説明

ゴム物品用過酸化物加硫性ブチル組成物

【課題】硬化後、高硬度で優れた引裂抵抗及び圧縮永久歪を有すると共に、伸びが良好で、気体又は湿気に対し浸透性が低い、特にシーリング用に好適な過酸化物硬化性ゴムコンパウンドを提供する。
【解決手段】本発明はブチルゴム重合体;高ビニルポリブタジエン重合体;エチレンと少なくとも1種のα−オレフィンと任意に少なくとも1種のジエンとのオレフィン重合体;及び過酸化物硬化剤を2〜5phr含む過酸化物硬化性ゴム組成物に関し、またブチルゴム重合体、EP(D)Mゴム重合体及び1,2−ポリブタジエン重合体を含む過酸化物硬化性ゴム組成物に関する。これらの組成物から作った造形品は、薬剤容器、コンデンサーキャップ、燃料電池のシール、電解質含有容器、リング、防振装置、シール、シーラント等の用途がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ブチルゴム重合体、エチレンと少なくとも1種のα−オレフィンとのオレフィン重合体、及び高ビニルポリブタジエン重合体を含む過酸化物硬化性ゴムコンパウンドに向けたものである。また本発明は、ブチル重合体、EP(D)Mゴム重合体、及び1,2−ポリブタジエン重合体を含む過酸化物硬化性ゴムコンパウンドに向けたものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
当該技術分野で知られているように、過酸化物硬化性ゴムコンパウンドは、従来の硫黄硬化系に比べて幾つかの利点を有する。通常、これらのコンパウンドは、硬化速度が極めて早く、また得られる硬化物は、耐熱性に優れている上、圧縮永久歪が低い傾向がある。更に、過酸化物硬化性配合物は、抽出可能な無機不純物(例えば硫黄)を含有しない点でかなり“一層クリーン”である。したがって、このようなゴム物品は、例えばコンデンサーキャップ、生物医学装置、薬剤装置(薬瓶や注射器の栓)及び可能ならば燃料電池のシールに使用できる。
【0003】
ブチル型ゴムは、酸素、窒素等の気体や湿気に不浸透で、酸、アルカリ及び薬品に対し安定であるため、そのシーリング用としての用途は、他の合成ゴムよりも好ましい。
【0004】
商品名Bayer XL−10000で売られている、イソブチレン(IB)、イソプレン(IP)及びジビニルベンゼン(DVB)をべースとする市販の三元共重合体は、過酸化物単独で硬化可能である。しかし、この材料は幾つかの欠点を持っている。DVBは、重合工程中に取込まれるので、製造中、かなりの量の架橋が起こる。得られる材料は、ムーニー粘度が高く(約60〜75MU、M 1+8@125℃)、かつゲル粒子が存在するので、加工困難である。また、かなりの量のフリーDVBが存在するので、安全性の懸念が生じ得る。したがって、過酸化物硬化性で完全溶解性(即ち、ゲルを含まない)のイソブチレン系重合体を得ることが望ましい。
【0005】
周知のように、ブチルゴム及びポリイソブチレンを含有するコンパウンドは、有機過酸化物の作用下で分解する。したがって、これらのコンパウンド中には硬化促進剤(助剤)の存在が必要である。
過酸化物硬化性ブチル系配合物を得る一方法は、従来のブチルゴムをDVBのようなビニル芳香族化合物及び有機過酸化物と併用することである(JP−A−107738/1994参照)。DVBの代わりに、電子吸引基含有多官能性モノマー(例えばエチレンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、N,N’−m−フェニレンジマレイミド)も使用できる(JP−A−172547/1994参照)。
【0006】
White等の米国特許No.5,578,682は、本来、一様式の分子量分布を有する重合体から誘導した二様式の分子量分布を有する重合体の製造方法を開示している。重合体、例えばポリイソブチレン、ブチルゴム、又はイソブチレンとp−メチルスチレンとの共重合体をポリ不飽和架橋剤(及び任意にフリーラジカル開始剤)と混合し、有機過酸化物の存在下で高剪断混合条件を施した。この二様式化は、架橋助剤中に存在する不飽和基において、フリーラジカル減成重合体鎖の幾つかがカップリングした結果である。White等は、このような改質重合体の充填コンパウンド又はこのようなコンパウンドの硬化状態については、何も述べていない。
【0007】
Sudo等の米国特許No.54,465は、イソプレン含有量が0.5〜2.5モル%のブチルゴムを過酸化物及びビスマレイミド種の処理により硬化する方法を開示している。このゴム組成物は、任意に有機シリコーン化合物を含有し、その物品は医薬品又は医学的治療に有用である。この組成物は、硬化後、優れた溶融流動性を有する。
同時係属カナダ特許出願2,458,741には、新グレードの高イソプレンブチルゴムを用いたブチル系過酸化物硬化性コンパウンドの製造について記載されている。この出願特許によれば、硬化促進剤(助剤)としてN,N’−m−フェニレンジマレイミドが有用である。
【0008】
Cotsakis等の米国特許No.6,120,869は、ゴム膜に水蜜性フィールドジョイントを形成するための感圧テープを開示している。この接着性屋根テープは、過酸化物硬化系を用いた、臭素化ブチルゴムとEPDMゴムとの組み合わせをベースとするものである。これらのゴムは、両方とも過酸化物単独で別々に硬化できる。この特許の重要な面は、可塑剤として高分子量ポリイソブチレンを有することである。PIBに対する過酸化物の作用で生じる減成生成物が表面粘着性を付与した。
