説明

コーミングノイズ検出装置、コーミングノイズ検出方法

【課題】コーミングノイズの誤検出を低減すること。
【解決手段】第1の平坦検出部20は、トップフィールドに含まれる2つの画素データG1,G3の平坦性を検出し、検出信号Ktを出力する。第2の平坦検出部21は、ボトムフィールドに含まれる2つの画素データG2,G4の平坦性を検出し、検出信号Kbを出力する。画素データG1〜G4は、トップフィールドとボトムフィールドにより構成される1つのフレームにおいて上下方向(垂直方向)に連続する画素データである。エッジ検出部22は、画素データG1〜G4におけるエッジを検出し、検出信号Keを出力する。ノイズ検出部23は、各検出部20〜22の検出信号Kt,Kb,Keに基づいてコーミングノイズの有無を検出し、検出信号Kcを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
コーミングノイズ検出装置、コーミングノイズ検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体(例えばDVD−Video)から読み出された画像データは、ディスプレイ(例えばブラウン管)に表示される。記録媒体には、24フレームのプログレッシブ方式による画像データ(シネマ映像)が記録されている。ディスプレイは、60フィールドのインタレース方式である。このため、24フレームのプログレッシブ画像(シネマ映像)は60フィールドのインタレース画像(テレシネ映像と呼ばれる)に変換される。このフレーム変換の1つは、2−3プルダウンである。この2−3プルダウンは、例えば、奇数番目のコマから2つのフィールドを作成し、偶数番目のコマから3つのフィールドを作成する。これにより、60フィールド(30フレーム)の画像データが生成される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−300152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、インタレース方式は、1フレームを2つのフィールドで形成する。まず奇数番目の走査線を用いて1/60秒で1番目のフィールド(以下トップフィールドという。)の画を表示し、その後の1/60秒で偶数番目の走査線を用いて2番目のフィールド(以下ボトムフィールドという。)の画を表示する。このため、異なる2つのコマにより1つのフレームが表示される。この場合、スポーツなどのように、動きの早い画に対して合成したフレームの画像には、コーミングノイズと呼ばれる横縞のクシ状のノイズが発生する。コーミングノイズは、画質の低下を招く。
【0005】
画質の低下を抑制するためには、コーミングノイズを検出し、フィールド画像の補正を行う必要がある。しかし、1つのフレームは、2つのフィールド画像をライン毎に交互に組み合わせて構成されているため、画像によっては、コーミングノイズが発生していない箇所をコーミングノイズと誤検出する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、前記フレームに含まれる1つの着目画素と、前記着目画素と前記フレームの上下方向に隣接する第1及び第2の隣接画素とに基づいて、前記着目画素及び前記第1及び第2の隣接画素にエッジが含まれるか否かを検出し、前記第1及び第2の隣接画素の平坦性を検出し、前記エッジの検出結果と前記平坦性の検出結果とに基づいてコーミングノイズを検出する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一観点によれば、コーミングノイズの誤検出を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】コーミングノイズ検出回路の概略構成を示すブロック図である。
【図2】フィールドと平坦検出を示す説明図である。
【図3】平坦検出における画素値比較処理を示す説明図である。
【図4】ノイズ検出にかかる処理を示すフローチャートである。
【図5】画素に対する処理を示す説明図である。
【図6】別の平坦検出部のブロック図である。
【図7】(a)(b)は丸め処理説明図である。
【図8】丸め処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
図1に示すように、画像処理装置のCPU11は、全体制御部12に対して、外部メモリ13に格納された画像データに対する処理開始ライン番号、処理ライン数を設定した後、処理開始を要求する。また、CPU11は、ノイズ検出回路14の検出部20〜22に対し、検出しきい値EDth,FTth,FBthを設定する。
【0010】
