説明

コーティングされたフィラメント

【課題】結び目の輪郭を増加させる必要なしに、増強された結び目安全性を示す縫合糸の結び目を提供すること。
【解決手段】本発明によって、生体適合性材料から作製された縫合糸であって、ヒアルロン酸、およびビニルラクタムポリマーから誘導されたポリマーとラクトンポリマーから誘導されたポリマーとのブレンドを含有する縫合糸コーティングを備える、縫合糸が提供される。本開示はまた、結び目に結ばれて締められる場合に増強された結び目安全性を示す、外科手術用縫合糸を記載する。これらの縫合糸は、縫合糸コーティングでコーティングされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科手術用縫合糸に関し、そしてより特定すると、増強された結び目安全性を示す、コーティングされた外科手術用縫合糸に関する。
【背景技術】
【0002】
外科医は、より良好に、より強く結び目を結ぶ材料および方法を絶えず求めている。このことは、関節鏡検査法および腹腔鏡検査法の分野、ならびに観血手順の分野において、事実である。しかし、関節鏡手順および腹腔鏡手順は、観血手順と比較して、制限された接近性に起因して、技術的により要求され得る。例えば、外科医が縫合糸の結び目を欠損部から離れた箇所で結び、そして結び目プッシャーを使用してこの結び目を適切な位置まで滑らせ、そして/または張ることを要求されることを考慮すると、安全な結び目を結ぶ作業は、関節鏡手順中はより困難であることが判明し得る。もちろん、関節鏡により実施されようと、腹腔鏡により実施されようと、観血的に実施されようと、縫合糸の結び目は、しっかりと結ばれなければならず、そして最適な結び目安全性(結び目が緩むことおよび/または滑ることに対する抵抗性)を提供しなければならない。
【0003】
関節鏡手順(例えば、半月板修復)において、縫合糸の結び目は、通常、最初の滑り結び、およびこの滑り結びの緩みを防止するための、引き続く一連の一重結びからなる。これらの一重結びの追加は、結び目安全性を増強するが、より大きい結び目輪郭もまた生じる。より大きい輪郭を有する結び目は、周囲の組織を擦り得、疼痛および不快さを引き起こす。より厳しい状況において、より大きい結び目は、軟骨を擦り得、変形性関節症の形成を生じる。また、より大きい結び目は、より多量の縫合糸材料を身体内に入れ、これによって、この結び目の部位またはその近くで、炎症および/または感染を発生させる可能性を増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、結び目の輪郭を増加させる必要なしに、増強された結び目安全性を示す縫合糸の結び目を提供することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1) 生体適合性材料から作製された縫合糸であって、ヒアルロン酸、およびビニルラクタムポリマーから誘導されたポリマーとラクトンポリマーから誘導されたポリマーとのブレンドを含有する縫合糸コーティングを備える、縫合糸。
【0006】
(項目2)
前記ビニルラクタムポリマーが、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、およびN−ビニル−カプロラクタム、N−ビニルメチルピロリドン、N−ビニルエチルピロリドン、N−ビニルメチルカプロラクタム、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマー単位を含む、上記項目のいずれかに記載の縫合糸。
【0007】
(項目3)
前記ビニルラクタムポリマーがポリビニルピロリドンを含む、上記項目のいずれかに記載の方法糸。
【0008】
(項目4)
前記ビニルラクタムポリマーが、前記ブレンドの約75重量%までを占める、上記項目のいずれかに記載の縫合糸。
【0009】
(項目5)
前記ビニルラクタムポリマーが、前記ブレンドの約20重量%〜約67重量%を占める、上記項目のいずれかに記載の縫合糸。
【0010】
(項目6)
前記ラクトンポリマーが、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ジオキサノン、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、デカラクトン、ピバロラクトン、ステアロラクトン、パルミトラクトン、トリメチレンカーボネート、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマー単位から誘導されたポリマーを含む、上記項目のいずれかに記載の縫合糸。
【0011】
(項目7)
前記ラクトンポリマーが、前記ブレンドの約85重量%までを占める、上記項目のいずれかに記載の縫合糸。
【0012】
(項目8)
前記ラクトンポリマーが、前記ブレンドの約40重量%〜約80重量%を占める、上記項目のいずれかに記載の縫合糸。
【0013】
(項目9)
前記ヒアルロン酸が、前記コーティングの約0.01重量%〜約10重量%を占める、上記項目のいずれかに記載の縫合糸。
【0014】
(項目10)
前記ヒアルロン酸が、前記コーティングの約0.05重量%〜約10重量%を占める、上記項目のいずれかに記載の縫合糸。
【0015】
(項目11)
前記ヒアルロン酸が、前記コーティングの約0.01重量%を占める、上記項目のいずれかに記載の縫合糸。
【0016】
(項目12)
前記ヒアルロン酸が、約35,000〜約350,000の範囲の分子量を有する、上記項目のいずれかに記載の縫合糸。
【0017】
(項目13)
前記ヒアルロン酸が、約72,000の分子量を有する、上記項目のいずれかに記載の縫合糸。
【0018】
(項目14)
