説明

ゴム動力駆動ユニット及び走行玩具

【課題】
駆動軸を静止させた状態でゴム状部材の弾性を蓄えることができ、しかもロック手段によってゴム状部材の蓄えた弾性を保持することができるゴム動力駆動ユニットを提供する。
【解決手段】
ゴム動力駆動ユニット1のケース本体2には、一端が固定されたゴム状部材15と、ゴム状部材15の他端を連結する原動軸11と、原動軸11を強制的に回転させてゴム状部材15を巻き上げる巻上手段40と、駆動軸21と、原動軸11の一方の回転を駆動軸21に伝達し、原動軸11の他方の回転を駆動軸21に伝達しない歯車群20と、駆動軸21をロックして駆動軸21の回転を阻止するロック手段45とが設けられている。ロック手段45は、駆動軸21をロックするロック位置P1と、駆動軸21をロックしない非ロック位置P2に移動可能となるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム動力を利用した駆動ユニットに関し、詳しくは走行玩具、飛行機玩具、舟玩具、動物玩具等の動力源として利用できるゴム動力駆動ユニット及びこのゴム動力駆動ユニットを利用した走行玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴム動力駆動ユニットは、ケース本体と、ケース本体に回動可能且つ前後方向に移動可能に設けられた駆動軸と、ケース本体内に設けられ、前記駆動軸を駆動するゴム状部材とからなる。駆動軸は、爪部を備えたドラムが設けられている。前記ゴム状部材は、一端が玩具本体の所定箇所に取り付けられ、他端が前記ドラムの爪部に引っ掛かってドラムに巻き取られる構成となっている。
【0003】
従来、ゴム動力駆動ユニットは、駆動軸の両側に車輪を取り付け、車輪を接地面に圧接して、ケース本体を後方に移動させると、駆動軸が前方に移動しながら後方回転をして、ドラムの爪部がゴム状部材の他端を引っ掛け、ゴム状部材をドラムに巻き付け、ゴム状部材を伸張して弾性を蓄えるようになっている。ゴム動力駆動ユニットは、車輪を接地面から離すと、ゴム状部材が弾性により元の状態に復帰するので、ドラムを介して駆動軸が前方回転を行う。車輪が接地面に接地していると、ケース本体が前方に移動し、駆動軸が後方に移動するので、ドラムの爪部がゴム状部材の他端を引っ掛けなくなる(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平6−254262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のゴム動力駆動ユニットは、これを組み込んだ走行玩具の車輪を接地させて走行玩具を後方に移動させなければ、ゴム状部材の弾性を蓄えることができないという問題点があった。従って、従来のゴム動力駆動ユニットは、静止した状態でゴム状部材の弾性を蓄えることができないので、走行玩具にしか組み込めないという問題点があった。また、従来のゴム動力駆動ユニットは、ゴム状部材の弾性を蓄えた状態で保持することができず、車輪を接地面から離すと同時にゴム部材の弾性が解放されて車輪が回転してしまうので、ゴム状部材の弾性を蓄えた状態で移動させる場合には、車輪を指で押さえていなければならず、そのため取り扱いが面倒であり、簡単且つ安全であるにも拘わらず幼児には取り扱いが難しいという問題点があった。
【0005】
本願発明は、上記問題点に鑑み案出したものであって、駆動軸を静止させた状態で、巻上手段によってゴム状部材の弾性を蓄えることができ、しかもロック手段によってゴム状部材の蓄えた弾性を保持することができるゴム動力駆動ユニットを提供することを第1の目的とする。また、上記ゴム動力駆動ユニットを備えた走行玩具を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願請求項1に係るゴム動力駆動ユニットは、上記第1の目的を達成するため、ケース本体を有し、ケース本体には、ケース本体に一端が固定されたゴム状部材と、前記ゴム状部材の他端を連結する原動軸と、前記原動軸を強制的に回転させてゴム状部材を巻き上げる巻上手段と、駆動軸と、前記原動軸の一方の回転を前記駆動軸に伝達し、前記原動軸の他方の回転を前記駆動軸に伝達しない歯車群と、前記駆動軸をロックして前記駆動軸の回転を阻止するロック手段とが設けられ、前記ロック手段は、前記駆動軸をロックするロック位置と、前記駆動軸をロックしない非ロック位置に移動可能となるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
