コールドプレートの製造方法
【課題】接着面の凝固不良を大幅に低減し、寸法制度に優れた高品質な大型のコールドプレートを簡便に製造し、さらには、コールドプレートの低コスト化、リサイクル性の向上を目的とする。
【解決手段】ホットプレス機又は炉を用いた錘焼鈍によってアルミニウム合金板同士を圧着する際に、アルミニウム合金板の少なくとも一方の圧着側と反対側に、JIS K 6253に定めるデュロメータータイプA型の測定においてA70未満の硬度を有するクッション材を配設し、アルミニウム合金板の接着面に均一な荷重を加えながら圧着するコールドプレートの製造方法。
【解決手段】ホットプレス機又は炉を用いた錘焼鈍によってアルミニウム合金板同士を圧着する際に、アルミニウム合金板の少なくとも一方の圧着側と反対側に、JIS K 6253に定めるデュロメータータイプA型の測定においてA70未満の硬度を有するクッション材を配設し、アルミニウム合金板の接着面に均一な荷重を加えながら圧着するコールドプレートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶や半導体の製造における被処理ガラス基板の熱処理工程に使用される冷却装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LCD、PDP、EL、カラーフィルター等の表示デバイスを構成するガラス基板は様々な機能を持たせるために種々の成膜工程を経る。成膜工程においては、焼き付け工程や乾燥工程の他に、皮膜の化学変化を目的とした熱処理が施される場合が多い。
【0003】
例えば、液晶パネルを構成するガラス基板の場合、TFT形成のためのCVD処理、液晶配向膜の成膜、トップコートの成膜、シール剤乾燥、フォダミープレートジスト剤の焼き付けなどで熱処理が行なわれる。
各々の処理により温度は異なるが、加熱されたガラス基板の冷却が不均一であるとガラス基板内に熱的な歪が生じるため、寸法精度に悪影響を及ぼしたり、基板の破損が生じることがある。そのため、冷却時のガラス基板全体の温度分布は常に1℃程度以内に制御することが要求されている。
【0004】
従来、均一な冷却を行なうためにコールドプレート又はクールプレートと呼ばれる冷却水路が設けられた冷却板が用いられてきた。冷却板には熱伝導性が高く、安価なアルミニウム合金が使用される。冷却水路はコールドプレート全体が均一な温度になるように配置される。コールドプレートは加熱されたガラス基板に数百ミクロン程度の距離をおいて配置され、ガラス基板の熱を均一になお且つ徐々に奪う。
【0005】
図13〜15に示すように、コールドプレートとしては主に3つのタイプのものが用いられている。
A.銅管又はアルミニウム管7にアルミニウム圧延板1を溶接したもの(図13)
B.銅管7を鋳込んだアルミニウム鋳塊を切削加工したもの(図14)
C.冷却水溝2とパッキン8の溝を有するアルミニウム圧延板1と平坦なアルミニウム圧延板1を挟んで、ボルト9で締めたもの(図15)
【0006】
表示ディスプレイは年々の大型化が進んでおり、より大型のガラス基板の製造が要求されている。例えば液晶ディスプレイは、現在、第4世代、第5世代と呼ばれる730×920mm、1215×1315mmサイズのものが主に製造されているが、第6世代では1705×2015mmサイズのガラス基板の製造が要求される。さらに、第8世代では、2315×2765mmサイズのガラス基板の製造が要求される。
このようなガラス基板の大型化に伴い、ガラス基板自体のハンドリングや寸法精度の要求が厳しくなると同時に、コールドプレートや製造周辺機器の寸法精度や製造コストへの要求も厳しくなっている
【0007】
上記各種コールドプレートには大型化に伴い以下に示すような問題点が挙げられる。
Aのタイプのコールドプレートはパイプと圧延板の溶接に起因する熱歪により平坦度が損なわれる恐れがある。また大型化に伴い溶接部分の増加が考えられるので製造コストが増大する。更に、パイプがアルミニウム板と異種材料の場合には、リサイクル性が損なわれる。
【0008】
Bのタイプのコールドプレートは、要求された平坦度をクリアするために切削加工又は研削加工が必要である。大型化に伴い大面積の高精度切削加工等が要求される。更に、大型になるほどパイプを正確な位置に鋳込むことが困難となる。また、鋳造欠陥による歩留まりの低下が懸念され、材料強度は圧延材料に比べて劣る。
【0009】
Cのタイプのコールドプレートは高精度に寸法が制御された圧延板に溝加工を施し、溝加工面を接合面とする組み合わせで要求される寸法精度を達成できるが、大型化に伴うパッキンの配置、ボルト締めの工数を考えるとコスト増大が不可避である。5世代型では、パッキン締め付けのため300程度のボルト締結個所があるが、第6〜8世代では600個所に増加すると見られている。特開平05−213299で紹介されているような複数ボルトを締結する工具を用いるとしても大変な作業であることには変わりがない。
【特許文献1】特開平05−213299号公報
【0010】
上記A〜Cによるコールドプレートの製造方法とは別に、アルミニウム合金等の金属板同士を接着剤によって圧着することも考えられる。接着剤による金属同士の圧着技術は古くから確立されているが、板厚が10〜20mm程度と厚く、接着面積も広面積のコールドプレート用アルミニウム合金板の良好な圧着は困難であった。例えば、アルミニウム合金板同士の圧着において錘等によって荷重を加える方式を採用する場合、単純に錘による荷重を掛けるのみでは弾性的な変形を起こし難く、接着面に均一な荷重を加えることができない。その結果、荷重のかからない箇所や荷重が低い箇所では、取り込まれた空気が抜け切らず、空気を取り込んだまま接着層が凝固するといった、いわゆる凝固不良を起こす問題点があった。図16に、このような凝固不良部3を有する接着層の剥離面を示し、図17には、凝固不良部を有しない接着層の剥離面を示す。
【0011】
このような凝固不良を起こした箇所では、例えば図18に示すように、圧着したアルミニウム合金板からなるコールドプレートの接着強度が極端に低下する。図において、凝固不良部を有するコールドプレート(凝固不良材)は、凝固不良部を有しないコールドプレート(通常材)と比較すると、8(N/mm2)以上の剥離強度を目標値とした場合、通常材では12(N/mm2)の剥離強度が達成されるのに対して、2(N/mm2)の剥離強度しか得られない。このような凝固不良材に水圧が加わると、凝固不良部が容易に剥離してしまい、目標とする耐水圧性が十分に得られない。さらには、アルミニウム合金板間に生じた隙間が接着層の厚さよりも大きく、接着層によって完全にシーリングされない場合には、水漏れの原因となる。
【0012】
また、一般に、接着面積が大きなアルミニウム合金板等の被着体を例えば錘焼鈍によって圧着する場合には、焼鈍炉の雰囲気が目標とする圧着温度に到達していても、錘等による断熱作用によってコールドプレート自体の内部まで均一に加熱し昇温することが困難である。コールドプレート自体が均一に昇温されず、プレート内部の実体温度が低い場合には、例えば樹脂フィルム等の接着剤が完全に溶融しきれず半溶融状態となって残留するため、その領域における密着性は著しく低下する問題点があった。逆に、内部の実体温度が目標温度に到達するまで長時間焼鈍すると、プレートのエッジ近傍では樹脂フィルムの溶融状態が長時間続くために、サイドに溶融した樹脂フィルムが流出してしまい、厚みが不均一となってしまう問題点もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、接合面の接着強度を高めるためにクッション材、又は、クッション材及びダミープレートを用い、接合するアルミニウム合金板の接着面に均一な荷重を加えることによって、接着面の凝固不良を大幅に低減し、寸法制度に優れた高品質な大型のコールドプレートを簡便に製造することを第1の課題とし、さらには、低コスト、リサイクル性の向上を第2の課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは鋭意研究の結果、具体的にはホットプレス機又は炉を用いた錘焼鈍によって圧着する際に、クッション材を用いることにより、或いは、クッション材とダミープレートを併用することにより、上記課題を解決できることに想到し本発明を完成させるに至った。
【0015】
本発明は請求項1において、少なくとも一方に冷却水溝を有する2枚のアルミニウム合金板の平坦部同士を接着フィルムにより圧着するコールドプレートの製造方法であって、ホットプレス機又は炉を用いた錘焼鈍によって前記アルミニウム合金板同士を圧着する際に、前記2枚のアルミニウム合金板の少なくとも一方の圧着側と反対側に、JIS K 6253に定めるデュロメータータイプA型の測定においてA70未満の硬度を有するクッション材を配設し、前記2枚のアルミニウム合金板の接着面に均一な荷重を加えながら圧着することを特徴とするコールドプレートの製造方法とした。
【0016】
本発明は請求項2において、前記クッション材のアルミニウム合金板と反対側に、前記アルミニウム合金板と同じ面積を有するダミープレートを配設するようにした。また、本発明は請求項3において、前記クッション材が加熱装置を備えるようにした。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、コールドプレートを構成する2枚のアルミニウム合金板の少なくとも一方の圧着側と反対側にクッション材が配設される。これにより、接合面の平坦度が必ずしも理想平面でなくとも、接着面に均一な荷重が加えられるので凝固不良の発生が防止される。このようなクッション材は、JIS K 6253に定めるデュロメータータイプA型の測定においてA70未満の硬度を有する。
【0018】
