説明

コーティング特性の調節のためのポリ(エステルアミド)フィラーブレンド

本発明では、PEAポリマーブレンド、およびこれから形成されるコーティングまたは埋込型用具が提供される。PEAポリマーブレンドは、PEAポリマーおよびPEAと水素結合を形成できる材料で形成される。該PEAポリマーブレンドは、埋込型用具上にコーティングを形成することも可能であり、その1つの例はステントである。該コーティングは場合により生体有益材料および/または場合により生理活性剤を含むことができる。埋込型用具は、アテローム性動脈硬化、血栓症、再狭窄、出血、血管解離または血管穿孔、血管破裂、不安定プラーク、慢性の完全閉塞、跛行、静脈および人工グラフトに関する吻合部増殖、胆管閉塞症、尿管閉塞症、腫瘍性閉塞症およびこれらの組合せのうちの1種などの障害を、治療または予防するために使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、ポリ(エステルアミド)(PEA)ポリマーと、PEAポリマーと水素結合を形成できる材料またはポリマーとを有する、PEAポリマーブレンドであって、PEAポリマーより高いガラス転移温度(T)を有し、薬剤送達ステントなどの埋込型用具を被覆するために有用なPEAポリマーブレンドに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ(エステルアミド)ポリマーは、その比較的低いガラス転移温度で知られている。例えば、co−ポリ−{[N,N’−セバコイル−bis−(L−ロイシン)−1,6−ヘキシレンジエステル]−[N,N’−セバコイル−L−リジンベンジルエステル]}(PEA−Bz)、およびco−ポリ{[N,N’−セバコイル−bis−(L−ロイシン)−1,6ヘキシレンジエステル]−[N,N’−セバコイル−L−リジン4−アミノ−TEMPOアミド]}(PEA−TEMPO)は、それぞれ約23℃および約33℃のTを有する。
【0003】
が低いことに関する問題は、放出速度の制御が低下すること、送達バルーンに対する粘着および接着の可能性、ならびに保存期間の安定性が減少することとなって現れる。Tが低い材料は、薬剤浸透性がそれだけ高く、そのため薬剤の放出速度を制御するためには、ポリマーを増量して使用することが必要である。さらに、Tが低いと薬剤をコーティング内に拡散させることが可能になる。言い換えれば、所与のコーティング内での薬剤の配置は、平衡状態に達するまで時間と共に変化し、放出速度の変動を起こすこととなる。Tの低い材料はまた、それだけ軟質になる傾向があり、それらはバルーンに対してより接着しやすくなる恐れがあり、圧縮および拡張などの機械的摂動の間に不具合を生じやすい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、これらの問題を対処する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、1種または複数種のポリ(エステルアミド)(PEA)ポリマーおよびPEA分子と水素結合を形成できる材料を含むPEA組成物が提供される。本発明で提供されるPEA組成物は、安定性、薬剤放出速度および機械的特性が改良されたコーティングを形成できる。該PEA組成物は、埋込型用具自体を形成するためにも使用でき、その1つの例はステントである。
【0006】
いくつかの実施形態において、PEAポリマーブレンドは、場合により生体有益材料および/または場合により生理活性剤と共に使用して、埋込型用具を被覆することができる。他の実施形態において、PEAポリマーブレンドは、1種または複数種の生体適合性ポリマーと共に使用することができ、該生体適合性ポリマーは生分解性、生体吸収性、非分解性または生体非吸収性のポリマーであってもよい。
【0007】
該埋込型用具は、ステントであってよく、該ステントは金属製、生分解性または非分解性であってよい。該ステントは、神経血管系、頚動脈、冠状動脈、肺、大動脈、腎臓、胆のう、腸骨、大腿、膝窩または他の末梢の各血管系での使用を意図することができる。該ステントは、アテローム性動脈硬化、血栓症、再狭窄、出血、血管解離または血管穿孔、血管破裂、不安定プラーク、慢性の完全閉塞、跛行、静脈および人工グラフトに関する吻合部増殖、胆管閉塞症、尿管閉塞症、腫瘍性閉塞症およびこれらの組合せ、などの障害を治療または予防するために使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明では、1種または複数種のPEAポリマーおよびPEA分子と水素結合を形成できる材料を含むポリ(エステルアミド)(PEA)組成物が提供される。本発明で提供されるPEA組成物は、安定性、薬剤放出速度および機械的特性が改良されたコーティングを形成できる。該PEA組成物は、さらにそれ自身が埋込型用具を形成するために使用でき、その1つの例はステントである。
【0009】
いくつかの実施形態において、PEAポリマーブレンドは、場合により生体有益材料および/または場合により生理活性剤と共に使用することができ、埋込型用具を被覆する。他のいくつかの実施形態において、PEAポリマーブレンドは、1種または複数種の生体適合性ポリマーと共に使用することができ、該生体適合性ポリマーは生分解性、生体吸収性、非分解性または生体非吸収性のポリマーであってよい。
【0010】
該埋込型用具は、ステントであってよく、該ステントは金属製、生分解性または非分解性のステントであってよい。該ステントは、神経血管系、頚動脈、冠状動脈、肺、大動脈、腎臓、胆のう、腸骨、大腿、膝窩または他の末梢の各血管系での使用を意図することができる。該ステントは、アテローム性動脈硬化、血栓症、再狭窄、出血、血管解離または血管穿孔、血管破裂、不安定プラーク、慢性の完全閉塞、跛行、静脈および人工グラフトに関する吻合部増殖、胆管閉塞症、尿管閉塞症、腫瘍性閉塞症およびこれらの組合せ、などの障害を治療または予防するために使用される。
【0011】