本願請求項2に係る走行玩具は、上記第2の目的を達成するため、玩具本体を有し、玩具本体には、玩具本体に一端が固定されたゴム状部材と、前記ゴム状部材の他端を連結する原動軸と、前記原動軸を強制的に回転させてゴム状部材を巻き上げる巻上手段と、駆動輪が取り付けられた駆動軸と、前記原動軸の一方の回転を前記駆動軸に伝達し、前記原動軸の他方の回転を前記駆動軸に伝達しない歯車群と、前記駆動軸をロックして前記駆動軸の回転を阻止するロック手段とが設けられ、前記ロック手段は、駆動輪が接地する接地面に当接可能であって、接地面と非当接状態の時に前記駆動軸をロックするロック位置に移動し、接地面と当接状態の時に前記駆動軸をロックしない非ロック位置に移動するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本願発明に係るゴム動力駆動ユニットは、ケース本体を保持したまま、巻上手段を回転させると原動軸が一方に回転し、ゴム状部材を巻き上げて弾性を蓄えることができる。この原動軸の一方への回転は、歯車群を介して、駆動軸に伝達されることがないので、駆動軸は回転しない。巻上手段の回転を停止すると、巻き上げられたゴム状部材が弾性復元力により元の状態に復帰するため、原動軸が他方に回転しようとする。この原動軸の他方への回転は、歯車群を介して、駆動軸に伝達されるが、ロック手段が駆動軸をロックするロック位置にあるので、駆動軸の回転が阻止され、停止したままである。
【0009】
従って、本願発明に係るゴム動力駆動ユニットは、駆動軸を静止させた状態で、ゴム状部材の弾性を蓄えることができ、さらにロック手段によりゴム状部材の弾性を蓄えた状態で保持することができるという効果がある。また、ロック手段を駆動軸をロックしない非ロック位置に移動させるだけで、ロック手段のロックを解除することができ、ゴム状部材の蓄えた弾性が解放され、簡単に駆動軸を回転させることができるという効果がある。このように、本願発明に係るゴム動力駆動ユニットは、駆動軸を静止させた状態で巻上手段によってゴム状部材の弾性が蓄えられ、この蓄えられたゴム状部材の弾性をロック手段により保持することができ、ロック手段を解除するとゴム状部材の蓄えられた弾性が解放されて駆動軸が回転するので、従来のように、駆動軸を回転させてゴム動力を巻き上げる煩わしさがなく、簡単に蓄力することができ、しかも蓄えた弾性を確実に保持することができるという効果がある。
【0010】
本願発明に係る走行玩具は、玩具本体を保持したまま、巻上手段を回転させると原動軸が一方に回転し、ゴム状部材を巻き上げて弾性を蓄えることができる。この原動軸の一方への回転は、歯車群を介して、駆動軸に伝達されることがないので、駆動軸及び駆動輪は回転しない。巻上手段の回転を停止すると、巻き上げられたゴム状部材が弾性復元力により元の状態に復帰するため、原動軸が他方に回転しようとする。この原動軸の他方への回転は、歯車群を介して、駆動軸に伝達されるが、ロック手段が駆動軸をロックするロック位置にあるので、駆動軸の回転が阻止され、停止したままである。
【0011】
従って、本願発明に係る走行玩具は、駆動軸及び駆動輪を静止させた状態で、ゴム状部材の弾性を蓄えることができ、さらにロック手段によりゴム状部材の弾性を蓄えた状態で保持することができるという効果がある。また、ロック手段を駆動軸をロックしない非ロック位置に移動させるだけで、ロック手段のロックを解除することができ、ゴム状部材の蓄えた弾性が解放され、簡単に駆動軸及び駆動輪を回転させることができるという効果がある。このように、本願発明に係る走行玩具は、駆動軸を静止させた状態で巻上手段によってゴム状部材の弾性が蓄えられ、この蓄えられたゴム状部材の弾性をロック手段により保持することができ、ロック手段を解除するとゴム状部材の蓄えられた弾性が解放されて駆動軸及び駆動輪が回転するので、従来のように、駆動輪を接地面に押し付けながら回転させてゴム動力を巻き上げる煩わしさがなく、簡単に蓄力することができ、しかも蓄えた弾性を確実に保持することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本願発明に係るゴム動力駆動ユニット(走行玩具)の一つの実施の形態を図1乃至図7に基づいて説明する。図1は、ゴム動力駆動ユニット(走行玩具)を一方から視た全体斜視図である。図2は、ゴム動力駆動ユニット(走行玩具)を他方から視た全体斜視図である。図3、ゴム動力駆動ユニット(走行玩具)を下方から視た全体斜視図である。図4は、ゴム動力駆動ユニット(走行玩具)の平面図である。図5、ゴム動力駆動ユニット(走行玩具)の側面図である。図6は、ゴム動力駆動ユニット(走行玩具)の要部断面図である。図7は、ゴム動力駆動ユニット(走行玩具)の動作説明図である。
