説明

コーデックおよびDTMF用通信システム

【課題】秘匿性を高めた通信が可能なコーデックおよびDTMF用通信システムを提供すること。
【解決手段】電話機201内のDTMF用コーデック212は、文字や記号からなるキャラクタのそれぞれに対応させて所定長のビットパターンを複数組ずつ互いにパターンの全体が重複しないように割り当てたデータベース227を備えている。符号化の際には、使用する各キャラクタのビットパターンの相関が低くなるようにビットパターンを選択する。復号化の場合にはデータベース227内のビットパターンの中で最も相関の高いキャラクタを選択する。各キャラクタのビットパターンがある程度長いと、相関性の関係でデータ加工部225により加工が行われたビットパターンを通信制御部217から受信側に送信することができ、秘匿性が向上する。電話番号のエンコードの際、キャラクタ間には区切りを示す「1」または「0」のパターンを挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば電話のプッシュボタンを押したときに発生する多周波信号を符号化したり復号化するコーデックおよび多周波信号を使用したDTMF用通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
DTMF(Dual Tone Multi Frequency)は、可聴周波数の低音と高音を組み合わせた和音で文字や記号(以下、キャラクタと総称する。)を表わすのに使用されている。DTMFは、電話番号の送出に使用されるだけでなく、各種の対話型自動サービスで必要とする文字や記号の伝送にも使用されている。
【0003】
DTMF用コーデックは、DTMFに用いられるアナログ信号をディジタル信号に符号化するコーダと呼ばれる回路部分と、この逆のディジタル信号をアナログ信号に復号するデコーダと呼ばれる回路部分の双方を備えた回路である(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
図10は、このようなDTMF用コーデックの一般的な回路構成を表わしたものである。たとえば電話機に使用されるDTMF用コーデック100は、符号化を行うコーダ部101と、復号化を行うデコーダ部102から構成されており、これらを伝送路103が接続する構成となっている。
【0005】
電話機を例に採ると、コーダ部101には、電話の相手にダイヤルするときに出力されるDTMFと、通話のときの音声からなる音声信号104が入力される。この音声信号104は、音声コーダ部105とDTMF検出・コーダ部106の双方に供給される。DTMF検出・コーダ部106は、音声信号104の中からDTMFを検出してコード化する。これによって得られたDTMF検出信号107とコード化DTMF108のうちのコード化DTMF108は選択部109に入力データとして入力される。音声コーダ部105によって符号化された通常音声信号111も入力データとして選択部109に入力される。
【0006】
選択部109はコード化DTMF108と通常音声信号111の一方を選択して出力する回路である。選択部109は、DTMF検出信号107がDTMFを検出しているタイミングでコード化DTMF108を選択出力112として出力し、これ以外の時間は通常音声信号111を選択出力112として出力する。選択出力112は指示ビット埋込部113に入力される。指示ビット埋込部113はDTMF検出信号107が供給されているタイミングでDTMFを表わす指示ビットを選択出力112に埋め込み、それ以外では指示ビットを埋め込まない。
【0007】
このようにして作成された伝送データ114は、伝送路103を伝送されて受信側に配置されたデコーダ部102のDTMF指示抽出部116に入力される。DTMF指示抽出部116は、入力された伝送データ114を所定の単位ずつチェックして、指示ビットがこれに埋め込まれているかどうかを判別する。そして、指示ビットが埋め込まれていない場合には、通常音声信号117としてパリティチェック再生部118に送ってエラーのチェックと再生を行う。そして、パリティチェック再生部118から出力される通常音声信号119を音声デコーダ部121に送って音声の復号を行う。
【0008】
これに対して、伝送データ114に指示ビットが埋め込まれている場合、DTMF指示抽出部116は、これをDTMF信号122としてDTMF再生部123に送って復号化し、DTMFを再生させる。選択部124は、音声デコーダ部121の出力する復号化された音声信号125とDTMF再生部123の出力する復号化されたDTMF126を入力する。そして、DTMF126の入力されているタイミングでこのDTMF126を選択し、それ以外の時間は音声信号125を選択して、選択後音声信号127として出力することになる。
【0009】
ところで、このようなDTMF用コーデックに使用される伝送データの単位であるフレームは、通話、音楽等の各種の音を表わしたビット列の中からDTMFを確実に検出できるような構成である必要がある。このため、必然的にフレーム内にキャラクタ自体を表わすための本来のDTMFとは無関係の多くのダミーデータを必要とし、1つのフレームを構成するデータ量が多くなる。これにも拘わらず、従来ではDTMF独自に用意される1フレーム当たりのビット数が少ないという問題があった。このため、パリティビットを配置すべき場所に、DTMFの指示ビットか同期ビットのいずれかを選択して配置するといったことが行われており、同期エラーを発生させやすいという問題があった。
