説明

ゴムロールの製造装置および製造方法

【課題】型枠への着脱の手間もなく、加熱炉が不要となり、かつ、製造装置の規模が小規模なもので済み、製造コストを低くすると共に円周の振れの少ないゴムロールの製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】ゴムロールの製造装置2のスリーブ3内に円筒状コア4を挿入し、円筒状コア4の外周とスリーブ3の内周との間に形成されるゴム層成形空間に液状ゴム原料を注入し、液状ゴム原料を加熱硬化させ、円筒状コア4の周りにゴム層を形成してゴムロールを製造する。液状ゴム原料の加熱硬化は、円筒状コア4の内部隙間を有して挿入した遠赤外線ヒータ6を用いて行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として電子写真複写機に用いられるゴムロールの製造装置およびゴムロールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、図14および図15に示すように、スリーブ3Aと、スリーブA3内に挿入される円筒状コア4Aと、円筒状コア4Aの内部に隙間なく挿入されるセンターシャフト5Aと、センターシャフト5Aの内部に隙間無く挿入される電熱式パイプヒーター6Aとからなり、円筒状コア4Aの外周とスリーブ3Aの内周との間にゴム層成形空間が形成されているゴムロールの製造装置が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、その他のゴムロールの製造装置としては、図16に示すように、高周波誘導加熱によりゴムロールを予備加熱した後、加熱槽にて熱風循環と遠赤外線により加熱発泡させてゴムロールを製造するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、その他のゴムロールの製造装置としては、図17に示すように、熱風と、垂直方向に対し所定角度傾斜させた遠赤外線を照射し、ゴムロールの外表面全域を略均一に加熱して焼き固めてゴムロールを製造するものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
このゴムロールの製造装置により、ゴムロールが発泡しても自由に膨らまないため、全域にわたり均一な物性を有するゴムロールを得ることができる。また、チェーンコンベアを直接加熱しないため、チェーンコンベアの寿命を向上させることができる。
【0006】
【特許文献1】特開2005−313589公報(第1図、第2図)
【特許文献2】特開平09−262844公報(第2図)
【特許文献3】特開2000−271937公報(第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図14および図15に示す従来の製造装置では、センターシャフト5A内に電熱式パイプヒーター6Aが隙間無く挿入しているので、電熱式パイプヒーターの真直度等を高精度に加工しなければならず、電熱式パイプヒーターが高価になるという問題があった。
また、電熱式パイプヒーターが加熱されると、電熱式パイプヒーターが半径方向(軸方向とは垂直な方向)に膨張するため、これに伴い、センターシャフト5Aおよび円筒状コア4Aも半径方向に膨張するという問題があった。このため、円筒状コア4Aの外周に形成される円筒状コアの加熱ムラが生じ、加硫後のゴムロールの円周の振れ(JIS B0021による円周の振れ)が悪化するという問題があった。特に、ゴムロールの軸方向の略中央部における振れが大きく悪化するものであった。
【0008】
さらに、円筒状コアとゴム弾性層の接着不良が生じ、ゴムロールを電子写真装置用定着ロールに用いた場合に定着不良が生じるという問題があった。
【0009】
また、図16に示す従来の製造装置では、ゴムロールの両端部を支持する支持軸を回転させながらゴムロールを加熱槽内で加熱するため、機構が複雑であり、加熱槽を有するため装置が大型になるという問題があった。
【0010】
また、かかる装置で少量多品種のゴムロールを生産する場合、ゴムロール毎に加熱温度や加熱時間、昇温レートなど製造条件を変えることが非常に困難であるという問題もあった。
【0011】
また、図17に示す従来の製造装置では、遠赤外線ヒータを用いた加熱槽を有するため、装置が大型になるという問題があった。
【0012】
本発明は、前記した従来の全ての問題点を解決するためになされたものであって、安価かつ簡単な構成により、高品質のゴムロールを得ることができるだけではなく、装置のメンテナンスを容易にしたゴムロールの製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、スリーブと、スリーブの内周との間にゴム層形成空間を形成して挿入される円筒状コアと、円筒状コアの内部に隙間を有して挿入される遠赤外線ヒータとを有するゴムロールの製造装置に関する。
【0014】
かかる構成により、スリーブを型枠に着脱する手間がなく、また、加熱炉を不要にすることができる。
