説明

コーナー連結具

【課題】レール枠や鴨居或いは敷居と云った長尺部材同士を簡単に見栄えよく直角に連結することができるのに加え、左右の長尺部材の形状が異なっていても、或いは長尺部材に設けるレール部材の本数が異なっていても簡単な端部加工で対応でき、少ない部品点数で多くの形状組み合わせに対応可能な長尺部材用のコーナー連結具を提供する。
【解決手段】区画用間仕切り部材Dのガイド用のレール部材を取着する軸方向溝mが形成された一対の長尺部材L同士を直角に連結するコーナー連結具10であって、長尺部材Lとの連結面12aにおいて該長尺部材Lの軸方向溝mに連続する掘込溝14がその一面にL形に凹設された方形板状の本体12と、長尺部材Lとの連結面12aから長尺部材Lの側面Laと軸方向溝mを構成する凸条畝部uの表面Lbとを覆い、凸条畝部uを方形板状の本体12の連結面12aに接続するL形係止片部16とで構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レール枠や鴨居或いは敷居と云った長尺部材の端部同士を直角に連結するコーナー連結具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リビングの一角に小部屋を設けたり洋室の一部に畳コーナーを設置する場合など、角部に柱を設けない構造の開放された部屋を設置する際には、部屋を区画するために間仕切りや引戸が設けられている。このように間仕切りや引戸で部屋を区画する場合、その角部において、左右から突き合わされるレール枠や鴨居或いは敷居などの長尺部材の端部仕口に加工を施して直角に連結施工することとなる。その場合、一般的な留め加工や突き付け加工もされるが、レール枠や鴨居或いは敷居内に設けられたレール溝の端部同士が互いに連通可能となるようにして直角に連結施工することも多い。
【0003】
ここで、左右から突き合わされるレール枠や鴨居或いは敷居などの形状が等しい場合には、レール枠やレール溝の端部同士が互いに連通可能となるようにして連結施工するのに差ほど手間はかからない。しかしながら、間仕切りや引戸の枚数が左右で異なる場合や、引違いや片引きなどと云った間仕切りや引戸の形態が左右で異なる場合には、左右から突き合わされるレール枠や鴨居或いは敷居と云った長尺部材のそれぞれが必ずしも同じ形状とはならず、このような場合には、仕口加工に更に手間がかかることとなる。例えば特許文献1には、互いに異なる列数の引戸溝を設けている敷居や鴨居の当該引戸溝を直角に連結施工できる水平構造材(長尺部材)として、互いに連結される端面を斜切し、引戸溝の外側縁を直角に連結できる位置に配置すると共に、引戸溝の内側縁に切除部を設けて互いに連結される引戸溝同士を直角に連結する水平構造材が提案されているが、端面の斜切する傾斜面は45度ではなく左右の鴨居・敷居の幅に合わせる必要があり、また切除部も対応する溝本数にあわせて個別に設ける必要があるため、施工に手間がかかるという問題があった。
【0004】
これに対し、特許文献2のように、「コーナー部に合わせた平面形状を持つコーナー前面板およびコーナー背面板と、コーナー前面板およびコーナー背面板をそれぞれの入隅端縁にて架橋するコーナー内側面板とを備え、コーナー前面板およびコーナー背面板の間に形成されている差込口に長尺部材の端部が差込可能となっており、差し込まれた長尺部材の端部前面をコーナー前面板が覆い、端部内側面をコーナー内側面板が覆い、また、コーナー前面板の出隅端縁よりもコーナー背面板の出隅端縁が外方に突出しており、このコーナー背面板の突出板部にてネジ止め可能となっている」コーナー部材を用いれば、長尺部材同士の連結施工を簡単に行うことができるようになる。
【0005】
しかしながら、先述のように左右に連結される長尺部材は必ずしも同じ形状ではなく、数多くの組み合わせパターンが存在する。このためコーナー部材として数多くの組み合わせパターンに対応可能な多数種類のものを準備しておく必要があり、コーナー部材の製造や在庫の管理等が煩雑になると云う問題があった。また、このようなコーナー部材では左右に連結したレール枠やレール溝を互いに連通させることはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−311053号公報
【特許文献2】特開2007−56588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえに、本発明の主たる課題は、レール枠や鴨居或いは敷居と云った長尺部材同士を簡単に見栄えよく直角に連結することができるのに加え、左右の長尺部材の形状が異なっていても、或いは長尺部材に設けるレール部材の本数が異なっていても簡単な端部加工で対応でき、少ない部品点数で多くの形状組み合わせに対応可能な長尺部材用のコーナー連結具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