【0009】
電解コンデンサー用弾性蓋のような幾つかの特定の用途には、コンパウンド中にハロゲンが存在するのは望ましくない。これは弾性ゴムキャップ(電解質と接触している)中に存在するハロゲンが、コンデンサーの銅線と相互作用して、腐食及び次いで電解質の漏れを起こす恐れがあるからである。したがって、前記用途は、コンデンサーキャップ用として不適である。
【0010】
Walker等の米国特許No.3,584,080は、イソブチレンのようなイソオレフィンとDVBのような芳香族ジビニル化合物との共重合体(又はIB−IP−DVB三元重合体)を、少量のゴム状又は樹脂状重合体(例えばPE、NR又はEP(D)Mゴム)と一緒に混合コンパウンド中に存在させた過酸化物加硫性組成物を特許請求している。この特許発明の中心面は、コンパウンド中に導入した各種類のゴム自体、過酸化物硬化性である点である。これらの請求項には、ブチル系重合体で同時加硫される1種の可能なゴムとして、ポリブタジエンを含んでいない。更にWalker等は、コンパウンド中に共存するブチルゴム、EP(D)Mゴム及びBRゴムの3成分系について述べていない。またWalker等は、製造したコンパウンド又はその物品中の成分の1つとして、高ビニルポリブタジエンゴムを使用することについて述べていない。
【0011】
SaotomeのJP55−62943A1は、ブチル系ゴム(IIR又はPIB)とEP(D)Mゴムとの混合物を有機過酸化物の存在下で加熱、混合し、混合物を部分架橋して製造した熱可塑性弾性重合体組成物を開示している。得られた重合体組成物は、優れた溶融流動性を有し、これに増粘剤を加えた場合はホットメルト接着剤及びシーラントを意図している。このコンパウンドに存在する過酸化物の量は、重合体100部当たり、通常0.1〜1.5部の範囲である。実施例は、EP(D)Mゴム70部及びブチルゴム又はPIB30部からなるブレンドをベースとしている。この特許は、優れた溶融加工性(したがって、架橋度は制限しなければならない)を有する組成物に特定し、このコンパウンドの硬化状態の特性(例えばMDR試験による)について言及していない。実際に、この特許の中心面は、溶融時の加工性を妨害するゲルの発生を抑えることである。
【0012】
YaedaのJP S50−74643Aは、ブチルゴム及びビニル結合含有量が70%以上の1,2−ポリブタジエンで製造したブチルゴム組成物を開示している。この硫黄加硫コンパウンドは、高硬度で優れた引裂抵抗及び圧縮永久歪を有する。この特許は過酸化物硬化を開示していないし、また混合又は硬化コンパウンドの成分の1つとしてEP(D)Mを含む三成分系を開示していない。
【0013】
EPDMゴムは、ブチルゴムを利用する幾つかの用途、例えばケーブルの絶縁、ショックアブソーバーの部品、窓のシール、屋根膜及びコンデンサーキャップに使用することが知られている。しかし、EPDMは、気体や湿気に対する不浸透性の点でブチルゴムと競合できない。コンデンサーキャップのような特定の用途には、ブチル及びEPDMをベースとする過酸化物硬化コンパウンドは、EPDM単独系のものよりも優れていなければならない。
同時係属カナダ出願CA POS−1170は、ブチルゴム重合体及びエチレンと少なくとも1種のα−オレフィンとのオレフィン重合体を含む過酸化物硬化性ゴムコンパウンドを開示している。
【0014】
幾つかのグレードの工業用ポリブタジエンが市販されている。これらのグレードは、それ自体の特性や加硫物の特性に影響を与えるマクロ構造及びミクロ構造が異なる。ポリブタジエンは過酸化物で硬化可能である。例えばRicon(登録商標)のような液状ポリブタジエンは、助剤又は反応性可塑剤として使用され、フリ?ラジカルによる架橋を促進する上、混合/加工段階において粘度を低下させる。
【特許文献1】JP−A−107738/1994
【特許文献2】JP−A−172547/1994
【特許文献3】米国特許No.5,578,682
【特許文献4】米国特許No.54,465
【特許文献5】同時係属カナダ特許出願2,458,741
【特許文献6】米国特許No.6,120,869
【特許文献7】米国特許No.3,584,080
【特許文献8】JP S50−74643A
【特許文献9】同時係属カナダ出願CA POS−1170
【特許文献10】JP55−62943A1
【特許文献11】日本特許出願S44−32425
【特許文献12】日本特許出願S44−32426
【特許文献13】日本特許出願S45−38070
【非特許文献1】Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry(第5完全改訂版,A23巻,Elvers等編,290〜292頁
