説明

ゴミ圧縮機

【課題】 ゴミを圧縮するのに必要な圧縮板のストローク量を維持しながらも圧縮部をコンパクトにすることでゴミ圧縮機の高さを低くすることができ、圧縮板が下降した際にも故障の原因となるような余分な空間が発生しないゴミ圧縮機を提供する。
【解決手段】 圧縮部1に上フレーム10、中フレーム20、下フレーム40をスライド自在に設け、下フレーム40の下面には圧縮板41を設け、中フレーム20内には、上下にスプロケット26を設けてチェーン27を掛け渡し、前記スプロケット26を駆動する電動モーターを設け、スプロケット26間を渡るチェーン27の一方の一部を上フレーム10に固定し、反対側を渡るチェーン27の一部を下フレーム40に固定し、上フレーム10は機枠3に固定し、電動モーターの駆動により中フレーム20と下フレーム40を下降、上昇させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴミをプレスして容積を減小させるゴミ圧縮機の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭や飲食店などの事業所から廃棄されるゴミの量が多くなり、その回収や処理が社会問題となっている。このような背景からゴミの廃棄コストも増加傾向にあり、多量のゴミが排出される事業所にとっては大きな負担となっている。
【0003】
また、ファーストフード店などで廃棄されるゴミは嵩張っていることが多く、店内に設置されたゴミ箱もすぐ満杯になってしまう。自治体によっても異なるが、容積で回収費用が決められる場合には、ゴミを圧縮することで廃棄コストが低減できること、ゴミ箱のゴミ袋を交換する回数が減るなどのメリットがある。このような背景から、種々のゴミ圧縮機が導入されている。また、ゴミを圧縮することは単に廃棄コスト削減だけではなく、回収、運搬効率もあがることからCO2削減にもつながるものである。
【0004】
一例として実開昭59−58597号公報には、容器入口を有する装置本体と投入容器を受け入れるように装置本体の容器投入口の下方に装備されるとともに、同装置本体から引き出し自在に設けられた上部が解放された圧縮用受圧箱と、この受圧箱が装置本体に装備された状態で、同受圧箱内を進退し得るように、装置本体に昇降自在に設けられた圧縮板とからなる、使い捨て容器の廃棄処理用締固め装置が示されている。
【0005】
この考案では、圧縮板は受圧箱本体の内部に進入し得るように、その内部の水平面よりも小さい方形の平板状に形成されており、装置本体内部に垂直下向きに設けた油圧シリンダのロッドに取り付けられている。油圧シリンダを作動させると、圧縮板が下降し、使い捨て容器の投入量が少ないときは受圧箱内部まで下降して圧縮することになる。
【0006】
一般にゴミ容器を内部に収納するタイプの圧縮機において、嵩張ったゴミの場合、ゴミを投入するたびに一度圧縮しなければその後追加投入することができない。数回に分けて圧縮することで、ゴミ容器に投入可能なゴミの量が増えて減容効果も高まるし、圧縮済みゴミ袋の数量も減らすことができる。したがって圧縮機も、上方から圧縮板のみが突出するように下降し、ゴミ容器内にまで進入することが望ましい。
【0007】
また、一例として特開平9−286503号公報には、直方体状に枠組みされたフレームと、前記フレームの上方部より吊り下げられ、下端部が上下方向に移動する伸縮リンク機構と、前記伸縮リンク機構の下端部に保持されたごみ押さえ手段とを備え、前記伸縮リンク機構は、前記フレームの上方部内に収納される駆動部と該駆動部により駆動されるリンク部とからなり、前記駆動部は、両端を回転自在に軸支され外周面に螺旋状のねじが切られた送りねじと、該送りねじと作動的に連結されたモーターと、そして、該送りねじに螺合し該送りねじの軸方向に往復運動する摺動部材とを含んで構成した圧縮機能付きごみ箱が示されている。
【0008】
この発明ではX状の伸縮リンク機構を用いてゴミ押さえ手段をごみ箱内まで下降させている。X状の伸縮リンク機構は1つでも良いし、長いストロークが必要な場合には、X状リンクの数を上下に増やせば良いとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開昭59−58597号公報
