説明

コードリールアセンブリおよび生体指標測定装置

【課題】製品コストの抑制に寄与することができるコードリールアセンブリを提供する。
【解決手段】リールドラム39の回転中心には案内部材51が固定されている。案内部材51には、リールドラム39の回転軸上に位置する第1開口52、および、この第1開口から離れた第2開口53が形成されている。コード26は、第1開口52および第2開口53を通過し、第1開口52および第1端26aの間でリールベース36に固定され、第2開口53および第2端26bの間でリールドラム39に固定され、リールドラム39に固定された位置49から第2端26bの側でリールドラム39に巻き回されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコードリールアセンブリおよび生体指標測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、掃除機または炊飯器のような電気機器には、外部の電源アウトレットに差し込まれるソケットが一端部に接続されたコードが巻き回されたコードリールアセンブリが内蔵されている。コードリールアセンブリは、回転可能に支持されたコードリールを有しており、コードの引き出しおよび巻き戻しが可能である。例えば特許文献1に開示されたコードリールアセンブリにおいては、ソケットが一端部に接続されているコードの他端部に可動接点が電気的に接続されている。可動接点はコードリールとともに回転する。電気機器に内蔵され電力が供給されるモータ、ヒータ、プロセッサ、その他の電気部品は、固定接点に電気的に接続されている。可動接点と固定接点は、摺動可能に常に接触しており、可動接点がコードリールとともに回転しても、電源アウトレットから電機部品への電力供給が維持される。
【0003】
しかし、このタイプのコードリールアセンブリでは、可動接点と固定接点の間の接触抵抗がコードリールの回転および電気機器の振動に伴って変化する。そのため、電気機器に内蔵され電力が供給される電気部品に与えられる電圧と電流が変化する。このことは、精密電子機器および電気信号を用いて測定を行う電気機器では、望ましくない。特に測定機器では、電気信号の電圧と電流の少なくとも一方が変化し、測定結果の信頼性の低下を招く。
【0004】
そこで、特許文献2の第3図および第4図に開示されたダミーコードと呼ばれるさらなるコードを持つコードリールアセンブリが提案された。このタイプのコードリールアセンブリはリールドラムを備える。リールドラムは、その回転軸に直交する平面に沿って広がる板材と、板材の表面側にある大径の第1ドラムと、板材の裏面側にある第1ドラムよりも小径の第2ドラムとを有する。板材と第1および第2のドラムは一緒に回転するリールドラムを構成する。板材にはコードが通る孔が形成されており、コードは板材の表面にて第1ドラムの周囲に巻き回され、板材の裏面にて第2ドラムの周囲に巻き回されている。
【0005】
板材の両方の面はカバーで覆われる。コードのうち第1ドラムに巻き回されている部分も、第2ドラムに巻き回されている部分もカバーから突出しており、両方の部分とも外部の電力供給源または電力が供給される電気部品に接続されるのが容易になっている。第1ドラムに巻き回されたコード部分については、巻き回しの外側部分がカバーから突出しており、かつ巻き回しの内側部分がリールドラムと相対回転不能に第1ドラムに巻き回されている。従って、第1ドラムの周囲に巻き回されたコード部分は、リールドラムとともに回転可能であって、カバーから伸縮可能(すなわち延び出しおよび巻き戻し可能)である。
【0006】
但し、第2ドラムの周囲に巻き回されたコード部分については、巻き回しの内側部分がリールドラムとは相対回転可能であって、その部分がカバーから突出している。従って、第2ドラムの周囲に巻き回されたコード部分は、カバーから伸縮不可能である。第2ドラムに巻き回されたコード部分がダミーコードと呼ばれる。第2ドラムの周囲に巻き回されたコード部分の巻き回しの外側部分は、第1ドラムの周囲に巻き回されたコード部分の巻き回しの内側部分に連なっており、リールドラムに固定され、リールドラムと相対回転不能である。
【0007】
第1ドラムに巻き回されたコード部分を引っ張ると、リールドラムが回転し、そのコード部分のカバーからの延び出しを許容する。同時に、第2ドラムに巻き回されたダミーコードの巻き回しがゆるむ。但し、ダミーコードのカバーから突出した部分は、リールドラムの回転にかかわらず、カバーに対して動かない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実公昭62−19321号公報