本発明では、前記クッション材のアルミニウム合金板と反対側に、前記アルミニウム合金板と同じ面積を有するダミープレートを配設するようにした。これにより、接着面により一層均一な荷重が加えられるので凝固不良の発生がより防止される。例えば、錘焼鈍及びホットプレートを備えたホットプレス機を用いる圧着では、通常、錘及びホットプレートの台座が接合面積よりも大きなサイズとなっている。そのため、接着面のサイズからはみ出した錘および台座は、自重によってたわみ、コールドプレートのエッジ部に過剰な圧力が加わり、接着面内の圧力分布が均一に保てないことになる。上記クッション材により、このような不都合が解消可能である。
【0019】
本発明では、前記クッション材が加熱装置を備えるようにした。このような加熱装置は、例えば、クッション材の内部又は周囲に設けられる。このような加熱装置により、短時間で大型プレートの内部にまで均一に昇温することが可能となる。
【0020】
本発明に係るコールドプレートの製造方法によって、シール性に優れた大型のコールドプレートを簡便に提供できる。さらに、本発明により製造されたコールドプレートは、製造コストも安価で、異材を含まないためにリサイクル性にも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明のコールドプレートは、上記した従来のCタイプのコールドプレートからパッキンとパッキン溝を廃し、かつ、ボルト締結を大幅に削減又は廃したものを、接着による圧着によって接合する際に、クッション材を用いることにより、或いは、クッション材とダミープレートを併用することにより、さらに接着力を大幅に改善したものである。
【0022】
A.アルミニウム合金板
コールドプレートを構成する主部材であるアルミニウム合金板は熱間圧延が可能であれば合金組成に特に制約はない。アルミニウム合金板は厚さ数百mmのブロック状の鋳塊を目標板圧の数十mmまで熱間圧延して製造する。熱間圧延を施すことにより、鋳塊中に存在する微細な空孔が圧着され、材質、強度が良化する。圧延は板の平坦度が大幅に損なわれないように制御して行なう。また、圧延後には目標の寸法精度に近付けるために焼鈍矯正又は加工により表面切削及び表面研削を行なうことが多い。2枚の圧延板を合わせたときに200μm/2765mm以上の平坦度を得るために、各板の平坦度を100μm/2765mm以上とする。
ここで、金属板の平坦度とは、基準となる常盤上に平坦度を有する側が接するように所定長さの金属板を載置し、平坦部と常盤との間に生じる長さ方向に沿った隙間の厚さ方向における最大値として定義されるものである。例えば、平坦度が100μm/2765mm以上とは、任意幅で長さが2765mmの金属板を常盤上に載置した際の、金属板と常盤との間に生じる長さ方向に沿った隙間の厚さ方向における最大値が100μmということである。
なお、本発明における「アルミニウム合金板」は、アルミニウムと他の金属からなるアルミニウム合金板だけでなく、純アルミニウム板も含むものとする。
【0023】
本発明で用いるアルミニウム合金板には、接合する2枚のアルミニウム合金板の少なくとも一方に冷却水溝が設けられる。冷却水溝は重ね合わせる片方のアルミニウム合金板のみに形成されていても、両方に形成されていてもよい。また、両方に形成する場合、両方の板の同じ位置に半断面ずつ形成されていても、片側の板に全断面の冷却水溝が形成されたものが上下交互に配列しても良い。
【0024】
B.接着フィルム
本発明では、2枚のアルミニウム合金板を圧着して接合するのにフィルム状の接着剤(接着フィルム)が用いられる。このような接着フィルムとしては、アルミニウム合金板の接着面に挟んで加熱することにより熱溶し、その後に冷却して接着する「ホットメルト型」のものが好適に用いられる。
【0025】
従来、アルミニウム合金等の金属同士を接着フィルムによって接着する技術は、古くから確立されていたが、ホットメルト型の接着フィルムでは、接着部分の密着性を向上させるべく接着層から空気を廃するのが極めて困難なため、コールドプレートのような高気密性が要求される用途ではホットメルト型の接着フィルムを使用できなかった。一方、ホットメルト型の接着フィルムは、接着剤や熱硬化型の接着フィルムに比べて低コストである上に利便性に優れる利点を有する。本発明者らは、ホットメルト型接着フィルムによる圧着条件を選択することにより、コールドプレートを良好に接合できることを見出した。
【0026】
このようなホットメルト型の接着フィルムとしては、ポリプロピレン系接着フィルム、エポキシ系接着フィルム、ポリオレフィン系接着フィルム、ウレタン系接着フィルム、フェノール系接着フィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)系接着フィルム等の合成樹脂製接着フィルムであって、耐水性に優れたものが用いられる。このような接着フィルムを用いることにより、接着層の厚み精度を高く維持できる。さらに、接着フィルムは両アルミニウム合金板の接合部への挟み込みが容易であるため、コールドプレートの生産性にも優れている。
【0027】
上記ホットメルト型接着フィルムによる圧着条件は適宜選択されるところであるが、接着温度をTa、ホットメルト型接着フィルムの融点をTmとしたときに、Tm+30℃<Ta<Tm+90℃を満足する加熱条件、ならびに、ホットメルト型接着フィルムの溶融流れ速度(メルトフローレート、以下「MFR」と記す)が3〜7.5g/10分となる条件の少なくともいずれか一方を満たす条件を選択して圧着することにより、コールドプレートの接着層に凝固不良のない極めて良好な接合が可能となることを見出した。なお、上記加熱条件及び上記MFR条件の双方を共に満たすことによって圧着接合するのが好ましい。
ここで、MFRとは、一般的な測定方法に従った、シリンダーの中で180℃に加熱したホットメルト型接着フィルムに0.1MPaの圧力をかけて、細孔(オリフィス)から10分間に流出する樹脂の重量である。
【0028】
上記加熱条件に関し、TaがTm+30℃以下となる圧着温度、又は、MFRが3g/10分未満では、圧着時に溶融した接着フィルムが十分な流動性を備えることができない
。従って、接着面と接着フィルムとの層間に取り込まれた空気を押し流すことができず、接着層に凝固不良が多く発生し十分な密着強度が得られず、耐水性が劣ることになる。そして、最悪の場合には、このような凝固不良箇所から水漏れが起こることになる。更に、溶融した接着フィルムの十分な流動性が得られない場合には、圧着時に後述のフィレットが形成されず、十分なシーリング効果が得られない。
【0029】
一方、TaがTm+90℃以上となる圧着温度、又は、MFRが7.5g/10分を超えると、圧着時に流動性が高くなり過ぎてしまう。従って、加圧と同時に溶融した接着フィルムが局所的にサイドに流出してしまい、凝固後の接着層の厚みが極端に薄くなる。その結果、平坦度が十分でない部分では接着フィルムの膜切れが生じるため十分な密着性が得られず、耐リーク性が劣って水漏れの原因となる。更に、溶融した接着フィルムの流動性が大き過ぎると、アルミニウム合金板の平坦部と冷却水溝との接線部(冷却水溝の側面と金属板の接合面が交差する線部)に溶融したフィルムが保持されないため、後述するような良好なフィレットが形成されない。
【0030】
そこで、上記加熱条件又はMFR条件を採用することにより、接合面の平坦性不具合から生じる接合面の荷重分布不均一性を改善し、凝固不良を低減することができる。
【0031】
ここで、耐リーク性に更に優れたコールドプレートを提供するために、圧着時に流動した溶融接着フィルムによって冷却水溝接線部にフィレット14が形成可能となるように、アルミニウム合金板の平坦部15と冷却水溝2との接線部を面取りすることが好ましい(図12)。フィレットの形成により、シーリング効果を高めることができるからである。面取り量は接着層の厚みにもよるが、各辺長さ100〜200μm程度が適当であり、接着時の加圧は0.05〜0.1MPa程度が好ましい。接着時の加圧が0.05MPa未満であるとフィレットは殆ど形成されず、0.1MPaを超えたのではその効果が飽和し、加圧工程で無駄が生じる。面取り部(図12の16)の形状は、接着フィルムによるフィレットが形成されれば特に制約はない。一般的な角度である45°の傾斜面でも、その他の角度でも、さらには曲率を有した面でもよい。このような面取り加工を施すことによって、良好なフィレットを形成し易くなる。
【0032】
C.圧着の前処理
アルミニウム合金板には、圧着の前処理として、脱脂洗浄、陽極酸化処理を行なうことが好ましい。陽極酸化処理により、冷却水路及び外表面の耐食性と外表面の耐疵付き性が向上する。また、陽極酸化処理後に接着面に封孔処理を施さなければアンカー効果による接着強度の上昇が期待できる。
また、コールドプレート外表面(非接着面)については陽極酸化処理以外にメッキ処理、遠赤外線塗料の塗布などを施し、熱交換能力の向上を図るのが好ましい。
【0033】
D.ホットプレス機、炉と錘
本発明では、ホットプレス機を用いた焼鈍、或いは、炉中における錘焼鈍によって2枚のアルミニウム合金板が圧着される。ホットプレス機、炉、錘の構造は、特に限定されるものではない。ホットプレス機としては、クッション材やダミープレートと共に2枚のアルミニウム合金板を挟む上下2枚のホットプレートからなる構造のものが通常用いられる。特に、上方のホットプレートが錘としても作用するタイプのもの、上下プレートが油圧等により締め付けられるタイプのもの等が好適に用いられる。また、ホットプレートとは別に錘を用意して、上方のホットプレート上に錘を載置して用いてもよい。ホットプレス機のホットプレートを所定温度に加熱し、間に挟んだアルミニウム合金板を所定時間の加熱して圧着する。
【0034】
