説明

コーティング装置

【課題】高いスループットで容器の4側面をコーティングすることができるコーティング装置を提供する。
【解決手段】容器10を搬送する第1搬送機構20と、容器20を搬送する第2搬送機構40と、第1搬送機構20によって搬送されている容器20の第1、第2側面11、12をコーティングする第1、第2コーティングユニット31、32と、第2搬送機構40によって搬送されている容器10の第3、第4側面13、14をコーティングする第3、第4コーティングユニット33、34とを備える。第1搬送機構20は、第1搬送方向D1に第1、第2側面11、12が沿った第1状態で容器10を搬送し、第2搬送機構40は、第2搬送方向D2に第3、第4側面13、14が沿った第2状態で容器10を搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器にコーティングを施すためのコーティング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール製品又はビール瓶の運搬用として、数本(例えば、4×5=20本)のビール瓶を纏めて収容する容器が広く使用されている。このような容器は、一般に、ビールケース或いはP函と呼ばれている。
【0003】
ビールケースは、運搬時に擦れて塗装部が剥げることを防止するために、コーティングが施されることが好ましい。しかしながら、高いスループットを得るために、従来は、4側面のうちの2側面しかコーティングが施されていなかった。一般的なビールケースは、4側面として、一対の短手面と一対の長手面を有する。通常は、ビールケースは、一対の短手面の上部に設けられている把持部(梁状部分)を左右の手で握って、一対の長手面の一方の面が腹又は脚に触れるような方法で運搬されるであろう。したがって、従来は、塗装が剥げる可能性がより高い一対の長手面のみがコーティングされていた。
なお、本出願人は、本発明に関連する先行技術文献を認識していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特に長期間にわたって使用されると、長手面ほどではないにしても、短手面もまた運搬時等において擦れて塗装が剥げることが当然にある。したがって、高いスループットが得られるのであれば、短手面に対してもコーティングを施したいところである。
本発明は、以上の課題認識を基礎としてなされたものであり、例えば、高いスループットで容器の4側面をコーティングすることができるコーティング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のコーティング装置は、互いに平行な第1及び第2側面並びに互いに平行な第3及び第4側面を有する容器をコーティングするコーティング装置であって、前記コーティング装置は、前記容器を搬送する第1搬送機構と、前記容器を搬送する第2搬送機構と、前記第1搬送機構によって搬送されている前記容器の前記第1及び前記第2側面をコーティングする第1及び第2コーティングユニットと、前記第2搬送機構によって搬送されている前記容器の前記第3及び前記第4側面をコーティングする第3及び第4コーティングユニットとを備える。ここで、前記第1搬送機構は、前記第1搬送機構の搬送方向に前記第1及び第2側面が沿った第1状態で前記容器を搬送し、前記第2搬送機構は、前記第2搬送機構の搬送方向に前記第3及び第4側面が沿った第2状態で前記容器を搬送する。
【0006】
本発明の好適な実施形態によれば、前記第1搬送機構の搬送方向と前記第2搬送機構の搬送方向とがほぼ直交し、前記第1搬送機構から前記第2搬送機構に前記容器が渡されることにより前記容器が前記第1状態から前記第2状態になることが好ましい。
【0007】
本発明の好適な実施形態によれば、前記容器は、前記第1搬送機構によって駆動されることにより前記第2搬送機構に渡されることが好ましい。
【0008】
本発明の好適な実施形態によれば、前記第1搬送機構の最終端が前記第2搬送機構の側部に対面するように前記第1及び第2搬送機構が配置されていて、前記第1搬送機構の前記最終端まで搬送された容器が前記第2搬送機構の前記側部を通して前記第2搬送機構に渡されることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のコーティング装置によれば、高いスループットで容器の4側面をコーティングすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0011】
図1は、本発明のコーティング装置によって4側面がコーティングされる容器の一例としてのビールケースの構成を示す斜視図である。ビールケース10は、一対の長手面として互いに平行な第1及び第2側面11及び12を有し、一対の短手面として互いに平行な第3及び第4面13及び14を有する。ビールケース10には、例えば、長手方向に5列、短手方向に4列、合計で20本のビール瓶が収容されうる。しかしながら、これは、本発明のコーティング装置によってコーティングがなされうる容器の一例に過ぎず、本発明のコーティング装置は、種々のビールケース、更には、ビールケース以外の種々の容器のコーティングにも適用されうる。
【0012】
図2、図3は、それぞれ本発明の好適な実施形態のコーティング装置の概略構成を示す平面図、側面図である。ここで、より具体的な例を提供するために、コーティング装置100は、ビールケース10を対象として、その4側面にコーティングを施すように構成されているものとして説明する。
【0013】
コーティング装置100は、ビールケース(容器)10を第1方向D1に搬送する第1搬送機構20と、第1搬送機構20によって搬送されてきたビールケース10を第2方向D2に搬送する第2搬送機構40とを備えている。ここで、第1搬送方向D1と第2搬送方向D2とはほぼ直交(例えば、60度〜110度、好ましくは70度〜100度)することが好ましい。
【0014】
第1搬送機構20は、第1搬送方向D1に第1側面11及び第2側面12が沿った第1状態でビールケース10を搬送し、第2搬送機構40は、第2搬送方向D2に第3側面13及び第4側面14が沿った第2状態でビールケース10を搬送する。
コーティング装置100は、第1状態で搬送されているビールケース10の第1側面11、第2側面12(すなわち、第1搬送機構20の側方を向いた2面)をそれぞれコーティングする第1コーティングユニット31、第2コーティングユニット32、並びに、第2状態で搬送されているビールケース10の第3側面13、第4側面14(すなわち、第2搬送機構40の側方を向いた2面)をそれぞれコーティングする第3コーティングユニット33、第4コーティングユニット34を備える。
