説明

コンロ用バーナ

【課題】掃除等の手入れが容易に行えるだけでなく良好な燃焼が得られる構造簡単なコンロ用バーナを提供する。
【解決手段】底部8の中央部に上下方向に延設された円筒状のスロート部9を有するバーナボディ5と、バーナボディ5上に装着して炎孔を形成するバーナキャップ6と、バーナボディ5を保持するホルダ7とを設ける。ホルダ7は、燃料ガスを上方に噴出させるノズル31を有する基部27と、基部27の一側部に立設された支持片28と、支持片28から横方向に延びて基部27に対向してバーナボディを支持する座板29と、バーナボディ5のスロート部9を挿着するスロート挿着部35とを備える。基部27と座板29とは支持片28を介して一体に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロ用バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天板上に取り付けられるバーナボディと、バーナボディの上部に装着されるバーナキャップと、天板の下部に位置してノズルを保持するホルダとを備え、天板を挟んでバーナボディとホルダとがネジ部材により連結されたコンロ用バーナが知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
このコンロ用バーナは、バーナキャップの裏面中央部がスロート部の上端に所定の間隙を存して対向し、スロート部に連なる環状のチャンバが画成されると共に、このチャンバの外周部に周方向の間隔を存して多数の炎孔が画成されるようになっている。
【0004】
そして、スロート部の下方に設けられたノズルからスロート部の下端開口に向けて燃料ガスが噴射されると、スロート部の下端開口から燃料ガスと共に一次空気が吸い込まれ、スロート部で混合されて混合ガスがスロート部の上端からチャンバを経て炎孔に供給される。このような構成によれば、バーナの小型軽量化を図ることができる等の利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2006−526126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来のものでは、天板を挟んでバーナボディとホルダとがネジ部材により連結される構造であるので、ネジ部材の弛み等によりバーナボディとホルダとの組み付け誤差やずれが生じると、ノズルの軸線とスロート部の軸線とに位置ずれが生じ、スロート部における燃料ガスと一次空気との混合が不十分となって燃焼不良となるおそれがある。
【0007】
また、掃除等の手入れを行う際にバーナボディを天板上から取り外す場合に、ネジ部材によるホルダとの連結を解除する作業が煩わしく、また、手入れ後にバーナボディとホルダとをネジ部材により連結させる作業も煩わしい不都合がある。
【0008】
また、上記従来のものでは、ネジ部材によるバーナボディとホルダとの連結位置が炎孔の直近に位置しているので、バーナボディの熱が高温の状態でホルダに伝達される。このため、ホルダに保持されたノズルが加熱されて熱膨張等に伴うノズル口径の変化が生じ、この影響で燃料ガスが所望の噴射量とならず、良好な燃焼が得られないおそれがある。
【0009】
上記の点に鑑み、本発明は、掃除等の手入れが容易に行えるだけでなく良好な燃焼が得られる構造簡単なコンロ用バーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のコンロ用バーナは、円板状の底部を上下方向に貫いて延設された円筒状のスロート部を有するバーナボディと、該バーナボディ上に着脱自在に装着して外周に複数の炎孔を形成するバーナキャップと、前記バーナボディを着脱自在に保持するホルダとを備え、前記ホルダは、燃料ガスを上方に噴出させるノズルが設けられた基部と、該基部の一側部に立設された支持片と、該支持片から横方向に延びて前記基部に対向し、前記基部から離間した位置に前記バーナボディを支持する座板と、該座板に形成され、該座板に支持された前記バーナボディのスロート部を挿着するスロート挿着部とを備え、前記基部と前記座板とは前記支持片を介して一体に形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、バーナボディのスロート部をスロート挿着部に挿入するだけでホルダにバーナボディを保持させることができる。このため、従来のようにネジ止め作業等が不要であるだけでなく、ネジ止めによる組み付け精度の低下も防止することができ、掃除等の手入れを容易に行うことができる。しかも、ホルダを構成する基部、支持片及び座板が一体に形成されていることにより部品点数が少なく構造も簡単となり、容易に小型軽量化を図ることができる。
