説明

コーティングされたループ付き縫合糸

【課題】ループ安定性が増強されたループ付き縫合糸を提供すること。
【解決手段】本発明は、近位セクションおよび遠位セクションを備える細長本体であって、該遠位セクションは、第一の重なりセクションおよび第二の重なりセクション、ならびにループを備える、細長本体;ならびに該遠位セクションの少なくとも一部分に配置されて該ループを補強するポリマーコーティング、を備える、縫合糸を提供する。さらに本発明は、近位セクションおよび遠位セクションを備える細長本体であって、該遠位セクションが、第一の重なりセクションおよび第二の重なりセクション、ループ、ならびに遠位開口部分を備える、細長本体;ならびに該ループの少なくとも一部分に配置され、かつ該遠位開口部分の少なくとも一部分をまたがって配置されて該ループを補強するポリマーコーティング、を備える、縫合糸を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2010年4月8日に出願された米国仮特許出願番号61/322,106の利益および優先権を主張し、この米国仮特許出願の全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、ループを有する縫合糸に関する。より特定すると、本開示は、ループを補強するポリマーコーティングを有するループ付き縫合糸に関する。
【背景技術】
【0003】
ループが形成されている縫合糸は公知である。製造中に縫合糸に形成されるループは、この縫合糸を組織に固定するために使用され得る。この様式で、一旦、この縫合糸の、ループにされていない端部が組織を通して挿入されると、その端部はこのループに通されて、引き結び様の構成を形成し得、この構成が結ばれて、組織を固定し得る。別の用途において、ループは、結び目の代わりに縫合糸に形成され得る。このことは、手術室内に持ち込まれ得る、手に持つ型の器具の使用を必要とする。
【0004】
ループを形成する理由とは無関係に、縫合糸にループが形成される場合、接着剤を用いようと、熱を用いようと、超音波エネルギーを用いようと、このループは、この縫合糸がこのループを形成する際に作製するヘアピン状の折り返しから発生する固有の応力を受け得る。縫合糸のループが組織を固定するために使用される場合、組織が治癒する間、このループの保持力は、増加した応力下に置かれ得る。この縫合糸に加えられる増加した応力は、このループの分離または引き離しをもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、ループ安定性が増強されたループ付き縫合糸を有することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
近位セクションおよび遠位セクションを備える細長本体であって、該遠位セクションは、第一の重なりセクションおよび第二の重なりセクション、ならびにループを備える、細長本体;ならびに
該遠位セクションの少なくとも一部分に配置されて該ループを補強するポリマーコーティング、
を備える、縫合糸。
【0007】
(項目2)
前記細長本体が生体適合性材料を含有する、上記項目に記載の縫合糸。
【0008】
(項目3)
前記第一の重なりセクションと前記第二の重なりセクションとが、膠、接着剤、溶媒、熱、および超音波エネルギーからなる群より選択される少なくとも1つの方法によって一緒に固定される、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合糸。
【0009】
(項目4)
前記第一の重なりセクションと前記第二の重なりセクションとが、超音波エネルギーによって一緒に固定される、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合糸。
【0010】
(項目5)
前記第一の重なりセクションおよび前記第二の重なりセクションが、テーパ状の端部をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合糸。
【0011】
(項目6)
前記ポリマーコーティングが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリラクチド−co−グリコリドコポリマー、ポリトリメチレンカーボネート、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ−ジオキサノン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリホスファゼン、ポリプロピレンフマレート、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリイミド、ポリウレタン、ポリウレタンウレア、ポリフルオロアルコキシポリマー、フッ素化エチレン/プロピレンコポリマー、ポリ酸無水物エステル、多糖類、ポリエチレン−ラクトンコポリマー、ポリエチレン−ポリオルトエステルコポリマー、ポリマー薬物、親水性ビニルポリマー、ホスホリルコリン、ヒドロキサメート、ビニルフラノン、第四級アンモニウム、アルキレンオキシド、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、フィブリン、ならびにこれらのブレンド、コポリマー、ホモポリマー、および組み合わせからなる群より選択される材料を含有する、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合糸。
【0012】
(項目7)
前記ポリマーコーティングが、ポリ(グリコリド−co−トリメチレンカーボネート)のコポリマーを含有する、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合糸。
【0013】
(項目8)
前記ポリマーコーティングが、前記第一の重なりセクションおよび前記第二の重なりセクションの少なくとも一部分に配置されている、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合糸。
【0014】
(項目9)
前記ポリマーコーティングが、前記ループの少なくとも一部分に配置されている、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合糸。
【0015】
(項目10)
近位セクションおよび遠位セクションを備える細長本体であって、該遠位セクションが、第一の重なりセクションおよび第二の重なりセクション、ループ、ならびに遠位開口部分を備える、細長本体;ならびに
該ループの少なくとも一部分に配置され、かつ該遠位開口部分の少なくとも一部分をまたがって配置されて該ループを補強するポリマーコーティング、
を備える、縫合糸。
【0016】
(項目11)
前記細長本体が生体適合性材料を含有する、上記項目に記載の縫合糸。
【0017】
(項目12)
前記第一の重なりセクションと前記第二の重なりセクションとが、膠、接着剤、溶媒、熱、および超音波エネルギーからなる群より選択される少なくとも1つの方法によって一緒に固定される、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合糸。
【0018】
(項目13)
前記第一の重なりセクションと前記第二の重なりセクションとが、超音波エネルギーによって一緒に固定される、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合糸。
【0019】
(項目14)
前記第一の重なりセクションおよび前記第二の重なりセクションが、テーパ状の端部をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合糸。
【0020】
(項目15)
前記ポリマーコーティングが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリラクチド−co−グリコリドコポリマー、ポリトリメチレンカーボネート、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ−ジオキサノン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリホスファゼン、ポリプロピレンフマレート、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリイミド、ポリフルオロアルコキシポリマー、フッ素化エチレン/プロピレンコポリマー、ポリ酸無水物エステル、多糖類、ポリエチレン−ラクトンコポリマー、ポリエチレン−ポリオルトエステルコポリマー、ポリマー薬物、親水性ビニルポリマー、ホスホリルコリン、ヒドロキサメート、ビニルフラノン、第四級アンモニウム、アルキレンオキシド、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、フィブリン、トロンビン、ならびにこれらのブレンド、コポリマー、ホモポリマー、および組み合わせからなる群より選択される材料を含有する、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合糸。