また、ゴム層形成空間に注入された液状ゴム原料は、スリーブ内に挿入した円筒状コアの内部から遠赤外線ヒータによって直接加熱されるので、液状ゴム原料の加熱硬化時間を大幅に短縮することができる。このため、ゴムロールの製造装置を小規模にすることができ、ゴムロールの製造コストを安価にすることができる。
【0015】
更に、遠赤外線ヒータは、一端で結線しているため、円筒状コアまたはセンターシャフトの貫通孔内への挿入および抜出しの作業が容易にできる。
また、遠赤外線ヒータと円筒状コアとの間に空間があるため、遠赤外線ヒータが直接円筒状コアに接することがないため、円筒状コア内への遠赤外線ヒータの挿入および抜出しの作業が容易となる。
更に、遠赤外線ヒータが直接円筒状コアに接していないため、遠赤外線ヒータの真直度等の加工精度が悪くても良いので、安価な遠赤外線ヒータを用いることができる。
また、遠赤外線ヒータが加熱により半径方向に膨張しても、遠赤外線ヒータが直接円筒状コアに接していないため、円筒状コアがそれに伴って膨張することがないので、ゴムロールの円周の振れを良好にすることができる。このため、ゴムロールを電子写真装置の定着用に用いた場合、定着不良が生じにくくなる。
【0016】
また、本発明は、スリーブと、スリーブの内周との間にゴム層形成空間を形成して挿入される円筒状コアと、円筒状コアの内部に挿入される、
貫通孔が形成されたセンターシャフトと、センターシャフトの内部に隙間を有して挿入される遠赤外線ヒータとを有するゴムロールの製造装置に関する。
【0017】
かかる構成により、スリーブを型枠に着脱する手間がなく、また、加熱炉を不要にすることができる。
また、ゴム層形成空間に注入された液状ゴム原料は、スリーブ内に挿入した円筒状コアの内部から遠赤外線ヒータによって直接加熱されるので、液状ゴム原料の加熱硬化時間を大幅に短縮することができる。このため、ゴムロールの製造装置を小規模にすることができ、ゴムロールの製造コストを安価にすることができる。
【0018】
更に、遠赤外線ヒータは、一端で結線しているため、センターシャフトの貫通孔内への挿入および抜出しの作業が容易にできる。
また、遠赤外線ヒータとセンターシャフトとの間に空間があるため、遠赤外線ヒータ6が直接センターシャフトに接することがないため、センターシャフト内への遠赤外線ヒータの挿入および抜出しの作業が容易となる。
更に、遠赤外線ヒータが直接円筒状コアに接していないため、遠赤外線ヒータの真直度等の加工精度が悪くても良いので、安価な遠赤外線ヒータを用いることができる。
また、遠赤外線ヒータが加熱により半径方向に膨張しても、遠赤外線ヒータが直接センターシャフトに接していないため、センターシャフトがそれに伴って膨張することがないし、センターシャフトに接している円筒状コアも膨張することがないので、ゴムロールの円周の振れを良好にすることができる。このため、ゴムロールを電子写真装置の定着用に用いた場合、定着不良が生じにくくなる。
【0019】
更に本発明は、図10および図11で示すように、前記したゴムロールの製造装置2を加熱する加熱ステージH(H1、H2)と、ゴムロールの製造装置2を冷却する冷却ステージCと、加熱ステージHと冷却ステージCとを結ぶ搬送経路40(40A、40B)からなるゴムロールの製造システムが提供される。
【0020】
加熱ステージHにおいて、液状ゴム原料は、ゴムロールの製造装置2内に形成されたゴム層成形空間に注入され、遠赤外線ヒータによって加熱硬化される(加熱硬化工程)。
【0021】
その後、ゴムロールの製造装置2は、搬送経路40に沿って移動して冷却ステージCに搬送され、冷却ステージCにおいて冷却筒21内に挿入されて冷却される(冷却工程)。
【0022】
加熱ステージH(H1、H2)は、1つの冷却ステージCに対して複数個配置することが望ましい。
【0023】
通常、搬送経路40は、ガイドレールからなり、ゴムロールの製造装置2は、このガイドレール40上をスライドする台車30上に載置されて搬送される。
【0024】
更に本発明では、前記したゴムロールの製造装置を使用し、円筒状コアの外周とスリーブの内周との間に形成されるゴム層成形空間に液状ゴム原料を注入し、遠赤外線ヒータによって液状ゴム原料を硬化せしめ、円筒状コアの周りにゴム層を形成するゴムロールの製造方法が提供される。
【0025】
ここで、遠赤外線ヒータの表面温度は、200℃〜500℃が望ましく、円筒状コアの内面は、黒色塗装されていることが望ましい。
【0026】
また、液状ゴム原料を遠赤外線ヒータにより加熱して硬化させた後、外周壁内に冷却水が挿通されている冷却筒21内にゴムロールの製造装置を挿入して冷却することが望ましい。
【0027】
遠赤外線ヒータは、図12で示すように、セラミックパイプ51と、セラミックパイプ51の内部に配設された抵抗発熱体52と、セラミックパイプ51の内部に充填された遠赤外線輻射フィラー53とからなる。
【0028】
また、遠赤外線ヒータは、図13で示すように、セラミックパイプ51に代えて金属製パイプ54の外周面にフィラーを含有した塗料を塗布してコーティング層55を形成したものであっても良い。
【0029】
