説明

ゴムウエットマスターバッチおよびその製造方法、ゴム組成物ならびに空気入りタイヤ

【課題】充填材を均一に分散し、経時的な充填材の再凝集を抑制すると共に、強酸などの凝固剤の使用量を低減可能なゴムウエットマスターバッチの製造方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも充填材、分散溶媒、およびゴムラテックス溶液を原料とするゴムウエットマスターバッチの製造方法において、充填材を分散溶媒中に分散させて充填材含有スラリー溶液を製造する工程(I)と、充填材含有スラリー溶液とゴムラテックス溶液とを混合して、充填材含有ゴムラテックス溶液を製造する工程(II)と、充填材含有ゴムラテックス溶液にタンニンを添加し、凝固させた後、乾燥する工程(III)と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも充填材、分散溶媒、およびゴムラテックス溶液を原料とするゴムウエットマスターバッチおよびその製造方法、ゴム組成物ならびに空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ゴム業界においては、カーボンブラックなどの充填材を含有するゴム組成物を製造する際の加工性や充填材の分散性を向上させるために、天然ゴムウエットマスターバッチを用いることが知られている(例えば、下記特許文献1)。これは、充填材と分散溶媒とを予め一定の割合で混合し、機械的な力で充填材を分散溶媒中に分散させた充填材含有スラリー溶液と、天然ゴムラテックスと、を液相で混合し、その後、ギ酸や硫酸などの強酸や塩化アルミニウムなどの塩からなる凝固剤を用いて、天然ゴムラテックスを凝固する凝固工程を経て、最終的に脱水・乾燥するものである。かかる凝固工程では、天然ゴムラテックス中にて、ラテックスの安定剤として作用するアンモニアを凝固剤により中和して、アンモニウム塩として析出させることにより、天然ゴムラテックスを凝固させるのが一般的である。得られる天然ゴム凝固物中には、析出したアンモニウム塩が含まれるため、天然ゴム凝固物を繰り返し洗浄することにより、アンモニウム塩を除去する必要がある。かかる洗浄が不十分であると、天然ゴム凝固物を原料とした加硫ゴムの接着性、発熱性、および補強性に悪影響を及ぼすことが問題となっていた。一方、洗浄を十分に行うことは、加硫ゴムの物性を考慮すると好ましいが、多くの時間と労力を費やすため、生産性の悪化に繋がる。また、洗浄後の廃液は強酸を含有するため、廃棄の際、環境への悪影響が懸念されていた。
【0003】
下記特許文献2〜5では、老化防止性能を向上することを目的として、タイヤ用ゴム組成物に茶抽出物を配合する手法が記載されている。また、下記特許文献6では、初期接着力を維持し、湿熱安定性を向上することを目的として、有機酸コバルトを含有するゴム組成物にカルシウム化合物あるいはタンニン酸を配合する手法が記載されている。しかしながら、これらの文献で配合される茶抽出物またはタンニン酸は、ゴムラテックス溶液の凝固剤と使用されるものではない。
【0004】
ところで、天然ゴムウエットゴムマスターバッチを製造する際、その原料であるカーボンブラックスラリー溶液の分散状態に着目し、カーボンブラックの粒度分布を最適化することにより、最終的な加硫ゴムの物性向上を図る手法が報告されている。例えば、下記特許文献7では、カーボンブラックなどの充填材をあらかじめ水中に分散させたスラリー溶液と、天然ゴムラテックスとを混合する工程を含む天然ゴムウエットマスターバッチの製造方法であって、スラリー溶液中の充填材の粒度分布を90体積%粒径(D90)で30μm以下に調整した天然ゴムマスターバッチの製造方法が記載されている。また、天然ゴムウエットマスターバッチゴム組成物として、下記特許文献8では、カーボンブラックをあらかじめ水中に分散させたスラリー溶液と天然ゴムラテックスとを混合してなる製造方法により得られた天然ゴムウエットマスターバッチゴム組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2000−507892号公報
【特許文献2】特開2010−31260号公報
【特許文献3】特開2010−31261号公報
【特許文献4】特開2010−31262号公報
【特許文献5】特開2010−242072号公報
【特許文献6】特開昭57−98532号公報
【特許文献7】特開2004−99625号公報