【特許文献2】特開平9−286503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年のコンビニエンスストアやファーストフード店の厨房、バックヤードは必要な広さや器材が計画的で、非常に省スペース化が図られている。したがって、既存店にゴミ圧縮機を新たに導入するのはスペースの問題から難しい場合がある。これは横幅や奥行きといった機体寸法はもちろんであるが、高さ方向についてもコンパクトであることが求められる。
【0011】
ゴミ容器を内部に収容しているタイプのゴミ圧縮機では、下方にゴミの収容スペース、その上部に圧縮するための仕組みを組み込むのが一般的である。ゴミを収容する容積は自ずとゴミ袋の大きさ等で決められるため、圧縮機の高さを低くするためには圧縮するための仕組みをコンパクトにすることが必要となる。
【0012】
したがって、特許文献1に示されるようなゴミ回収装置の場合は、圧縮板を油圧シリンダーを用いて上下させているため、圧縮板の上方にそのストロークと同じ長さの油圧シリンダーが必要となるから、圧縮機の高さが高くなってしまう。
【0013】
また、特許文献2の圧縮機能付きごみ箱では、X状の伸縮リンク機構を用いているため、圧縮する仕組みはコンパクトにすることができる。しかし、ゴミ押さえ手段が下降したときに、ゴミ押さえ手段と送りねじ等の駆動部材との間に空間ができてしまう。細かいゴミがその空間に入ってしまった場合やリンク部材にゴミがからみついてしまった場合は故障の原因となってしまう。また、同様にゴミ押さえ手段を上昇させたときはリンク機構を折りたたんで駆動部材が近接するため、上述の空間にカバーを設けるということは難しい。
【0014】
そこで本発明は、ゴミを圧縮するのに必要な圧縮板のストローク量を維持しながらも圧縮部をコンパクトにすることでゴミ圧縮機の高さを低くすることができ、圧縮板が下降した際にも故障の原因となるような余分な空間が発生しないゴミ圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明のゴミ圧縮機は機枠3内に圧縮板41を下降させる圧縮部1と、前記圧縮板41の対向する位置にゴミ収容部を備え、圧縮板41が下降することでゴミ収容部のゴミをプレスするゴミ圧縮機であって、圧縮部1に上フレーム10、中フレーム20、下フレーム40を設け、上フレーム10と中フレーム20間、および中フレーム20と下フレーム40間にそれぞれスライド部材を設けて互いに上下スライド自在とし、下フレーム40の下面には圧縮板41を設け、中フレーム20内には、上下にスプロケット26を設けてチェーン27を掛け渡し、前記スプロケット26を駆動する電動モーターを設け、スプロケット26間を渡るチェーン27の一方の一部を上フレーム10に固定し、反対側を渡るチェーン27の一部を下フレーム40に固定し、上フレーム10は機枠3に固定し、電動モーターの駆動により中フレーム20と下フレーム40を下降、上昇させ、ゴミ収容部に対して圧縮部1を伸縮させるようにしたものである。
【0016】
請求項2の発明のゴミ圧縮機は下フレーム40を上面開口の筒体とし、圧縮部1が伸びたときに、中フレーム20と下フレーム40の間に生じる隙間を全周に渡って囲う筒体のカバー50を中フレーム20から設けたものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、圧縮部1に上フレーム10、中フレーム20、下フレーム40を設け、上フレーム10と中フレーム20間、および中フレーム20と下フレーム40間にそれぞれスライド部材を設けて互いに上下スライド自在とし、下フレーム40の下面には圧縮板41を設け、中フレーム20内には、上下にスプロケット26を設けてチェーン27を掛け渡し、前記スプロケット27を駆動する電動モーターを設け、スプロケット26間を渡るチェーン27の一方の一部を上フレーム10に固定し、反対側を渡るチェーンの一部を下フレーム40に固定し、上フレーム10は機枠3に固定し、電動モーターの駆動により中フレーム20と下フレーム40を下降、上昇させるようにしたから、圧縮板41のストロークは上フレーム10に対する中フレーム20の移動量と中フレーム20に対する下フレーム40の移動量の和となる。圧縮部1を縮めた際は3つのフレームが重なるようにコンパクトになるから、圧縮部1をコンパクトさに比して圧縮板41のストロークを長くすることができる。さらには、圧縮部1をコンパクトにすることができるから高さの低いゴミ圧縮機を提供できる。