ポリ(エステルアミド)と水素結合を形成できるポリマー
水素結合は、分子と分子の相互作用の重要な形態であり、電子の陰性度が高い原子、通常フッ素、酸素および窒素に結合した水素原子と、他の電子的陰性原子上に位置する非共有電子対との間に生じる。水素結合は、一般的に、X―H…Xと表すことができ、ここでXは電子供与体または電子受容体となることができ、XおよびXは独立してフッ素、酸素または窒素の原子あるいは原子団である。
【0012】
PEAポリマー骨格中のアミド基は、供与体および受容体の両方として、水素結合に関与できる。この挙動はナイロンポリマーにおいてよく知られている。しかし、PEA鎖の立体化学は、ポリマー鎖間の水素結合を可能にすると思われる最密充填構造を取らない。PEA鎖間の相互作用を誘発するために、ポリマーのフィラーをPEAに加えることが可能である。これらのフィラーが水素結合を形成できる場合、フィラーはPEA鎖間の架橋として機能する。この方法において、PEA鎖中のアミド基は、フィラーと水素結合することができ、該フィラーは順にもう1つのPEA鎖に水素結合でき、その結果、PEAポリマー鎖の可動性が減少し、したがって、材料の有効なTが上昇する。
【0013】
本明細書中で使用する場合、ポリ(エステルアミド)は、少なくとも1つのエステル原子団と少なくとも1つのアミド原子団とを、その骨格に有するポリマーを含む。PEAポリマーの一例は、スキームIに従って製造される。他のPEAポリマーは、米国特許第6503538号B1に記載されている。PEAポリマーの一例は、二価酸、ジオールおよびアミノ酸のサブユニットを含み、該ポリマーの側基は生体有益部位を含んでいても、含んでいなくてもよい。
【0014】
【化1】

【0015】
PEAポリマーは、縮合重合、特に二価酸、ジオール、ジアミンおよびアミノ酸を使用した縮合重合により製造できる。PEAを製造するためのいくつかの例示的方法が、米国特許第6503538号B1に記載されている。
【0016】
多くのポリマーが、PEAポリマー鎖と水素結合を形成できる。特定のポリマーフィラーを選択するためには、2つの条件が挙げられる。(1)ポリマーフィラーが放出されることが、許容されなければならない。(2)いくつかの水素結合ポリマーは、親水性であり、非常に親水性のポリマーは、材料の吸水を増加させると思われ、このことは材料のTを下げ、薬剤の拡散率を上げ、強度を下げ、PEA材料のTを増加させる所望の効果を打ち消してしまう。したがって、ポリマーフィラーはPEAポリマー鎖と水素結合を形成することはできるであろうが、材料の水の吸収を実質的に増加させないものが好ましいであろう。例えば、そのようなポリマーフィラーは、ポリ(ビニルアルコール)の親水性にほぼ近いか、またはそれより低い親水性を有するであろう。
【0017】
本明細書中で使用する場合、Tは、ポリマーの非結晶領域が脆性のガラス状態から、可塑的状態へと大気圧下で変化する温度のことを一般に指す。言い換えれば、Tは、ポリマーの鎖において部分運動の開始が生じ、それがポリマーの熱容量対温度のグラフで識別できる温度に相当する。非結晶または半結晶のポリマーが加熱された時、その膨張係数および熱容量は、温度の上昇と共に両方とも増加し、分子運動の増加を示唆する。温度が上昇した場合でも、試料の実際の分子体積は一定に維持される。したがって、膨張係数が高くなるということは、系の自由体積が増加し、分子にとって運動の自由度が増大したことを示す。熱容量の上昇は、運動を介した熱の消失が増加することに相当する。
【0018】
本明細書中で使用する場合、「Tが低い」という用語はPEA−BZのT(T=23℃)より低いT、またはPEA−TEMPOのT(T=33℃)より低いTを指す。
【0019】
適切な水素結合性ポリマーは、生分解性ポリマーまたは非分解性ポリマーまたは耐久性ポリマーあるいはこれらの組合せでよい。PEAポリマーとブレンド可能な非分解性ポリマーは、腎臓により分泌できるように、およそ40000ダルトンより小さい数平均分子量または重量平均分子量を有さなければならない。PEAポリマーとブレンド可能な生分解性ポリマーは、腎臓により分泌できるように、約40000ダルトンより小さい数平均分子量または重量平均分子量を有する断片に分解できなければならない。特定の非分解性ポリマー候補は、限定するものではないが、ヒドロキシ基、カルボキシル基、またはアミノ基を含有するモノマーのポリマーまたはコポリマーを含み、これらの例は、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアルコール−co−酢酸ビニル)、ポリアクリル酸、ポリ(エチレン−co−アクリル酸)、ポリメタクリル酸、ポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)、ポリ(メタクリル酸2−メトキシエチル)、ポリ(メタクリル酸2−エトキシエチル)、ポリ(アクリル酸2−メトキシエチル)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ピロール)、非水溶性酢酸セルロース、非水溶性ヒドロキシエチルセルロース、非水溶性ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロースエーテル、ポリ(ウレタン)、ポリ(ウレタン−ウレア)、ポリ(ウレア)、ポリ(テトラメチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)およびこれらの組合せである。
【0020】