前記ブレンドが、前記縫合糸コーティングの約10%までを占める、上記項目のいずれかに記載の縫合糸。
【0019】
(項目15)
前記ブレンドが、前記縫合糸コーティングの約0.1重量%〜約7.5重量%を占める、上記項目のいずれかに記載の縫合糸。
【0020】
(項目16)
前記ブレンドが、前記縫合糸コーティングの約3重量%〜約5重量%を占める、上記項目のいずれかに記載の縫合糸。
【0021】
(項目17)
生体適合性材料から作製された縫合糸を提供する工程;
ビニルラクタムポリマーから誘導されたポリマーと、ラクトンポリマーから誘導されたポリマーとのブレンドで、該縫合糸をコーティングする工程;
該コーティングされた縫合糸を乾燥させる工程;および
該コーティングされた縫合糸を、予め形成された締められていない結び目に結ぶ工程、
を包含する方法。
【0022】
(項目18)
前記縫合糸が、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、ジオキサノン、グリコール酸、乳酸、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される生体適合性材料を含有する、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0023】
(項目19)
前記縫合糸がポリエチレンテレフタレートを含有する、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0024】
(項目20)
前記縫合糸が超高分子量ポリエチレンを含有する、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0025】
(項目21)
前記ビニルラクタムポリマーが、N−ビニル−ピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、およびN−ビニル−カプロラクタム、N−ビニルメチルピロリドン、N−ビニルエチルピロリドン、N−ビニルメチルカプロラクタム、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマー単位を含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0026】
(項目22)
前記ビニルラクタムポリマーがポリビニルピロリドンを含有する、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0027】
(項目23)
前記ラクトンポリマーが、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ジオキサノン、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、デカラクトン、ピバロラクトン、ステアロラクトン、パルミトラクトン、トリメチレンカーボネート、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマー単位から誘導されたポリマーを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0028】
(項目24)
前記コーティングがヒアルロン酸をさらに含有する、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0029】
(項目25)
前記コーティングが乳酸ステアロイルカルシウムをさらに含有する、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0030】
(項目26)
前記コーティングされた縫合糸を乾燥させる工程が、約40℃で減圧下で実施される、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0031】
(項目27)
前記縫合糸が滑り結びに結ばれる、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0032】
(項目28)
前記滑り結びが、ダンカンループ、自在結び、テネシースライダー、ローダーノット、ウェストンノット、ハングマンループ、SMC結び、ジャイアントノット、ニッキーノット、ダブルツイストノット、ラフォッセノットおよびイージーノットからなる群より選択される、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0033】
(項目29)
前記縫合糸がSMC結びに結ばれる、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0034】
(項目30)
前記予め形成された結び目を締める前に、湿潤剤を前記乾燥した縫合糸に塗布する工程をさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0035】
(項目31)
前記湿潤剤が生理食塩水溶液である、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0036】
(摘要)
本開示は、ビニルラクタムポリマーおよびラクトンポリマーを含有する、外科手術用縫合糸のためのコーティングを記載する。
【0037】
(要旨)
本開示は、増強された結び目安全性を示す、コーティングされた縫合糸を記載する。この縫合糸の結び目はまた、結ばれて締められる場合に、より小さい輪郭の結び目を形成する。これらの縫合糸は、ビニルラクタムポリマーとラクトンコポリマーとのブレンドを含有する組成物でコーティングされる。いくつかの実施形態において、このコーティングは、脂肪酸のエステル(例えば、乳酸ステアロイルカルシウム)をさらに含有し得る。いくつかの実施形態において、このコーティングはまた、ヒアルロン酸を含有し得る。
