコンロ2の手前のコンロ手前調理面18は、カウンター14の燃焼式発熱体3b側の端部から、シンク16側方の調理面15に渡り、連続的に拡がる調理スペース8を形成しており、シンク16での水作業からコンロ2での加熱調理作業にかけての作業動線すべてにおいて該連続的に拡がる調理スペース8を利用して作業できるように構成されている。
【0039】
左右両側の調理台キャビネット5a、5bのうち、一方の調理台キャビネット5aはコンロ2の燃焼式発熱体3bの下方に位置し、他方の調理台キャビネット5bは、シンク16の下方に配置され、カウンター14の左右端において、床面からの支持として備わっている。
【0040】
したがって、実施形態では、カウンター14の下方に形成されるニースペース4は、調理面15の下方と、コンロ2の左右方向における電気発熱体3aの下方と、シンク16の左右方向における調理面15に近い方の片側の下方とにわたって形成される。
【0041】
ここで、ニースペース4は、調理台1におけるカウンター14の下方位置において、使用者が椅子13等に座った座位姿勢にて、少なくとも膝から大腿部の中ほどまでが収まる高さ及び奥行きを有する空所として形成されていることが望まれる。そのため、例えば、ニースペース4天面の高さは、一般的な使用者の体格を考慮すると床上500mm以上でカウンター14下面より下になるように設定されると良い。また、ニースペース4の奥行きについても、使用者が座位姿勢で膝をニースペース4内に差し入れてコンロ2奥まで手が届くような作業を行うことの利便性を考慮すると、例えば、カウンター14の前端から500mm以上後退したものとして設定されるのが好ましい。
【0042】
コンロ2の操作部12は、コンロ2手前の燃焼式発熱体3bの手前側に片寄って配置してあり、調理面15と隣接する電気発熱体3aの手前には設けてない。図1、図2に示す実施形態では、カウンター14の前面のコンロ2手前に対応する部位のうち、燃焼式発熱体3bの手前に対応する部位と、コンロ2の左右方向の略中間部の手前に対応する部位にわたってコンロ2の操作部12が設けてある。ここで、カウンター14の前面のコンロ2手前に対応する部位に設ける操作部12は、該操作部12の左右方向の巾のうち1/2以上を、燃焼式発熱体3bの手前に対応する部位に設けるのが好ましい。
【0043】
もちろん、カウンター14の前面のコンロ2手前に対応する部位のうち、燃焼式発熱体3bの手前に対応する部位に、コンロ2の操作部12の全部又はほぼ全部を設けてもよい。
【0044】
このように、コンロ2の操作部12は、コンロ2手前の燃焼式発熱体3bの手前側に片寄って配置することで、椅子13に座った使用者Mが膝をコンロ2の電気発熱体3aの下方のニースペース4に入れて上半身をカウンター14のコンロ2における電気発熱体3aを設けた部分に近づけても、操作部12が側方に位置して操作部12が邪魔にならず、また、身体が操作部12に誤って触れて誤操作を行うことが少ない。
【0045】
なお、操作部12を燃焼式発熱体3bの手前で且つカウンター14の前面に設けた場合、操作部12の一端部は椅子13に座ってのコンロ調理作業時に、身体と接触することも想定されるが、例えば、操作部12が前方と奥方に自在に出没スライド、あるいは回動するような機構を併せもつものであれば何らの支障もなく、また、コンロ2を使用しない場合における干渉物を少なくでき、外観もよい。
【0046】
また、操作部12を図1、図2に示す実施形態のように、カウンター14の上面ではなく、前面に設けることで、コンロ2手前のコンロ手前調理面18を全面的に作業スペースとして使うことができるようにしている。
【0047】
ニースペース4には椅子13が出し入れ自在となっている。椅子13は、図1に示すように、椅子本体部22の上面部に座部24を設けると共に下端部にキャスター21を設け、また、椅子本体部22の正面側に化粧板23を設けて構成してあり、該化粧板23は調理台キャビネット5に設けた引き出し30の前面パネルや扉等と同じ表面仕上げをして外観を統一している。
【0048】
上記構成の調理台装置は、ニースペース4を設けてあるので、椅子13に座って調理作業を行う場合と、椅子13に座らず立って調理作業を行う場合のいずれにも対応できる。
【0049】
以下、上記椅子13に座って調理作業を行う場合につき説明する。