外部メモリ13には、少なくとも1つのフレームの画像データを記憶するメモリである。インタレース方式の画像データの場合、1つのフレームは2つのフィールドから構成される。従って、外部メモリ13には、少なくとも2つのフィールドのインタレース画像データが記憶される。そして、2つのフィールド画像は、1つのインタレース画像として外部メモリ13に記憶される。プログレッシブ方式の画像データの場合、1つのフレームは1つのフィールドから構成される。従って、外部メモリ13には、少なくとも1つのプログレッシブ画像データが記憶される。
【0011】
全体制御部12は、CPU11により設定された処理開始ライン番号を最初の取得ライン番号として、その取得ライン番号から連続する複数ライン(例えば4ライン)の画像データを外部メモリ13から読み出すために、アクセス制御部15に対してライン取得リクエストを行う。尚、全体制御部12は、ライン取得リクエストに際し、取得ライン番号をインクリメントし、更新した取得ライン番号に基づいてライン取得リクエストを行う。詳述すると、処理開始ラインを例えば[1]とすると、全体制御部12は、最初の取得ライン番号を[1]としてライン取得リクエストを行う。次に、全体制御部12は、取得ライン番号をインクリメントして[2]とし、その取得ライン番号のライン取得リクエストを行う。次に、全体制御部12は、取得ライン番号をインクリメントして[3]とし、その取得ライン番号のライン取得リクエストを行う。次に、全体制御部12は、取得ライン番号をインクリメント(+1)して[4]とし、その取得ライン番号のライン取得リクエストを行う。
【0012】
このように、全体制御部12は、複数ライン(4ライン)の画像データを外部メモリ13から取得するべくライン取得リクエストを行う。そして、取得した4ラインの画像データに対して後述するノイズ検出処理が終了すると、次の4ライン、つまり取得ライン番号が[5]〜[8]の画像データを取得するべくライン取得リクエストを行う。
【0013】
アクセス制御部15は、全体制御部12から出力されるライン取得リクエストの取得ライン番号に基づいて、外部メモリ13にリード要求を行う。リード要求は、取得ライン番号に応じたアドレスを含み、アクセス制御部15は、1ライン分の画像データを読み出すためにアドレスを生成する。外部メモリ13は、リード要求に応答して画像データSiをラインメモリ16〜19に出力する。また、アクセス制御部15は、外部メモリ13から出力された画像データをラインメモリ16〜19に書き込むためのライトアドレスWad、画像データを取得ラインに応じたラインメモリに書き込むためのライトイネーブル信号WE1〜WE4を生成する。
【0014】
詳述すると、全体制御部12は、4ラインの画像データを外部メモリ13から取得するために、第1〜第4のライン取得リクエストを行う。アクセス制御部15は、第1のライン取得リクエストに応答して、対応するラインの画像データを外部メモリ13から読み出すためのアドレスを含むリード要求を外部メモリ13に出力する。更に、アクセス制御部15は、第1のライン取得リクエストに対応して外部メモリ13から読み出した画像データを第1のラインメモリ16が記憶するように、第1のラインメモリ16に対するライトイネーブル信号WE1を生成する。これらの動作により、外部メモリ13から読み出された1ライン分の画像データが、第1のラインメモリ16に格納される。
【0015】
同様に、アクセス制御部15は、第2〜第4のライン取得リクエストに応答して、外部メモリ13に対するリード要求と、第2〜第4のラインメモリ17〜19に対するライトイネーブル信号WE2〜WE4を生成する。そして、外部メモリ13から読み出された3ライン分の画像データが、第2〜第4のラインメモリ17〜19に格納される。
【0016】
ライトイネーブル信号の生成方法の一例を説明する。アクセス制御部15は、取得ライン番号の下位2ビットに基づいて、各ライトイネーブル信号WE1〜WE4を生成する。具体的には、下位2ビットが[00]の場合には第1のラインメモリ16に対するライトイネーブル信号WE1を生成する。また、下位2ビットが[01]の場合には第2のラインメモリ17に対するライトイネーブル信号WE2を生成する。また、下位2ビットが[10]の場合には第3のラインメモリ18に対するライトイネーブル信号WE3を生成する。そして、下位2ビットが[11]の場合には第4のラインメモリ19に対するライトイネーブル信号WE4を生成する。
【0017】