【特許文献8】特開2006−213804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者らの鋭意検討の結果、上述した特許文献に記載の製造方法で得られた天然ゴムウエットマスターバッチゴム組成物の加硫ゴムでは、発熱性、強度、および耐疲労性の点でさらなる改良の余地があることが判明した。加えて、これらの特許文献に記載の製造方法では、カーボンブラックをあらかじめ水中に分散させたスラリー溶液を天然ゴムラテックスと混合する工程を有するところ、スラリー溶液調整後に天然ゴムラテックスとの混合工程までに時間を要する場合、スラリー溶液中でカーボンブラックなどの充填材の再凝集が進行し易く、かつ天然ゴムウエットマスターバッチとした後でも、充填材の再凝集が進行し易く、最終的なゴム組成物中にて局所的なカーボンブラックの分散不良が発生する恐れがあることが判明した。スラリー溶液中、さらには天然ゴムウエットマスターバッチ中で充填材の再凝集が進行し、局所的なカーボンブラックの分散不良が発生すると、発熱性、強度、および耐疲労性の点で、物性の低下が見られる。したがって、ゴムウエットマスターバッチの製造方法では、最終的な加硫ゴムの物性を考慮した場合、さらなる改良の余地があるのが実情であった。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、充填材を均一に分散し、経時的な充填材の再凝集を抑制すると共に、強酸などの凝固剤の使用量を低減可能なゴムウエットマスターバッチの製造方法を提供することにある。さらに本発明は、充填材が均一に分散し、経時的な充填材の再凝集が抑制されると共に、老化防止性および保存安定性に優れたゴムウエットマスターバッチであって、発熱性、耐久性およびゴム強度に優れた加硫ゴムの原料となるゴムウエットマスターバッチを提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。即ち、本発明に係るゴムウエットマスターバッチの製造方法は、少なくとも充填材、分散溶媒、およびゴムラテックス溶液を原料とするゴムウエットマスターバッチの製造方法であって、前記充填材を前記分散溶媒中に分散させて充填材含有スラリー溶液を製造する工程(I)と、前記充填材含有スラリー溶液と前記ゴムラテックス溶液とを混合して、充填材含有ゴムラテックス溶液を製造する工程(II)と、前記充填材含有ゴムラテックス溶液にタンニンを添加し、凝固させた後、乾燥する工程(III)と、を含むことを特徴とする。
【0009】
上記製造方法によれば、工程(I)〜工程(III)の各工程を経由して、ゴムウエットマスターバッチを含有するゴム組成物を製造するため、ゴム組成物中の充填材の分散性に優れ、発熱性が向上する。
【0010】
さらに、上記製造方法では、凝固・乾燥する工程(III)において、凝固剤としてタンニンを使用するため、ギ酸や硫酸などの強酸や塩化アルミニウムなどの塩からなる凝固剤に比べて、環境に優しく、かつゴム凝固物の洗浄工程を省略ないしは簡略化できる。さらに、タンニンを含有するゴムウエットマスターバッチは、老化防止性に優れるため、保存時のゴム粘度上昇を抑制することができる。このため、上記製造方法により得られたゴムウエットマスターバッチは、老化防止性および保存安定性に優れる。
【0011】
上記製造方法において、前記工程(I)が、前記充填材を前記分散溶媒中に分散させる際に、前記ゴムラテックス溶液の少なくとも一部を添加することにより、ゴムラテックス粒子が付着した前記充填材を含有するスラリー溶液を製造する工程(I−(a))であり、前記工程(II)が、ゴムラテックス粒子が付着した前記充填材を含有するスラリー溶液と、残りの前記ゴムラテックス溶液とを混合して、ゴムラテックス粒子が付着した前記充填材含有ゴムラテックス溶液を製造する工程(II−(a))であることが好ましい。
【0012】
上記製造方法によれば、充填材を分散溶媒中に分散させる際に、ゴムラテックス溶液の少なくとも一部を添加することにより、ゴムラテックス粒子が付着した充填材を含有するスラリー溶液を製造する(工程(I−(a)))。これにより、充填材の表面の一部あるいは全部に、極薄いラテックス相が生成し、工程(II−(a))において残りのゴムラテックス溶液と混合する際、充填材の再凝集を防止することができ、かつゴムラテックス粒子が付着した充填材含有ゴムラテックス溶液を凝固・乾燥する工程(III)においても、充填材の再凝集を抑制することができる。その結果、充填材が均一に分散し、経時的にも充填材の分散安定性に優れたゴムウエットマスターバッチを製造することができる。かかるウエットマスターバッチは充填材が均一に分散し、かつ経時的な分散材の再凝集も抑制されているため、これを原料として得られる加硫ゴムでは、発熱性、耐久性およびゴム強度が著しく向上する。
【0013】
なお、上記製造方法では、単に充填材を分散溶媒中に分散させてスラリー溶液を製造する場合に比べて、スラリー溶液中の充填材の分散性に優れ、かつ充填材の再凝集を防止することができるため、スラリー溶液の保存安定性にも優れるという効果も奏する。
【0014】