【0038】
生体適合性材料から作製される縫合糸が提供される方法もまた、開示される。この縫合糸は、ビニルラクタムポリマーから誘導されるポリマーとラクトンポリマーから誘導されるポリマーとのブレンドでコーティングされる。このコーティングされた縫合糸は、乾燥させられ、次いで、予め形成された、締められていない結び目に結ばれる。ある実施形態において、この結び目は、滑り結びである。
【0039】
本開示の種々の実施形態が、選択された実施形態および添付の図面に関連して、以下により詳細に議論される。
【発明の効果】
【0040】
本発明により、結び目の輪郭を増加させる必要なしに、増強された結び目安全性を示す縫合糸の結び目が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本開示によるコーティングされた縫合糸の1つの実施形態の斜視図を示す。
【図2A】図2Aは、本開示によるコーティングされた縫合糸の他の実施形態の斜視図を示す。
【図2B】図2Bは、本開示によるコーティングされた縫合糸の他の実施形態の斜視図を示す。
【図2C】図2Cは、本開示によるコーティングされた縫合糸の他の実施形態の斜視図を示す。
【図2D】図2Dは、本開示によるコーティングされた縫合糸の他の実施形態の斜視図を示す。
【図2E】図2Eは、本開示によるコーティングされた縫合糸の他の実施形態の斜視図を示す。
【図2F】図2Fは、本開示によるコーティングされた縫合糸の他の実施形態の斜視図を示す。
【図3】図3は、異なる処方物の各々でコーティングされたSMC結びの破損までの負荷を示す。
【図4】図4は、異なる処方物の各々の引張試験中に(滑らずに)破断したSMC結びの百分率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本開示は、結び目に結ばれて締められる場合に増強された結び目安全性を示す、外科手術用縫合糸を記載する。これらの縫合糸は、縫合糸コーティングでコーティングされる。この縫合糸コーティングは、ビニルラクタムポリマーから誘導される少なくとも1つのポリマーと、ラクトンポリマーから誘導される少なくとも1つのポリマーとのブレンドを含有する。いくつかの実施形態において、この縫合糸コーティングは、脂肪酸のエステル(例えば、乳酸ステアロイルカルシウム)をさらに含有し得る。いくつかの実施形態において、この縫合糸コーティングはまた、ヒアルロン酸を含有し得る。これらのコーティングされた縫合糸は、モノフィラメントであっても、マルチフィラメントデバイスであってもよい。
【0043】
これらの縫合糸は、縫合糸の意図される用途のために適切な物理特性を有する、任意の滅菌可能な生体適合性材料から形成され得る。これらの縫合糸は、生体吸収性または非生体吸収性のいずれかである、合成ポリマーまたは天然ポリマーから作製され得る。適切な生体吸収性材料のいくつかの具体的な非限定的な例としては、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、ジオキサノン、グリコール酸、乳酸、グリコリド、ラクチド、これらのホモポリマー、これらのコポリマー、およびこれらの組み合わせが挙げられる。縫合糸を形成するために利用され得る適切な非吸収性材料のいくつかの具体的な非限定的な例としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンとのコポリマー、およびポリエチレンとポリプロピレンとのブレンド)が挙げられる。ある実施形態において、この縫合糸は、ポリエステル材料(例えば、ポリエチレンテレフタレート)から作製され得る。いくつかの実施形態において、この縫合糸は、超高分子量ポリエチレンから作製され得る。材料の組み合わせを使用して縫合糸を形成し得ることもまた、理解されるべきである。
【0044】
縫合糸を作製するために適切な材料を調製する方法、およびこのような材料から縫合糸を作製する技術は、当業者の知識の範囲内である。
【0045】
本明細書中に記載される縫合糸は、縫合糸コーティングでコーティングされ、この縫合糸コーティングは、ビニルラクタムポリマーから誘導されるポリマーと、ラクトンポリマーから誘導されるポリマーとのブレンドを含有する。任意のビニルラクタムポリマーが、コーティングを形成するために使用されるブレンドに含有され得る。本明細書中で使用される場合、用語「ビニルラクタムポリマー」とは、以下の式:
【0046】
【化1】

の少なくとも1つのラクタムモノマーから誘導され得るか、合成され得るか、または調製され得る任意のポリマーを意味し、これらの式において、Rは、4員、5員、6員または7員の複素環式環系を完成させるために必要な、C〜Cのアルキル架橋基、アルケニル架橋基、またはアルカジエニル架橋基を表し;そしてxは、0〜50の整数を表す。
【0047】
