説明

コールフロー作成システム、方法及びプログラム

【課題】 コールフローを熟練者や高度の専門家によらずに容易に作成できるようにする。
【解決手段】 本発明のコールフロー作成システムは、コールフローの要素を種類分けしたコールフロー種別毎にコールフロー要素を個別定義する個別定義手段と、個別定義されたコールフロー要素をリンクしてコールフロー全体を定義する全体定義手段とを有する。コールフロー全体の定義データで生じる可能性があるデータ要素を、オブジェクト図形へ変換させる図形化データを内蔵し、上記全体定義手段で定義されたコールフロー全体の定義データに、図形化データを当て嵌め、コールフロー図を作成して出力するコールフロー図作成手段をさらに有することは好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コールセンターの自動音声応答サービスを実現するためのコールフローを作成するコールフロー作成システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
まず、自動音声応答サービス導入の背景を説明する。
【0003】
従来からの固定電話に加え、最近の携帯電話やIP電話の普及により、電話受付をコンピュータと連動して専門的に対応するコールセンターシステムを導入して顧客にサービスを提供する企業数は増加の傾向にある。コールセンターシステムが提供するサービスの一つに自動音声応答サービス(IVR)がある。
【0004】
自動音声応答サービスとは、顧客からの電話に対し予め対応手順を決めておき、顧客の音声やプッシュボタン(PB)の入力内容に応じて、センタで音声ガイダンスを再生することにより、顧客からの電話対応をコンピュータで自動的に行なうサービスである。このようなサービスは、オペレータが不要になるため人件費の削減が可能であるという点や、24時間対応が可能でユーザビリティの向上が図れるなどの理由で、近年利用が増加している。従来から資料請求や利用案内などで用いられているが、最近では、残高照会や利用明細照会などの自動音声読上げといった、より利便性が高いサービスが増えている現状がある。例えば、特許文献1は、人材派遣システムが自動音声応答サービスを適用していることを記載しており、特許文献2は、投資受付業務支援システムが自動音声応答サービスを適用していることを記載している。
【0005】
このような自動音声応答サービスは、ユーザからの電話に対して自動で応答を行うためのプラットフォームである自動音声応答装置にコールフローを実装することによって実現されている。コールフローとは、ユーザからの電話に対し自動音声応答の動作や、ユーザに対する応答内容が記録されている音声ガイダンスによって構成された応答手順のシナリオである(特許文献3、特許文献4参照)。コールフローは、通常、プログラミング言語で記述され、自動音声応答装置はコールフローに従ってサービスを提供する。
【0006】
例えば、商品に関する苦情受付のコールセンター業務で、「名前の確認(『お名前をお願いします』)」→「商品名の確認(『商品名をお願いします』)」→「苦情の種類の確認(『どのような種類のお問合せでしょうか?』」→「苦情の内容の確認(『ご用件をどうぞ』)」(但し、( )内は音声ガイダンスの内容を表している)という手順で自動応答が進む場合を考える。この業務では「商品名」に対する顧客の応答内容によっては、追加の情報(例えば、購入年次、オプションの有無)を確認のための、自動応答の手順の分岐があるとする。このような自動応答を実現するために、上記のような確認の手順、「商品名の確認」や「苦情の内容の確認」によって流す音声ガイダンスのファイル名や、「商品名」の応答内容による手順の分岐などをコールフローで定義する。
【0007】
このようなコールフローを作成するには、まず、コールセンター管理者がコールフロー図を手作業で作成する。コールフロー図とは、コールフローのサービス内容をフローチャートの形式で記述したものである。次に、このコールフロー図をもとに専門技術者がプログラムを行い、コールフローを作成する。
【0008】
現状、このようなコールフローを作成するステップにおいてスクリプト言語を利用してコールフローのプログラム作成を行う方法と、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)ツールを操作してコールフローを定義する方法がある。
【0009】
スクリプト言語による方法とは、コールフローの分岐や音声ガイダンスの再生をプログラムのロジックとしてコーディングすることにより、コールフローを実現する実行モジュールを生成して、装置上に実装する方法である。
【0010】
一方、GUIツールによる方法とは、装置専用のGUIツールを操作して分岐や音声ガイダンスの再生を装置上に定義する方法である。視覚イメージにより判り易いとされるGUIツールを使用するため、プログラムやスクリプト言語に関する知識は不要である。
【0011】
但し、スクリプト言語による方法及びGUIツールによる方法ともに、コールフローの定義を行う際の手段であるため、コールフロー全体の正当性を検討、確認するために事前にコールフロー図を別途手作業で作成する必要がある。
【特許文献1】特開2007−128254号公報
【特許文献2】特開2004−310156号公報
【特許文献3】特表2004−535090号公報
【特許文献4】特表2001−526865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、現状ではコールフローの作成に手間がかかることと、作成中のコールフローを事前にチェックする方法がないという2つの課題がある。
【0013】
1つめの手間がかかるという点については、自動音声応答サービスの普及とサービス内容の多様化に伴い、サービスの導入の迅速化が求められている。そのため、コールセンター管理者には、サービスの初期導入期間の短縮と、導入後のサービス仕様変更に伴う短期間でのシステム更新が求められているので、コールフロー作成にかかる手間をなるべく減らしたいという要望がある。
【0014】