【0010】
そこで、このような問題を解消するために、前記した提案では、複数フレームを1つにまとめ、これによって生み出された剰余ビットを用いることで、DTMFの指示ビットと同期ビットをフレーム内に同時に組み込むことを可能にしていた。
【特許文献1】特開2002−205197号公報(第0012段落、第0015段落〜第0017段落、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
いずれにせよ、従来のDTMF用通信システムでは、キャラクタを伝送するために伝送する全データ量が多く、非効率な通信が行われるといった問題があった。また、キャラクタ自体を伝送するために割り当てられるデータ量に余裕がなかった。したがって、たとえばセキュリティ対策のための付加ビットの追加が困難であった。このため、周波数解析をするだけで、簡単にキャラクタの解読が実現してしまうという問題があった。
【0012】
なお、DTMFを使用したDTMF用通信システムについて説明したが、音声情報とキャラクタを時間的に切り替えて符号化したり復号化するコーデックについてもキャラクタの解読について同様の問題があった。
【0013】
そこで本発明の目的は、秘匿性を高めた通信が可能なコーデックおよびDTMF用通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1記載の発明は、(イ)文字や記号からなるキャラクタのそれぞれに対応させて所定長のビットパターンを複数組ずつ互いにパターンの全体が重複しないように割り当てたキャラクタビットパターン対応データベースと、このキャラクタビットパターン対応データベースから自装置の符号化処理の対象となる全キャラクタに限定して、対応する全ビットパターンを読み出すビットパターン読出手段と、このビットパターン読出手段によって読み出したキャラクタのそれぞれに対応するビットパターンの中から、符号化処理の対象となる全キャラクタのそれぞれに対して最も相関の低いビットパターンをそれぞれのキャラクタに対して選択するキャラクタ別ビットパターン選択手段と、符号化処理の対象となるキャラクタが入力されるたびにキャラクタ別ビットパターン選択手段によって選択されたそのキャラクタについてのビットパターンを符号化処理されたビットパターンとして出力するキャラクタビットパターン変換手段とを備えたエンコーダと、(ロ)エンコーダから送られてくるビットパターンのそれぞれについてキャラクタビットパターン対応データベースに格納されているビットパターンと相関をとり、一番相関の高いキャラクタを判別するビットパターン別キャラクタ判別手段とを備えたデコーダとをコーデックに具備させる。
【0015】
すなわち本発明では、キャラクタのそれぞれに対応させて所定長のビットパターンを複数組ずつ互いにパターンの全体が重複しないように割り当てたキャラクタビットパターン対応データベースが用意されている。コーデックは、符号化処理および復号化処理の対象となるキャラクタそれぞれのビットパターンの相関が低くなるように各キャラクタのビットパターンを選択するようにしている。したがって、エンコーダは、装置が使用するキャラクタが少ないほど、より相関の低いビットパターンを選択することができる。デコーダ側はキャラクタビットパターン対応データベースの中から最も相関の高いビットパターンに対応するキャラクタを選択することで復号化処理を行うことになる。このため、一般には装置が使用するキャラクタの数が少ないほど、ビットパターンの加工を行ってもキャラクタを正しく再生することができるようになる。また、秘匿性の高い通信が可能になる。更に、1つのキャラクタが1つのビットパターンに対応しないので、この点でも解読しにくい通信が可能である。
【0016】
エンコーダは、全キャラクタの相関の低さが保たれる予め定められたビット数で、キャラクタビットパターン変換手段によって変換されたキャラクタ別のビットパターンの一部を他のビットパターンに変更するデータ加工手段を具備してもよく、これにより、前記したように秘匿性が向上する。
【0017】
請求項3記載の発明では、(イ−1)文字や記号からなるキャラクタのそれぞれに対応させて所定長のビットパターンを複数組ずつ互いにパターンの全体が重複しないように割り当てたエンコーダ側キャラクタビットパターン対応データベースと、このエンコーダ側キャラクタビットパターン対応データベースから自装置の符号化処理の対象となる全キャラクタに限定して、対応する全ビットパターンを読み出すビットパターン読出手段と、このビットパターン読出手段によって読み出したキャラクタのそれぞれに対応するビットパターンの中から、符号化処理の対象となる全キャラクタのそれぞれに対して最も相関の低いビットパターンをそれぞれのキャラクタに対して選択するキャラクタ別ビットパターン選択手段と、符号化処理の対象となるキャラクタが入力されるたびにキャラクタ別ビットパターン選