【0012】
また、ホルダの基部、支持片及び座板が一体であることで、基部に設けられたノズルとスロート挿着部との位置ずれは生じない。そして、このスロート挿着部にバーナボディのスロート部を挿着したときには、スロート部の動きがスロート挿着部で規制される。従って、スロート部とノズルとの位置ずれも生じない。これによって、バーナボディをホルダにセットした際に、スロート部とノズルとが極めて高精度に位置決めされるので、スロート部とノズルとの位置ずれに伴う燃焼不良を確実に防止することができる。
【0013】
更に、ホルダに保持されたバーナボディは、スロート部がホルダの座板の一部に設けられたスロート挿着部にのみ接する。これにより、従来のように炎孔の直近でバーナボディとホルダとが連結される構成のものに比べて、バーナボディからホルダへの熱の伝達を抑えることができ、ノズルの加熱によるノズル口径の変化を防止して良好な燃焼を得ることができる。
【0014】
また、本発明において、前記ホルダの座板は、前記スロート挿着部の外周に沿って上方に突出する円筒状の突出部を備え、該突出部の上縁に前記バーナボディの底部を着座させることにより該バーナボディを支持することを特徴とする。
【0015】
ホルダの座板に突出部を設け、突出部の上端縁にバーナボディを着座させるようにしたので、バーナボディのスロート部の外周部とホルダの突出部との接触部分が極めて小さくなり、バーナボディからホルダへの熱の伝達を小さくしてノズルの熱膨張によるノズル口径の変化を抑制することができる。
【0016】
更に、突出部はホルダの座板上に突出して設けられるので、例えば、天板の上方に向かって突出させることができる。この場合には、バーナボディをホルダから取り外した状態で目視による突出部の確認が容易となる。従って、掃除等の手入れの後に、バーナボディをホルダにセットするときには、バーナボディのスロート部をこの突出部を介してスロート挿着部に的確に挿入することができ、ホルダにバーナボディをセットする作業を極めて容易に行うことができる。更に、突出部によってその内側への煮汁等の異物が侵入し難く、ノズルへの異物の付着等も防止できる。
【0017】
また、このとき、前記突出部は、前記バーナボディの底部に当接する当接部と、前記バーナボディの底部と非接触となる非接触部とを備えることが好ましい。
【0018】
これによれば、前記非接触部がバーナボディの底部と非接触となるので、バーナボディとホルダとの接触面積は極めて小さくなる。これにより、ノズルへの熱の伝達を確実に抑制することができる。
【0019】
しかも、例えば、加熱調理時に鍋から吹きこぼれた煮汁がバーナボディの底部側に回り込んでも、バーナボディとホルダとの接触面積は極めて小さいことによりバーナボディとホルダとが煮汁により固着することが防止でき、ホルダからのバーナボディの取り外しが円滑に行えるので、掃除等の作業を容易に行うことができる。
【0020】
更に、前記突出部の一部に係合部を設け、前記バーナボディの底部に前記係合部に係合して位置決めされる被係合部を設けることが好ましい。前記突出部の一部に設ける係合部としては、例えば、切欠き又は突起とし、前記バーナボディの底部に設ける被係合部としては、例えば、突出部の切欠きに係合する突起或いは突出部の突起に係合する切欠きとすることが挙げられる。
【0021】
これによれば、バーナボディをホルダにセットしたとき、突出部の係合部にバーナボディの被係合部が係合するので、ホルダに対するバーナボディの不用意な回転を防止することができる。従って、従来のようにネジ部材等を用いることなくバーナボディがホルダに保持された状態を高精度に維持することができる。
【0022】
更に、前記突出部がコンロの天板を貫通して設けられるものにおいて、前記係合部として前記突出部の一部に切欠きを形成し、前記被係合部として前記バーナボディの底部の一部に前記切欠きに対応する突起を形成したとき、前記突出部に、前記切欠きの外側を覆う壁部を一体に設けることが好ましい。これによれば、万一鍋から吹きこぼれた煮汁が天板上を流れて突出部の切欠きに入ろうとしても、壁部がそれを阻止するので、煮汁がコンロ内部に侵入することを防止できる。
【0023】
また、本発明において、前記ホルダの支持片には、前記バーナキャップの端部下面に突設されたターゲットとの間で火花放電を行う点火プラグが保持され、前記バーナボディは、その周壁部に前記点火プラグの少なくとも一部を収容する凹部を備えることを特徴とする。