この場合、フィラー53としては、SiO、Fe、Al、TiO、ZrO、Fe、Fe、CuO、CoO、MgO、NiO、MnO、LiO、Cr等の焼成セラミックスが挙げられるが、Feが望ましい。これら遠赤外線輻射フィラーの平均粒径は、100μm以下、望ましくは15μm以下であることが望ましい。
【0030】
また、塗料に用いる樹脂としては、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂等の耐熱性樹脂の他、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂などの樹脂を用いることができるが、メチルフェニルシリコーン樹脂を用いることが望ましい。
【0031】
更に本発明では、前記したゴムロールの製造装置およびゴムロールの製造システムを使用し、加熱ステージHにおいて円筒状コアの外周とスリーブの内周との間に形成されたゴム層成形空間に液状ゴム原料を注入して、遠赤外線ヒータによって液状ゴム原料を加熱硬化させ、円筒状コアの周りにゴム層を形成し、その後、ゴムロールの製造装置を搬送経路に沿って移動させて、冷却ステージに搬送し、冷却ステージにおいてゴムロールの製造装置を冷却筒内に挿入して冷却するゴムロールの製造方法を提供する。
【0032】
一つの冷却ステージに対して複数個の加熱ステージを配置した場合には、ゴムロールの製造装置を複数個使用する。
【0033】
図10および図11に示すように、第1の加熱ステージH1において液状ゴム原料を注入した第1のゴムロールの製造装置2について加熱硬化を行ない(加熱硬化工程)、第2の加熱ステージH2において第1の加熱ステージH1
とは所定の時間差△Tを設けて液状ゴム原料を注入した第2のゴムロールの製造装置2について加熱硬化を行なう(加熱硬化工程)。
【0034】
図10に示すように、第1の加熱ステージH1における加熱硬化の終了後、第1のゴムロールの製造装置2を搬送経路40Aに沿って移動させ、冷却ステージCに搬送して第1のゴムロールの製造装置2を冷却する(冷却工程)。
【0035】
そして、第1のゴムロールの製造装置2の冷却工程の終了後、ゴムロールの製造装置2を搬送経路40Aに沿って移動させて第1の加熱ステージH1に搬送して第1のゴムロールの製造装置2から製造されたゴムロール1を取出す。これと共に第2の加熱ステージH2における加熱硬化終了後、第2のゴムロールの製造装置2を搬送経路40Bに沿って移動させて冷却ステージCに搬送して第2のゴムロールの製造装置2の冷却を行なう(冷却工程)。
【0036】
以下複数個の加熱ステージH(H1、H2)において所定の時間差△Tを設けて複数個のゴムロールの製造装置について逐次加熱硬化を行ない、冷却ステージCにおいて冷却を行なうことが望ましい。
【0037】
加熱硬化を加熱ステージHで行ない、冷却を冷却ステージCで行なった場合、特に一つの冷却ステージCに対して複数個の加熱ステージH(H1、H2)を配置した場合には、加熱ステージHにおける加熱硬化工程と冷却ステージCにおける冷却工程とを逐次連続して行うことができるので、ゴムロール1の生産効率を大幅に向上することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明は、遠赤外線ヒータと、この遠赤外線ヒータを挿入する円筒状コアまたはセンターシャフトとの間に空間があるため、遠赤外線ヒータが直接センターシャフトに接することがない。このため、遠赤外線ヒータの交換等のメンテナンス作業が容易である。
【0039】
また、遠赤外線ヒータの真直度が悪くても加硫後のゴムロールの円周の振れ(JIS B0021)が悪化し難く、電子写真装置の定着ロールとして用いても定着不良が生じ難い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下本発明を実施例1〜4により詳細に説明する。
【実施例1】
【0041】
図1乃至図6により本実施例1を説明する。
図1は本発明に係るゴムロールの製造装置の分解斜視図、図2は本発明に係るゴムロールの製造装置の分解断面図、図3は本発明に係るゴムロールの製造装置の断面図、図4は冷却筒の斜視図、図5は本発明に係るゴムロールの製造装置に冷却筒を取り付けたときの断面図、図6はゴムロールの斜視図である。
【0042】
図1乃至図3に示すように、ゴムロール1Aの製造装置2Aは、円筒状のスリーブ3Aと、スリーブ3A内に挿入される円筒状コア4Aと、円筒状コア4A内に挿入され、貫通孔が形成されたセンターシャフト5Aと、センターシャフト5Aの貫通孔内に隙間を有して挿入される遠赤外線ヒータ6Aとを有する。
【0043】
そして、円筒状コア4Aの外周と、スリーブ3Aの内周との間にはゴム層成形空間Sが形成されている。
【0044】
遠赤外線ヒータ6Aとセンターシャフト5Aとの隙間(間隙)は、本実施例においては5mmとしたが、3mm〜25mmであれば良い。
【0045】
遠赤外線ヒータ6Aとセンターシャフト5Aの間隙が3mm未満であると、遠赤外線ヒータの真直度が悪い場合、センターシャフト5Aに遠赤外線ヒータが接触し、ゴムロールの加熱ムラが生じるからである。
【0046】