【0050】
使用者Mが椅子13に座って膝をニースペース4に入れ、椅子13に座った使用者Mの上半身をカウンター14の前端部に近づけて、調理面15での調理作業、コンロ2を用いてのコンロ調理作業、シンク16を用いての水作業を行う。
【0051】
この場合、調理面15のほぼ正面で椅子13に座り、膝を深くニースペースに入れたまま、この位置で上半身のみをコンロ2あるいはシンク16の方向に向けるのみで、シンク16での水作業、調理面15での準備片付け作業、コンロ2での加熱調理作業の全ての調理作業が最小限の動線でおこなえる。
【0052】
また、椅子13の位置をコンロ2寄りにして、使用者Mの腹部がコンロ2の操作部12に触れる位置では、コンロ2の端の燃焼式発熱体3bを用いる加熱調理作業においても、手先が燃焼式発熱体3bに届く姿勢が得られるので、楽に直火の加熱調理作業がおこなえる。
【0053】
この時、使用者Mの脚は、一方の調理台キャビネット5aに当接し、使用者Mの身体は、燃焼式発熱体3b方向には近づけないため、上半身は必然的に燃焼式発熱体3bすなわち直火から遠ざかることができる。
【0054】
このように、椅子13に座った使用者Mが、電気発熱体3aを配置した部分の下方のニースペース4に膝を入れて上半身を調理台1に近づけても、直火のない電気発熱体3aに近づくため安全且つ快適に電気発熱体3aを用いたコンロ調理作業ができる。
【0055】
また、椅子13に座って燃焼式発熱体3bを用いた加熱調理を行なう場合、燃焼式発熱体3bの下方に調理台キャビネット5aを設けても、図2示すように、燃焼式発熱体3bを用いた直火でのフライパン作業(フライパン30の柄31を手で掴んで行なう作業)などは十分手が届く範囲にあり、調理種類により直火が必要な場合であっても、椅子13に座ってのコンロ調理作業を妨げることがない。しかも、このように、椅子13に座って燃焼式発熱体3bを用いたフライパン作業などの加熱調理を行なう場合、燃焼式発熱体3bの下方に調理台キャビネット5aがあるため、椅子13に座った使用者Mが膝を入れることができず、椅子13に座った使用者Mが直火から遠ざかることになり、安全性が担保されるとともに、調理熱や油煙からも遠ざかることができ快適な作業環境を得ることとなる。
【0056】
添付図面に示す実施形態では、調理台1上面のコンロ2の手前側にコンロ手前調理面18を設けているので、図3に示すように、コンロ2の発熱体3にフライパン30を載せても柄31が調理台1前端より飛び出さず、椅子13に座った使用者Mの上半身を調理台1の前端部に近づけてコンロ調理作業ができる。
【0057】
また、コンロ調理作業の際にコンロ2の電気発熱体3a部分の手前のコンロ手前調理面18上又は上方に椅子13に座った使用者Mの肘や腕を位置させてコンロ調理作業を行うことができ、肘を後ろに引いた窮屈な姿勢を取ることなく、楽な姿勢で椅子13に座ってのコンロ調理作業ができる。
【0058】
しかも、椅子13に座ってコンロ2での加熱調理作業を行う際、コンロ2手前のコンロ手前調理面18を利用して、調味料や、皿、スプーン等を置いて、味付けなどの加熱調理作業に関した一連の作業を行うことができる。
【0059】
また、このコンロ2の手前から側方にコンロ手前調理面18及び調理面15が連続するので、コンロ手前調理面18と調理面15とが合わされて広い調理スペース8を形成でき、特に、椅子13に座ってのコンロ調理作業において、該コンロ2手前のコンロ手前調理面18及びコンロ2側方の調理面15を利用して食器への盛り付けを行ったり、コンロ2の手前及び側方とコンロ2との間で鍋やフライパン等の被加熱体の移動ができ、椅子13に座ってのコンロ調理作業が短い作業動線でスムーズに行える。
【0060】
ここで、図1、図2のように、コンロ2に左右方向に並列配置した2つの電気発熱体3aのうち、面積の大きい電気発熱体3a1と、面積の小さい電気発熱体3a2とを並列配置し、該並列配置した面積の異なる電気発熱体3a1、3a2の後端を調理台1の前縁と平行な仮想線L(図2に示す)上に揃え又は略揃えるのが好ましい。この場合、調理面15に近い方に面積の小さい方の電気発熱体3a2を位置させる。
【0061】