いくつかの実施形態において、ビニルラクタムポリマーは、以下のモノマー単位のうちの少なくとも1つまたはそれらの組み合わせを含む:N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、およびN−ビニル−カプロラクタム、N−ビニルメチルピロリドン、N−ビニルエチルピロリドン、N−ビニルメチルカプロラクタム、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ビニルピペリドン。このビニルラクタムポリマーは、ホモポリマーであってもコポリマー(例えば、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマーまたはセグメント化コポリマー)であってもよい。ビニルラクタムモノマーと共重合して生体適合性ポリマーを提供し得る任意のモノマーが、このコポリマーを形成するために使用され得る。適切なコモノマーとしては、親水性ビニルモノマー(例えば、メタクリル酸、アクリル酸、アクリルアミド、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸スルホプロピル、メタクリル酸スルホプロピル、ビニル官能性ホスホリルコリン、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)など)が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態において、ビニルラクタムポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVP)である。
【0048】
一般に、ビニルラクタムポリマーは、ブレンドの約75重量%までを占め得る。いくつかの実施形態において、ビニルラクタムポリマーは、ブレンドの約20重量%〜約67重量%を占め得る。
【0049】
ビニルラクタムポリマーは、ラクトンポリマーと合わせられて、縫合糸をコーティングする際に使用されるブレンドを形成し得る。任意の公知のラクトンポリマーが、縫合糸コーティングを形成するために使用されるブレンドに含有され得る。本明細書中で使用される場合、用語「ラクトンポリマー」とは、以下の式:
【0050】
【化2】

の少なくとも1つのラクトンモノマーから誘導され得るか、合成され得るか、または調製され得る任意のポリマーを意味し、この式において、R基、R基、R基およびR基は、独立して、酸素原子、カルボニル基、または直鎖、分枝鎖もしくは環状のC〜C20のアルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基のうちの1つを表し得る。
【0051】
ラクトンポリマーは、ホモポリマーであってもコポリマー(例えば、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、またはセグメント化コポリマー)であってもよい。ラクトンモノマーと共重合して生体適合性ポリマーを提供し得る任意のモノマーが、このコポリマーを形成するために使用され得る。適切なコモノマーとしては、アルキレンオキシド、アクリレート、アクリルアミドおよび糖(例えば、デキストリン)が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態において、ラクトンポリマーは、以下のモノマー単位のうちの少なくとも1つ、またはこれらの組み合わせを含有する:ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ジオキサノン、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、デカラクトン、ピバロラクトン、ステアロラクトン、パルミトラクトン、トリメチレンカーボネート。いくつかの実施形態において、ラクトンポリマーは、カプロラクトン、グリコリド、ラクチドおよびこれらの組み合わせを含有する。
【0052】
一般に、ラクトンポリマーは、ブレンドの約85重量%までを占め得る。いくつかの実施形態において、ラクトンポリマーは、ブレンドの約40重量%〜約80重量%を占め得る。いくつかの実施形態において、ラクトンは、ブレンドの50重量%より多くを占め得る。
【0053】
ビニルラクタムポリマーおよびラクトンポリマーは、外科手術用縫合糸を作製する際に使用するために適切な任意の溶媒中で合わせられ得る。いくつかの実施形態において、ビニルラクタムポリマーとラクトンポリマーとを含有するブレンドは、両方のポリマーが相互に可溶性である溶媒中で合わせられて、縫合糸コーティングを形成し得る。適切な溶媒の例としては、塩素化溶媒、クロロホルム、塩化メチレン(MC)、メチルエチルケトン(MEK)、1,2,2−トリクロロエタン、トリフルオロエタノール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、およびニトロエタンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
ビニルラクタムポリマーから誘導されるポリマーと、ラクトンポリマーから誘導されるポリマーとのブレンドは、縫合糸コーティングの約10重量%までを占め得る。いくつかの実施形態において、ビニルラクタムポリマーから誘導されるポリマーと、ラクトンポリマーから誘導されるポリマーとのブレンドは、縫合糸コーティングの約0.1重量%〜約7.5重量%を占め得る。いくつかの実施形態において、ビニルラクタムポリマーから誘導されるポリマーと、ラクトンポリマーから誘導されるポリマーとのブレンドは、縫合糸コーティングの約3重量%〜約5重量%を占め得る。
【0055】
ビニルラクタムポリマーおよびラクトンポリマーはまた、脂肪酸のエステルと合わせられて、縫合糸コーティングを形成し得る。適切な脂肪酸のエステルのいくつかの非限定的な例としては、乳酸ステアロイルカルシウム、乳酸ステアロイルマグネシウム、乳酸ステアロイルアルミニウム、乳酸ステアロイルバリウム、または乳酸ステアロイル亜鉛;乳酸パルミチルカルシウム、乳酸パルミチルマグネシウム、乳酸パルミチルアルミニウム、乳酸パルミチルバリウム、または乳酸パルミチル亜鉛;および乳酸オレイルカルシウム、乳酸オレイルマグネシウム、乳酸オレイルアルミニウム、乳酸オレイルバリウム、または乳酸オレイル亜鉛が挙げられる。ある実施形態において、この縫合糸コーティングは、ビニルラクタムポリマーと、ラクトンポリマーと、乳酸ステアロイルカルシウムとのブレンドを含有し得る。