【0021】
(項目16)
前記ポリマーコーティングが、ポリ(グリコリド−co−トリメチレンカーボネート)のコポリマーを含有する、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合糸。
【0022】
(項目17)
前記ポリマーコーティングが、前記第一の重なりセクションおよび前記第二の重なりセクションの少なくとも一部分に配置されている、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合糸。
【0023】
(項目18)
前記ポリマーコーティングが、前記ループの少なくとも一部分に配置されている、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合糸。
【0024】
(項目19)
前記ポリマーコーティングが、前記遠位開口部分の少なくとも一部分を横切ってまたがっている、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合糸。
【0025】
(項目20)
前記ポリマーコーティングが、少なくとも1つのコーティング開口部分をさらに備える、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合糸。
【0026】
(項目21)
前記縫合糸がモノフィラメント縫合糸を備える、上記項目のうちのいずれかに記載の縫合糸。
【0027】
(項目22)
補強されたループ付き縫合糸を形成する方法であって、
細長本体を有する縫合糸を提供する工程であって、該細長本体は、近位セクションおよび遠位セクションを備え、該遠位セクションは、第一の重なりセクションおよび第二の重なりセクション、ならびにループを備える、工程;ならびに
ポリマーコーティングを、該細長本体の該第一の重なりセクションおよび該第二の重なりセクションに塗布する工程、
を包含する、方法。
【0028】
(項目23)
補強されたループ付き縫合糸を使用する方法であって、
縫合糸を提供する工程であって、該縫合糸は、細長本体、および該細長本体の遠位端に形成されたループを備え、該遠位端の少なくとも一部分は、該ループを補強するためのポリマーコーティングを備える、工程;
該細長本体の近位端を組織に挿入する工程;ならびに
該ループが該組織を係合するまで、該組織を通して該細長本体を引く工程、
を包含する、方法。
【0029】
(項目24)
前記細長本体の前記近位端を前記ループに挿入する工程をさらに包含する、上記項目に記載の方法。
【0030】
(項目25)
前記組織が前記縫合糸内に保持されるまで、前記細長本体の前記近位端を前記ループに通して引っ張る工程をさらに包含する、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
【0031】
(摘要)
補強されたループを備える縫合糸が、本明細書中に記載される。この縫合糸は、近位セクションおよび遠位セクションを備える細長本体を備え、この遠位セクションは、第一の重なりセクションおよび第二の重なりセクション、ならびにループを備える。ポリマーコーティングが、この遠位セクションの少なくとも一部分に配置されて、このループを補強する。
【0032】
(要旨)
ループを備える縫合糸が提供される。この縫合糸は、近位セクションおよび遠位セクションを備える細長本体を備え、この細長本体の遠位セクションは、第一の重なりセクションおよび第二の重なりセクション、ならびにループを備える。遠位開口部分が、このループによって規定され得る。ポリマーコーティングが、この遠位セクションの少なくとも一部分に配置されて、このループを補強する。
【0033】
これらの重なりセクションは、膠、接着剤、溶媒、熱および超音波エネルギーからなる群より選択される少なくとも1つの方法によって、一緒に固定されてループを形成し得る。このループは、1本の細長本体を受け入れるようなサイズおよび寸法にされ得る。このループは、外科手術針を受け入れるようなサイズおよび寸法にされ得る。
【0034】
ある実施形態において、このポリマーコーティングは、第一の重なりセクションおよび第二の重なりセクションに配置され得る。他の実施形態において、このポリマーコーティングは、ループの少なくとも一部分に配置され得る。なお他の実施形態において、このポリマーコーティングは、遠位開口部分にまたがって配置され得る。なお別の実施形態において、このポリマーコーティングは、縫合糸の遠位部分全体に配置され得る。
【0035】
ループを補強するためのポリマーコーティングを備えるループ付き縫合糸を使用する方法もまた提供される。この方法は、縫合糸を提供する工程であって、この縫合糸は、細長本体、およびこの細長本体の遠位端に形成されたループを備え、この遠位端の少なくとも一部分がポリマーコーティングを備えてこのループを補強する、工程、この細長本体の近位端を組織に挿入する工程、ならびにこのループがこの組織に係合するまで、この組織を通してこの細長本体を引く工程を包含する。
【0036】
この方法は、この細長本体の近位端をループに挿入する工程をさらに包含し得る。この縫合糸は、この細長本体の近位端に針を備え得る。この方法はまた、この組織がこの縫合糸内に保持されるまで、このループに通してこの細長本体の近位端を引っ張る工程を包含し得る。
【0037】
別の実施形態において、補強されたループ付き縫合糸を形成する方法もまた記載される。この方法は、細長本体を有する縫合糸を提供する工程であって、この細長本体は、近位セクションおよび遠位セクションを備え、この遠位セクションが、第一の重なりセクションおよび第二の重なりセクション、ならびにループを備える、工程;ならびにこの細長本体の遠位セクションの少なくとも一部分にポリマーコーティングを塗布して、このループを補強する工程を包含し得る。ある実施形態において、提供される縫合糸はまた、ループによって規定される遠位開口部分を備え得る。ある実施形態において、ポリマーコーティングは、この遠位セクションの少なくとも一部分(第一の重なり部分および第二の重なり部分、ループ、遠位開口部分ならびにこれらの組み合わせが挙げられる)に塗布され得る。
【0038】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、本開示の実施形態を図示し、そして上に提供される本開示の一般的な説明、および以下に提供される実施形態の詳細な説明と共に、本開示の原理を説明する役に立つ。
【発明の効果】
【0039】
本発明によって、ループ安定性が増強されたループ付き縫合糸が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1A】図1Aは、本開示の1つの実施形態に従うループ付き縫合糸の側面図である。
【図1B】図1Bは、図1Aの線B−Bに沿って見たループ付き縫合糸の断面端面図である。
【図2】図2A〜2Fは、円形(図2A)、楕円形(図2B)、矩形(正方形)(図2C)、平らな形(図2D)、八角形(図2E)および矩形(図2F)の断面輪郭を有する縫合糸の斜視図である。
【図3】図3は、本開示の1つの実施形態に従うループ付き縫合糸の側面図である。
【図4】図4は、本開示の代替の実施形態に従うループ付き縫合糸の側面図である。
【図5】図5は、本開示の別の実施形態に従うループ付き縫合糸の側面図である。
【図6】図6は、本開示のなお別の実施形態に従うループ付き縫合糸の側面図である。
【図7】図7A〜7Cは、本開示のループ付き縫合糸の代替の実施形態の図である。
【図8】図8A〜8Cは、本開示のループ付き縫合糸のなお別の実施形態の図である。