遠赤外線ヒータ6Aとセンターシャフト5Aの間隙が25mmを超えると、遠赤外線の輻射が悪くなり、消費電力が大きくなり、ゴムロールの生産コストのアップを招くからである。
【0047】
尚、センターシャフト5Aの内面および円筒状コア4Aの内面には、遠赤外線を吸収するように耐熱性を有する黒色塗装をすることが望ましい。
【0048】
黒色塗装は、ポリエーテルサルホン樹脂やシリコーン樹脂にカーボンなどの黒色耐熱顔料、金属酸化物の微粒子、樹脂バインダーや添加剤などを配合したものであれば良い。具体的には、オキツモ株式会社製B−600を用いることができる。
【0049】
円筒状のスリーブ3Aの上部には、エアーベント7Aが設けられている上側キャップ8Aが取付けられている。
【0050】
また、円筒状のスリーブ3Aの下部には、液状ゴム原料の流通路9Aが設けられている底部キャップ10Aが取付けられている。
【0051】
更に、底部キャップ10Aの下部には、底部キャップ10Aの流通路9Aに連絡する液状ゴム原料の注入路11Aが設けられているゲートキャップ12Aが取付けられている。
【0052】
このゲートキャップ12Aには、注入路11Aと交差貫通するように円柱状のシャッターピン13Aが摺動自在に取付けられており、シャッターピン13Aの注入路11Aに対応する個所には、液状ゴム原料の流通孔14Aが設けられている。
【0053】
センターシャフト5Aの上部にはねじ部15Aが設けられており、センターシャフト5Aの下部には係止部16Aが設けられている。
【0054】
センターシャフト5Aのねじ部15Aには、ナット17Aが螺着されており、ナット17Aの下面と上記スリーブ3Aの上側キャップ8Aの上面との間には、スリーブ3Aの型締め圧を調整するためのコイルスプリング18Aが取付けられている。
【0055】
遠赤外線ヒータ6Aの上端において電線19Aが結線されている。
また、遠赤外線ヒータ6Aには、遠赤外線ヒータ6Aの温度を測定するための熱電対20Aが取り付けられ、遠赤外線ヒータ6Aは、軸受用ブッシュ25Aを介してセンターシャフト5Aに保持されている。
【0056】
図4および図5に示すように、スリーブ3Aを冷却するための冷却筒21Aは、二つ割り円筒形状とされており、円筒状のスリーブ3Aの外側に外嵌して取り付けられる。
【0057】
冷却筒21Aの外周壁内には冷却水通路22Aが設けられており、冷却水通路22Aに送通される冷却水の水温は約10℃に設定されている。
【0058】
円筒状コア4Aの材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、ステンレススチールまたはその他の金属や合金等が使用される。
【0059】
ゴム層形成空間Sに注入される液状ゴム原料としては、例えば、液状シリコーンゴムや注型タイプのウレタンゴム等が使用される。
【0060】
前記したゴムロールの製造装置2Aを使用してゴムロール1Aを製造する場合には、まず、円筒状コア4Aの表面に接着層を形成するためのプライマー処理を施す。
【0061】
そして、円筒状コア4Aをスリーブ3A内に挿入する。
次に、ゲートキャップ12Aのシャッターピン13Aを摺動させて、シャッターピン13Aの流通孔14Aとゲートキャップ12Aの注入路11Aの位置を合わせ、ゲートキャップ12Aの注入路11Aから底部キャップ10Aの流通路9Aを介して円筒状コア4Aの外周とスリーブ3Aの内周との間のゴム層成形空間S内に液状ゴム原料を注入する。
【0062】
そして、液状ゴム原料の注入が完了したら、シャッターピン13Aを摺動させて、シャッターピン13Aの流通孔14Aとゲートキャップ12Aの注入路11Aの位置をずらし、液状ゴム原料の注入を停止する。
【0063】
その後、円筒状コア4A内においてセンターシャフト5A内に挿入された遠赤外線ヒータ6Aに通電して、液状ゴム原料を加熱して硬化させ、ゴム層23Aを形成する。
【0064】
この際、遠赤外線ヒータ6Aに取付けられた熱電対20Aによって、遠赤外線ヒータ6Aの温度を測定し、液状ゴム原料の加熱温度を調整する。
【0065】
液状ゴム原料を加熱硬化させてゴム層23Aを形成した後、遠赤外線ヒータ6Aをセンターシャフト5A内に挿入したまま、あるいは所望なれば遠赤外線ヒータ6Aをセンターシャフト5Aから抜き出すとともに、スリーブ3Aの外側に冷却筒21Aを外嵌して取付け、冷却筒21Aの冷却水通路22Aに冷却水を送通して、スリーブ3Aの冷却を行なう。
【0066】
このようにして、円筒状コア4Aの外周にゴム層23Aが形成されたゴムロール1Aの製造が完了する(図6参照)。
【0067】
上記のように、遠赤外線ヒータ6Aを使用してゴムロール1Aを製造することにより、スリーブ3Aを型枠に着脱する手間がなくなり、加熱炉が不要となる。
【0068】
また、スリーブ3A内部から遠赤外線ヒータ6Aによって直接加熱を行なうので、スリーブ3Aの加熱時間を大幅に短縮できる。
【0069】
このため、製造装置2Aの規模を小規模にすることができ、ゴムロールの製造コストを安価にすることができる。
【0070】
更に、冷却筒21Aを使用した場合には、スリーブ3Aの冷却時間も大幅に短縮することが可能となる。