【特許文献2】実開平2−75475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2に記載のコードリールアセンブリでは、第1ドラムに巻き回されたコード部分の長さで伸縮可能な使用長さは決定される。第2ドラムに巻き回されたコード部分はコードの伸縮に寄与しない。その結果、コードには最大使用長さの2倍程度の長さが必要とされる。コードの長さが増大するほど、コードリールアセンブリの製品コストは増大する。
【0010】
そこで、本発明は、製品コストの抑制に寄与することができるコードリールアセンブリおよびこれを用いた生体指標測定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るコードリールアセンブリは、リールベースと、前記リールベースに回転自在に装着されるリールドラムと、前記リールドラムに固定され、前記リールドラムの回転軸上に位置する第1開口、および、この第1開口から離れた第2開口を有する案内部材と、第1端および第2端を有して前記第1開口および前記第2開口を通過し、前記第1開口および前記第1端の間で前記リールベースに固定され、前記第2開口および前記第2端の間で前記リールドラムに固定され、前記リールドラムに固定された位置から前記第2端側で前記リールドラムに巻き回されるコードとを備える。
本発明では、コードの第2端側の部分がリールベースに対して伸縮可能である。その部分がリールベースから引き出されると、リールドラムは回転軸回りで回転する。リールドラムが回転するにつれて案内部材の第2開口は第1開口回りで回転する。リールドラムの回転に伴う案内部材の第2開口の回転に伴って、コードのうちのリールドラムに固定された位置からリールベースに固定された位置までの部分の捻れが許容される。コードの第2端側の部分はスムースに限界までリールベースから引き出される。リールベースでは、コードのリールドラムに固定されている位置から案内部材の第2開口までリールドラムの半径線にほぼ沿ってコードは常に延びている。また、コードのリールベースに固定されている位置から案内部材の第1開口までリールドラムの半径線にほぼ沿ってコードは常に延びている。リールドラムの回転にかかわらず、コードのうちのリールドラムに固定された位置からリールベースに固定された位置までの部分までの長さは不変である。本発明によれば、従来のダミーコードを設ける場合に比べて、コードの長さは著しく短縮される。その結果、コードリールの製品コストは低減される。
【0012】
こういったコードリールでは、好ましくは、前記コードは、絶縁体で覆われる複数本の細線と、前記コードのうち前記リールドラムに巻き回される部分にて、前記細線を一括して収容するシースを備えており、前記細線は、前記コードが前記リールドラムに固定された前記位置から前記リールベースに固定された位置までは、前記シースに収容されずに露出している。
コードがリールドラムに固定されている位置とリールベースに固定されている位置との間では、細線が剥き出しであることから、シースで覆われる場合に比べて、コードは捻れやすい。コードの引き出しにあたって捻れの抵抗は抑制される。コードはスムースに限界まで引き出される。
【0013】
こういったコードリールは例えば生体指標測定装置で利用される。このような生体指標測定装置は、前記のコードリールと、プラットフォームを有しており、前記コードリールのリールベースが固定されている本体と、生体が把持する把持ユニットと、前記把持ユニットに組み込まれて前記コードの前記第2端に接続され、前記生体に電流を供給する電流電極と、前記把持ユニットに組み込まれて前記コードの前記第2端に接続され、前記生体に接触する電圧電極と、前記本体内に組み込まれて前記コードの前記第1端に接続され、前記電圧電極に与えられた電圧と前記電流に基づいて前記生体のインピーダンスを示すインピーダンス信号を生成するインピーダンス測定回路とを備える。つまり、把持ユニットと本体との間のコードを伸縮自在にするためにコードリールが利用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】電気製品および電子機器の一具体例すなわち体組成計を概略的に示す斜視図である。
【図2】把持ユニットが引き出された状態で体組成計を概略的に示す斜視図である。
【図3】体組成計の下面図である。
【図4】コードリールアセンブリの一実施形態を示す横断面図である。