【非特許文献2】Encyclopedia of Polymer Science and Engeering,第4巻,66頁以下(配合)及び第17巻,666頁以下(加硫)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、ブチルゴム、EP(D)Mゴム及び高ビニルポリブタジエンゴムを組成物中に共存、使用したブチル含有過酸化物硬化性コンパウンドを説明する。ブチルエラストマーは、主としてシーリング特性を付与し、またEP(D)Mゴム及び1,2−ポリブタジエンの両者は、IIRの硬化促進剤(助剤)として作用する。これら3種のエラストマーを適切に選択した量で使用すると、硬化材料の特性が驚くほど良好になる。EP(D)Mゴムは主要助剤として働き、一方、少量のBRゴムは、福次的であるが極めて効果的な硬化促進剤として作用する。このような2種の高分子助剤からなる系を使用すると、コンパウンド中のブチルゴムの量を、硬化状態に悪影響を与えることなく最大化できる。両助剤とも本来、高分子なので、低分子量の添加剤を使用した場合の共通の問題である助剤の浸出を最小化する。
【0016】
本発明に従って製造した加硫コンパウンドのMDR及び応力−歪特性は、過酸化物硬化性ブチルゴムであるBayer XL−10000をベースとする比較用コンパウンドに匹敵する。これは、最終生成物がかなりの架橋度を有することを例証するもので、JP55−62943A1のような溶融状態で良好な加工性を意図するものではない。本発明のコンパウンドをベースとするゴム物品は、ショアーA硬度が高く、伸びが良好で、気体又は湿気に対し浸透性が低いことが重要である電解コンデンサーキャップのようなシーリングの用途に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
発明の概要
本発明は、ブチルゴム重合体、エチレンと少なくとも1種のα−オレフィンと任意に少なくとも1種のジエンとのオレフィン重合体、及び高ビニルポリブタジエンゴム重合体を含む過酸化物硬化性コンパウンドに関する。
また本発明は、ブチルゴム重合体、EP(D)Mゴム及び1,2−ポリブタジエンを含む過酸化物硬化性ゴムコンパウンドに関する。
【0018】
また本発明は、ブチルゴム重合体、EP(D)Mゴム、1,2−ポリブタジエン及び少なくとも1種の過酸化物硬化剤を混合する工程を含む過酸化物硬化性コンパウンドの製造方法に関する。
更に本発明は、ブチルゴム重合体、EP(D)Mゴム及び1,2−ポリブタジエンで製造した過酸化物硬化性コンパウンドを含む物品に関する。
【0019】
図面の簡単な説明
図1は、本発明に従って製造したコンパウンド及び比較用コンパウンドのMDR硬化曲線を示す。
図2は、本発明に従って製造したコンパウンド及び比較用コンパウンドのMDR硬化曲線を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
発明の詳細な説明
限定ではなく説明の目的で本発明を以下に説明する。操作例を除くか、或いは特に指定しない場合、明細書中の量、%等を表す全ての数値は、全ての例において、用語“約”で変化するものと理解すべきである。また全ての範囲は、具体的に挙げても挙げなくても、いずれかの中間範囲を包含する。
【0021】
本発明はブチル重合体に関する。用語“ブチルゴム”、“ブチル重合体”及び“ブチルゴム重合体”は、本明細書中で交換可能に使用される。本発明に好適なブチル重合体は、C〜CモノオレフィンモノマーとC〜C14マルチオレフィンモノマーとを含むモノマー混合物から誘導される。本発明に好適なブチル重合体は、本質的にゲルを含まない(ゲル<10重量%)。
【0022】
本発明と関連して、用語“ゲル”は、還流下、沸騰するシクロヘキサン中で60分間不溶の重合体画分を示すものと理解する。本発明ではゲル含有量は、好ましくは10重量%未満、更に好ましくは5重量%未満、最も好ましくは3重量%未満、なお最も好ましくは1重量%未満である。
【0023】
モノマー混合物は、C〜Cモノオレフィンモノマーを約80〜約99重量%及びC〜C14マルチオレフィンモノマーを約1.0〜約20重量%含有することが好ましい。更に好ましくは、モノマー混合物は、C〜Cモノオレフィンモノマーを約85〜約99重量%及びC〜C14マルチオレフィンモノマーを約1.0〜約10重量%含有する。最も好ましくは、モノマー混合物は、C〜Cモノオレフィンモノマーを約95〜約99重量%及びC〜C14マルチオレフィンモノマーを約1.0〜約5.0重量%含有する。
【0024】
好ましいC〜Cモノオレフィンモノマーは、イソブチレン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、4−メチル−1−ペンテン及びそれらの混合物から選択してよい。最も好ましいC〜Cイソモノオレフィンモノマーはイソブチレンである。
【0025】
好ましいC〜C14マルチオレフィンモノマーは、イソプレン、ブタジエン、2−メチルブタジエン、2,4−ジメチルブタジエン、ピペリレン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、2−ネオペンチルブタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2−メチル−1,6−ヘプタジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、1−ビニルシクロヘキサジエン及びそれらの混合物から選択してよい。最も好ましいC〜C14マルチオレフィンモノマーはイソプレンである。
【0026】