しかし、スクリプト言語によりコールフローを作成する方法では、コールセンター管理者は通常スクリプトに関する知識を持たない場合がほとんどのため、コールセンター管理者が一度コールフロー図を作成した後、スクリプト言語に関する専門技術を持った別の専門技術者がコールフロー図を基にスクリプト作成を行うことになる。これは実質的にコールフローを2回作成することになり2度手間である。また、後で述べる理由でスクリプトのチェックにも時間がかかる。
【0015】
一方、GUIツールによりコールフローを定義する方法では、簡易な操作で作成が可能なため専門技術者は必要ない。しかし、既存のGUIは単純な画面操作しかフォローしておらず、コールフローの妥当性を検証することはできない。しかし、大規模なコールフローを作成する場合、コールフローを作成する前に内容の検証を行う必要がある。この際、検証し易いようにコールフロー図を別途手作業で作成することとなるため、結局、2度手間となる。
【0016】
2つめの事前にチェックする方法がないという点については、特に、コールフローの自動応答のステップが複雑化し、条件分岐や音声ファイルの数が増えると、ミスが発生し易くなる。具体的には、『コールフローの内容の矛盾(例えば、自動応答の手順が誤ってループ状態に設定されて、同じやり取りを何度も繰り返す場合)』や、『意図しないコールフローの内容(例えば、男性向けの自動応答のステップなのに、途中で女性向けの応答のステップに入れ替わってしまう場合)』や、『再生する音声ファイルの設定ミス(例えば、本来の再生するべき音声ガイダンスのファイル名を誤り、異なる音声が流れる場合)』などのコールフローの設定ミスが発生しがちである。そのため、作成されたコールフローは実運用に適用する前にチェックが必要となる。
【0017】
しかし、スクリプト言語による方法では、専門知識をもった人間がスクリプトを綿密にチェックするか、コールフローの設計者が完成したコールフローを装置上で実行してチェックする必要がある。前者については、スクリプト専門知識をもった人間にも、コールセンターのサービスの業務知識が要求される上に、チェックの見落としや勘違いなどの可能性があるため、ミスを完全に防ぐことは難しい。後者については、コールフローの作成者とチェックする人間が違うため、コールフローの記述が全て完成するまでチェックすることができない上に、装置上のチェックでミスが見つかった場合、再度スクリプトの作り直しとなり手戻りの手間がかかってしまう。
【0018】
一方、GUIツールによる方法では、コールフローの設計者が作成者を兼ねることが可能なため、設計者−作成者間の作成物チェックは不要となる。
【0019】
但し、スクリプト言語による方法でもGUIツールによる方法でも、コールフローに矛盾がないことをチェックするためには事前にコールフロー図を手作業で作成して検討する必要がある。また、操作をしている人間が想定している内容の再生ファイルが指定されているかどうかは実際に装置上でファイルを再生してみないと確認することができないため、既に運用している装置上では、サービスへの影響を考えると確認が困難である。
【0020】
いずれの方法も、作成の途中で簡単にチェックすることができないため、「コールフローの作成」→「コールフローのチェック」を繰り返す必要があった。
【0021】
そのため、自動音声応答サービス用のコールフローを熟練者や高度の専門家によらずに容易に作成できるコールフロー作成システム、方法及びプログラムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
第1の本発明のコールフロー作成システムは、コールフローの要素を種類分けしたコールフロー種別毎にコールフロー要素を個別定義する個別定義手段と、個別定義されたコールフロー要素をリンクしてコールフロー全体を定義する全体定義手段とを有することを特徴とする。
【0023】
第2の本発明のコールフロー作成プログラムは、コンピュータを、コールフローの要素を種類分けしたコールフロー種別毎にコールフロー要素を個別定義する個別定義手段と、別定義されたコールフロー要素をリンクしてコールフロー全体を定義する全体定義手段として機能させることを特徴とする。
【0024】
第3の本発明のコールフロー作成方法は、個別定義手段及び全体定義手段を備え、上記個別定義手段が、コールフローの要素を種類分けしたコールフロー種別毎にコールフロー要素を個別定義し、上記全体定義手段が、個別定義されたコールフロー要素をリンクしてコールフロー全体を定義することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、コールフロー図を必要としないでコールフローを作成できる。言い換えると、コールフローを熟練者や高度の専門家によらずに容易に作成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(A)主たる実施形態
以下、本発明によるコールフロー作成システム、方法及びプログラムの一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0027】
(A−1)実施形態の構成
図1は、実施形態に係るコールフロー作成システムの主たる構成を示すブロック図である。
【0028】
図1において、実施形態のコールフロー作成システム1は、主として、コールフロー作成装置2及びコールフロー実行装置3で構成されている。
【0029】
コールフロー作成装置2は、コールフローを作成、定義させる装置であり、コールフロー実行装置3は、作成されたコールフローを実行する装置である。コールフロー実行装置3は、作成されたコールフローを実際に検証する装置として見ることもできる。
【0030】
コールフロー作成装置2は、例えば、専用装置として構成されたものであっても良く、また例えば、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタ4等を備えたパソコンなどの情報処理装置にソフトウェア(コールフロー作成用のプログラム)が搭載されて構築されたものであっても良い。いずれの場合にせよ、コールフロー作成装置2は、機能的には、図1で表す構成要素を備えている。
【0031】
