説明

コーティング組成物

【課題】引掻き抵抗性において顕著な改善を示し、それにより酸および溶媒に対する仕上げ用ラッカー系の抵抗性が損なわれない新規なコーティング組成物を提供する。
【解決手段】脂肪族オリゴカーボネートポリオール、オリゴエステルポリオール、および特定のポリアクリレートポリオール、および架橋剤または硬化剤としてポリイソシアネートを含む新規なコーティング組成物、その製造方法およびコーティングの製造におけるその使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイソシアネート、脂肪族オリゴカーボネートポリオール、オリゴエステルポリオールおよびポリアクリレートポリオールを含む新規なコーティング組成物、その製造方法、およびコーティングの製造におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
引掻き抵抗性の仕上げ用ラッカー、特に、車両用仕上げ用ラッカーの分野および車両用修復ラッカー塗装のためのものは、長年にわたり、既に、非常に重要となっている。例えば洗車において、引掻き傷発生の傾向が少ないという特性を有することに加え、かかる仕上げ用ラッカー系は、溶媒および酸に対して優れた抵抗性を有することがさらに要求される。
【0003】
したがって、市場では2成分(「2K」)ポリウレタン(「PUR」)系が展開されており、これは、溶媒および化学薬品に対する良好な抵抗性とともに、良好な引掻き抵抗性および優れた耐候性を同時に有することが特徴である。
【0004】
多くの場合、かかる系には、ポリアクリレートが、場合によりポリオールバインダーとしてポリエステルと混合して使用されている。ヘキサメチレンジイソシアネートおよび/またはイソホロンジイソシアネートに基づく脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネートが、主に架橋剤として使用される。
【0005】
かかる2Kポリウレタンコーティング組成物では、全体として非常に良好なレベルの特性が得られているが、透明なラッカーの引掻き傷発生が、頻繁な洗浄サイクルでの洗車後、特に、暗色の場合に高頻度に観測される。
【0006】
ラッカー層の弾性に応じて、引掻き傷は経時的に減退し、これは、いわゆるリフローと呼ばれるものである。しかしながら、リフロー挙動を改善するために透明なラッカー層の弾性を増大させると、ラッカーは表面硬度を失い、溶媒および化学薬品に対するその抵抗性、特に、酸に対するその抵抗性が損なわれる[Carl Hauser Verlag, Munich, MO Metalloberflaeche 54 (2000)60-64]。したがって、当該技術分野では、主に、ポリアクリレートと、より弾性のポリエステルとの組合せによってポリオール成分の弾性を増大させることにより、2K PURラッカーの引掻き抵抗性を改善する試みが行なわれている。
【0007】
DE-A19824118には、ポリエステル−ポリアクリレートに基づく低溶媒バインダーが記載されており、これはジ−および/またはポリイソシアネートにより硬化し、良好な接着性を有する急速乾燥性のコーティングが得られ得る。しかしながら、高いポリエステル含量のため、これは、酸に対する抵抗性が不充分であり、車両用仕上げ用ラッカーにおける使用に適さない。
【0008】
WO96/20968には、車両および重量物運搬車用のコーティング組成物が記載されており、これは、アルキル置換脂環式(メタ)アクリレートモノマーまたはアルキル置換芳香族ビニルモノマー、多ヒドロキシ官能性オリゴエステルおよびポリイソシアネートに基づくポリアクリレートを含む。しかしながら、オリゴエステルは、その調製の結果として、第1級ヒドロキシル基に加えて比較的多数の第2級ヒドロキシル基を含有するため、および非常に大量のこのようなエステル(全配合物に対して>60wt%)を低粘度コーティング組成物(<3,000mPa・s/23℃)に使用しなければならないため、非常に低速かつ比較的高温でのみ充分に硬化し、そのため、これは、例えばプラスチック製のアドオン(add-on)部材などの感熱性基材には不適当である。
【0009】
EP-A0896991には、≦10wt%のポリエステル含量および40〜125mg KOH/gのヒドロキシル価を有するポリアクリレート−ポリエステル混合物に基づくコーティング組成物が記載されている。得られる架橋密度が低いため、該組成物から製造されるPURラッカーは、溶媒および化学薬品に対する充分な抵抗性を持たない。さらに、70wt%の固形分で3,000〜5,000mPa・s(23℃)の粘度は、高固形分PURラッカーの配合物には高すぎる。
【0010】
いくつかの文献、例えば、EP1101780A、EP 819710AおよびEP778298Aなどでは、多くの場合、ポリアクリレートと他のポリオールとの混合物、例えば、ポリエステルおよび/またはポリカーボネートなどをポリオールバインダーおよび2K PURラッカーにおけるポリイソシアネート架橋剤に対する反応体として使用することが一般的に示されているが、かかる混合物の具体的な利点の詳細は示されていない。さらに、かかる混合系のポリカーボネートポリオールの定量的組成または分子量およびOH官能価に関する情報も示されていない。
【0011】
2005年5月の研究開示(Research Disclosure)の匿名刊行物493099第584頁には、ポリカーボネートジオールと他のポリオールとのその可能な組合せ、ならびに対応するポリウレタンコーティングが記載されている。かかるラッカーの達成され得る特性、例えば、良好な接着性、高い光沢性、硬度発現、流動性、アルカリ類に対する抵抗性、柔軟性、弾性、耐衝撃性および耐摩耗性などが、対応する試験結果または証拠なしで一般的に記載されている。しかしながら、対応するラッカーの引掻き抵抗性の改善に関する情報は見られない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、引掻き抵抗性において顕著な改善を示し、それにより酸および溶媒に対する仕上げ用ラッカー系の抵抗性が損なわれない新規なコーティング組成物を提供することであった。
【0013】
驚くべきことに、脂肪族オリゴカーボネートポリオール、オリゴエステルポリオール、特定のポリアクリレートポリオール、および架橋剤または硬化剤として作用するポリイソシアネートの特定の組合せを用いることにより、顕著に改善された引掻き抵抗性を示すとともに、溶媒および酸に対して同等に良好またはさらに改善された抵抗性を有するコーティング組成物を製造することが可能なことがわかった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、本発明は、