本発明に好適なブチルゴム重合体の製造に使用されるモノマー混合物は、架橋剤、トランスファー剤、及び他のモノマーがモノマー混合物中の他のモノマーと共重合可能であれば、別のモノマーを含有してよい。好適な架橋剤、トランスファー剤及びモノマーとしては、当業者に公知の全てのものが含まれる。
【0027】
本発明に有用なブチルゴム重合体は、当該技術分野で公知のいかなる方法によっても製造でき、したがって、モノマー混合物の特定の重合法に制約されない。このような方法は当業者に周知で、通常、前記モノマー混合物を触媒系と接触させる工程を含む。重合はブチル重合体を製造する際の従来の温度、例えば−100〜+50℃の範囲の温度で実施できる。重合体は、溶液中での重合により、或いはスラリー重合法により製造できる。重合は、懸濁液(スラリー法)中で実施できる。例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry(第5完全改訂版,A23巻,Elvers等編,290〜292頁)参照。工業的規模ではブチルゴムは、低温でのカチオン溶液重合により殆ど排他的にイソブテン/イソプレン共重合体として製造される。例えばKirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technologie,第2版、第7巻、688頁、Interscience Publ,ニューヨーク/ロンドン/シドニー,1985及びWinnacker−Kuchler,Chemische Technologie,第4版,第6巻、550〜555頁、Carl Hanser Verlag,ミュンヘン/ウイーン,1962参照。“ブチルゴム”という表現は、ハロゲン化ブチルゴムも表すことができる。
【0028】
本発明は、エチレンと、過酸化物硬化性コンパウンドに必要な複数成分の1つとして、少なくとも1種のα−オレフィンとのオレフィン重合体を含む過酸化物硬化性コンパウンドに関する。好適なオレフィン重合体は、エチレンモノマー及びプロピレンのような少なくとも1種のα−オレフィンモノマーを含有する(例えばEPゴム)。オレフィン重合体は、他のα−オレフィンモノマー、例えば1−ブテン、ヘキセン−1、オクテン−1,4−メチルペンテン−1、デセン−1、ドデセン−1、トリデセン−1、テトラデセン−1、ペンタデセン−1、ヘキサデセン−1、ヘプタデセン−1、オクタデセン−1、ノナデセン−1及びそれらの混合物、及び/又は三元重合体又は四元重合体を形成するジエンモノマーも使用できる。
【0029】
本発明によるオレフィン重合体は、好ましくはエチレンとプロピレンと少なくとも1種の追加のジエンモノマーとの重合体である。追加のジエンモノマーとしては、共役ジエンモノマー、例えばイソプレン及び1,3−ブタジエン;又は炭素原子数5〜25の非共役ジエンモノマー、例えば1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン及び1,4−オクタジエン;環状ジエン、例えばシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン及びジシクロペンタジエン;アルキリデン及びアルケニルノルボルネン、例えば5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、2−メタリル−5−ノルボルネン、2−イソプロペニル−5−ノルボルネン及びトリシクロジエンである。非共役ジエン1,5−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン及びジシクロペンタジエンが好ましい。
【0030】
用語“EPDM”、“EPDMゴム重合体” 又は“EPDMゴム”は、明細書中で交換可能に使用され、エチレン/プロピレン/ジエン三元重合体を示す。EPDMとしては、エチレン対プロピレン単位の重量比が40:60〜65:35の範囲にあるゴムがあり、1,000炭素原子当たり1〜20のC=C二重結合を含有してよい。EPDM中の好適なジエンモノマーとしては、前記5−ヘキサジエンで挙げた好ましいモノマー、エチリデンノルボルネン及びジシクロペンタジエンがある。EPDM中のジエン含有量は、EPDMに対し、好ましくは0.5〜12重量%である。
【0031】
本発明は、高ビニルポリブタジエン重合体を含有する過酸化物硬化性コンパウンドに関する。明細書中で高ビニルポリブタジエンは、主重合体鎖(1,2−ミクロ構造)の側鎖(pendant)ビニル基を70〜95%含有し、残りの30〜5%は、主鎖と平行するシス−トランスミクロ構造である。本発明の高ビニルポリブタジエンは、ビニル結合の含有量が70%以上の1,2−ポリブタジエンが好ましい。更に好ましくはビニル結合の含有量は85%以上である。本発明高ビニルポリブタジエンの結晶化度は5%以上が好ましいが、混合し易さから、好ましくは5〜50%、更に好ましくは5〜30%である。分子量は広範囲に選択でき、本発明では固体状態の1,2−ポリブタジエンが好ましい。
【0032】
本発明に有用で好適な1,2−ポリブタジエンは多くの公知方法で製造でき、例えば日本特許出願S44−32425、日本特許出願S44−32426及び日本特許出願S45−38070に開示された方法がある。市販の1,2−ポリブタジエン重合体は、日本合成ゴムからJSRグレードRB810で入手できる。JSR RB810は、1,2−結合が90%を超え、平均分子量が約120,000g/モルで、結晶化度が10〜30%の熱可塑性エラストマーである。このように結晶化度が低レベルのため、この重合体は好適な融点を有し、汎用型の重合体加工装置で容易に加工できる。