【図5】図4のV-V線矢視断面図である。
【図6】コードリールアセンブリを示す斜視図である。
【図7】図6よりもコードが引き出された状態のコードリールアセンブリを示す斜視図である。
【図8】他の実施形態に係る体組成計を示す平面図である。
【図9】図8よりもコードが引き出された状態の体組成計を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
図1は電気製品および電子機器の一具体例に係る生体指標測定装置すなわち体組成計11を示す。体組成計11は平たい本体12を備える。本体12はプラットフォーム13を備える。
【0016】
プラットフォーム13は例えば水平な平坦面を有する。平坦面には左右1対の電流電極14a、14bと左右1対の電圧電極15a、15bとが設置される。電流電極14a、14bおよび電圧電極15a、15bは例えばステンレス鋼といった金属材料その他の導電材から形成される。
【0017】
体組成の測定にあたって体組成計11の利用者すなわち被験者はプラットフォーム13上で直立する。このとき、左足の足裏は左の電流電極14aおよび左の電圧電極15aに受け止められる。右足の足裏は右の電流電極14bおよび右の電圧電極15bに受け止められる。
【0018】
本体12はベース16を備える。ベース16は例えばステンレス鋼といった剛体物から形成される。ベース16は平面視でほぼ矩形に形作られる。矩形の四隅にはそれぞれ台足17が固定されている。図1には3つの台足17が図示される。ベース16は台足17で床面に支持される。台足17は、床面に直交する方向にベース16に対して変位することができる。こうした変位に基づき台足17の足裏とプラットフォーム13との距離は調整されうる。調整に応じてプラットフォーム13の水平姿勢は確立される。水平姿勢が確立されると、プラットフォーム13の平坦面は重力方向に直交する。台足17の変位は、例えば重力方向に軸心を有するねじ軸の働きで実現されればよい。
【0019】
本体12内にはロードセル(図示されず)が組み込まれる。ロードセルはプラットフォーム13に連結される。プラットフォーム13に与えられた荷重は、ロードセルで電気信号に変換される。プラットフォーム13上で利用者が直立すると、ロードセルは利用者の体重に応じて、重量値を示す電気信号を出力する。
【0020】
プラットフォーム13の前方で本体12には把持ユニット18が搭載される。把持ユニット18は本体12に着脱自在に支持される。把持ユニット18には例えばディスプレイパネル19が組み込まれる。ディスプレイパネル19のスクリーンは把持ユニット18の表面で露出する。ディスプレイパネル19のスクリーンには様々な情報が表示される。情報には例えば体重や体脂肪率、筋肉量、体水分量、基礎代謝量、骨量、内臓脂肪レベル、体内年齢といった生体情報が含まれるが、少なくともいずれか1つが含まれればよい。
【0021】
把持ユニット18には入力装置21が組み込まれる。入力装置21は例えばタッチボタン21aを備える。タッチボタン21aは把持ユニット18の表面に配置される。タッチボタン21aの操作に応じて様々な電気信号が出力される。電気信号には例えば利用者の指示や入力データが記述される。
【0022】
図2に示されるように、把持ユニット18は左右1対の握り22を備える。個々の握り22には電流電極23a、23bと電圧電極24a、24bとがそれぞれ設置される。電流電極23a、23bおよび電圧電極24a、24bは例えばステンレス鋼といった金属材料その他の導電材から形成される。体組成の測定にあたって体組成計11の利用者は左右の握り22を握る。左手の手のひらは左の握り22上で電流電極23aおよび電圧電極24aに接触する。右手の手のひらは右の握り22上で電流電極23bおよび電圧電極24bに接触する。
【0023】
把持ユニット18と本体12とはコード26で相互に接続される。後述のコードリールアセンブリの働きで把持ユニット18と本体12との間でコード26の長さは変更される。体組成の測定時、把持ユニット18は本体12から引き離される。体組成の測定が終了すると、把持ユニット18は本体12上の所定位置に収納される。コード26は本体12内に強制的に引き込まれる。したがって、体組成計11の利用者はコード26の収納作業から解放され、煩わしさは解消される。
【0024】