上記製造方法において、前記工程(I−(a))において、前記スラリー溶液中、ゴムラテックス粒子が付着した前記充填材の90%体積粒径(D90)が31μm以上であることが好ましい。かかる構成によれば、スラリー溶液中の充填材の分散性に優れ、かつ充填材の再凝集を防止することができるため、スラリー溶液の保存安定性に優れると共に、最終的な加硫ゴムの発熱性、耐久性およびゴム強度にも優れた未加硫ゴム組成物を製造することができる。なお、本発明において、ゴムラテックス粒子が付着した充填材のD90は、充填材に加えて、付着したゴムラテックス粒子も含めて測定した値を意味するものとする。
【0015】
上記ゴムウエットマスターバッチの製造方法では、前記工程(I−(a))において、添加する前記ゴムラテックス溶液の固形分(ゴム)量が、前記充填材との質量比で0.25〜15%であることが好ましい。また、前記工程(I−(a))において、添加する前記ゴムラテックス溶液中の固形分(ゴム)濃度が、0.2〜5質量%であることが好ましい。これらの場合、ゴムラテックス粒子を充填材に確実に付着させつつ、充填材の分散度合いを高めたゴムウエットマスターバッチを製造することができる。
【0016】
上記ゴムウエットマスターバッチの製造方法において、前記工程(I−(a))が、あらかじめ前記ゴムラテックス溶液の少なくとも一部と前記分散溶媒とを混合した後、前記充填材を添加し、分散させることにより、ゴムラテックス粒子が付着した前記充填材を含有する前記スラリー溶液を製造する工程であることが好ましい。かかる製造方法によれば、工程(I−(a))において、より確実かつより均一にゴムラテックス粒子が充填材に付着する。これにより、ゴムウエットマスターバッチを製造する全過程において、充填材の再凝集をより確実に抑制することができる。
【0017】
本発明に係るゴムウエットマスターバッチは、前記いずれかに記載の製造方法により製造されたものである。かかるゴムウエットマスターバッチは、含有する充填材が均一に分散し、経時的な充填材の分散安定性に優れる。したがって、例えば、かかるゴム組成物を用いて得られた空気入りタイヤは、発熱性、強度、および耐疲労性がバランス良く向上し、かつ耐引裂性および接着性に優れる。
【0018】
本発明に係るゴム組成物は、前記記載のゴムウエットマスターバッチを用いて得られたものである。かかるゴム組成物は、充填材が均一に分散し、経時的な充填材の再凝集が抑制されると共に、老化防止性および保存安定性に優れる。したがって、例えば、かかるゴム組成物を用いて得られた空気入りタイヤは、発熱性、耐久性およびゴム強度に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るゴムウエットマスターバッチは、少なくとも充填材、分散溶媒、およびゴムラテックス溶液を原料として含有する。
【0020】
本発明において、充填材とは、カーボンブラック、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウムなど、ゴム工業において通常使用される無機充填材を意味する。上記無機充填材の中でも、本発明においてはカーボンブラックを特に好適に使用することができる。
【0021】
カーボンブラックとしては、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF、GPFなど、通常のゴム工業で使用されるカーボンブラックの他、アセチレンブラックやケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラックを使用することができる。カーボンブラックは、通常のゴム工業において、そのハンドリング性を考慮して造粒された、造粒カーボンブラックであってもよく、未造粒カーボンブラックであってもよい。
【0022】
分散溶媒としては、特に水を使用することが好ましいが、例えば有機溶媒を含有する水であってもよい。
【0023】
ゴムラテックス溶液としては、天然ゴムラテックス溶液および合成ゴムラテックス溶液を使用することができる。
【0024】
天然ゴムラテックス溶液は、植物の代謝作用による天然の生産物であり、特に分散溶媒が水である、天然ゴム/水系のものが好ましい。本発明において使用する天然ゴムラテックス中の天然ゴムの数平均分子量は、200万以上であることが好ましく、250万以上であることがより好ましい。なお、天然ゴムラテックスについては、濃縮ラテックスやフィールドラテックスといわれる新鮮ラテックスなど区別なく使用できる。合成ゴムラテックス溶液としては、例えばスチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴムを乳化重合により製造したものがある。
【0025】
タンニンは植物に由来し、タンパク質、アルカロイド、金属イオンと反応して難溶性の塩を形成する水溶性化合物の総称である。タンニンは、大きく分けて、ミモザ、ケブラチョ、ガンビア、柿などのカテコール系(Catechol group)に属する縮合型タンニン(Condensed tannin)と、チェストナッツ、オーク、茶、ミラボラム、タラ、没食子などのピロガロール系(Pyrogallol group)に属する加水分解型タンニン(Hydrolyzable tannin)とに分類できる。