すなわち、コールフロー作成装置2は、コールフロー定義GUI11、コールフロー図GUI12、シミュレーションGUI3及びコールフロー定義データ格納部14を備えている。コールフロー作成装置2は、上述した3種類のユーザインターフェース(GUI)を介してコールフローの定義、コールフロー図の表示、シミュレーションなどを行い、また、作成されたコールフローの定義データをコールフロー定義データ格納部14に保管するものである。さらに、コールフロー作成装置2は、作成されたコールフロー定義データを元に、チューニングされたコールフロー実行定義データ21及びコールフロー実行エンジン22をコールフロー実行装置3にアップロードするものである。
【0032】
コールフロー実行装置3は、コールフロー作成装置2で作成されたコールフローを実行して、着信した電話やパソコンに対して音声等の自動応答サービスを提供する装置であり、コールフロー実行エンジン22を動作させるプラットフォームを意味する。コールフロー実行エンジン22としては、例えば、沖電気工業株式会社のCTstage(登録商標)が該当する。
【0033】
コールフロー実行装置3も専用装置として構築されたものであっても良く、汎用的なサーバクラスの情報処理装置にソフトウェア(コールフロー実行用のプログラム)が搭載されて構築されたものであっても良く、いずれにせよ、コールフロー実行装置3は、機能的には、図1で表すコールフロー実行定義データ5及びコールフロー実行エンジン6を有する。なお、図1では省略しているが、コールフロー実行装置3が通信部などを備えていることは勿論である。
【0034】
データベースでなるコールフロー定義データ格納部14に保管されるコールフロー定義データは、当該コールフロー作成装置2によって定義される、コールフローの実施手順やコールフローの実施に必要なリソースなど、コールフローの再現に必要な情報である。
【0035】
コールフロー定義GUI11は、コールフローを定義するための機能とそのユーザインターフェース画面である。ここで、コールフローは、コールフロー種別毎に分割して定義される。コールフロー種別とは、コールフローの基本的な動作単位を種別化したものである(後述する図2参照)。
【0036】
コールフロー定義GUI11では、先ず各コールフロー種別を選択し、名称を付与することによって個別定義した1個のコールフローとして定義する。この個別定義した1個のコールフローに対して音声ガイダンスやFAXイメージ、動画等の映像コンテンツのリソースファイル(これらファイルは、図1では省略しているが、コールフローの作成を開始する前に作成されて保管されているものである)の指定やPB入力待ち時間や引継ぎ先オペレータ情報などコールフローに必要な要素を詳細に設定する。ある個別定義コールフローを定義する際には移行先の個別定義コールフローなどを特定して個別定義コールフローを連結する。このような連結指定も含めた個別定義コールフローの定義を繰り返すことにより、一連のコールフローを作成する。
【0037】
一連のコールフローをコールフロー定義データとしてコールフロー定義データ格納部14に保存する。
【0038】
図2は、実施形態におけるコールフロー種別の説明図である。図2の例では、コールフロー種別として、自動応答サービスの被提供者によるPB入力を伴うコールフローチャートである「PB入力」、オペレータへの転送を伴うコールフローである「オペレータ転送」、音声ガイダンスや映像を含むガイダンス出力のみを行うコールフローである「ガイダンス」、外線転送を伴うコールフローである「外線転送」、FAX出力を伴うコールフローである「FAX出力」、回線切断を行うコールフローである「切断」等が用意されている。
【0039】
図3は、複数の個別定義されたコールフローの連結イメージの説明図である。言い換えると、連結後のコールフローを示す説明図である。
【0040】
図3の例では、種別が「PB入力」であるコールフロー#1、種別が「切断」であるコールフロー#2、及び、種別が「オペレータ転送」であるコールフロー#3を連結している。コールフロー#1は、着信時に実行されるコールフローであって、PB入力を促す音声ガイダンスファイル「sound1.wav」を実行すること、PB入力として「1#」があればコールフロー#2に移行すること、PB入力として「2#」があればコールフロー#3に移行すること、PB入力として「1#」及び「2#」以外が入力されたときには、音声ガイダンスファイル「sound4.wav」を実行した後に音声ガイダンスファイル「sound1.wav」の実行に戻ること、PB入力を受け付ける時間内にPB入力がなかったときには、音声ガイダンスファイル「sound4.wav」を実行した後に音声ガイダンスファイル「sound1.wav」の実行に戻ることなどを規定している。コールフロー#2は、音声ガイダンスファイル「sound2.wav」を実行した後に回線を切断することを規定している。コールフロー#3は、音声ガイダンスファイル「sound3.wav」を実行した後にオペレータに転送することを規定している。
【0041】
コールフロー定義GUI11の上述した機能については、後述する動作説明の項でより明らかにする。
【0042】
コールフロー図GUI12は、コールフロー定義GUI11で作成されたコールフローをフローチャートの形で表示するための機能とそのユーザインターフェース画面である。
【0043】
コールフロー図GUI12は、指定されたコールフローの定義内容をコールフロー定義データ格納部14若しくはコールフロー定義GUI11から取得し、コールフローの定義内容を、図4に示すようにフローチャートの形でコールフロー図として表示するものである。ここで、図4は、コールフローの定義内容から形成したコールフロー図の表示画像を示す説明図である。コールフロー定義GUI11は、内部に、作成されたコールフロー定義を格納するデータベースを有しており、コールフロー定義の登録操作によって、内部のデータベースに格納されているコールフロー定義をコールフロー定義データ格納部14に登録するものである。コールフロー図の表示は、コールフロー定義データ格納部14に保持されているコールフロー定義に対しても、また、コールフロー定義GUI11の内部のデータベースに保持されているコールフロー定義に対しても実行可能である。