【図9】図9A〜9Cは、本開示のループ付き縫合糸のさらに別の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1Aに示されるように、ループ付き縫合糸10は、近位端10aおよび遠位端10bを有する細長本体11を備える。細長本体11の近位端11aは、1つ以上の縫合針(図示せず)を備え得る。細長本体11の遠位端11bは、第二のセクション14に置かれてループ12を形成する、第一のセクション13を備える。第一のセクション13および第二のセクション14の近接する表面は、接合されたセグメントすなわち接合部15を形成する。遠位開口部分18が、ループ12内に規定され、この遠位開口部分は、任意の適切なサイズの実質的に涙滴の形状を形成し得る。1つの実施形態において、ループ12は、ループ付き縫合糸10の近位端11aを受け入れるようなサイズにされる。遠位端11bの少なくとも一部分に配置されてループ12を補強する、ポリマーコーティング20が示されている。ある実施形態において、ポリマーコーティング20は、図1Bに図示されるように、第一の重なりセクション13と第二の重なりセクション14との両方に配置されて、接合部15およびループ12を補強し得る。
【0042】
図1Aおよび図1Bにおいては、円形の断面幾何学形状を有するように示されるが、細長本体11の断面幾何学形状は、任意の適切な形状であり得る。例えば、図2A〜2Fは、細長本体11の種々の断面幾何学形状の代替の実施形態の断面図(すなわち、円形(図2A)、楕円形(図2B)、正方形(図2C)、平らな形(図2D)、八角形(図2E)および矩形(図2F))を示す。
【0043】
本明細書中に記載される縫合糸は、縫合糸の意図される用途に適した物理特性を有する、任意の滅菌可能な生体適合性材料から形成され得る。本明細書中に記載される縫合糸は、モノフィラメント縫合糸であってもマルチフィラメント縫合糸であってもよい。これらの生体適合性材料としては、生体適合性ポリマー(例えば、ホモポリマーまたはコポリマー(ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、もしくはグラフトコポリマーが挙げられる))が挙げられ得る。生体適合性ポリマーは、線状ポリマーであっても、分岐ポリマーであっても、デンドリマーであってもよい。
【0044】
本明細書中に開示される縫合糸を構成するために使用され得る適切なポリマーとしては、例えば、合成材料、天然材料(例えば、生物学的材料)およびこれらの組み合わせが挙げられる。適切な材料としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン(超高分子量ポリエチレンが挙げられる)およびポリプロピレン(アタクチック、アイソタクチック、シンジオタクチック、およびこれらのブレンドが挙げられる));ポリエチレングリコール;エチレンオキシド;超高分子量ポリエチレン;ポリエチレンとポリプロピレンとのコポリマー;ポリイソブチレンとエチレン−αオレフィンとのコポリマー;フッ素化ポリオレフィン(例えば、ポリフルオロエチレン、ポリフルオロプロピレン、フルオロPEG、およびポリテトラフルオロエチレン);ポリアミド(例えば、ナイロン、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12、およびポリカプロラクタム);ポリアミン;ポリイミン;ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレート);ポリエーテル;ポリブタエステルポリテトラメチレンエーテルグリコール;1,4−ブタンジオール;ポリウレタン;アクリルポリマー;メタクリル類;ハロゲン化ビニルポリマーおよびコポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル);ポリビニルアルコール;ポリビニルエーテル(例えば、ポリビニルメチルエーテル);ポリハロゲン化ビニリデン(例えば、ポリフッ化ビニリデンおよびポリ塩化ビニリデン);ポリクロロフルオロエチレン;ポリアクリロニトリル;ポリアリールエーテルケトン;ポリビニルケトン;ポリビニル芳香族(例えば、ポリスチレン);ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル);ビニルモノマー同士のコポリマーおよびビニルモノマーとオレフィンとのコポリマー(例えば、エチレン−メタクリル酸メチルコポリマー);アクリロニトリル−スチレンコポリマー;ABS樹脂;エチレン−酢酸ビニルコポリマー;アルキド樹脂;ポリカーボネート;ポリオキシメチレン;ポリホスファジン;ポリイミド;エポキシ樹脂;アラミド;レーヨン;レーヨン−トリアセテート;スパンデックス;シリコーン;ならびにこれらのコポリマーおよび組み合わせが挙げられる。さらに、非生分解性のポリマーとモノマーとが、互いに組み合わせられて、繊維のコア(例えば、コア−シース構成を有する繊維)を作製し得る。
【0045】
適切な生体吸収性ポリマーとしては、脂肪族ポリエステル;ポリアミド;ポリアミン;ポリアルキレンオキサレート;ポリ(酸無水物);ポリアミドエステル;コポリ(エーテル−エステル);ポリ(カーボネート)(チロシン由来のカーボネートが挙げられる);ポリ(ヒドロキシアルカノエート)(例えば、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、およびポリ(ヒドロキシブチレート));ポリイミドカーボネート;ポリ(イミノカーボネート)(例えば、ポリ(ビスフェノールA−イミノカーボネート)など);ポリオルトエステル;ポリオキサエステル(アミノ基を含むものが挙げられる);ポリホスファゼン;ポリ(プロピレンフマレート);ポリウレタン;ポリマー薬物(例えば、ポリジフルニソール、ポリアスピリン、およびタンパク質治療剤);生物学的に修飾された(例えば、タンパク質、ペプチド)生体吸収性ポリマー;およびこれらのコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、ブレンド、ならびに組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
より具体的には、本発明の目的で、脂肪族ポリエステルとしては、ラクチド(乳酸、D−ラクチド、L−ラクチドおよびメソラクチドが挙げられる);グリコリド(グリコール酸が挙げられる);ε−カプロラクトン;p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン);トリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン);トリメチレンカーボネートのアルキル誘導体;δ−バレロラクトン;β−ブチロラクトン;γ−ブチロラクトン;ε−デカラクトン;ヒドロキシブチレート;ヒドロキシバレレート;1,4−ジオキセパン−2−オン(その二量体である1,5,8,12−テトラオキサシクロテトラデカン−7,14−ジオンが挙げられる);1,5−ジオキセパン−2−オン;6,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2−オン;2,5−ジケトモルホリン;ピバロラクトン;α,α−ジエチルプロピオラクトン;エチレンカーボネート;エチレンオキサレート;3−メチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン;3,3−ジエチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン;6,8−ジオキサビシクロオクタン(dioxabicycloctane)−7−オンのホモポリマーおよびコポリマー;ならびにこれらのポリマーブレンドおよびコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
他の適切な生分解性ポリマーとしては、ポリ(アミノ酸)(コラーゲン(I、IIおよびIII)、エラスチン、フィブリン、フィブリノゲン、絹、およびアルブミンなどのタンパク質が挙げられる);ラミニンおよびフィブロネクチンの配列を含むペプチド(RGD);多糖類(例えば、ヒアルロン酸(HA)、デキストラン、アルギネート、キチン、キトサン、およびセルロース);グリコサミノグリカン;ガット;ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。コラーゲンは、本明細書中で使用される場合、天然コラーゲン(例えば、動物由来のコラーゲン、ゼラチン化コラーゲン)、または合成コラーゲン(例えば、ヒト組換えコラーゲンもしくは細菌組換えコラーゲン)を包含する。
【0048】
ループ付き縫合糸は、当業者の知識の範囲内である任意の技術(例えば、押出し、成形、キャスティングおよび/または紡績など)を用いて形成され得る。いくつかの実施形態において、縫合糸は、1本より多くのフィラメントから作製された糸を備え得、これらのフィラメントは、同じ材料または異なる材料の複数のフィラメントを含み得る。縫合糸が複数のフィラメントから作製される場合、この縫合糸は、任意の公知の技術(例えば、編組、製織、編成など)を用いて作製され得る。縫合糸はまた、縫合糸形成プロセスの一部として、糸を形成するために、延伸され得るか、配向され得るか、アニールされ得るか、カレンダリングされ得るか、縮らせられ得るか、撚糸され得るか、混繊され得るか、または空気によって絡ませられ得る。1つの実施形態において、マルチフィラメント縫合糸は、編組によって製造され得る。編組は、当業者の知識の範囲内である任意の方法によってなされ得る。