【0026】
以下に、本発明に係るゴム組成物の製造方法について説明する。かかる製造方法は、充填材を分散溶媒中に分散させて充填材含有スラリー溶液を製造する工程(I)と、充填材含有スラリー溶液とゴムラテックス溶液とを混合して、充填材含有ゴムラテックス溶液を製造する工程(II)と、充填材含有ゴムラテックス溶液にタンニンを添加し、凝固させた後、乾燥する工程(III)と、を含むことを特徴とする。
【0027】
特に、本発明においては、工程(I)が、充填材を分散溶媒中に分散させる際に、ゴムラテックス溶液の少なくとも一部を添加することにより、ゴムラテックス粒子が付着した充填材を含有するスラリー溶液を製造する工程(I−(a))であり、工程(II)が、ゴムラテックス粒子が付着した充填材を含有するスラリー溶液と、残りのゴムラテックス溶液とを混合して、ゴムラテックス粒子が付着した充填材含有ゴムラテックス溶液を製造する工程(II−(a))であることが好ましい。以下に、工程(I−(a))および工程(II−(a))について説明する。特に、本実施形態では、充填材としてカーボンブラックを使用した例について説明する。
【0028】
(1)工程(I−(a))
工程(I−(a))では、カーボンブラックを分散溶媒中に分散させる際に、天然ゴムラテックス溶液の少なくとも一部を添加することにより、天然ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラックを含有するスラリー溶液を製造する。天然ゴムラテックス溶液は、あらかじめ分散溶媒と混合した後、カーボンブラックを添加し、分散させても良い。また、分散溶媒中にカーボンブラックを添加し、次いで所定の添加速度で、天然ゴムラテックス溶液を添加しつつ、分散溶媒中でカーボンブラックを分散させても良く、あるいは分散溶媒中にカーボンブラックを添加し、次いで何回かに分けて一定量の天然ゴムラテックス溶液を添加しつつ、分散溶媒中でカーボンブラックを分散させても良い。天然ゴムラテックス溶液が存在する状態で、分散溶媒中にカーボンブラックを分散させることにより、天然ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラックを含有するスラリー溶液を製造することができる。工程(I−(a))における天然ゴムラテックス溶液中のゴム成分の添加量としては、使用する天然ゴムラテックス溶液中のゴム成分の全量(工程(I−(a))および工程(II−(a))で添加する全量)に対して、0.075〜12質量%が例示される。
【0029】
工程(I−(a))では、添加する天然ゴムラテックス溶液の固形分(ゴム)量が、カーボンブラックとの質量比で0.25〜15%であることが好ましく、0.5〜6%であることが好ましい。また、添加する天然ゴムラテックス溶液中の固形分(ゴム)濃度が、0.2〜5質量%であることが好ましく、0.25〜1.5質量%であることがより好ましい。これらの場合、天然ゴムラテックス粒子をカーボンブラックに確実に付着させつつ、カーボンブラックの分散度合いを高めたゴムウエットマスターバッチを製造することができる。
【0030】
工程(I−(a))において、天然ゴムラテックス溶液存在下でカーボンブラックおよび分散溶媒を混合する方法としては、高せん断ミキサー、ハイシアーミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミルなどの一般的な分散機を使用してカーボンブラックを分散させる方法が挙げられる。
【0031】
上記「高せん断ミキサー」とは、ローターとステーターとを備えるミキサーであって、高速回転が可能なローターと、固定されたステーターと、の間に精密なクリアランスを設けた状態でローターが回転することにより、高せん断作用が働くミキサーを意味する。このような高せん断作用を生み出すためには、ローターとステーターとのクリアランスを0.8mm以下とし、ローターの周速を5m/s以上とすることが好ましい。このような高せん断ミキサーは、市販品を使用することができ、例えばSILVERSON社製「ハイシアーミキサー」が挙げられる。
【0032】
本発明においては、天然ゴムラテックス溶液存在下でカーボンブラックおよび分散溶媒を混合し、天然ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラックを含有するスラリー溶液を製造する際、カーボンブラックの分散性向上のために界面活性剤を添加しても良い。界面活性剤としては、ゴム業界において公知の界面活性剤を使用することができ、例えば非イオン性界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン系界面活性剤などが挙げられる。また、界面活性剤に代えて、あるいは界面活性剤に加えて、エタノールなどのアルコールを使用しても良い。ただし、界面活性剤を使用した場合、最終的な加硫ゴムのゴム物性が低下することが懸念されるため、界面活性剤の配合量は、天然ゴムラテックス溶液の固形分(ゴム)量100質量部に対して、2質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましく、実質的に界面活性剤を使用しないことが好ましい。