択手段によって選択されたそのキャラクタについてのビットパターンを符号化処理されたビットパターンとして出力するキャラクタビットパターン変換手段とを備えたエンコーダと、(イ−2)キャラクタを時間を置いて複数個入力するキャラクタ入力手段と、(イ−3)このキャラクタ入力手段によって入力された各キャラクタをエンコーダによってエンコードしたものの間にキャラクタとキャラクタの間の区切りを示すコード情報を加えて送信するデータ送信手段とを備えた送信側装置と、(ロ−1)この送信側装置から受信したデータを区切りを示すコード情報によってブロックに分割するブロック分割手段と、(ロ−2)エンコーダ側キャラクタビットパターン対応データベースと同一種類のキャラクタあるいはこれよりも少ない種類のキャラクタに対してそれぞれ同一内容のビットパターンを割り当てたデコーダ側キャラクタビットパターン対応データベースと、ブロックごとのビットパターンのそれぞれについてデコーダ側キャラクタビットパターン対応データベースに格納されているビットパターンと相関をとり、一番相関の高いキャラクタを判別するビットパターン別キャラクタ判別手段とを有するデコーダとを備えた受信側装置とをDTMF用通信システムに具備させる。
【0018】
すなわち本発明では、送信側装置にエンコーダ側キャラクタビットパターン対応データベースを用意し、受信側装置にこれと実質的に同様の内容のデコーダ側キャラクタビットパターン対応データベースを用意することにしている。デコーダ側キャラクタビットパターン対応データベースは、自装置に必要とするキャラクタだけを再生するのであれば、対象とするキャラクタの数を必要最小限とすることができる。本発明では、送信側で使用するキャラクタの種類に応じて、それぞれのキャラクタのビットパターンがなるべく類似しないような相関の低いビットパターンを各キャラクタに割り当てて伝送することにし、受信側ではデコーダ側キャラクタビットパターン対応データベースで各ビットパターンに最も相関の高いキャラクタ、すなわち最も類似しているビットパターンに対応するキャラクタを選択することで復号化処理を行うようにしている。キャラクタとキャラクタの間には区切りに相当するコード情報が挿入されて送信され、受信側ではこれを利用してキャラクタごとの分離を行うようにしている。このため、一般には装置が使用するキャラクタの数か少ないほど、ビットパターンの加工を行っても受信側でキャラクタを正しく再生することができるようになる。また、秘匿性の高い通信が可能になる。更に、1つのキャラクタが1つのビットパターンに対応しないので、この点でも解読しにくい通信が可能である。
【0019】
エンコーダは、全キャラクタの相関の低さが保たれる予め定められたビット数で、キャラクタビットパターン変換手段によって変換されたキャラクタ別のビットパターンの一部を他のビットパターンに変更するデータ加工手段を具備してもよく、これにより、前記したように秘匿性が向上する。また、エンコーダ側キャラクタビットパターン対応データベースとデコーダ側キャラクタビットパターン対応データベースにおけるそれぞれのキャラクタに対応するビットパターンをエンコーダ側とデコーダ側で一斉に変更するデータベース変更手段を具備するようにすれば、秘匿性が更に向上する。更に、デコーダは、ビットパターン別キャラクタ判別手段の判別したそれぞれのキャラクタに対応させた周波数の組み合わせからなる和音を出力すると共にキャラクタとキャラクタの間を無音とする音情報出力手段を具備するようになっていてもよい。また、送信側装置は、エンコーダによってエンコードしたものの間にキャラクタとキャラクタの間の区切りを示すコード情報を加えたキャラクタデータに関する送信と音声をエンコードした音声データの送信を時間的に切り替えて行い、受信側装置はこれらキャラクタデータと音声データを切り替えてデコードするようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、それぞれのキャラクタを表わすビットパターンを互いの相関性によって定めるので、使用するキャラクタの数が限定されているような場合には、使用されるビットパターン同士の相関性が際立つことになって、データの部分的な変更の度合いが高くなってもデータの復号化が可能になる。したがって、秘匿性が向上するだけでなく、通信時のエラーに対しても耐性の強いコーデックおよびDTMF用通信システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下実施例につき本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の一実施例におけるDTMF用コーデックを使用した電話システムの概要を表わしたものである。電話システム200を構成するユーザAの電話機201は、図示しないインターネットに接続されている。また、同じく電話システム200を構成するユーザBの電話機202は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置203に接続されている。ユーザAの電話機201はDTMF用コーデックを内蔵している。これに対して、ユーザBの電話機202はDTMF用コーデックを内蔵しておらず、情報処理装置203がソフトウェアでこれを実現している。