また、炉による錘焼鈍では、炉内において土台上に、クッション材やダミープレートと共にアルミニウム合金板を載置し、その上に鉄錘等の錘を載置して、土台と錘によってクッション材やダミープレートと共に2枚のアルミニウム合金板を挟み、炉内を所定温度で所定時間維持し合金板を圧着する。この場合、炉としては、内部温度ができるだけ均一に保持可能なものが好適に用いられる。
【0035】
E.クッション材
本発明では、アルミニウム合金板の少なくとも一方の圧着側と反対側にクッション材が配設される。クッション材を用いることにより、接合面の凹凸が大きくても、荷重を均一に分散させることが可能となる。2枚のアルミニウム合金板のいずれか一方と、これと対面する錘(ホットプレート)又は土台(ホットプレート)との間に、クッション材を配設してもよく、或いは、両アルミニウム合金板と、これらと対面する錘(ホットプレート)との間、ならびに、土台(ホットプレート)との間のいずれにもクッション材を配設してもよい。接着面により均一な荷重を加えるには、両アルミニウム合金板と、これらと対面する錘(ホットプレート)及び土台(ホットプレート)とのいずれの間にもクッション材を配設するのが好ましい。
【0036】
このようなクッション材は、JIS K 6253に定めるデュロメータータイプA型の測定においてA70未満の硬度を有するものが好適に用いられる。クッション材の材質にはゴムやフェルトを選択することが好ましいが、硬度がA70未満で耐熱性に優れていれば特に制約は無い。硬度がA70以上の硬質材を用いると、クッション材としての効果が半減し、接着面に荷重を均一に加えることができない。
【0037】
ここで、クッション材としてシリコンゴムを使用した場合のパレットの積み立てを図1に、クッション材を使用しない場合のパレットの積み立てを図19に示す。図19では、土台4上にアルミニウム合金板1からなるコールドプレート5を載置し、更にコールドプレート5上に鉄錘等の錘6を載置するものである。これに対して本発明では、図19に示すパレットの積み立てにおいて、コールドプレート5の上面(上側アルミニウム合金板の外側面)と錘6との間、ならびに、コールドプレート5の下面(下側アルミニウム合金板の外側面)と土台4との間に、シリコンゴム製のクッション材10、10を配設するものである。
【0038】
また、コールドプレートを構成するアルミニウム合金板における温度の不均一性を防止するには、クッション材に加熱装置を備えるものを用いるのが好ましい。通常のゴムやフェルトから成るクッション材は、熱伝導性が低いため、コールドプレートを構成するアルミニウム合金板をサンドイッチするような形式で用いると、クッション材が断熱材として作用することから、コールドプレートを構成するアルミニウム合金板の全面が均一に昇温されず、温度分布に斑が生じてしまうためである。
【0039】
この問題の解決策として、例えば炉を用いて錘焼鈍する場合に、長時間かけて高温雰囲気中で圧着する手段も考えられる。しかしながら、高温雰囲気中で長時間圧着すれば、いずれはコールドプレート全面の温度分布は均一となるが、このような方法では、熱伝導性の高いプレートのエッジ部は、遮熱されたプレート内部より早く昇温され、かつ、長時間高温雰囲気中に晒されることから、接着フィルムがサイドに多く流れ出してしまい、接着層間の厚みのばらつきが大きくなり、接着強度に斑が生じることになる。また、接着フィルムの劣化が進行するため、プレートのエッジ近傍では接着力が大幅に低下する危険性もある。したがって、長時間にわたるコールドプレートの圧着は好ましくない。
【0040】
クッション材として通常のゴムやフェルトを用いた場合には上述した問題は不可避であるが、ここで内部にヒーター等の加熱装置を具備したクッション材を用いることにより改善できることを本発明者らは見出した。コールドプレートは圧着される際にクッション材自体からも加熱されることによって、短時間でプレート内部まで昇温可能とするものである。クッション材の内部に具備された加熱装置によって、コールドプレートの全面が均一に昇温できることになる。
【0041】
このような加熱装置としては、発熱部材を有するものであれば特に限定されるものではないが、線状や面状の形状を有する金属、カーボン、グラファイト等のヒーターが好適に用いられる。また、加熱装置は、圧着する際の荷重(通常は、0.05〜0.1MPa程度である)によって破損しないものを選択する必要がある。加熱装置付きクッション材の材質としては、耐熱性や耐破損性等を備えていれば特に制限されるものではないが、融点が200℃以上のシリコンゴム又はフッ素樹脂を用いるのが好ましい。また、クッション材10における加熱装置11の配置は、クッション内部において蛇行するように配置されていても良く(図2)、渦巻き状に配置されていても良く(図3)、又は、クッションの端辺に対して平行となるように一定の間隔を保って配置されていても良い(図4)。
【0042】
F.ダミープレート
より一層の均一荷重とするには、コールドプレート5を構成するアルミニウム合金板1と同じ面積のダミープレート12を、クッション材10のアルミニウム合金板1と反対側に配設して圧着することが好ましい。このようなダミープレートは、クッション材10を一つ使用する場合には、そのクッション材10のアルミニウム合金板1と反対側に配設され、クッション材10が二つ用いられる場合には、少なくともいずれか一方のクッション材10のアルミニウム合金板1と反対側に配設される。図5に示すように、好ましい実施態様では、コールドプレート5と錘6の間に配設されたクッション材10のアルミニウム合金板1とは反対側にのみダミープレート12が配設される。
【0043】
このようなダミープレートを用いることにより、錘焼鈍及びホットプレートによって圧着する際に、錘及びホットプレートの台座が接合面積よりも大きなサイズとなっていても、ダミープレートによってコールドプレートのエッジ部にかかる過剰な圧力が緩和され、接着面内の圧力分布が均一に保つことができる。ここで併用するダミープレートは、ヤング率の高い材質ほど好ましく、鉄鋼板が好ましい。またダミープレートの板厚は10mm以上であれば特に制約は無い。
【0044】
G.圧着における加圧
接着による圧着時には0.05〜0.1MPa程度の加圧を施す必要がある。加圧により、アルミニウム合金板の接着面と接着フィルムとの密着性が向上し、高い接着強度が得られる。更に、アルミニウム合金板の平坦部に設けられた冷却水溝との接線部に接着フィルムによるフィレットが形成される。ここで形成されたフィレットは冷却水の最高水圧である0.6MPaに対しても高いシーリング効果を発揮する。接着時において加圧される圧力が0.05MPa未満であるとフィレットは殆ど形成されず、0.1MPaを超えるとフィレット形成量が飽和し、加圧工程で無駄が生じる。
【実施例】
【0045】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明する。
実施例1
Al−Mg合金である5052合金に対し、テンパーをH112に調質した2765mm角の板厚20mmと板厚10mmの圧延板を用意した。板厚20mmのアルミニウム合金板には冷却水溝を加工した後、平坦度100μm/2765mmとなるように切削加工を施し、表面粗度Rzが3〜20μmとなるように表面仕上げ研削を施した。また、板厚10mmの冷却水溝のないアルミニウム合金板においても接着面の平坦度を100μm/2765mmとなるように切削加工を施し、表面粗度Rzが3〜20μmとなるように表面仕上げ研削を施した。次いで、これら2枚の圧延板をアルマイト処理した。ここで、表面粗度Rzが3〜20μmとは、接着面の表面に存在する各凹凸の凹部の底から凸部の頂までの長さの最大値が3〜20μmの範囲にあることを意味する。
【0046】
まず、クッション材を用いることによる加圧時の効果を調べるために、感圧紙を用いて圧力分布を測定した。
感圧紙を挟んで上記2枚のアルミニウム合金板を仮組みし、上方のアルミニウム合金板上に0.1MPaの圧力が加わるように30トンの錘を載置して10分後に、除荷して仮組みを解いた。
次に新たに感圧紙を挟んで同様に仮組みを行なった後、クッション材として硬度がJIS K 6253に定めるデュロメータータイプA型の測定において硬度がA70未満のシリコンゴムを、2枚のアルミニウム合金板から成るコールドプレートをサンドイッチするように、すなわち、上方のアルミニウム合金板の上部、ならびに、下方のアルミニウム合金板の下部に敷き、0.1MPaの圧力が加わるように30トンの錘をシリコンゴムの上に載置して10分後に、除荷して仮組みを解いた。
更に、上記硬度がA70未満のシリコンゴムに代えて硬度がA85の硬質ゴムを用いて、同様に0.1MPaの圧力が加わるように30トンの錘をシリコンゴムの上に載置して10分後に、除荷して仮組みを解いた。
【0047】
上記3パターンの圧着方法における圧力分布を比較するために感圧紙を比較観察した。結果を図6〜8に示す。クッション材を用いなかった場合の感圧紙13を図6に、硬度がA85の硬質ゴムを用いた場合の感圧紙13を図7に、硬度がA70未満の軟質ゴムを用いた場合の感圧紙13を図8にそれぞれ示す。これらの図中、黒色が濃い部分ほど大きな荷重が掛かっていることを示す。図6、7から明らかなように、クッション材としてのシリコンゴムを用いなかった場合、ならびに、クッション材として硬質ゴムを用いた場合には、プレートのエッジ部にしか荷重が掛かっていないことが分かる。一方、図8から、硬度がA70未満の軟質なシリコンゴムを挟んで荷重を掛けることにより、プレート全面に均一な荷重が掛かり易くなったことが明らかとなった。
【0048】
次に、接着剤を用いて2枚のアルミニウム合金板の接着処理を下記手順で行った。接着剤としては、ポリプロピレン(PP)を主成分とする熱溶融型の接着フィルムを用いた。この接着フィルムの膜厚は150μmであり、融点は139℃である。