【0071】
例えば、本実施例では、スリーブ3Aの昇温に約10分、冷却に約8分、合計18分という短時間でゴムロール1Aを製造することができる。
【0072】
また、遠赤外線ヒータ6Aとセンターシャフト5Aとの間に空間があるため、遠赤外線ヒータ6Aが直接センターシャフト5Aに接することがないため、センターシャフト5A内への遠赤外線ヒータ6A挿入・抜出しの作業を行ない易い。
【0073】
更に、遠赤外線ヒータ6Aの真直度が悪くても、センターシャフト5Aに接することがないため、円周の振れが悪化しにくく、ゴムロールを電子写真装置の定着用に用いた場合、定着不良が生じにくくなる。
【0074】
図1に示した遠赤外線ヒータ6Aを用いたゴムロールの製造装置2Aにより電子写真装置用定着ロールを製造した。
【0075】
定着ロールの軸方向(長手方向)端部から35mm、178mm、321mm位置での円周の振れ(半径方向)と外径をJIS-B0021に従い測定し、その結果を表1に示した。
【0076】
また、図14および図15に示した従来の電熱式パイプヒーターを用いたゴムロールの製造装置で製造した定着ロールについても同様に円周の振れと外径を測定し、その結果を表1に示した。
【0077】
【表1】

【0078】
表1により、図14および図15で示した従来の電熱式パイプヒーターを用いたゴムロールの製造装置で製造した定着ロールに比べ、本発明に係る遠赤外線ヒータを用いたゴムロールの製造装置で製造した定着ロールの方が、円周の振れが少ないことが分かる。特にゴムロールの軸方向の略中央部(測定位置178mm)は、従来のゴムロールの製造装置で製造したものの振れが0.070mmであるのに対し、本発明に係るゴムロールの製造装置で製造したものの振れが0.033mmであり、半分以下となっている。
【実施例2】
【0079】
本発明に係る他の実施例を図7および図8により詳細に説明する。
図7はゴムロールの製造装置の断面図、図8は冷却筒を取り付けたゴムロールの製造装置の断面図である。
【0080】
本実施例2に係るゴムロールの製造装置2Bは、円筒状のスリーブ3Bと、スリーブ3B内に挿入される円筒状コア4Bと、円筒状コア4B内に隙間無く挿入され、貫通孔が形成されたセンターシャフト5Bと、センターシャフト5Bの貫通孔内に隙間を有して挿入される遠赤外線ヒータ6Bとからなり、円筒状コア4Bの外周とスリーブ3Bの内周との間にはゴム層成形空間Sが形成されている。
【0081】
尚、センターシャフト5Bの内面および円筒状コア4Bの内面には、遠赤外線を吸収するように耐熱性を有する黒色塗装をすることが望ましい。
【0082】
黒色塗装は、ポリエーテルサルホン樹脂やシリコーン樹脂にカーボンなどの黒色耐熱顔料、金属酸化物の微粒子、樹脂バインダーや添加剤などを配合したもので良い。具体的には、オキツモ株式会社製B−600を用いることができる。
【0083】
図7に示すように、円筒状のスリーブ3Bの上部には、エアーベント(図示せず)が設けられている上側キャップ8Bが取付けられている。
【0084】
また、円筒状のスリーブ3Bの下部には、液状ゴム原料の注入路11Bが設けられている底部キャップ10Bが取付けられている。
【0085】
更に、スリーブ3Bの外周面には、スリーブ3Bの温度を測定するための熱電対20Bが取り付けられている。
【0086】
底部キャップ10Bの中心からオフセットされた外側部分には、注入路11Bと交差貫通するように角柱状のシャッターピン13Bが摺動自在に取付けられており、シャッターピン13Bの注入路11Bに対応する個所には、液状ゴム原料の流通孔14Bが設けられている。
【0087】
センターシャフト5Bの上部にはねじ部15Bが設けられており、センターシャフト5Bの下部には係止部16Bが設けられている。
【0088】
センターシャフト5Bのねじ部15Bには、スリーブ3Bの型締めをするためのナット17Bが螺着されている。
【0089】
遠赤外線ヒータ6Bの上端において電線19Bが結線され、遠赤外線ヒータ6Bは、軸受用ブッシュ25Bを介してセンターシャフト5Bに保持されている。
【0090】
図8に示すように、スリーブ3Bを冷却するための冷却筒21Bは、二つ割り円筒形状とされており、上記円筒状スリーブ3B、上側キャップ8Bおよび底部キャップ10Bの外側に外嵌して取り付けられている。
【0091】
冷却筒21Bの外周壁内には、冷却水通路(図示せず)が設けられており、冷却水通路に送通される冷却水の水温は約10℃に設定されている。
【0092】
円筒状コア4Bの材料としては、実施例1と同様、例えば、アルミニウム、鉄、銅、ステンレススチールまたはその他の金属や合金等が使用される。
【0093】
液状ゴム原料としては、実施例1と同様、例えば、液状シリコーンゴムや注型タイプのウレタンゴム等が使用される。
【0094】
上記の製造装置2Bを使用してゴムロール1Bを製造する場合には、まず、円筒状コア4Bの表面に接着層を形成するためのプライマー処理を施すとともに、スリーブ3Bの内周面に離型層24Bを形成した後、円筒状コア4Bをスリーブ3B内に挿入する。
【0095】