【0049】
縫合糸10は、細長本体11の遠位部分11bにループ12を備える。ある実施形態において、ループ12は、縫合糸10の形成中に形成され得る。ある実施形態において、ループ12は、縫合糸10の形成後に形成され得る。
【0050】
ある実施形態において、ループ12は、第一のセクション13および第二のセクション14が、細長本体11の遠位セクション11bに接合部15を形成することによって形成される。第一のセクション13および第二のセクション14は、当業者に公知である任意の適切な方法を使用して、接合部15を形成し得る。1つの実施形態において、細長本体11の第一のセクション13および第二のセクション14は、一緒に溶接される。この様式で、細長本体11の第一のセクション13および第二のセクション14は、互いに融合して接合部15を形成するまで、局所的に加熱される。種々の型のエネルギー(RF、超音波、レーザー、電気アーク放電、および熱が挙げられる)が、第一のセクション13および第二のセクション14を局所的に加熱して接合部15を形成するために使用され得る。あるいは、細長本体11の第一のセクション13および第二のセクション14は、膠、エポキシ接着剤または他の接着剤を使用して接合され得る。
【0051】
図1Aに図示されるように、ポリマーコーティング20が、細長本体11の遠位端11bの第一のセクション13および第二のセクション14の少なくとも一部分に配置されて、ループ12を補強し得る。ポリマーコーティング20は、ループの構造を維持し得るか、またはループの保持力を増強し得る、任意の生体適合性ポリマー材料から形成され得る。ポリマーコーティング20を形成するために使用される、有用な生体適合性材料のいくつかの例としては、ポリ乳酸(PLA);ポリグリコール酸(PGA);ポリラクチド−co−グリコリドコポリマー(PLGA);ポリトリメチレンカーボネート(PTMC);ポリ−ε−カプロラクトン(PCL);ポリ−ジオキサノン(PDO);ポリヒドロキシアルカノエート(例えば、ポリヒドロキシブチレート(P3HB、P4HB)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート)(PHBV)、ポリヒドロキシオクタノエート(PHO)、およびポリヒドロキシヘキサノエート(PHH));ポリホスファゼン;ポリプロピレンフマレート;ポリ酸無水物;ポリオルトエステル;ポリイミド;ポリフルオロアルコキシポリマー(PFA);フッ素化エチレン/プロピレンコポリマー(FEP);ポリ酸無水物エステル;ポリウレタン(ポリエーテルウレタン、ポリエステルウレタン、ポリカーボネートウレタン、ポリエーテルウレア、ポリエステルウレア、ポリカーボネートウレアおよびこれらの組み合わせが挙げられる);多糖類(セルロース、カルボキシメチルセルロース、キトサン、キチン、アルギネート、ヒアルロン酸、フカン、およびデキストランが挙げられる);ダイズタンパク質;ポリエチレン−ラクトンコポリマー;ポリエチレン−ポリオルトエステルコポリマー;ポリマー薬物;合成物質(親水性ビニルポリマー、ホスホリルコリン、ヒドロキサメート、ビニルフラノン、第四級アンモニウム、およびアルキレンオキシドが挙げられる);コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、ケラチン、フィブリン、トロンビンなどから作製されたバイオポリマー;ならびにこれらのブレンド、コポリマー、ホモポリマー、および組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
ある実施形態において、ポリマーコーティング20を形成するために使用される生体適合性材料は、溶媒と合わせられて、液体ポリマー組成物を形成し得、その後、縫合糸10の細長本体11の遠位端11bに塗布され得る。この液体ポリマー組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、分散物などであり得る。ある実施形態において、この液体ポリマー組成物は、溶液であり得る。このポリマー溶液は、重量基準で約0.1%〜約30%のポリマー材料、および少なくとも1種の溶媒を含有し得る。任意の種々の溶媒が、このポリマー溶液を形成するのに適切であり得る。適切な溶媒の例としては、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、1,4−ジオキサン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,1,2−トリクロロエタン、トリフルオロエタノール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ギ酸、n−ブタノール、イソプロパノール、エタノール、n−プロパノール、メタノール、酢酸、水、塩化メチレン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタンのうちの少なくとも1つ、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
さらに、このポリマー溶液は、少なくとも1つの任意の成分(例えば、乳化剤、粘度増強剤、色素、顔料、芳香剤、pH調整剤、生物活性剤など)を含有し得る。
【0054】
あるいは、ニートなモノマー、プレポリマーまたはこれらの溶液、プレポリマーが、ポリマーコーティングをインサイチュで形成するために使用され得る。これらのプレポリマーは、重合または架橋して、最終的なコーティングを形成し得る。この用途に対して適切なモノマーの例としては、シアノアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリレート官能性シリコーンオリゴマー、低Tgアクリレート、アクリレート官能性ポリウレタン、メタクリレート官能性ポリウレタン、n−ビニルピロリドン(NVP)、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸(AMPS)、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(DMAEMA)、n−(トリス(ヒドロキシメチル)メチル)アクリルアミド(Tris acryl)、アクリルアミド、コハク酸2−(メタクリロイルオキシ)エチル、[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムメチルスルフェート、およびこれらの混合物が挙げられる。架橋剤としては、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。重合は、シアノアクリレートの場合、水分で開始され得る。重合は、感熱性開始剤(例えば、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(ACVA)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AMPA)、過酸化ベンゾイル(BPO)など)を使用して開始され得る。より優先的には、重合は、感光性開始剤(例えば、ベンゾフェノン(BP)、メチルベンゾイルホルメート(MBF)、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4’−モルホリノブチロフェノン(BDMB)、2,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(DMPA)、1−[1−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンなど)を使用して開始され得る。他の実施形態において、プレポリマー(例えば、Bステージのポリウレタン、2部分シリコーンなど)が、コーティングをインサイチュで形成するために使用され得る。次いで、これらのコーティングは、内在する化学に依存して、熱、光、または水分を使用して、完全に硬化する。
【0055】
このポリマー溶液は、任意の適切な方法(噴霧、浸漬、ブラッシング、圧延、ワイピング、塗装、押出し、超音波などが挙げられる)を使用して、縫合糸の遠位セクションに塗布され得る。ある実施形態において、ループ付き縫合糸が、ポリマー溶液に浸漬され得る。いくつかの実施形態において、ポリマー溶液が、ループ付き縫合糸に噴霧され得る。
