説明

ゴルフクラブおよびゴルフクラブ用装着具

【課題】 あらゆるヘッドスピードのスイングに対しても風切り音を効果的に低減することができ、且つ、容易に製造または装着することができる風切り音低減対策用のゴルフクラブおよびゴルフクラブ用装着具を提供する。
【解決手段】 シャフト11表面に対して垂直に屹立するリブ12が、シャフトのグリップ13下端部からヘッド14上端部へかけての略全体に渡りらせん状に形成されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブおよびゴルフクラブ用装着具に関し、特に、スイング時の風切り音を効果的に抑制するゴルフクラブおよびゴルフクラブ用装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフがメンタルなスポーツであるといわれるのは周知のとおりであるが、特に、ゴルフクラブのスイング時には最も精神的な集中が必要とされるため、プロの大会などではギャラリーが雑音などを発しないように注意を促す場面がよく見られる。これは、周囲の音がプレイヤーの集中力を散漫にしてしまうからである。
【0003】
外的要因による音に対して、自らがスイングを行う際に発生するいわゆる風切り音も集中力を散漫にする要因の一つとしてあげられる。この風切り音の発生は、図6に示すように、スイングするシャフトの進行方向とは反対側の表面(裏側)の近傍(図中のAで示す付近)が低圧となり、それにより発生する渦が原因といわれている。
【0004】
ところで、ゴルフクラブの風切り音を低減するゴルフクラブの形状として、従来、表面に円形の突起物を多数形成するという提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。しかし、上記に開示されたゴルフクラブは、多数の小突起物をらせん状に配置して形成する必要があるため、製造工程が煩雑で製造コストが高くなるという課題があることに加え、致命的な問題として、小突起物をシャフト表面に多数配列したような構成では、特に、ヘッドスピードが比較的速いスイングの場合に、風切り音を効果的に低減できないという課題があった。これは、渦の発生要因となる上記の低圧部分、即ち、シャフト表面における気圧差が有効に解消できていないためと考えられる。
【特許文献1】 登録実用新案第3056694号公報 第2頁〜第3頁 図1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、あらゆるヘッドスピードのスイングに対しても風切り音を効果的に低減することができ、且つ、容易に製造または装着することができる風切り音低減対策用のゴルフクラブおよびゴルフクラブ用装着具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のゴルフクラブは、シャフト表面に対して垂直に屹立するリブが、シャフトのグリップ下端部からヘッド上端部へかけての略全体に渡りらせん状に形成されたことを特徴とする。
上記構成によれば、屹立したリブがガイドの役割を果たして、シャフト表面近傍の空気が低圧となる進行方向裏側の部分へも有効に誘導されるため、風切り音を効果的に低減することができる。
【0007】
また、本発明のゴルフクラブ用装着具は、シャフト表面に対して垂直に屹立するリブが、シャフトのグリップ下端部からヘッド上端部へかけての略全体に渡りらせん状に形成されるように、予め成型された成型体で構成されることを特徴とする。
上記構成によれば、これを装着することにより上記ゴルフクラブと同様のリブをシャフト表面に形成することができるので、上記と同様の原理により風切り音を効果的に低減することができる。
【0008】
また、本発明のゴルフクラブ用装着具は、請求項2に記載のゴルフクラブ用装着具であって、前記成型体は、軟質ゴムまたは軟質樹脂で形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、風切り音を効果的に低減できることに加え、リブをらせん状に配したゴルフクラブ同士が束の状態で接触した場合に互いに擦れあうことがないので、シャフト表面に傷等が付くことを防止できる。
【0009】
また、本発明のゴルフクラブ用装着具は、請求項2に記載のゴルフクラブ用装着具であって、前記屹立するリブの底面であって、前記シャフトと接触する面には接着面が形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、本ゴルフクラブ用装着具を既製のゴルフクラブに容易且つ的確に装着することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明のゴルフクラブおよびゴルフクラブ用装着具によれば、シャフト表面に垂直に屹立させたリブによりシャフト表面付近の空気が適切に誘導されるので、スイング時における圧力差が有効に解消され、風切り音を効果的に低減することができる。また、予め成型されたゴルフクラブ用装着具は、既製のゴルフクラブへの装着が容易に行える。さらに、リブを配したゴルフクラブ同士が束の状態で接触してもシャフトが擦れ合うことがないため、傷等の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態におけるゴルフクラブおよびゴルフクラブ用装着具について図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態におけるゴルフクラブの外観を示す斜視図である。また、図2は、シャフト部分を拡大して示す斜視図である。本発明の実施の形態におけるゴルフクラブ1は、シャフト11の表面にリブ12を垂直に屹立させ、シャフトのグリップ13下端からヘッド14上端まで、略全体に渡ってらせん状に配した構造を有する。リブ12は、弾性または可撓性を有する軟質ゴムまたは軟質樹脂などで形成され、リブ12の底面でシャフト11に接着している。図3は、シャフトの任意断面の様子を示す断面図である。本実施の形態では、リブ12は、接着強度を高めるため、底面の方を広げた略三角形状の断面としている。