離型層24Bの材料としては、例えば四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(PFA樹脂)、四フッ化エチレン・エチレン共重合樹脂(ETFE樹脂)、ビニリデンフルオライド共重合樹脂(PVDF樹脂)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP樹脂)等が使用される。
【0096】
次に、ゲートキャップ12Bのシャッターピン13Bを摺動させて、シャッターピン13Bの流通孔14Bと底部キャップ10Bの注入路11Bの位置を合わせ、底部キャップ10Bの注入路11Bからコア4Bの外周とスリーブ3Bの内周面の離型層24Bとの間のゴム層成形空間S内に液状ゴム原料を注入する。
【0097】
そして、液状ゴム原料の注入が完了したら、シャッターピン13Bを摺動させて、シャッターピン13Bの流通孔14Bと底部キャップ10Bの注入路11Bの位置をずらし、液状ゴム原料を注入を停止する。
【0098】
その後、円筒状コア4B内においてセンターシャフト5B内に挿入された遠赤外線ヒータ6Bに通電して、液状ゴム原料を加熱して硬化させ、ゴム層23Bを形成する。
【0099】
この際、スリーブ3Bに取付けられた熱電対20Bによって、スリーブ3Bの温度を測定し、液状ゴム原料の加熱温度を調整する。
【0100】
液状ゴム原料を加熱して硬化させてゴム層23Bを形成した後、遠赤外線ヒータ6Bをセンターシャフト5Bに挿入した状態で、スリーブ3B、上側キャップ8Bおよび底部キャップ10Bの外側に冷却筒21Bを外嵌して取付け、該冷却筒21Bの冷却水通路に冷却水を送通して、スリーブ3Bの冷却を行なう。
【0101】
このようにして、円筒状コア4Bの外周にゴム層23Bが形成され、かつ、ゴム層の外周に離型層24Bが形成されたゴムロール1Bの製造が完了する。
【0102】
上記のように、遠赤外線ヒータ6Bを使用してゴムロール1Bを製造することにより、実施例1と同様、スリーブ3Bを型枠に着脱する手間がなくなり、加熱炉が不要となる。
【0103】
また、スリーブ3B内部から遠赤外線ヒータ6Bによって直接加熱を行なうので、スリーブ3Bの加熱時間を大幅に短縮でき、そのため、製造装置2Bの規模が小規模なもので済み、製造コストを低くすることができる。
【0104】
更に、冷却筒21Bを使用した場合には、スリーブ3Bの冷却時間も大幅に短縮することが可能となる。
【0105】
例えば、本実施例では、スリーブ3Bの昇温に約10分、冷却に約8分、合計18分という短時間でゴムロール1Bを製造することができる。
【0106】
更に、本実施例でも、遠赤外線ヒータ6Bは、その一端で結線しているため、センターシャフト5Bの挿入・抜出しの作業が非常に容易となる。
【0107】
また、遠赤外線ヒータ6Bとセンターシャフト5Bとの間に空間があるため、遠赤外線ヒータ6Bが直接センターシャフト5Bに接することがないため、センターシャフト5B内への挿入・抜出しの作業がやり易い。
【0108】
更に、遠赤外線ヒータ6Bの真直度が悪くても、直接センターシャフト5Bに接することがないため、円周の振れが悪化しにくく、ゴムロールを電子写真装置の定着用に用いた場合、定着不良が生じにくくなる。
【実施例3】
【0109】
本発明に係る他の実施例を、図9を用いて説明する。
図9は、ゴムロールの製造装置の断面図である。
【0110】
図7に示した実施例2では、円筒状コア4B内にセンターシャフト5Bが隙間無く挿入されており、センターシャフト5B内に遠赤外線ヒータ6Bが隙間を有して挿入されているものであった。
【0111】
これに対して、図9に示す本実施例3に係るゴムロールの製造装置2Cは、円筒状のスリーブ3Cと、スリーブ3C内に挿入される円筒状コア4Cと、円筒状コア4C内に隙間を有して直接挿入される遠赤外線ヒータ6Cとを有し、円筒状コア4Cの外周とスリーブ3Cの内周との間にはゴム層成形空間Sが形成されているものである。
【0112】
尚、円筒状コア4Cの内面には、遠赤外線を吸収するように耐熱性を有する黒色塗装することが望ましい。黒色塗装は、前記した実施例1および2と同様のものを使用することができる。
【0113】
円筒状のスリーブ3Cの上部には、エアーベント(図示せず)が設けられている上側キャップ8Cが取付けられている。
【0114】
また、円筒状のスリーブ3Cの下部には、液状ゴム原料の注入路11Cが設けられている底部キャップ10Cが取付けられている。
【0115】
更に、スリーブ3Cの外周面には、スリーブ3Cの温度を測定するための熱電対20Cが取り付けられている。
【0116】
底部キャップ10Cの中心からオフセットされた外側部分には、注入路11Cと交差貫通するように角柱状のシャッターピン13Cが摺動自在に取付けられており、シャッターピン13Cの注入路11Cに対応する個所には、液状ゴム原料の流通孔14Cが設けられている。
【0117】
遠赤外線ヒータ6Cの上部には、ねじ部15Cが設けられており、ねじ部15Cにはスリーブ3Cの型締めをするためのナット17Cが螺着されている。
【0118】