両搬送機構20、40は、第1搬送機構20の最終端Aが第2搬送機構40の側部Bに対面するように配置され、第1搬送機構20の最終端Aを超えて押し出されるように第1搬送機構20によって駆動されたビールケース10が第2搬送機構40の側部(取り込み部)Bを通して第2搬送機構40に渡されることが好ましい。このような構成によれば、第1搬送機構20が搬送してきたビールケース10を第2搬送機構40に渡すための別途の駆動機構を備える必要がない。しかも、第1搬送方向D1と第2搬送搬送機構D2とをほぼ直交させることにより、ビールケース10を平面内で回転させることなく第1状態から第2状態に変更することができる。
第1搬送機構20は、例えば、チェーンコンベア、ローラーコンベア若しくはベルトコンベア又はそれらの組み合わせによって構成されうる。図2及び図3に示す例では、第1搬送機構20は、チェーンコンベアを含んで構成されている。
【0015】
第2搬送機構40は、例えば、チェーンコンベア、ローラーコンベア若しくはベルトコンベア又はそれらの組み合わせによって構成されうるが、少なくとも第1搬送機構40からビールケース10を受け取る部分は、第1搬送方向D1についての抵抗が小さいコンベア、例えば、ローラーコンベア、ベルトコンベア、TTコンベア(チェーンコンベアの一種)等で構成されることが好ましい。
【0016】
第1搬送機構20の最終端Aと第2搬送機構40の側部(取り込み部)Bとの間には、ローラ50が設けられることが好ましい。また、第2搬送機構40の搬送面は、第1搬送機構20の搬送面よりも低い方が好ましい。このような構成によれば、第1搬送機構20から第2搬送機構40にビールケース10をより確実に渡すことができる。
第1搬送機構20の両側方には、典型的には、ガイド25、26が配置されうる。第2搬送機構40の両側方にも、典型的には、ガイド45、46が配置されうる。ここで、ガイド45、46のうち第1搬送機構20に対面する側のガイド46の上流側端部46Aは、第1搬送機構20から不完全な状態(例えば、第2搬送機構40の搬送面にビールケース10が完全に載っていない状態)で第2搬送機構40に渡されうるビールケース10を第2搬送機構40の中央側に移動させることができるように、上流側に向かって開いた(すなわち、上流側に向かって幅が広くなった)形状を有することが望ましい。
【0017】
第1、第2コーティングユニット31、32は、第1搬送機構20の搬送経路等に設けられた不図示のセンサによるビールケース10の検知に基づいてコーティング液をビールケース10に吹き付ける。同様に、第3、第4コーティングユニット33、34は、第2搬送機構40の搬送経路等に設けられた不図示のセンサによるビールケース10の検知に基づいてコーティング液をビールケース10に吹き付ける。
【0018】
この実施の形態によれば、コーティング装置100は、ビールケース10の搬送経路に組み込まれ、ビールケース10を搬送しながらそれにコーティングを施すことができる。しかも、ビールケース10の4側面をコーティングするためにビールケース10を平面内で回転させる必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のコーティング装置によって4側面がコーティングされる容器の一例としてのビールケースの構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の好適な実施形態のコーティング装置の概略構成を示す平面図である。
【図3】本発明の好適な実施形態のコーティング装置の概略構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0020】
10 ビールケース(容器の一例)
11 第1側面
12 第2側面
13 第3側面
14 第4側面
20 第1搬送機構
25、26 ガイド
31 第1コーティングユニット
32 第2コーティングユニット
33 第3コーティングユニット
34 第4コーティングユニット
40 第2搬送機構
45、46 ガイド
50 ローラ
100 コーティング装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行な第1及び第2側面並びに互いに平行な第3及び第4側面を有する容器をコーティングするコーティング装置であって、
前記容器を搬送する第1搬送機構と、
前記容器を搬送する第2搬送機構と、
前記第1搬送機構によって搬送されている前記容器の前記第1及び前記第2側面をコーティングする第1及び第2コーティングユニットと、
前記第2搬送機構によって搬送されている前記容器の前記第3及び前記第4側面をコーティングする第3及び第4コーティングユニットとを備え、
前記第1搬送機構は、前記第1搬送機構の搬送方向に前記第1及び第2側面が沿った第1状態で前記容器を搬送し、前記第2搬送機構は、前記第2搬送機構の搬送方向に前記第3及び第4側面が沿った第2状態で前記容器を搬送することを特徴とするコーティング装置。
【請求項2】
前記第1搬送機構の搬送方向と前記第2搬送機構の搬送方向とがほぼ直交し、前記第1搬送機構から前記第2搬送機構に前記容器が渡されることにより前記容器が前記第1状態から前記第2状態になることを特徴とする請求項1に記載のコーティング装置。
【請求項3】
前記容器は、前記第1搬送機構によって駆動されることにより前記第2搬送機構に渡されることを特徴とする請求項2に記載のコーティング装置。
【請求項4】
前記第1搬送機構の最終端が前記第2搬送機構の側部に対面するように前記第1及び第2搬送機構が配置されていて、前記第1搬送機構の前記最終端まで搬送された容器が前記第2搬送機構の前記側部を通して前記第2搬送機構に渡されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のコーティング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−341157(P2006−341157A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−167244(P2005−167244)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】