A) a)200〜5,000g/molの数平均分子量Mnを有する脂肪族オリゴカーボネートポリオール5〜40wt%、
b)200〜5,000g/molの数平均分子量を有するオリゴエステルポリオール20〜60wt%、および
c)ヒドロキシ官能性ポリアクリレートポリオール20〜70wt%
からなるポリオール成分
ならびに
B)OH基に対して反応性であり、≧2.0の平均NCO官能価を有する1種類以上のポリイソシアネート架橋剤
を含むコーティング組成物を提供する。
【0015】
a)〜c)の量を合わせると100wt%になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
好ましい実施形態の詳細な説明
a)において、好ましくは200〜3,000g/mol、特に好ましくは200〜2,000g/mol、最も特に好ましくは300〜1,500g/molの数平均分子量を有するオリゴカーボネートポリオールが使用される。
【0017】
a)において、好ましくは1.5〜5、特に好ましくは1.7〜4、最も特に好ましくは1.9〜3のOH官能価を有する上記の型の脂肪族オリゴカーボネートポリオールが使用される。
【0018】
成分a)の量は好ましくは10〜35wt%であり、a)は、特に好ましくは15〜30wt%の量で、最も特に好ましくは15〜25wt%の量で使用される。
【0019】
a)で使用される脂肪族オリゴカーボネートポリオールの調製は、単量体の炭酸ジアルキル、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルなどと、≧2.0のOH官能価を有するポリオール、例えば、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,12−ドデカンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、3(4),8(9)−ビス−(ヒドロキシメチル)−トリシクロデカン、トリメチロールプロパン、グリセロールなどとのエステル交換によって行なわれ得、一例として、EP-A1404740B1の実施例1〜5およびEP-A1477508A1の実施例3に記載されている。
【0020】
本発明によるコーティング組成物には、好ましくは脂肪族オリゴカーボネートポリオール、特に好ましくは、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、トリメチロールプロパン、グリセロールまたはその混合物に基づく、200〜2,000g/molの分子量を有する脂肪族オリゴカーボネートポリオールが使用される。
【0021】
b)において、好ましくは200〜3,000g/mol、特に好ましくは200〜2,000g/mol、最も特に好ましくは300〜1,500g/molの数平均分子量を有する脂肪族オリゴエステルポリオールが使用される。
【0022】
b)において、好ましくは1.5〜6、特に好ましくは2〜4、最も特に好ましくは2〜3のOH官能価を有する上記の型の脂肪族オリゴエステルポリオールが使用される。
【0023】
成分b)の量は好ましくは25〜55wt%であり、b)は、特に好ましくは30〜50wt%の量で、最も特に好ましくは35〜45wt%の量で使用される。
【0024】
b)で使用される脂肪族オリゴエステルポリオールの調製は、環状ラクトン、例えば、ε−カプロラクトンまたはγ−ブチロラクトンなどと、≧2.0のOH官能価を有するポリオール、例えば、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,12−ドデカンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、3(4),8(9)−ビス−(ヒドロキシメチル)−トリシクロデカン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどとの反応によって行なわれ得、一例として、EP-A1404740B1の実施例1〜5およびEP-A1477508A1の実施例3に記載されている。
【0025】
本発明によるコーティング組成物には、好ましくは脂肪族オリゴエステルポリオール、特に好ましくは、200〜2,000g/molの分子量を有する脂肪族オリゴエステルポリオールであって、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトールまたはその混合物に基づくものが使用される。
【0026】
c)において、好ましくは1,500〜50,000g/mol、特に好ましくは2,000〜30,000g/mol、最も特に好ましくは2,000〜20,000g/molの重量平均分子量、および1.0〜10.0%、好ましくは1.5〜8.0%、特に好ましくは2.0〜6.0%のヒドロキシル基含量を有するポリアクリレートポリオールが使用される。
【0027】
成分c)の量は好ましくは25〜65wt%であり、c)は、特に好ましくは30〜55wt%の量で、最も特に好ましくは35〜45wt%の量で使用される。
【0028】
使用されるポリアクリレートポリオールc)は、当業者に知られた方法に従って、
C1)500〜10,000g/molの数平均分子量を有し、ポリブタジエン内に存在するすべてのビニル二重結合に対して少なくとも10モル%の1,2−ラテラル(lateral)ビニル二重結合含量を有する場合により官能性の1種類以上のポリブタジエン0〜10wt%、
c2)スチレン、α−メチルスチレンおよびビニルトルエンの群から選択される1種類以上の不飽和芳香族モノマー1〜30wt%、
c3)第1級ヒドロキシル基を含有するアクリル酸またはメタクリル酸の1種類以上のヒドロキシアルキルエステル20〜80wt%、
c4)アクリル酸またはメタクリル酸とC3〜C12モノアルコールとの1種類以上の脂環式エステル0〜30wt%、
c5)アクリル酸またはメタクリル酸とC1〜C8モノアルコールとの1種類以上の脂肪族エステル10〜60wt%、
c6)1種類以上のα,β−不飽和C3〜C7−モノ−もしくはジ−カルボン酸、またはマレイン酸もしくはフマル酸とC1〜C14モノアルコールとの1種類以上のセミエステル0〜5wt%、ならびに
c7)成分c1)〜c6)の化合物以外のさらなる共重合性化合物0〜30wt%
(成分c1)〜c7)の合計wt%は100wt%である)
を互いに共重合させることにより得ることができる。
【0029】
成分c)のコポリマーは、好ましくは、
C1)600〜5,000g/molの数平均分子量を有し、ポリブタジエン内に存在するすべてのビニル二重結合に対して少なくとも20モル%の1,2−ラテラルビニル二重結合含量を有する場合により官能性の1種類以上のポリブタジエン0.1〜8wt%、
c2)スチレン2〜28wt%、