【0044】
詳細は動作説明の項で後述するが、この実施形態の場合、コールフロー図の表示に関し、以下のような特徴を有している。第1は、OverView画面(概観画面)にてフロー全体を表示し、主画面には拡大内容を表示することを特徴としている。第2に、コールフロー図内の、音声ガイダンスやFAXイメージ、動画等の映像コンテンツのリソースを再生する箇所を示すボックス(Box)には「再生ボタン」や「表示ボタン」を付与し、コールフローの作成者によって、「再生ボタン」や「表示ボタン」が操作されると、運用時のコールフローで再生される音声や映像やFAX送信の内容を再生し又は表示することを特徴としている。第3に、音声ガイダンス等のリソースとそれに対するコメントの一覧をコールフロー図の表示画面に付随する別画面(音声ガイダンス内容設定画面)を表示でき、選択されたリソースについて、主画面上で表示されるコールフロー図内の音声ガイダンス等再生箇所のボックス内で表示される文言を編集することで編集できることを特徴としている。
【0045】
コールフロー図GUI12は、印刷指示の操作に応じ、表示中のコールフロー図を、プリンタ4から印刷出力させることができる。
【0046】
シミュレーションGUI13は、コールフロー定義GUI11で作成したコールフローをシミュレートするための機能とそのユーザインターフェース画面である。詳細は動作説明の項で後述するが、この実施形態の場合、シミュレーションGUI13は、シミュレーション結果を表示する主画面に併せて、コールフローのサービスを受けるユーザの電話を模した電話画面を併せて表示し(後述する図18参照)、電話画面上のボタンアイコンをクリック操作できることを特徴としている。
【0047】
コールフロー定義GUI11、コールフロー図GUI12及びシミュレーションGUI13は互いに連携し、コールフロー定義GUI11で変更した内容をコールフロー図GUI12に画面遷移することで即座にフロー図として確認することができ、さらに、シミュレーションGUI13に画面遷移することで即座にシミュレートすることができる。
【0048】
コールフロー実行のためには、コールフロー実行装置3上でコールフロー実行定義データ21及びコールフロー実行エンジン22を使用する。コールフロー作成装置2は、コールフロー実行装置3を指定し、コールフロー実行定義データ21及びコールフロー実行エンジン22をアップロードする。ここで、コールフロー実行エンジン22は予めコールフロー作成装置2に配置しておいても良い。
【0049】
コールフロー実行エンジン22は、コールフロー実行装置3上で動作する、音声等自動応答プログラムであり、例えば、沖電気工業株式会社のCTstageにおけるIVR(自動音声応答)ジョブである。コールフロー実行定義データ21を読み込んで解釈し、定義されたコールフローの動作を行う。
【0050】
コールフロー実行定義データ21は、コールフロー実行エンジン22の動作定義を記述したデータであり、コールフロー実行エンジン22が読み込み解釈できる任意の形式である。コールフロー作成装置2は、コールフロー定義データを、コールフロー実行エンジン22用のコールフロー実行定義データ21に変換する、図示しないプログラム(コンパイラ等に相当するプログラム)を備え、この変換用プログラムによって、コールフロー定義データをコールフロー実行定義データ21に変換する。
【0051】
(A−2)実施形態の動作
次に、実施形態に係るコールフロー作成システムの各種動作を、図面を参照しながら順次説明する。
【0052】
(A−2−1)コールフロー定義処理
まず、図5のシーケンス図を参照しながら、コールフロー定義GUI11が利用されて実行されるコールフロー作成装置2におけるコールフロー定義処理を説明する。なお、図5のシーケンス図において、「ユーザ」とは「コールフロー作成者」を表し、その処理は、コールフロー作成装置2から見れば操作入力用画面の表示及び操作入力の取り込み処理になっている(後述するシーケンス図でも同様である)。
【0053】
コールフロー定義GUI11は、ユーザによって、コールフロー種別を選択させる(ステップS1)。次に、コールフロー定義GUI11は、ユーザが選択したコールフロー種別の定義画面を表示する(ステップS2)。ここで、定義画面は、コールフロー種別毎によって異なり、コールフロー定義GUI11は、選択されたコールフロー種別のコールフロー定義画面を表示する。表示されたコールフロー定義では、例えば、ユーザが、音声ガイダンスやFAXデータや動画のコンテンツファイル等を適宜特定できたり、PB入力値毎の分岐先コールフローや、音声ガイダンスやFAXデータや動画のコンテンツの再生後の移行先コールフローなどを指定したり、コールフローが動作する上で必要な項目を入力できるようになされており、ユーザは、必要な項目を設定する(ステップS3)。入力されたコールフロー設定情報は、所定のファイル名が付与されたコールフロー定義GUI11の内部の仮想的なデータベースに記録(登録)される(ステップS4)。仮想的なデータベースは、例えば、コールフロー作成装置2として機能するパソコン(PC)のメモリ上に作成されるものである。
【0054】
ユーザとコールフロー定義GUI11との協働によって、コールフロー全体が作成されるまで、ステップS1〜S4の処理が繰り返される。
【0055】
図6は、コールフロー定義の詳細設定で設定可能な音声ファイルの説明図である。コールフロー作成装置2によるコールフローの作成開始の前に、コールフロー作成装置2に係る音声ファイル格納部に予め格納されているものである。音声ファイルは、音声ファイル名と音声文言とでなり、音声文言はテキストデータで記述されている。例えば、コールフロー実行エンジン22などの任意の機能部が音声ファイル名でアクセスしてきたときに、音声文言(テキストデータ)を返信するものであり、コールフロー実行エンジン22などの読み出し元が適宜音声合成して発音出力させる。なお、音声文言(テキストデータ)が表示出力、印刷出力されることもあり得る。図6におけるピリオドの後の「wav」は音声ファイルであることを表している。
【0056】