【0024】
バーナボディに設けた凹部に点火プラグの少なくとも一部を収容することにより、上方から滴下する煮汁等の影響を回避して点火プラグの良好な作動を維持することができる。
【0025】
更に、例えば、バーナボディの凹部と点火プラグとの位相がずれた状態でバーナボディをホルダにセットしようとした場合には、一部が凹部に収容されるべき点火プラグがバーナボディに干渉する。これによれば、バーナボディをホルダにセットする作業が阻害されるので、作業者は、凹部と点火プラグとの位相ずれを確実に気付くことになり、凹部と点火プラグとの位置合わせを促してバーナボディの誤セットを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態のコンロ用バーナを示す説明的断面図。
【図2】バーナボディの底面図。
【図3】バーナキャップを取り除いた状態のコンロ用バーナを示す平面図。
【図4】コンロ用バーナを一部分解して示す斜視図。
【図5】ホルダとバーナボディとを分解して示す斜視図。
【図6】バーナボディと点火プラグとの干渉状態を示す側面図。
【図7】他の実施形態のコンロ用バーナの要部を平面視した説明図。
【図8】他の実施形態のコンロ用バーナの要部を断面視した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1において、1はガスコンロのコンロ本体の一部(底部)を示している。コンロ本体1は上面が開放された箱形状(図示省略)であり、開放されたコンロ本体1の上面には、天板2が載置されている。天板2には、バーナ用開口3が開設されており、このバーナ用開口3を通して天板2の上方に露出するコンロ用バーナ4が設けられている。なお、図示しないが、バーナ用開口3の周囲の天板2上には五徳が載置され、五徳上に鍋等の調理容器を載置することにより加熱調理が行えるようになっている。
【0028】
コンロ用バーナ4は、図1に示すように、天板2の上方に位置するバーナボディ5と、このバーナボディ5上に載置されるバーナキャップ6と、天板2の下方に位置してバーナボディ5を保持するホルダ7とを備えている。バーナキャップ6はバーナボディ5から着脱自在とされており、バーナボディ5はホルダ7から着脱自在とされている。これにより、ホルダ7からバーナボディ5とバーナキャップ6とを取り外して、掃除等の手入れが容易に行えるようになっている。
【0029】
バーナボディ5は、円板状の底部8と、底部8の中央を貫いて上下方向に延びる円筒状のスロート部9と、底部8の外周縁部に立設した環状の周壁部10とによって構成されている。スロート部9は底部8の上方に延出する上方延出部11と、底部8の下方に延出する下方延出部12とによって構成され、上下端が開口している。
【0030】
図2においてバーナボディ5を底面側から示すように、バーナボディ5の底部8には、下方延出部12の周方向に沿って複数の窪み部13と、下方延出部12の一部に隣接する突起14が形成されている。また、バーナボディ5の周壁部10には凹部15が形成されている。この凹部15には、図1及び図3に示すように、後述の点火プラグ16の一部が収容される。
【0031】
バーナキャップ6は、図1に示すように、バーナボディ5の周壁部10の上面に着座させる筒壁部17を備えている。この筒壁部17には、周方向の間隔を存して、深さの異なる大小複数種類の溝が多数形成されている。
【0032】
バーナボディ5上にバーナキャップ6を載置すると、バーナボディ5の上部がバーナキャップ6によって覆われ、スロート部9の上方延出部11の上端に所定の間隙を存してバーナキャップ6の裏面が対向する。そして、スロート部9の上方延出部11と周壁部10との間に環状のチャンバ18が画成される。また、バーナキャップ6の筒壁部17に形成されている前記溝がバーナボディ5の周壁部10によって孔となり、チャンバ18の外周部に多数の炎孔が画成される。
【0033】
これらの炎孔について簡単に説明すれば、図1及び図4に示すように、凹部15と対向するバーナキャップ6の筒壁部17の部分には、比較的幅広の小溝が形成され、バーナボディ5の周壁部10上で点火用炎孔19が画成される。また、図示しない五徳の五徳爪と同一方向に位置するバーナキャップ6の筒壁部17の部分には、3つの小溝が連続して形成され、これら小溝によってバーナボディ5の周壁部10上で小炎孔20が画成される。これにより、火炎が五徳爪に触れて燃焼不良を生じることが防止される。五徳爪間に対応する位置のバーナキャップ6の筒壁部17の部分には、大溝と小溝とが交互に形成され、大溝によってバーナボディ5の周壁部10上で通常炎孔21が画成され、小溝によってバーナボディ5の周壁部10上で保炎孔22が画成される。