c3)ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートおよび1,4-ブタンジオールモノアクリレートからなる群の1種類以上の化合物25〜70wt%、
c4)アクリル酸またはメタクリル酸とC3〜C12モノアルコールとの1種類以上の脂環式エステル0〜25wt%、
c5)アクリル酸またはメタクリル酸と脂肪族C1〜C8モノアルコールとの1種類以上のエステル15〜60wt%、
c6)アクリル酸、メタクリル酸、対応する酸とC1〜C8モノアルコールとのマレイン酸セミエステルおよびフマル酸セミエステルからなる群の1種類以上の化合物0〜4wt%、ならびに
c7)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、場合により分枝の脂肪族C1〜C10モノカルボン酸のビニルエステル、マレイン酸もしくはフマル酸とC3〜C8モノアルコールとのジアルキルまたはジシクロアルキルエステルからなる群の1種類以上の化合物0〜25wt%
(成分c1)〜c7)の合計wt%は100wt%である)
からなる。
【0030】
成分c)のコポリマーは、特に好ましくは、
c1)700〜4,000g/molの数平均分子量を有し、ポリブタジエン内に存在するすべてのビニル二重結合に対して少なくとも30モル%の1,2−ラテラルビニル二重結合含量を有する場合により官能性の1種類以上のポリブタジエン0.2〜6.0wt%、
c2)スチレン5〜25wt%、
c3)ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートまたはその混合物30〜65wt%、
c4)イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,5,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートからなる群の1種類以上の化合物0〜20wt%、
c5)アクリル酸またはメタクリル酸と脂肪族C1〜C8モノアルコールとの1種類以上のエステル20〜50wt%、
c6)アクリル酸、メタクリル酸またはその混合物0.1〜3wt%、ならびに
c7)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、場合により分枝の脂肪族C1〜C10モノカルボン酸のビニルエステル、およびマレイン酸またはフマル酸とC3〜C8モノアルコールとのジアルキルまたはジシクロアルキルエステルからなる群の1種類以上の化合物0〜20wt%
(成分c1)〜c7)の合計wt%は100wt%である)
からなる。
【0031】
成分c)のコポリマーは、最も特に好ましくは、
c1)750〜3,500g/mol数平均分子量を有し、ポリブタジエン内に存在するすべてのビニル二重結合に対して少なくとも40モル%の1,2−ラテラルビニル二重結合含量を有する場合により官能性の1種類以上のポリブタジエン0.4〜5wt%、
c2)スチレン5〜20wt%、
c3)ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートまたはその混合物30〜60wt%、
c4)イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,5,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートおよび4-tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートからなる群の1種類以上の化合物0〜15wt%、
c5)アクリル酸またはメタクリル酸と脂肪族C1〜C4モノアルコールとの1種類以上のエステル25〜45wt%、
c6)アクリル酸、メタクリル酸またはその混合物0.3〜2wt%、ならびに
c7)ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、場合により分枝の脂肪族C1〜C9モノカルボン酸のビニルエステル、マレイン酸もしくはフマル酸とC3〜C6モノアルコールとのジアルキルまたはジ(シクロ)アルキルエステルからなる群の1種類以上の化合物0〜15wt%
(成分c1)〜c7)の合計wt%は100wt%である)
からなる。
【0032】
成分c)の樹脂の調製は、当業者によく知られた慣用的な方法[Houben Weyl (編):Methods of Organic Chemistry, 第4版, E 20/2, Thieme, Stuttgart 1987, p.1156]に従い、構成成分c1)〜c7)の共重合によって行なわれ、好ましくは、フリーラジカル形成剤の存在下、80〜240℃の温度での成分c1)〜c7)のフリーラジカル溶液重合による。
【0033】
モノマーまたはオリゴマーc1)〜c7)は、一般的に、コポリマー内に、重合に使用するのと同じ比で組み込まれる。組み込まれる単位は実質的にランダムに分布する。
【0034】
本発明に必須であるコポリマーc)の好適な出発材料c1)は、原則的に、500〜10,000g/molの数平均分子量を有し、ポリブタジエン内に存在するすべてのビニル二重結合に対して少なくとも10モル%、好ましくは少なくとも20モル%、特に好ましくは少なくとも40モル%のラテラル1,2−位のビニル二重結合含量を有する任意のポリブタジエンである。
【0035】
成分c1)の化合物として、典型的には、ビニル二重結合の10〜90モル%が1,2-位であり、10〜70モル%が1,4−シス−および/または1,4−トランス−位であり、0〜30モル%が環状構造であるポリブタジエン異性体混合物が使用される。
【0036】
また、使用されるポリブタジエンは、場合により官能基、例えば、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を担持することもできる。
【0037】
上記の型の好適なポリブタジエンの概要は、H.G. Eliasによる「Makmmoleknle」、第4版, Huethig and Wepf-Verlag, Basle, Heidelberg, New York,第676頁および第744頁〜746頁および第1012ff頁に示されている。
【0038】
コポリマーc)の調製は溶媒の存在下で行なわれ得る。好適な溶媒の例としては、脂肪族、脂環式および/または芳香族炭化水素、例えば、アルキルベンゼン(例えば、トルエン、キシレン)など;エステル、例えば、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸n−ヘキシル、酢酸2−エチルヘキシル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ペンチル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、対応する酢酸メチルエーテルなど;酢酸メトキシプロピル、エーテル、例えば、酢酸エチレングリコールモノ−メチル、−エチルまたは−ブチルエーテルなど;ケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−アミルケトン、およびかかる溶媒の混合物が挙げられる。