【0018】
請求項2の発明によれば、圧縮部1が伸びたときに、中フレーム20と下フレーム40の間に生じる隙間を全周に渡って囲う筒体のカバー50を中フレーム20から設けたから、圧縮部1を伸縮させても異物で故障するおそれが無い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1はゴミ圧縮機の実施例を示す一部を切り欠いた正面図である。
【図2】図2は一部を切り欠いた図1の右側面図である。
【図3】図3は一部を切り欠いた図1の平面図である。
【図4】図4は圧縮部の各フレームの位置関係とスライド部材を示す斜視図である。
【図5】図5は一部を切り欠いた中フレーム内部を示す正面図ある。
【図6】図6は図5の要部を示す平面図である。
【図7】図7は圧縮部を縮めた際のチェーン等の状態を示す右側面図である。
【図8】図8は圧縮部を伸ばした際のチェーン等の状態を示す右側面図である。
【図9】図9は中フレームに設けたカバーを示す斜視図である。
【図10】図10は図4にカバーを取り付けた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ゴミを圧縮するのに必要な圧縮板のストローク量を維持しながらも圧縮部1をコンパクトにすることでゴミ圧縮機の高さを低くするという目的を、圧縮部1に上フレーム10、中フレーム20、下フレーム40を設け、上フレーム10と中フレーム20間、および中フレーム20と下フレーム40間にそれぞれスライド部材を設けて互いに上下スライド自在とし、下フレーム40の下面には圧縮板41を設け、中フレーム20内には、上下にスプロケット26を設けてチェーン27を掛け渡し、前記スプロケット26を駆動する電動モーター24を設け、スプロケット26間を渡るチェーン27の一方の一部を上フレーム10に固定し、反対側を渡るチェーンの一部を下フレーム40に固定し、上フレーム10は機枠3に固定し、電動モーター24の駆動により中フレーム20と下フレーム40を下降、上昇させ、ゴミ収容部に対して圧縮部を伸縮させることで実現した。
【0021】
また、圧縮板が下降した際にも圧縮板の上方に故障の原因となるような余分な空間を発生させないという目的を、下フレーム40を上面開口の筒体とし、圧縮部1が伸びたときに、中フレーム20と下フレーム40の間に生じる隙間を全周に渡って囲う筒体のカバー50を中フレーム20から設けることで実現した。
【実施例】
【0022】
図1から図10は、本発明の実施例に係るゴミ圧縮機である。
【0023】
図1に示すようにゴミ圧縮機は主として土台となるベース2と、ベース2から上方に門形に設けた機枠3と、機枠3の上部中央に設けた圧縮部1と機枠3上方を覆うケーシング4とゴミを収容するゴミ収容部としてのゴミ容器5からなる。ゴミ容器5は図1で示す正面方向から圧縮機へ出し入れする。
【0024】
ベース2は四角形状の鋼板の四隅を下方へ折り曲げて箱型形状にしたもので、ゴミ圧縮機の土台であり、ゴミ容器5を置く台座となる。図2に示すように圧縮機正面側の角をスロープ状に形成するとゴミ容器5の出し入れがしやすくなる。
【0025】
機枠3は左右一対の柱フレーム3aとその上端同士をつなぐ水平な横フレーム3bとからなる。ベース2上面の左右の端からそれぞれ柱フレーム3aを垂直に設ける。柱フレーム3aは平面視略コの字状に折り曲げた縦に長い鋼板で、コの字の開口がそれぞれ外側になるようにし、下方の端面も外方へ降り曲げてベース2へボルトで固定する。
【0026】
図2に示すように横フレーム3bも長手端部を上方へ折り曲げたコの字状の鋼板で、圧縮機前後方向に2つ並べて配置している。これは後述する圧縮部1を動作させたときに発生する圧縮の反力で容易に曲がらないよう強固にするためである。