【0033】
工程(I−(a))において製造されるスラリー溶液中、天然ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラックは、90%体積粒径(μm)(「D90」)が、31μm以上であることが好ましく、35μm以上であることがより好ましい。この場合、スラリー溶液中のカーボンブラックの分散性に優れ、かつカーボンブラックの再凝集を防止することができるため、スラリー溶液の保存安定性に優れると共に、最終的な加硫ゴムの発熱性、耐久性およびゴム強度にも優れる。なお、本発明において天然ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラックのD90は、カーボンブラックに加えて、付着した天然ゴムラテックス粒子も含めて測定した値を意味するものとする。
【0034】
(2)工程(II−(a))
工程(II−(a))では、スラリー溶液と、残りの天然ゴムラテックス溶液とを混合して、天然ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有ゴムラテックス溶液を製造する。スラリー溶液と、残りの天然ゴムラテックス溶液とを液相で混合する方法は特に限定されるものではなく、スラリー溶液および残りの天然ゴムラテックス溶液とを高せん断ミキサー、ハイシアーミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミルなどの一般的な分散機を使用して混合する方法が挙げられる。必要に応じて、混合の際に分散機などの混合系全体を加温してもよい。
【0035】
残りの天然ゴムラテックス溶液は、次工程(III)での乾燥時間・労力を考慮した場合、工程(I−(a))で添加した天然ゴムラテックス溶液よりも固形分(ゴム)濃度が高いことが好ましく、具体的には固形分(ゴム)濃度が10〜60質量%であることが好ましく、20〜30質量%であることがより好ましい。
【0036】
(3)工程(III)
工程(III)では、充填材含有天然ゴムラテックス溶液、あるいは天然ゴムラテックス粒子が付着した充填材含有天然ゴムラテックス溶液にタンニンを添加し、凝固させた後、乾燥する。充填材含有天然ゴムラテックス溶液、あるいは天然ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有天然ゴムラテックス溶液を確実に凝固しつつ、得られる天然ゴムウエットマスターバッチの老化防止性および保存安定性をバランス良く向上するためには、ゴム成分100質量部に対するタンニンの添加量を1.0〜10質量部とすることが好ましい。なお、本発明においては、タンニンに加えて、ギ酸や硫酸などの強酸や塩化アルミニウムなどの塩からなる凝固剤を併用しても良い。タンニンと併用することにより、これらの凝固剤を併用する場合であっても、その添加量を低減することができる。タンニン以外の凝固剤を併用する場合、その添加量は、ゴム成分100質量部に対して2質量部以下とすることが好ましい。
【0037】
天然ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有天然ゴムラテックス溶液の乾燥方法としては、オーブン、真空乾燥機、エアードライヤーなどの各種乾燥装置を使用することができる。
【0038】
工程(III)後に得られる天然ゴムウエットマスターバッチは、ゴム100質量部に対してカーボンブラックを40〜80質量部含有することが好ましい。この場合、カーボンブラックの分散度合いと、加硫ゴムとしたときの発熱性および耐久性とを、バランス良く向上した天然ゴムウエットマスターバッチを製造することができる。
【0039】
工程(III)後に得られる天然ゴムウエットマスターバッチは、含有するカーボンブラックが均一に分散し、経時的なカーボンブラックの分散安定性に優れる。
【0040】
本発明に係るゴムウエットマスターバッチの製造方法により得られたゴムウエットマスターバッチにおいて、必要に応じて硫黄系加硫剤、加硫促進剤、シリカ、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、加硫促進助剤、加硫遅延剤、有機過酸化物、老化防止剤、ワックスやオイルなどの軟化剤、加工助剤などの通常ゴム工業で使用される配合剤を配合することにより、本発明に係るゴム組成物を製造することができる。