【0039】
コポリマーc)の調製は、連続的または不連続的に行なわれ得る。
【0040】
連続的な調製の場合、モノマー混合物および開始剤は、重合反応器内に均一に連続的に計量供給されると同時に、対応する量のポリマーが連続的に取り出され、そのため、非常に均一なコポリマーが得られる。
【0041】
不連続的な調製の場合、モノマー混合物および開始剤は、重合反応器内に計量供給され、ポリマーは反応器内に残留させる。その構造ができるだけ均一であるコポリマーを得るため、モノマー混合物および開始剤は、一定速度で反応器内に計量供給される。
【0042】
本発明の範囲内で、均一なコポリマーとは、狭い分子量分布および好ましくはU≦2.5の低い不均一性(non-homogeneity)の程度、ならびに分子鎖のほぼ等しいモノマー組成を有するコポリマーであると理解される。
【0043】
共重合は、一般的に、80〜240℃、好ましくは100〜220℃、特に好ましくは120〜200℃の温度範囲で行なわれる。
【0044】
共重合は15バールまでの加圧下で行なわれ得る。
【0045】
開始剤は、成分c1)〜c7)の合計量に対して0.05〜15wt%、好ましくは1〜10wt%、特に2〜8wt%の量で使用される。
【0046】
コポリマーc)の調製に好適な開始剤は、慣用的なアゾ系またはペルオキシド系フリーラジカル開始剤であるが、上記の温度範囲で約5秒間〜約30分間の重合に充分に長い半減期を有するもののみである。好適な開始剤の例としては、2,2'−アゾビス−(2−メチルプロパンニトリル)、2,2'−アゾビス−(2−メチルブタンニトリル)、1,1'−アゾビス−(シクロヘキサン−カルボニトリル)、2−エチルヘキサン酸tert−ブチルペルオキシ、tert−ブチルペルオキシジエチルアセテート、tert−ブチルペルオキシイソブチレート、1,1−ジ−tert−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−tert−ブチルペルオキシシクロヘキサン、tert−ブチルペルオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチル−ペルオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルペルオキシアセテート、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、ジクミルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシドおよびジ−tert−アミルペルオキシドが挙げられる。
【0047】
特定の一実施形態において、ポリアクリレートポリオールc)は、オリゴカーボネートポリオールa)および/またはオリゴエステルポリオールb)の少なくとも一方の存在下で、上記の方法に従って調製される。重合は、有機溶媒の非存在下(この場合、オリゴカーボネートポリオールおよび/またはオリゴエステルポリオールは、フリーラジカル重合のための反応媒体を構成する)、あるいは有機溶媒とオリゴカーボネートポリオールa)および/またはオリゴエステルポリオールb)との混合物中のいずれかで行なわれ得る。
【0048】
OH基に対して反応性であるポリイソシアネート架橋剤B)は、ウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を有し、単純な脂肪族、脂環式、芳香脂肪族および/または芳香族ジイソシアネートの修飾によって調製され、少なくとも2種類のジイソシアネートで構成される任意の所望のポリイソシアネートであり、これは、一例として、例えば、J. Prakt. Chem. 336 (1994)185-200;明細書DE-A1670666,1954093、2414413、2452532、2641380、3700209、3900053および3928503またはEP-A336205、339396および798299に記載されている。
【0049】
かかるポリイソシアネートの調製に好適なジイソシアネートは、140〜400g/molの範囲の分子量を有し、ホスゲン化または無ホスゲンプロセス、例えば、熱的ウレタン切断によって得られ得、脂肪族、脂環、芳香脂肪族および/または芳香族が結合されたイソシアネート基を有する任意の所望のジイソシアネート、例えば、1,4−ジイソシアナトブタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2−メチル−1,5−ジイソシアナトペンタン、1,5−ジイソシアナト−2,2−ジメチルペンタン、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチル1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,3−および1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−および1,4−ビス−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、4,4'−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、1−イソシアナト−1−メチル−4(3)イソシアナト-メチルシクロヘキサン、ビス−(イソシアナトメチル)−ノルボルナン、1,3−および1,4−ビス−(2−イソシアナト−プロプ−2−イル)−ベンゼン(TMXDI)、2,4−および2,6−ジイソシアナトトルエン(TDI)、2,4'−および4,4'−ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)、1,5−ジイソシアナトナフタレンなど、またはかかるジイソシアネートの任意の所望の混合物である。
【0050】
脂肪族および/または脂環のみに結合されたイソシアネート基を有する記載の型のポリイソシアネートまたはポリイソシアネート混合物が好ましい。
【0051】
HDI、IPDIおよび/または4,4'−ジイソシアナト−ジシクロヘキシルメタンに基づくイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネートまたはポリイソシアネート混合物が非常に特別に好ましい。
【0052】