【0049】
まず両部材間にフィルム状接着剤を挟んで仮組みを行ない、上方のアルミニウム合金板の上に上記硬度がA70未満のシリコンゴムからなるクッション材を載置した。次に仮組みした2枚のアルミニウム合金板部材の接合部に0.1MPaの圧力が加わるように、上記クッション材上に30トンの錘を載置し、このようにして組み込んだものを180℃に加熱された炉内に入れて1時間保持し、フィルムを溶融して接着を行なった。圧着温度Ta(180℃)は、Tm(139℃)+30℃<Ta<Tm(139℃)+90℃を満足する。また、このときのMFRは7.0g/10分であり、3〜7.5g/10分の条件を満たしていた。
なお、得られたコールドプレートは平坦度100μm/2765mm以上の目標に対して、平坦度50〜100μm/2765mmを達成していた。
【0050】
このようにして接着した2枚のアルミニウム合金板からなるコールドプレートに対して0.6MPa及び1MPaの水圧を加えて水圧テストを行なったところ、いずれの水圧においても水漏れは無かった。実際にコールドプレートとして使用される際の水圧は最大でも0.6MPaであるので、接着剤が十分なシーリング効果を有していることが分かる。これら製造条件と製造したコールドプレートの水圧テストの結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
表1からも分かるように、本発明により製造されるコールドプレート(試料1及び2)においては、耐水漏性も良好であり、剥離面観察結果においても凝固不良は殆ど生じていなかった。クッション材の硬度がA85°と70°を超えるもの(試料3及び4)では、凝固不良が少数ながら発生した。一方、クッション材を用いなかった試料5及び7においては、水漏れは生じなかったものの、剥離面には空気の巻込みによる凝固不良が多数観察され、更に、クッション材を用いなかった試料6及び8においては、凝固不良部からの水漏れも確認された。
【0053】
実施例2
実施例1で用いたのと同じ合金組成、平坦度及び形状を有するアルミニウム板を2枚用意し、実施例1と同様の方法で感圧紙を挟んで仮組みした。次いで、上方のアルミニウム合金板の上に上記硬度がA70未満のシリコンゴムからなるクッション材を載置し、さらにその上に上方アルミニウム合金板と同一のサイズを有する板厚10mmのアルミニウム板をダミープレートとして載置した。次に、仮組みした2枚のアルミニウム合金板部材の接合部に0.1MPaの圧力が加わるように、上記ダミープレート上に30トンの錘を載置して10分後に、除荷して仮組みを解いた。このときの感圧紙13の表面状態を図9に示す。
【0054】
図9と図8の比較により、軟質シリコンゴムとダミープレートを併用した場合には、軟質シリコンゴムのみを単独に使用した場合に比べ、図9における図中の黒色が図8のそれより更に濃くかつ均一になっており、より大きな荷重がより均一に掛かっていることを示す。このように、軟質シリコンゴムとダミープレートを併用した場合には、より一層、均一な圧力分布が得られているのが分かる。
【0055】
次に、接着剤を用いて2枚のアルミニウム合金板の接着処理を行った。接着処理は、実施例1において、硬度がA70未満のシリコンゴムからなるクッション材の上に、上方アルミニウム合金板と同一のサイズを有する板厚10mmのアルミニウム板をダミープレートとして載置した以外は、実施例1と同じ手順でフィルムを溶融し接着を行なった。圧着温度は、実施例1と同様にTm+30℃<Ta<Tmを満足し、このときのMFRは7.0g/10分であり、3〜7.5g/10分の条件を満たしていた。
なお、得られたコールドプレートは平坦度100μm/2765mm以上の目標に対して、平坦度50〜100μm/2765mmを達成していた。
【0056】
このようにして接着した2枚のアルミニウム合金板からなるコールドプレートに対して実施例1と同じ条件で水圧テストを行なったところ、いずれの水圧でも水漏れは無かった
。これら製造条件と製造したコールドプレートの水圧テストの結果を表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】
表2に記載した試料11及び12から明らかなように、クッション材に加えてダミープレートを併用した場合には、クッション材のみを用いた試料9及び10よりも更に凝固不良が改善されたことが分かる。
【0059】
実施例3
実施例1で用いたのと同じ合金組成、平坦度及び形状を有するアルミニウム板を2枚用意し、実施例1と同様の方法で感圧紙を挟んで仮組みした。次いで、上方のアルミニウム合金板の上に上記硬度がA70未満のシリコンゴムからなるクッション材を載置し、さらにその上に上方アルミニウム合金板と同一のサイズを有する板厚10mmのアルミニウム板をダミープレートとして載置した。このようにして組み込んだものを、焼鈍炉中に入れ180℃で1時間保持した。また、シリコンゴムから成るクッション材の代わりに加熱ヒーター付シリコンゴムから成るクッション材を用いて同様に組み込んだものを、焼鈍炉中において180℃で1時間保持した。なお加熱ヒーターは180℃にセットされている。その後、仮組みを解き、感熱紙を比較した。感熱紙の表面状態を図10及び11に示す。
【0060】
クッション材に加熱装置としてのヒーターが具備されている場合には図10のようにプレート中心部まで均一に昇温されていることが確認された。一方、クッション材にヒーターが備えられていない場合には、クッション材によって断熱されてしまうために、熱はプレートエッジ部からしか伝達されない。そしてプレート中心部まで均一に昇温されるためには16時間もの時間を要することが確認された。図11に示すように、クッション材にヒーターが備えられていない場合は温度分布が不均一な状態となり、中心部で接着フィルムの未溶融領域又は半溶融領域が形成されるため、その領域近傍では密着性が劣り、水漏れを誘発する。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上説明したように、本発明により、大型のコールドプレートを簡便に作製でき、更に、凝固不良を大幅に低減した接着強度の高い高品質な大型のコールドプレートを作製することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】クッション材を用いたパレットの組み立てを示す説明図である。
【図2】クッション材中の加熱装置(ヒーター)の配置を示す説明図である。
【図3】クッション材中の加熱装置(ヒーター)の配置を示す説明図である。
【図4】クッション材中の加熱装置(ヒーター)の配置を示す説明である。
【図5】クッション材及びダミープレートを用いたパレットの組み立てを示す説明図である。
【図6】クッション材を備えないコールドプレートに掛かる圧力の大きさ及び均一性を示す感圧紙表面の状態を示す状態図である。
【図7】硬質ゴムクッション材を備えたコールドプレートに掛かる圧力の大きさ及び均一性を示す感圧紙表面の状態を示す状態図である。
【図8】軟質ゴムクッション材を備えた本発明によるコールドプレートに掛かる圧力の大きさ及び均一性を示す感圧紙表面の状態を示す状態図である。
【図9】本発明によるコールドプレートに掛かる圧力の大きさ及び均一性を示す感圧紙表面の状態を示す状態図である。
【図10】本発明によるコールドプレートに掛かる圧力の大きさ及び均一性を示す感熱紙表面の状態を示す状態図である。
【図11】コールドプレートに掛かる圧力の大きさ及び均一性を示す感熱紙表面の状態を示す状態図である。
【図12】本発明のコールドプレートにおいてフィレットの形成状態を示す断面図である。
【図13】従来の各種コールドプレートの構造を模式的に示す断面図である。
【図14】従来の各種コールドプレートの構造を模式的に示す断面図である。
【図15】従来の各種コールドプレートの構造を模式的に示す断面図である。
【図16】接着層の剥離面の観察写真を示す。
【図17】接着層の剥離面の観察写真を示す。
【図18】凝固不良材と通常材との剥離強度を示すグラフである。
【図19】従来のパレットの組み立てを示す説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1 アルミニウム合金板又はアルミニウム圧延板
2 冷却水溝
3 凝固不良部
4 土台
5 コールドプレート
6 錘
7 銅管又はアルミニウム管
8 パッキン
9 ボルト
10 クッション材
11 加熱装置又はヒーター
12 ダミープレート
13 感圧紙又は感熱紙
14 フィレット
15 平坦部
16 面取り部
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶や半導体の製造における被処理ガラス基板の熱処理工程に使用される冷却装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LCD、PDP、EL、カラーフィルター等の表示デバイスを構成するガラス基板は様々な機能を持たせるために種々の成膜工程を経る。成膜工程においては、焼き付け工程や乾燥工程の他に、皮膜の化学変化を目的とした熱処理が施される場合が多い。
【0003】
例えば、液晶パネルを構成するガラス基板の場合、TFT形成のためのCVD処理、液晶配向膜の成膜、トップコートの成膜、シール剤乾燥、フォダミープレートジスト剤の焼き付けなどで熱処理が行なわれる。
各々の処理により温度は異なるが、加熱されたガラス基板の冷却が不均一であるとガラス基板内に熱的な歪が生じるため、寸法精度に悪影響を及ぼしたり、基板の破損が生じることがある。そのため、冷却時のガラス基板全体の温度分布は常に1℃程度以内に制御することが要求されている。
