説明

ゴム系発泡体

【課題】硫黄加硫による加硫発泡処理作業の容易性や得られる発泡体の良物性性等の利点を活かしつつ、熱圧縮永久歪みが少なくてシール性能の維持性に優れるエチレン・プロピレン系ゴムを用いたゴム系発泡体の開発。
【解決手段】エチレン・プロピレン系ゴム100重量部に対して、発泡剤5〜20重量部、カーボンブラック5〜25重量部及び白色系の充填剤90〜200重量部と、硫黄とを少なくとも成分とする混和物を加硫発泡処理した発泡体からなり、圧縮率50%の状態で70℃下に22時間放置した場合の熱圧縮永久歪みが90%以下であるゴム系発泡体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱圧縮永久歪みが少なくてシール性能の維持性に優れるエチレン・プロピレン系のゴム系発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン・プロピレン系ゴムを用いたゴム系発泡体は、優れたクッション性や圧縮性等に基づいてクッション材やパッド材、気密や止水等のシール材、断熱材や防音材などとして家電等の室内用品や自動車等の屋外用品、住宅等の建築物などの各種の分野で広く使用されており、加硫発泡の処理作業性や得られる発泡体の耐久性等の物性などの点より硫黄による加硫処理方式が一般に採られている。しかしながら従来の発泡体では、熱圧縮永久歪みが大きくて高温経験後は反発力(圧縮復元率)が大きく低下し、シール性能の低下が著しい問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、硫黄加硫による加硫発泡処理作業の容易性や得られる発泡体の良物性等の利点を活かしつつ、熱圧縮永久歪みが少なくてシール性能の維持性に優れるエチレン・プロピレン系ゴムを用いたゴム系発泡体の開発を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、エチレン・プロピレン系ゴム100重量部に対して、発泡剤5〜20重量部、カーボンブラック5〜25重量部及び白色系の充填剤90〜200重量部と、硫黄とを少なくとも成分とする混和物を加硫発泡処理した発泡体からなり、圧縮率50%の状態で70℃下に22時間放置した場合の熱圧縮永久歪みが90%以下であることを特徴とするゴム系発泡体を提供するものである。
【0005】
また、本発明のゴム系発泡体では、前記充填剤は、酸化亜鉛、炭酸カルシウムおよび水酸化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種であることが好適である。
【0006】
また、本発明のゴム系発泡体では、前記充填剤が、酸化亜鉛、炭酸カルシウムおよび水酸化アルミニウムであることが好適である。
【0007】
また、本発明のゴム系発泡体では、混和物における硫黄の配合量がエチレン・プロピレン系ゴム100重量部あたり0.3〜0.8重量部であり、混和物がチウラム系加硫促進剤も成分とすることが好適である。
【0008】
また、本発明のゴム系発泡体では、密度が0.01〜0.3g/cmであることが好適である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、硫黄加硫による加硫発泡処理作業の容易性や得られる発泡体の良物性等の利点を活かしつつ、熱圧縮永久歪みが少なくてシール性能の維持性に優れるエチレン・プロピレン系ゴムを用いたゴム系発泡体を得ることができる。従って過酸化物系等の他の加硫方式に変更する必要なく、従来の硫黄加硫方式の製造ラインをそのまま用いることができる。また前記の効果を硫黄使用量の減量で達成した場合には資源の有効活用の利点もある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明によるゴム系発泡体は、エチレン・プロピレン系ゴム、発泡剤及び硫黄を少なくとも成分とする混和物を加硫発泡処理した発泡体からなり、圧縮率50%の状態で70℃下に22時間放置した場合の熱圧縮永久歪みが90%以下、就中75%以下、特に60%以下であるものからなる。
【0011】
エチレン・プロピレン系ゴムとしては、例えばエチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)やエチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレンターポリマーなどの適宜なものを1種又は2種以上用いることができ、特に限定はない。圧縮性やシール性能等のゴム物性の調節性などの点よりはEPDM、就中プロピレンの共重合割合が25重量%以上、特に40〜49重量%で、5−エチリデン−2−ノルボルネンの共重合割合が4〜10重量%、特に6〜8重量%のEPDMが好ましく、またムーニー粘度が(ML1+4、100℃、以下同じ)100以下、就中10〜50、特に20〜40のエチレン・プロピレン系ゴムが好ましく用いられる。