【0033】
本発明のコンパウンドは、ブチル重合体をゴム100部当たり(phr)50〜98部、好ましくは70〜93phr、オレフィン重合体を1〜40phr、好ましくは5〜30phr、及び1,2−ポリブタジエンを1〜30phr、好ましくは2〜15phr含有する。
【0034】
本発明のコンパウンドは、更に少なくとも1種の過酸化物硬化系を含有する。本発明は特定の過酸化物硬化系に限定されない。例えば有機又は無機の過酸化物が好適である。例えばジアルキルパーオキシド、ケタールパーオキシド、アラルキルパーオキシド、パーオキシドエーテル、パーオキシドエステル、例えばジ−tert−ブチルパーオキシド、ビス−(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)−ベンゼン、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−ヘキセン−(3)、1,1−ビス−(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド及びtert−ブチルパーベンゾエートのような有機過酸化物がある。コンパウンド中の過酸化物の量は、通常、1〜10phr(ゴム100部当たり)、例えば2〜8phr、好ましくは2〜5phrの範囲である。次の硬化は、通常、100〜200℃、例えば130〜180℃の範囲の温度で行われる。過酸化物は、重合体に結合した状態で適用するのが有利かも知れない。好適な系は、例えばRhein Chemie Rheinau GmbHからPolydispersion T(VC)D−40P、D(=重合体結合したジ−tert−ブチルパーオキシ−イソプロピルベンゼン)のような市販品として入手できる。
【0035】
本発明のコンパウンドは、更に他の天然又は合成ゴムを含有してよい。このようなゴムは、例えばABR(ブタジエン/アクリル酸C〜Cアルキルエステル共重合体)、CR(ポリクロロプレン)、IR(ポリイソプレン)、SBR(スチレン含有量が1〜60重量%の範囲のスチレン/ブタジエン共重合体)、NBR(アクリロニトリル含有量が5〜60重量%の範囲のブタジエン/アクリロニトリル共重合体)、HNBR(一部又は全部水素化したNBRゴム)、EPDM(エチレン/プロピレン/ジエン三元共重合体)、FKM(フルオロポリマー又はフルオロゴム)、及びそれらの混合物である。
【0036】
コンパウンドは、更に少なくとも1種の活性又は不活性の充填剤も含有してよい。好適な充填剤は次のとおりである。
・例えばシリケート溶液の沈殿、又はハロゲン化珪素の火炎加水分解により製造した高分散シリカで、比表面積は5〜1000m/g、主な粒度は10〜400nmの範囲である。このシリカは、任意に、Al、Mg、Ca、Ba、Zn、Zr及びTiのような他の金属の酸化物との混合酸化物として存在してもよい。
・珪酸アルミニウム、及びアルカリ土類金属シリケート(例えば珪酸マグネシウム又は珪酸カルシウム)のような合成シリケートで、BET比表面積は20〜400m/g、主な粒度は10〜400nm。
・カオリン及びその他の天然産シリカのような天然シリケート。
・ガラスファイバー及びガラスファイバー製品(マット、押出品)又は微小ガラス球。
・酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムのような金属酸化物。
・炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム及び炭酸亜鉛のような金属炭酸塩。
・金属水酸化物、例えば水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム。
・カーボンブラック。ここで使用されるカーボンブラックは、ランプブラック法、ファーネスブラック法又はガスブラック法で製造され、BET(DIN 66 131)比表面積は20〜200m/gで、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF又はGPFカーボンブラックである。
・ゴムゲル、特にブタジエン/スチレン共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体及びポリクロロプレンをベースとするゴムゲル、又はそれらの混合物。
【0037】
好適な無機充填剤の例としては、シリカ、シリケート、粘土(例えばベントナイト)、石膏、アルミナ、二酸化チタン、タルク等及びそれらの混合物が挙げられる。これらの無機粒子は、表面に水酸基を有し、親水性兼疎油性にする。これは、充填剤粒子と四元重合体との良好な相互作用を達成する困難性を一層悪化させる。多くの目的には、好ましい無機物は、シリカ、例えば珪酸ナトリウムの二酸化炭素沈殿で作ったシリカである。本発明で使用するのに好適な乾燥非晶質シリカ粒子の平均凝集物粒度は、1〜100μの範囲、例えば10〜50μ又は10〜25μの範囲である。凝集物粒子の10容量%未満は、5μ未満か、或いは50μを超える粒度が好ましい。好適な非晶質乾燥シリカは、更に通常、DIN(ドイツ工業規格)66131に従って測定したBET表面積が50〜450m/gの範囲であり、DIN 53601に従って測定したDBP吸収量が、150〜400g/100gシリカの範囲であり、またDIN ISO 787/11に従って測定した乾燥減量が、0〜10重量%の範囲である。好適なシリカ充填剤は、PPG Industries Inc.から商品名HiSil(登録商標)210、HiSil(登録商標)233及びHiSil(登録商標)243の商品名で得られる。またBayer AGから得られるVulkasil S及びVulkasil Nも好適である。
