説明

コーティング組成物を着色する方法

本発明は、発色剤を含有するコーティング組成物を不可逆的に着色する方法であって、a)UV硬化樹脂、熱硬化樹脂またはアルキド樹脂からなるコーティング組成物を準備し、b)コーティング組成物を、発色剤と混合し、この時には色は形成されず、c)ステップb)で得られた無色の組成物を基材に適用し、d)熱硬化樹脂の場合には樹脂を100〜300℃、好ましくは100〜150℃で硬化させ、この時には色は形成されず、アルキド樹脂の場合には樹脂を室温で乾燥させ、この時には色は形成されず、e)400nm未満のUV放射線もしくは高エネルギー放射線に曝露し、この時には色が形成されるステップを含む、方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、顕色剤を必要とすることなく、UV放射線もしくは高エネルギー放射線の照射によってコーティング組成物を着色する方法に関する。
【0002】
無色の発色性化合物は、酸性物質、例えば有機酸、酸性白土、フェノールホルムアルデヒド樹脂、芳香族カルボン酸の金属塩およびビスフェノールAと接触すると色を生成する。
【0003】
国際公開公報第02/101462号には、UV光の照射によって、潜在性の酸(latent acid)および発色剤を含有するポリマー材料を着色する方法が記載されている。
【0004】
国際公開公報第04/052654号には、UV放射線もしくは高エネルギー放射線を用いた照射によって、潜在性の酸としてフェノール性の抗酸化剤および/またはフェノール性のUV吸収剤を含有するポリマー材料を着色する方法が記載されている。
【0005】
米国特許第4923781号には、機能性モノマー、好ましくは(メタ)アクリレートモノマー、発色剤として3,6−ジアミンフルオラン、光開始剤、および照射によって発色剤に色を生成させることのできる有機ハロゲン化合物を含有する光重合可能な組成物が記載されている。
【0006】
上記の国際公開公報第02/101462号に記載の発色剤、特にフルオラン発色剤は、全体を曝露するかまたはマスクを通してもしくはUVレーザによる画像形成によってUV放射線もしくは高エネルギー放射線に曝露すると、不可逆的に顕色可能であることが分かった。この系は、300℃まで熱的に安定である。適切な放射線を用いた時にだけ、瞬間的に、コンマ数秒以内に顕色させることができる。このようにして、着色した部分もしくは着色した像が得られる。
【0007】
この方法は、コーティング組成物の自然な深部着色(depth coloring)に行うのに特に適しており、得られた像がコーティングを除かない限り除去できないという利点を有する。
【0008】
UV硬化可能なコーティング組成物(UV硬化コーティング組成物)を、光開始剤を含有させて使用する場合には、硬化および画像化(imaging)のプロセスは1ステップで行われる。このような系は、UV硬化条件下で迅速かつ強力に発色するので、UV硬化プロセスにおいて十分にUV曝露されたことを可視化するための、UV硬化可能な配合物中での指示物質(プロセス化学物質)として機能することができる。
【0009】
熱硬化可能なコーティング組成物を使用する場合には、硬化ステップは、顕色ステップとは別にされる。つまり、硬化中は、顕色しない。
【0010】
人工日光もしくは天然の日光の下での発色は上記の場合よりはるかにより遅い(数時間以内)ので、この系は、全体のUV曝露量/吸収量の識別のための検出物質/記録物質(detector/recorder)として機能することができる。
【0011】
よって、本発明は、発色剤(color former)を含有するコーティング組成物を不可逆的に着色する方法であって、以下のステップを有する、すなわち、
a)UV硬化樹脂、熱硬化性樹脂またはアルキド樹脂からなるコーティング組成物を準備し、
b)コーティング組成物を発色剤と混合し、ただしこの時、色は形成されず、
c)ステップb)で得られた無色の組成物を基材に適用し、
d)熱硬化性樹脂の場合には100〜300℃、好ましくは100〜150℃で樹脂を硬化させ、ただしこの時、色は形成されず、アルキド樹脂の場合には室温で樹脂を乾燥させ、ただしこの時、色は形成されず、
e)UV放射線もしくは400nm未満の高エネルギー放射線に曝露し(exposure)、この時に色が形成される、方法に関する。
【0012】