いくつかの実施形態において、PEAポリマーと水素結合を形成できる生分解性ポリマーは、例えば、ポリ(イミノカーボネート)、ペプチド、ゼラチン、コラーゲン、非水溶性キトサン、アガロース、エラスチン、ポリ(アルギン酸)、アルギネート、デキストロース、デキストラン、ポリ(グルタミン酸)、ポリ(リジン)、ポリ(エチレングリコール)のセグメントとポリブチレンテレフタレートのセグメントとを含むコポリマー(PEG/PBT)(PolyActive(商標))、ポリ(アスパラギン酸)、ポリ(ロイシン)、ポリ(ロイシン−co−ヒドロキシエチルグルタミン)、ポリ(グルタミン酸ベンジル)、ポリ(グルタミン酸−co−グルタミン酸エチル)、ポリ(アミノ酸)、またはこれらの組合せであってよい。ポリ(オルトエステル)、ポリ(アンヒドリド)、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)とグリコール酸とのコポリマー、ポリ(ホスホエステル)、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(オキサエステル)、ポリ(オキサアミド)、ポリ(エチレンカーボネート)、ポリ(プロピレンカーボネート)、ポリ(ホスホエステル)、ポリ(ホスファゼン)、これらとPEGとのコポリマー、またはこれらの組合せであってもよい。
【0021】
いくつかの実施形態において、水素結合性フィラーは、柔軟性のあるポリ(エチレングリコール)とポリ(ブチレンテレフタレート)のブロック(PEGT/PBT)を有するブロックコポリマー(例えば、PolyActive(商標))であってよい。PolyActive(商標)はPEGおよびPBTのようなセグメントを有するAB、ABA、BABコポリマーを含むように意図されている(例えば、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(ブチレンテレフタレート)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)(PEG−PBT−PEG))。
【0022】
PolyActive(商標)(一般的に化学式XPEGTMPBTNで表され、式中XはPEGセグメントの分子量、MはPEGセグメントの重量パーセント、およびNはPBTセグメントの重量パーセントである)は、PEA分子と水素結合を形成できるPEGブロックまたはPEGセグメントを有し、該ブロックまたは該セグメント中でPolyActive(商標)中の酸素原子は、以下に示すように水素結合を形成するための供与原子として機能できる。
【0023】
【化2】

PolyActive(商標)のエステル結合中のカルボニル酸素もまた、水素結合の供与体原子として機能し得る。結果として、PEA/PolyActive(商標)ブレンドのTは、PEAのTより高くなるであろう。さらに、ブレンド中のPEA成分はPolyActive(商標)単独よりも好ましい薬剤放出特性を有するであろう。なぜならPolyActive(商標)は単独で使用した場合には、好ましい薬剤放出制御を示さないからである。この実施形態において、PEAおよびPolyActive(商標)は、埋込型用具を被覆するためのブレンド、または埋込型用具自体を形成するためのブレンドとして、あるいは埋込型用具を被覆するための別々の層の中に使用できる。例えば、PEA/PolyActive(商標)ブレンドは、薬剤送達マトリックスとしてステント上に被覆できる。あるいは、PEAおよびPolyActive(商標)は、埋込型用具上に別々な層として被覆され、PolyActive(商標)層とPEA層との間の界面相、そこでは、上記の水素結合はPolyActive(商標)分子とPEA分子との間の接触面でやはり存在できる。1つの実施形態において、PEAは生体有益部位と結合できる。生体有益部位とは、以下に規定される生体有益材料に由来する。例えば、PEA/生体有益部位複合体は、PEA−PEG、PEA−ホスホリルコリン(PEA−PC)またはPEA−コリンであってよい。
【0024】
いくつかの他の実施形態において、−NHまたは−COOHの側基または末端基を有する、デンドリマーおよび/または星型ポリマーは、水素結合を容易にするためにPEAにブレンド可能である。星型ポリマーまたはデンドリマーは、−COOHまたは−NHなどの水素結合部位に加えて、結合活性剤を含んでいてもよい。Fe、Caおよび/またはPを有する吸収性ガラスなどの他のフィラー材料がPEAポリマーにブレンドされてもよい。静電相互作用は、このように形成されたブレンドのTをさらに高めることができる。
【0025】
いくつかの実施形態において、水素結合性フィラーのポリマーは、PEAポリマーで形成された薬剤送達コーティング中の薬剤と相加的にまたは相乗的に、生物学的結果を調節すると思われる生理活性成分であってもよい。このような生理活性成分は、例えば、早期回復のためにはラミニンV、シルクエラスチン、ヒアルロン酸−ベンジルエステル、抗増殖性を有するレステンNG(resten NG)または他のアンチセンスオリゴヌクレオチド断片、SMC遊走の予防のためには、MMPI、および/または局所因子Xa阻害のためには、酢酸セルロース−co−五糖類などであってもよい。
【0026】
生体有益材料
水素結合性フィラーとPEAは、場合により生体有益材料と共にコーティングを形成することができる。該組合せは、混合され、ブレンドされ、または別々の層に被覆できる。本明細書中に記載されたコーティング中で有用な生体有益材料は、ポリマー材料であっても、または非ポリマー材料であってもよい。生体有益材料は好ましくは、非中毒性、非抗原性および非免疫原性である。生体有益物質は、非吸着性、血液適合性、能動的非血栓形成性または抗炎症性であることにより、装具の生体適合性を高めるものであり、これらの特性の全ては医薬活性剤の放出に依存することはない。
【0027】