【0038】
本発明のコンパウンドではカーボンブラックと無機充填剤とを組合わせ使用すると有利かも知れない。このような組合わせで無機充填剤対カーボンブラック比は、通常、0.05〜20、例えば0.1〜10の範囲である。本発明のコンパウンドにはカーボンブラックを、通常20〜200重量部、例えば30〜150重量部又は40〜100重量部含有すると有利である。
【0039】
本発明のコンパウンドは、更にゴム業界で公知のゴム用の助剤製品、例えば反応促進剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、酸化防止剤、泡立て剤、経時変化防止剤、熱安定剤、光安定剤、オゾン安定剤、加工助剤、可塑剤、粘着付与剤、発泡剤、染料、顔料、ワックス、増量剤、有機酸、禁止剤、金属酸化物、及びトリエタノールアミン、ポリエチレングリコール、ヘキサントリオール等のような活性剤を含有できる。これらのゴム助剤は、特に意図する用途に応じた従来量で使用される。従来量は、例えばゴムに対し0.1〜50重量%である。コンパウンドは、更に有機脂肪酸を0.1〜20phrの範囲含有してよい。このような有機脂肪酸は、分子中に1つ以上の炭素二重結合を有する不飽和脂肪酸で、更に好ましくは分子中に少なくとも1つの共役炭素−炭素二重結合を有する共役ジエン酸を10重量%以上含む不飽和脂肪酸である。これら脂肪酸は、例えば炭素数8〜22、例えば12〜18の範囲のものである。このような脂肪酸としては、例えばステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、及びそれらのカルシウム、亜鉛、マグネシウム、カリウム及びアンモニウム塩である。
【0040】
最終コンパウンドの成分は、好適には25〜100℃の範囲であってよい高温で公知のいかなる方法でも一緒に混合できる。混合時間は、普通、1時間を越えず、2〜30分の範囲で通常、十分である。混合は、好適な混合手段、例えばBanburyミキサーのような密閉式ミキサー、或いはHaake又はBrabender小型密閉式ミキサーで行うのが好適である。2本ロールミルミキサーもエラストマー中に添加剤を良好に分散できる。押出機も良好に混合でき、混合時間も短くて済む。混合を2段階以上で行うことが可能であり、また異なる装置、例えば1つの段階を密閉式ミキサーで行い、また1つの段階を押出機で行うことも可能である。しかし、混合段階中、不要の予備架橋(=スコーチ)が起こらないように注意すべきである。配合及び加硫については、Encyclopedia of Polymer Science and Engeering,第4巻,66頁以下(配合)及び第17巻,666頁以下(加硫)も参照。
【0041】
更に本発明は、本発明の過酸化物硬化性コンパウンドを含む造形品を提供する。コンパウンドは、次に過酸化物の分解温度を超える温度に加熱する及び/又は放射線により加硫される。本発明のコンパウンドで製造した物品は、耐オゾン性、耐候性、耐熱性、耐酸化性極めて良好で耐薬品性も良好である等、EPDMの好ましい特性を有すると共に、ブチルゴムによる気体や水分に対する不浸透性を有し、したがって、本発明のコンパウンドは各種の用途、例えば薬剤容器、特にガラス又はプラスチック製小瓶の栓やシール、管、注射器の部品、医療用及び非医療用袋、コンデンサーキャップ、燃料電池のシール、電子機器の部品、特に絶縁部品、電解質含有容器のシール及び部品、リング、防振装置、通常シール、及びシーラントに好適である。
【実施例】
【0042】
実施例で提供したコンパウンドは、以下の成分:ブチルゴム(Bayer XL−10,000、Bayer RB301、Bayer RB 402)、XIIR(下記に示した実験用重合体)、EP(D)Mゴム(Buna EP T3950)、1,2−ポリブタジエンゴム(JSR RB810)、カーボンブラック(IRB #7)及び過酸化物(DI−CUP 40C, Struktol Canada Ltd.)を含有する。
【0043】
ゴムコンパウンドの混合は、駆動ユニット(Plasticorder(登録商標) Type PL−V151とデータインターフェースモジュールとからなるC. W. Brabenderの密閉式ミキサー(Brabender MIM)を用いて行なった。
硬化特性は、ASTM規格D−5289に従って行う可動ダイ流動計(Moving Die Rheometer)(MDR)試験で、Monsanto MDR 200(E)を用いて測定した。上部ディスクは、1°の小弧度(arc)により発振させた。
【0044】
硬化は、Alan−Bradleyプログラマブルコントローラーを備えた電気プレスを用いて行った。