【0056】
ポリマー溶液は、縫合糸の遠位端の、ループを補強するのに適切な任意の部分に塗布され得る。縫合糸への溶液の塗布後、これらの縫合糸は、任意の適切な乾燥方法を使用して乾燥させられ得る。いくつかの非限定的な例としては、周囲条件下、オーブン内、減圧下、または強制的な空気での乾燥が挙げられる。より低い沸点を有する溶媒は、より速く乾燥させ得る。細長本体の遠位セクション全体がこのポリマー溶液に浸漬され得、そして乾燥させられて、ポリマーコーティングを形成し得、このポリマーコーティングは、この縫合糸の遠位部分全体(ループと、第一の重なりセクションおよび第二の重なりセクションとの両方を含めて)に配置される。
【0057】
図3に図示されるように、縫合糸310は、遠位端311bを有する細長本体311を備え、この遠位端は、第二のセクション314に置かれてループ312(想像線)を形成する第一のセクション313を備える。ポリマーコーティング320が、ループ312および第一の重なりセクション313と第二の重なりセクション314との一部分に配置される。遠位開口部分318が、ループ312内に規定され、この遠位開口部分は、縫合糸310の近位端311aが、ポリマーコーティング320を通過することなく遠位開口部分318を通過することを可能にする。
【0058】
いくつかの実施形態において、図4に示されるように、ポリマーコーティング420は、ループ412(想像線)に沿って、遠位開口部分418(想像線)をまたがって配置される。このような実施形態において、ポリマーコーティング420は、遠位開口部分418の開口部にまたがるのに充分な厚さおよび/または弾力を有する、フィルムまたはウェブを形成し得る。ある実施形態において、近位端411aは、遠位開口部分418を通過して損傷組織を閉鎖するときに、ポリマーコーティング420のウェブを穿孔し得る。ある実施形態において、ポリマーコーティング420は、細長本体411の遠位端411b(第一の重なりセクション413および第二の重なりセクション414、接合部415、ループ412、ならびに遠位開口部分418を含める)を完全に覆い得る。
【0059】
あるいは、図5に示されるように、ポリマーコーティング520は、ループ512の一部分のみに沿って、遠位開口部分518の一部分のみにまたがって配置され得る。このような実施形態において、遠位開口部分518の一部分は、縫合糸510の近位セクション511aの通過のために、開いたままである。細長本体511の第一の重なりセクション513および第二の重なりセクション514、ならびに接合部515は、ポリマーコーティング520を備えなくてもよい。いくつかの実施形態において、ポリマーコーティング520は、コーティング開口部分522を備え得、このコーティング開口部分もまた、縫合糸510の近位セクション511aの通過を可能にし得る。コーティング開口部分522は、遠位開口部分518にまたがるポリマーコーティング520のウェブに作製された開口部として示されている。このような開口部は、コーティングされたループ縫合糸の製造中に形成され得るか、または近位端511a、もしくは近位端511aに取り付けられた外科手術針(図示せず)で穿孔された後に形成され得る。
【0060】
ここで図6を参照すると、縫合糸610は、棘630および/または複数のポリマーコーティング(すなわち、第一のポリマーコーティング620aおよび第二のポリマーコーティング620b)を備え得る。棘630は縫合糸610に、ポリマーコーティング620aおよび620bの塗布前に形成されても塗布後に形成されてもよいことが想定される。第一のポリマーコーティング620aは、ループ612の一部分のみに沿って、遠位開口部分618の一部分のみにまたがって配置され得る。図示されるように、第一のポリマーコーティング622aは、複数のコーティング開口部分622a、622b、622cを備える。第二のポリマーコーティング620bは、遠位端611bの異なるセクションに配置され得、そして図示されるように、第一の重なりセクション613および第二の重なりセクション614の一部分に配置される。
【0061】
棘630は、任意の適切なパターン(例えば、螺旋パターン、直線パターン、または無作為に間隔を空けたパターン)で配置され得る。このパターンは、対称であっても非対称であってもよい。棘630の数、構成、間隔および表面積は、縫合糸610が使用される組織、ならびに細長本体611の材料の組成および幾何学的形状に依存して、変わり得る。さらに、棘630の割合は、比較的一定なままであり得、一方で、棘630の全体的な長さおよび棘630の間隔は、接続される組織によって決定され得る。例えば、縫合糸610が皮膚または腱の創傷の縁部を接続するために使用される場合、棘630は、比較的短く、より硬く作製されて、このかなり堅固な組織に入ることを容易にし得る。あるいは、縫合糸610が脂肪組織(これは、比較的柔軟である)において使用されることを意図される場合、棘630は、より長く、より間隔を空けて作製されて、この縫合糸610が軟部組織を把持する能力を増大させ得る。
【0062】
棘630の表面積もまた多様であり得る。例えば、特定の外科的用途のために設計された種々の大きさの丸へし状先端の棘が、特定の外科手術用途のために設計された様々なサイズで作製され得る。脂肪組織および比較的柔らかい組織を接合するためには、より大きい棘が望まれ得、一方で、より小さい棘は、コラーゲンの密度が高い組織に対してより適切であり得る。いくつかの実施形態において、同じ構造体内での大きい棘と小さい棘との組み合わせが、例えば、この縫合糸が異なる層構造の組織修復において使用される場合に有利であり得る。同じ縫合糸における大きい棘と小さい棘との組み合わせの使用(棘の大きさは、各組織層について誂えられる)は、最大の係留特性を確実にする。特定の実施形態において、単一方向の縫合糸は、大きい棘と小さい棘との両方を有し得る;他の実施形態において、双方向の縫合糸は、大きい棘と小さい棘との両方を有し得る。棘630は、円形、三角形、正方形、歪んだ形、楕円形、八角形、矩形および平らな形のような幾何学形状を有し得る。いくつかの実施形態において、組織を通るループ612の一方向への動きを可能にするが、ループ612が組織内に移植された後には縫合糸610の引き出しに抵抗する棘630が、ループ612に形成され得る。
【0063】
図6に示されるような実施形態において、第一のセクション613の近位端613aは、テーパ状表面617を形成するように角度を付けられ得る。テーパ状表面617は、ループ付き縫合糸610の近位端611aに向かって下向きに角を成す。テーパ状表面617は、第二のセクション614の長手方向軸「X」に対して、0°〜90°、好ましくは、約5°〜約60°の角αを形成する。テーパ状表面617は、ループ612の組織内または組織を通した挿入を容易にする。テーパ状表面617は、第一のセクション613と第二のセクション614との接合前、接合中または接合後に形成され得る。1つの実施形態において、テーパ状表面617は、溶接プロセス中に、切断表面(図示せず)を有するダイ(図示せず)を用いて形成される。別の実施形態において、テーパ状表面617は、刃(図示せず)によって形成される。テーパ状表面617を形成するために使用される刃は、糸611の切断を容易にするために、加熱され得るか、超音波により振動させられ得るか、または他の様式で適合され得る。第一のセクション613のテーパ状表面617は、接合されたセグメント615が細長本体611の第一のセクション613を越えて延びるように形成され得る。この様式で、テーパ状表面617は、細長本体611の第二のセクション614との滑らかな移行部を形成する。
【0064】
実質的に平坦なテーパを有するように示されるが、テーパ状表面617は、多くの構成を有し得る。例えば、図7A〜図9Cは、面取りされたテーパ状表面717(図7A〜図7C)、横方向および長手軸方向に凹状のテーパ状表面817(図8A〜図8C)、横方向および長手軸方向に凸状のテーパ状表面917(図9A〜図9C)またはこれらの任意の組み合わせを含む代替の実施形態を示す。面取りされたテーパ状表面、凹状のテーパ状表面および凸状のテーパ状表面(まとめてそれぞれ、形に合った(contoured)テーパ状表面717、817、917)はそれぞれ、平坦なテーパ状表面617と同様の様式で形成され得る。すなわち、形に合ったテーパ状表面717、817、917は、溶接プロセス中に、適切な形状の切断表面(図示せず)を有するダイ(図示せず)を用いて形成され得る。あるいは、形に合ったテーパ状表面717、817、917は、適切な形状の切断表面を有する刃(図示せず)を用いて形成され得る。テーパ状表面617は、縫合される組織、および/または組織へのループ612の所望される貫入深さに依存して選択され得る。