FAXデータや動画についても、図示は省略するが、ファイル名とファイル内容(圧縮などされていても良い)との組で格納されている。
【0057】
音声、FAXデータ、動画等のいずれについても、ファイル名とファイル内容に加え、ユーザが入力したコメントを格納するようにしても良い。
【0058】
図3の例であれば、コールフロー#1、#2及び#3の順(コールフロー#1、#3及び#2)に作成される。
【0059】
着信時に移行するコールフロー#1は、例えば、最初に作成することを通じて、コールフロー定義GUI11が、着信時に移行するものであると認識する。コールフロー#1の作成時には、ユーザは、コールフロー種別を「PB入力」と入力することになる。このとき、表示させるコールフロー定義では、移行されてきたときに発音させる音声ファイルを指定させる入力項目があり、図3の場合、「sound1.wav」が指定された。PB入力の種類を指定させると共に、PB入力を待ち受ける時間を指定させ、各PB入力の入力時の処理(コールフローの移行先を含む)を指定させる。上述したように、図3では、この指定時に、PB入力として「1#」があればコールフロー#2に移行すること、PB入力として「2#」があればコールフロー#3に移行すること、PB入力として「1#」及び「2#」以外が入力されたときには、音声ファイル「sound4.wav」を実行した後に音声ファイル「sound1.wav」の実行に戻ること、PB入力を受け付ける時間内にPB入力がなかったときには、音声ファイル「sound4.wav」を実行した後に音声ファイル「sound1.wav」の実行に戻ることなどが指定された。この例の場合、音声ファイル「sound1.wav」の実行に戻る処理を伴うので(例えば、同一の音声ファイルに再度アクセスする処理を含むか否かを判別してループ処理を認識する)、ユーザによって、リトライ回数(リトライの上限回数)を設定させることになる。
【0060】
コールフロー#2の作成時には、ユーザは、コールフロー種別を「切断」と入力することになる。このとき、表示させるコールフロー定義では、切断を通知するための音声ファイルを指定させる入力項目があり、図3の場合、「sound2.wav」が指定された。なお、「sound2.wav」の発音終了後、切断させるまでの秒数なども設定させるようにしても良い。
【0061】
コールフロー#3の作成時には、ユーザは、コールフロー種別を「オペレータ転送」と入力することになる。このとき、表示させるコールフロー定義では、オペレータ転送を通知するための音声ファイルを指定させる入力項目があり、図3の場合、「sound3.wav」が指定された。なお、転送先のオペレータを特定するようなパラメータも設定させることになる。
【0062】
なお、後述する図16には、コールフロー定義GUI11が、ユーザにコールフロー定義データを入力させるための表示画面の構成例を示している。
【0063】
(A−2−2)コールフロー図の表示処理
次に、図7のシーケンス図を参照しながら、コールフロー図GUI12が利用されて実行されるコールフロー作成装置2におけるコールフロー図の表示処理を説明する。コールフロー図の表示処理では、上述した「コールフロー定義処理」で定義され、コールフロー定義GUI11の内部の仮想的なデータベースに格納されている定義データを使用してコールフロー図を表示する。なお、このような表示に加え、コールフロー定義データ格納部14に格納された定義データに基づいて、コールフロー図の表示処理を実行できるようにしても良い。
【0064】
コールフロー図の表示処理では、まず、ユーザがコールフロー図の表示をコールフロー定義GUI11に指示する(ステップS5)。このとき、コールフロー定義GUI11は、内部の仮想的なデータベースに格納されているコールフロー定義データをコールフロー図表示GUI12に送信する(ステップS6)。コールフロー図表示GUI12は、送信されたコールフロー定義データを読み込んで、コールフロー図を作成し、表示画面に設定する(ステップS7、S8)。
【0065】
ここで、コールフローの振舞い毎に、コールフロー図で表示するオブジェクト(オブジェクト図形)が決まっており、各コールフローオブジェクトをリンクすることで全体のコールフロー図を作成している。図8は、コールフローオブジェクトの例を示す説明図である。
【0066】
No.1のコールフローオブジェクトは、コールフローの開始を表すオブジェクトである。
【0067】
No.2のコールフローオブジェクトは、音声ファイルや動画ファイルなどのリソースファイルを表すオブジェクトである。このオブジェクトのボックスは、例えば、上下2段構成となっている。上部には、ファイル名と「再生ボタン」とが表示される。「再生ボタン」は当該リソースファイルの再生を起動するものである。下部には、音声ファイルの場合には、音声文言(テキストデータ)が表示される。後述するように、下部に表示された音声文言(テキストデータ)は、コールフロー図の表示状態から編集可能である。動画ファイルなどの場合、このコールフローオブジェクトで、ユーザが入力したコメントを表示するようにしても良い。
【0068】
No.3のコールフローオブジェクトは、自動音声応答サービス(IVR)内部での処理(例えば、リトライカウンタ、PB入力受信処理、ガイダンス停止など)を表すオブジェクトである。
【0069】
No.4のコールフローオブジェクトは、条件判定(例えば、PB入力値判定、リトライカウンタ判定など)を表すオブジェクトである。
【0070】
No.5のコールフローオブジェクトは、条件判定での分岐ポイントを表すオブジェクトであり、このオブジェクトの空白部には分岐値(例えば、「YES」や、PB入力値「1#」など)が挿入される。
【0071】
No.6のコールフローオブジェクトは、コールフローの末端処理(例えば、切断、オペレータ転送、外線転送など)を表すオブジェクトである。
【0072】
No.7のコールフローオブジェクトは、FAX送信処理を表すオブジェクトである。このオブジェクトのボックスは、例えば、上下2段構成となっている。上部には、ファイル名と「表示ボタン」とが表示される。「表示ボタン」は当該FAX送信ファイルの表示を起動するものである。