【0023】
このような電話システム200で、2人のユーザA、Bはインターネットを利用して通話を行うことができる。ユーザAが発呼側とする。ユーザAは電話機201の操作部205からユーザBの電話機202の電話番号をDTMFで入力する。すると、これに対応するIP(Internet Protocol)アドレス206によってIP端末としてのユーザBの情報処理装置203が着呼し、電話機202が呼出音を鳴動させることになる。これにより、両ユーザA、Bの通話が可能になる。
【0024】
図2は、ユーザAの電話機の構成の概要を表わしたものである。電話機201は、電話機本体部211と、DTMF用コーデック212で構成されている。電話機本体部211は、電話機におけるDTMF用コーデック212を除外した回路部分である。なお、図1に示したユーザBの電話機202に接続された情報処理装置203は、DTMF用コーデック212をソフトウェア的に実現しているものであり、実質的に同一の回路構成となっているので、その説明は省略する。
【0025】
電話機201の電話機本体部211は、図示しないハンドセットを備え音声を入出力する音声入出力部214と、図示しないダイヤルキーを備えた操作部205と、通信ケーブル216に接続された通信制御部217を備えており、通常の電話機としての機能を実行できるようになっている。
【0026】
一方、DTMF用コーデック212は電話機本体部211とも共用可能な制御部221を備えている。制御部221は、CPU(Central Processing Unit)222と、このCPU222によって実行される制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)等の制御プログラム格納領域223を備えている。制御部221は、電話機本体部211の音声入出力部214、操作部205および通信制御部217と接続される他に、次の各部と接続されている。なお、これら各部の一部は、制御プログラム格納領域223に格納された制御プログラムをCPU222が実行することでソフトウェア的に実現することもできる。
【0027】
入力データバッファ部224は、音声入出力部214や操作部205から入力される音声データや操作データあるいは通信制御部217を介して相手側の電話機(ここでは図1に示すユーザBの電話機202。)から入力されたデータを一時的に格納するメモリ領域である。データ加工部225は、セキュリティ上の要請でエンコードに際してデータの加工を行う回路部分である。相関解析部226は、エンコードに際して、操作部205から入力され得る英数字や記号等のキャラクタに対応するビットパターンの候補から最適のものを選び出す解析を行い、デコードに際しては受信したビット列の相関をとってキャラクタを判別する解析を行うようになっている。
【0028】
データベース227は、候補となり得るキャラクタのビットパターンを1つのキャラクタごとに1296通り用意しており、それぞれについてパターン番号を付したテーブルによって構成されている。このデータベース227は、本実施例によるDTMF用コーデック212を使用する全電話機について共通の内容となっている。したがって、本実施例では電話機205と通話相手の情報処理装置203内に同一のデータベース227が格納されていることになる。もっとも、データベース227の内容は全く固定である必要はなく、キャラクタの種類の増加等の要因によって、その内容を一斉に改定していってもよい。DTMF用コーデック212を内蔵する電話機等の情報処理装置は通信ラインに接続されているのが原則なので、データベース227の改定は比較的容易に実現することができる。
【0029】
トーン解析部228は、操作部205から送られてくるキー情報を表わしたDTMFを構成する2つの周波数を解析する。このために、トーン解析部228は、FFT(fast Fourier transform)229を備えている。これは、高速フーリエ変換によってディジタル化信号周波数成分を計算する回路部分である。トーン解析部228は、解析した結果得られた周波数の組み合わせからキャラクタを特定するDTMFテーブル230も備えている。DTMFテーブル230については、後に説明する。
【0030】
エンコードデータ出力部231は、エンコードしたダイヤル情報等のエンコードデータを、通信制御部217を用いて通信ケーブル216に出力する処理回路である。エンコードデータ入力部232は、通信制御部217を介してエンコードデータを入力する処理を行うようになっている。
【0031】
図3は、本実施例のDTMFテーブルの内容を表わしたものである。DTMFテーブル230は、電話システムで扱うキャラクタとDTMFを構成する2つの周波数の関係を示したものである。本実施例のDTMFは、6個の可聴周波数として700Hz、900Hz、1100Hz、1300Hz、1500Hzおよび1700Hzをそれぞれ第1の周波数および第2の周波数として用意しており、これらを組み合わせた和音を各キャラクタに対応付けている。
【0032】