【0034】
また、図4に示すように、バーナボディ5の周壁部10の凹部15に対応するバーナキャップ6の裏面側には、点火用のターゲット23が突設されている。
【0035】
更に、バーナキャップ6の裏面側におけるバーナボディ5の上方延出部11に対応する位置には、上方延出部11の外周面に当接してバーナキャップ6の軸芯位置決めのための3つの第1位置決め爪24aが形成されている。第1位置決め爪24aにより、バーナボディ5上に載置したバーナキャップ6の不用意な位置ずれが防止される。また、バーナキャップ6の裏面側には、筒壁部17の内側の所定位置に下方に延びる第2位置決め爪24bが形成されている。第2位置決め爪24bは、バーナボディ5に形成された位置決め凹部25に係合することにより、バーナボディ5上に載置したバーナキャップ6を位置決めする。これにより、バーナボディ5に対してバーナキャップ6の不用意な回転が防止される。
【0036】
ホルダ7は、図1に示すように、コンロ本体1に設けた台座26上に取り付けられた基部27と、この基部27の一辺に立設した支持片28と、支持片28によって片持ち支持された座板29とから構成されている。基部27、支持片28及び座板29は、アルミニウム合金等の金属ブロックにより一体に形成されている。
【0037】
ホルダ7の基部27には、その内部に燃料ガスのガス通路30が形成されされており、その上方にはガス通路30に連通するノズル31が取り付けられている。ノズル31は垂直上方に燃料ガスを噴射するガス噴射口32を備えている。
【0038】
ホルダ7にバーナボディ5をセットすると、スロート部9がノズル31先端のガス噴射口32に臨み、スロート部9の下端開口に向けて燃料ガスを噴射できるようになる。ノズル31からスロート部9の下方延出部12の下端開口に向かって燃料ガスが噴射されると、周囲から空気を一次空気として巻き込みながら燃料ガスがスロート部9の内部に入り、スロート部9で燃料ガスと一次空気が混合されて混合ガスが生成される。この混合ガスは、スロート部9の上方延出部11の上端開口から流出してバーナキャップ6の裏面に当たる。バーナキャップ6の裏面に当たった混合ガスは、上方延出部11の上端とバーナキャップ6の裏面との間隙を抜けてバーナキャップ6の裏面に沿ってその径方向に広げられ、チャンバ18を経て均等に分布された状態で各炎孔へ向かう。
【0039】
ホルダ7の支持片28には、図3及び図5に示すように、保持部33が一体に形成され、この保持部33によりバーナキャップ6のターゲット23との間で火花放電を行う点火プラグ16が保持されると共に、バーナボディ5の外側に位置して火炎を検知する熱電対34が保持される。
【0040】
座板29には、図1及び図5に示すように、バーナボディ5のスロート部9の下方延出部12が着脱自在に挿着されるスロート挿着部35が開設されている。また、座板29には、スロート挿着部35の外周に沿って環状に形成されて座板29の上方に突出する円筒状の突出部36が形成されている。スロート挿着部35と突出部36とは同一内径で連続し、下方延出部12の外周上端が突出部36の内周上端に線接触するようになっている。そして、図1に示すように、座板29の突出部36が天板2のバーナ用開口3を貫通して天板2の上方に突出し、座板29の上面が天板2の裏面に当接する。そして、図示しないが、座板29と天板2がネジ部材等により連結状態とされる。また、天板2は、コンロ本体1をカウンタートップに組み付け後にセットされるが、このとき、突出部36が天板2の位置決めとなって天板2のセットが円滑に行える利点もある。
【0041】
突出部36には、図1及び図5に示すように、切欠き37が形成されている。そして、ホルダ7にバーナボディ5を保持させるとき、バーナボディ5をその下方延出部12側から座板29のスロート挿着部35に挿入し、バーナボディ5の突起14を切欠き37に係合させながら、バーナボディ5の底部8を座板29の突出部36上端縁に着座させる。なお、切欠き37及び突起14は本発明の係合部及び被係合部に相当するものである。
【0042】