また、いわゆるブロック化ポリイソシアネートおよび/またはイソシアネート、好ましくはブロック化ポリイソシアネートまたはポリイソシアネート混合物、最も特に好ましくはHDI、IPDIおよび/または4,4'−ジイソシアナト−ジシクロヘキシルメタンに基づくイソシアヌレート構造を有するブロック化ポリイソシアネートまたはポリイソシアネート混合物を使用することも可能である。
【0053】
イソシアネート基を一時的に保護するための(ポリ)イソシアネートのブロッキングは、長い間、知られている手順であり、例えば、Houben Weyl, Methoden der organischen Chemie XIV/2, p.61-70に記載されている。
【0054】
ブロッキング剤としては、ブロック化(ポリ)イソシアネートを、場合により触媒の存在下で加熱すると切断され得る任意の化合物が考慮される。好適なブロッキング剤の例としては、立体障害性(demanding)アミン、例えば、ジシクロヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、N−tert−ブチル−N−ベンジルアミンなど、カプロラクタム、ブタノンオキシム、種々の考えられる置換パターンを有するイミダゾール、ピラゾール、例えば、3,5−ジメチルピラゾール、トリアゾール類およびテトラゾール類など、ならびにアルコール、例えば、イソプロパノール、エタノール、tert−ブタノールなどが挙げられる。また、イソシアネート基は、さらなる反応中、ブロッキング剤は切断されないが、中間体として形成される中間段階が反応して完了するような様式でブロックすることも可能である。それは、特に、熱架橋反応で完全に反応して高分子網目となり再度切断されないシクロペンタノン-2-カルボキシエチルエステルの場合である。
【0055】
特に、ブロック化ポリイソシアネートが使用される場合、OHまたはNH基に対して反応性である基を含有するさらなる反応性化合物が、成分B)に加えてさらなる架橋剤成分として使用され得る。かかる化合物の例はアミノプラスチック樹脂である。
【0056】
アミノプラスチック樹脂は、メラミンおよびホルムアルデヒドの縮合生成物または尿素およびホルムアルデヒドの縮合生成物であるとみなされ、ラッカー技術において知られている。1〜4個の炭素原子を有する飽和モノアルコールでエーテル化されない、またはエーテル化された任意の慣用的なメラミンホルムアルデヒド縮合生成物が適する。他の架橋剤成分を併用する場合、NCO反応性ヒドロキシル基を有するバインダーの量は、相応に調整しなければならない。
【0057】
本発明によるコーティング組成物を製造するための成分A)と成分B)との反応用の触媒としては、元素アルミニウム、スズ、亜鉛、チタン、マンガン、鉄、ビスマスまたはジルコニウムの市販の有機金属化合物、例えば、ジブチルスズラウレート、オクタン酸亜鉛、チタニウムテトライソプロピレートなどの触媒が使用され得る。しかしながら、第3級アミン、例えば、1,4−ジアザビシクロ−[2.2.2]−オクタンなどもまた適当である。
【0058】
また、20〜200℃、好ましくは60〜180℃、特に好ましくは70〜150℃の温度で硬化を行なうことにより成分B)と成分A)との反応を加速させることも可能である。
【0059】
本発明に必須であるポリオール混合物A)に加え、ポリウレタンラッカー技術の当業者に知られているさらなる有機ポリヒドロキシル化合物またはアミン型反応性希釈剤を使用することも可能である。
【0060】
このような他のポリヒドロキシル化合物は、慣用的なポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール、または本明細書に記載されていないさらなるポリカーボネート、ポリエステルおよびポリアクリレートポリオールであり得る。かかるさらなる有機ポリヒドロキシル化合物が、本発明に必須であるポリオール成分A)に加えて使用される場合、好ましくは、それ自体既知の先行技術のポリアクリレートポリオールおよび/またはポリエステルポリオールが使用される。アミン反応性希釈剤は、ブロック化アミノ基を有する生成物(例えば、アルジミンもしくはケタミンなど)、または依然として遊離しているが反応性が減衰したアミノ基を含有するもの(例えば、アスパラギン酸エステルなど)であり得る。一般に、アミン反応性希釈剤は1つより多くの(ブロック化)アミノ基を含有し、そのため、架橋反応中でのラッカー膜の高分子網目の構築に寄与する。
【0061】
上記の型のさらなるポリヒドロキシル化合物またはアミン反応性希釈剤が本発明によるポリオール成分A)に加えて使用される場合、イソシアネートに対して反応性であるさらなる化合物の量は、本発明に必須である成分A)の量に対して50wt%以下、好ましくは30wt%以下である。しかしながら、本発明に必須であるポリオール成分A)を本発明によるコーティング組成物における唯一のポリオール成分として使用することが特に好ましい。
【0062】
成分A)ならびに任意選択のさらなる架橋剤および硬化剤に対する成分B)の比は、0.3〜2、好ましくは0.4〜1.5、特に好ましくは0.5〜1.2のイソシアネート反応性基に対する遊離および場合によりブロック化されたNCO基のNCO/OH比が得られるような比である。
【0063】
本発明に必須である成分A)およびB)に加え、本発明によるコーティング組成物において、コーティング手法において慣用的な補助物質、例えば、無機顔料もしくは有機顔料、さらなる有機光安定剤、フリーラジカル受容体、ラッカー添加剤、例えば、分散剤、流動剤、増粘剤、泡消剤および他の補助物質、接着剤、防カビ剤、殺菌剤、安定剤または抑制剤など、ならびにさらなる触媒を使用することもまた可能である。
【0064】
本発明によるコーティング組成物は、以下の分野:車両用ベースラッカー塗装、プラスチックラッカー塗装、一般的な産業用ラッカー塗装、大型輸送手段のラッカー塗装、車両用修復ラッカー塗装、床面コーティングおよび/または木材/家具ラッカー塗装に好ましく使用される。
【0065】
したがって、本発明はまた、コーティングおよび本発明によるコーティング組成物を用いて得られ得るコートされた基材を提供する。
【実施例】
【0066】
Desmophen(登録商標)A 870:ヒドロキシル基含有ポリアクリレート(Bayer MaterialSeience AG(Leverkusen, DE)製);酢酸ブチル中約70%、DIN 53 240/2によるヒドロキシル含量約2.95%。
【0067】
Desmophen(登録商標)VP LS 2971:弾性(elastifying)、ヒドロキシル基含有ポリエステル(Bayer MaterialSeience AG(Leverkusen, DE)製);酢酸ブチル中約80%、DIN 53 240/2によるヒドロキシル含量約3.8%。
【0068】