【0004】
従来、均一な冷却を行なうためにコールドプレート又はクールプレートと呼ばれる冷却水路が設けられた冷却板が用いられてきた。冷却板には熱伝導性が高く、安価なアルミニウム合金が使用される。冷却水路はコールドプレート全体が均一な温度になるように配置される。コールドプレートは加熱されたガラス基板に数百ミクロン程度の距離をおいて配置され、ガラス基板の熱を均一になお且つ徐々に奪う。
【0005】
図13〜15に示すように、コールドプレートとしては主に3つのタイプのものが用いられている。
A.銅管又はアルミニウム管7にアルミニウム圧延板1を溶接したもの(図13)
B.銅管7を鋳込んだアルミニウム鋳塊を切削加工したもの(図14)
C.冷却水溝2とパッキン8の溝を有するアルミニウム圧延板1と平坦なアルミニウム圧延板1を挟んで、ボルト9で締めたもの(図15)
【0006】
表示ディスプレイは年々の大型化が進んでおり、より大型のガラス基板の製造が要求されている。例えば液晶ディスプレイは、現在、第4世代、第5世代と呼ばれる730×920mm、1215×1315mmサイズのものが主に製造されているが、第6世代では1705×2015mmサイズのガラス基板の製造が要求される。さらに、第8世代では、2315×2765mmサイズのガラス基板の製造が要求される。
このようなガラス基板の大型化に伴い、ガラス基板自体のハンドリングや寸法精度の要求が厳しくなると同時に、コールドプレートや製造周辺機器の寸法精度や製造コストへの要求も厳しくなっている
【0007】
上記各種コールドプレートには大型化に伴い以下に示すような問題点が挙げられる。
Aのタイプのコールドプレートはパイプと圧延板の溶接に起因する熱歪により平坦度が損なわれる恐れがある。また大型化に伴い溶接部分の増加が考えられるので製造コストが増大する。更に、パイプがアルミニウム板と異種材料の場合には、リサイクル性が損なわれる。
【0008】
Bのタイプのコールドプレートは、要求された平坦度をクリアするために切削加工又は研削加工が必要である。大型化に伴い大面積の高精度切削加工等が要求される。更に、大型になるほどパイプを正確な位置に鋳込むことが困難となる。また、鋳造欠陥による歩留まりの低下が懸念され、材料強度は圧延材料に比べて劣る。
【0009】
Cのタイプのコールドプレートは高精度に寸法が制御された圧延板に溝加工を施し、溝加工面を接合面とする組み合わせで要求される寸法精度を達成できるが、大型化に伴うパッキンの配置、ボルト締めの工数を考えるとコスト増大が不可避である。5世代型では、パッキン締め付けのため300程度のボルト締結個所があるが、第6〜8世代では600個所に増加すると見られている。特開平05−213299で紹介されているような複数ボルトを締結する工具を用いるとしても大変な作業であることには変わりがない。
【特許文献1】特開平05−213299号公報
【0010】
上記A〜Cによるコールドプレートの製造方法とは別に、アルミニウム合金等の金属板同士を接着剤によって圧着することも考えられる。接着剤による金属同士の圧着技術は古くから確立されているが、板厚が10〜20mm程度と厚く、接着面積も広面積のコールドプレート用アルミニウム合金板の良好な圧着は困難であった。例えば、アルミニウム合金板同士の圧着において錘等によって荷重を加える方式を採用する場合、単純に錘による荷重を掛けるのみでは弾性的な変形を起こし難く、接着面に均一な荷重を加えることができない。その結果、荷重のかからない箇所や荷重が低い箇所では、取り込まれた空気が抜け切らず、空気を取り込んだまま接着層が凝固するといった、いわゆる凝固不良を起こす問題点があった。図16に、このような凝固不良部3を有する接着層の剥離面を示し、図17には、凝固不良部を有しない接着層の剥離面を示す。
【0011】
このような凝固不良を起こした箇所では、例えば図18に示すように、圧着したアルミニウム合金板からなるコールドプレートの接着強度が極端に低下する。図において、凝固不良部を有するコールドプレート(凝固不良材)は、凝固不良部を有しないコールドプレート(通常材)と比較すると、8(N/mm2)以上の剥離強度を目標値とした場合、通常材では12(N/mm2)の剥離強度が達成されるのに対して、2(N/mm2)の剥離強度しか得られない。このような凝固不良材に水圧が加わると、凝固不良部が容易に剥離してしまい、目標とする耐水圧性が十分に得られない。さらには、アルミニウム合金板間に生じた隙間が接着層の厚さよりも大きく、接着層によって完全にシーリングされない場合には、水漏れの原因となる。
【0012】
また、一般に、接着面積が大きなアルミニウム合金板等の被着体を例えば錘焼鈍によって圧着する場合には、焼鈍炉の雰囲気が目標とする圧着温度に到達していても、錘等による断熱作用によってコールドプレート自体の内部まで均一に加熱し昇温することが困難である。コールドプレート自体が均一に昇温されず、プレート内部の実体温度が低い場合には、例えば樹脂フィルム等の接着剤が完全に溶融しきれず半溶融状態となって残留するため、その領域における密着性は著しく低下する問題点があった。逆に、内部の実体温度が目標温度に到達するまで長時間焼鈍すると、プレートのエッジ近傍では樹脂フィルムの溶融状態が長時間続くために、サイドに溶融した樹脂フィルムが流出してしまい、厚みが不均一となってしまう問題点もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、接合面の接着強度を高めるためにクッション材、又は、クッション材及びダミープレートを用い、接合するアルミニウム合金板の接着面に均一な荷重を加えることによって、接着面の凝固不良を大幅に低減し、寸法制度に優れた高品質な大型のコールドプレートを簡便に製造することを第1の課題とし、さらには、低コスト、リサイクル性の向上を第2の課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは鋭意研究の結果、具体的にはホットプレス機又は炉を用いた錘焼鈍によって圧着する際に、クッション材を用いることにより、或いは、クッション材とダミープレートを併用することにより、上記課題を解決できることに想到し本発明を完成させるに至った。
【0015】
本発明は請求項1において、少なくとも一方に冷却水溝を有する2枚のアルミニウム合金板の平坦部同士を接着フィルムにより圧着するコールドプレートの製造方法であって、ホットプレス機又は炉を用いた錘焼鈍によって前記アルミニウム合金板同士を圧着する際に、前記2枚のアルミニウム合金板の少なくとも一方の圧着側と反対側に、JIS K 6253に定めるデュロメータータイプA型の測定においてA70未満の硬度を有するクッション材を配設し、前記2枚のアルミニウム合金板の接着面に均一な荷重を加えながら圧着することを特徴とするコールドプレートの製造方法とした。
【0016】
本発明は請求項2において、前記クッション材のアルミニウム合金板と反対側に、前記アルミニウム合金板と同じ面積を有するダミープレートを配設するようにした。また、本発明は請求項3において、前記クッション材が加熱装置を備えるようにした。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、コールドプレートを構成する2枚のアルミニウム合金板の少なくとも一方の圧着側と反対側にクッション材が配設される。これにより、接合面の平坦度が必ずしも理想平面でなくとも、接着面に均一な荷重が加えられるので凝固不良の発生が防止される。このようなクッション材は、JIS K 6253に定めるデュロメータータイプA型の測定においてA70未満の硬度を有する。
【0018】
本発明では、前記クッション材のアルミニウム合金板と反対側に、前記アルミニウム合金板と同じ面積を有するダミープレートを配設するようにした。これにより、接着面により一層均一な荷重が加えられるので凝固不良の発生がより防止される。例えば、錘焼鈍及びホットプレートを備えたホットプレス機を用いる圧着では、通常、錘及びホットプレートの台座が接合面積よりも大きなサイズとなっている。そのため、接着面のサイズからはみ出した錘および台座は、自重によってたわみ、コールドプレートのエッジ部に過剰な圧力が加わり、接着面内の圧力分布が均一に保てないことになる。上記クッション材により、このような不都合が解消可能である。
【0019】
本発明では、前記クッション材が加熱装置を備えるようにした。このような加熱装置は、例えば、クッション材の内部又は周囲に設けられる。このような加熱装置により、短時間で大型プレートの内部にまで均一に昇温することが可能となる。
【0020】
本発明に係るコールドプレートの製造方法によって、シール性に優れた大型のコールドプレートを簡便に提供できる。さらに、本発明により製造されたコールドプレートは、製造コストも安価で、異材を含まないためにリサイクル性にも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明のコールドプレートは、上記した従来のCタイプのコールドプレートからパッキンとパッキン溝を廃し、かつ、ボルト締結を大幅に削減又は廃したものを、接着による圧着によって接合する際に、クッション材を用いることにより、或いは、クッション材とダミープレートを併用することにより、さらに接着力を大幅に改善したものである。
【0022】
A.アルミニウム合金板
コールドプレートを構成する主部材であるアルミニウム合金板は熱間圧延が可能であれば合金組成に特に制約はない。アルミニウム合金板は厚さ数百mmのブロック状の鋳塊を目標板圧の数十mmまで熱間圧延して製造する。熱間圧延を施すことにより、鋳塊中に存在する微細な空孔が圧着され、材質、強度が良化する。圧延は板の平坦度が大幅に損なわれないように制御して行なう。また、圧延後には目標の寸法精度に近付けるために焼鈍矯正又は加工により表面切削及び表面研削を行なうことが多い。2枚の圧延板を合わせたときに200μm/2765mm以上の平坦度を得るために、各板の平坦度を100μm/2765mm以上とする。