【0027】
両柱フレーム3aの間でベース2の略中央にはゴミ収容部としてのゴミ容器5を設ける。このゴミ容器5は四角いカップ形状に樹脂成形したもので、押し圧で容易に割れない丈夫な素材のものを使用する。本実施例のゴミ容器5は底部の横幅及び奥行きは約340mm、上端開口部の横幅及び奥行きは約410mm、高さは約500mmで容積は約70リットルである。
【0028】
横フレーム3bの中央から下方へゴミを圧縮するための圧縮部1を設ける。圧縮部1は上フレーム10、中フレーム20、下フレーム40の3つのフレームからなる。
【0029】
図4に示すように上フレーム10は平面視コの字形状に折り曲げた鋼板で、上端3辺はそれぞれ外方へ折り曲げてフランジを形成しておく。平面視コの字形の開口している方が圧縮機の正面前側となり、左右の上端のフランジはやや前側へ伸ばしてフランジを大きくしておく。左右上端のフランジには取付穴11をそれぞれ2つずつ設け、横フレーム3bの下面にボルトナットで固定する。本実施例で示す上フレーム10は横約220mm、コの字形状の奥行方向の寸法は約65mm、上下の長さは約375mmとした。
【0030】
上フレーム10の前方内側には中フレーム20を設ける。中フレーム20は前側からの中前フレーム20aと後面側に設けた平板の中後フレーム20bからなる。中前フレーム20aは平面視略コの字形状に鋼板を折り曲げたもので、コの字開口を圧縮機後方向きとし、その開口を上下に渡って閉じる平板の中後フレーム20bを固定して上下開口の四角筒形状とする。中前フレーム20aの左右の上下端は補強のために内方へ折り曲げしておく。本実施例で示す中フレーム20は横約200mm、奥行は約120mm、上下の長さは約375mmの四角い筒形状とした。
【0031】
図3、図4、図6に示すように上フレーム10の左右内面と中フレーム20の左右外面との間に上下に渡ってスライド部材としての左右一対のスライドレール30aを設ける。スライドレール30aは一般的に引き出し等に用いられるもので、大小略コの字形断面の外レールと内レールをそのコの字の開口が向かい合うように位置させ、そのレール間にリテーナで保持されたスチールボールを挿入し、スチールボールの回転でレールが相対的にスライドするものである。スライドさせたい部材間に内外それぞれのレールを固定すれば、スチールボールにより伸縮方向に垂直な曲げ荷重にもある程度耐えて両部材がスライド可能となる。通常外レールと内レールは同じ長さで、縮んだ時は完全に重なり、伸びた時は荷重に耐えるために100mm程度の重なり代を残してストロークする。
【0032】
スライドレール30aで連結することで中フレーム20は上フレーム10に対して上下にスライド可能となる。また、中フレーム20の後面と対向する上フレーム10の内面はなるべく接近させておき、中フレーム20は上昇時上フレーム10内に格納されるようにしておく。また、中フレーム20の側面にはなるべく後方にスライドレール30aを取り付けるようにしておく。
【0033】
中フレーム20には上面開口箱形の下フレーム40を下方から被せて設ける。下フレーム40は前下フレーム40aと後下フレーム40bとからなり、それぞれ縦長の長方形鋼板の左右と下部の端部を折り曲げて立ち上げ、上面開口の箱形となるように互いに重ねあわせて溶接で固定したものである。このとき、それぞれの下端を折り曲げた部分を2枚合わせにして面の強度を増して、圧縮板41とする。本実施例で下フレーム40の内寸法は横約230mm、奥行は約140mm、上下の長さは約380mmとした。下フレーム40内寸は中フレーム20の外寸より大きいので、わずかなクリアランス有して被ることになる。
【0034】
中フレーム20の左右外面と下フレーム40の左右内面の間にスライド部材としての一対のスライドレール30bをスペーサー32を介して上下に設ける。このスライドレール30bは上記の上フレーム10と中フレーム20間に使用したものと同様である。一方のレールを中フレーム20の左右外面の前方側に、その上端付近から取り付け、一方は下フレーム40の左右内面の前方側に圧縮板41の少し上方から取り付ける。中フレーム20の左右外面の後方には上フレーム10とのスライドレール30aがあるが、下フレーム40とのスライドレール30bは前方に取り付けることで、2本のスライドレールが取り付けられることになり、中フレーム20は上フレーム10と下フレーム40に対してそれぞれスライド可能となる。