図3に示されるように、コード26は両端すなわち第1端26aおよび第2端26bを有する。コード26の第1端26aには第1コネクター31が結合されている。第1コネクター31は本体12内で基板32に接続されている。基板32は、前述のプラットフォーム13上の電流電極14a、14bおよび電圧電極15a、15bに電気的に接続されている。第1端26aおよび第2端26bの間において、コード26はコードリールアセンブリ35を通っている。
【0025】
本体12内の基板32には、重量測定回路(図示せず)が形成されている。重量測定回路には前述のロードセルの電気信号が供給される。供給される電気信号に基づき重量測定回路はプラットフォーム13に加わる重量値を特定する。
【0026】
コード26の第2端26bには第2コネクター33が結合されている。第2コネクター33は把持ユニット18内で基板34に接続されている。基板34は、前述の把持ユニット18の電流電極23a、23bおよび電圧電極24a、24bに電気的に接続されている。
【0027】
本体12内の基板32には、インピーダンス測定回路(図示せず)が形成されている。インピーダンス測定回路は、プラットフォーム13上の電流電極14a、14bおよび電圧電極15a、15bと電気的に接続され、さらに、把持ユニット18にある電流電極23a、23bおよび電圧電極24a、24bに基板34とコード26を通じて電気的に接続されている。
【0028】
他の実施の形態として、把持ユニット18内の基板34にインピーダンス測定回路を形成してもよい。この場合、インピーダンス測定回路は、把持ユニット18にある電流電極23a、23bおよび電圧電極24a、24bに電気的に接続され、さらに、プラットフォーム13上の電流電極14a、14bおよび電圧電極15a、15bに基板32とコード26を通じて電気的に接続されている。
【0029】
インピーダンス測定回路は、電流電極14a、14b、23a、23bのうち選択されたいずれか1対の電流電極によって、生体すなわち利用者に所定の周波数の交流電流を供給する。すなわち、電流電極14a、14b、23a、23bのいずれか1対および生体を通じて電流経路が形成される。生体の様々な部位のインピーダンスを測定するため、選択される電流電極の対を変更しながら、電流供給を繰り返してもよい。
【0030】
インピーダンス測定回路は、交流電流の供給に応じて1対の電圧電極15a、15b、24a、24bのうち選択されたいずれか1対の電圧電極を用いて生体の電圧を測定する。生体の様々な部位のインピーダンスを測定するため、選択される電圧電極の対を変更しながら、電圧測定を繰り返してもよい。電流値および電圧値に基づきインピーダンス値が算出される。インピーダンス測定回路は、インピーダンス値を示す測定値データすなわちインピーダンス信号を生成する。
【0031】
把持ユニット18内の基板34には、生体指標演算処理回路(図示せず)が形成されている。生体指標演算処理回路は、基板34とコード26を通じて本体12内の基板32の重量測定回路と電気的に接続され、インピーダンス測定回路とも電気的に接続されている。インピーダンス測定回路が本体12内の基板32にある場合には、生体指標演算処理回路とインピーダンス測定回路は、コード26を通じて接続される。
【0032】
生体指標演算処理回路は、重量測定回路で特定される体重値およびインピーダンス測定回路で算出されるインピーダンス値に基づき生体情報を算出する。算出される生体指標としては、生体の体組成に関する指標が含まれる。体組成に関する指標としては、皮下脂肪厚、腹筋厚、皮下脂肪面積、内臓脂肪面積、腹部全脂肪面積、体幹部脂肪率および全身脂肪率が挙げられる。算出方法は例えばコンピュータプログラムに設定される。
【0033】
コードリールアセンブリ35は、リールドラムのケースであるリールベース36を備える。リールベース36は例えば透明な樹脂材から成型される。リールベース36は円板部36aを備える。図4および図5に示されるように、円板部36aの中心には、円柱形の支柱37が円板部36aと同心に形成されている。円板部36aの外縁には円環状の外郭壁38が形成されている。支柱37と外郭壁38との間には収容空間が区画される。
【0034】
リールベース36の支柱37には、リールドラム39が軸心回りに回転自在に装着される。リールドラム39は、円板形の支持板41と、軸受け42と、第1の円環壁43と、第1の円環壁43より小径の第2の円環壁45とを備える。軸受け42と、第1の円環壁43と、第2の円環壁45は、同心に配置され、支持板41と一体に成型されている。軸受け42に支柱37が受け入れられる。
【0035】