面積の小さい方の電気発熱体3a2の前端とコンロ天板17の前端との間の前後長さを拡げることができ、且つ、このコンロ天板17の面積の小さい方の電気発熱体3a2の手前の上記広くなった領域と側方の調理面15を連続できる。
【0062】
この結果、面積の小さい電気発熱体3a2の前端からカウンター14の前端までの長さ(つまりコンロ2の手前側に形成するコンロ手前調理面18の前後長さを合わせた長さ)を長く確保でき、発熱体3の手前の活用スペースが拡がると共に、側方の調理面15との連続した調理作業面がより一層拡がり、作業性、特に、椅子13に座っての作業性が向上する。
【0063】
また、コンロ天板17における面積の小さい電気発熱体3a2の手前スペースの前後長さが長くなるので、この部分に鍋を一時的に仮置きしたり、食材調理材を一時的に仮置きするための仮置きスペースとすることも可能となって、より一層利便性が向上する。
【0064】
ところで、調理台1は少なくともコンロ2を配設した部分の奥行き寸法を50〜60cmとするのが好ましい。この50〜60cmは、成人が腕を前に水平に伸ばした姿勢での胸元から手までの寸法である。
【0065】
これにより椅子13に座った使用者Mがニースペース4のコンロ2の電気発熱体3a下方の部分に膝を入れて上半身をカウンター14の前端部に近づけてコンロ調理作業を可能とする姿勢において、手を伸ばすことで、調理台1の奥の厨房用機器7や物品収納部や調理台上方の吊戸棚(図示せず)に手を伸ばして届くようにできる。
【0066】
図1乃至図3には調理台1上面の少なくともコンロ2を設けた部分の奥に壁体10を設けており、該壁体10の前面が調理台1の奥の上方に立ち上がった立面を構成している。図1乃至図3の実施形態では対面式のキッチンにおける仕切りキャビネットが壁体10を構成している例を示しているが、上記壁体を建物の壁自体で構成してもよい。
【0067】
該壁体10の燃焼式発熱体3bの奥に位置する部分には前面に開口した物品収納部を設けず、壁体10の電気発熱体3aの奥に位置する部分に手前側に開口7aを設けた厨房用機器7を設けている。壁体10の燃焼式発熱体3bの奥に位置する部分は、耐熱と断熱性に優れた材質を用いた化粧板であって、この部分は対面側から出し入れ自在な物品収納部であってもよい。また、壁体10のコンロ2の奥に位置する部分以外の部分に図1のように前方に開口6aを設けた物品収納部6を設けてもよい。
【0068】
壁体10の電気発熱体3aの奥に位置する部分に設ける厨房用機器7としては、例えば、食器乾燥機、食器洗浄機、あるいは、電子レンジ、オーブン、トースタ等の加熱調理機器等を挙げることができる。図1、図3に示す実施形態では食器乾燥機の例を示している。
【0069】
そして、椅子13に座った使用者Mが膝をニースペース4に入れた状態で、直火のない電気発熱体3aの奥の方に手を伸ばすことで、奥の立面に配置した厨房用機器7の開口7aから厨房用機器7内部に調理道具や食材を出し入れしたり、厨房用機器7の操作を行うことができ、この奥の立面に配置した厨房用機器7を用いた作業が安全且つ容易に行なえる。
【0070】
厨房用機器7の開口7aには扉19が設けてあるが、該扉19は開いた状態で前方に突出して発熱体3の上方を覆わないようになっていて、安全性を確保し、また、コンロ調理作業を含む調理作業の邪魔にならないようにしている。図1、図3に示す実施形態では、扉19を上下に移動させる場合の一例を示しており、この実施形態では、厨房用機器7の扉19を開く場合、図1、図3の二点鎖線に示すように一旦上方に回動して開いた後に、厨房用機器7の庫内奥方に格納するようになっている。扉19を閉じるには上記とは逆に扉19を手前に引出し、次に、下方に回動することで閉じる。
【0071】
扉19の開成時に、手前に突出したままにならないようにするに当たり、例えば、平行リンク機構を用いたアップステーによる回動跳ね上げ式によるもの等、あるいは、上下方向あるいは左右方向に開閉動作する幕やシャッターによるもの等、開閉機構は、様々な種類が選択されて支障はない。
【0072】
また、扉19の開成時に、扉19が各調理台キャビネットもしくは機器の内部に存置するタイプのものは、手前空間を占領しないだけではなく、左右に隣接する物品取出し空間を占領することがなく、また、椅子13に座っての作業時、立位作業時、あるいは、対面からの作業時においても、開成された扉19が障害物となることがなく、より快適である。