図2に示すように、例えば再生装置は、インタレース方式の画像データは、トップフィールド画像のデータTF(以下、トップフィールドTF)と、ボトムフィールドの画像データBF(以下、ボトムフィールドBF)とが時間経過に従って交互に出力する。トップフィールドTFとボトムフィールドBFは、それぞれ複数の画素データGから構成される。トップフィールドTF及びボトムフィールドBFは、交互に配列されて1つのフレーム画像を構成する。つまり、トップフィールドTFは、1つのフレーム画像の奇数番目のラインを構成し、ボトムフィールドBFは、同フレーム画像の偶数番目のラインを構成する。尚、図2において、トップフィールドTFの画素データと、ボトムフィールドBFの画素データとを区別し易くするため、図面の横方向にずらして表している。
【0018】
アクセス制御部15は、第1〜第4のライン取得リクエストに応答して、1つのフレーム画像に含まれる4つのラインL1〜L4の画素データを読み出す。これら4つのラインの画素データは、第1〜第4のラインメモリ16〜19にそれぞれ格納される。従って、第1のラインメモリ16には、トップフィールドTFの1つのラインの画素データG1が格納される。そして、第2のラインメモリ17には、ボトムフィールドBFに含まれ、1つのフレーム画像を構成したときに第1のラインメモリ16に格納された画素データG1とライン方向(画像の垂直方向)において隣接する画素データG2が記憶される。そして、第3のラインメモリ18には、トップフィールドTFに含まれ、1つのフレーム画像を構成したときに第2のラインメモリ17に格納された画素データG2とライン方向(画像の垂直方向)において隣接する画素データが記憶される。そして、第4のラインメモリ19には、ボトムフィールドBFに含まれ、1つのフレーム画像を構成したときに第3のラインメモリ18に格納された画素データG3とライン方向(画像の垂直方向)において隣接する画素データG4が記憶される。
【0019】
即ち、第1〜第4のラインメモリ16〜19には、1つのフレーム画像を構成し、ライン方向に連続する4つのラインの画素データが格納される。そして、これら4つのラインの画像データは、トップフィールドTFと、ボトムフィールドBF、つまり時間的に異なるフィールドの画像データを含む。
【0020】
アクセス制御部15は、1ライン分の画像データの取得が完了すると、全体制御部12に対して取得完了通知LEを出力する。全体制御部12は、取得完了通知LEを受け取ると、取得ライン番号をインクリメント(+1)し、次のライン取得リクエストを行う。そして、全体制御部12は、4ライン分の取得完了通知LEを受け取ると、コーミングノイズ検出準備が完了したと判定し、リードアドレスRadを生成し、全てのラインメモリ16〜19に出力する。また、全体制御部12は、各ラインメモリ16〜19から画素データのリード開始するタイミングから、リードデータを取得する時間、エッジ検出、平坦検出、コーミングノイズ検出にかかる時間分遅らせたタイミングを計測し、そのタイミングで有効指示信号EAを所定期間アクティブ(例えばHレベル)にする。タイミングの計測には、例えば、タイマ回路、カウンタ回路などが利用される。
【0021】
また、全体制御部12は、取得ライン番号に基づいて、処理の終了を判定する。全体制御部12は、取得ライン番号から処理開始ライン番号を減算し、その減算結果とCPU11により設定された処理ライン数とを比較する。上記したように、全体制御部12は、取得完了通知LEを受け取ると、取得ライン番号をインクリメントする。従って、取得ライン番号と処理開始ライン番号との差は、取得完了通知LEを受け取った数、即ち外部メモリ13から読み出したラインの数に対応する。従って、全体制御部12は、取得ライン番号と処理開始ライン番号との差を算出し、その算出した値(差分値)と処理ライン数とを比較する。差分値が処理ライン数と一致すれば、設定した数のラインについて、読み出しを終了したことになる。従って、全体制御部12は、各回路に対する制御を終了する、つまりエッジ検出処理を終了する。一方、差分値が処理ライン数より少ない場合、設定した数のラインに対する処理が済んでいない。従って、全体制御部12は、各回路に対する制御を継続する。
【0022】
各ラインメモリ16〜19は、リードアドレスRadに応答して、そのアドレスRadに格納された画素データをそれぞれ出力する。各ラインメモリ16〜19に供給されるリードアドレスRadは、互いに同じ値である。従って、各ラインメモリ16〜19は、フレームにおいて、水平方向に同じ位置の画素データをそれぞれ出力する。
【0023】
第1及び第3のラインメモリ16,18から出力されるトップフィールドの画素データは、第1の平坦検出部20に供給され、第2及び第4のラインメモリ17,19から出力されるボトムフィールドの画素データは、第2の平坦検出部21に供給される。また、全てのラインメモリ16〜19から出力される画素データはエッジ検出部22に供給される。
【0024】