さらにリールドラム39は抑え板47を備え、抑え板47は第3の円環壁47aと円形壁47bを有する。第1の円環壁43は、抑え板47の第3の円環壁47aに嵌め込まれて固定されている。第3の円環壁47aの周囲にコード26は巻き回される。
【0036】
抑え板47の円形壁47bは支持板41に平行に広がる。第3の円環壁47aの半径方向外側では、コード26は抑え板47の円形壁47bおよび支持板41の間に挟み込まれる。円形壁47bおよび支持板41は例えばコード26の1本分よりやや大きい間隔で向き合わせられる。したがって、コード26は抑え板47および支持板41の間で螺旋状に巻き回される。
【0037】
図6に示すように、リールベース36の外郭壁38には切り欠き62が形成されている。巻き回されたコード26は、この切り欠き62から引き出されうる。
【0038】
リールベース36の外郭壁38の外周面には、円板部36aの中心を中心とする所定の角度範囲おきにフック片55が固定されている。図4および図6に示されるように、フック片55には、フック爪55aが形成されている。フック爪55aとリールベース36の円板部36aとの間に、リールドラム39は配置され、フック爪55aはリールドラム39の脱落を防止する。フック片55は、コードリールアセンブリ35の外側方向に向かって弾性変形することができる。その結果、リールドラム39はリールベース36から取り外される。
【0039】
図4および図5に示されるように、リールドラム39の第2の円環壁45と軸受け42は、ばね室44を区画する。ばね室44には、ゼンマイばね46が収容される。ゼンマイばね46の内側端は支柱37に固定されている。ゼンマイばね46の外側端は第2の円環壁45に固定されている。ゼンマイばね46は弾性力によってリールドラム39に回転力を加える。ゼンマイばね46の弾性力は、強制的にリールドラム39にコード26を巻き取る。
【0040】
リールドラム39の支持板41には、第1の円環壁43よりやや外側に、貫通する開口48が形成される。開口48にコード26は進入する。図4および図6に示されるように、支持板41の表側から裏側にコード26は開口48から引き出される。支持板41の裏面には突起49群が形成される。突起49同士の間隔は1本のコード26の太さよりもやや狭く設定される。コード26は突起49同士の間に嵌め込まれる。こうしてコード26はリールドラム39に固定されている。コード26の固定にあたって例えばクリップその他の手段が用いられてもよい。リールドラム39に固定された位置から第2端26b側でコード26はリールドラム39に巻き回されている。
【0041】
支持板41の裏面には案内部材51が取り付けられる。この案内部材51は筒形に形成されており、リールドラム39の回転軸と同心である。案内部材51には、第1開口52および第2開口53が形成されている。第1開口52はリールドラム39の回転軸上に位置する。第2開口53は、リールドラム39の回転軸から半径方向外側に突起49群に向かって延びる仮想直線上に位置する。このように第2開口53は第1開口52から離れている。
【0042】
図6に示されるように、リールベース36の外郭壁38の外側には、支持片54が取り付けられる。支持片54は、例えば外郭壁38に一体化されていてもよい。支持板41の裏面において、開口48から引き出されたコード26は、第2開口53から案内部材51の内側に進入する。コード26は案内部材51の内側から第1開口52経由で引き出される。コード26は第1開口52から支持片54に至る。コード26は支持片54に掛け止めすなわち固定されている。こうしてコード26は、第1開口52および第1端26aの間でリールベース36に固定されている。
【0043】
第1開口52は、案内部材51の高さの分、リールドラム39の支持板41から離れている。リールベース36の外郭壁38には支持片54の付近にリム60が突出している。支持片54の裏面側では、第1開口52の口縁とリム60の間にコード26は渡されており、この部分では、コード26はリールドラム39の支持板41から離れている。その結果、リールドラム39の回転時、突起49群や、コード26のうち突起49群から第2開口53まで延びる部分は、コード26のうち第1開口52および支持片54の間の部分をくぐり抜けることができる。
【0044】
コード26は複数本の細線56を備える。細線56は導電性の芯材を備える。芯材は例えば銅といった金属材料から形成されている。芯材は絶縁体で覆われる。こうして細線56同士は電気的に相互に絶縁される。
【0045】