【0013】
図2に矢印で示すように、ゴルフクラブ1を任意方向にスイングすると、屹立したリブ12がガイドの役割を果たして、シャフト表面近傍の空気が低圧部となる進行方向裏側の部分へも有効に誘導される。そのため、特に、比較的高速のヘッドスピードでスイングする場合であっても、効果的に風切り音を低減することができる。
【0014】
次に、図4は、本発明の実施の形態におけるゴルフクラブ用装着具の外観を示す斜視図である。本発明の実施の形態におけるゴルフクラブ用装着具2は、弾性または可撓性を有する軟質ゴムまたは軟質樹脂などで形成され、既製のゴルフクラブのシャフト表面に巻きつけた際に、適切ならせん形状のリブ21を形成するように成型されている。シャフト表面と接触するリブ底面には接着剤22が予め塗布されており、その上に被覆された離型紙を剥がしながらシャフトに装着することができる。なお、接着剤の代用としていわゆる両面テープのようなものを接着してもよい。
【0015】
図5は、本実施の形態におけるゴルフクラブ用装着具を直線状に伸ばした状態の断面形状を示す模式図である。本実施の形態では、シャフト径が大きいグリップ下端側がリブの大きさも大きく、シャフト径が小さいヘッド上端側はリブの大きさが小さくなるように成型している。シャフト径が小さい部分には大きい部分と同じ高さのリブは不要だからである。これにより、無駄のない効果的な風切り音の低減が行えるとともに、外観的にもシャフトのテーパを反映した美観を維持することができる。なお、リブの高さをシャフトの長さ方向で変化させる構成は、上記のゴルフクラブでも実現することが可能である。
【0016】
また、本実施の形態では、ゴルフクラブ用装着具の両端に、接着が容易且つ的確に行えるようにするための平板状のリード部23を設けている。
【0017】
以上のように、本発明のゴルフクラブによれば、シャフト表面に対して垂直に屹立するリブがシャフトのグリップ下端部からヘッド上端部へかけての略全体に渡りらせん状に形成されているので、スイング時にシャフト表面の空気がスイングで低圧となる部分へも適切に誘導され、風切り音を効果的に低減することができる。
【0018】
また、本発明のゴルフクラブ用装着具によれば、装着することにより既製のゴルフクラブに対しても、同様の風切り音低減の効果をもたらすことができ、しかも、容易且つ的確に装着することができる。
【0019】
さらに、本発明のゴルフクラブおよびゴルフクラブ用装着具によれば、シャフト表面に軟質ゴムまたは軟質樹脂で形成したリブをらせん状に配したゴルフクラブ同士が束の状態で接触しても互いに擦れあうことがないので、シャフト表面に傷等が付くこともなく、ゴルフクラブの保管上においても好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】 本発明の実施の形態におけるゴルフクラブの外観を示す斜視図
【図2】 シャフト部分を拡大して示す斜視図
【図3】 シャフトの任意断面の様子を示す断面図
【図4】 本発明の実施の形態におけるゴルフクラブ用装着具の外観を示す斜視図
【図5】 本実施の形態におけるゴルフクラブ用装着具を直線状に伸ばした状態の断面形状を示す模式図
【図6】 風切り音発生のメカニズムを説明するための図
【符号の説明】
【0021】
1 ゴルフクラブ
2 ゴルフクラブ用装着具
11 シャフト
12 リブ
13 グリップ
14 ヘッド
21 リブ
22 接着剤
23 リード部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト表面に対して垂直に屹立するリブが、シャフトのグリップ下端部からヘッド上端部へかけての略全体に渡りらせん状に形成されたことを特徴とするゴルフクラブ。
【請求項2】
シャフト表面に対して垂直に屹立するリブが、シャフトのグリップ下端部からヘッド上端部へかけての略全体に渡りらせん状に形成されるように、予め成型された成型体で構成されることを特徴とするゴルフクラブ用装着具。
【請求項3】
前記成型体は、軟質ゴムまたは軟質樹脂で形成されていることを特徴とする請求項2に記載のゴルフクラブ用装着具。
【請求項4】
前記屹立するリブの底面であって、前記シャフトと接触する面には接着面が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のゴルフクラブ用装着具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−106707(P2009−106707A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−302216(P2007−302216)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(504204384)有限会社ユイット (32)
【Fターム(参考)】