第1の平坦検出部20は、第1及び第3のラインメモリ16,18から出力される画素データG1,G3の平坦性を判定し、判定結果に応じた第1の平坦検出信号Ktを出力する。例えば、第1の平坦検出部20は、第1及び第3のラインメモリ16,18から出力される画素データG1,G3の差の絶対値を算出する。この絶対値を差分値dtとする。第1の平坦検出部20は、CPU11から設定される検出しきい値FTthと差分値dtとを比較する。そして、第1の平坦検出部20は、差分値dtが検出しきい値FTth未満の場合に両画素データG1,G3に平坦性有りと判定し、その旨を示す値(例えば’1’)の平坦検出信号Ktを出力する。一方、差分値dtが検出しきい値FTth以上の場合、第1の平坦検出部20は、両画素データG1,G3に平坦性無しと判定し、その旨を示す値(例えば’0’)の平坦検出信号Ktを出力する。
【0025】
第2の平坦検出部21は、第2及び第4のラインメモリ17,19から出力される画素データG2,G4の平坦性を判定し、判定結果に応じた第2の平坦検出信号Kbを出力する。例えば、第2の平坦検出部21は、第2及び第4のラインメモリ17,19から出力される画素データG2,G4の差の絶対値を算出する。この絶対値を差分値dbとする。第2の平坦検出部21は、CPU11から設定される検出しきい値FBthと差分値dbとを比較する。この検出しきい値FBthは、例えば検出しきい値FTthと同じ値である。そして、第2の平坦検出部21は、差分値dbが検出しきい値FBth未満の場合に両画素データG2,G4に平坦性有りと判定し、その旨を示す値(例えば’1’)の平坦検出信号Kbを出力する。一方、差分値dbが検出しきい値FBth以上の場合、第2の平坦検出部21は、両画素データG2,G4に平坦性無しと判定し、その旨を示す値(例えば’0’)の平坦検出信号Kbを出力する。
【0026】
エッジ検出部22は、全てのラインメモリ16〜19から出力される画素データG1〜G4に基づいて、エッジの有無を判定し、判定結果に応じたエッジ検出信号Keを出力する。エッジの有無は、2つの画素間の画素値の差に基づいて判定される。
【0027】
例えば、本実施形態において、エッジ検出部22は、4つのラインメモリ16〜19から出力される4つの画素データに基づいて、エッジの有無を判定する。即ち、エッジ検出部22は、トップフィールドの2つの画素データG1,G3の合計値(トップ合計値)を算出する。また、エッジ検出部22は、ボトムフィールドの2つの画素データG2,G4の合計値(ボトム合計値)を算出する。次いで、エッジ検出部22は、トップ合計値とボトム合計値との差の絶対値(差分値)を算出する。エッジ検出部22は、算出した絶対値とCPU11から設定される検出しきい値EDthとを比較する。そして、エッジ検出部22は、絶対値が検出しきい値EDth未満の場合にエッジ無しと判定し、その旨を示す値(例えば’0’)のエッジ検出信号Keを出力する。一方、絶対値が検出しきい値EDth以上の場合にエッジ有りと判定し、その旨を示す値(例えば’1’)のエッジ検出信号Keを出力する。
【0028】
ノイズ検出部23は、第1及び第2の平坦検出部20,21から出力される平坦検出信号Kt,Kb、及びエッジ検出部22から出力されるエッジ検出信号Keに基づいて、コーミングノイズの有無を判定し、判定結果に応じた値のノイズ検出信号Kcを出力する。
【0029】
ノイズ検出部23は、第1及び第2の平坦検出信号Kt,Kbが平坦性有りを示し、且つエッジ検出信号Keがエッジ有りを示す、つまり全ての検出信号Kt,Kb,Keが’1’の場合に、コーミングノイズ有りと判定し、上記以外の場合にコーミングノイズ無しと判定する。そして、ノイズ検出部23は、コーミングノイズ有りと判定した場合に例えば’1’のノイズ検出信号Kcを出力し、コーミングノイズ無しと判定した場合に例えば’0’のノイズ検出信号Kcを出力する。
【0030】
ノイズ除去部24は、アクティブな有効指示信号EAを受け取ると、ラインメモリ16〜19から供給される画素データG1〜G4について、ノイズ検出信号Kcに応じた処理を行う。ノイズ検出信号Kcがコーミングノイズ有りを示す場合、ノイズ除去部24は、入力画素データについて、フレーム構造において上下ラインの画素データの平均値などを用いて、例えばボトムフィールドの画素データについて補間処理を行う。一方、ノイズ検出信号Kcがコーミングノイズ無しを示す場合、ノイズ検出部23は、動きベクトルを用いたフィールドデータ取得による補間処理を行う。
【0031】
平坦検出部20,21の処理を図3に従って説明する。
図3に示すように、4つのラインにおいて水平方向が同一な画素データG1〜G4の画素値を棒グラフとして表す。画素データG1,G3はトップフィールドに含まれ、画素データG2,G4はボトムフィールドに含まれる。