【0012】
発泡剤としても1種又は2種以上の適宜なものを用いることができ、特に限定はない。ちなみにその例としてはアゾジカルボンアミド(ADCA)やアゾビスイソブチロニトリルやバリウムアゾジカルボキシレートの如きアゾ系化合物、N,N'−ジニトロソペンタメチレンテトラミンやN,N'−ジメチル−N,N'−ジニトロソテレフタルアミドの如きN−ニトロソ系化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジドやトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3'−ジスルホニルヒドラジドの如きスルホニルヒドラジド系化合物があげられる。
【0013】
またトリクロロモノフルオロメタンやジクロロモノフルオロメタンの如きフッ化アルカン、4,4'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アリルビス(スルホニルヒドラジド)の如きヒドラジン系化合物、ρ−トルイレンスルホニルセミカルバジドや4,4'−オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)の如きセミカルバジド系化合物、5−モルホリル−1,2,3,4−チアトリアゾールの如きトリアゾール系化合物などの有機系発泡剤もあげられる。
【0014】
さらに炭酸アンモニウムや炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウムや水素化ホウ素ナトリウム、カルシウムアジドやパラトルエンスルホニルアジドの如きアジド系化合物等の無機系発泡剤などもあげられる。就中、自己消火性による安全性や無毒性などの点よりADCAが好ましく用いられる。
【0015】
発泡剤の使用量は、エチレン・プロピレン系ゴム100重量部あたり5〜20重量部、特に10〜15重量部が好ましい。なお用いる発泡剤は、加熱膨脹性の物質がマイクロカプセル内に封入された熱膨脹性微粒子などであってもよい。その熱膨脹性微粒子にはマイクロスフェア(商品名、松本油脂社製)などの市販物もある。
【0016】
加硫剤としては、上記したように加硫発泡処理作業の容易性や得られる発泡体の耐久性等の物性などの点より硫黄が用いられる。その使用量は、従来よりも少ない量、就中エチレン・プロピレン系ゴム100重量部あたり0.3〜0.8重量部、特に0.4〜0.6重量部の使用量とすることが好ましい。斯かる少な目の使用量とすることにより本発明の目的である熱圧縮永久歪みの少ない発泡体が得られやすい。これは硫黄の少な目の使用量がポリスルフィド結合の生成を抑制するためであると考えられる。
【0017】
すなわち硫黄による加硫処理では、モノスルフィド結合やジスルフィド結合、ポリスルフィド結合にて架橋構造が形成されるが、その場合に架橋構造がポリスルフィド化するほど結合エネルギーが小さくなる。従ってモノスルフィド結合やジスルフィド結合による架橋構造をリッチに生成させ、ポリスルフィド結合による架橋構造の生成を抑制するほど結合エネルギーの大きい架橋構造が形成されて架橋物の熱安定性が向上し、その耐熱性の向上で熱圧縮永久歪みの少ない発泡体が得られることとなり、硫黄の使用量を少なくすることでそのポリスルフィド結合の生成が抑制されると考えられる。硫黄使用量の減量は資源の有効活用の点よりも利点がある。
【0018】
本発明による発泡体を形成するための混和物の調製は、少なくともエチレン・プロピレン系ゴム、発泡剤及び硫黄からなる配合成分を、例えばバンバリーミキサやニーダ、インターミックスの如きインターナルミキサ類等の混練機を介して混合する方式などの適宜な方式で混合することにより行うことができる。その場合、加硫が進行する程度に温度上昇する混合方式は好ましくなく、必要に応じ加硫剤や発泡剤等を他成分混合後に加える多段階の混合方式を採ることもできる。
【0019】
混和物の調製に際しては加硫処理や発泡処理の促進、混和物の粘度や得られる発泡体の物性の調節などを目的に従来に準じた適宜な配合剤の1種又は2種以上を必要に応じて添加することができる。ちなみに加硫処理の促進を目的に用いる加硫促進剤の例としては、テトラメチルチウラムモノスルフィドやテトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドやジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドの如きチウラム類があげられる。
【0020】