応力−歪試験は、ASTM規格D−412方法Aに従ってInstron Testmaster Automation System, Model 4464を用いて行った。
コンパウンドの引裂特性は、ASTM規格D624に規定されたダイC引裂試験に従って測定した。
【0045】
加硫ゴム試験片の圧縮永久歪試験法は、以下を除いて、ASTM D395(方法B)に従った。
a)所要スペーサーの厚さは、ASTM法の25±4%の許容差に対して更に狭い撓み許容差25±1.5%を得るように(規定の厚さ範囲及びスペーサー要件下で)調節した。
b)ASTMに規定の範囲(1.20〜1.30cm)外の厚さを持った試験片を前記(a)の条件下で試験した。
c)試験片の圧縮に用いたプレートの表面は、ASTM D395に規定されるようなクロムメッキをしなかった。
【0046】
検討したコンパウンドは全て、
重合体: 100phr
カーボンブラック(IRB #7; N330): 50phr
過酸化物(DI−CUP 40C): 1〜5phr
で構成した。
【0047】
例1、例2では混合は、Brabender密閉式ミキサー(容量:約75g)を用い、出発温度23℃、混合速度50rpmで以下の順序で行った。
0.0分: 重合体添加
1.5分: 増加分でカーボンブラックを添加
7.0分: 過酸化物添加
8.0分: 混合物除去
最終コンパウンドは6”×12”ミルで精製した。
【0048】
例3、例4では混合は、6”×12”2本ロールミル(Farrel、容量:1000g)を用い、ロール温度75℃(75℃にMokon設定)で以下の順序で行なった。
0.0分: 重合体添加、3/4カット
1.5分: カーボンブラック添加、3/4カット
6.0分: 過酸化物添加、3/4カット
8.0分: 混合物除去
最終コンパウンドは精製した(6”×12”ミル上、6パス)。
【0049】
例1(比較例)
例1のコンパウンドは、Brabenderミキサーで混合した市販の予備架橋ブチルゴム(Bayer XL10000、イソブチレン含有量=97.8モル%、イソプレン含有量=2.2モル%)をベースとした。過酸化物の使用量は1phrである。
硬化コンパウンドは、以下の試験結果を示した。Δトルク=13.9dN・m、ショアーA硬度=55点、極限引張=4.89MPa、極限伸び=136%。ダイC引裂試験の値は15.67kN/m、圧縮永久歪は9.22%であった。
【0050】
例2(実施例)
例2のコンパウンドは、市販の重合体:ブチルゴム(Bayer RB402)170g、EPDMゴム(Buna EP T3950)30g及びJSR RB810 30gをベースとした。これら3種のエラストマーは共にミル上、約80℃で30分間予備ブレンドした。次いでこのゴムブレンドをBrabender密閉式ミキサーに入れ、カーボンブラック及び過酸化物3phrと配合した。
硬化コンパウンドは、以下の試験結果を示した。Δトルク=12.8dN・m、ショアーA硬度=66点、極限引張=4.41MPa、極限伸び=140%。ダイC引裂試験の値は23.54kN/m、圧縮永久歪は21.26%であった。
例1及び例2の結果を第1表に示し、またコンパウンドのMDRトレースを図1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
コンデンサーキャップ用には硬化コンパウンドは、高硬度、比較的大きい伸び、良好な引裂強度及び低い圧縮永久歪を持たなければならない。本発明のコンパウンドは、XL−10000を含有する対照コンパウンドよりもショアーA硬度が高かったが、圧縮永久歪は高いものの、得られた圧縮永久歪の値は、炭素−炭素共有結合も形成される樹脂硬化ブチルゴムに匹敵する。コンパウンド1、2の伸び及び引張特性は、MDR試験から得られたΔトルクと同様、近似していた。
【0053】
例3(比較例)
例3のコンパウンドは、6”×12”ミルで混合した市販の予備架橋ブチルゴム(Bayer XL−10000)をベースとした。このコンパウンドは、ゴム100部、カーボンブラック50phr及び過酸化物2phrで構成される。
硬化コンパウンドは、以下の試験結果を示した。コンパウンドムーニー粘度(M 1’+4+@100℃)=108.5単位、Δトルク=13.9dN・m、ショアーA硬度=50点、極限引張=9.34MPa、極限伸び=171%。ダイC引裂試験の結果は16.90kN/m、圧縮永久歪は11.49%であった。
【0054】
例4(実施例)
例4のコンパウンドは、実験用高イソプレンブチルゴム(XIIR)をベースとした。このようなイソプレン含有量が8.0モル%以下で、ムーニー粘度(M 1+8@125℃)が35〜40MUのIIRの連続製造法は、次のとおりである。
【0055】
モノマー原料組成物は、イソプレン(IP又はIC5)4.40重量%及びイソブテン(IP又はIC4)25.7重量%で構成される。この混合原料を5900kg/時間の速度で連続重合反応器に導入した。更に、DVBを5.4〜6kg/時間の速度で反応器に導入した。重合は、AlCl/MeCl溶液(MeCl中、AlCl0.23重量%)を204〜227kg/時間の速度で導入することにより開始させた。連続反応の内部温度は、蒸発冷却法を用いて−95〜−100℃に維持した。反応器内に充分滞留させた後、水性フラッシュタンクを用いてMeClから、新たに生成した重合体クラム(crumb)を分離した。この時点で重合体クラムにステアリン酸約1重量%を導入した。乾燥前に、重合体にIrganox (登録商標)1010を0.1重量%添加した。得られた材料の乾燥は、コンベヤ式オーブンを用いて行った。