「請求項1」に記載した発明は、
(a)区画用間仕切り部材Dのガイド用のレール部材(図示せず)を取着する軸方向溝mが形成された一対の長尺部材L同士を直角に連結するコーナー連結具10であって、
(b)前記長尺部材Lとの連結面12aにおいて該長尺部材Lの軸方向溝mに連続する掘込溝14がその一面にL形に凹設された方形板状の本体12と、
(c)前記長尺部材Lとの連結面12aから前記長尺部材Lの側面Laと軸方向溝mを構成する凸条畝部uの表面Lbとを覆い、前記凸条畝部uを方形板状の本体12の連結面12aに接続するL形係止片部16とで構成されていることを特徴とする
(d)コーナー連結具10、である。
【0009】
「請求項2」に記載した発明は、請求項1に記載のコーナー連結具10において、「前記L形係止片部16の長尺部材Lの側面Laを覆う出隅側鍔16aから、該出隅側鍔16aに連なる本体12の出隅d側外面の全長に亘って出隅側鍔16aの反対方向に板状に延出した垂直鍔18が設けられている」ことを特徴とする。
【0010】
「請求項3」に記載した発明は、請求項1又は2に記載のコーナー連結具10において、「本体12の連結面12aに前記長尺部材Lを連接した時に長尺部材Lの軸方向溝mより掘込溝14の方が幅広の場合、掘込溝14に沿って配設され、掘込溝14と軸方向溝mとの溝幅差Wを埋める埋め部材20をさらに備える」ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、長尺部材の端部を略直角にカットして該端部を本体の連結面に当接させるだけで左右の長尺部材を直角に連結できるため、現場での加工手間がかからず、誰でも簡単にコーナー部分を形成することができる。特に長尺部材が鴨居の場合には、L形係止片部で長尺部材の端部を支えることができ、安全且つスピーディーに施工することができる。また、連結面に当接させた長尺部材の端部は、L形係止片部で覆われるようになるため、長尺部材端部の加工にバラツキがあった場合でも当該端部をすっきり綺麗に納めることができ、コーナー部分を見栄え良く仕上げることができる。さらに、本体には掘込溝が設けられているので、長尺部材の軸方向溝に設けられたレール部材を本体内部の適当な箇所まで挿入可能となり、間仕切りや引戸などの区画用間仕切り部材の移動距離をより長く取れてより広い開口が可能となると共に収まりが良くなる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明によれば、垂直鍔によって、長尺部材に取り付けられ且つ掘込溝に延設されたレール部材の木口及び側面を隠すことができ、コーナー連結具を用いて構成したコーナー部分をスッキリと美観よく纏めることができる。
【0013】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、埋め部材を用いることで掘込溝と軸方向溝との溝幅差を埋めることができ、それゆえ左右の長尺部材それぞれに設けられたレール部材の本数が少ない場合やその数が左右で異なる場合であってもレール部材が安定して区画用間仕切り部材の開閉がスムーズになると共に、コーナー部分をより一層スッキリと美観よく纏めることができる。
【0014】
したがって、本発明によれば、レール枠や鴨居或いは敷居と云った長尺部材同士を簡単に見栄えよく直角に連結することができるのに加え、左右の長尺部材の形状が異なっていても、或いは長尺部材に設けるレール部材の本数が異なっていても簡単な端部加工で対応でき、少ない部品点数で多くの形状組み合わせに対応可能な長尺部材用のコーナー連結具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のコーナー連結具の使用態様の一例を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施例のコーナー連結具を示す斜視図である。
【図3】本発明の他の実施例のコーナー連結具(埋め部材使用)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を図示実施例に従って説明する。図1は、本発明の長尺部材L用のコーナー連結具10の使用態様の一例を示す説明図である。本発明のコーナー連結具10は、リビング等の居室Rの一角に畳コーナーTを設ける場合などのように、角部に柱を設けない構造の開放された部屋を設置する際、当該部屋を区画する引戸や間仕切り等の区画用間仕切り部材Dを取り付けるために設置される鴨居L1や敷居L2と云った長尺部材Lの端部同士を直角に連結するためのものである。