これにより、ホルダ7に対してバーナボディ5が位相決め及び芯合わせされ、スロート部9がノズル31に対して位置決めされ、更に、バーナボディ5の凹部15が点火プラグ16に対応するように位置決めされる。このとき、ホルダ7を構成する基部27、支持片28及び座板29が金属ブロックにより一体に形成されていることにより、基部27に設けられたノズル31とスロート挿着部35との位置ずれは生じない。そして、このスロート挿着部35にバーナボディ5のスロート部9の下方延出部12が挿着されて規制されるので、スロート部9の下方延出部12とノズル31との位置ずれも生じない。これによって、バーナボディ5をホルダ7にセットした際に、スロート部9とノズル31とが極めて高精度に位置決めされるので、スロート部9とノズル31との位置ずれに伴う燃焼不良を確実に防止することができる。
【0043】
ところで、バーナボディ5からの比較的高温の熱がノズル31に伝達されると、ノズル31の熱膨張等の影響によりガス噴射口32の口径が変化して燃料ガスが所望の噴射量とならず、所望する燃焼量が得られないおそれがある。ホルダ7は、基部27、支持片28及び座板29が一体であることにより、部品点数を小としてコンパクトに形成することができる反面、バーナボディ5からの熱がホルダ7の座板29及び支持片28を介して基部27のノズル31に伝達されることが考えられる。
【0044】
しかし、本実施形態においては、バーナボディ5において炎孔が形成される周壁部10から比較的離れた位置にあるスロート部9の下方延出部12の外周上端が、ホルダ7の座板29の一部に設けられた突出部36の内周上端に線接触するだけでなく、ホルダ7の座板29が、バーナボディ5の炎孔から離間して位置している。これにより、従来のような炎孔の直近でバーナボディとホルダとが連結される構成のものに比べて、バーナボディ5からホルダ7への熱の伝達を抑えることができる。しかも、ホルダ7にセットされたバーナボディ5は、ホルダ7の座板29に形成された突出部36の上端縁に着座するので、バーナボディ5とホルダ7との接触部分は極めて小さい。従って、バーナボディ5からノズル31への熱伝達を小とすることができ、ノズル31の熱膨張によるガス噴射口32の口径の変化を抑制することができる。
【0045】
更に、バーナボディ5の底部8には、図2に示すように、下方延出部12の周方向に沿って複数の窪み部13が形成されている。これによって、突出部36(図2においては仮想線示する)の上端縁には、バーナボディ5の底部8に当接する当接部36aと、バーナボディ5の窪み部13によりバーナボディ5の底部8と非接触となる非接触部36bとが形成されるので、バーナボディ5とホルダ7との接触面積は一層小さくなっている。これにより、ノズル31への熱の伝達を極めて小さくすることができ、熱の影響によるガス噴射口32の口径の変化を防止して、良好な燃焼を得ることができる。更に、加熱調理時に鍋から吹きこぼれた煮汁がバーナボディ5の底部8側に回り込んでも、上記接触面積が小さいことによりバーナボディ5とホルダ7とが煮汁により固着することが防止でき、掃除等の作業も容易となる。なお、本実施形態においては、バーナボディ5の底部8に窪み部13を設けることで非接触部36bを形成する例を示したが、それ以外には、バーナボディ5の底部8を平坦とし、突出部36の上端に複数の切欠きを設けて非接触部を形成してもよい。
【0046】
また、ホルダ7のうち座板29に設けた突出部36のみが天板2の上方に突出するので、バーナボディ5をホルダ7から取り外した状態で目視による突出部36の確認が容易である。これにより、掃除等の後に、バーナボディ5をホルダ7にセットするときには、バーナボディ5の下方延出部12をこの突出部36を介してスロート挿着部35に的確に挿入することができ、ホルダ7にバーナボディ5をセットする作業を極めて容易に行うことができる。しかも、バーナボディ5の下方延出部12を、天板2から突出する突出部36を介してスロート挿着部35に挿入するだけで、ホルダ7へのバーナボディ5の組み付けが完了するので、従来のようにネジ止め作業等が不要であるだけでなく、ネジ止めによる組み付け精度の低下も防止することができる。
【0047】
また、バーナボディ5をホルダ7にセットしたとき、バーナボディ5の突起14が突出部36の切欠き37に係合するので、ホルダ7に対するバーナボディ5の不用意な回転を防止することができる。
【0048】
ところで、ガスコンロによる調理では、鍋から天板2上に吹きこぼれた煮汁が、バーナボディ5の下方に流れて突出部36に向うことがある。このとき、ホルダ7の突出部36に切欠き37が形成されていると、例えば、切欠き37を介してスロート挿着部35の内側に煮汁が入り込むことが考えれるため、コンロ本体1の内部に煮汁が侵入するおそれがある。
【0049】