コード26はシース57を備える。シース57は例えば可撓性の絶縁性材料から形成されている。絶縁性材料には例えば樹脂材が用いられる。シース57は、細線56を一括して収容する機能を有する。すなわち、シース57は、細線56を束ねる機能を有する。ここでは、コード26がリールドラム39に固定された位置(突起49群に嵌め込まれた位置)から第2端26bの付近まで、シース57は延びる。つまり、シース57は、コード26のうちリールドラム39に巻き回される部分にて、細線56を一括して被覆する。
【0046】
その一方で、コード26が突起49群に嵌め込まれた位置から支持片54に連結される位置までは、シース57は省略される。この区間では細線56は剥き出し状態である。図6および図7に示されるように、さらに第1端26aまで細線56を露出させてもよい。
【0047】
第1および第2コネクター31、33には個々の細線56ごとに接続端子が埋め込まれる。細線56は個別に接続端子に電気的に接続される。
【0048】
いま、体組成計11で本体12から把持ユニット18が引き離される場面を想定する。コード26の第2端26b側の部分は、リールベース36の切り欠き62から引き出される。これに伴いリールドラム39は支柱37回りで回転する(図6および図7の矢印方向)。
【0049】
このとき、図6および図7から明らかなように、リールドラム39が回転するにつれて、案内部材51の第2開口53は第1開口52回りで回転し、リールドラム39に固定されている位置(突起49群)とリールベース36に固定されている位置(支持片54)との間でコード26の捻れが許容される。コード26の第2端26b側の部分をリールベース36の切り欠き62から引き出せば引き出す程、この部分の捻れは大きくなる。特に、リールドラム39に固定されている位置とリールベース36に固定されている位置との間では細線56が剥き出し状態に維持されることから、厚膜のシース57で覆われる場合に比べて、コード26は捻れやすい。コード26はスムースに限界まで引き出される。
【0050】
コード26を引き出す力を解除すると、コード26は前述のゼンマイばね46によって、初期の状態に復帰する。
【0051】
図6および図7から明らかなように、コード26の引き出しにかかわらず、コードリールアセンブリ35では、リールドラム39に固定されている位置(突起49群)から第2開口53までリールドラム39の半径線にほぼ沿ってコード26が延びている。また、コード26の引き出しにかかわらず、第1開口52から、リールベース36に固定されている位置(支持片54)までリールドラム39の半径線にほぼ沿ってコード26が常に延びている。コード26の引き出しすなわちリールドラム39の回転にかかわらず、コード26のうちのリールドラム39に固定された位置からリールベース36に固定された位置までの部分までの長さは不変である。この実施形態によれば、従来のダミーコードを設ける場合に比べて、コードリールアセンブリ35のコード26の長さは著しく短縮される。その結果、コードリールアセンブリ35の製品コストは低減される。
【0052】
また、この実施の形態では、図6および図7に示される支持板41の裏側に関しては、コード26を覆うカバーまたはハウジングは設けられていない。こちら側では、コード26の引き出しすなわちリールドラム39の回転にかかわらず、コード26のうちのリールドラム39に固定された位置からリールベース36に固定された位置までの部分までの長さは不変であり、コードが弛むおそれがないためである。ダミーコードを設ける従来の技術では、ダミーコードを巻き回すときに、ダミーコードを抑制するカバーが設けられていたため、カバーの製造コストがかかっていた。しかし、この実施形態によれば、コードリールアセンブリ35の製品コストは低減される。
【0053】
以上のようなコードリールアセンブリ35は、前述の体組成計11といった生体指標測定装置に適用されるだけでなく、様々な家電製品で利用される。
【0054】
図8および図9は、他の実施形態に係る体組成計101を示す。図8および図9において、前述の実施形態と共通する構成要素を示すために、同一の符号が使用されている。それらの構成要素については詳細には説明しない。この体組成計101は、左右1対の握り122a、122bを備える。握り122a、122bには、それぞれ電極123a、123bが設けられている。詳細には図示しないが、電極123a、123bの各々には、電流電極と電圧電極が設けられている。被験者は、左右の手のひらがそれぞれ電極123a、123bに接触するように、握り122a、122bを握る。
【0055】