UV硬化樹脂は、例えば、ウレタン、アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、弾性(メタ)アクリレートを含む(メタ)アクリレートモノマー、オリゴマー、ならびにポリマーおよびコポリマーであって、重合可能な二重結合を含むモノマー単位で任意に末端キャップされていてよい一官能性、二官能性、三官能性および四官能性モノマーまたはそれに関連するオリゴマーもしくはポリマー組成物を含み、特に、塩化ビニル、ビニルアルコール、酢酸ビニルおよびこれに関連するビニルモノマー、オリゴマーおよびポリマーをベースとするものを含むビニルもしくはビニル型のモノマー、オリゴマーおよびポリマーを含むものから選択されるポリマー、オリゴマーもしくはモノマーを含む。酸価の低い(15mgKOH/g未満)、好ましくは酸価3mgKOH/g未満のアクリル樹脂が好ましい。
【0013】
光重合開始剤は、上記のオリゴマーおよびモノマーを組み合わせて使用することができる。さらに、界面活性剤も存在しうる。顕色剤としての機能を有しうる光開始剤は除外する。そのような除外される光開始剤の例としては、有機ハロゲン化合物、特にトリハロメチルスルホン、フェニルトリハロメチルケトン、トリハロメチルトリアジンのような光潜在性の酸、または例えばヨードニウム塩、オニウム塩、6−ニトロベンジルスルホネート、ビス−スルホニルジアゾメタン化合物、オキシムスルホネートのような光潜在性の酸等が挙げられる。化学的に強化されたフォトレジストのための公知の光潜在性酸の例は、例えば米国特許第5731364号、米国特許第5800964号、欧州特許第704762号、米国特許第5468589号、米国特許第5558971号、米国特許第5558976号、ならびに特に欧州特許第794457号および欧州特許第795786号に記載されている。
【0014】
熱硬化性樹脂は、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂を含み、メラミン、シリコーンおよびポリウレタンならびにそれらの混合物を含む。酸価の低い(<15mgKOH/g)アクリル熱硬化樹脂を使用するのが好ましい。
【0015】
任意に、溶剤、例えば酢酸ブチル、ブタノール、イソブタノールまたは芳香族炭化水素、例えばExxon Mobile Chemicalにより製造されているSolvesso 150を存在させてもよい。任意に、流動性向上剤を存在させてもよい。
【0016】
アルキド樹脂は、好ましくは長油アルキド樹脂であり、また乾燥剤を含有していてよい。さらに、皮張り防止剤および不活性な溶剤、例えばExxonの化学製品であるExxolまたはVarsolのような石油留分、または別の不活性な炭化水素を含有していてよい。樹脂系全体の酸価は、15mgKOH/g未満であることが望ましい。
【0017】
アルキド樹脂は、多塩基酸と多価アルコールとをエステル化させて熱硬化性炭化水素樹脂を得ることによって製造される。グリセロールおよびペンタエリスリトールは、アルキド樹脂のための最も一般的な多価アルコールである。ポリオール、例えばソルビトールおよびジエチレングリコールも使用することができる。アルキド樹脂のための最も重要な多塩基酸は、フタル酸およびイソフタル酸である。特定の特性を付与するためにアルキド樹脂において使用される別の二塩基酸は、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、無水テトラクロロフタル酸おおび無水クロレンド酸である。アルキド樹脂は2〜15の酸価を有してはいるが、アルキド樹脂中の酸性部分は活性ではない、つまり、顕色剤とアルキド樹脂とを混合しても発色しない。
【0018】
全ての樹脂(UV硬化樹脂、熱硬化樹脂もしくはアルキド樹脂)は、発色剤を含有しているだけであり、顕色剤、あるいは顕色剤として機能しうる添加剤も含有していない。
【0019】
「顕色剤」という言葉は、従来の熱硬化性記録材料中で電子受容体として働く全ての酸性物質、例えば無機酸、芳香族カルボン酸またはその無水物、有機スルホン酸、別の有機酸およびフェノール化合物および/またはそれ自体は酸ではないが照射によって解離しうるプロトンを含む化合物である「潜在性酸顕色剤(latent acid developer)」を含む。
【0020】
潜在性酸顕色剤の例は、国際公開公報第02/101462号に記載されており、この文献には、式(1)
【0021】
【化1】