また、遠赤外線ヒータ6Cおよび底部キャップ10Cの下部の中心部分には係止ピン16Cが挿通されており、遠赤外線ヒータ6Cが底部キャップ10Cに係止されている。
【0119】
更に、遠赤外線ヒータ6Cの上端において電線19Cが結線されている。
【0120】
上記のようなゴムロールの製造装置2Cを使用してゴムロール1Cを製造する場合であっても、実施例1および実施例2と同様の作用効果を奏することができる。
【0121】
すなわち、遠赤外線ヒータ6Cを使用してゴムロール1Cを製造することにより、スリーブ3Cを型枠に着脱する手間がなくなり、加熱炉が不要となる。
【0122】
また、スリーブ3C内部から遠赤外線ヒータ6Cによって直接加熱を行なうので、スリーブ3Cの加熱時間を大幅に短縮でき、そのため、製造装置2Cの規模が小規模なもので済み、ゴムロールの製造コストを低くすることができる。
【0123】
この場合、センターシャフト5A,5Bを介することなく、遠赤外線ヒータ6Cによって円筒状コア4Cを直接加熱することができるので、特に熱伝導効率良く、スリーブ3Cの加熱をすることができ、スリーブ3Cの加熱時間を更に大幅に短縮することができる。
【0124】
更に、冷却筒21Cを使用した場合には、スリーブ3Cの冷却時間も大幅に短縮することが可能となる。
【0125】
例えば、本実施例3では、スリーブ3Cの昇温に約5分、冷却に約10分、合計15分という短時間でゴムロール1Cを製造することができる。
【0126】
更に、本実施例3でも、遠赤外線ヒータ6Cは一端で結線しているため、円筒状コア4Cの挿入・抜出しの作業が非常に容易となる。
【0127】
また、遠赤外線ヒータ6Cと円筒状コア4との間に空間があるため、遠赤外線ヒータ6Aが直接円筒状コア4に接することがないため、円筒状コア4内への遠赤外線ヒータ6Cの挿入・抜出しの作業がやり易い。
【0128】
更に、遠赤外線ヒータ6Cの真直度が悪くても、遠赤外線ヒータ6Cが直接円筒状コア4に接することがないため、円周の振れが悪化しにくく、ゴムロールを電子写真装置の定着用に用いた場合、定着不良が生じにくくなる。
【実施例4】
【0129】
本発明に係る他の実施例を図10および図11を用いて説明する。
図10および図11は、ゴムロールの製造システムを説明するための模式図である。
【0130】
図10および図11に示すように、本発明にかかるゴムロールの製造システムは、一つの冷却ステージCに対して二つの加熱ステージH1およびH2が配置されている。
【0131】
そして、加熱ステージH1 ,H2 と冷却ステージCとはガイドレール40A,40Bによってそれぞれ結ばれている。
【0132】
前記したゴムロールの製造装置2は、ガイドレール40A、40Bに沿ってスライドする台車30A、30B上に載置され、加熱ステージH1と冷却ステージC間、あるいは加熱ステージH2と冷却ステージC間を移動する。
【0133】
図10に示す状態では、第1のゴムロールの製造装置2のゴム層成形空間S内に液状ゴム原料を注入し、第1の加熱ステージH1において加熱硬化工程を行なった後、ゴムロールの製造装置2を台車30Aによってガイドレール40Aに沿って冷却ステージCに搬送する。
【0134】
そして、ゴムロールの製造装置2のスリーブ3の外側に冷却筒21を外嵌して取付け、冷却工程を行なうと共に、第2の加熱ステージH2においては第2のゴムロールの製造装置2について加熱硬化工程を行なう。
【0135】
図11に示す状態では、冷却ステージCにおいて第1のゴムロールの製造装置2についての冷却工程終了後、冷却筒21を開く。
【0136】
次いで、第1のゴムロールの製造装置2は台車30Aによってガイドレール40Aに沿って第1の加熱ステージH1に戻され、ここで製造されたゴムロール1を取出す。
【0137】
第2の加熱ステージH2において加熱硬化工程を終了した第2のゴムロールの製造装置2は、第1のゴムロールの製造装置2が冷却工程終了後に第1の加熱ステージH1に戻された後、台車30Bによってガイドレール40Bに沿って冷却ステージCに搬送され、冷却工程が行われる。
【0138】
以下、第1のゴムロールの製造装置2と第2のゴムロールの製造装置2とをそれぞれ加熱ステージH1、H2と冷却ステージCとの間で往復させて交互に加熱硬化工程、冷却工程を行ない、ゴムロール1を製造する。
【0139】
前記したゴムロールの製造方法において、加熱硬化工程における加熱温度および加熱時間が製造されるゴムロールの物性に大きく影響するため、加熱硬化時間を短縮することは困難である。
【0140】
しかし、冷却工程では冷却筒21に送通する冷却水の温度を低く設定する等して冷却効率を上げ、冷却工程時間を短縮することができる。
【0141】
したがって、加熱硬化工程時間をT1とし、冷却工程時間をT2とすれば、一般にT1>T2であり、例えばT1は8〜15分、T2は5〜10分の範囲に設定される。
【0142】
本実施例では例えば下記のタイムスケジュールを設定する。
【0143】
【表2】

【0144】
上記のタイムスケジュールによれば、加熱硬化工程時間T1のスパンで1個のゴムロールを製造することができる。
【0145】