【0073】
コールフロー図表示GUI12は、例えば、以下のようにして、OverView画面(概観画面)にてフロー全体を表示し、主画面に拡大内容を表示する(図4参照)。
【0074】
コールフロー図表示GUI12は、コールフロー図を作成した際には、その全ての要素を含む矩形形状を、全体画像として、コールフロー図画像バッファに格納する。その全体画像(矩形形状)の横線(上辺、下辺)の1/x(例えばxは2)を、横線とし、ディスプレイの表示面と同じ縦横比を有する矩形形状(以下、窓矩形と呼ぶ)を定める。全体画像の左上と、窓矩形との左上を合わせた場合において、窓矩形の内部に位置する全体画像の部分(拡大画像)を、コールフロー図表示GUI12は、ディスプレイの表示面に表示させる。コールフロー図表示GUI12は、全体画像をそのまま所定の大きさに縮小した画面(OverView画面(概観画面))を上記拡大画像の上に表示させる。OverView画面には、そのOverView画面で窓矩形が位置する所に枠線を追加して表示する。コールフロー図表示GUI12は、OverView画面内における上記枠線のドラッグ・アンド・ドロップに応じ、拡大画像で表示する、全体画像の部分を切り替える。
【0075】
(A−2−3)コールフロー図のコンテンツ再生処理
次に、図9のシーケンス図を参照しながら、コールフロー図GUI12が利用されて実行されるコールフロー作成装置2におけるコールフロー図のコンテンツ再生処理を説明する。この項の説明では、コンテンツが動画である場合を想定している。
【0076】
このコールフロー図のコンテンツ再生処理は、図8を用いて説明した、動画に係るNo.2のオブジェクト図形の「再生ボタン」がクリックされた際に実行される(ステップS9)。このオブジェクト図形(コンテンツファイル表示Box)には、表示されているコンテンツファイル名の他に、コンテンツファイルへのフルパスを内部に保持している。「再生ボタン」がクリックされると、内部に保持しているフルパスを検索し(図6は音声ファイルに係るものであるが、動画に係る図6のようなデータの格納部を検索する)、コンテンツファイルの再生を行う(ステップS10、S11)。なお、該当するファイルが検索できなかった場合には、オブジェクト図形の下部にその旨の文字列が表示される。この場合には、ユーザによって、ファイル名の確認や、格納部側に真に格納されているかが確認される。
【0077】
ここで、動画ファイルの再生による画像は、オブジェクト図形の下部の領域に表示するものであっても良く、コールフロー図の表示画像に対し、再生時間だけウィンドウを設けて表示するものであっても良い。
【0078】
詳細説明は省略するが、FAX送信ファイルに係るオブジェクト図形の「表示ボタン」が操作されたときにも、ほぼ同様な処理により、FAX送信ファイルの内容が表示される。
【0079】
(A−2−4)コールフロー図の音声ファイル再生処理
次に、図10のシーケンス図を参照しながら、コールフロー図GUI12が利用されて実行されるコールフロー作成装置2におけるコールフロー図の音声ファイル(音声ガイダンス)の再生処理を説明する。
【0080】
このコールフロー図の音声ファイルの再生処理は、図8を用いて説明した、音声ファイルに係るNo.2のオブジェクト図形の「再生ボタン」がクリックされた際に実行される(ステップS12)。このオブジェクト図形(音声ファイル表示Box)には、表示されている音声ファイル名の他に、音声ファイルへのフルパスを内部に保持している。「再生ボタン」がクリックされると、内部に保持しているフルパスを検索し(図6参照)、音声ファイルの再生を行う(ステップS13、S14)。なお、音声ファイルの場合には、コールフロー図を作成する際に、音声ファイルのテキストを取り出して表示しているので、この際の検索で、見付からないことはない。
【0081】
図1では省略しているが、コールフロー作成装置2は音声合成部を有し、音声ファイルの再生では音声合成部が合成処理をし、その合成音声をスピーカから発音出力させる。
【0082】
(A−2−5)コールフロー図の音声ファイル編集処理
次に、図11のシーケンス図を参照しながら、コールフロー図GUI12が利用されて実行されるコールフロー作成装置2におけるコールフロー図の音声ファイル(音声ガイダンス)の編集処理を説明する。
【0083】
上述した図4に示すように、コールフロー図の表示画像は、例えば、マイクロソフト社のWINDOW(登録商標)画面と同様な画面構成をしている。メニューバーにおける「オプション(O)」をクリックしてオプションに係るメニュー項目の一覧を表示させた後、「ガイダンス内容入力」の項目を選択すると、図12に示すような音声ガイダンス内容設定画面が表示される。音声ガイダンス内容設定画面の表示は、コールフロー図の表示画面の一部に重畳表示される。
【0084】
音声ガイダンス内容設定画面は、図6に示した音声ファイル格納部に格納されている全ての音声ファイルの一覧(音声ファイル名及び文言(ガイダンス内容)でなる)を表示し、この一覧からも、編集対象の音声ファイルを選択できるようになされている。また、ファイル名の表示・入力フィールドを有し、この表示・入力フィールドにファイル名を入力することによっても、編集対象の音声ファイルを選択できるようになされている。編集対象の音声ファイルの内容(ガイダンス内容)を表示する編集可能領域があり、この編集可能領域の文字列を編集することができる。音声ガイダンス内容設定画面は、「適用」ボタンアイコンを含んでおり、「適用」ボタンアイコンのクリックにより、編集可能領域の文字列が、編集対象の音声ファイルの新しい内容に確定される。このとき、図6に示した音声ファイル格納部の格納内容が更新される。
【0085】
また、ユーザが「適用」ボタンアイコンをクリックし、更新を指示すると(ステップS15)、コールフロー図GUI12は、音声ガイダンス内容設定画面に表示されている編集対象のファイル名をキーに同じファイル名のオブジェクト図形(コンテンツファイル表示Box)をコールフロー図内で検索し、見つかったオブジェクト図形の内容表示領域の文字列を編集後の文字列に更新する(ステップS16)。
【0086】