【0022】
[環Aは、1つ以上のヘテロ原子を含むことができかつ/またはアネレート環(anelated ring)を含むことができ、
は、水素、アルキル、好ましくはC〜C20アルキル、アルケニル、好ましくはC〜C20アルケニル、アリール、好ましくはフェニル、またはC〜CアルキルもしくはC〜Cアルコキシで1〜3回置換されたフェニルであり、
、R、RおよびRは、互いに独立して、水素もしくは官能性置換基であり、
Rは、C〜Cアルキル、−Z−Qまたは−Z−Qを表し、
は単結合、S、NHもしくはOであり、
は、C、S、OおよびNから選択される5〜9個の環原子を有しかつ少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個、より好ましくは少なくとも4個の炭素原子を環系内に有する複素環系であり、好ましくはQは、モルホリン、C〜Cアルキルもしくはヒドロキシで1〜3回置換されていてよいピリジン、メルカプトベンズオキサゾール、メルカプトベンズチアゾールを表し、
は、C〜CアルキルまたはQで置換されていてよいC〜Cアルキレンを表し、
ここでQは、C〜Cアルキル、ヒドロキシ、C〜Cシクロアルキルおよび/またはC、S、OおよびNから選択される5〜9個の環原子を有しかつ少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個、より好ましくは少なくとも4個の炭素原子を環系内に有する複素環系で1〜3回置換されていてよいフェニルを表し、
は、C〜Cアルキル、ヒドロキシ、C〜Cシクロアルキルおよび/またはC、S、OおよびNから選択される5〜9個の環原子を有しかつ少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個、より好ましくは少なくとも4個の炭素原子を環系内に有する複素環系で1〜3回置換されていてよいフェニルを表し、
Rに対するα位のC原子にある水素原子が、照射により解離することができる]の潜在性酸が開示されている。
【0023】
「潜在性酸顕色剤」という言葉は、さらに、欧州特許出願第03/50912号に開示されたフェノール抗酸化剤を指す。典型的な例は、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルトリアジンもしくはヒドロキシベンゾフェノンの分類であり、これら全ては、コア分子へのフェニル環の結合位置に対してオルト位でフェニル環に配置されたヒドロキシ基を有している。
【0024】
「発色剤」という言葉は、フルオラン、トリフェニルメタン、ラクトン、ベンズオキサジン、スピロピラン、フタリドを指すが、フルオランが好ましい。
【0025】
適切な発色剤は、3−ジブチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(4−n−オクチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−n−オクチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(ジベンジルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(ジベンジルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−t−ブチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−カルボキシエチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(4−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ[a]フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ[c]フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)−フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−クロロ−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(4−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジペンチル−アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−(4−2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジペンチルアミノ−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−n−ヘキシルアミノ)−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)アミノ−7−メチルフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル−アミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−ブチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソプロピル−N−3−ペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−フェニル−6−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ベンジル−6−p−(p−フェニル−アミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2,4−ジメチル−6−[(4−ジメチルアミノ)アニリノ]フルオランを含むが、これらに限定されることはない。
【0026】
特に好ましいフルオラン化合物は、3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−n−オクチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(ジベンジルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−t−ブチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−カルボキシエチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(4−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3−トリフルオロ−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ[a]フルオラン−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−クロロ−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−n−ヘキシル−アミノ)−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)アミノ−7−メチルフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−ブチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソプロピル−N−3−ペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、7−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−3−メチル−1−フェニルスピロ[4H−クロメノ[2,3−c]ピラゾール−4(1H)−3′フタリドである。