Desmodur(登録商標)N 3600:脂肪族ポリイソシアヌレート(Bayer MaterialScience AG(Leverkusen, DE)製);100wt%、DIN EN ISO 11909によるNCO含量は23wt%。
【0069】
Desmodur(登録商標)N 3390 BA:脂肪族ポリイソシアヌレート(Bayer MateriaiScience AG(Leverkusen, DE)製);酢酸n−ブチル中90wt%、DIN EN ISO 11909によるNCO含量は19.6wt%。
【0070】
ヒドロキシル価(OH価)はDIN 53240-2に従って測定した。
【0071】
粘度は、「MCR 51」回転式粘度計(Paar(ドイツ)製)により、DIN EN ISO 3219に従って測定した。
【0072】
酸価は、DIN EN ISO 2114に従って測定した。
【0073】
色数(APHA)は、DIN EN 1557に従って測定した。
【0074】
実施例1:オリゴカーボネートジオールa1
1,6−ヘキサンジオール/l,4−ブタンジオールに基づく、2,000g/molの数平均分子量を有する脂肪族オリゴカーボネートジオールの調製:
1,390gの1,4−ブタンジオール、608gの1,6−ヘキサンジオールを0.7gのアセチルアセトン酸イットリウム(III)および914gの炭酸ジメチルとともに、80℃で、分画カラム、スターラーおよび受容器を備えた6リットル容加圧反応器に投入した。次いで、反応混合物を、窒素雰囲気下で2時間かけて150℃まで加熱し、攪拌しながら還流下で2時間その温度に維持し、圧力3.9バール(絶対)まで上昇させた。炭酸ジメチルと混合された切断生成物であるメタノールを、次いで蒸留によって除去し、圧力を、4時間かけて合計2.2バールで連続して低下させた。次いで、蒸留操作を完了し、さらに914gの炭酸ジメチルを反応混合物中に150℃で計量供給し、混合物を、攪拌しながら還流下で2時間その温度に維持し、圧力3.9バール(絶対)まで上昇させた。炭酸ジメチルと混合された切断生成物であるメタノールを、次いで、再度蒸留によって除去し、圧力を、4時間かけて合計2.2バールで連続して低下させた。次いで、蒸留操作を完了し、さらに782gの炭酸ジメチルを反応混合物中に150℃で計量供給し、混合物を、攪拌しながら還流下で2時間その温度に維持し、圧力を3.5バール(絶対)まで上昇させた。炭酸ジメチルと混合された切断生成物であるメタノールを、次いで、再度蒸留によって除去し、圧力を4時間かけて常圧まで低下させた。続いて、反応混合物を180℃まで2時間かけて加熱し、攪拌しながら2時間その温度に維持した。次いで、温度を130℃まで低下させ、窒素流(5リットル/時)を反応混合物中に通し、その間、圧力を20ミリバールまで低下させた。次いで、温度を4時間以内で180℃まで上昇させ、6時間維持した。炭酸ジメチルと混合したメタノールを、再度、反応混合物から除去した。
【0075】
曝気および室温までの反応混合物の冷却後、以下の特性:
Mn=1,968g/mol;OH価=57mg KOH/g;粘度:3,513mPas(75℃)、ハーゼン色数:47 APHA
を有する無色のワックス様オリゴカーボネートジオールが得られた。
【0076】
実施例2:オリゴカーボネートジオールa2
3−メチル−1,5−ペンタンジオールに基づく、650g/molの数平均分子量を有する脂肪族オリゴカーボネートジオールの調製
実施例1と同様の手順で、60リットル容加圧反応器に、1,6-ヘキサンジオールの代わりに34,092gの3−メチル−1,5−ペンタンジオールおよび8.0gのアセチルアセトン酸イッテルビウム(III)を入れ、炭酸ジメチルを、10,223gの量を2回および7,147gの量を1回の3工程で添加した。
【0077】
以下の特性:Mn=675g/mol;OH価=166.0mg KOH/g;粘度:4,146mPas(23℃)、ハーゼン色数:17 APHAを有する無色の液状オリゴカーボネートジオールが得られた。
【0078】
実施例3:オリゴカーボネートジオールa3
ポリテトラヒドロフラン250(分子量250g/mol)に基づく、1000g/molの数平均分子量を有する脂肪族オリゴカーボネートジオールの調製
実施例1と同様の手順で、6リットル容加圧反応器に、1,6−ヘキサンジオールの代わりに3,259gのポリテトラヒドロフラン250および0.7gのアセチルアセトン酸イットリウム(III)を入れ、炭酸ジメチルを、439gの量で2回および376gの量で1回の3工程で添加した。
【0079】
以下の特性:M=1,002g/mol;OH価=112 mg K.OH/g;粘度:1,360mPas(23℃)、ハーゼン色数:13 APHAを有する無色の液状オリゴカーボネートジオールが得られた。
【0080】
実施例4:オリゴカーボネートジオールa4
シクロヘキサンジメタノールおよび1,4-ブタンジオールに基づく、500g/molの数平均分子量を有する脂肪族オリゴカーボネートジオールの調製
実施例1と同様の手順で、6リットル容加圧反応器に、1,6−ヘキサンジオールの代わりに2,119gのシクロヘキサン−1,4−ジメタノール、1,325gの1,4−ブタンジオールおよび0.8gのアセチルアセトン酸イットリウム(III)を入れ、炭酸ジメチルを、1,012gの量で2回および867gの量で1回の3工程で添加した。
【0081】
以下の特性:Mn=492g/mol;OH価=228mg KOH/g;粘度:87,700mPas(23℃)、ハーゼン色数:35 APHAを有する無色の液状オリゴカーボネートジオールが得られた。
【0082】
実施例5:オリゴエステルポリオールb1
トリメチロールプロパンに基づく脂肪族オリゴエステルポリオールの調製
3,155gのトリメチロールプロパン、1,345gのε−カプロラクトンおよび2.25gのジブチル錫ジラウレート(DBTL)を反応器内に、実施例1に従って量り入れた。容器の内容物を160℃まで加熱し、160℃で6時間攪拌し、次いで、20℃まで冷却し、以下の特性:固形分:99.5wt%、23℃での粘度:4,100mPas、酸価:0.5mg KOH/g、ヒドロキシル価:881mg KOH/g、ヒドロキシル含量:26.7wt%、ハーゼン色数:44 APHAを有する透明な樹脂を得た。
【0083】
実施例6:オリゴエステルポリオールb2
トリメチロールプロパンに基づく脂肪族オリゴエステルの調製
2,747gのトリメチロールプロパン、1,753gのε−カプロラクトンおよび2.25gのジブチル錫ジラウレート(DBTL)を反応器に、実施例1に従って量り入れた。容器の内容物を160℃まで加熱し、160℃で6時間攪拌し、次いで、20℃まで冷却し、以下の特性:固形分:99.5wt%、23℃での粘度:3,300mPas、酸価:1.0mg KOH/g、ヒドロキシル価:766mg KOH/g、ヒドロキシル含量:23.2wt%、ハーゼン色数:72 APHAを有する透明な樹脂を得た。