代表的な生体有益材料は、限定するものではないが、ポリ(エチレングリコール)、コポリ(エーテル−エステル)(例えば、PEO/PLA)と、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)などのポリアルキレンオキシドと、ポリ(エーテルエステル)などのポリエーテル;ポリアルキレンオキサラート、ポリホスファゼン、ホスホリルコリン、コリン、ポリ(アスピリン);ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ヒドロキシプロピルメタクリルアミドなどのヒドロキシ基保有モノマーと、ポリ(エチレングリコール)アクリレート(PEGA)、PEGメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)およびn−ビニルピロリドン(VP)とメタクリル酸(MA)、アクリル酸(AA)、アルコキシメタクリレート、アルコキシアクリレート、および3−トリメチルシリルプロピルメタクリレート(TMSPMA)などのカルボン酸保有モノマーとのポリマーまたはコポリマー;ポリ(スチレン−イソプレン−スチレン)−PEG(SIS−PEG)、ポリスチレン−PEG、ポリイソブチレン−PEG、ポリカプロラクタン−PEG(PCL−PEG)、PLA−PEG、ポリ(メチルメタクリレート)−PEG(PMMA−PEG)、ポリジメチルシロキサン−co−PEG(PDMS−PEG)、ポリ(ビニリデン−フルオリド)−PEG(PVDF−PEG)、PLURONIC(商標)界面活性剤(ポリプロピレンオキシド−co−ポリエチレングリコール)、ポリ(テトラメチレングリコール)、ヒドロキシ官能性ポリ(ビニルピロリドン);フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、スターチ、コラーゲン、デキストラン、デキストリン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の断片および誘導体、ヘパリン、ヘパリンの断片および誘導体、グルコサミノグリカン(GAG)、GAG誘導体、多糖類、エラスチン、キトサン、アルギネート、シリコーンなどの生体分子、およびこれらの組合せを含む。いくつかの実施形態において、コーティングは前述のポリマーのいずれか1つを排除できる。
【0028】
更なる実施形態において、生体有益材料は、ニンニク油、フラーレン、Ca、Mgおよびタンタルイオンなどの金属材料であってもよい。
【0029】
好ましい実施形態において、生体有益材料は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)またはポリアルキレンオキシドなどのポリエーテルを含み得る。
【0030】
生理活性剤
本明細書中に記載されたポリマーコーティングまたはポリマー基材は、場合により1種または複数種の生理活性剤を含むことができる。これらの生理活性剤は、治療用薬剤、予防用薬剤または診断用薬剤のいずれの薬剤であってもよい。これらの薬剤は、抗増殖性または抗炎症性を有することができ、あるいは、細胞増殖抑制の薬剤と同様に、抗腫瘍性、抗血小板性、抗凝血性、抗フィブリン性、抗トロンビン性、抗有糸分裂性、抗菌性、抗アレルギー性、抗酸化性などの、他の特性をも有することができる。適切な治療および予防用薬剤の例としては、合成の無機化合物および有機化合物、タンパク質およびペプチド、多糖類および他の糖類、脂質、ならびに治療的、予防的、診断的活性を有するDNAおよびRNA核酸配列が挙げられる。核酸配列は、遺伝子、転写を抑制する相補的なDNAに結合するアンチセンス分子、およびリボゾームを含む。他の生理活性剤のその他のいくつかの例としては、抗体、受容体リガンド、酵素、接着性ペプチド、血液凝固因子、ストレプトキナーゼおよび組織プラスミノーゲン活性化因子などの抑制剤または血栓溶解剤、免疫化のための抗原、ホルモンおよび成長因子、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびリボゾームなどのオリゴヌクレオチド、ならびに遺伝子治療のために使用されるレトロウィルスベクターが挙げられる。抗増殖性剤の例としては、ラパマイシンおよびその機能的または構造的誘導体、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)およびその機能的または構造的誘導体、パクリタキセルおよびその機能的かつ構造的誘導体が挙げられる。ラパマイシン誘導体の例としては、メチルラパマイシン(ABT−578)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、および40−O−テトラゾール−ラパマイシンが挙げられる。パクリタキセル誘導体の例としては、ドセタキセルが挙げられる。抗腫瘍性剤および/または抗有糸分裂剤の例としては、メトトキサレート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、塩酸ドキソルビシン(例えば、Pharmacia & Upjohn, Peapack, N.J.より発売のAdriamycin(登録商標))およびマイトマイシン(例えば、Bristol−Myers Squibb Co., Stamford, Conn.で製造のMutamycin(登録商標))が挙げられる。抗血小板物質、抗凝血剤、抗フィブリン剤および抗トロンビン剤の例としては、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヘパリン類似物質、ヒルジン、アルガトロバン、ホルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリンおよびプロスタサイクリン類似体、デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成抗トロンビン剤)、ジピリダモール、血小板膜糖タンパク質IIb/IIIa受容体のアンタゴニスト抗体、組み換え型ヒルジン、Angiomax a (Biogen,Inc., Cambridge, Mass.)などのトロンビン阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬(ニフェジピンなど)、コルヒチン、繊維芽細胞増殖因子(FGF)拮抗薬、魚油(オメガ3−脂肪酸)、ヒスタミン拮抗薬、ロバスタチン(HMG−CoA還元酵素の阻害剤、コレステロール低下薬、Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J.