そこで、図7及び図8に示すように、突出部36に切欠き37の外側を覆う壁部38を設けておくことが好ましい。これによれば、切欠き37の外側を壁部38が覆って天板2上に吹きこぼれた煮汁を堰き止めることができ、煮汁がコンロ本体1内に侵入するのを防止することができる。
【0050】
更に、壁部38を設ける場合には、図8に示すように、壁部38の上端縁とバーナボディ5の底部8との間に僅かな(例えば、0.5mm程度の)隙間xが形成されるように壁部38の高さ方向の寸法を設定することが好ましい。これにより、壁部38を設けたことに伴うバーナボディ5とホルダ7との接触面積の増加が防止でき、上述した窪み部13による非接触部36bの効果を阻害することがない。
【0051】
なお、図示しないが、突出部36に突起を設け、バーナボディ5に係合溝を形成して互いに係合させるようにしてもよい。
【0052】
また、図1に示すように、バーナボディ5に設けた凹部15には、点火プラグ16の少なくとも一部が収容できるようになっている。これにより、バーナボディ5の凹部15と点火プラグ16との位相がずれた状態でバーナボディ5をホルダ7にセットしようとしても、図6に示すように、点火プラグ16がバーナボディ5に干渉して作業が阻害されるので、凹部15と点火プラグ16との位相ずれを作業者に確実に気付かせることができ、凹部15と点火プラグ16との位置合わせを促してバーナボディ5の誤セットを防止することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…コンロ用バーナ、5…バーナボディ、6…バーナキャップ、7…ホルダ、8…底部、9…スロート部、14…突起(被係合部)、15…凹部、16…点火プラグ、19,20,21,22…炎孔、23…ターゲット、27…基部、28…支持片、29…座板、31…ノズル、35…スロート挿着部、36…突出部、36a…当接部、36b…非接触部、37…切欠き(係合部)、38…壁部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状の底部を上下方向に貫いて延設された円筒状のスロート部を有するバーナボディと、該バーナボディ上に着脱自在に装着して外周に複数の炎孔を形成するバーナキャップと、前記バーナボディを着脱自在に保持するホルダとを備え、
前記ホルダは、燃料ガスを上方に噴出させるノズルが設けられた基部と、該基部の一側部に立設された支持片と、該支持片から横方向に延びて前記基部に対向し、前記基部から離間した位置に前記バーナボディを支持する座板と、該座板に形成され、該座板に支持された前記バーナボディのスロート部を挿着するスロート挿着部とを備え、
前記基部と前記座板とは前記支持片を介して一体に形成されていることを特徴とするコンロ用バーナ。
【請求項2】
前記ホルダの座板は、前記スロート挿着部の外周に沿って上方に突出する円筒状の突出部を備え、該突出部の上縁に前記バーナボディの底部を着座させることにより該バーナボディを支持することを特徴とする請求項1記載のコンロ用バーナ。
【請求項3】
前記突出部は、前記バーナボディの底部に当接する当接部と、前記バーナボディの底部と非接触となる非接触部とを備えることを特徴とする請求項2記載のコンロ用バーナ。
【請求項4】
前記突出部は、その一部に係合部を備え、
前記バーナボディは、その底部に前記係合部に係合して位置決めされる被係合部を備えることを特徴とする請求項2又は3記載のコンロ用バーナ。
【請求項5】
前記突出部がコンロの天板を貫通して設けられるものにおいて、前記係合部として前記突出部の一部に切欠きを形成し、前記被係合部として前記バーナボディの底部の一部に前記切欠きに対応する突起を形成したとき、
前記突出部に、前記切欠きの外側を覆う壁部を一体に設けることを特徴とする請求項4記載のコンロ用バーナ。
【請求項6】
前記ホルダの支持片には、前記バーナキャップの端部下面に突設されたターゲットとの間で火花放電を行う点火プラグが保持され、
前記バーナボディは、その周壁部に前記点火プラグの少なくとも一部を収容する凹部を備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載のコンロ用バーナ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−225608(P2012−225608A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94873(P2011−94873)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】