またN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドやN−オキシジエン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドの如きスルフェンアミド類、2−メルカプトベンゾチアゾールやジベンゾチアジルジスルフィドの如きチアゾール類、ジフェニルグアニジンやジフェニルグアニジンフタレートの如きグアニジン類、アセトアルデヒド−アニリン反応物やアセトアルデヒドアンモニアの如きアルデヒドアミン類やアルデヒドアンモニア類、2−メルカプトイミダゾリンの如きイミダゾリン類、チオカルバニリドやジエチルチオユリアの如きチオユリア類、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛やジエチルジチオカルバミン酸亜鉛の如きジチオ酸塩類、ジブチルキサントゲン酸亜鉛の如きザンテート類、亜鉛華なども加硫促進剤の例としてあげられる。
【0021】
加硫促進剤は1種又は2種以上を用いることができ、就中、硫黄供給能を有してそれ自体も加硫剤として機能しうるチウラム類が熱圧縮永久歪みの少ない発泡体を得る点より好ましく用いられる。加硫促進剤の使用量は、エチレン・プロピレン系ゴム100重量部あたり0.1〜10重量部、就中0.5〜8重量部、特に3〜6重量部が好ましい。なお加硫促進剤の使用に際しては加硫促進助剤も併用することができる。
【0022】
発泡処理の促進を目的に用いる発泡助剤の例としては、サリチル酸系やフタル酸系、ステアリン酸系やシュウ酸系、安息香酸系の如き有機酸系化合物、尿素やその誘導体の如き尿素系化合物などがあげられ、就中、尿素が好ましく用いられる。発泡助剤は1種又は2種以上を用いることができ、その配合で発泡剤の分解温度を低下させて発泡処理を促進しうると共に、気泡の均一化などにも有効である。発泡助剤の使用量は、エチレン・プロピレン系ゴム100重量部あたり0.1〜10重量部、就中0.5〜8重量部、特に1〜5重量部が好ましい。
【0023】
また、本発明の混和物にはカーボンブラックを添加する。カーボンブラックは、補強剤等として機能して得られる発泡体の熱圧縮永久歪みの低減に有用である。補強効果等の点よりはジブチルフタレート吸収量が0.5〜1.3ml/g、就中0.6〜1.1ml/gのカーボンブラックが好ましく用いられる。カーボンブラックの使用量は、適度な補強効果の発現性などの点よりエチレン・プロピレン系ゴム100重量部あたり5〜25重量部、特に10〜20重量部が好ましい。その使用量が過多では補強効果が強くなりすぎて得られる発泡体の発泡倍率が低下しやすくなる。
【0024】
混和物の粘度やそれによる加工性、得られる発泡体の物性の調節などを目的に添加されることのあるその他の配合剤の例としては、充填剤や軟化剤ないし可塑剤、難燃剤や老化防止剤、酸化防止剤や顔料、着色剤や防カビ剤などをあげることができる。
【0025】
また、本発明の混和物には、充填剤を添加する。充填剤としては、白色系の充填剤が挙げられる。そのような充填剤の具体例としては、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムの如き炭酸塩類、湿式や乾式のシリカ、タルクやクレー、ウォラストナイトやベントナイト、アルミニウムシリケートの如き各種ケイ酸塩類、酸化亜鉛や酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化マグネシウムの如き酸化金属類、雲母粉やアルミニウム粉、それらをカップリング剤等で表面処理したものなどがあげられる。
【0026】
本発明において、充填剤として、上記したカーボンブラックの添加による黒色化を抑制する点より、白色系の充填剤が用いられる。充填剤として、特に、酸化亜鉛、炭酸カルシウムや水酸化アルミニウムが好ましく用いられる。充填剤の使用量は、混和物における押出し成形性等の加工性の改善効果や得られる発泡体における柔軟性の維持性などの点よりエチレン・プロピレン系ゴム100重量部あたり90〜200重量部であり、就中95〜190重量部、特に100〜180重量部が好ましい。
【0027】
一般に混和物の成形性の調節などに有用な軟化剤ないし可塑剤の具体例としては、パラフィン系やナフテン系等のプロセスオイル、流動パラフィンやその他のパラフィン類、ワックス類や潤滑油類、シリコーンオイルや液状ポリブテン等の合成高分子系軟化剤、アロマ類やアスファルト類、アマニ油等の乾性油類や動植物油類、石油系オイル類や各種の低分量ポリマー類、フタル酸系やアジピン酸系、セバシン酸系やリン酸系等のエステル系可塑剤類、ステアリン酸やそのエステル類、アルキルスルホン酸エステル類や粘着付与剤などがあげられる。
【0028】
加工性の点よりは特にパラフィン系プロセスオイルが好ましく用いられる。軟化剤ないし可塑剤の使用量は、混和物における押出し成形性等の加工性の改善効果や得られる発泡体における成分揮発による耐熱性の低下を防止する点より、エチレン・プロピレン系ゴム100重量部あたり20〜55重量部、就中25〜50重量部、特に30〜40重量部が好ましい。
【0029】