このようにして冷却ステージCに対して複数の加熱ステージを配置することによって、小規模のゴムロールの製造システムによって大量のゴムロールを生産することができる。
【0146】
以上、本発明の実施の形態を実施例により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0147】
本発明は、以下のように把握することも可能である。
【0148】
(1) 請求項1または請求項2に記載のゴムロールの製造装置を加熱する加熱ステージと、
該加熱ステージで加熱された前記ゴムロールの製造装置を冷却筒内に挿入して冷却する冷却ステージと、
前記加熱ステージおよび前記冷却ステージとを結ぶ搬送経路からなり、
前記加熱ステージにおいて前記ゴムロールの製造装置のゴム層成形空間には液状ゴム原料を注入して該液状ゴム原料を前記電熱式パイプヒーターによって加熱硬化する加熱硬化工程が行われ、
その後、前記ゴムロールの製造装置は、前記搬送経路に沿って移動して前記冷却ステージに搬送され、
前記冷却ステージにおいて前記ゴムロールの製造装置を前記冷却筒内に挿入して冷却する冷却工程が行われることを特徴とするゴムロールの製造システム。
【0149】
(2) 1つの冷却ステージに対して複数個の加熱ステージを配置した(1)に記載のゴムロールの製造システム。
【0150】
(3) 前記搬送経路は、ガイドレールからなり、
前記ゴムロールの製造装置は、該ガイドレール上をスライドする台車上に載置されて搬送される(1)または(2)に記載のゴムロールの製造システム。
【0151】
(4) 請求項1または請求項2に記載のゴムロールの製造装置を使用し、前記円筒状コアの外周と、前記スリーブの内周との間に形成されている前記ゴム層成形空間に液状ゴム原料を注入し、
前記遠赤外線ヒータによって液状ゴムを硬化させ、
前記円筒状コアの周りにゴム層を形成することを特徴とするゴムロールの製造方法。
【0152】
(5) 前記液状ゴム原料を加熱して硬化させた後、
外周壁内に冷却水が挿通されている前記冷却筒内に前記ゴムロールの製造装置を挿入して冷却する(4)に記載のゴムロールの製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明のゴムロール1の製造方法は、電子写真複写機に用いられる転写・定着ロールの製造方法として、産業上利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】実施例1で使用するスリーブ、コア、及びヒーターの分解斜視図
【図2】実施例1で使用するスリーブ、コア、及びヒーターの分解断面図
【図3】実施例1で使用するスリーブ、コア、及びヒーターの側断面図
【図4】実施例1で使用する冷却筒の斜視図
【図5】実施例1で使用するスリーブ、コア、及び冷却筒の側断面図
【図6】実施例1で製造されたゴムロールの斜視図
【図7】実施例2で使用するスリーブ、コア、及びヒーターの分解斜視図
【図8】実施例2で使用するスリーブ、コア、及び冷却筒の側断面図
【図9】実施例3で使用するスリーブ、コア、及びヒーターの側断面図
【図10】実施例4の説明用平面図(第1の製造装置冷却中)
【図11】実施例4の説明用平面図(第1の製造装置冷却後)
【図12】遠赤外線ヒータの断面図
【図13】他の遠赤外線ヒータの側断面図
【図14】従来例の分解斜視図
【図15】従来例の分解断面図
【図16】他の従来例の説明図
【図17】他の従来例の説明図
【符号の説明】
【0155】
1(1A、1B) ゴムロール
2(2A、2B、2C) 製造装置
3(3A、3B、3C) スリーブ
4(4A、4B、4C) 円筒状コア
5(5A、5B) センターシャフト
6(6A、6B、6C) 遠赤外線ヒータ
21(21A、21B) 冷却筒
30(30A、30B) 台車
40(40A、40B) ガイドレール
C 冷却ステージ
H 加熱ステージ
S ゴム層形成空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリーブと、
該スリーブの内周との間にゴム層形成空間を形成して挿入される円筒状コアと、
該円筒状コアの内部に隙間を有して挿入される遠赤外線ヒータとを有するゴムロールの製造装置
【請求項2】
スリーブと、
該スリーブの内周との間にゴム層形成空間を形成して挿入される円筒状コアと、
該円筒状コアの内部に挿入されるセンターシャフトと、
該センターシャフトの内部に隙間を有して挿入される遠赤外線ヒータとを有するゴムロールの製造装置
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の製造装置を使用し、
前記円筒状コアの外周と前記スリーブの内周との間に形成されている前記ゴム層成形空間に液状ゴム原料を注入し、
該液状ゴム原料を前記遠赤外線ヒータによって硬化させ、
前記円筒状コアの周りにゴム層を形成するゴムロールの製造方法

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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