【0035】
またこのとき、下フレーム40の大きさは上フレーム10と中フレーム20間が縮まったときに外側となる上フレーム10にも被るような大きさと位置関係にしておく。そうすることで、下フレーム40を上昇させたときに上フレーム10と中フレーム20が下フレーム40内に収納されるようになる。
【0036】
一方、中フレーム20内にはその左右内面間を渡る水平な上軸21と下軸22を上下に設ける。軸はそれぞれ中フレーム20の内面間の寸法とほぼ同じ長さで、両端はベアリングを内部の保持したベアリングケース23で中フレーム20の内面に回転自在に固定される。
【0037】
上軸21の中央付近には電動モーターとしてのブレーキ付のギヤモーター24を設ける。このギヤモーター24は中空な出力軸を有する箱形の減速機とそれに連結されるモーターと、モーターの回転を止めるブレーキからなる。上軸21を出力軸に挿入して平行キーにより駆動できるようにし、モーターは下向きとなるよう配置する。上軸21は回転自在であるから、ギヤモーター24自体が回転せずに上軸21に駆動力を伝えられるよう回転止めとなるトルクアーム25を減速機と中フレーム20の内面間に設ける。トルクアーム25は図5のようにZ字形に折り曲げた鋼板で一端はギヤモーター24の減速機に固定し、一端は中フレーム20内面にそれぞれボルトで固定する。
【0038】
両ベアリングケース23のやや内側には左右一対のスプロケット26を上軸21、下軸22それぞれに設ける。上軸21と下軸22のスプロケット26は同じ位置関係とし、押しネジ等でそれぞれの軸に固定する。また、スプロケット26と軸の間には平行キーを設けて軸の回転と共にスプロケット26は駆動されるようにしておく。
【0039】
上軸21と下軸22のスプロケット26間にはそれぞれ左右一対のローラーチェーン27を掛け渡し、駆動が伝わるようにしておく。
【0040】
次に図7に示すように、上、中、下の3つのフレームがそれぞれ上昇し、接触しない程度に縮んだ状態のときにおいて説明する。
【0041】
上記スプロケット26間を直線状に渡るチェーン27において、前方側のチェーン27の上方のスプロケット26付近から前方へと前駆動金具28aを中フレーム20を貫通して設け、下前フレーム40aに固定する。前駆動金具28aは平鋼板を縦にしたもので、チェーン27側の端部にはチェーンのジョイントリンクのピンが通るほどの穴を上下に2つ設け、上下それぞれのチェーン27からジョイントリンクによって連結する。一方の下前フレーム40aに固定する方は端面にはネジ穴を設け、下前フレーム40aの前方外側からボルトで固定する。
【0042】
次に、スプロケット26間を直線状に渡るチェーン27の後方側には、下軸22のスプロケット26のやや上方から後駆動金具28bを中フレーム20の後面を貫通して設け、上フレーム10に固定する。後駆動金具28bは大きさは異なるが前駆動金具28aと同様で、チェーン27側はジョイントリンク、一方は上フレーム10の後面側からのボルトにより固定する。また、前後の駆動金具を取り付ける際は、2本のチェーン27が同期して回るよう同じ位置に取り付ける。
【0043】
また、中フレーム20の前面、後面にはそれぞれ前後の駆動金具の厚みよりやや幅広い角形のスリット29を上下長く設ける。前面は前駆動金具28aが貫通している位置から下方へと設け、後面は後駆動金具28bが貫通している位置から上方へと設ける。すなわち、スプロケット26が駆動することでチェーン27が送られ、連結した駆動金具がスリット29内を上下するようにしておく。
【0044】