上記した難燃剤や老化防止剤、酸化防止剤や顔料、着色剤や防カビ剤等のその他の配合剤には、前記した水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム、エチレンビスペンタブロモジフェニルの如き難燃剤などの従来に準じた適宜なものを用いうる。また難燃性の向上の点よりは引火点の高い配合剤を用いることが有利である。なお上記した酸化亜鉛は安定剤として、ステアリン酸やそのエステル類は滑剤などとしても有用であり、従って各種の安定剤や滑剤も配合しうる成分の例としてあげられる。
【0030】
混和物には更に、得られる発泡体の強度等の調節を目的に非ゴム系ポリマーやエチレン・プロピレン系ゴム以外のゴム系ポリマーを1種又は2種以上配合することもできる。その非ゴム系ポリマーやゴム系ポリマーについては適宜なものを用いることができ、特に限定はない。ちなみにその非ゴム系ポリマーの例としては、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステルの如きアクリル系ポリマーやポリエチレン、ポリプロピレンやエチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニルやポリアミド、ポリエステルやウレタン系ポリマー、スチレン系ポリマーやシリコーン系ポリマー、エポキシ系樹脂などがあげられる。その使用量は、発泡体のゴム的性質を維持する点などよりエチレン・プロピレン系ゴムの50重量%以下、就中30重量%以下、特に15重量%以下が好ましい。
【0031】
一方、前記したエチレン・プロピレン系ゴム以外のゴム系ポリマーの例としては、ブテン−1の如きα−オレフィン・ジシクロペンタジエンやエチリデンノルボルネンの如き非共役二重結合を有する環状又は非環状のポリエンを成分とするゴム系共重合体やシリコーンゴム、フッ素ゴムやアクリルゴム、ポリウレタン系ゴムやポリアミド系ゴム、天然ゴムやポリイソブチレン、ポリイソプレンやブチルゴム、ニトリルブチルゴムやスチレン・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンゴムやスチレン・イソプレン・スチレンゴム、スチレン・エチレン・ブタジエンゴムやスチレン・エチレン・ブチレン・スチレンゴム、スチレン・イソプレン・プロピレン・スチレンゴムなどがあげられる。エチレン・プロピレン系ゴム以外のゴム系ポリマーの配合量は、前記非ゴム系ポリマーの場合に準じうる。
【0032】
本発明によるゴム系発泡体の形成は、上記した混和物を加熱して発泡処理と加硫処理を加えることにより行うことができ、その加硫発泡処理は同時に行うこともできるし、別工程にて行うこともできる。そのゴム系発泡体の形成に際しては必要に応じ混和物を例えばシート等の所定の形態に成形して、その成形体を加熱処理して加硫発泡体とすることもできる。その場合に成形体は、適宜な方式にて任意な形態に成形したものであってよく、その形態について特に限定はない。
【0033】
従って加硫発泡処理の対象物は、混和物を例えばミキシングロールやカレンダーロールや押出成形等による適宜な方式でシート状やその他の形態に成形したものであってもよいし、所定の型を介して射出成形やプレス成形等による適宜な方式で凹凸等を有する所定の形態に成形したものなどであってもよい。その場合に凹凸形状を有する発泡体の形成では、成形シートを凹凸を有する型の上に配置して加熱し、その型の凹凸に前記シートを形成する混和物を流動侵入させて加硫発泡処理する方式なども採ることができる。
【0034】
前記の型を介した方式は、ヒダ構造を有する複雑で深い凹凸構造を有する型の場合にもその凹凸形状を精度よく形成できる利点などを有している。よって成形体の寸法は任意であり、目的とする発泡体の形態などに応じて適宜に決定することができる。シート等の場合、その厚さは100mm以下、就中1μm〜80mm、特に10μm〜50mmが一般的である。
【0035】
上記した加硫発泡処理は、用いた発泡剤や加硫剤などによる発泡温度や加硫開始温度などにより従来に準じた適宜な条件で行うことができる。一般的な処理温度は、450℃以下、就中100〜350℃、特に120〜300℃である。斯かる加硫発泡処理で混和物が軟化して発泡剤が膨脹し発泡構造を形成しつつ加硫が進行して目的の加硫発泡体が形成される。その場合に発泡処理は、発泡倍率の調節などを目的に加圧下で行うこともでき加圧条件は、従来に準じることができる。また加硫発泡処理は、発泡処理と加硫処理を異なる温度条件で行うこともでき、適宜な処理条件を採ることができる。
【0036】
形成する加硫発泡体の発泡倍率(発泡前後の密度比)は、使用目的などに応じて適宜に決定することができる。一般には1.1〜25倍、就中1.5〜20倍の発泡倍率とされるが通例、0.01〜0.5g/cm、就中0.05〜0.4g/cm、特に0.1〜0.3g/cmの密度とした発泡体が各種の用途に好ましく用いうる。なお発泡倍率は、上記した発泡剤の配合量や加硫発泡の処理時間や温度などにより制御することができる。また発泡倍率の調節などにより、得られる発泡体の独立や連続、それらの混在等の発泡構造を制御することができる。