で製造の商標Mevacor(登録商標))、モノクロナール抗体(血小板由来成長因子(PDGF)受容体に特異的な抗体など)、ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤、スラミン、セロトニン阻害薬、ステロイド、チオプロテアーゼ阻害剤、トリアゾロピリミジン(PDGF拮抗薬)、酸化窒素または酸化窒素供与体、スーパーオキシドジスムターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ模倣薬、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、エストラジオール、抗癌剤、様々なビタミンなどの栄養補助食品、ならびにこれらの組合せが挙げられる。ステロイド系抗炎症剤および非ステロイド系抗炎症剤を含む抗炎症剤の例としては、タクロリムス、デキサメタゾン、クロベタゾール、これらの組合せが挙げられる。細胞増殖抑制物質の例としては、アンギオペプチン、カプトプリル(例えば、Bristol−Myers Squibb Co., Stamford, Conn.で製造のCapoten(登録商標)およびCapozide(登録商標))などのアンギオテンシン変換酵素阻害薬、シラザプリルまたはリシノプリル(例えば、Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J.で製造のPrinivil(登録商標)およびPrinzide(登録商標))が挙げられる。抗アレルギー剤の例は、ペミロラストカリウムである。他の適切と思われる治療用物質または治療用薬剤には、インターフェロンα、生理活性RGDおよび遺伝子組み換えが行われている上皮細胞が挙げられる。上記の物質は、それらのプロドラッグまたは共用薬の形態でも使用できる。上記の物質は、実施例により一覧されているが、限定する意図のものではない。現在使用されているか、または将来開発される可能性のある他の活性剤も、同様に適用可能である。
【0031】
好ましい治療効果を生ずるために必要とされる生理活性剤の用量または濃度は、生理活性剤が中毒作用を生ずるレベルより低く、治療的効果をもたらさないレベルより高いレベルとすべきである。生理活性剤の用量または濃度は、患者の特有の状況、外傷の性質、所望の治療の性質、投与された材料が血管部位に留まっている時間、および他の活性剤が使用された場合、その物質の性質と型、またはその物質の組合せなどの要因に左右され得る。治療に効果的な用量は、例えば、適切な動物モデル系由来の血管に注入し、免疫組織化学法、蛍光分析法または電子顕微鏡法を用いて、薬剤およびその効果を検出することにより、あるいは適切なインビトロ研究を実施することにより、実験的に決定することができる。用量を決定するための標準的な薬理試験手順は、通常の当業者には理解されている。
【0032】
埋込型用具の例
本明細書中で使用する場合、埋込型用具は、ヒトまたは動物の患者に埋込可能な任意の適切な医療用基材であってよい。このような埋込型用具の例としては、自己拡張型ステント、バルーン拡張型ステント、ステント−グラフト、グラフト(例えば、大動脈グラフト)、人工心臓弁、髄液短絡管、ペースメーカー電極および心内膜リード(例えば、Guidant Corporation, Santa Clara, CAより市販されているFINELINEおよびENDOTAK)が挙げられる。装具の基本構造は、実質的にいかなる設計であってもよい。該装具は金属材料または、限定するものではないが、コバルト−クロム合金(ELGILOY)、ステンレス鋼(316L)、高窒素ステンレス鋼、例えばBIODUR108、コバルトクロム合金のL−605、「MP35N」、「MP20N」、ELASTINITE(ニチノール)、タンタル、ニッケル−チタニウム合金、プラチナ−イリジウム合金、金、マグネシウムまたはこれらの組合せなどの合金で作製できる。「MP35N」「MP20N」は、Standard Press Steel Co., Jenkintown,PAより市販されている、コバルト、ニッケル、クロムおよびモリブデンの合金の商標名である。「MP35N」は、35%のコバルト、35%のニッケル、20%のクロムおよび10%のモリブデンからなる。「MP20N」は、50%のコバルト、20%のニッケル、20%のクロム、および10%のモリブデンからなる。生体吸収性ポリマーまたは生体安定性ポリマーから作製される装具は、本発明の実施形態に使用されていてもよい。ステントなどの装具は、それ自体が上記の発明のポリマーまたはポリマーブレンドから作製されていてよい。
【0033】
使用方法
本発明の実施形態によれば、様々な上記の実施形態のコーティングは、埋込型用具または人工器官、例えば、ステントの上に形成できる。1種または複数種の活性剤を含むコーティングのために、該薬剤はステントのような医療用装具上に、装具の送達および拡張の間保持され、所望の割合で、所定の期間の間、埋込部位において放出されるであろう。好ましくは、該医療用装具はステントである。上記のコーティングを有するステントは、例として胆管、食道、気管/気管支および他の生体通路内の腫瘍により生じる閉塞の治療を含む、様々な医療処置に有益である。上記のコーティングを有するステントは、平滑筋細胞の異常なまたは不適切な遊走および増殖、血栓症、再狭窄により生じる血管の閉鎖領域の治療に特に有益である。ステントは、多様な血管、動脈および静脈の両方に留置できる。部位の代表的な例としては、腸骨の動脈、腎臓の動脈、および冠状動脈が挙げられる。
【0034】