以上のように中フレーム内を構成することで、図7のときにギヤモーター24により上軸21に左回転があたえられると、前駆動金具28aは下降するとともに下フレーム40を下降させ、上フレーム10は上端を機枠3に固定しているので、後駆動金具28bは上昇するとともに中フレーム20自身を下降させることになる。ギヤモーター24を逆回転させた場合はもちろん逆の動作となり、ギヤモーター24の駆動によって下フレーム40下面に設けた圧縮板41を上昇、下降させることになる。
【0045】
なお、圧縮板41のストローク量や上死点、下死点の位置は、中フレーム20内の上軸21と下軸22間の距離や前後の駆動金具の取り付ける位置等により決められるので、適宜調整すればよい。本実施例では前後の駆動金具の移動量は240mmとして圧縮板のストロークは480mm、圧縮部1が最も縮んだときの上下の長さを約390mmとした。以上のように構成することで圧縮部を390mmから870mmまで伸縮させることが可能となり、得られるストローク量に対して圧縮部1を非常にコンパクトにできる。
【0046】
また、前駆動金具28aまたは後駆動金具28bの上死点、下死点の位置には、その位置を検出する図示しないリミットスイッチを中フレーム20内に設けておく。ギヤモーター24はブレーキ付としているから、所定の位置で停止させることが可能で、リミットスイッチを用いて制御すれば圧縮板41を正確にストロークさせることができる。本実施例では圧縮部1の上端をゴミ容器5の底部から約930mmの高さにし、圧縮部1は最大約870mmの長さとなるから、圧縮板41はゴミ容器の底部から約60mmの高さまで下降することになる。そうすることで、圧縮板41はゴミ容器5内に深く進入して、少量のゴミでも圧縮することができるようになる。
【0047】
次に図9、図10に示すように中フレーム20上面から筒体のカバー50を設ける。このカバーは上下が開口した四角筒状に鋼板を折り曲げたもので、下フレーム40に被せることができる大きさにしておく。圧縮機前側となる面の上端は内方に折り曲げ、中フレーム20の上端に設けた折り曲げ部分にネジにより固定する。また、カバー50の上下の長さは圧縮部1が最も伸びたときに下フレーム40の上部に少し被る程度とする。
【0048】
図8に示すように、圧縮部1が最も伸びた状態のとき下フレーム40は上フレーム10から下方へと離れるが、下フレーム40は中フレーム20より大きく、下から被るように構成しているため両部材間の隙間が露出してしまう。すなわち、水平方向からみると、中フレーム20と下フレーム40間に隙間は無いが、平面視では中フレーム20より下フレーム40の方が大きいから、中フレーム20の周囲には隙間が生じてしまい、上方向から異物が入る可能性がある。しかし、筒体のカバー50を隙間を囲むように設け、圧縮部1が最も伸びたときに下フレーム40の上部に少し被るまで設けているから、上方向から異物が入ることを防ぐことができる。
【0049】
ゴミ容器5のやや上から圧縮機の上部を囲うケーシング4を設ける。ケーシング4は圧縮機に意匠性を与えることはもちろん、作業者が安全に操作できるよう可動部を囲う役割がある。また、図示しない電気制御盤を内部に収納し、操作スイッチ等の操作盤を表面に設ければよい。
【0050】
次に本発明に係るゴミ圧縮機の操作と作動について説明する。
【0051】
まずゴミ容器5に空のゴミ袋をかけておき、その中に圧縮したいゴミを投入する。そして圧縮機のベース2の定位置に置く。圧縮機の図示しない運転スイッチを押すと中フレーム20内のギヤモーター24が駆動され、圧縮板41が下降してゴミ容器5内のゴミを圧縮する。
【0052】
ゴミが少量な場合は圧縮板41はゴミ容器内5へ進入し、設定した下死点まで到達する。中フレーム20内に設けたリミットスイッチで下死点を検知して一端停止させる。その後、ギヤモーター24を逆回転して圧縮板41を上死点まで上昇させ一回の圧縮作業を終える。投入したゴミは圧縮され小さくなっているから、ゴミ容器5を一端取り出して、さらにゴミを投入し繰り返し同じ作業を行えばよい。
【0053】
圧縮する加圧力はギヤモーター24の能力で決められるが、ゴミ容器5が満杯になったり、硬いゴミになるとギヤモーター24に大きな負荷がかかり加圧できなくなる。したがって、図示しない制御盤にはギヤモーター24の電流値を検出して所定の値で停止させる回路を設け、ギヤモーター24が能力以上に回転して焼損するのを防止すれば良い。また、ギヤモーター24が所定の電流値となる位置は、ゴミを追加投入して増えるたびに上昇することになるから、ゴミ容器5が満杯になるまで圧縮作業が可能である。そして、満杯になったゴミはゴミ袋の上方を縛って取り出し、廃棄すればよい。