【0032】
従って、図1に示す第1の平坦検出部20は、画素データG1,G3の差分値dtを算出する。次いで、第1の平坦検出部20は、差分値dtと検出しきい値FTthとを比較し、比較結果に応じた検出信号Ktを出力する。また、図1に示す第2の平坦検出部21は、画素データG1,G2の差分値dbを算出する。次いで、第2の平坦検出部21は、差分値dbと検出しきい値FBthとを比較し、比較結果に応じた検出信号Ktを出力する。
【0033】
インタレース方式の画像データは、時間的に異なる2つのフィールドにより1つのフレームが構成される。このため、動きの早い物体は、2つのフィールドにおいて、大きく異なる位置に現れる。この結果、フィールド間における物体の有無が、水平方向に延びる縞状のコーミングノイズが発生する。従って、2つのライン間の画像データの値の差を検出する、即ち水平方向のエッジ、つまり、フレーム構成において異なるフィールド間の画素データにおける所定値以上の差を検出することにより、コーミングノイズを検出することが可能である。
【0034】
しかし、画面中には、撮像装置の近くに存在する物体とともに、撮像装置から離れた場所に存在する物体も含まれる。このように、離れた場所、所謂画面奥の領域は、個々の物体が小さく写るため、高周波の画像データ、つまり隣接画素の値の差が、画面手前の領域と比べて大きくなりやすい。物体の遠近は判定し難い。このため、単純に縦方向に隣接する2つの画素データの差によりコーミングノイズを検出する方法では、画面奥の領域においてコーミングノイズを誤検出する可能性が高い。
【0035】
典型的なコーミングノイズは、縞状の領域であり、フレームの水平方向に沿って延びるラインが、フレームの垂直方向に沿って1ライン毎に現れる。フレームを構成するフィールド、例えばトップフィールドにおいて、その垂直方向に隣接する2つの画像データは小さな差の値となっている。2つの画像データの差は、ボトムフィールドにおいても同じである。
【0036】
従って、1つのフレームにおいて、1つの画素データに対して上下にそれぞれ隣接する画素データが平坦である、つまり画素データの差が小さければ、その部分はコーミングノイズの発生確率が高いと言える。一方、隣接する画素データが平坦ではない、つまり画素データの差が大きい場合、その部分はコーミングノイズの発生確率が低いと言える。つまり、平坦検出部20,21は、コーミングノイズが発生する確率が高い部分を検出しているということができる。
【0037】
ところで、インタレース方式の画像データは、各フィールドの画像データが交互に出力される。従って、図1に示す外部メモリ13において、各フィールドの画像データが異なる領域に格納され、フレームを構成する複数のラインの画像データを連続的に読み出すことができない場合がある。このような場合、図4に示すフローチャートに従って処理される。
【0038】
即ち、ステップ31において、トップフィールド(TopField)の画像データを読み出す。そして、ステップ32において、トップフィールドの画像データについて平坦検出を行うことと、ステップ33において、ボトムフィールド(BottomField)の画像データを読み出すことを並行して行う。次いで、ステップ34において、ボトムフィールドの画像データについて平坦検出を行うことと、ステップ35において、トップフィールドの画像データとボトムフィールドの画像データの差分を検出することを並行して行う。そして、ステップ36において、ステップ32,34,35の検出結果に基づいて、コーミングノイズの有無を検出する。
【0039】
上記のコーミングノイズ検出処理の一例を、図5に従って説明する。
水平方向画素は、図1に示すラインメモリ16〜19に格納された各ラインの画素データを示す。トップフィールドに対する検出しきい値FTth、ボトムフィールドに対する検出しきい値FBth、エッジ検出しきい値EDthをそれぞれ[5]とする。
【0040】
トップフィールドのN番目のラインにおいて、一番目(#1)の画素データの値は[11]である。ボトムフィールドのN番目のラインにおいて、一番目(#1)の画素データの値は[11]である。トップフィールドのN+1番目のラインにおいて、一番目(#1)の画素データの値は[13]である。ボトムフィールドのN+1番目のラインにおいて、一番目(#1)の画素データの値は[17]である。
【0041】