【0017】
ここで、本発明のコーナー連結具10で連結される長尺部材Lは、その表面に軸方向に延びる軸方向溝mが凹設されている。このため、この軸方向溝mの両側には凸条畝部uが形成されている。そして、この軸方向溝mには、区画用間仕切り部材Dの移動をガイドするためのレールやレール溝などのレール部材(図示せず)が必要数取り付けられている。
【0018】
なお、図1に示す例では、鴨居L1の連結のみに本発明のコーナー連結具10を用いているが、敷居L2同士の連結にも当然に用いることができる。
【0019】
図2は、本発明の一実施例(第1実施例)のコーナー連結具10を示す斜視図である。この図が示すように、本発明のコーナー連結具10は、大略、方形板状の本体12,掘込溝14及びL形係止片部16で構成されている。
【0020】
方形板状の本体12は、ABS、PP、PVC等の合成樹脂材料や木質材料、或いはアルミニウム、鉄、銅等の金属材料で構成されており、隣接する一対の側面は長尺部材Lの端面が連結される連結面12aとなっている。
【0021】
また、本体12を天井面や床面に設置した際にその表面側となる一面には、長尺部材Lとの連結面12aにおいて該長尺部材Lの軸方向溝mに連続する掘込溝14がL形に凹設されている。
【0022】
この掘込溝14は、長尺部材Lの軸方向溝mに取り付けられたレール部材(図示せず)などを延伸して挿入するためのものである。従って、係る掘込部14を設けることにより、区画用間仕切り部材Dの移動距離をより長く取ることができ、その結果、より広い開口が可能となると共に収まりを良くすることができる。また、掘込部14の内部にて左右から延設したレール部材同士が互いに連通するように接続すると共に、区画用間仕切り部材Dがその端面に取り付けられたコロや滑車(図示せず)を介してレール部材を移動できるようにすれば、区画用間仕切り部材Dの全てを一方のレール部材側へと集約させることもできるようになる。
【0023】
そして、この本体12の連結面12aの外縁には、長尺部材Lを連結面12aに連結した際に、該長尺部材L端部の側面Laと軸方向溝mを構成する凸条畝部u端部の表面Lbとを覆い、凸条畝部uを方形板状の本体12の連結面12aに接続するL形係止片部16が設けられている。
【0024】
なお、本実施例のコーナー連結具10では、L形係止片部16の長尺部材Lの側面Laを覆う出隅側鍔16aから、該出隅側鍔16aに連なる本体12の出隅d側外面の全長に亘って出隅側鍔16aの反対方向に板状に延出した垂直鍔18が設けられている。このような垂直鍔18を設けることにより、長尺部材Lに取り付けられ且つ掘込溝14に延設されたレール部材(図示せず)の木口及び側面を隠すことができ、コーナー連結具10を用いて構成したコーナー部分をスッキリと美観よく纏めることができる。ただし、コーナー連結具10を敷居L2の連結に用いる場合には、このような垂直鍔18を設けないのが好ましい。なぜなら、このような垂直鍔18が床面上に段差となって現れ、特に老人や子供がこの垂直鍔18に引っ掛かって転倒すると云った不安全な状態になると共に、垂直鍔18自体も人が引っ掛かることによって破損し易くなるからである。
【0025】
また、図2に示す実施例では、本体12が正面視正方形状の板材で構成されると共に、コーナー連結具10全体がシンメトリックな形状となるように形成されているが、コーナー連結具10の形状は、左右の長尺部材Lを直角に連結でき得るものであれば、これに限定されるものではなく、例えば本体12や掘込溝14の形状が矩形(長方形)となるようにしてもよい。
【0026】
また、コーナー連結具10には、長尺部材Lの色に合わせて色付けしたり、化粧シート等を貼着して意匠性を向上させるようにしても良い。
【0027】
さらに、図2に示す例のように、長尺部材Lから延伸して掘込溝14に挿入されるレール部材の形状(例えば、左右に凸条ができるような形状)に合わせ、掘込溝14の入口周縁部の肉を切り欠いて段部22を設けるようにしてもよい。このような段部22を設けることによってレール部材を美観よく納めることができるようになる。
【0028】
次に、以上のように構成されたコーナー連結具10を用いて鴨居L1を施工する際には、天井面の所定位置にネジ或いは接着剤などの固定手段でコーナー連結具10を固定した後、該コーナー連結具10における本体12の連結面12aに鴨居L1となる長尺部材Lの端面を連結するようにしても良いし、先にコーナー連結具10における本体12の連結面12aに長尺部材Lの端面を連結した後、これらを天井面の所定位置に固定するようにしても良い。