図示は省略するが、ユーザが入力した、いずれかのファイルに対するコメントも、上述と同様な方法により編集することができ、編集の確定操作がなされると、オブジェクト図形のコメント文字列を更新表示させる。
【0087】
(A−2−6)コールフロー図の印刷処理
次に、図13のシーケンス図を参照しながら、コールフロー図GUI12が利用されて実行されるコールフロー作成装置2におけるコールフロー図の印刷処理を説明する。
【0088】
ユーザが、コールフロー図の表示画像のメニューバーにおける「ファイル(F)」(図4参照)をクリックしてファイルに係るメニュー項目の一覧を表示させた後、「印刷」の項目を選択して印刷の詳細を設定させる画面を表示させた後、部数や用紙サイズなどの詳細を設定して印刷の実行を指示すると(ステップS17)、コールフロー図GUI12は、表示されているコールフロー図を印刷用の画像データに変更し、プリンタ4へ出力して印刷させる(ステップS18)。
【0089】
(A−2−7)画面遷移処理
次に、図14のシーケンス図を参照しながら、コールフロー作成装置2におけるコールフロー図GUI12から、コールフロー定義GUI11への画面遷移処理を説明する。
【0090】
画面遷移処理では、まず、ユーザがコールフロー図GUI12から、コールフロー定義GUI11への画面遷移を指示する(ステップS19)。例えば、ユーザが、コールフロー図の表示画像のメニューバーにおける「表示(Z)」(図4参照)をクリックして表示に係るメニュー項目の一覧を表示させ、「コールフロー図GUIからコールフロー定義GUIへ画面遷移」の項目を選択することで指示する。画面遷移が指示されると、コールフロー図GUI12は、内部の仮想的なデータベースに格納されているコールフロー定義データをコールフロー定義GUI11に送信した後(ステップS20)、コールフロー定義GUI11を起動する(ステップS21)。
【0091】
コールフロー定義GUI11は、この起動時に、送信されてきたコールフロー定義データの内容を入力項目に反映する。コールフローを編集する場合は、上述した「コールフロー作成処理」に戻る。
【0092】
(A−2−8)定義データ登録処理
次に、図15のシーケンス図を参照しながら、コールフロー作成装置2における、コールフロー定義GUI11で定義したコールフロー定義データをコールフロー定義データ格納部14に登録する処理を説明する。
【0093】
ユーザがコールフロー定義データの登録ボタン(図16では「更新」ボタン)をクリックすると(ステップS22)、内部の仮想的なデータベースに格納されているコールフロー定義データをコールフロー定義データ格納部14に送信し(ステップS23)、コールフロー定義データ格納部14に登録させる(ステップS24)。
【0094】
図16は、個別定義コールフローを定義させるための表示入力画面の一例を示している。この表示入力画面は、上述した図3のコールフロー#1に対応しているが、この表示時点では、図3のコールフロー#2及び#3も入力済みである。このようなときに、ユーザによって登録が指示されると、コールフロー定義GUI11は、コールフロー定義データを、図17に示すようなデータ構成を有するものとし、コールフロー定義データ格納部14に登録させる。
【0095】
(A−2−9)シミュレーション処理
次に、コールフロー作成装置2におけるシミュレーションGUI13によるシミュレーション処理を説明する。
【0096】
コールフロー図GUI12による上述したいずれかの処理を終了し、若しくは、中断して、シミュレーションGUI13によるシミュレーション処理を行うことができる。
【0097】
シミュレーションGUI13は、コールフロー図GUI12若しくはコールフロー定義GUI11からコールフロー定義データを取得する。
【0098】
シミュレーションGUI13は、図18に示すような表示画面を表示させる。この表示画面は、シミュレーション結果を表示する主画面部分と、ユーザの電話を模した電話画面部分とでなる。
【0099】
定義したコールフローの流れを画面と音声出力(スピーカ)を利用した音声ガイダンス(音声ファイル)の再生により、シミュレーションする。このとき、ユーザは、必要に応じて、電話画面部分のボタンを操作することにより、ユーザの電話操作をシミュレートすることができ、シミュレートした内容はシミュレーションGUI13によって主画面部分に表示する。シミュレート時には、音声ガイダンスを再生するだけではなく、FAXイメージや静止画、動画を映像出力(ディスプレイ)を使用して再生することもできる。これにより、運用前にコールフローの動作確認をすることが容易に可能となる。
【0100】
内容の修正が必要であれば、コールフロー定義GUI11を用いた定義処理に戻ることができる。また、シミュレーションGUI13の各手順を終了あるいは中断してコールフロー図GUI12でのコールフロー図の作成処理に移行することもできる。
【0101】
(A−3)実施形態の効果
上記実施形態によれば、コールフロー図を自動的に作成することができるので、従来の手作業によるコールフロー図からコールフローを作成して自動音声応答装置に実装する方法と比較して、コールフロー作成の手間がなくなり、大幅に自動音声応答サービスの初期導入期間を短縮することができる。言い換えると、コールフロー図を作成できる能力が十分でない者がコールフローを作成することができる。
【0102】
また、擬似的にコールフローの動作や音声ガイダンスやFAX、映像の内容を確認できる機能を設けたので、自動音声応答サービス導入後のサービス変更に伴うコールフローの変更の確認をコールセンターの管理者又は運用者自身が実機を使わずに実施することができる。
【0103】
(B)他の実施形態
上記実施形態の説明においても、種々変形実施形態に言及したが、さらに、以下に例示するような変形実施形態を挙げることができる。
【0104】
上記実施形態では、FAXデータや映像をも扱うことができるものを示したが、これらの一部を取り扱うことができないものであっても良い。
【0105】
上記実施形態では、個別定義コールフローの定義時には、音声ファイルが予め格納されていなければならないものを示したが、個別定義コールフローの定義画面上で、新たな音声ファイルを定義、格納できるようにしても良い。