トップフィールドにおいて、N番目の画素データとN+1番目の画素データとの差分値は[2]となり、検出しきい値FTthより小さいため、図1に示す第1の平坦検出部20は[1]の検出信号Ktを出力する。ボトムフィールドにおいて、N番目の画素データとN+1番目の画素データとの差分値は[6]となり、検出しきい値FBthより大きいため、図1に示す第2の平坦検出部21は[0]の検出信号Kbを出力する。図1に示すエッジ検出部22は、差分値として[4]を算出し、この差分値は検出しきい値EDthより小さいため、[0]の検出信号Keを出力する。図1に示すノイズ検出部23は、各検出信号Kt,Kb,Keの値がそれぞれ[1][0][0]であるため、コーミングノイズ無しと判定して[0]の検出信号Kcを出力する。
【0042】
水平方向において2番目(#2)の画素データについて、各検出部20〜22は同様に処理を行い、それぞれ[1][1][1]の検出信号Kt,Kb,Keを出力する。従って、ノイズ検出部23は、コーミングノイズ有りと判定して[1]の検出信号Kcを出力する。
【0043】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)第1の平坦検出部20は、トップフィールドTFに含まれる2つの画素データG1,G3の平坦性を検出し、検出信号Ktを出力する。第2の平坦検出部21は、ボトムフィールドBFに含まれる2つの画素データG2,G4の平坦性を検出し、検出信号Kbを出力する。画素データG1〜G4は、トップフィールドTFとボトムフィールドBFにより構成される1つのフレームにおいて上下方向(垂直方向)に連続する画素データである。エッジ検出部22は、画素データG1〜G4におけるエッジを検出し、検出信号Keを出力する。ノイズ検出部23は、各検出部20〜22の検出信号Kt,Kb,Keに基づいてコーミングノイズの有無を検出し、検出信号Kcを出力する。
【0044】
コーミングノイズは縞状の画像領域であるため、エッジが含まれる画素データにおいて、同一のフィールドに含まれ上下方向に隣接する2つの画素データにおける差分値は小さい。従って、エッジ検出と平坦検出とを行うようにしたため、コーミングノイズである領域を高い確率で検出することができる。言い換えれば、誤検出を低減することができる。
【0045】
(2)エッジ検出と平坦検出とを並列的に行うようにしたため、コーミングノイズの判定に要する時間の長期化を抑制することができる。
(3)トップフィールドTFに含まれる画素データG1,G3の平坦性と、ボトムフィールドBFに含まれる画素データG2,G4の平坦性とを検出するようにした。両フィールドのうちの何れか一方のフィールドの画素データが平坦ではない場合、それらの画素データにおけるエッジは、映像に含まれる線分や、他の要因によるノイズ等の可能性がある。従って、コーミングノイズに対する誤検出を抑制することができる。
【0046】
尚、上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態において、平坦検出部20,21は、縦方向の2つの画素データの差分値dt,dbを算出し、差分値dt,dbと検出しきい値FTth,FBthとを比較して平坦性を検出するようにした。この平坦性を検出する方法を適宜変更してもよい。
【0047】
例えば、図6に示すように、平坦検出部20a,21aを構成する。第1の平坦検出部20aは、丸め処理部41a,42aと排他的論理和回路(ExOR)43aを含む。
丸め処理部41a,42aには、それぞれ異なるラインの画素データG1,G3が供給される。各画素データG1,G3は複数ビット(例えば8ビット)のデータである。また、各丸め処理部41a,42aには、例えばCPU11から丸めビット設定値RBが供給される。設定値RBは画像データを丸めるビット数(例えば3ビット)を示し、上記実施形態における検出しきい値EDthに対応する。
【0048】
丸め処理部41a,42aは、設定値RBに従って画像データを丸めた値G1a,G3aをそれぞれ出力する。丸め処理は、十進数でいう四捨五入を行うものである。例えば、入力データを8ビットとし、丸めビット数を3とする。この場合、入力データの下位3ビットの値が[000]〜[011]の場合には、上位5ビットの値をそのままとするともに下位3ビットを[000]とする。一方、下位3ビットの値が[100]〜[111]の場合には、上位5ビットの値に[1]を加算するとともに下位3ビットを[000]とした値とする。この処理結果を図8に示す。
【0049】
排他的論理和回路43aは、丸め処理部41a,42aからそれぞれ出力される値G1a,G3aをビット毎に排他的論理和演算し、その演算結果に応じて検出信号Ktを出力する。つまり、丸め処理部41a,42aからそれぞれ出力される値G1a,G3aが一致する場合に[0]の検出信号Ktを出力し、両値G1a,G3aが異なる場合に[1]の検出信号Ktを出力する。
【0050】
第2の平坦検出部21aは、第1の平坦検出部20aと同様に構成されている。つまり、第2の平坦検出部21aは、丸め処理部41b,42b,と排他的論理和回路43bを含む。