【0056】
脂肪酸エステルは、ブレンドの約33重量%までを占め得る。ある実施形態において、脂肪酸エステルは、ブレンドの0.1重量%〜約20重量%を占め得る。
【0057】
いくつかの実施形態において、この縫合糸コーティングはまた、ヒアルロン酸を含有し得る。ヒアルロン酸は、約35,000〜約350,000の範囲の分子量を有する、硫酸化されていないグリコサミノグリカンである。いくつかの実施形態において、このコーティングは、約72,000の分子量を有するヒアルロン酸を含有する。ヒアルロン酸は、縫合糸コーティングの約0.01重量%〜約10重量%を占め得る。いくつかの実施形態において、ヒアルロン酸は、縫合糸コーティングの約0.05重量%〜約5重量%を占め得る。いくつかの他の実施形態において、ヒアルロン酸は、縫合糸コーティングの約0.1重量%〜約1重量%を占め得る。
【0058】
なお他の実施形態において、縫合糸コーティングは、任意の成分をさらに含有し得る。任意の成分は、本明細書中で使用される場合、縫合糸コーティングの約20重量%までを占め得る。いくつかの任意の成分としては、色素、粘度増強剤、乳化剤、界面活性剤、芳香剤、造影剤(例えば、バリウムおよびバリウム含有ポリマー)、ならびに薬物(例えば、抗菌剤、抗ウイルス剤、化学療法剤、防腐剤、鎮痛薬、抗炎症剤、ポリマー薬物)、これらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの他の例としては、タンパク質、増殖因子、成長因子、ホルモン、遺伝物質、細胞物質などが挙げられる。任意の成分は、縫合糸の形成前に、生体適合性の縫合糸材料と混合され得る。いくつかの実施形態において、任意の成分は、縫合糸コーティングに添加され得る。なお他の実施形態において、任意の成分は、化学的または物理的な、析出または含浸のプロセスによって、縫合糸に添加され得る。
【0059】
本明細書中に記載されるコーティングは、任意の技術(浸漬、スプレー、ブラッシング、ワイピング、または連続的な層を移植可能デバイスの表面に形成するために適切な他の任意の技術が挙げられるが、これらに限定されない)によって、縫合糸に塗布され得る。使用される具体的な技術は、種々の要因(例えば、外科手術用縫合糸の特定の構成、およびコーティング中に含有される材料)に基づいて、当業者により選択され得る。
【0060】
コーティングされた縫合糸は、任意の適切な技術(オーブンの使用が挙げられるが、これに限定されない)を使用して、乾燥させられ得る。いくつかの実施形態において、コーティングされた縫合糸は、減圧下で、約40℃の温度で乾燥させられ得る。いくつかの実施形態において、縫合糸上のコーティングの溶媒を除去するために、トンネルオーブンが使用され得る。
【0061】
乾燥後、コーティングされた縫合糸は、予め形成された、締められていない結び目に結ばれ得る。予め形成された、締められていない結び目は、緩く結ばれた縫合糸の結び目である。予め形成された、締められていない結び目は、この結び目を締め、そして/または結び位置を固定するために、引っ張られる必要がある。予め形成された、締められていない結び目の輪郭は、引っ張られた後に小さくなり得る。予め形成された、締められていない結び目は、結び目の構成の複雑さに依存して、手で構成されても機械により構成されてもよい。
【0062】
コーティングされた予め結ばれた縫合糸は、任意の型の外科手術手順において使用され得る。しかし、コーティングされた予め結ばれた縫合糸は、約40Nより大きい引張強度を示し得るので、コーティングされた予め結ばれた縫合糸は、関節鏡手順中(半月板修復手術が挙げられる)に特に有用であり得る。
【0063】
先行技術の縫合糸とは異なり、本明細書中に記載されるコーティングされた縫合糸は、増強された結び目安全性を示すために、一重結びの追加を必要としない。むしろ、本明細書中に記載されるコーティングされた縫合糸は、最小の結び目輪郭を維持しながら、複数の一重結びを含む他のより大きい輪郭の結び目に等しいかまたはより高い、増強された結び目安全性を示す。さらに、本開示の予め結ばれたコーティングされた縫合糸は、より小さい結び目輪郭を生じるので、これらの予め結ばれた結び目はまた、より少ない縫合糸材料を移植の部位に配置し、このことは、分解中の縫合糸に対する免疫応答を開始する可能性を低下させる。
【0064】
ある実施形態において、予め形成された、締められていない結び目は、滑り結びであり得る。滑り結びのいくつかの例としては、ダンカンループ、自在結び(またはミッドシップマンヒッチ)、テネシースライダー(Tennessee slider)、ローダーノット(Roeder knot)、ウェストンノット(Weston knot)、ハングマンループ(Hangman’s loop)、SMC(サムスン医療院)結び、改良SMC結び、ジャイアントノット(Giant knot)、ニッキーノット(Nicky’s knot)、ダブルツイストノット(Double−Twist knot)、ラフォッセノット(Lafosse knot)およびイージーノット(Easy knot)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、コーティングされた縫合糸は、SMC結びを形成するために使用され得、これは、関節鏡による肩の外科手術において使用され得る。
【0065】
予め形成された結び目は、任意の適切な技術によって、適切な位置に締められ得る。例えば、予め形成された結び目は、単に、手で適切な位置に締められ得る。いくつかの実施形態において、外科医は、結び目プッシャーとして公知である外科手術用デバイスの補助を用い得る。結び目プッシャーは、結び目を変形させもつぶしもせずに、予め形成された結び目を、縫合糸の長さに沿って移動させる。外科医による手でのさらなる相互作用を必要とする結び目押しデバイスもあり、機械で作動する結び目押しデバイスもある。任意の適切な結び目プッシャーが、本明細書中に記載される予め形成された締められていない結び目と一緒に使用され得る。