【0106】
画面構成等は上記実施形態のものに限定されず、本発明の技術的思想に属する範囲で、上記実施形態のものと異なっていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】実施形態に係るコールフロー作成システムの主たる構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態におけるコールフロー種別の一例を示す説明図である。
【図3】実施形態における複数の個別定義されたコールフローの連結イメージの説明図である。
【図4】実施形態におけるコールフロー図の表示例を示す説明図である。
【図5】実施形態におけるコールフロー定義処理を示すシーケンス図である。
【図6】実施形態に係るコールフロー作成システムがアクセスする音声ファイル格納部の構成例の説明図である。
【図7】実施形態におけるコールフロー図の表示処理を示すシーケンス図である。
【図8】実施形態におけるコールフローオブジェクトを示す説明図である。
【図9】実施形態におけるコールフロー図のコンテンツ再生処理を示すシーケンス図である。
【図10】実施形態におけるコールフロー図の音声ファイル再生処理を示すシーケンス図である。
【図11】実施形態におけるコールフロー図の音声ファイル編集処理を示すシーケンス図である。
【図12】実施形態における音声ガイダンス内容設定画面を示す説明図である。
【図13】実施形態におけるコールフロー図の印刷処理を示すシーケンス図である。
【図14】実施形態におけるGUI間の画面遷移処理を示すシーケンス図である。
【図15】実施形態におけるコールフロー定義データの登録処理を示すシーケンス図である。
【図16】実施形態における個別定義コールフローを定義させるための表示入力画面を示す説明図である。
【図17】実施形態におけるコールフロー定義データのデータ構成を示す説明図である。
【図18】実施形態におけるシミュレーション時の表示画面を示す説明図である。
【符号の説明】
【0108】
1…コールフロー作成システム、2…コールフロー作成装置、3…コールフロー実行装置、11…コールフロー定義GUI、12…コールフロー図GUI、13…シミュレーションGUI、14…コールフロー定義データ格納部、21…コールフロー実行定義データ、22…コールフロー実行エンジン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コールフローの要素を種類分けしたコールフロー種別毎にコールフロー要素を個別定義する個別定義手段と、
個別定義されたコールフロー要素をリンクしてコールフロー全体を定義する全体定義手段と
を有することを特徴とするコールフロー作成システム。
【請求項2】
コールフロー全体の定義データをデータベースに登録する登録手段を有することを特徴とする請求項1に記載のコールフロー作成システム。
【請求項3】
コールフロー全体の定義データで生じる可能性があるデータ要素を、オブジェクト図形へ変換させる図形化データを内蔵し、上記全体定義手段で定義されたコールフロー全体の定義データに、上記図形化データを当て嵌め、コールフロー図を作成して出力するコールフロー図作成手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のコールフロー作成システム。
【請求項4】
上記コールフロー図作成手段によるコールフロー図の出力が表示出力であり、上記コールフロー図作成手段は、コールフロー図における再生可能なコールフロー要素には再生を起動させる再生起動操作子も併せて表示させ、
上記再生起動操作子の表示が選択されたときに、該当する再生可能なコールフロー要素を再生するコールフロー要素再生手段を有する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコールフロー作成システム。
【請求項5】
上記コールフロー図作成手段によるコールフロー図の出力が表示出力であり、上記コールフロー図作成手段は、ガイダンス用若しくはコメント用文字列を、その文字列に係る、コールフロー図におけるコールフロー要素に付随して表示させ、
ユーザ入力に応じて、コールフロー図内で表示されている上記ガイダンス用若しくはコメント用文字列を編集できる文字列編集手段を有する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコールフロー作成システム。
【請求項6】
上記全体定義手段で定義されたコールフロー全体の定義データに対し、ユーザ入力に応じてシミュレーションを実行するシミュレーション手段を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のコールフロー作成システム。
【請求項7】
上記シミュレーション手段は、電話の模した画面を表示させ、ユーザ入力を取り込むことを特徴とする請求項6に記載のコールフロー作成システム。
【請求項8】
コンピュータを、
コールフローの要素を種類分けしたコールフロー種別毎にコールフロー要素を個別定義する個別定義手段と、
個別定義されたコールフロー要素をリンクしてコールフロー全体を定義する全体定義手段と
して機能させることを特徴とするコールフロー作成プログラム。
【請求項9】
個別定義手段及び全体定義手段を備え、
上記個別定義手段が、コールフローの要素を種類分けしたコールフロー種別毎にコールフロー要素を個別定義し、
上記全体定義手段が、個別定義されたコールフロー要素をリンクしてコールフロー全体を定義する
ことを特徴とするコールフロー作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−212566(P2009−212566A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50616(P2008−50616)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(595125421)沖通信システム株式会社 (131)
【Fターム(参考)】