【0065】
いくつかの実施形態において、第一の重なりセクションの近位端は、縫合糸の第二の重なりセクションに対して垂直であり得る(図5を参照のこと)。なお他の実施形態において、第一の重なりセクションの近位端は、90°より大きい角度を形成し得、この場合、ポリマーコーティングは、テーパ状のポリマーコーティングを作製する様式で塗布され得る(図4を参照のこと)。
【0066】
分解性材料から製造される場合、本明細書中に記載される縫合糸は、使用される特定のコポリマーの特性に依存して、移植後に所定の期間にわたってその構造的一体性を維持する。このような特性としては、例えば、コポリマーの成分(コポリマーを形成するために利用されたモノマーおよびこれに対する任意の添加物の両方を含む)、ならびに加工条件(例えば、共重合反応の速度、反応温度、圧力など)、および得られたコポリマーの任意のさらなる処理(すなわち、コーティング、滅菌など)が挙げられる。ループの形成に関与する製造パラメータはまた、縫合糸が吸収される速度に影響する。接合部は、縫合糸の残りの部分とは異なる速度で吸収され得る。
【0067】
縫合糸本体への棘の形成は、2006年11月2日に出願された米国特許出願番号11/556,002(発明の名称「Long Term Bioabsorbable Barbed Sutures」、この出願の全内容は本明細書中に参考として援用される)に記載されるように、縫合糸の分解時間を変更するために利用され得る。
【0068】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの生物活性剤が、本明細書中に記載される縫合糸と合わせられ得る。例えば、生物活性剤は、縫合糸を形成するために使用されるポリマーと合わせられ得、そして/または生物活性剤は、ポリマーコーティングと合わせられ得る。少なくとも1つの剤が、この縫合糸によって自由に放出され得るか、またはこの縫合糸の表面に化学的に結合させられ得る。
【0069】
適切な生物活性剤としては、例えば、生物致死剤、抗菌剤、抗生物質、増殖抑制剤、医薬(medicant)、増殖因子、成長因子、抗凝固剤、凝固剤、鎮痛薬、麻酔薬、抗炎症性剤、創傷修復剤など、化学療法剤、生物学的薬剤、タンパク質治療剤、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体、DNA、RNA、ペプチド、多糖類、レクチン、脂質、プロビオティクス(probiotics)、診断剤、血管新生薬、抗血管新生薬、ポリマー薬物、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0070】
生物活性剤としては、治癒プロセスに有益であり、治癒プロセスを促進する傾向がある物質が挙げられる。例えば、ループ付き縫合糸には、生物活性剤が提供され得、この生物活性剤は、縫合部位に堆積される。生物活性剤は、その抗菌特性、創傷修復および/もしくは組織増殖を促進する能力、または血栓症のような特定の適応症に対して選択され得る。ある実施形態において、このような剤の組み合わせは、棘の形成の前、間または後に、本開示の医療用デバイスに適用され得る。
【0071】
用語「抗菌剤」は、本明細書中で使用される場合、それ自体によって、または免疫系を支援することによって、身体が、病原性であり得る微生物を破壊するかまたはこのような微生物に抵抗することを助ける剤を包含する。抗菌剤としては、抗生物質、防腐薬、集団感知ブロッカー(quorum sensing blocker)、抗真菌薬、抗ウイルス薬、界面活性剤、金属イオン、抗菌性のタンパク質およびペプチド、抗菌性の多糖類、消毒薬ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。組織内にゆっくりと放出される抗菌剤は、外科的または外傷による創傷部位における臨床上の感染および臨床水準以下の感染と闘うのを補助するこのような様式で適用され得る。ある実施形態において、適切な抗菌剤は、1以上の溶剤中に可溶性であり得る。
【0072】
ある実施形態において、以下の生物活性剤が、単独で、または本明細書中に記載される他の生物活性剤と組み合わせて使用され得る:アントラサイクリン、ドキソルビシン、ミトキサントロン、フルオロピリミジン、葉酸アンタゴニスト、メトトレキサート、ミトキサントロン、集団感知ブロッカー、臭素化またはハロゲン化されたフラノン、ポドフィロトキシン、エトポシド、カンプトテシン、ヒドロキシウレア、白金錯体、シスプラチン、ドキシサイクリン、メトロニダゾール、トリメトプリム−スルファメトキサゾール、リファンピシンのようなリファマイシン、第四世代のペニシリン(例えば、ウレイドペニシリン、カルボキシペニシリン、メジオシリン(meziocillin)、ピペラシリン、カルベニシリンおよびチカルシリン(ticarcillin)、およびこれらのアナログまたは誘導体)、第一世代のセファロスポリン(例えば、セファゾリンナトリウム、セファレキシン、セファゾリン、セファピリンおよびセファロシン(cephalothin))、カルボキシペニシリン(例えば、チカルシリン)、第二世代のセファロスポリン(例えば、セフロキシム、セフォテタンおよびセフォキシチン)、第三世代のセファロスポリン(例えば、ナキサセル、セフジニル、セフォペラゾン、セフタジジム(ceftazidime)、セフトリアキソン(ceftriaxone)およびセフォタキシム)、ポリビニルピロリドン(PVP)、第四世代のセファロスポリン(例えば、セフェピム(cefepime))、モノバクタム(例えば、アズトレオナム)、カルバペネム(例えば、イミペネム、エルタペネムおよびメロペネム)、アミノグリコシド(例えば、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシンおよびアミカシン)、MSL群のメンバー(例えば、マクロライド、長期作用型マクロライド、リンコサミド、ストレプトグラミン、エリスロマイシン、アジスロマイシン、クリンダマイシン、シネロイド(syneroid)、クラリスロマイシンおよびカナマイシン硫酸塩)、サイクリンなどのテトラサイクリン、フシジン酸、トリメトプリム、メトロニダゾール;キノロン(例えば、シプロフロキサシン、オフロキサシン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、レボフロキサシンおよびトロバフロキサシン)、DNA合成インヒビター(例えば、メトロニダゾール)、スルホンアミド(例えば、スルファメトキサゾール、トリメトプリム(セフィキシムを含む)、スペクチノマイシン、テトラサイクリン、ニトロフラントイン、ポリミキシンBおよびネオマイシン硫酸塩)、スルバクタムのようなβ−ラクタムインヒビター、クロラムフェニコール、バンコマイシンのような糖ペプチド、ムピロシン(mupirocin)、アムホテリシンBのようなポリエン、フルコナゾールのようなアゾール、ならびに当該分野で公知の他の公知の抗菌剤。
【0073】
他の適切な生物活性剤としては、以下のうちの1種以上が挙げられる:細胞の再生を促進する線維化剤、血管新生を促進する線維化剤、繊維芽細胞の移動を促進する線維化剤、繊維芽細胞の増殖を促進する線維化剤、細胞外マトリクスの堆積を促進する線維化剤、組織リモデリングを促進する線維化剤、憩室壁刺激原である線維化剤、シルク(カイコのシルク、クモのシルク、組換えのシルク、生糸、加水分解されたシルク、酸処理されたシルクおよびアシル化されたシルクなど)、滑石、キトサン、ブレオマイシンまたはそのアナログもしくは誘導体、結合組織増殖因子(CTGF)、金属ベリリウムまたはその酸化物、銅、サラシン、シリカ、結晶性シリケート、石英粉(quartz dust)、タルカムパウダー、エタノール、細胞外マトリクスの成分、酸化セルロース、多糖類、コラーゲン、フィブリン、フィブリノーゲン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)、N−カルボキシブチルキトサン、RGDタンパク質、塩化ビニルのポリマー、シアノアクリレート、架橋ポリ(エチレングリコール)−メチル化コラーゲン、炎症性サイトカイン、TGFβ、PDGF、VEGF、TNFα、NGF、GM−CSF、IGF−α、IL−1、IL−8、IL−6、成長ホルモン、骨形成タンパク質、細胞増殖因子、デキサメタゾン、イソトレチノイン、17−β−エストラジオール、エストラジオール、ジエチルスチベステロール、シクロスポリンA、すべてトランスのレチノイン酸またはそのアナログもしくは誘導体、ウール(動物の毛、木毛、鉱滓岩綿を含む)、綿、bFGF、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、アクチビン、アンギオポエチン、インシュリン様増殖因子(IGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、コロニー刺激因子(CSF)、エリスロポエチン、インターフェロン、エンドセリン−1、アンギオテンシンII、ブロモクリプチン、メチルセルギド(methylsergide)、フィブロシン(fibrosin)、フィブリン、接着性糖タンパク質、プロテオグリカン、ヒアルロナン、酸性かつシステインリッチな分泌タンパク質(secreted