【0066】
いくつかの実施形態において、結び目を結ぶ前に、湿潤剤が、乾燥した縫合糸に塗布され得る。いくつかの実施形態において、湿潤剤は、予め形成された結び目を締める前に、乾燥した縫合糸に塗布され得る。この湿潤剤は、結び目作製プロセス中に、乾燥した縫合糸が縫合糸の長さに沿って滑る能力を一時的に改善する。適切な湿潤剤のいくつかの例としては、水、生理食塩水溶液、ブドウ糖溶液などが挙げられるが、これらに限定されない。湿潤剤は、任意の適切な技術(浸漬が挙げられる)を使用して、コーティングされた縫合糸に塗布され得る。
【0067】
コーティングされた縫合糸はまた、他の固定デバイスと組み合わせて使用され得る。例えば、この縫合糸は、予め形成された締められていない結び目に結ばれ得、これが縫合糸アンカーに取り付けられ得る。適切な固定デバイスのいくつかの他の非限定的な例としては、ねじ、ピン、クリップ、骨プレートなどが挙げられる。
【0068】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるコーティングされた縫合糸は、関節鏡手順または腹腔鏡手順において使用するための、予め形成された締められていない結び目に結ばれ得る。任意の手順において使用するために適切であるが、予め形成された、締められていない結び目は、裂けた半月板の修復のために有用であり得る。半月板修復は、結ばれた縫合糸が、約20Nより高い引き抜き力に耐えることを必要とし得る。ある実施形態において、本明細書中に記載されるコーティングされた縫合糸は、約40Nより高い引き抜き力に対する安全性を維持する結び目を形成し得る。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるコーティングされた縫合糸は、約40N〜約75Nの範囲の引き抜き力に対する安全性を維持する結び目を形成し得る。
【0069】
ここで図1を参照すると、コーティング110および針120を有する縫合糸100が示されている。縫合糸100は、任意の生体適合性材料から作製され、そしてコーティング110は、ビニルラクタムポリマーから誘導されるポリマーと、ラクトンポリマーから誘導されるポリマーとのブレンドを含有する。コーティング110は、縫合糸100の全長を覆うように示されているが、このコーティングは、この縫合糸の一部分のみを覆い得ることが想定される。いくつかの実施形態において、このコーティングは、乾燥後に相分離し得、この場合、ビニルラクタムポリマーおよびラクトンポリマーは、この縫合糸の異なる部分に位置する。
【0070】
図2A〜図2Fにおいて、コーティングされた縫合糸220A〜220Fが、種々の予め形成された締められていない結び目として示されている。より具体的には、コーティングされた縫合糸220A〜220Fはそれぞれ、以下の予め形成された、締められていない結び目構成で示されている:ダンカンループ、ニッキーノット、テネシースライダー、ローダーノット、SMC結びおよびウェストンノット。
【0071】
コーティングされた縫合糸は滅菌され得、そして密封された医療デバイスパッケージ内で供給され得る。これらの縫合糸は、任意の適切な技術(エチレンオキシドへの曝露、およびγ放射線が挙げられる)を使用して滅菌され得る。いくつかの実施形態において、コーティングされた縫合糸は、予め形成された、締められていない結び目を結んだ後に、滅菌および/または包装され得る。いくつかの実施形態において、コーティングされた縫合糸は、結び目の形成前に滅菌および/または包装され得る。
【実施例】
【0072】
(実施例1)
コーティングされていないTICRONTMポリエステル縫合糸を、以下の表1に列挙されるコーティング処方物のうちの1つでコーティングした。このコーティング処方物を、手での浸漬プロセスまたは製品コーティング設備のいずれかを使用して、TICRONTMポリエステル縫合糸に塗布した。
【0073】
手で浸漬する縫合糸を約30インチ(約76.2cm)に切断し、そして種々のコーティング処方物のうちの1つを含有する溶液に30秒間浸漬した。次いで、これらの縫合糸をこの溶液から取り出し、そして40℃で5時間、減圧下で乾燥させた。
【0074】
製品コーティング設備でコーティングされる縫合糸を、Dietz and Shellにより供給される設備を使用してコーティングした。コーティングされていないTICRONTMポリエステル縫合糸を、コーティング溶液で連続的に満たした垂直に向いた毛細管に連続的に通した。次いで、コーティングされた縫合糸をトンネルオーブンに通して、溶媒を除去し、その後、糸巻きに巻いた。
【0075】
次いで、手で浸漬した縫合糸と製品コーティングした縫合糸との両方を、簡単な未改良SMC結びを使用して、結び目安全性についてのコーティング処方物の効果を評価するために試験した。結ばれた縫合糸の結び目安全性を、以下の設備を使用して試験した:
Instronモデル:4301(2) ゲージ番号SUZ−0667
ロードセル:100N シリアル番号21451
BlueHill試験方法: 52−結び目安全性決定
試験の種類:張力 試験速度:51mm/分
データ速度:50.00ms。
【0076】
以下の工程を行って、縫合糸を試験した:
1.Instronの土台をロードセルの真下に配置し、そしてロードセルを釣り合わせた。
2.スプリット円形ループ固定具の一端を、継手を使用してロードセルに取り付けた。
3.この固定具の他端を万力に取り付けた。