【0041】
硫黄系加硫剤としての硫黄は通常のゴム用硫黄であればよく、例えば粉末硫黄、沈降硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などを用いることができる。本発明に係るタイヤゴム用ゴム組成物における硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して0.3〜6質量部であることが好ましい。硫黄の含有量が0.3質量部未満であると、加硫ゴムの架橋密度が不足してゴム強度などが低下し、6.5質量部を超えると、特に耐熱性および耐久性の両方が悪化する。加硫ゴムのゴム強度を良好に確保し、耐熱性と耐久性をより向上するためには、硫黄の含有量がゴム成分100質量部に対して1.5〜5.5質量部であることがより好ましく、2〜4.5質量部であることがさらに好ましい。
【0042】
加硫促進剤としては、ゴム加硫用として通常用いられる、スルフェンアミド系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チオウレア系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤などの加硫促進剤を単独、または適宜混合して使用しても良い。加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して1〜5質量部であることがより好ましく、1.5〜4質量部であることがさらに好ましい。
【0043】
老化防止剤としては、ゴム用として通常用いられる、芳香族アミン系老化防止剤、アミン−ケトン系老化防止剤、モノフェノール系老化防止剤、ビスフェノール系老化防止剤、ポリフェノール系老化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系老化防止剤、チオウレア系老化防止剤などの老化防止剤を単独、または適宜混合して使用しても良い。老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して1〜5質量部であることがより好ましく、2〜4.5質量部であることがさらに好ましい。
【0044】
本発明に係るゴム組成物は、ゴムウエットマスターバッチに加えて、必要に応じて、硫黄系加硫剤、加硫促進剤、シリカ、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、加硫促進助剤、加硫遅延剤、有機過酸化物、老化防止剤、ワックスやオイルなどの軟化剤、加工助剤などを、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどの通常のゴム工業において使用される混練機を用いて混練りすることにより得られる。
【0045】
また、上記各成分の配合方法は特に限定されず、硫黄系加硫剤、および加硫促進剤などの加硫系成分以外の配合成分を予め混練してマスターバッチとし、残りの成分を添加してさらに混練する方法、各成分を任意の順序で添加し混練する方法、全成分を同時に添加して混練する方法などのいずれでもよい。
【0046】
上述したとおり、本発明に係るゴムウエットマスターバッチは、充填材が均一に分散し、経時的な充填材の再凝集が抑制されると共に、老化防止性および保存安定性に優れる。したがって、これを用いて製造されたゴム組成物も、やはり充填材が均一に分散し、経時的な充填材の再凝集が抑制されると共に、老化防止性および保存安定性に優れる。特に、このゴム組成物を用いて製造された空気入りタイヤ、具体的にはトレッドゴム、サイドゴム、プライもしくはベルトコーティングゴム、またはビードフィラーゴムに本発明に係るゴム組成物を使用した空気入りタイヤは、充填材が良好に分散したゴム部を有することとなるため、例えば転がり抵抗が低減され、かつ発熱性、耐久性およびゴム強度に優れる。
【実施例】
【0047】
以下に、この発明の実施例を記載してより具体的に説明する。使用原料および使用装置は以下のとおりである。
【0048】
(使用原料)
a)充填材
カーボンブラック「N110」;「シースト9」(東海カーボン社製)
b)分散溶媒 水
c)ゴムラテックス溶液
天然ゴム濃縮ラテックス溶液;レヂテックス社製(DRC(Dry Rubber Content)=60%品)を蒸留水で25質量%に希釈したもの
d)凝固剤
タンニン1;縮合型タンニン(ミモザ)(川村通商社製)
タンニン2;加水分解型タンニン(チェストナット)(川村通商社製)
ギ酸(一級85%、10%溶液を希釈して、pH1.2に調整したもの)、「ナカライテスク社製」
e)酸化亜鉛 1号亜鉛華
f)ステアリン酸 日油社製
g)ワックス 日本精鑞社製
h)老化防止剤 6PPD(モンサント社製)
i)硫黄 鶴見化学工業社製
j)加硫促進剤 N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド 「サンセラーCM」(三新化学工業社製)