【0029】
本実施例のコーナー連結具10によれば、長尺部材Lの端部を略直角にカットして該端部を本体12の連結面12aに当接させるだけで左右の長尺部材Lを直角に連結できるため、現場での加工手間がかからず、誰でも簡単にコーナー部分を形成することができる。特に長尺部材Lが鴨居L1の場合には、L形係止片部16で長尺部材Lの端部を支えることができ、安全且つスピーディーに施工することができる。また、連結面12aに当接させた長尺部材Lの端部は、L形係止片部16で覆われるようになるため、長尺部材L端部の加工にバラツキがあった場合でも当該端部をすっきり綺麗に納めることができ、コーナー部分を見栄え良く仕上げることができる。さらに、本体12には掘込溝14が設けられているので、長尺部材Lの軸方向溝mに設けられたレール部材(図示せず)を本体12内部の適当な箇所まで挿入可能となり、区画用間仕切り部材Dの移動距離をより長く取れてより広い開口が可能となると共にこれらの収まりが良くなる。
【0030】
次に、図3に示す第2実施例について説明する。上述した第1実施例と異なる部分は、掘込溝14内に埋め部材20が取り付けられる点である。なお、これら以外の部分は前記第1実施例と同じであるので、前記第1実施例の説明を援用して本実施例の説明に代える。
【0031】
埋め部材20は、本体12の連結面12aに長尺部材Lを連接した時に長尺部材Lの軸方向溝mより掘込溝14の方が幅広の場合、掘込溝14に沿って配設され、掘込溝14と軸方向溝mとの溝幅差Wを埋めるためのものである。
【0032】
この埋め部材20は、コーナー連結具10と同様に、ABS、PP、PVC等の合成樹脂材料や木質材料、或いはアルミニウム、鉄、銅等の金属材料で構成されており、所定の幅及び長さにて掘込溝14の内部空間を埋める本体部20aと、この本体部20aで掘込溝14を埋めた際にL形係止片部16の水平鍔16bと連接一体化される鍔部20bとを有する。なお、埋め部材20は、コーナー連結具10と同じ材質でもよいし、異なっていてもよい。
【0033】
この埋め部材20は、コーナー連結具10の掘込溝14に挿入されるレール部材の本数に応じて、施工現場で取り付けるようにしてもよいが、予め掘込溝14に取着させておけば、現場での施工性をより一層向上させることができる。
【0034】
本実施例のコーナー連結具10によれば、上述のような埋め部材20を用いることで掘込溝14と軸方向溝mとの溝幅差Wを埋めることができ、それゆえ左右の長尺部材Lそれぞれに設けられたレール部材の本数が少ない場合やその数が左右で異なる場合であってもレール部材が安定して区画用間仕切り部材Dの開閉がスムーズになると共に、コーナー部分をより一層スッキリと美観よく纏めることができる。
【符号の説明】
【0035】
10…コーナー連結具
12…本体
12a…連結面
14…掘込溝
16…L形係止片部
18…垂直鍔
20…埋め部材
L…長尺部材
m…軸方向溝
u…凸条畝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
区画用間仕切り部材のガイド用のレール部材を取着する軸方向溝が形成された一対の長尺部材同士を直角に連結するコーナー連結具であって、
前記長尺部材との連結面において該長尺部材の軸方向溝に連続する掘込溝がその一面にL形に凹設された方形板状の本体と、
前記長尺部材との連結面から前記長尺部材の側面と軸方向溝を構成する凸条畝部の表面とを覆い、前記凸条畝部を方形板状の本体の連結面に接続するL形係止片部とで構成されていることを特徴とするコーナー連結具。
【請求項2】
前記L形係止片部の前記長尺部材の側面を覆う出隅側鍔から、該出隅側鍔に連なる前記本体の出隅側外面の全長に亘って前記出隅側鍔の反対方向に板状に延出した垂直鍔が設けられていることを特徴とする請求項1記載のコーナー連結具。
【請求項3】
前記本体の連結面に前記長尺部材を連接した時に前記長尺部材の軸方向溝より前記掘込溝の方が幅広の場合、前記掘込溝に沿って配設され、前記掘込溝と前記軸方向溝との溝幅差を埋める埋め部材をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のコーナー連結具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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