【0027】
とりわけ好ましいフルオラン化合物は、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−n−オクチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(ジベンジルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−t−ブチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−カルボキシエチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ[a]フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ[c]フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピル−アミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)アミノ−7−メチルフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、7−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−3−メチル−1−フェニルスピロ[4H−クロメノ[2,3−c]ピラゾール−4(1H)−3′フタリドである。
【0028】
上記の発色剤は、単独の化合物として、または互いに組み合わせるかもしくはさらなる別の発色性の化合物と組み合わせて使用することができる。
【0029】
上で列記したものに含まれる市販のフルオランは、Pergascript Black T-R、Pergascript Black T-2R、Pergascript Green I-2GN、Pergascript Orange I-G、Pergascript blue I-2RNおよび別の製造業者の製品であるOrange DCF、Red DCF、Orange 100、Red PSD-V、Red ETPMである。
【0030】
「コーティング組成物」という言葉は、基材の表面に適用されてコーティングを形成する任意の化合物を表すのに使用される。このような化合物は、水性であっても非水性であってもよく、予備重合されたポリマーまたは重合可能なモノマー、オリゴマーおよび/またはポリマーを、また任意に別の添加剤、特に界面活性剤および/または乳化剤ならびに溶剤を含む別の添加剤を含有していてよい。コーティング組成物は、インク組成物であってもよい。その場合、インク組成物により基材が印刷され、基材上にインクフィルムが形成される。
【0031】
インクの非限定的な例としては、各種印刷プロセスで用いられる印刷インク用インク、つまり、フレキソグラフィー印刷、スクリーン印刷、パッケージ印刷、セキュリティーインク印刷(security ink printing)、おう版印刷またはオフセット印刷用、製版段階用および布地印刷用、オフィス、家庭での用途またはグラフィック用途のため、例えば紙製品用、例えばボールペン、フェルトペン、サインペン、カード、木材、(木材)ステイン、金属、インクパッド用、またはインパクト印刷プロセス(インパクト圧インクリボンを利用)用、デジタル印刷のためのノンインパクト印刷材料の製造用、熱溶融型転写印刷プロセス、インクジェット印刷プロセス用もしくは熱転写印刷プロセス用のインク、またポリマーインク粒子、トナー、染料レーザ、乾式コピートナー、液体コピートナーまたは電気泳動トナーの製造用、ならびにエレクトロルミネセンスデバイスのために使用するインクである。
【0032】
コーティングの非限定的な例は、工業的または商業的な使用のため、布地装飾および工業的標識用、ロール塗工もしくは粉体適用用または自動車の仕上げ塗装用、高濃度固体(低濃度溶剤)、水含有もしくは金属コーティング材料用または水性塗料のための顔料着色配合物用、コーティング、繊維、円盤(platters)もしくは成型担体のための顔料着色プラスチックの製造用である。
【0033】
コーティング組成物中の発色剤の量は、通常、コーティング組成物の全重量に対して約0.001〜10重量%、最も好ましくは0.01〜5重量%の範囲にある。コーティング組成物は、2種以上の着色剤を含有していてよい。
【0034】
適切な放射源は、戸外での曝露、人工日光、UV光(400nmより短い、好ましくは380nmより短い波長(λ))、X線、γ線または粒子放射線、例えば電子ビームを含む。好ましい放射源は、UVレーザ、UVランプ、X線または電子放射源、α放射線、β放射線および/またはγ放射線を発する放射性材料を含む。
【0035】
発色剤、および顕色剤として機能しない任意のさらなる添加剤は、公知の方法、例えば粉末の形態での乾式混合、または例えば不活性な溶剤、水もしくは油の溶液、分散液もしくは懸濁液の形態での湿式混合によって、コーティング組成物に添加することができる。
【0036】
さらに、非酸性添加剤、例えば溶剤、光開始剤、抗酸化剤(国際公開公報第04/052654号に記載されているような潜在性酸として作用するものを除く)、光沢剤、充填材、早すぎる重合の阻止を意図して添加される熱重合阻害剤(thermal inhibitors)、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル(4−ヒドロキシ−TEMPO)およびその誘導体、制電剤、湿潤剤もしくは流動性向上剤および接着増強剤、UV吸収剤および光安定剤がさらに存在していてもよい。
【0037】
安定性の基材の非限定的な例としては、例えば木材、布地、紙、セラミックス、ガラス、ガラス繊維、プラスチック、例えばポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィンもしくは酢酸セルロース、特にフィルムの形態になっているもの、さらには金属、例えばAl、Cu、Ni、Fe、Zn、MgもしくはCo、およびGaAs、SiもしくはSiOが挙げられる。
【0038】
発色は、放射下で起こる。この色の変化は不可逆的である。着色された部分もしくは着色された像は、全面的にもしくはマスクを通して得ることができる。この方法は、特に、コーティング組成物の自然な深部着色に適しており、得られた像はコーティングを除かない限り除去できないという利点を有する。
【0039】
UV硬化コーティング組成物は、光開始剤を含有させて使用し、硬化プロセスおよび画像形成プロセスは、1つのステップで行う。この系は、UV硬化条件下で迅速かつ強力に発色するので、UV硬化プロセスでの十分なUV曝露を可視化するための、UV硬化可能な配合物における指示物質(プロセス化学物質)として機能することができる。
【0040】
人工日光または天然日光による発色は上記条件での発色よりもはるかに遅い(数時間以内)ので、この系は、全UV曝露量/吸収量の識別のための検出物質/記録物質として機能することができる。
【0041】