【0049】
(評価)
評価は、各ゴム組成物を所定の金型を使用して、150℃で30分間加熱、加硫して得られたゴムについて行った。
【0050】
(粒度分布(90体積%粒径(D90))
工程(I)において製造したスラリー溶液中、ゴムラテックス粒子が付着した充填材のD90を、測定時の吸光度を0.01〜0.1に設定し、島津製作所社製「SALD2200」(CBの屈折率:2.0−0.10i)を使用し、D90(μm)を測定した。
【0051】
(ゴムウエットマスターバッチのムーニー粘度)
実施例1および比較例1については、比較例1の初期のムーニー粘度測定値を100として指数評価を行い、実施例2〜5および比較例2〜3については、比較例2の初期のムーニー粘度測定値を100として指数評価を行い、数値が小さいほどムーニー粘度上昇が小さく、良好であることを意味する。なお、ウエットマスターバッチのムーニー粘度については、JIS K6300−1に準拠して測定を行った。
【0052】
(加硫ゴムの発熱性)
JIS K6265に準じて、製造した加硫ゴムの発熱性を、損失正接tanδにより評価した。なお、tanδは、UBM社製レオスペクトロメーターE4000を使用し、50Hz、80℃、動的歪2%の状態で測定した。実施例1および比較例1については、比較例1の測定値を100として指数評価を行い、実施例2〜5および比較例2〜3については、比較例2の測定値を100として指数評価を行い、数値が小さいほど発熱性が低く、良好であることを意味する。
【0053】
(加硫ゴムのゴム強度(TB))
JIS3号ダンベルを使用して作製したサンプルをJIS K 6251に準拠して、引張強さ(TB(MPa))を測定した。実施例1および比較例1については、比較例1の測定値を100として指数評価を行い、実施例2〜5および比較例2〜3については、比較例2の測定値を100として指数評価を行い、数値が大きいほど、ゴム強度が高く、良好であることを意味する。
【0054】
(加硫ゴムの耐疲労性)
製造した加硫ゴムの耐疲労性を、JIS K6260に準拠して評価した。実施例1および比較例1については、比較例1の測定値を100として指数評価を行い、実施例2〜5および比較例2〜3については、比較例2の測定値を100として指数評価を行い、数値が大きいほど良好な耐疲労性を示す。
【0055】
(老化防止性能)
JIS K6251に準拠した3号型ダンベル試験片を使用し、各ダンベル試験片を2群に分け、その一方を80℃で96時間加熱(老化処理)を行った。老化処理前後のダンベル試験片を用いて、引張試験を行い、破断強度および破断伸びを測定し、それぞれについて、(((老化処理後の物性)/(老化処理前の物性))×100)により変化率(%)を算出した。実施例1および比較例1については、比較例1の測定値を100として指数評価を行い、実施例2〜5および比較例2〜3については、比較例2の測定値を100として指数評価を行い、指数が大きいほど、老化防止性能に優れることを意味する。
【0056】
実施例1
0.5質量%に調整した希薄ラテックス水溶液にカーボンブラック50質量部を添加し(水中のカーボンブラックの濃度は5質量%)、これにPRIMIX社製ロボミックスを使用してカーボンブラックを分散させることにより(該ロボミックスの条件:9000rpm、30分)、天然ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有スラリー溶液を製造した(工程(I−(a)))。工程(I−(a))で製造した天然ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有スラリー溶液のD90は48μmであり、工程(I−(a))での天然ゴムラテックス溶液の固形分(ゴム)量(カーボンブラックとの質量比)は1%であった。
【0057】
次に、工程(I−(a))で製造された天然ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有スラリー溶液に、残りの天然ゴムラテックス溶液(固形分(ゴム)濃度25質量%となるように水を添加して調整されたもの)を、工程(I−(a))で使用した天然ゴムラテックス溶液と合わせて、固形分(ゴム)量で100質量部となるように添加し、次いでSANYO社製家庭用ミキサーSM−L56型を使用して混合し(ミキサー条件11300rpm、30分)、カーボンブラック含有天然ゴムラテックス溶液を製造した(工程(II−(a)))。
【0058】
工程(II−(a))で製造されたカーボンブラック含有天然ゴムラテックス溶液に、凝固剤としてタンニンおよびギ酸を表1に記載の添加量にて添加し、凝固させた後、乾燥することにより、天然ゴムウエットマスターバッチを製造した(工程(III))。得られた天然ゴムウエットマスターバッチに表1に記載の各種添加剤を配合してゴム組成物とし、その加硫ゴムの物性を測定した。結果を表1に示す。