【0056】
得られた重合体中のイソプレン含有量は、7.5モル%であった。
前記実験用高IP IIRエラストマーは、痕跡量のDVBを含有(約0.07〜0.11モル%)するが、このレベルは市販のXL−10000で見られる量(約1.2〜1.3モル%)の10%未満と少ない。
このコンパウンドは、XIIR85部、EPDM10部、JSR RB810 5部及び過酸化物5部を6”×12”ミルで混合して構成される。
【0057】
硬化コンパウンドは、以下の試験結果を示した。コンパウンドムーニー粘度(M 1’+4+@100℃)=76.6単位、Δトルク=16.2dN・m、ショアーA硬度=67点、極限引張=7.21MPa、極限伸び=243%。ダイC引裂試験の結果は24.44kN/m、圧縮永久歪は16.35%であった。
例3及び例4の結果を第2表に示し、またコンパウンドのMDRトレースを図2に示す。
【0058】
【表2】

【0059】
本発明のコンパウンドは、対照コンパウンドよりもかなり低いムーニー粘度を有し、加工に有益である。またショアーA硬度、極限伸び及び引裂特性が向上した。
【0060】
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、このような詳細な説明は、単にその目的のためであり、特許請求の範囲で限定した他は、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、当業者ならば変化が可能であると理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】例1で製造した比較用コンパウンド1及び例2で製造した本発明のコンパウンド2のMDR硬化曲線を示す。
【図2】例3で製造した比較用コンパウンド3及び例4で製造した本発明のコンパウンド4のMDR硬化曲線を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブチルゴム重合体、高ビニルポリブタジエンゴム重合体、エチレンと少なくとも1種のα−オレフィンと任意に少なくとも1種のジエンとのオレフィン重合体、及び1〜10phrの過酸化物硬化剤を含むゴムコンパウンド。
【請求項2】
オレフィン重合体が、EP(D)Mゴムである請求項1に記載のゴムコンパウンド。
【請求項3】
高ビニルポリブタジエンゴム重合体が、1,2−ミクロ構造中にビニル基を70%以上有するポリブタジエンである請求項1に記載のゴムコンパウンド。
【請求項4】
過酸化物硬化剤が、ジアルキルパーオキシド、ケタールパーオキシド、アラルキルパーオキシド、パーオキシドエーテル、パーオキシドエステルよりなる群から選ばれる請求項1に記載のゴムコンパウンド。
【請求項5】
過酸化物硬化剤が、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ビス−(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)−ベンゼン、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−ヘキセン−(3)、1,1−ビス−(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、tert−ブチルパーベンゾエート及びそれらの混合物よりなる群から選ばれる請求項4に記載のゴムコンパウンド。
【請求項6】
少なくとも1種の充填剤を更に含有する請求項1に記載のゴムコンパウンド。
【請求項7】
充填剤がカーボンブラックである請求項1に記載のゴムコンパウンド。
【請求項8】
過酸化物硬化剤の存在下で、ブチルゴム重合体、高ビニルポリブタジエンゴム重合体、エチレンと少なくとも1種のα−オレフィンと任意に少なくとも1種のジエンとを含むオレフィン重合体を混合する工程を含む過酸化物硬化性ゴムコンパウンドの製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載のゴムコンパウンドを含む造形品。
【請求項10】
造形品が、薬剤容器、コンデンサーキャップ、燃料電池用シール、電解質含有容器、リング、防振装置、通常シール及びシーラントである請求項9に記載の造形品。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−523174(P2008−523174A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544706(P2007−544706)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【国際出願番号】PCT/CA2005/001739
【国際公開番号】WO2006/060896
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(506183100)ランクセス・インク. (13)
【Fターム(参考)】