【0013】
ゴム動力駆動ユニット1は、ケース本体2を有する。ケース本体2には、ケース本体2に一端が固定されたゴム状部材15と、前記ゴム状部材15の他端を連結する原動軸11と、前記原動軸11を強制的に回転させてゴム状部材15を巻き上げる巻上手段40と、駆動軸21と、前記原動軸11の一方の回転を前記駆動軸21に伝達し、前記原動軸11の他方の回転を前記駆動軸21に伝達しない歯車群20と、前記駆動軸21をロックして前記駆動軸21の回転を阻止するロック手段45とが設けられている。前記ロック手段45は、前記駆動軸21をロックするロック位置P1と、前記駆動軸21をロックしない非ロック位置P2に移動可能となるように構成されている。
【0014】
ゴム動力駆動ユニット1は、ケース本体2を保持したまま、巻上手段40を回転させると原動軸11が一方に回転し、ゴム状部材15を巻き上げて弾性を蓄えることができる。この原動軸11の一方への回転は、歯車群20を介して、駆動軸21に伝達されることがないので、駆動軸21は回転しない。巻上手段40の回転を停止すると、巻き上げられたゴム状部材15が弾性復元力により元の状態に復帰するため、原動軸11が他方に回転しようとする。この原動軸11の他方への回転は、歯車群20を介して、駆動軸21に伝達されるが、ロック手段45が駆動軸21をロックするロック位置P1にあるので、駆動軸21の回転が阻止され、停止したままである。
【0015】
従って、ゴム動力駆動ユニット1は、駆動軸21を静止させた状態で、ゴム状部材15の弾性を蓄えることができ、さらにロック手段45によりゴム状部材15の弾性を蓄えた状態で保持することができる。また、ロック手段45を駆動軸21をロックしない非ロック位置P2に移動させるだけで、ロック手段45のロックを解除することができ、ゴム状部材15の蓄えた弾性が解放され、簡単に駆動軸21を回転させることができる。このように、ゴム動力駆動ユニット1は、駆動軸21を静止させた状態で巻上手段40によってゴム状部材15の弾性が蓄えられ、この蓄えられたゴム状部材15の弾性をロック手段45により保持することができ、ロック手段45を解除するとゴム状部材15の蓄えられた弾性が解放されて駆動軸21が回転するので、従来のように、駆動軸21を回転させてゴム動力を巻き上げる煩わしさがなく、簡単に蓄力することができ、しかも蓄えた弾性を確実に保持することができる。
【0016】
走行玩具1は、玩具本体2を有する。玩具本体2には、玩具本体2に一端が固定されたゴム状部材15と、前記ゴム状部材15の他端を連結する原動軸11と、前記原動軸11を強制的に回転させてゴム状部材15を巻き上げる巻上手段40と、駆動輪31が取り付けられた駆動軸21と、前記原動軸11の一方の回転を前記駆動軸21に伝達し、前記原動軸11の他方の回転を前記駆動軸21に伝達しない歯車群20と、前記駆動軸21をロックして前記駆動軸21の回転を阻止するロック手段45とが設けられている。前記ロック手段45は、駆動輪31が接地する接地面35に当接可能であって、接地面35と非当接状態の時に前記駆動軸21をロックするロック位置P1に移動し、接地面35と当接状態の時に前記駆動軸21をロックしない非ロック位置P2に移動するように構成されている。
【0017】
走行玩具1は、玩具本体2を保持したまま、巻上手段40を回転させると原動軸11が一方に回転し、ゴム状部材15を巻き上げて弾性を蓄えることができる。この原動軸11の一方への回転は、歯車群20を介して、駆動軸21に伝達されることがないので、駆動軸21及び駆動輪31は回転しない。巻上手段40の回転を停止すると、巻き上げられたゴム状部材15が弾性復元力により元の状態に復帰するため、原動軸11が他方に回転しようとする。この原動軸11の他方への回転は、歯車群20を介して、駆動軸21に伝達されるが、ロック手段45が駆動軸21をロックするロック位置P1にあるので、駆動軸21の回転が阻止され、停止したままである。