【0051】
各丸め処理部41a,42a,41b,42bに供給される画像データの一例を図7(a)に示す。画素データG1,G3はトップフィールドに含まれ、画素データG2,G4はボトムフィールドに含まれる。各丸め処理部41a,42a,41b,42bにおける処理結果の値G1a,G3a,G2a,G4aを図7(b)に示す。
【0052】
丸め処理及び排他的論理和演算は、ビット操作、ビット比較であるため、値を減算する処理と比べて処理に要する時間が短い。つまり、検出結果を得るまでに要する時間が、減算処理を行う場合よりも短くなるため、コーミングノイズの検出に要する時間、即ち1つのフレームを処理する時間を短縮することができる。
【0053】
尚、排他的論理和回路を否定排他的論理和回路とすること、又は検出信号Kt,Kbの論理を反転すること、等の変更が可能なことは言うまでもない。
・上記実施形態において、エッジ検出部の検出方法を適宜変更しても良い。
【0054】
例えば、エッジ検出部22は、トップフィールドの1つの画素データの画素値と、その画素値の画素と隣接するボトムフィールドの画素データの画素値との差の絶対値を算出する。そして、算出した絶対値とCPU11から設定される検出しきい値EDthとを比較し、比較結果に応じた値のエッジ検出信号Keを出力するようにしてもよい。
【0055】
また、第1及び第2のラインメモリ16,17から出力される画素データの差の絶対値を算出し、その絶対値を第1の差分値とする。一方、第3及び第4のラインメモリ18,19から出力される画素データの差の絶対値を算出し、その絶対値を第2の差分値とする。そして、第1の差分値と第2の差分値の平均値を算出し、その平均値を検出しきい値と比較してエッジの有無を判定する。検出しきい値は比較対照の演算方法に応じて設定される。
【0056】
・エッジ検出と平坦検出とを直列的に行うこと。例えば、エッジ検出を行い、エッジを検出した画素データについて平坦検出を行うようにしてもよい。このようにすると、平坦検出に要する負荷(消費電力、演算処理に係る負荷)を低減することが可能となる。
【0057】
・上記実施形態において、ラインメモリの数を適宜変更してもよい。また、奇数個のラインメモリを備える構成としてもよい。
上記各実施形態に関し、以下の付記を開示する。
(付記1)
フレームに含まれる画素データに基づいてコーミングノイズを検出するコーミングノイズ検出方法であって、
前記フレームに含まれる1つの着目画素と、前記着目画素と前記フレームの上下方向に隣接する第1及び第2の隣接画素とに基づいて、
前記着目画素及び前記第1及び第2の隣接画素にエッジが含まれるか否かを検出し、
前記第1及び第2の隣接画素の平坦性を検出し、
前記エッジの検出結果と前記平坦性の検出結果とに基づいてコーミングノイズを検出する、
を含むことを特徴とするコーミングノイズ検出方法。
(付記2)
前記フレームは、時間的に異なる第1及び第2のフィールドのラインを交互に配置して構成され、
前記第1の隣接画素と前記第2の隣接画素は、同一のフィールドに含まれる、
ことを特徴とする付記1記載のコーミングノイズ検出方法。
(付記3)
フレームに含まれる画素データに基づいてコーミングノイズを検出するコーミングノイズ検出方法であって、
前記フレームは、時間的に異なる第1及び第2のフィールドのラインを交互に配置して構成され、
前記第1のフィールドに含まれ前記フレームの上下方向に隣接する2つの画素の平坦性を検出する第1の平坦検出処理と、
前記第2のフィールドに含まれ前記フレームの上下方向に隣接する2つの画素の平坦性を検出する第2の平坦検出処理と、
4つの前記画素にエッジが含まれるか否かを検出するエッジ検出処理と、
前記エッジ検出処理の検出結果と前記第1及び第2の平坦検出処理の検出結果とに基づいてコーミングノイズを検出するノイズ検出処理と、
を含むことを特徴とするコーミングノイズ検出方法。
(付記4)
前記平坦性の検出において、2つの画素の差分値と検出しきい値とを比較して平坦性を検出する、ことを特徴とする付記1〜3のうちの何れか一項に記載のコーミングノイズ検出方法。
(付記5)
前記平坦性の検出において、2つの画素を丸め処理し、処理後の2つの値を比較して平坦性を検出する、ことを特徴とする付記1〜3のうちの何れか一項に記載のコーミングノイズ検出方法。
(付記6)
フレームに含まれる画素データに基づいてコーミングノイズを検出するコーミングノイズ検出装置であって、
前記フレームに含まれる1つの着目画素と、前記着目画素と前記フレームの上下方向に隣接する第1及び第2の隣接画素とに基づいて、
前記着目画素及び前記第1及び第2の隣接画素にエッジが含まれるか否かを検出するエッジ検出部と、
前記第1及び第2の隣接画素の平坦性を検出する平坦検出部と、