protein acidic and rich in cysteine)(SPaRC)、トロンボスポンジン、テナシン(tenacin)、細胞接着分子、デキストランベースの粒子、マトリクスメタロプロテイナーゼのインヒビター、マガイニン、組織または腎臓プラスミノーゲンアクチベーター、マトリクスメタロプロテイナーゼの組織インヒビター、四塩化炭素、チオアセタミド、組織を傷害するフリーラジカルを捕捉するためのスーパーオキシドジスムターゼ、癌治療のための腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子、インターフェロン、インターロイキン−2、または免疫系を増強するための他のリンホカイン、血小板リッチな血漿、トロンビン、自己組み立てペプチド系のようなペプチド、radAベースのアミノ酸のようなアミノ酸、超吸収性ヒドロゲル材料のようなヒドロゲル、ならびにこれらの組み合わせなど。
【0074】
広範な種々の抗血管新生因子が、本開示の文脈において容易に利用され得る。代表例としては、抗侵襲性因子;レチノイン酸およびその誘導体;パクリタキセル(高度に誘導体化されたジテルペノイド);スラミン;メタロプロテイナーゼの組織インヒビター−1;メタロプロテイナーゼの組織インヒビター−2;プラスミノーゲンアクチベーターのインヒビター−1;プラスミノーゲンアクチベーターのインヒビター−2;より軽い「d属」遷移金属の種々の形態(例えば、バナジウム、モリブデン、タングステン、チタン、ニオブおよびタンタル種ならびにこれらの複合体);血小板因子4;硫酸プロタミン(Clupeine);硫酸化キチン誘導体(ズワイガニの殻から調製されたもの);硫酸化多糖類ペプチドグリカン複合体(SP−PG)(この化合物の機能は、エストロゲンのようなステロイドおよびクエン酸タモキシフェンの存在によって増強され得る);スタウロスポリン;マトリクス代謝の調節因子(例えば、プロリンアナログである{[(L−アゼチジン−2−カルボン酸(LACA)、シスヒドロキシプロリン、d,L−3,4−デヒドロプロリン、チアプロリン、α,α−ジピリジル、フマル酸β−アミノプロピオニトリル);MDL 27032(4−プロピル−5−(4−ピリジニル)−2(3H)−オキサゾロン);メトトレキサート;ミトキサントロン;ヘパリン;インターフェロン;2 マクログロブリン−血清;ChIMP−3;キモスタチン;β−シクロデキストリンテトラデカサルフェート;エポネマイシン;カムプトテシン;フマギリン金ナトリウムチオマレート(Fumagillin Gold Sodium Thiomalate)(「GST」);D−ペニシラミン(「CDPT」);β−1−アンチコラゲナーゼ−血清;α2−アンチプラスミン;ビサントレン(Bisantrene);ロベンザリット二ナトリウム(N−(2)−カルボキシフェニル−4−クロロアントラニル酸二ナトリウムすなわち「CCA」);サリドマイド;血管新生抑制性(Angostatic)ステロイド;AGM−1470;カルボキシアミノイミダゾール(carboxynaminolmidazole);BB94のようなメタロプロテイナーゼインヒビター、これらのアナログおよび誘導体、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0075】
広範な種々のポリマー薬物が、本開示の文脈において容易に利用され得る。代表例としては、ステロイド性抗炎症性剤、非ステロイド性抗炎症性剤およびこれらの組み合わせが挙げられる。本開示と共に使用され得る非ステロイド性抗炎症性剤の例は、アスピリン、インドメタシン、イブプロフェン、フェニルブタゾン、ジフルシナルおよびこれらの組み合わせである。
【0076】
使用され得るステロイド性抗炎症性剤の例は、コルチゾンおよびヒドロコルチゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、フルプレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、パラメタゾンおよびこれらの組み合わせのような糖質コルチコイドである。
【0077】
上記の生物活性剤は、例示の目的のために提供されてきたが、本開示は、これらに限定されないものと理解されるべきである。特に、特定の生物活性剤が具体的に上に記載されているが、本開示は、このような剤のアナログ、誘導体および結合体を包含することが理解されるべきである。
【0078】
ループ付き縫合糸および/またはポリマーコーティングはまた、例えば、生物学的に受容可能な可塑剤、抗酸化物質および着色料、ならびに他の任意の成分を含み得る。
【0079】
生物活性剤は、当業者の知識の範囲内の任意の方法(例えば、噴霧、浸漬、ブラッシング、圧延、ワイピング、塗装、押出し、超音波などを含む)を利用して、縫合糸および/またはポリマーコーティングの上に適用され得る。ある実施形態において、生物活性剤は、棘の角、すなわち、縫合糸の棘と細長本体との間に形成される角の内側に堆積され得る。こうして縫合糸の棘と細長本体との間に生物活性剤を配置することで、組織創傷閉鎖領域内の正確に画定された位置に生物活性剤を配置し、それによって、独特に制御され、かつ、持続性の放出投薬形態を提供する。
【0080】
これらの縫合糸は、外科手術分野における縫合糸の可視性を高めるために染色され得る。医療用デバイスに組み込むのに適切な任意の色素が使用され得る。このような色素としては、カーボンブラック、ボーンブラック、D&C Green No.6、およびD&C Violet No.2が挙げられるがこれらに限定されない。本開示に従うフィラメントは、約2〜3%までの量の染料を加えることによって染色され得る;他の実施形態において、フィラメントは、約0.2%の量の染料を加えることによって染色され得る;なおさらなる実施形態において、染料は、約0.06%〜約0.08%の量で加えられ得る。
【0081】
使用時に、本明細書中に記載されるループ付き縫合糸は、その近位端に針(図示せず)を備え得る。針は、組織の第一および第二のフラップ内に、これらのフラップを通して挿入される。このループ付き縫合糸は、第一の重なりセクションの近位端が組織に接触するまで組織を通して引っ張られ得る。一旦、縫合糸のループの一部分が組織内に受容されると、縫合糸の近位端がループを通して挿入され得る。次いで、縫合糸の近位端は、きつく引っ張られ、それによって、第一および第二の組織フラップを互いに向けて近接させ得る。次いで、縫合糸の近位端は、結ばれるか、または他の方法でループに固定され得る。1つの実施形態において、結び目は、近位端がループから引き出されることを防止するために、近位端内に形成され得る。別の実施形態において、縫合糸の近位端は、ループに直接結び付けられ得る。
【実施例】
【0082】
(実施例1)
60本のコーティングされたループ付き縫合糸およびコーティングされていないループ付き縫合糸に対して、研究を実施した。コーティングされたループ付き縫合糸およびコーティングされていないループ付き縫合糸の、滅菌されたバージョンと滅菌されていないバージョンとの両方を、等しく試験した。
【0083】
ループ付き縫合糸の各々を、ポリ(グリコリド−co−トリメチレンカーボネート)から作製し、ループ付き縫合糸の第一の重なり部分と第二の重なり部分とを超音波で溶接して、接合部を形成した。
【0084】
ループ付き縫合糸のうちの30本をコーティングしないままにし、そしてループ付き縫合糸のうちの30本を、ポリ(グリコリド−co−トリメチレンカーボネート)の5%溶液で浸漬コーティングし、そして乾燥させた。これらの浸漬コーティングしたループ付き縫合糸は、そのループの遠位開口部分にまたがるウェブを備えた。このウェブは中実であり、穿孔されていなかった。
【0085】
コーティングされたループ付き縫合糸およびコーティングされていないループ付き縫合糸のうちの半分を滅菌して、以下の4つの群にした:15本のコーティングされていない滅菌されていないループ付き縫合糸;15本のコーティングされていない滅菌されたループ付き縫合糸;15本のコーティングされた滅菌されていないループ付き縫合糸;および15本のコーティングされた滅菌されたループ付き縫合糸。