ステントの埋込みのために、血管造影図がまず実施され、ステント治療の適切な位置決めを決定する。血管造影図は通常、放射線不透過の造影剤を、X線を撮影する動脈または静脈に埋め込まれたカテーテルを介して、注入することにより達成される。ガイドワイヤーが、次いで病巣または提案されている治療部位の中を通って進められる。血管中に挿入されるべき、つぶれた形状のステントを中に入れる事ができる送達カテーテルが、ガイドワイヤーに乗せられ、進められる。送達カテーテルは、経皮的に、または外科手術によるいずれかで、大腿部動脈、上腕の動脈、大腿部の静脈または上腕の静脈内に挿入され、蛍光透視鏡の案内の下に、血管系を介してカテーテルを導くことにより、適切な血管へと進められる。上記のコーティングを有するステントは、次いで所望の処置範囲で拡張される。挿入後の血管造影図は、さらに適切な位置決めを確認するために利用できる。
【0035】
本発明の実施形態を、以下に説明する実施例により例示する。全てのパラメーターおよびデータは、本発明の実施形態の範囲を必要以上に限定すると解釈されるものではない。
【実施例1】
【0036】
ポリ(エステルアミド)とPolyActive(商標)との組合せにより被覆されたステントの研究
Visionの12mm小型ステント(Guidant Corporationより市販されている)を次の構成に従って被覆した。
【0037】
構成1
下塗り層:1,1,2−トリクロロエタンとクロロホルム(80/20)(w/w)とを混合溶媒とする2%PolyActive(商標)(300PEGT55PBT45)溶液を50℃にて1時間ベークして得られた100μgのPolyActive(商標)。
薬剤層:アセトン/キシレン(60/40)(w/w)の混合溶媒に溶解した2%の薬剤溶液を被覆して、50℃にて1時間ベークして得られた120μgのエベロリムス。
PEA放出速度制御層:エタノール中の2%PEA溶液を被覆して、50℃にて1時間ベークして得られた100μgのPEA。
PolyActive(商標)生体有益層:1,1,2−トリクロロエタンとクロロホルム(80/20)(w/w)とを混合溶媒とする2%PolyActive(商標)(300PEGT55PBT45)溶液を被覆して、50℃にて1時間ベークした200μgのPolyActive(商標)。
【0038】
構成2
下塗り層:1,1,2−トリクロロエタンとクロロホルム(80/20)(w/w)とを混合溶媒とする2%PolyActive(商標)(300PEGT55PBT45)溶液を50℃にて1時間ベークして得られた100μgのPolyActive(商標)。
薬剤層:アセトン/キシレン(60/40)(w/w)の混合溶媒に溶解した2%の薬剤溶液を被覆して、50℃にて1時間ベークした120μgのエベロリムス。
PEA放出速度制御層:エタノール中の2%PEA溶液を被覆して、50℃にて1時間ベークして得られた200μgのPEA。
PolyActive(商標)生体有益層:1,1,2−トリクロロエタンとクロロホルム(80/20)(w/w)とを混合溶媒とする2%PolyActive(商標)(300PEGT55PBT45)溶液を被覆して、50℃にて1時間ベークして得られた200μgのPolyActive(商標)。
【0039】
構成3
下塗り層:1,1,2−トリクロロエタンとクロロホルム(80/20)(w/w)とを混合溶媒とする2%PolyActive(商標)(300PEGT55PBT45)溶液を50℃にて1時間ベークして得られた100μgのPolyActive(商標)。
薬剤層:アセトン/キシレン(60/40)(w/w)の混合溶媒に溶解した2%の薬剤溶液を被覆して、50℃にて1時間ベークした120μgのエベロリムス。
PEA放出速度制御層:エタノール中の2%(w/w)PEA溶液を被覆して、50℃にて1時間ベークして得られた400μgのPEA。
PolyActive(商標)生体有益層:1,1,2−トリクロロエタンとクロロホルム(80/20)(w/w)とを混合溶媒とする2%PolyActive(商標)(300PEGT55PBT45)溶液を被覆して、50℃にて1時間ベークして得られた200μgのPolyActive(商標)。
【0040】
上記の構成に従って被覆したステントを、図1a、1b、1cに示す。該図は、これらのコーティングの良好な機械的一体性を表している。該ステントをインビトロの薬剤放出研究に供与した。図2は、PBS−Tritonバッファー系における、これらのコーティングの放出プロフィールを示す。ブタ血清によるデータを表1に記載する。結果は、構成1のコーティングは、1日目に薬剤の約25%を放出し、2日目に75%を放出したことを示した。全てのコーティングに関して、直線的放出プロフィールが認められた。コーティング中に使用されたPEAの量(構成1:100μgPEA、構成2:200μgPEAおよび構成3:400μgPEA)に対して、直線的に放出率が減少し、コーティングに制御された薬剤放出特性を明らかに表したことは注目に値する。
【0041】
【表1】

【実施例2】
【0042】
PEA−TEMPOにより被覆されたステント
第1の組成物を以下の構成成分を混合することにより調製する。
(a)約2.0%(w/w)のPEA−TEMPOポリマー
(b)その他、エチルアルコール
【0043】
第1の組成物は、むき出しの12mmの小型VISION(商標)ステント(Guidant Corp.)の表面上に塗布できる。該コーティングは、噴霧し、乾燥して下塗り層を形成し得る。噴霧塗装機は、0.014の丸ノズルを有し、周囲温度のまま、フィード圧2.5psi(0.17atm)および噴霧圧約15psi(1.02atm)で使用できる。約20μgのコーティングが、1回の噴霧につき塗布できる。噴霧の間に該ステントは約10秒間気流の中で、50℃にて乾燥できる。約110μgの湿潤コーティングが塗布できる。ステントを約50℃にて約1時間ベークして、およそ100μgのPEA−TEMPOからなる下塗り層を生成できる。
【実施例3】
【0044】
PEA−TEMPOおよびポリ(イミノカーボネート)により被覆されたステント
以下の成分を混合することにより、第2の組成物を調製することができる。
(a)約1.8%(w/w)のPEA−TEMPOポリマー、
(b)約0.2%(w/w)のポリ(イミノカーボネート)、
(c)約0.5%(w/w)のエベロリムス、および