前記エッジ検出部の検出結果と前記平坦検出部の検出結果とに基づいてコーミングノイズを検出するノイズ検出部と、
を含むことを特徴とするコーミングノイズ検出装置。
(付記7)
フレームに含まれる画素データに基づいてコーミングノイズを検出するコーミングノイズ検出装置であって、
前記フレームは、時間的に異なる第1及び第2のフィールドのラインを交互に配置して構成され、
前記第1のフィールドに含まれ前記フレームの上下方向に隣接する2つの画素の平坦性を検出する第1の平坦検出部と、
前記第2のフィールドに含まれ前記フレームの上下方向に隣接する2つの画素の平坦性を検出する第2の平坦検出部と、
4つの前記画素にエッジが含まれるか否かを検出するエッジ検出部と、
前記エッジ検出部の検出結果と前記第1及び第2の平坦検出部の検出結果とに基づいてコーミングノイズを検出するノイズ検出部と、
を含むことを特徴とするコーミングノイズ検出装置。
【符号の説明】
【0058】
14 ノイズ検出回路
16〜19 ラインメモリ
20,21 平坦検出部
22 エッジ検出部
Kt,Kb,Ke,Kc 検出信号
TF トップフィールド
BF ボトムフィールド
G1〜G4 画素データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームに含まれる画素データに基づいてコーミングノイズを検出するコーミングノイズ検出方法であって、
前記フレームに含まれる1つの着目画素と、前記着目画素と前記フレームの上下方向に隣接する第1及び第2の隣接画素とに基づいて、
前記着目画素及び前記第1及び第2の隣接画素にエッジが含まれるか否かを検出し、
前記第1及び第2の隣接画素の平坦性を検出し、
前記エッジの検出結果と前記平坦性の検出結果とに基づいてコーミングノイズを検出する、
を含むことを特徴とするコーミングノイズ検出方法。
【請求項2】
前記フレームは、時間的に異なる第1及び第2のフィールドのラインを交互に配置して構成され、
前記第1の隣接画素と前記第2の隣接画素は、同一のフィールドに含まれる、
ことを特徴とする請求項1記載のコーミングノイズ検出方法。
【請求項3】
フレームに含まれる画素データに基づいてコーミングノイズを検出するコーミングノイズ検出方法であって、
前記フレームは、時間的に異なる第1及び第2のフィールドのラインを交互に配置して構成され、
前記第1のフィールドに含まれ前記フレームの上下方向に隣接する2つの画素の平坦性を検出する第1の平坦検出処理と、
前記第2のフィールドに含まれ前記フレームの上下方向に隣接する2つの画素の平坦性を検出する第2の平坦検出処理と、
4つの前記画素にエッジが含まれるか否かを検出するエッジ検出処理と、
前記エッジ検出処理の検出結果と前記第1及び第2の平坦検出処理の検出結果とに基づいてコーミングノイズを検出するノイズ検出処理と、
を含むことを特徴とするコーミングノイズ検出方法。
【請求項4】
フレームに含まれる画素データに基づいてコーミングノイズを検出するコーミングノイズ検出装置であって、
前記フレームに含まれる1つの着目画素と、前記着目画素と前記フレームの上下方向に隣接する第1及び第2の隣接画素とに基づいて、
前記着目画素及び前記第1及び第2の隣接画素にエッジが含まれるか否かを検出するエッジ検出部と、
前記第1及び第2の隣接画素の平坦性を検出する平坦検出部と、
前記エッジ検出部の検出結果と前記平坦検出部の検出結果とに基づいてコーミングノイズを検出するノイズ検出部と、
を含むことを特徴とするコーミングノイズ検出装置。
【請求項5】
フレームに含まれる画素データに基づいてコーミングノイズを検出するコーミングノイズ検出装置であって、
前記フレームは、時間的に異なる第1及び第2のフィールドのラインを交互に配置して構成され、
前記第1のフィールドに含まれ前記フレームの上下方向に隣接する2つの画素の平坦性を検出する第1の平坦検出部と、
前記第2のフィールドに含まれ前記フレームの上下方向に隣接する2つの画素の平坦性を検出する第2の平坦検出部と、
4つの前記画素にエッジが含まれるか否かを検出するエッジ検出部と、
前記エッジ検出部の検出結果と前記第1及び第2の平坦検出部の検出結果とに基づいてコーミングノイズを検出するノイズ検出部と、
を含むことを特徴とするコーミングノイズ検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−254314(P2011−254314A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127056(P2010−127056)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】