4.この固定具を安全に固定して整列させ、その後、試験についてのゲージ長さを測定した。
5.各標本からの各縫合糸サンプルを生理食塩水溶液に2分間浸漬した。
6.各標本からの各縫合糸サンプルをSMC結び(追加のねじれは存在しない)に結び、そして結び目プッシャーを用いてポストを押しながらループの肢(loop limb)を引くことにより、1インチ(約2.54cm)のステンレス鋼管に締め付けた。
7.結んだ結び目を外し、そして縫合糸の長い端を約3mmの長さに切断した。
8.次いで、この結び目を生理食塩水に2分間浸漬した。
9.次いで、この結び目を、固定具の2つの端部の中心に整列させた。
10.次いで、張力をこの結び目に上記のように付与した。
11.この結び目が滑るかまたは破断するかのいずれかの後に、この張力を停止させた。
12.張力を停止させた後に、ゲージ長さをリセットした。
13.工程4〜12を、各サンプルについて繰り返した。
14.全てのコーティング処方物を、n=10で実行した。
15.コーティングされたTICRONTMポリエステルコントロールおよびコーティングされていないTICRONTMポリエステルコントロールを、試験したサンプルのバッチごとに実行した。
【0077】
表1は、サンプルコーティング処方物結果の各々の結果を示す。特に有用なコーティング処方物は、10%未満の結び目の滑り、および約45N(約5KgF)以上の平均引張強度を生じる。
【0078】
【表1】

表1
機械速度/ポンプ速度
**TICRONTMポリエステル縫合糸は、すでにシリコーンでコーティングされている。
***EthibondTM縫合糸は、すでにPBAでコーティングされている。
HAは、ヒアルロン酸を表す。
MCは、塩化メチレンを表す。
PVPは、ポリビニルピロリドンを表す。
CSLは、乳酸ステアロイルカルシウムを表す。
PBAは、ポリ酪酸を表す。
【0079】
図3は、異なる処方物の各々でコーティングされたSMC結びの破損までの負荷を示す。
【0080】
図4は、異なる処方物の各々の引張試験中に(滑らずに)破断したSMC結びの百分率を示す。
【0081】
種々の改変が、本明細書中に開示された実施形態に対してなされ得ることが理解される。従って、上記説明は、限定であると解釈されるべきではなく、単に、実施形態の例示であると解釈されるべきである。当業者は、本開示の範囲および趣旨内で、他の改変を予測する。コーティングされた縫合糸およびこれらの使用の種々の改変およびバリエーションは、上記詳細な説明から、当業者に明らかになる。このような改変およびバリエーションは、添付の特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体適合性材料から作製された縫合糸であって、ヒアルロン酸、およびビニルラクタムポリマーから誘導されたポリマーとラクトンポリマーから誘導されたポリマーとのブレンドを含有する縫合糸コーティングを備える、縫合糸。
【請求項2】
前記ビニルラクタムポリマーが、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、およびN−ビニル−カプロラクタム、N−ビニルメチルピロリドン、N−ビニルエチルピロリドン、N−ビニルメチルカプロラクタム、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマー単位を含む、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項3】
前記ビニルラクタムポリマーがポリビニルピロリドンを含む、請求項1に記載の方法糸。
【請求項4】
前記ビニルラクタムポリマーが、前記ブレンドの約75重量%までを占める、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項5】
前記ビニルラクタムポリマーが、前記ブレンドの約20重量%〜約67重量%を占める、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項6】
前記ラクトンポリマーが、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ジオキサノン、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、デカラクトン、ピバロラクトン、ステアロラクトン、パルミトラクトン、トリメチレンカーボネート、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマー単位から誘導されたポリマーを含む、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項7】
前記ラクトンポリマーが、前記ブレンドの約85重量%までを占める、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項8】
前記ラクトンポリマーが、前記ブレンドの約40重量%〜約80重量%を占める、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項9】
前記ヒアルロン酸が、前記コーティングの約0.01重量%〜約10重量%を占める、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項10】
前記ヒアルロン酸が、前記コーティングの約0.05重量%〜約10重量%を占める、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項11】
前記ヒアルロン酸が、前記コーティングの約0.01重量%を占める、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項12】