【0059】
実施例2〜5
カーボンブラックをあらかじめ水中に分散させた後(水中のカーボンブラックの濃度は5質量%)、天然ゴムラテックス溶液と混合する際に、タンニンおよびギ酸を表2に記載の添加量にて添加し、凝固させた後、乾燥することにより、天然ゴムウエットマスターバッチを製造した。得られた天然ゴムウエットマスターバッチに表2に記載の各種添加剤を配合してゴム組成物とし、その加硫ゴムの物性を測定した。結果を表2に示す。
【0060】
比較例1
カーボンブラックをあらかじめ水中に分散させたスラリー溶液を製造し(水中のカーボンブラックの濃度は5質量%)、これに天然ゴムラテックスを全量添加することにより、カーボンブラック含有天然ゴムラテックス溶液を製造したこと以外は、実施例1と同様の方法により天然ゴムウエットマスターバッチ、ゴム組成物および加硫ゴムを製造した。加硫ゴムの物性を表1に示す。
【0061】
比較例2〜3
タンニンおよびギ酸の添加量を表1に記載の量に変更したこと以外は、実施例2〜5と同様の方法により天然ゴムウエットマスターバッチ、ゴム組成物および加硫ゴムを製造した。加硫ゴムの物性を表2に示す。
【0062】
【表1】

【0063】
表1の結果から、実施例1に係るウエットマスターバッチを含有するゴム組成物の加硫ゴムでは、低発熱性、ゴム強度、耐疲労性および老化防止性能が向上することがわかる。
【0064】
【表2】

【0065】
表2の結果から、実施例2〜5に係るウエットマスターバッチを含有するゴム組成物の加硫ゴムでは、低発熱性、ゴム強度、耐疲労性および老化防止性能が向上することがわかる。一方、比較例3に係るウエットマスターバッチを含有するゴム組成物の加硫ゴムでは、タンニンの案有料が少ないため、低発熱性、ゴム強度、耐疲労性および老化防止性能が殆ど向上しないことがわかる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも充填材、分散溶媒、およびゴムラテックス溶液を原料とするゴムウエットマスターバッチの製造方法であって、
前記充填材を前記分散溶媒中に分散させて充填材含有スラリー溶液を製造する工程(I)と、
前記充填材含有スラリー溶液と前記ゴムラテックス溶液とを混合して、充填材含有ゴムラテックス溶液を製造する工程(II)と、
前記充填材含有ゴムラテックス溶液にタンニンを添加し、凝固させた後、乾燥する工程(III)と、を含むことを特徴とするゴムウエットマスターバッチの製造方法。
【請求項2】
前記工程(I)が、前記充填材を前記分散溶媒中に分散させる際に、前記ゴムラテックス溶液の少なくとも一部を添加することにより、ゴムラテックス粒子が付着した前記充填材を含有するスラリー溶液を製造する工程(I−(a))であり、
前記工程(II)が、ゴムラテックス粒子が付着した前記充填材を含有するスラリー溶液と、残りの前記ゴムラテックス溶液とを混合して、ゴムラテックス粒子が付着した前記充填材含有ゴムラテックス溶液を製造する工程(II−(a))である請求項1に記載のゴムウエットマスターバッチの製造方法。
【請求項3】
前記工程(I−(a))において、前記スラリー溶液中、ゴムラテックス粒子が付着した前記充填材の90%体積粒径(D90)が31μm以上である請求項2に記載の未加硫ゴム組成物の製造方法。
【請求項4】
前記工程(I−(a))において、添加する前記ゴムラテックス溶液の固形分(ゴム)量が、前記充填材との質量比で0.25〜15%である請求項2または3に記載のゴムウエットマスターバッチの製造方法。
【請求項5】
前記工程(I−(a))において、添加する前記ゴムラテックス溶液中の固形分(ゴム)濃度が、0.2〜5質量%である請求項2〜4のいずれかに記載のゴムウエットマスターバッチの製造方法。
【請求項6】
前記工程(I−(a))が、あらかじめ前記ゴムラテックス溶液の少なくとも一部と前記分散溶媒とを混合した後、前記充填材を添加し、分散させることにより、ゴムラテックス粒子が付着した前記充填材を含有する前記スラリー溶液を製造する工程である請求項2〜5のいずれかに記載のゴムウエットマスターバッチの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により製造されたゴムウエットマスターバッチ。
【請求項8】
請求項7に記載のゴムウエットマスターバッチを用いて得られたゴム組成物。
【請求項9】
請求項8に記載のゴム組成物を用いて得られた空気入りタイヤ。

【公開番号】特開2012−207088(P2012−207088A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72639(P2011−72639)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】