【0018】
従って、走行玩具1は、駆動軸21及び駆動輪31を静止させた状態で、ゴム状部材15の弾性を蓄えることができ、さらにロック手段45によりゴム状部材15の弾性を蓄えた状態で保持することができる。また、ロック手段45を駆動軸21をロックしない非ロック位置P2に移動させるだけで、ロック手段45のロックを解除することができ、ゴム状部材15の蓄えた弾性が解放され、簡単に駆動軸21及び駆動輪31を回転させることができる。このように、走行玩具1は、駆動軸21を静止させた状態で巻上手段40によってゴム状部材15の弾性が蓄えられ、この蓄えられたゴム状部材15の弾性をロック手段45により保持することができ、ロック手段45を解除するとゴム状部材15の蓄えられた弾性が解放されて駆動軸21及び駆動輪31が回転するので、従来のように、駆動輪31を接地面に押し付けながら回転させてゴム動力を巻き上げる煩わしさがなく、簡単に蓄力することができ、しかも蓄えた弾性を確実に保持することができる。
【0019】
さらに、ゴム動力駆動ユニット1について詳細に説明する。図1乃至3に示すように、ケース本体2は、矩形箱状に形成され、底壁3と、前壁5と、後壁6と、右壁7と、左壁8とを有する。ケース本体2は、右壁7と略平行であり、前壁5と後壁6に連接された仕切壁9が設けられている。右壁7と仕切壁9の間には空間10が形成され、この空間10には後記歯車群20が設けられている。
【0020】
ケース本体2には、図4に示すように、原動軸11と駆動軸21が略平行に取り付けられている。原動軸11は、右壁7と仕切壁9に回動可能に取り付けられている。空間10内側の原動軸11には、原動歯車12が固定して取り付けられている。仕切壁9から左壁8側に突出する原動軸11の一端には、略逆J字状のフック13が取り付けられている。このフック13には、ゴム状部材15の一方が引っ掛けられている。ゴム状部材15の他方は、左壁8に一対の切り欠き16,17によって形成された突片18に引っ掛けられている。
【0021】
駆動軸21は、右壁7と左壁8に回動可能に取り付けられ、空間10内側に従動歯車22が固定して取り付けられている。従動歯車22と原動歯車12の間には、遊星歯車25が設けられている。図7に示すように、遊星歯車25を取り付ける中間軸26は、遊星歯車25が原動歯車12と常に噛み合うと共に、原動歯車12の反時計方向(反X方向)の回転の時に遊星歯車25が従動歯車22から離間し、原動歯車12の時計方向(X方向)の回転の時に遊星歯車25が従動歯車22と噛み合うように、右壁7と仕切壁9に形成された軸受け長孔27に回動可能に取り付けられている。前記原動歯車12と前記遊星歯車25と前記従動歯車22によって、原動軸11の一方の回転(X方向)を駆動軸21に伝達し、原動軸11の他方の回転(反X方向)を駆動軸21に伝達しない歯車群20を構成している。
【0022】
右壁7と仕切壁9の間には、巻上軸41が回動可能に設けられている。この巻上軸41には、前記原動歯車12と常に噛み合う巻上歯車42が固定して取り付けられている。また、右壁7から外側に突出する巻上軸41の先端には、摘み43が固定して取り付けられている。この巻上軸41と、巻上歯車42と、摘み43とで、原動軸11を強制的に回転させてゴム状部材15を巻き上げる巻上手段40を構成する。
【0023】
空間10内には、前記従動歯車22と噛み合って駆動軸21をロックするロック手段45が設けられている。ロック手段45は、図6に示すように、細長板状の作動部材46と、作動部材46の一方46aに設けられた係止部材47とからなる。本実施の形態では、係止部材47は、歯車状に形成されているが、係止爪状であっても構わないものであり、要する、当接すると駆動軸21の回転を阻止し、離れると駆動軸21の回転を許容する構造であれば良い。
【0024】
作動部材46は、係止部材47が従動歯車22に係止する方向と係止部材47が従動歯車22から離れる方向に移動可能であり、自重により係止方向に付勢されている。なお、作動部材46は、バネ等の弾性部材により係止方向に付勢されても構わない。作動部材46の他方46bは、ケース本体2の底壁3に形成された開口3aから突出している。作動部材46は、底壁3に形成された案内部材28によって上下方向に案内され、仕切壁9に設けられたストッパー片29によって飛び出さないようにしている。
【0025】