(d)その他、エチルアルコールおよびジメチルホルムアミド(80/20)(w/w)溶媒混合液。
【0045】
第2の組成物は、下塗り層を塗布するために使用されたものと同一の噴霧技術および機器を使用して塗布し、乾燥した下塗り層上に薬剤ポリマー層を形成することができる。約300μgの湿潤コーティングを、塗布し、次いで乾燥し、約60℃にて約2時間ベークすることで、約275μgの固体容量を有する乾燥した薬剤−ポリマー層を生成できる。
【0046】
本発明の特有の実施形態を示し、記載してきたが、本発明から逸脱することなく、より広範な態様において、変更および修正が可能であることは、当業者にとっては明らかであろう。従って、添付の特許請求の範囲はこのような全ての変更および修正を、本発明の忠実な精神と範囲との内に収まるものとして、その範囲に含むであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】ポリ(エステルアミド)およびPolyActive(商標)により被覆したステントのSEM(走査型電子顕微鏡写真)の図である。図1aは、構成1のコーティングを有するステントのSEMを表している。図1bは、構成2のコーティングを有するステントのSEMを表している。図1cは、構成3のコーティングを有するステントのSEMを表している。構成1〜3は実施例1に記載されている。
【図2】実施例1に記載の、PBS−Triton系におけるステントの薬剤放出データを表す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(エステルアミド)(PEA)ポリマーと、PEAと水素結合を形成できる材料とを含む、埋込型用具上のコーティング。
【請求項2】
前記PEAポリマーが、二価酸、ジオールおよびアミノ酸のサブユニットをその骨格中に含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項3】
前記PEAポリマーが、co−ポリ−{[N,N’−セバコイル−bis−(L−ロイシン)−1,6−ヘキシレンジエステル]−[N,N’−セバコイル−L−リジンベンジルエステル]}(PEA−Bz)、またはco−ポリ{[N,N’−セバコイル−bis−(L−ロイシン)−1,6ヘキシレンジエステル]−[N,N’−セバコイル−L−リジン4−アミノ−TEMPOアミド]}(PEA−TEMPO)である、請求項1に記載のコーティング。
【請求項4】
PEAと水素結合を形成できる前記材料が、非分解性ポリマー、生分解性ポリマーおよびこれらの組合せからなる群より選択され、
前記非分解性ポリマーは約40000ダルトンより小さい分子量を有し、
前記生分解性ポリマーは約40000ダルトンより小さい分子量を有する断片に分解可能である、請求項1に記載のコーティング。
【請求項5】
PEAと水素結合を形成できる前記材料が、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エーテル基、カルボニル基、ウレタン基、尿素基、またはアミノ基を含むモノマーのポリマーまたはコポリマー、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアルコール−co−酢酸ビニル)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)、ポリ(メタクリル酸2−メトキシエチル)、ポリ(メタクリル酸2−エトキシエチル)、ポリ(アクリル酸2−メトキシエチル)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ピロール)、ポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)、非水溶性酢酸セルロース、非水溶性ヒドロキシエチルセルロース、非水溶性ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースエーテル、メチルセルロースおよびエチルセルロース、ポリ(ウレタン)、ポリ(ウレタン−ウレア)、ポリ(ウレア)、ポリ(テトラメチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(イミノカーボネート)、ペプチド、ゼラチン、コラーゲン、非水溶性キトサン、アガロース、エラスチン、ポリ(アルギン酸)、アルギネート、デキストロース、デキストラン、ポリ(グルタミン酸)、ポリ(リジン)、ポリ(エチレングリコール)のセグメントとポリブチレンテレフタレートのセグメントとを含有するコポリマー(PEG/PBT)(PolyActive(商標))、ポリ(アスパラギン酸)、ポリ(ロイシン)、ポリ(ロイシン−co−ヒドロキシエチルグルタミン)、ポリ(グルタミン酸ベンジル)、ポリ(グルタミン酸−co−グルタミン酸エチル)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(アンヒドリド)、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)とグリコール酸とのコポリマー、ポリ(ホスホエステル)、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(オキサエステル)、ポリ(オキサアミド)、ポリ(エチレンカーボネート)、ポリ(プロピレンカーボネート)、ポリ(ホスホエステル)、ポリ(ホスファゼン)、これらとポリ(エチレングリコール)とのコポリマー、およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載のコーティング。
【請求項6】
PEAと水素結合を形成できる前記材料が、PolyActive(商標)ポリマーである、請求項1に記載のコーティング。
【請求項7】
前記PEAおよび前記PolyActive(商標)ポリマーが、ブレンドを形成する、請求項6に記載のコーティング。
【請求項8】