1.試験された発色剤の一覧
【0042】
【表1】





【0043】
2.試験された配合物、適用および乾燥条件
2.1 UV硬化系
【0044】
【表2】

【0045】
試料をワイヤバーで適用し(濡れた状態でのフィルム厚み60μm)、2つのHg灯バルブ(それぞれ80W/cm)でラインスピード(line speed)10m/分で照射して硬化させた。
【0046】
2.2 熱硬化性アクリル系
【0047】
【表3】

【0048】
試料をワイヤバーで適用し(濡れた状態でのフィルム厚み120μm)、130℃、30分間で硬化させた。
【0049】
2.3 長油アルキド系
【0050】
【表4】

【0051】
試料をワイヤバーで適用し(濡れた状態でのフィルム厚み80μm)、室温で少なくとも24時間暗所で乾燥させる。
【0052】
全ての適用に使用された基材は、白色着色アルミニウム(pre-coated aluminum)(Q-Panel QTY:125)であった。
【0053】
3.照射条件
異なる光源および照射条件を利用して顕色させた。
【0054】
3.1 UV硬化条件
それぞれ80W/cmの2つの媒体圧Hg灯をラインスピード10m/分で使用。全曝露時間に達するまでの機械の作動回数を実施する(1作業は6秒)。
【0055】
3.2 UV−A曝露
340nmにUV−A発光ピークを有する4つのUV−A蛍光ランプを使用。常設して曝露。
【0056】
3.3 日光ランプ
DIN 6173による、UV−A光を一部に含む人工日光を使用。常設して曝露。
【0057】
4.顕色結果
Minolta CM-2600d測色装置を使用して、曝露後の顕色を(曝露時間毎に)測定し、CIE-Lab色差式を用いて計算を行った。L、a、bの値は、個々の色の強さおよび暗さ(明度および彩度)を表している。
【0058】
4.1 UV硬化系
全ての液体配合物は、UV光照射前には色を示していない。
【0059】
【表5】

【0060】
CIE L値により、全ての試料が、照射後に著しい着色を示していることが分かる。上表に示されているように、対照1のように光潜在性酸を存在させることは顕色のための必須条件ではない。
【0061】
4.2 熱硬化性アクリル系
全ての硬化された試料は、照射前には著しい色を示していない。
【0062】
【表6】

【0063】
上記のCIE L値より、UV硬化条件下で、試験された全ての製品が、光潜在性酸の存在なしで著しい着色を示したことが分かる。上表の値に示されているように、対照1および対照2のような酸もしくは酸発生剤の存在は、顕色のための必須条件ではない。
【0064】
基材の色値と比較した場合、全ての試料が、UV硬化条件下での照射によって著しい色変化を示した。CF1およびCF2は、UV−A光および人工日光のような長波長の光による照射で着色する。
【0065】
4.3 長油アルキド系
試料は、照射前には著しい色を示していない。
【0066】
【表7】


値は、顕色剤を用いることなく、着色を示したことが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発色剤を含有するコーティング組成物を不可逆的に着色する方法であって、
a)UV硬化樹脂、熱硬化樹脂またはアルキド樹脂からなるコーティング組成物を準備し、
b)コーティング組成物を、発色剤と混合し、この時には色は形成されず、
c)ステップb)で得られた無色の組成物を基材に適用し、
d)熱硬化樹脂の場合には樹脂を100〜300℃、好ましくは100〜150℃で硬化させ、この時には色は形成されず、アルキド樹脂の場合には樹脂を室温で乾燥させ、この時には色は形成されず、
e)400nm未満のUV放射線もしくは高エネルギー放射線に曝露し、この時には色が形成されるステップを含む、方法。
【請求項2】
発色剤が、フルオラン、トリフェニルメタン、ラクトン、ベンズオキサジン、スピロピラン、フタリドから選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
発色剤が、フルオランである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
コーティング組成物中の発色剤の量が、約0.001〜10重量%の範囲である、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
コーティング組成物の酸価が、15mgKOH/g未満である、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
コーティング組成物が、熱硬化性樹脂である、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
コーティング組成物が、UV硬化組成物である、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法の、UV硬化プロセスでの十分なUV曝露を可視化するためのUV硬化配合物中での指示物質としての使用。
【請求項9】
請求項1に記載の方法の、全UV曝露量/吸収量の識別のための検出物質/記録物質としての使用。

【公表番号】特表2007−532707(P2007−532707A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506761(P2007−506761)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051406
【国際公開番号】WO2005/097876
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】