ここで、金属板の平坦度とは、基準となる常盤上に平坦度を有する側が接するように所定長さの金属板を載置し、平坦部と常盤との間に生じる長さ方向に沿った隙間の厚さ方向における最大値として定義されるものである。例えば、平坦度が100μm/2765mm以上とは、任意幅で長さが2765mmの金属板を常盤上に載置した際の、金属板と常盤との間に生じる長さ方向に沿った隙間の厚さ方向における最大値が100μmということである。
なお、本発明における「アルミニウム合金板」は、アルミニウムと他の金属からなるアルミニウム合金板だけでなく、純アルミニウム板も含むものとする。
【0023】
本発明で用いるアルミニウム合金板には、接合する2枚のアルミニウム合金板の少なくとも一方に冷却水溝が設けられる。冷却水溝は重ね合わせる片方のアルミニウム合金板のみに形成されていても、両方に形成されていてもよい。また、両方に形成する場合、両方の板の同じ位置に半断面ずつ形成されていても、片側の板に全断面の冷却水溝が形成されたものが上下交互に配列しても良い。
【0024】
B.接着フィルム
本発明では、2枚のアルミニウム合金板を圧着して接合するのにフィルム状の接着剤(接着フィルム)が用いられる。このような接着フィルムとしては、アルミニウム合金板の接着面に挟んで加熱することにより熱溶し、その後に冷却して接着する「ホットメルト型」のものが好適に用いられる。
【0025】
従来、アルミニウム合金等の金属同士を接着フィルムによって接着する技術は、古くから確立されていたが、ホットメルト型の接着フィルムでは、接着部分の密着性を向上させるべく接着層から空気を廃するのが極めて困難なため、コールドプレートのような高気密性が要求される用途ではホットメルト型の接着フィルムを使用できなかった。一方、ホットメルト型の接着フィルムは、接着剤や熱硬化型の接着フィルムに比べて低コストである上に利便性に優れる利点を有する。本発明者らは、ホットメルト型接着フィルムによる圧着条件を選択することにより、コールドプレートを良好に接合できることを見出した。
【0026】
このようなホットメルト型の接着フィルムとしては、ポリプロピレン系接着フィルム、エポキシ系接着フィルム、ポリオレフィン系接着フィルム、ウレタン系接着フィルム、フェノール系接着フィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)系接着フィルム等の合成樹脂製接着フィルムであって、耐水性に優れたものが用いられる。このような接着フィルムを用いることにより、接着層の厚み精度を高く維持できる。さらに、接着フィルムは両アルミニウム合金板の接合部への挟み込みが容易であるため、コールドプレートの生産性にも優れている。
【0027】
上記ホットメルト型接着フィルムによる圧着条件は適宜選択されるところであるが、接着温度をTa、ホットメルト型接着フィルムの融点をTmとしたときに、Tm+30℃<Ta<Tm+90℃を満足する加熱条件、ならびに、ホットメルト型接着フィルムの溶融流れ速度(メルトフローレート、以下「MFR」と記す)が3〜7.5g/10分となる条件の少なくともいずれか一方を満たす条件を選択して圧着することにより、コールドプレートの接着層に凝固不良のない極めて良好な接合が可能となることを見出した。なお、上記加熱条件及び上記MFR条件の双方を共に満たすことによって圧着接合するのが好ましい。
ここで、MFRとは、一般的な測定方法に従った、シリンダーの中で180℃に加熱したホットメルト型接着フィルムに0.1MPaの圧力をかけて、細孔(オリフィス)から10分間に流出する樹脂の重量である。
【0028】
上記加熱条件に関し、TaがTm+30℃以下となる圧着温度、又は、MFRが3g/10分未満では、圧着時に溶融した接着フィルムが十分な流動性を備えることができない
。従って、接着面と接着フィルムとの層間に取り込まれた空気を押し流すことができず、接着層に凝固不良が多く発生し十分な密着強度が得られず、耐水性が劣ることになる。そして、最悪の場合には、このような凝固不良箇所から水漏れが起こることになる。更に、溶融した接着フィルムの十分な流動性が得られない場合には、圧着時に後述のフィレットが形成されず、十分なシーリング効果が得られない。
【0029】
一方、TaがTm+90℃以上となる圧着温度、又は、MFRが7.5g/10分を超えると、圧着時に流動性が高くなり過ぎてしまう。従って、加圧と同時に溶融した接着フィルムが局所的にサイドに流出してしまい、凝固後の接着層の厚みが極端に薄くなる。その結果、平坦度が十分でない部分では接着フィルムの膜切れが生じるため十分な密着性が得られず、耐リーク性が劣って水漏れの原因となる。更に、溶融した接着フィルムの流動性が大き過ぎると、アルミニウム合金板の平坦部と冷却水溝との接線部(冷却水溝の側面と金属板の接合面が交差する線部)に溶融したフィルムが保持されないため、後述するような良好なフィレットが形成されない。
【0030】
そこで、上記加熱条件又はMFR条件を採用することにより、接合面の平坦性不具合から生じる接合面の荷重分布不均一性を改善し、凝固不良を低減することができる。
【0031】
ここで、耐リーク性に更に優れたコールドプレートを提供するために、圧着時に流動した溶融接着フィルムによって冷却水溝接線部にフィレット14が形成可能となるように、アルミニウム合金板の平坦部15と冷却水溝2との接線部を面取りすることが好ましい(図12)。フィレットの形成により、シーリング効果を高めることができるからである。面取り量は接着層の厚みにもよるが、各辺長さ100〜200μm程度が適当であり、接着時の加圧は0.05〜0.1MPa程度が好ましい。接着時の加圧が0.05MPa未満であるとフィレットは殆ど形成されず、0.1MPaを超えたのではその効果が飽和し、加圧工程で無駄が生じる。面取り部(図12の16)の形状は、接着フィルムによるフィレットが形成されれば特に制約はない。一般的な角度である45°の傾斜面でも、その他の角度でも、さらには曲率を有した面でもよい。このような面取り加工を施すことによって、良好なフィレットを形成し易くなる。
【0032】
C.圧着の前処理
アルミニウム合金板には、圧着の前処理として、脱脂洗浄、陽極酸化処理を行なうことが好ましい。陽極酸化処理により、冷却水路及び外表面の耐食性と外表面の耐疵付き性が向上する。また、陽極酸化処理後に接着面に封孔処理を施さなければアンカー効果による接着強度の上昇が期待できる。
また、コールドプレート外表面(非接着面)については陽極酸化処理以外にメッキ処理、遠赤外線塗料の塗布などを施し、熱交換能力の向上を図るのが好ましい。
【0033】
D.ホットプレス機、炉と錘
本発明では、ホットプレス機を用いた焼鈍、或いは、炉中における錘焼鈍によって2枚のアルミニウム合金板が圧着される。ホットプレス機、炉、錘の構造は、特に限定されるものではない。ホットプレス機としては、クッション材やダミープレートと共に2枚のアルミニウム合金板を挟む上下2枚のホットプレートからなる構造のものが通常用いられる。特に、上方のホットプレートが錘としても作用するタイプのもの、上下プレートが油圧等により締め付けられるタイプのもの等が好適に用いられる。また、ホットプレートとは別に錘を用意して、上方のホットプレート上に錘を載置して用いてもよい。ホットプレス機のホットプレートを所定温度に加熱し、間に挟んだアルミニウム合金板を所定時間の加熱して圧着する。
【0034】
また、炉による錘焼鈍では、炉内において土台上に、クッション材やダミープレートと共にアルミニウム合金板を載置し、その上に鉄錘等の錘を載置して、土台と錘によってクッション材やダミープレートと共に2枚のアルミニウム合金板を挟み、炉内を所定温度で所定時間維持し合金板を圧着する。この場合、炉としては、内部温度ができるだけ均一に保持可能なものが好適に用いられる。
【0035】
E.クッション材
本発明では、アルミニウム合金板の少なくとも一方の圧着側と反対側にクッション材が配設される。クッション材を用いることにより、接合面の凹凸が大きくても、荷重を均一に分散させることが可能となる。2枚のアルミニウム合金板のいずれか一方と、これと対面する錘(ホットプレート)又は土台(ホットプレート)との間に、クッション材を配設してもよく、或いは、両アルミニウム合金板と、これらと対面する錘(ホットプレート)との間、ならびに、土台(ホットプレート)との間のいずれにもクッション材を配設してもよい。接着面により均一な荷重を加えるには、両アルミニウム合金板と、これらと対面する錘(ホットプレート)及び土台(ホットプレート)とのいずれの間にもクッション材を配設するのが好ましい。
【0036】
このようなクッション材は、JIS K 6253に定めるデュロメータータイプA型の測定においてA70未満の硬度を有するものが好適に用いられる。クッション材の材質にはゴムやフェルトを選択することが好ましいが、硬度がA70未満で耐熱性に優れていれば特に制約は無い。硬度がA70以上の硬質材を用いると、クッション材としての効果が半減し、接着面に荷重を均一に加えることができない。
【0037】
ここで、クッション材としてシリコンゴムを使用した場合のパレットの積み立てを図1に、クッション材を使用しない場合のパレットの積み立てを図19に示す。図19では、土台4上にアルミニウム合金板1からなるコールドプレート5を載置し、更にコールドプレート5上に鉄錘等の錘6を載置するものである。これに対して本発明では、図19に示すパレットの積み立てにおいて、コールドプレート5の上面(上側アルミニウム合金板の外側面)と錘6との間、ならびに、コールドプレート5の下面(下側アルミニウム合金板の外側面)と土台4との間に、シリコンゴム製のクッション材10、10を配設するものである。