図8および図9に示されるように、本体12の内部には、基板132が配置されている。基板132にはインピーダンス測定回路が形成されている。インピーダンス測定回路は、プラットフォーム13上の電流電極14a、14bおよび電圧電極15a、15bと電気的に接続され、さらに、握り122a、122bにある電極123a、123bとコード26を通じて電気的に接続されている。基板132には、前述と同様の生体指標演算処理回路(図示せず)も形成されている。コード26の第1端26aには、本体12内の基板132が接続されている。コード26の第2端26bには、握り122aまたは122bの電極123aまたは123bが接続されている。第1端26aおよび第2端26bの間において、コード26はコードリールアセンブリ35を通っている。
【0056】
コードリールアセンブリ35の働きで握り122a、122bの各々と本体12との間でコード26の長さは変更されうる。体組成の測定時、握り122a、122bの各々は本体12から引き離される。体組成の測定が終了すると、握り122a、122bは本体12上の所定位置に収納され、コード26はコードリールアセンブリ35内に強制的に引き込まれる。したがって、体組成計101の利用者はコード26の収納作業から解放され、煩わしさは解消される。
【符号の説明】
【0057】
11,101 体組成計(生体指標測定装置)、12 本体、13 プラットフォーム、18 把持ユニット、23a 電流電極、23b 電流電極、24a 電圧電極、24b 電圧電極、26 コード、26a 第1端、26b 第2端、32,132 インピーダンス測定回路を有する基板、35 コードリールアセンブリ、36 リールベース、39 リールドラム、51 案内部材、52 第1開口、53 第2開口、56 細線、57 シース。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リールベースと、
前記リールベースに回転自在に装着されるリールドラムと、
前記リールドラムに固定され、前記リールドラムの回転軸上に位置する第1開口、および、この第1開口から離れた第2開口を有する案内部材と、
第1端および第2端を有して前記第1開口および前記第2開口を通過し、前記第1開口および前記第1端の間で前記リールベースに固定され、前記第2開口および前記第2端の間で前記リールドラムに固定され、前記リールドラムに固定された位置から前記第2端側で前記リールドラムに巻き回されるコードと
を備えることを特徴とするコードリールアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のコードリールアセンブリにおいて、
前記コードは、
絶縁体で覆われる複数本の細線と、
前記コードのうち前記リールドラムに巻き回される部分にて、前記細線を一括して収容するシースを備えており、
前記細線は、前記コードが前記リールドラムに固定された前記位置から前記リールベースに固定された位置までは、前記シースに収容されずに露出している
ことを特徴とするコードリールアセンブリ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコードリールアセンブリにおいて、
前記コードの前記第2端側の部分が前記リールベースから引き出されるときに、前記リールドラムが前記リールベースに対して回転し、前記リールドラムの回転に伴い、前記コードのうち、前記リールドラムに固定された前記位置から前記リールベースに固定された位置までの部分が捻られる
ことを特徴とするコードリールアセンブリ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコードリールアセンブリと、
プラットフォームを有しており、前記コードリールアセンブリのリールベースが固定されている本体と、
生体が把持する把持ユニットと、
前記把持ユニットに組み込まれて前記コードの前記第2端に接続され、前記生体に電流を供給する電流電極と、
前記把持ユニットに組み込まれて前記コードの前記第2端に接続され、前記生体に接触する電圧電極と、
前記本体内に組み込まれて前記コードの前記第1端に接続され、前記電圧電極に与えられた電圧と前記電流に基づいて前記生体のインピーダンスを示すインピーダンス信号を生成するインピーダンス測定回路と
を備えることを特徴とする生体指標測定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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