【0054】
以上の本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【0055】
例えば、圧縮部1の下フレーム40は上フレーム10や中フレーム20より大きくして、圧縮部1が縮んだ時に下フレーム40内に上フレーム10と中フレーム20が格納されるように構成したが、上フレームを一番大きくして、その内部に中フレームと下フレームを格納するようにしても良い。
【0056】
また、中フレーム20内のギヤモーター24を上軸21の中心付近に設け、その左右に一対のチェーン27を設け、その2本のチェーン27で圧縮部1の伸縮を行う例を示したが、ギヤモーター24を上軸21の中心付近から左右いづれかに移動させ、上軸21と下軸22の中心付近にそれぞれスプロケットを設け、1本のチェーンで圧縮部の伸縮をさせてもよい。
【0057】
また、中フレーム20内の上軸21にギヤモーター24を設けた場合を示したが、モーターを上向きにして下軸22にギヤモーター24を設けてもよい。
【0058】
また、圧縮板41は平板状である例を示したが、板形状に限らず、圧縮しやすいようにビニール袋を破って空気を抜く目的でツメ突起を下面に設けるようにしてもよい。
【0059】
また、中フレーム20内の上軸21と下軸22のスプロケット26間に掛け渡したチェーン27に前駆動金具28aと後駆動金具28bを設けて、それぞれ下フレーム40と中フレーム20をスライドさせる例を示したが、チェーンのリンクプレート自体に係止片を設けたアタッチメントチェーンを使用するようにしてもよい。
【0060】
また、下フレーム40を上フレーム10や中フレーム20より大きな上面開口箱形に構成し、カバー50を下フレーム40より大きな筒形とした例を示したが、下フレーム40は箱形に限らず、上下開口の筒形に構成し、その下端には下フレームの水平方向の断面より大きな圧縮板を取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 圧縮部
3 機枠
10 上フレーム
20 中フレーム
26 スプロケット
27 チェーン
40 下フレーム
41 圧縮板
50 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機枠内に圧縮板を下降させる圧縮部と、前記圧縮板の対向する位置にゴミ収容部を備え、圧縮板が下降することでゴミ収容部のゴミをプレスするゴミ圧縮機であって、
圧縮部に上フレーム、中フレーム、下フレームを設け、上フレームと中フレーム間、および中フレームと下フレーム間にそれぞれスライド部材を設けて互いに上下スライド自在とし、下フレームの下面には圧縮板を設け、中フレーム内には、上下にスプロケットを設けてチェーンを掛け渡し、前記スプロケットを駆動する電動モーターを設け、スプロケット間を渡るチェーンの一方の一部を上フレームに固定し、反対側を渡るチェーンの一部を下フレームに固定し、上フレームは機枠に固定し、電動モーターの駆動により中フレームと下フレームを下降、上昇させ、ゴミ収容部に対して圧縮部を伸縮させるゴミ圧縮機。
【請求項2】
下フレームを上面開口の筒体とし、圧縮部が伸びたときに、中フレームと下フレームの間に生じる隙間を全周に渡って囲う筒体のカバーを中フレームに設けた請求項1記載のゴミ圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−35007(P2013−35007A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172012(P2011−172012)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000137063)株式会社ホクエイ (29)
【出願人】(591253836)
【Fターム(参考)】