たとえば、キャラクタ「1」は700Hzと900Hzの組み合わせで表わされる。ただし、これらの周波数のうちで、たとえば第1の周波数と第2の周波数が共に700Hzというように同一周波数同士の組み合わせは、和音を構成しないので、キャラクタに対応する組み合わせから除外している。本実施例のDTMFテーブル230では、6個の異なった周波数を組み合わせるので、数字「0」から「9」を含んだ全部で15個のキャラクタがDTMFとして認識の対象となることになる。
【0033】
図4は、本実施例でユーザAがユーザBに電話を掛ける場合のDTMF用コーデックのエンコーダ部分の制御の様子を表わしたものである。図2と共に説明する。まず、制御部221は、操作部205から送られてくるキー情報の出力期間としてのDTMF区間であるかどうかを判別する(ステップS301)。このような判別は、たとえば電話機本体部211における音声入出力部214と操作部205の信号経路の相違によって物理的に可能であるが、電話機201の図示しないハンドセットをダイヤル操作のためにオフフックしたというような一連の操作手順の検出からも判別することができる。
【0034】
DTMF区間に該当している場合(Y)、電話番号がDTMFで入力される場合のダイヤルキーが押されている区間とそれ以外の区間をそれぞれ1つずつのブロックに区切って処理を行う。そこで、制御部221は1ブロックの入力が終了したことを判別すると(ステップS302:Y)、その区間がダイヤルキーの押された有音区間であるか、有音区間の前後に配置されるダイヤルキーの押されていない無音区間であるかを判別する(ステップS303)。
【0035】
この結果、その1ブロックが無音区間であれば(Y)、その区間に信号「1」を1ブロック長にわたって連続したビットパターンとして挿入する(ステップS304)。そして、これをエンコードデータとして出力する(ステップS305)。この後、処理が最初に戻る(リターン)。
【0036】
これに対して、ステップS303で有音区間であると判別された場合には(N)、キーに対応したトーン信号の2つの周波数を解析することで検出する(ステップS306)。この解析は、トーン解析部228でFFT229を用いて行う。
【0037】
図5は、DTMF波とそのスペクトル分析結果を示したものである。同図(A)は、DTMF波の発生の時間的な変化を示したものである。有音区間241と無音区間242が交互に繰り返されている。これらの区間が前記した1つずつのブロックに相当する。
【0038】
図5(B)は、それぞれの有音区間のブロック241を図2に示したFFT229で検出した結果を示したものである。6個の可聴周波数としての700Hz、900Hz、1100Hz、1300Hz、1500Hzおよび1700Hzを周波数f1〜f6で表わすと、それぞれのブロック241に黒い線で示す2つずつの周波数が検出されている。
【0039】
図6は、図5(A)に示したDTMF波形の一部を拡大したものである。この例の波形は、縦軸が振幅を、また横軸がサンプル番号を表している。時間をt、また2つの周波数をf1、f2とし、2つの波形の位相をθ1、θ2とするとき、波形S(t)は次の(1)式で表わすことができる。
【0040】
S(t)=SIN(2πf1t+θ1t)+SIN(2πf2t+θ2t) ……(1)
【0041】
図3に示したDTMFテーブル230を参照することで、これら2つずつの周波数を用いて、図4のステップS307で該当するキャラクタが解析され、判定されることになる。
【0042】
このようにしてユーザAの入力したキャラクタの判定が行われたら、制御部221は該当するキャラクタのパターン番号を選択する(ステップS308)。本実施例では、キャラクタごとに1296のパターンが用意されている。電話機201では、操作部205から入力され得るキャラクタの種類に応じて、キャラクタごとに取り得るパターンを1つずつ予め特定しており、これら特定されたパターンがここではキャラクタに対応して選択されることになる。一般的に各キャラクタのパターンをどのようにして選択するかについては、後に説明する。
【0043】
本実施例で、1つのブロックに対応するキャラクタのパターンのそれぞれのビット長は640ビット程度となっている。パターンが選択されたら、これをそのままエンコードデータとして出力することもできるが、本実施例では秘匿性を高めるためにデータ加工処理を実行する(ステップS309)。具体的には、640ビットの中から、数ビットについて、他のキャラクタのビットパターンとの相関が高くならないように変更する。このようなデータ加工後のビットパターンを前もって複数通り用意しておいて、これらをランダムに選択することでデータ加工処理としてもよい。
【0044】
このようにしてデータ加工の行われたパターンは、該当するブロックのエンコードデータとして出力されることになる(ステップS305)。この後、ステップS301に処理が戻される(リターン)。したがって、DTMF区間が継続している限り、各ブロックのエンコードしたデータが、たとえば640ビット単位で繰り返されることになる。
【0045】