ゴム動力駆動ユニット1は、上記構成を有し、初期状態にあっては、図7(a)に示すように、ロック手段45の係止部材47が自重により従動歯車22と噛み合って、ロック手段45が駆動軸21をロックするロック位置P1におり、駆動軸21がロックされて駆動軸21の回転が阻止されている。この状態で、摘み43を把持して巻上軸41を時計方向(X方向)に回転させると、図7(b)に示すように、巻上歯車42も時計方向(X方向)に回転し、これと噛み合う原動歯車12が反時計方向(反X方向)に回転する。原動歯車12の回転に伴って、原動軸11及びフック13が回転し、ゴム状部材15を巻いていく。原動歯車12の反時計方向(反X方向)の回転に追随して遊星歯車25が従動歯車22から離れるので、原動歯車12の回転が従動歯車22には伝達されない。このように、ゴム動力駆動ユニット1は、巻上軸41を時計方向(X方向)に回転させることにより、ゴム状部材15の弾性が蓄えられる。
【0026】
図7(a)に示すように、摘み43を離すと、ゴム状部材15の弾性により、原動歯車12が時計方向(X方向)に回転しようとする。原動歯車12の時計方向(X方向)の回転に追随して、遊星歯車25が従動歯車22と噛み合う。前述したように、従動歯車22は、ロック手段45の係止部材47によってロックされているので、回転が阻止されている。従って、原動歯車12の時計方向(X方向)の回転は、従動歯車22に伝達されるが、従動歯車22がロックされているので阻止される。
【0027】
図7(c)に示すように、作動部材46を反係止方向に移動させると、係止部材47が従動歯車22から離れるので、ロック手段45が駆動軸21をロックしない非ロック位置P2に移動して、従動歯車22及び駆動軸21のロックが解除され、ゴム状部材15の蓄えられた弾性が解放され、ゴム状部材15の弾性復元力により、従動歯車22が時計方向(X方向)に回転する。従動歯車22の時計方向(X方向)の回転が駆動軸21に伝達され、駆動軸21が時計方向(X方向)に回転する。
【0028】
このゴム動力駆動ユニット1は、走行玩具1に応用することができる。前記した駆動軸21の両側に駆動車輪31,31を取り付ける。ケース本体2の後壁6側に、前記駆動軸21と略平行となる遊動軸32を回動可能に設ける。この遊動軸32の両側に遊動車輪33,33を取り付ける。このようにして、ゴム動力駆動ユニット1を走行玩具1にすることができる。なお、前記ロック手段45の作動部材46の他方46bは、駆動車輪31と遊動車輪33が接地する接地面35よりも突出させておく必要がある。
【0029】
走行玩具1は、初期状態にあっては、図7(a)に示すように、ロック手段45の係止部材47が自重により従動歯車22と噛み合って、ロック手段45が駆動軸21をロックするロック位置P1におり、駆動軸21がロックされて駆動軸21の回転が阻止されている。この状態で、摘み43を把持して巻上軸41を時計方向(X方向)に回転させると、図7(b)に示すように、巻上歯車42も時計方向(X方向)に回転し、これと噛み合う原動歯車12が反時計方向(反X方向)に回転する。原動歯車12の回転に伴って、原動軸11及びフック13が回転し、ゴム状部材15を巻いていく。原動歯車12の反時計方向(反X方向)の回転に追随して遊星歯車25が従動歯車22から離れるので、原動歯車12の回転が従動歯車22、駆動軸21及び駆動車輪31,31には伝達されない。このように、走行玩具1は、巻上軸41を時計方向(X方向)に回転させることにより、駆動車輪31,31を動かさずに静止させた状態で、ゴム状部材15の弾性が蓄えられる。
【0030】
図7(a)に示すように、摘み43を離すと、ゴム状部材15の弾性により、原動歯車12が時計方向(X方向)に回転しようとする。原動歯車12の時計方向(X方向)の回転に追随して、遊星歯車25が従動歯車22と噛み合う。前述したように、従動歯車22は、ロック手段45の係止部材47によってロックされているので、駆動軸21及び駆動車輪31,31の回転が阻止されている。従って、原動歯車12の時計方向(X方向)の回転は、従動歯車22に伝達されるが、駆動軸21がロック手段45にロックされているので、阻止される。
【0031】