【0073】
図4、図5には調理台1上面の少なくともコンロ2を設けた部分の奥に設けた壁体10の、コンロ2の電気発熱体3aを設けた部分の奥に手前側に出し入れ用の開口6aを設けた物品収納部6を設けた例が示してあり、椅子13に座った使用者Mが膝をニースペース4に入れた状態で、手を伸ばすことで直火のない電気発熱体3aの奥の開口6aから物品収納部6内に物品の出し入れを安全且つ容易に行なえるようにしている。
【0074】
この物品収納部6の開口6aには扉19を設けており、この扉19は開閉に当たって左右方向に移動するような構成となっていて、扉19が手前側に飛び出して邪魔にならないようになっている。
【0075】
なお、扉19が手前側に飛び出さない点では、左右方向の移動、上下方向の移動いずれでもよいが、扉19を左右方向に移動する操作は着座姿勢でスムーズに行えるのに対し、上下上げ下げ扉は着座姿勢では力が入り難いので、左右方向に移動する扉19を設ける方がより好ましい。
【0076】
本実施形態においても、壁体10の燃焼式発熱体3bの奥に位置する部分は、耐熱と断熱性に優れた材質を用いた化粧板であって、この部分は対面側から出し入れ自在な物品収納部であってもよい。
【0077】
なお、図示を省略しているが、調理台1上面の少なくともコンロ2の電気発熱体3aを設けた部分の奥の上方に、前方に開口6aを設けた物品収納部6及び開口7aを設けた厨房用機器7を並設してもよい。
【0078】
調理台1上面を構成するカウンター14又はコンロ天板17にはコンロ2の廃気口9が設けてある。図1、図2に示す実施形態では、調理台1上面の燃焼式発熱体3bの電気発熱体3aと反対側の側方位置にコンロ2の廃気口9を設けてあり、これにより、椅子13に座っての調理作業、立ち姿勢での調理作業、あるいは調理台1を挟んだ対面作業において、コンロ2の廃気口9が離れて位置することになってコンロ2からの廃熱(電磁誘導発熱体のような電気発熱体3aの駆動部からの発熱や、燃焼式発熱体3bのバーナ部分の発熱、グリルのような加熱庫を設けた場合には加熱庫からの廃気)が不快、不安全にならない。
【0079】
特に、上記のように、調理台1の奥の上方に物品収納部6又は厨房用機器7を設けるものにおいて、調理台1上面の燃焼式発熱体3bの電気発熱体3aと反対側の側方位置にコンロ2の廃気口9を設けることで、奥の物品収納部6又は厨房用機器7に腕を伸ばしてアクセスする際、腕が上記廃気口9の直上方を横切ることがなく、伸ばした腕が廃気口9から出る高温の廃気に曝されず、不快がなく且つ安全であり、また、廃気が奥の物品収納部6又は厨房用機器7側に流れないようにできて、廃気による物品収納部6内に収納した収納物あるいは厨房用機器7への悪影響を回避できる。
【0080】
図6、図7には本発明の他の実施形態が示してある。本実施形態においては、コンロ2の廃気口9を、燃焼式発熱体3bの奥方にのみ設けており、椅子13に座っての調理作業、立ち姿勢での調理作業において廃熱が不快、不安全にならないようにしている。
【0081】
この図6に示す実施形態では、更に、調理台1上面の奥に設ける壁体10の少なくとも燃焼式発熱体3bに対応した位置に換気吸引口11が設けてある。
【0082】
上記壁体10にファン25を有する換気装置26が内装してあり、該換気装置26のフード27を壁体10の前面に露出するように設け、この壁体10の前面に設けたフード27に換気吸引口11を形成している。
【0083】
ファン25を運転することで、コンロ2の廃気口9からの廃熱である電気発熱体3aの駆動部の発熱や燃焼式発熱体3bのバーナの発熱等のコンロ2から発生する熱の廃熱や、コンロ調理作業を行った際に発生する熱気、蒸気等を熱気や蒸気等を、発生源に近い距離で発生源より奥の方に吸引して廃気することができ、特に、燃焼式発熱体3bの燃焼廃気を発生源である燃焼式発熱体3bの奥の方に吸引して廃気することができる。
【0084】
この結果、使用者Mが椅子13に座っての利用でも上半身側にコンロ2の廃気口9からの廃熱や、蒸気や油煙や、燃焼式発熱体3bの燃焼廃気が手前に流れることも少なく、上半身が高温、調理油煙に晒されることもなく快適性に優れる。
【0085】