ところで、図2に示す操作部205から多くのキャラクタを入力できるような場合を想定する。このような場合、本発明では、データ送信区間において使用するキャラクタの種類が分かれば、その範囲でこれらのキャラクタ同士のビットパターンの相関が高くならないように、それぞれのキャラクタのパターンの選択を行うようにしている。このための処理を次に説明する。本実施例のように操作部205から入力できるキャラクタの種類が少なく、かつキャラクタの種類が固定されている場合には、一度前もってこの処理を実行しておけば、前記したようにそれぞれのキャラクタに対応する最適のパターンが判別されるので、この処理を繰り返し実行する必要はない。
【0046】
図7は、エンコーダによるキャラクタごとのパターンの決定処理の様子を表わしたものである。図2と共に説明する。まず、入力データバッファ部224を使用して送信の対象となる一連のDTMFをバッファリングする(ステップS321)。次に、これらを時間軸でスキャンして有音区間と無音区間に分けることで、それぞれのブロックに分割する(ステップS322)。
【0047】
次に、分割された有音区間のブロックのそれぞれについて、トーン解析部228を使用してキャラクタの判別を行う(ステップS323)。このとき、それぞれのキャラクタに対応する1296ずつのパターンをデータベース227から抽出する(ステップS324)。たとえば、あるデータ送信区間に15個のキャラクタが登場したとすると、それぞれについて1296個のパターンが抽出される。抽出されるパターンの合計は、19440個となる。
【0048】
このようにしてパターンの抽出が行われたら、1つのキャラクタにおける1296個のパターンのうちの1つを選び、同様に残りのキャラクタにおけるそれぞれ1296個のパターンのうちの1つを選んで、全体のパターンについての相関をとる。次に、最初のキャラクタのパターンを固定した状態で、残りのキャラクタのパターンを1つずつ変えながら、全体のパターンについての相関をとる。これらの処理が終了したら、最初のキャラクタのパターンを2番目のパターンに変更して、同様に残りのキャラクタのパターンを1つずつ変えながら、全体のパターンについての相関をとる。以下同様にして、全キャラクタのパターンのすべての組み合わせについての全体のパターンについての相関をとる。そして、すべての出現したキャラクタにおける全体のパターンについての相関が最も低くなるパターンの組み合わせを求めて、このときのキャラクタそれぞれのパターンを選択することになる(ステップS325)。
【0049】
この結果、出現するキャラクタのそれぞれが互いに相関の最も低いビットパターンを割り当てられることになる。したがって、図4のステップS309で多少のデータ加工を行っても、受信側では各パターンを正確に判別することができるようになる。
【0050】
さて、図2に示すエンコードデータ出力部231は、DTMFの出力された区間における各ブロックの有音のエンコードデータと無音のエンコードデータをつなぎあわせて通信制御部217に送出する。このとき、エンコードデータ出力部231は、それぞれのブロックの前後に、各ブロックの入力データ長と圧縮率を考慮したランダムビットデータを100ビット程度追加する。このような処理が行われたエンコードデータは、エンコードデータ出力部231の制御によって通信制御部217を介して相手先のユーザBの電話機202(図1)に送られることになる。
【0051】
図8は、ユーザBにおけるデコーダの制御を表わしたものである。図1に示したユーザBの情報処理装置203は、図2におけるDTMF用コーデック212としての機能を持っている。そこで図2を用いて説明を行う。情報処理装置203の制御部221は、DTMF区間であるかどうかを監視している(ステップS341)。DTMF区間で(Y)、1ブロック分のエンコードデータが送信側から送られてくると(ステップS342:Y)、エンコードデータ入力部232は、それがオール「1」のデータであるかどうかをチェックする(ステップS343)。そして、オール「1」のデータであれば(Y)、無音区間のブロックに相当するので、無音波形を作成する(ステップS344)。
【0052】
これに対して、そのブロックがオール「1」のデータで形成されていない場合(ステップS343:N)、相関解析部226はデータベース227を使用して相関処理を実行する(ステップS345)。この相関処理の解析では、データベース227に格納されたそれぞれのパターン番号ごとのビットパターンとの間で類似の度合を判別し、ブロックごとにエンコードデータをパターン番号に対応付ける。具体的には640ビットのビットパターンの中で相関幅を432ビット程度とし、100ビット程度の時間的な遅延を許容して、各ビットの比較を行う。
【0053】
以上のようにして、ブロックごとにパターン番号が判別されたら、そのパターン番号に対応するキャラクタのDTMF信号波形が作成される(ステップS346)。そして、ステップS344およびステップS346で作成された無音波形およびDTMF波形を順につなぎ合わせてデコードデータとして出力する(ステップS347)。本実施例の場合、デコードデータは図1に示すユーザBの電話機202に送られて、着信音が出力されることになる。
【0054】