図7(c)に示すように、駆動車輪31,31と遊動車輪33,33を接地面35に接地させると、作動部材46の他方46bが接地面35に接触して、作動部材46が反係止方向に押し上げられる。作動部材46が反係止方向(上方)に押し上げられると、係止部材47が従動歯車22から離れるので、ロック手段45が駆動軸21をロックしない非ロック位置P2に移動して、従動歯車22及び駆動軸21のロックが解除され、ゴム状部材15の蓄えられた弾性が解放され、ゴム状部材15の弾性復元力により、従動歯車22が時計方向(X方向)に回転する。従動歯車22の時計方向(X方向)の回転が駆動軸21に伝達され、駆動軸21及び駆動輪31,31が時計方向(X方向)に回転する。駆動輪31,31が回転するので、走行玩具1は走行する。ゴム状部材15の蓄えられた弾性が全て解放されて、原動歯車12及び遊星歯車25の回転が停止した場合であっても、従動歯車22の時計方向(X方向)の回転によって、遊星歯車25が従動歯車22から離れる方向に弾かれるので、従動歯車22の時計方向(X方向)が遊星歯車25に影響を受けることが少ない。
【0032】
なお、本実施の形態では、ゴム動力駆動ユニット1を走行玩具として説明したが、飛行機玩具に取り付けてプロペラを駆動する駆動部、舟玩具に取り付けてスクリューを駆動する駆動部、動物玩具に取り付けて腕部、脚部を駆動する駆動部とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本願発明は、走行玩具、飛行機玩具、舟玩具、動物玩具等の玩具のゴム動力駆動ユニットとして利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】ゴム動力駆動ユニット(走行玩具)を一方から視た全体斜視図である。
【図2】ゴム動力駆動ユニット(走行玩具)を他方から視た全体斜視図である。
【図3】ゴム動力駆動ユニット(走行玩具)を下方から視た全体斜視図である。
【図4】ゴム動力駆動ユニット(走行玩具)の平面図である。
【図5】ゴム動力駆動ユニット(走行玩具)の側面図である。
【図6】ゴム動力駆動ユニット(走行玩具)の要部断面図である。
【図7】ゴム動力駆動ユニット(走行玩具)の動作説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1 ゴム動力駆動ユニット(走行玩具)
2 ケース本体(玩具本体)
3 底壁
3a 開口
5 前壁
6 後壁
7 右壁
8 左壁
9 仕切壁
10 空間
11 原動軸
12 原動歯車
13 フック
15 ゴム状部材
16 切り欠き
17 切り欠き
18 突片
20 歯車群
21 駆動軸
22 従動歯車
25 遊星歯車
26 中間軸
27 軸受け長孔
28 案内部材
29 ストッパー片
31 駆動車輪
32 遊動軸
33 遊動車輪
35 接地面
40 巻上手段
41 巻上軸
42 巻上歯車
43 摘み
45 ロック手段
46 作動部材
46a 一方
46b 他方
47 係止部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体を有し、
ケース本体には、
ケース本体に一端が固定されたゴム状部材と、
前記ゴム状部材の他端を連結する原動軸と、
前記原動軸を強制的に回転させてゴム状部材を巻き上げる巻上手段と、
駆動軸と、
前記原動軸の一方の回転を前記駆動軸に伝達し、前記原動軸の他方の回転を前記駆動軸に伝達しない歯車群と、
前記駆動軸をロックして前記駆動軸の回転を阻止するロック手段とが設けられ、
前記ロック手段は、前記駆動軸をロックするロック位置と、前記駆動軸をロックしない非ロック位置に移動可能となるように構成されていることを特徴とするゴム動力駆動ユニット。
【請求項2】
玩具本体を有し、
玩具本体には、
玩具本体に一端が固定されたゴム状部材と、
前記ゴム状部材の他端を連結する原動軸と、
前記原動軸を強制的に回転させてゴム状部材を巻き上げる巻上手段と、
駆動輪が取り付けられた駆動軸と、
前記原動軸の一方の回転を前記駆動軸に伝達し、前記原動軸の他方の回転を前記駆動軸に伝達しない歯車群と、
前記駆動軸をロックして前記駆動軸の回転を阻止するロック手段とが設けられ、
前記ロック手段は、駆動輪が接地する接地面に当接可能であって、接地面と非当接状態の時に前記駆動軸をロックするロック位置に移動し、接地面と当接状態の時に前記駆動軸をロックしない非ロック位置に移動するように構成されていることを特徴とする走行玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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