前記PEAがPEAコーティング層を形成し、前記PolyActive(商標)ポリマーが、前記PEAコーティング層とは別のPolyActive(商標)ポリマーコーティング層を形成する、請求項6に記載のコーティング。
【請求項9】
さらに生体有益材料を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項10】
さらに生体有益材料を含む、請求項6に記載のコーティング。
【請求項11】
前記生体有益材料が、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ニンニク油またはフラーレンである、請求項9に記載のコーティング。
【請求項12】
前記生体有益材料が、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ニンニク油またはフラーレンである、請求項10に記載のコーティング。
【請求項13】
PEAと水素結合を形成できる前記材料が、デンドリマー、星型分子、吸収性ガラスおよびこれらの組合せからなる群より選択され、
前記デンドリマーまたは星型分子は、−NH基、−COOH基、−OH基およびこれらの組合せからなる群より選択される基を有し、
前記吸収性ガラスは、Fe、Caもしくはホスフェートまたはこれらの組合せを含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項14】
PEAと水素結合を形成できる前記材料が、ラミニンV、シルクエラスチン、ヒアルロン酸−ベンジルエステル、レステンNG(resten NG)、抗増殖性を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド断片、MMPI、酢酸セルロース−co−五糖類およびこれらの組合せからなる群より選択される生理活性成分である、請求項1に記載のコーティング。
【請求項15】
前記埋込型用具がステントである、請求項1に記載のコーティング。
【請求項16】
さらに生理活性剤を含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項17】
前記生理活性剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、酸化窒素供与体、スーパーオキシドジスムターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ模倣薬、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、タクロリムス、デキサメタゾン、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、および40−O−テトラゾール−ラパマイシン、ABT−578、クロベタゾール、前駆細胞捕捉抗体、予備治療薬、これらのプロドラッグ、これらの共用薬およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項16に記載のポリマーコーティング。
【請求項18】
ポリ(エステルアミド)(PEA)ポリマーおよびPEAと水素結合を形成できる材料を含む組成物で形成された、埋込型用具。
【請求項19】
さらに生理活性剤を含む、請求項18に記載の埋込型用具。
【請求項20】
前記生理活性剤がパクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、酸化窒素供与体、スーパーオキシドジスムターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ模倣薬、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、タクロリムス、デキサメタゾン、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシンおよび40−O−テトラゾール−ラパマイシン、ABT−578、クロベタゾール、前駆細胞捕捉抗体、予備治療薬、これらのプロドラッグ、共用薬およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項19に記載の埋込型用具。
【請求項21】
前記埋込型用具がステントである、請求項18に記載の埋込型用具。
【請求項22】
請求項16に記載のポリマーコーティングを含有する埋込型用具を患者に埋め込むことを含む、患者の障害を治療する方法であって、前記障害が、アテローム性動脈硬化、血栓症、再狭窄、出血、血管解離または血管穿孔、血管破裂、不安定プラーク、慢性の完全閉塞、跛行、静脈および人工グラフトに関する吻合部増殖、胆管閉塞症、尿管閉塞症、腫瘍性閉塞症およびこれらの組合せからなる群より選択される治療方法。
【請求項23】
請求項18に記載の埋込型用具を患者に埋め込むことを含む、患者の障害を治療する方法であって、前記障害が、アテローム性動脈硬化、血栓症、再狭窄、出血、血管解離または血管穿孔、血管破裂、不安定プラーク、慢性の完全閉塞、跛行、静脈および人工グラフトに関する吻合部増殖、胆管閉塞症、尿管閉塞症、腫瘍性閉塞症およびこれらの組合せからなる群より選択される治療方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−517719(P2008−517719A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539011(P2007−539011)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/038029
【国際公開番号】WO2006/049913
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(507135788)アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド (92)
【Fターム(参考)】