【0084】
実施例7:オリゴエステルポリオールb3
トリメチロールプロパンに基づく脂肪族オリゴエステルの調製
1,977gのトリメチロールプロパン、2,523gのε−カプロラクトンおよび2.25gのジブチル錫ジラウレート(DBTL)を反応器に、実施例1に従って量り入れた。容器の内容物を160℃まで加熱し、160℃で6時間攪拌し、次いで、20℃まで冷却し、以下の特性:固形分:99.6wt%、23℃での粘度:2,080mPas、酸価:0.6mg KOH/g、ヒドロキシル価:542mg KOH/g、ヒドロキシル含量:16.4wt%、ハーゼン色数:48 APHAを有する透明な樹脂を得た。
【0085】
実施例8:オリゴエステルポリオールb4
トリメチロールプロパンに基づく脂肪族オリゴエステルの調製
1,407gのトリメチロールプロパン、3,593gのε−カプロラクトンおよび2.25gのジブチル錫ジラウレート(DBTL)を反応器に、実施例1に従って量り入れた。容器の内容物を160℃まで加熱し、160℃で6時間攪拌し、次いで、20℃まで冷却し、以下の特性:固形分:100.0wt%、23℃での粘度:1,730mPas、酸価:0.5mg KOH/g、ヒドロキシル価:356mg KOH/g、ヒドロキシル含量:10.8wt%、ハーゼン色数:17 APHAを有する透明な樹脂を得た。
【0086】
実施例9:オリゴエステルポリオールb5
トリメチロールプロパンに基づく脂肪族オリゴエステルの調製
737gのトリメチロールプロパン、3,763gのε−カプロラクトンおよび2.25gのジブチル錫ジラウレート(DBTL)を反応器に、実施例1に従って量り入れた。容器の内容物を160℃まで加熱し、160℃で6時間攪拌し、次いで、20℃まで冷却し、以下の特性:固形分:99.8wt%、23℃での粘度:1,750mPas、酸価:0.9mg KOH/g、ヒドロキシル価:202mg KOH/g、ヒドロキシル含量:6.1wt%、ハーゼン色数:28 APHAを有する透明な樹脂を得た。
【0087】
実施例10:オリゴエステルポリオールb6
グリセロールに基づく脂肪族オリゴエステルの調製
2,010gのグリセロール、2,490gのε−カプロラクトンおよび2.25gのジブチル錫ジラウレート(DBTL)を実施例1と同様にして量り入れた。容器の内容物を160℃まで加熱し、160℃で6時間攪拌し、次いで、20℃まで冷却し、以下の特性:固形分:100.0wt%、23℃での粘度:980mPas、酸価:1.2mg KOH/g、ヒドロキシル価:811mg KOH/g、ヒドロキシル含量:24.6wt%、ハーゼン色数:23 APHAを有する透明な樹脂を得た。
【0088】
実施例11〜13:
コポリマーc1〜c3の調製の説明
パート1を、スターラー、蒸留装置、モノマー混合物および開始剤の供給容器(定量ポンプを含む)ならびに自動温度制御装置を備えた6リットル容のステンレス鋼加圧反応器に入れ、所望の重合温度まで加熱した。次いで、別々の供給口から、パート2(モノマー混合物)を3時間かけて、およびパート3(開始剤溶液)を3.5時間かけて、計量供給を同時に開始し、重合温度は一定(±2℃)に維持した。次いで、その重合温度で攪拌を60分間行なった。次いで、混合物を室温まで冷却し、固形分を測定した。コポリマーは、70±1%の固形分を有すべきであった。固形分が≦68%である場合、後活性化を、30分間150℃で、最初の5%の量の開始剤を用いて行なった。固形分が68〜69%であった場合、蒸留を行なって70±1%とした。次いで、コポリマーを濾過した(Supra T5500、細孔径25〜72μm、Seitz-Filter-Werke GmbH, Bad Kreuznach, DE)。パート1〜3(wt%)の組成および生成物の特性を表1に示す。
【0089】
【表1】

すべての量(パート1〜3)は、単位wt%であると理解されたい。
1)DHC Solvent Chemie GmbH, D-45478 Muelheim an der Ruhrの市販品
2)日本曹達(日本)の市販品
3)Synthomer GmbH, Frankfurt/Mainの市販品
【0090】
実施例14〜21:
本発明によるポリオール成分Aの調製
オリゴカーボネートジオールa)、オリゴエステルポリオールb)およびポリアクリレートポリオールc)を1リットル容ガラスフラスコ内で、窒素雰囲気下、1時間60℃で攪拌する。次いで、得られたポリオール混合物を室温まで冷却し、その特性を決定し、適用例の準備のために維持する。本発明によるポリオール成分A1)〜A8)の組成(wt%)(固形樹脂に対する)を表2に示し、対応する特性を表3に示す。
【0091】
【表2】

【0092】
【表3】

【0093】
適用例
実施例22:
ストックラッカー(成分22A)の調製
1.4gのBaysilone(登録商標)OL 17(MPA中10%溶液;Borchers GmbH, Langenfeld)、2.8gのTinuvie(登録商標)292(MPA中50%溶液、Ciba Spezialitaetenchemie Lanipertheim GmbH, Lampertheim)、4.2gのTinuvin(登録商標)382/4(MPA中50%溶液、Ciba Spezialitaetenchemie Lampertheim GmbH, Lampertheim)、1.4gのModaflow(登録商標)(MPA中1%溶液;Brenntag AG, Muelheim/R)および34.8gの1−メトキシプロピル2−アセテート/溶媒ナフサ100の1:1混合物を、120.0gのポリオールA3に添加し、混合物を充分に攪拌した。
【0094】
硬化剤溶液(成分22B)の調製
23.4gの1−メトキシプロピル2−アセテート/溶媒ナフサ100の1:1混合物を43.4gのDesmodur(登録商標)N 3600に添加し、混合物を充分に攪拌した。
【0095】
実施例23〜25および比較例C1およびC2:
実施例22Aまたは22Bと同じ手順。しかしながら、表4および表5に示した原料物質を使用した。
【0096】
【表4】

【0097】
【表5】

【0098】
ストックラッカーと硬化剤との混合およびラッカーの適用:
上記の成分A(ストックラッカー)およびB(硬化剤)を、各場合において一緒に混合し、充分に攪拌した。次いで、各々の混合物をエアガンによって、黒色ベースラッカーでプレコートしたコイルコート金属シートに適用し、室温で大気に10分間に曝露し、次いで、熱風循環型の炉内で140℃にて30分間焼成した。約40μmの乾燥膜厚を有する光輝性の高光沢コーティングが得られた。コーティングの決定したラッカー関連特性の概要を表6に示す。
【0099】
【表6】

【0100】
試験方法:
振子硬度:
振子硬度は、DIN EN ISO 1522に従って測定した。
【0101】
ガソリンに対する抵抗性:
DIN 51635によるFAM試験燃料(VDA 621-412(試験A4.1.1 Yおよび4.1.3 Y)ならびにキシレンに基づく)を用いた試験;曝露時間10分。
【0102】
引掻き抵抗性:
引掻き抵抗性は、「実験室洗浄設備を用いたコーティングの引掻き抵抗性の試験」のための方法であるDIN 55668に従って測定した。10回往復サイクル前およびこれに供した後、ならびに60℃での2時間の保存(リフロー挙動)後に再度、DIN 67 530による反射率計の値としての光沢度の測定。
【0103】
化学物質に対する抵抗性:
化学物質に対する抵抗性は、温度勾配測定器(gradient oven)内で、DIN EN ISO 2812/5(ドラフト)に従って測定した。
【0104】
実施例22〜25の本発明によるコーティングは、リフロー前および後の両方で、比較例1および2のものよりも良好な引掻き抵抗性を示す。また、化学物質に対する本発明によるコーティングの抵抗性も、全体的に、2つの比較例のものよりも良好である。
【0105】
本発明を、上記において例示の目的で詳細に記載したが、かかる詳細な記載は、例示の目的にすぎないこと、および特許請求の範囲によって制限される場合を除いて本発明の精神および範囲を逸脱せずに、当業者によってその変形がなされ得ることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A) a)200〜5,000g/molの数平均分子量Mnを有する1種類以上の脂肪族オリゴカーボネートポリオール5〜40wt%、
b)200〜5,000g/molの数平均分子量を有する1種類以上のオリゴエステルポリオール20〜60wt%、および
c)1種類以上のヒドロキシ官能性ポリアクリレートポリオール20〜70wt%
からなり、
a)、b)およびc)の量が合計100wt%になる
ポリオール成分
ならびに
B)OH基に対して反応性であり、≧2.0の平均NCO官能価を有する1種類以上のポリイソシアネート架橋剤
を含むコーティング組成物。
【請求項2】
成分a)の量が10〜35wt%であり、成分b)の量が25〜55wt%であり、成分c)の量が25〜65wt%である、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
成分a)が、200〜2,000g/molの分子量を有し、かつ1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、トリメチロールプロパン、グリセロールおよびその混合物からなる群より選択される成分に基づく1種類以上の脂肪族オリゴカーボネートジオールを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
成分b)が、200〜2,000g/molの分子量を有し、かつε−カプロラクトンおよび1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトールならびにこれらのアルコールの混合物からなる群より選択される成分に基づく1種類以上の脂肪族オリゴエステルポリオールを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
成分c)が、
C1)750〜3500g/molの数平均分子量を有し、ポリブタジエン内に存在するすべてのビニル二重結合に対して少なくとも40モル%の1,2−ラテラルビニル二重結合含量を有する場合により官能性の1種類以上のポリブタジエン0.4〜5wt%、
c2)スチレン5〜20wt%、
c3)ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートまたはその混合物30〜60wt%、
c4)イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,5,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートおよび4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートからなる群の1種類以上の化合物0〜15wt%、
c5)アクリル酸またはメタクリル酸と脂肪族C1〜C4モノアルコールとの1種類以上のエステル25〜45wt%、
c6)アクリル酸、メタクリル酸またはその混合物0.3〜2wt%、ならびに
c7)ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、場合により分枝の脂肪族C1〜C9モノカルボン酸のビニルエステル、マレイン酸またはフマル酸とC3〜C6モノアルコールとのジアルキルまたはジ(シクロ)アルキルエステルからなる群の1種類以上の化合物0〜15wt%
のコポリマーの1種類以上を含み、
c1)〜c7)の量が合計100wt%になる、
請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
c)で使用されるコポリマーが不均一性(Mw/Mn)≦2.5を有する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
ポリオール成分A)が、脂肪族オリゴカーボネートポリオールa)および/または脂肪族オリゴエステルポリオールb)の存在下、コポリマーc)の対応するモノマーの重合によって調製される、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
成分B)が、HDI、IPDIおよび/または4,4'−ジイソシアナト−ジシクロヘキシルメタンに基づくイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネートまたはポリイソシアネート混合物を含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
イソシアネート反応性基に対する遊離および場合によりブロック化されたNCO基のNCO/OH比が0.5〜1.2である、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
請求項1に記載のコーティング組成物を用いて得られるコーティング。
【請求項11】
請求項10に記載のコーティングでコートされた基材。

【公開番号】特開2008−150590(P2008−150590A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−295215(P2007−295215)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】