前記ヒアルロン酸が、約35,000〜約350,000の範囲の分子量を有する、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項13】
前記ヒアルロン酸が、約72,000の分子量を有する、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項14】
前記ブレンドが、前記縫合糸コーティングの約10%までを占める、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項15】
前記ブレンドが、前記縫合糸コーティングの約0.1重量%〜約7.5重量%を占める、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項16】
前記ブレンドが、前記縫合糸コーティングの約3重量%〜約5重量%を占める、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項17】
生体適合性材料から作製された縫合糸を提供する工程;
ビニルラクタムポリマーから誘導されたポリマーと、ラクトンポリマーから誘導されたポリマーとのブレンドで、該縫合糸をコーティングする工程;
該コーティングされた縫合糸を乾燥させる工程;および
該コーティングされた縫合糸を、予め形成された締められていない結び目に結ぶ工程、
を包含する方法。
【請求項18】
前記縫合糸が、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、ジオキサノン、グリコール酸、乳酸、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される生体適合性材料を含有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記縫合糸がポリエチレンテレフタレートを含有する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記縫合糸が超高分子量ポリエチレンを含有する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記ビニルラクタムポリマーが、N−ビニル−ピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、およびN−ビニル−カプロラクタム、N−ビニルメチルピロリドン、N−ビニルエチルピロリドン、N−ビニルメチルカプロラクタム、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマー単位を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記ビニルラクタムポリマーがポリビニルピロリドンを含有する、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記ラクトンポリマーが、ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ジオキサノン、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、デカラクトン、ピバロラクトン、ステアロラクトン、パルミトラクトン、トリメチレンカーボネート、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるモノマー単位から誘導されたポリマーを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記コーティングがヒアルロン酸をさらに含有する、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記コーティングが乳酸ステアロイルカルシウムをさらに含有する、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記コーティングされた縫合糸を乾燥させる工程が、約40℃で減圧下で実施される、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記縫合糸が滑り結びに結ばれる、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記滑り結びが、ダンカンループ、自在結び、テネシースライダー、ローダーノット、ウェストンノット、ハングマンループ、SMC結び、ジャイアントノット、ニッキーノット、ダブルツイストノット、ラフォッセノットおよびイージーノットからなる群より選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記縫合糸がSMC結びに結ばれる、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記予め形成された結び目を締める前に、湿潤剤を前記乾燥した縫合糸に塗布する工程をさらに包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項31】
前記湿潤剤が生理食塩水溶液である、請求項30に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−31034(P2011−31034A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160146(P2010−160146)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】