【0038】
また、コールドプレートを構成するアルミニウム合金板における温度の不均一性を防止するには、クッション材に加熱装置を備えるものを用いるのが好ましい。通常のゴムやフェルトから成るクッション材は、熱伝導性が低いため、コールドプレートを構成するアルミニウム合金板をサンドイッチするような形式で用いると、クッション材が断熱材として作用することから、コールドプレートを構成するアルミニウム合金板の全面が均一に昇温されず、温度分布に斑が生じてしまうためである。
【0039】
この問題の解決策として、例えば炉を用いて錘焼鈍する場合に、長時間かけて高温雰囲気中で圧着する手段も考えられる。しかしながら、高温雰囲気中で長時間圧着すれば、いずれはコールドプレート全面の温度分布は均一となるが、このような方法では、熱伝導性の高いプレートのエッジ部は、遮熱されたプレート内部より早く昇温され、かつ、長時間高温雰囲気中に晒されることから、接着フィルムがサイドに多く流れ出してしまい、接着層間の厚みのばらつきが大きくなり、接着強度に斑が生じることになる。また、接着フィルムの劣化が進行するため、プレートのエッジ近傍では接着力が大幅に低下する危険性もある。したがって、長時間にわたるコールドプレートの圧着は好ましくない。
【0040】
クッション材として通常のゴムやフェルトを用いた場合には上述した問題は不可避であるが、ここで内部にヒーター等の加熱装置を具備したクッション材を用いることにより改善できることを本発明者らは見出した。コールドプレートは圧着される際にクッション材自体からも加熱されることによって、短時間でプレート内部まで昇温可能とするものである。クッション材の内部に具備された加熱装置によって、コールドプレートの全面が均一に昇温できることになる。
【0041】
このような加熱装置としては、発熱部材を有するものであれば特に限定されるものではないが、線状や面状の形状を有する金属、カーボン、グラファイト等のヒーターが好適に用いられる。また、加熱装置は、圧着する際の荷重(通常は、0.05〜0.1MPa程度である)によって破損しないものを選択する必要がある。加熱装置付きクッション材の材質としては、耐熱性や耐破損性等を備えていれば特に制限されるものではないが、融点が200℃以上のシリコンゴム又はフッ素樹脂を用いるのが好ましい。また、クッション材10における加熱装置11の配置は、クッション内部において蛇行するように配置されていても良く(図2)、渦巻き状に配置されていても良く(図3)、又は、クッションの端辺に対して平行となるように一定の間隔を保って配置されていても良い(図4)。
【0042】
F.ダミープレート
より一層の均一荷重とするには、コールドプレート5を構成するアルミニウム合金板1と同じ面積のダミープレート12を、クッション材10のアルミニウム合金板1と反対側に配設して圧着することが好ましい。このようなダミープレートは、クッション材10を一つ使用する場合には、そのクッション材10のアルミニウム合金板1と反対側に配設され、クッション材10が二つ用いられる場合には、少なくともいずれか一方のクッション材10のアルミニウム合金板1と反対側に配設される。図5に示すように、好ましい実施態様では、コールドプレート5と錘6の間に配設されたクッション材10のアルミニウム合金板1とは反対側にのみダミープレート12が配設される。
【0043】
このようなダミープレートを用いることにより、錘焼鈍及びホットプレートによって圧着する際に、錘及びホットプレートの台座が接合面積よりも大きなサイズとなっていても、ダミープレートによってコールドプレートのエッジ部にかかる過剰な圧力が緩和され、接着面内の圧力分布が均一に保つことができる。ここで併用するダミープレートは、ヤング率の高い材質ほど好ましく、鉄鋼板が好ましい。またダミープレートの板厚は10mm以上であれば特に制約は無い。
【0044】
G.圧着における加圧
接着による圧着時には0.05〜0.1MPa程度の加圧を施す必要がある。加圧により、アルミニウム合金板の接着面と接着フィルムとの密着性が向上し、高い接着強度が得られる。更に、アルミニウム合金板の平坦部に設けられた冷却水溝との接線部に接着フィルムによるフィレットが形成される。ここで形成されたフィレットは冷却水の最高水圧である0.6MPaに対しても高いシーリング効果を発揮する。接着時において加圧される圧力が0.05MPa未満であるとフィレットは殆ど形成されず、0.1MPaを超えるとフィレット形成量が飽和し、加圧工程で無駄が生じる。
【実施例】
【0045】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明する。
実施例1
Al−Mg合金である5052合金に対し、テンパーをH112に調質した2765mm角の板厚20mmと板厚10mmの圧延板を用意した。板厚20mmのアルミニウム合金板には冷却水溝を加工した後、平坦度100μm/2765mmとなるように切削加工を施し、表面粗度Rzが3〜20μmとなるように表面仕上げ研削を施した。また、板厚10mmの冷却水溝のないアルミニウム合金板においても接着面の平坦度を100μm/2765mmとなるように切削加工を施し、表面粗度Rzが3〜20μmとなるように表面仕上げ研削を施した。次いで、これら2枚の圧延板をアルマイト処理した。ここで、表面粗度Rzが3〜20μmとは、接着面の表面に存在する各凹凸の凹部の底から凸部の頂までの長さの最大値が3〜20μmの範囲にあることを意味する。
【0046】
まず、クッション材を用いることによる加圧時の効果を調べるために、感圧紙を用いて圧力分布を測定した。
感圧紙を挟んで上記2枚のアルミニウム合金板を仮組みし、上方のアルミニウム合金板上に0.1MPaの圧力が加わるように30トンの錘を載置して10分後に、除荷して仮組みを解いた。
次に新たに感圧紙を挟んで同様に仮組みを行なった後、クッション材として硬度がJIS K 6253に定めるデュロメータータイプA型の測定において硬度がA70未満のシリコンゴムを、2枚のアルミニウム合金板から成るコールドプレートをサンドイッチするように、すなわち、上方のアルミニウム合金板の上部、ならびに、下方のアルミニウム合金板の下部に敷き、0.1MPaの圧力が加わるように30トンの錘をシリコンゴムの上に載置して10分後に、除荷して仮組みを解いた。
更に、上記硬度がA70未満のシリコンゴムに代えて硬度がA85の硬質ゴムを用いて、同様に0.1MPaの圧力が加わるように30トンの錘をシリコンゴムの上に載置して10分後に、除荷して仮組みを解いた。
【0047】
上記3パターンの圧着方法における圧力分布を比較するために感圧紙を比較観察した。結果を図6〜8に示す。クッション材を用いなかった場合の感圧紙13を図6に、硬度がA85の硬質ゴムを用いた場合の感圧紙13を図7に、硬度がA70未満の軟質ゴムを用いた場合の感圧紙13を図8にそれぞれ示す。これらの図中、黒色が濃い部分ほど大きな荷重が掛かっていることを示す。図6、7から明らかなように、クッション材としてのシリコンゴムを用いなかった場合、ならびに、クッション材として硬質ゴムを用いた場合には、プレートのエッジ部にしか荷重が掛かっていないことが分かる。一方、図8から、硬度がA70未満の軟質なシリコンゴムを挟んで荷重を掛けることにより、プレート全面に均一な荷重が掛かり易くなったことが明らかとなった。
【0048】
次に、接着剤を用いて2枚のアルミニウム合金板の接着処理を下記手順で行った。接着剤としては、ポリプロピレン(PP)を主成分とする熱溶融型の接着フィルムを用いた。この接着フィルムの膜厚は150μmであり、融点は139℃である。
【0049】
まず両部材間にフィルム状接着剤を挟んで仮組みを行ない、上方のアルミニウム合金板の上に上記硬度がA70未満のシリコンゴムからなるクッション材を載置した。次に仮組みした2枚のアルミニウム合金板部材の接合部に0.1MPaの圧力が加わるように、上記クッション材上に30トンの錘を載置し、このようにして組み込んだものを180℃に加熱された炉内に入れて1時間保持し、フィルムを溶融して接着を行なった。圧着温度Ta(180℃)は、Tm(139℃)+30℃<Ta<Tm(139℃)+90℃を満足する。また、このときのMFRは7.0g/10分であり、3〜7.5g/10分の条件を満たしていた。
なお、得られたコールドプレートは平坦度100μm/2765mm以上の目標に対して、平坦度50〜100μm/2765mmを達成していた。
【0050】
このようにして接着した2枚のアルミニウム合金板からなるコールドプレートに対して0.6MPa及び1MPaの水圧を加えて水圧テストを行なったところ、いずれの水圧においても水漏れは無かった。実際にコールドプレートとして使用される際の水圧は最大でも0.6MPaであるので、接着剤が十分なシーリング効果を有していることが分かる。これら製造条件と製造したコールドプレートの水圧テストの結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
表1からも分かるように、本発明により製造されるコールドプレート(試料1及び2)においては、耐水漏性も良好であり、剥離面観察結果においても凝固不良は殆ど生じていなかった。クッション材の硬度がA85°と70°を超えるもの(試料3及び4)では、凝固不良が少数ながら発生した。一方、クッション材を用いなかった試料5及び7においては、水漏れは生じなかったものの、剥離面には空気の巻込みによる凝固不良が多数観察され、更に、クッション材を用いなかった試料6及び8においては、凝固不良部からの水漏れも確認された。
【0053】
実施例2