【0086】
これらの4つの群の各々を、緩衝溶液に浸漬し、そして50℃の温度に維持して、このループ付き縫合糸が開いて重なりセクションの付着が外れるまでに必要とされる時間の量を決定した。その結果を以下の表Iに与える:
【0087】
【表1】

本開示の例示的な実施形態が添付の図面を参照して本明細書中に記載されてきたが、本開示は、これらの厳密な実施形態に限定されず、そして、これらの実施形態において種々の他の変更および修正が、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく当業者によってなされ得ることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0088】
10 縫合糸
11 細長本体
11a 近位端
11b 遠位端
12 ループ
13 第一のセクション
14 第二のセクション
15 接合部
20 ポリマーコーティング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位セクションおよび遠位セクションを備える細長本体であって、該遠位セクションは、第一の重なりセクションおよび第二の重なりセクション、ならびにループを備える、細長本体;ならびに
該遠位セクションの少なくとも一部分に配置されて該ループを補強するポリマーコーティング、
を備える、縫合糸。
【請求項2】
前記細長本体が生体適合性材料を含有する、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項3】
前記第一の重なりセクションと前記第二の重なりセクションとが、膠、接着剤、溶媒、熱、および超音波エネルギーからなる群より選択される少なくとも1つの方法によって一緒に固定される、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項4】
前記第一の重なりセクションと前記第二の重なりセクションとが、超音波エネルギーによって一緒に固定される、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項5】
前記第一の重なりセクションおよび前記第二の重なりセクションが、テーパ状の端部をさらに備える、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項6】
前記ポリマーコーティングが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリラクチド−co−グリコリドコポリマー、ポリトリメチレンカーボネート、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ−ジオキサノン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリホスファゼン、ポリプロピレンフマレート、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリイミド、ポリウレタン、ポリウレタンウレア、ポリフルオロアルコキシポリマー、フッ素化エチレン/プロピレンコポリマー、ポリ酸無水物エステル、多糖類、ポリエチレン−ラクトンコポリマー、ポリエチレン−ポリオルトエステルコポリマー、ポリマー薬物、親水性ビニルポリマー、ホスホリルコリン、ヒドロキサメート、ビニルフラノン、第四級アンモニウム、アルキレンオキシド、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、フィブリン、ならびにこれらのブレンド、コポリマー、ホモポリマー、および組み合わせからなる群より選択される材料を含有する、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項7】
前記ポリマーコーティングが、ポリ(グリコリド−co−トリメチレンカーボネート)のコポリマーを含有する、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項8】
前記ポリマーコーティングが、前記第一の重なりセクションおよび前記第二の重なりセクションの少なくとも一部分に配置されている、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項9】
前記ポリマーコーティングが、前記ループの少なくとも一部分に配置されている、請求項1に記載の縫合糸。
【請求項10】
近位セクションおよび遠位セクションを備える細長本体であって、該遠位セクションが、第一の重なりセクションおよび第二の重なりセクション、ループ、ならびに遠位開口部分を備える、細長本体;ならびに
該ループの少なくとも一部分に配置され、かつ該遠位開口部分の少なくとも一部分をまたがって配置されて該ループを補強するポリマーコーティング、
を備える、縫合糸。
【請求項11】
前記細長本体が生体適合性材料を含有する、請求項10に記載の縫合糸。
【請求項12】
前記第一の重なりセクションと前記第二の重なりセクションとが、膠、接着剤、溶媒、熱、および超音波エネルギーからなる群より選択される少なくとも1つの方法によって一緒に固定される、請求項10に記載の縫合糸。
【請求項13】
前記第一の重なりセクションと前記第二の重なりセクションとが、超音波エネルギーによって一緒に固定される、請求項10に記載の縫合糸。
【請求項14】
前記第一の重なりセクションおよび前記第二の重なりセクションが、テーパ状の端部をさらに備える、請求項10に記載の縫合糸。
【請求項15】
前記ポリマーコーティングが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリラクチド−co−グリコリドコポリマー、ポリトリメチレンカーボネート、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ−ジオキサノン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリホスファゼン、ポリプロピレンフマレート、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリイミド、ポリフルオロアルコキシポリマー、フッ素化エチレン/プロピレンコポリマー、ポリ酸無水物エステル、多糖類、ポリエチレン−ラクトンコポリマー、ポリエチレン−ポリオルトエステルコポリマー、ポリマー薬物、親水性ビニルポリマー、ホスホリルコリン、ヒドロキサメート、ビニルフラノン、第四級アンモニウム、アルキレンオキシド、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、フィブリン、トロンビン、ならびにこれらのブレンド、コポリマー、ホモポリマー、および組み合わせからなる群より選択される材料を含有する、請求項10に記載の縫合糸。
【請求項16】
前記ポリマーコーティングが、ポリ(グリコリド−co−トリメチレンカーボネート)のコポリマーを含有する、請求項10に記載の縫合糸。
【請求項17】
前記ポリマーコーティングが、前記第一の重なりセクションおよび前記第二の重なりセクションの少なくとも一部分に配置されている、請求項10に記載の縫合糸。
【請求項18】
前記ポリマーコーティングが、前記ループの少なくとも一部分に配置されている、請求項10に記載の縫合糸。
【請求項19】
前記ポリマーコーティングが、前記遠位開口部分の少なくとも一部分を横切ってまたがっている、請求項10に記載の縫合糸。
【請求項20】
前記ポリマーコーティングが、少なくとも1つのコーティング開口部分をさらに備える、請求項19に記載の縫合糸。
【請求項21】
前記縫合糸がモノフィラメント縫合糸を備える、請求項10に記載の縫合糸。
【請求項22】
補強されたループ付き縫合糸を形成する方法であって、
細長本体を有する縫合糸を提供する工程であって、該細長本体は、近位セクションおよび遠位セクションを備え、該遠位セクションは、第一の重なりセクションおよび第二の重なりセクション、ならびにループを備える、工程;ならびに
ポリマーコーティングを、該細長本体の該第一の重なりセクションおよび該第二の重なりセクションに塗布する工程、
を包含する、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−218165(P2011−218165A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84095(P2011−84095)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】