また、図6に示す実施形態では、燃焼式発熱体3bの下の調理台キャビネット5aの巾をコンロ2の正面の操作部12とほぼ等しくなる巾まで小さい巾とし、調理台1全体のニースペース4領域を広げている。
【0086】
更に、図6に示す実施形態において、コンロ2の操作部12は、コンロ天板17の燃焼式発熱体3bの領域の幅に略一致する幅に形成されている。これにより、座位姿勢の使用者Mは、左右方向最大限の幅で形成されるニースペース4を活用することができ、かつ燃焼式発熱体3bすなわち直火からの安全性、快適性も前述のように確保できるものである。
【0087】
更に、燃焼式発熱体3bの下の調理台キャビネット5aの奥には燃焼式発熱体3b用のガス配管35を配置している。
【0088】
図6に示す実施形態では、換気装置26を内装した壁体10は、対面式キッチンの仕切りを兼ねて構成され、この壁体10は調理台1のコンロ2を設けた部分の奥に対応する部分にのみ設けてあり、壁体10の側方には、キッチンのシンク16に対面する作業台あるいはテーブルのような対面カウンター32が設けてある。
【0089】
上記例では換気装置26を内装する壁体10が対面式キッチンの仕切りを構成している例を示したが、換気装置26が建物の壁内に埋め込まれたものであってもよく、この場合は、建物の壁が壁体10を構成するものとなる。
【符号の説明】
【0090】
1 調理台
2 コンロ
3 発熱体
3a 電気発熱体
3b 燃焼式発熱体
4 ニースペース
5 調理台キャビネット
6 物品収納部
6a 開口
7 厨房用機器
7a 開口
8 調理スペース
9 廃気口
10 壁体
11 換気吸引口
12 操作部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理台上面のコンロは、少なくとも2つ以上の発熱体が並列配置され、該2つ以上の発熱体が電気発熱体と燃焼式発熱体で構成され、電気発熱体の下方はニースペースとなり、燃焼式発熱体の下方は調理台キャビネットを配置して成ることを特徴とするコンロ付調理台装置。
【請求項2】
少なくとも電気発熱体の奥の上方に、手前に開口を有する物品収納部を設けて成ることを特徴とする請求項1記載のコンロ付調理台装置。
【請求項3】
少なくとも電気発熱体の奥の上方に、手前に開口を有する厨房用機器を設けて成ることを特徴とする請求項1記載のコンロ付調理台装置。
【請求項4】
電気発熱体の手前、及び、電気発熱体の燃焼式発熱体と反対側の側方に広がる調理スペースを設けて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のコンロ付調理台装置。
【請求項5】
調理台の少なくともコンロを配設した部分の奥行き寸法が50〜60cmであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のコンロ付調理台装置。
【請求項6】
調理台上面の燃焼式発熱体の電気発熱体と反対側の側方位置にコンロの廃気口を設けて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のコンロ付調理台装置。
【請求項7】
調理台上面に設けたコンロの廃気口が、燃焼式発熱体の奥方にのみ設けてあることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のコンロ付調理台装置。
【請求項8】
調理台上面の奥の立面の少なくとも燃焼式発熱体に対応した位置に換気吸引口を設けて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のコンロ付調理台装置。
【請求項9】
コンロの操作部が、コンロ手前の燃焼式発熱体の手前側に片寄って調理台前面に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のコンロ付調理台装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−45509(P2011−45509A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196064(P2009−196064)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】