実施例1で用いたのと同じ合金組成、平坦度及び形状を有するアルミニウム板を2枚用意し、実施例1と同様の方法で感圧紙を挟んで仮組みした。次いで、上方のアルミニウム合金板の上に上記硬度がA70未満のシリコンゴムからなるクッション材を載置し、さらにその上に上方アルミニウム合金板と同一のサイズを有する板厚10mmのアルミニウム板をダミープレートとして載置した。次に、仮組みした2枚のアルミニウム合金板部材の接合部に0.1MPaの圧力が加わるように、上記ダミープレート上に30トンの錘を載置して10分後に、除荷して仮組みを解いた。このときの感圧紙13の表面状態を図9に示す。
【0054】
図9と図8の比較により、軟質シリコンゴムとダミープレートを併用した場合には、軟質シリコンゴムのみを単独に使用した場合に比べ、図9における図中の黒色が図8のそれより更に濃くかつ均一になっており、より大きな荷重がより均一に掛かっていることを示す。このように、軟質シリコンゴムとダミープレートを併用した場合には、より一層、均一な圧力分布が得られているのが分かる。
【0055】
次に、接着剤を用いて2枚のアルミニウム合金板の接着処理を行った。接着処理は、実施例1において、硬度がA70未満のシリコンゴムからなるクッション材の上に、上方アルミニウム合金板と同一のサイズを有する板厚10mmのアルミニウム板をダミープレートとして載置した以外は、実施例1と同じ手順でフィルムを溶融し接着を行なった。圧着温度は、実施例1と同様にTm+30℃<Ta<Tmを満足し、このときのMFRは7.0g/10分であり、3〜7.5g/10分の条件を満たしていた。
なお、得られたコールドプレートは平坦度100μm/2765mm以上の目標に対して、平坦度50〜100μm/2765mmを達成していた。
【0056】
このようにして接着した2枚のアルミニウム合金板からなるコールドプレートに対して実施例1と同じ条件で水圧テストを行なったところ、いずれの水圧でも水漏れは無かった
。これら製造条件と製造したコールドプレートの水圧テストの結果を表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】
表2に記載した試料11及び12から明らかなように、クッション材に加えてダミープレートを併用した場合には、クッション材のみを用いた試料9及び10よりも更に凝固不良が改善されたことが分かる。
【0059】
実施例3
実施例1で用いたのと同じ合金組成、平坦度及び形状を有するアルミニウム板を2枚用意し、実施例1と同様の方法で感圧紙を挟んで仮組みした。次いで、上方のアルミニウム合金板の上に上記硬度がA70未満のシリコンゴムからなるクッション材を載置し、さらにその上に上方アルミニウム合金板と同一のサイズを有する板厚10mmのアルミニウム板をダミープレートとして載置した。このようにして組み込んだものを、焼鈍炉中に入れ180℃で1時間保持した。また、シリコンゴムから成るクッション材の代わりに加熱ヒーター付シリコンゴムから成るクッション材を用いて同様に組み込んだものを、焼鈍炉中において180℃で1時間保持した。なお加熱ヒーターは180℃にセットされている。その後、仮組みを解き、感熱紙を比較した。感熱紙の表面状態を図10及び11に示す。
【0060】
クッション材に加熱装置としてのヒーターが具備されている場合には図10のようにプレート中心部まで均一に昇温されていることが確認された。一方、クッション材にヒーターが備えられていない場合には、クッション材によって断熱されてしまうために、熱はプレートエッジ部からしか伝達されない。そしてプレート中心部まで均一に昇温されるためには16時間もの時間を要することが確認された。図11に示すように、クッション材にヒーターが備えられていない場合は温度分布が不均一な状態となり、中心部で接着フィルムの未溶融領域又は半溶融領域が形成されるため、その領域近傍では密着性が劣り、水漏れを誘発する。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上説明したように、本発明により、大型のコールドプレートを簡便に作製でき、更に、凝固不良を大幅に低減した接着強度の高い高品質な大型のコールドプレートを作製することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】クッション材を用いたパレットの組み立てを示す説明図である。
【図2】クッション材中の加熱装置(ヒーター)の配置を示す説明図である。
【図3】クッション材中の加熱装置(ヒーター)の配置を示す説明図である。
【図4】クッション材中の加熱装置(ヒーター)の配置を示す説明である。
【図5】クッション材及びダミープレートを用いたパレットの組み立てを示す説明図である。
【図6】クッション材を備えないコールドプレートに掛かる圧力の大きさ及び均一性を示す感圧紙表面の状態を示す状態図である。
【図7】硬質ゴムクッション材を備えたコールドプレートに掛かる圧力の大きさ及び均一性を示す感圧紙表面の状態を示す状態図である。
【図8】軟質ゴムクッション材を備えた本発明によるコールドプレートに掛かる圧力の大きさ及び均一性を示す感圧紙表面の状態を示す状態図である。
【図9】本発明によるコールドプレートに掛かる圧力の大きさ及び均一性を示す感圧紙表面の状態を示す状態図である。
【図10】本発明によるコールドプレートに掛かる圧力の大きさ及び均一性を示す感熱紙表面の状態を示す状態図である。
【図11】コールドプレートに掛かる圧力の大きさ及び均一性を示す感熱紙表面の状態を示す状態図である。
【図12】本発明のコールドプレートにおいてフィレットの形成状態を示す断面図である。
【図13】従来の各種コールドプレートの構造を模式的に示す断面図である。
【図14】従来の各種コールドプレートの構造を模式的に示す断面図である。
【図15】従来の各種コールドプレートの構造を模式的に示す断面図である。
【図16】接着層の剥離面の観察写真を示す。
【図17】接着層の剥離面の観察写真を示す。
【図18】凝固不良材と通常材との剥離強度を示すグラフである。
【図19】従来のパレットの組み立てを示す説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1 アルミニウム合金板又はアルミニウム圧延板
2 冷却水溝
3 凝固不良部
4 土台
5 コールドプレート
6 錘
7 銅管又はアルミニウム管
8 パッキン
9 ボルト
10 クッション材
11 加熱装置又はヒーター
12 ダミープレート
13 感圧紙又は感熱紙
14 フィレット
15 平坦部
16 面取り部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方に冷却水溝を有する2枚のアルミニウム合金板の平坦部同士を接着フィルムにより圧着するコールドプレートの製造方法であって、ホットプレス機又は炉を用いた錘焼鈍によって前記アルミニウム合金板同士を圧着する際に、前記2枚のアルミニウム合金板の少なくとも一方の圧着側と反対側に、JIS K 6253に定めるデュロメータータイプA型の測定においてA70未満の硬度を有するクッション材を配設し、前記2枚のアルミニウム合金板の接着面に均一な荷重を加えながら圧着することを特徴とするコールドプレートの製造方法。
【請求項2】
前記クッション材のアルミニウム合金板と反対側に、前記アルミニウム合金板と同じ面積を有するダミープレートを配設する、請求項1に記載のコールドプレートの製造方法。
【請求項3】
前記クッション材が加熱装置を備える、請求項1又は2に記載のコールドプレートの製造方法。
【請求項1】
少なくとも一方に冷却水溝を有する2枚のアルミニウム合金板の平坦部同士を接着フィルムにより圧着するコールドプレートの製造方法であって、ホットプレス機又は炉を用いた錘焼鈍によって前記アルミニウム合金板同士を圧着する際に、前記2枚のアルミニウム合金板の少なくとも一方の圧着側と反対側に、JIS K 6253に定めるデュロメータータイプA型の測定においてA70未満の硬度を有するクッション材を配設し、前記2枚のアルミニウム合金板の接着面に均一な荷重を加えながら圧着することを特徴とするコールドプレートの製造方法。
【請求項2】
前記クッション材のアルミニウム合金板と反対側に、前記アルミニウム合金板と同じ面積を有するダミープレートを配設する、請求項1に記載のコールドプレートの製造方法。
【請求項3】
前記クッション材が加熱装置を備える、請求項1又は2に記載のコールドプレートの製造方法。
【図2】
【図3】
【図4】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図1】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図3】
【図4】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図1】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−326591(P2006−326591A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−149019(P2005−149019)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(000107538)古河スカイ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(000107538)古河スカイ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】
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