図9は、本実施例におけるDTMF用コーデックを従来のものと比較したものである。本実施例では、同図(A)に示すように、入力側のDTMFデータ251を、たとえばデータ伝送速度(64kbps(キロビット/秒))でエンコーダ252に送るものとする。本実施例では、データベース227を用いてエンコードし、1ブロックあたり640ビット+α程度で同じキャラクタを送る。この結果、約12.8kbpsの通信速度でエンコードデータをデコーダ253に送って、出力側のDTMFデータ254を得るようにしている。
【0055】
これに対して、従来では、同図(B)に示すように、入力側のDTMFデータ261を同様に64kbpsでエンコーダ262に送るものとする。従来では、これをADPCM(Adaptive Differential Pulse Code Modulation:適応差分パルス符号変調)あるいはCELP(Code Excited Linear Prediction:符号励振線形予測)等の符号化技術を用いて、単純にビットパターンのエンコードを行っている。デコーダ263では、これらのエンコードデータをADPCMあるいはCELPの逆変換によってデコードして、出力側のDTMFデータ264を得る。
【0056】
このような従来の手法では、DTMF信号をよく知られているミューロー(μ-low)規則に準じた圧縮伸張変換としているため、データの圧縮率が悪い。すなわち、1サンプルあたり8ビットのデータとして伝送した場合、規格によりおおよそ、DTMF信号の1ブロックあたりの長さは、50msec(ミリ秒)程度なので、データ量にすると、8×0.05×8000=3200ビット必要となる。この結果、エンコーダ262からデコーダ263に送出するエンコードデータの通信速度は約16kbpsとなってしまう。
【0057】
このように本実施例のDTMF用コーデックの方がデータの圧縮率が一例として5倍程度高くなるので、同じ入力データに対して少ないデータを受信側に送信すればよい。しかも、本実施例ではキャラクタに対応するエンコードデータをそのまま受信側に送っているのではなく、一部のビットの入れ替えを行っている。したがって、秘匿性の向上が図られている。しかも本実施例の場合には、図7で説明したように、通信相手の電話機や情報処理装置が異なって、新しいキャラクタがこれに伴って使用された場合にも、汎用性の高いデータベースを用いて、あるいはデータベースの内容を共に新しい内容に変更することによって、簡単に対応することができる。
【0058】
<発明の変形可能性>
【0059】
以上説明した実施例では、無音区間に信号「1」を割り当てたが、信号「0」を割り当ててもよい。
【0060】
また、実施例では情報処理装置ごとに同一のデータベースを用意して、適宜その内容を追加することを説明したが、データベースそのものを適宜一斉に変更したり、ビットパターンとキャラクタの対応関係を適宜変更するようにしてもよい。これにより、秘匿性を更に高めることができる。
【0061】
更に、実施例では1ブロック当たりのビットパターンを640ビットとしたが、伝送路の混雑時には、単位時間当たりより多くのキャラクタを送信するためにビットパターンを短くすることも可能である。
【0062】
また、実施例では秘匿性を高めるためにデータの加工を行ったが、通信環境によっては、このようなデータ加工を必要としないことは当然である。
【0063】
更に、実施例では電話番号の伝送に本発明を使用したが、一般のデータ伝送にこれを使用して秘匿性の高い通信システムを構築することができることも当然である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施例におけるDTMF用コーデックを使用した電話システムの概要を表わしたシステム構成図である。
【図2】本実施例でユーザAの電話機の構成の概要を表わしたブロック図である。
【図3】本実施例のDTMFテーブルの内容を表わした説明図である。
【図4】本実施例でDTMF用コーデックのエンコーダ部分の制御を表わした流れ図である。
【図5】本実施例でDTMF波とそのスペクトル分析結果を示した波形図およびスペクトル分析特性図である。
【図6】図5(A)に示したDTMF波形の一部を拡大した波形図である。
【図7】エンコーダによるキャラクタごとのパターンの決定処理の様子を表わした流れ図である。
【図8】ユーザBにおけるデコーダの制御を表わした流れ図である。
【図9】本実施例におけるDTMF用コーデックを従来のものと比較した説明図である。
【図10】従来のDTMF用コーデックの一般的な回路構成を表わしたブロック図である。
【符号の説明】
【0065】
200 電話システム
201、202 電話機
203 情報処理装置
205 操作部
212 DTMF用コーデック
221 制御部
225 データ加工部
226 相関解析部
227 データベース
228 トーン解析部
231 エンコードデータ出力部
232 エンコードデータ入力部
251、254 DTMFデータ
252 エンコーダ