【0037】
本発明によるゴム系発泡体は、例えばクッション材やパッド材、気密や防水等の各種目的のシール材、断熱材、防音や制振等の振動低減材などの従来に準じた各種の用途に好ましく用いることができる。
【実施例】
【0038】
実施例1
ムーニー粘度30のEPDM100部(重量部、以下同じ)、カーボンブラック10部、酸化亜鉛5部、ステアリン酸2部、プロセスオイル30部、重炭酸カルシウム150部及び水酸化アルミニウム30部をバンバリーミキサにて混練後、それにADCA10部、尿素(発泡助剤)2部、硫黄0.5部、チアゾール系加硫促進剤0.8部、及びジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤1.0部を加えてミキシングロールにより混練して混和物を得、それを押出し機で成形して厚さ4.5mm、幅150mmの未加硫シートを得、それを乾燥機内で100℃にて40分間予熱後15分間かけて160℃に昇温しその温度で15分間加熱して加硫発泡処理し、発泡シートを得た。
【0039】
実施例2
チウラム系加硫促進剤を3部追加配合したほかは実施例1に準じて混和物を得、それを未加硫シートに成形した後そのシートを乾燥機内で100℃にて25分間予熱後15分間かけて160℃に昇温しその温度で15分間加熱して加硫発泡処理し、発泡シートを得た。
【0040】
比較例1
硫黄の配合量を1.5部としたほかは実施例1に準じて混和物を得、それを未加硫シートに成形した後そのシートを乾燥機内で100℃にて15分間予熱後15分間かけて160℃に昇温しその温度で15分間加熱して加硫発泡処理し、発泡シートを得た。
【0041】
比較例2
硫黄の配合量を1.0部としたほかは実施例1に準じて混和物を得、それを未加硫シートに成形した後そのシートを乾燥機内で100℃にて25分間予熱後15分間かけて160℃に昇温しその温度で15分間加熱して加硫発泡処理し、発泡シートを得た。
【0042】
評価試験
実施例、比較例で得た発泡シートについて、その密度を調べると共に熱圧縮永久歪みを調べた。なお熱圧縮永久歪みは、JIS K 6262に準拠した試験機に直径29mm、厚さ10±0.15mm(t)の試験片を平行金属板間に厚さ5.0mm(t)のスペーサを介しサンドイッチしてボルトで締め付けて圧縮率50%の状態とし、それを50℃又は70℃の恒温槽中に22時間放置したのち圧縮装置より試験片を取り出して室温下に30分間放置し、その試験片の厚さをJIS K 6262に準拠した測厚器にて測定し、その値(t)より次式にて熱圧縮永久歪みを算出した。
熱圧縮永久歪み(%)=(t−t)/(t−t)×100
前記の結果を次表1に示した。
【0043】
【表1】

【0044】
表1より硫黄の配合量を少なくした実施例で熱圧縮永久歪みが少なくなっており、チウラム系加硫促進剤を併用した実施例2で熱圧縮永久歪みが顕著に少なくなっていることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン・プロピレン系ゴム100重量部に対して、発泡剤5〜20重量部、カーボンブラック5〜25重量部及び白色系の充填剤90〜200重量部と、硫黄とを少なくとも成分とする混和物を加硫発泡処理した発泡体からなり、圧縮率50%の状態で70℃下に22時間放置した場合の熱圧縮永久歪みが90%以下であることを特徴とするゴム系発泡体。
【請求項2】
前記充填剤は、酸化亜鉛、炭酸カルシウムおよび水酸化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載のゴム系発泡体。
【請求項3】
前記充填剤が、酸化亜鉛、炭酸カルシウムおよび水酸化アルミニウムであることを特徴とする、請求項1または2に記載のゴム系発泡体。
【請求項4】
混和物における硫黄の配合量がエチレン・プロピレン系ゴム100重量部あたり0.3〜0.8重量部であり、混和物がチウラム系加硫促進剤も成分とすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴム系発泡体。
【請求項5】
密度が0.01〜0.3g/cmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴム系発泡体。

【公開番号】特開2011−1562(P2011−1562A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224910(P2010−224910)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【分割の表示】特願2000−178031(P2000−178031)の分割
【原出願日】平成12年6月14日(2000.6.14)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】