253 デコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字や記号からなるキャラクタのそれぞれに対応させて所定長のビットパターンを複数組ずつ互いにパターンの全体が重複しないように割り当てたキャラクタビットパターン対応データベースと、このキャラクタビットパターン対応データベースから自装置の符号化処理の対象となる全キャラクタに限定して、対応する全ビットパターンを読み出すビットパターン読出手段と、このビットパターン読出手段によって読み出した前記キャラクタのそれぞれに対応するビットパターンの中から、前記符号化処理の対象となる全キャラクタのそれぞれに対して最も相関の低いビットパターンをそれぞれのキャラクタに対して選択するキャラクタ別ビットパターン選択手段と、符号化処理の対象となるキャラクタが入力されるたびに前記キャラクタ別ビットパターン選択手段によって選択されたそのキャラクタについてのビットパターンを符号化処理されたビットパターンとして出力するキャラクタビットパターン変換手段とを備えたエンコーダと、
前記エンコーダから送られてくるビットパターンのそれぞれについて前記キャラクタビットパターン対応データベースに格納されているビットパターンと相関をとり、一番相関の高いキャラクタを判別するビットパターン別キャラクタ判別手段とを備えたデコーダ
とを具備することを特徴とするコーデック。
【請求項2】
前記エンコーダは、前記全キャラクタの相関の低さが保たれる予め定められたビット数で、前記キャラクタビットパターン変換手段によって変換されたキャラクタ別のビットパターンの一部を他のビットパターンに変更するデータ加工手段を具備することを特徴とする請求項1記載のコーデック。
【請求項3】
文字や記号からなるキャラクタのそれぞれに対応させて所定長のビットパターンを複数組ずつ互いにパターンの全体が重複しないように割り当てたエンコーダ側キャラクタビットパターン対応データベースと、このエンコーダ側キャラクタビットパターン対応データベースから自装置の符号化処理の対象となる全キャラクタに限定して、対応する全ビットパターンを読み出すビットパターン読出手段と、このビットパターン読出手段によって読み出した前記キャラクタのそれぞれに対応するビットパターンの中から、前記符号化処理の対象となる全キャラクタのそれぞれに対して最も相関の低いビットパターンをそれぞれのキャラクタに対して選択するキャラクタ別ビットパターン選択手段と、符号化処理の対象となるキャラクタが入力されるたびに前記キャラクタ別ビットパターン選択手段によって選択されたそのキャラクタについてのビットパターンを符号化処理されたビットパターンとして出力するキャラクタビットパターン変換手段とを備えたエンコーダと、
前記キャラクタを時間を置いて複数個入力するキャラクタ入力手段と、
このキャラクタ入力手段によって入力された各キャラクタを前記エンコーダによってエンコードしたものの間にキャラクタとキャラクタの間の区切りを示すコード情報を加えて送信するデータ送信手段
とを備えた送信側装置と、
この送信側装置から受信したデータを前記区切りを示すコード情報によってブロックに分割するブロック分割手段と、
前記エンコーダ側キャラクタビットパターン対応データベースと同一種類のキャラクタあるいはこれよりも少ない種類のキャラクタに対してそれぞれ同一内容のビットパターンを割り当てたデコーダ側キャラクタビットパターン対応データベースと、前記ブロックごとのビットパターンのそれぞれについてデコーダ側キャラクタビットパターン対応データベースに格納されているビットパターンと相関をとり、一番相関の高いキャラクタを判別するビットパターン別キャラクタ判別手段とを有するデコーダ
とを備えた受信側装置
とを具備することを特徴とするDTMF用通信システム。
【請求項4】
前記エンコーダは、前記全キャラクタの相関の低さが保たれる予め定められたビット数で、前記キャラクタビットパターン変換手段によって変換されたキャラクタ別のビットパターンの一部を他のビットパターンに変更するデータ加工手段を具備することを特徴とする請求項3記載のDTMF用通信システム。
【請求項5】
前記エンコーダ側キャラクタビットパターン対応データベースと前記デコーダ側キャラクタビットパターン対応データベースにおけるそれぞれのキャラクタに対応するビットパターンをエンコーダ側とデコーダ側で一斉に変更するデータベース変更手段を具備することを特徴とする請求項3記載のDTMF用通信システム。
【請求項6】
前記デコーダは、前記ビットパターン別キャラクタ判別手段の判別したそれぞれのキャラクタに対応させた周波数の組み合わせからなる和音を出力すると共にキャラクタとキャラクタの間を無音とする音情報出力手段を更に具備することを特徴とする請求項3記載のDTMF用通信システム。
【請求項7】
前記送信側装置は、前記エンコーダによってエンコードしたものの間にキャラクタとキャラクタの間の区切りを示すコード情報を加えたキャラクタデータに関する送信と音声をエンコードした音声データの送信を時間的に切り替えて行い、前記受信側装置はこれらキャラクタデータと音声データを切り替えてデコードすることを特徴とする請求項3〜請求項6記載のDTMF用通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−199104(P2008−199104A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−29409(P2007−29409)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】