説明

ゴルフクラブシャフト

【課題】 表面平滑性に優れ、剥がれ等の外観不良を生じることのない意匠性に優れ、且つ機械的特性に優れたゴルフクラブシャフトを提供する。
【解決手段】 炭素繊維強化樹脂層を複数積層してなるゴルフクラブシャフトであって、金属シート層を少なくとも1層含んでなり、金属シート層はケミカルエッチング処理された金属シートにより構成されていることを含む、ゴルフクラブシャフト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属シート層を含むゴルフクラブシャフトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴルフクラブシャフトにおいて、シャフトの外観の意匠性を向上させる目的で該シャフトの外周部に金属メッキを施したり、金属繊維、金属箔を配置したりすることは知られている(特許文献1)。また、前記金属メッキ等のシャフトへの接着性の向上を目的として、無機繊維で織成した織物の片面に金属をメッキ、蒸着することにより、接着性を向上させることが知られている(特許文献2)。さらに、意匠性の向上のみならず、シャフトの機械的強度の向上を目的として、炭素繊維強化樹脂層の一側に金属箔が積層されたプリプレグを使用したゴルフクラブシャフトが知られている(特許文献3)。
【0003】
以上のごとく、従来から、意匠性、機械的強度等の向上を目的に金属箔、またはそれと複合した材料を使用し、ゴルフクラブシャフトを製造することが知られている。また、近年、意匠性の観点では複雑な模様等をゴルフクラブシャフトに施す場合も多くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭50−88050号公報
【特許文献2】特開平2−98376号公報
【特許文献3】特開平6−198808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複雑な模様等を、例えば塗装により模様を形成しようとすると、塗装工程が煩雑となり容易に模様を形成することはできない。また、金属箔等により模様を形成する場合、従来から汎用されているパンチングによる有孔金属箔の調整では、孔の形状の組み合わせ、最小孔径の制限等により、全体の模様が制限される。さらに特許文献3に記載のように孔形成がパンチングによるものあれば、孔のエッジ部分が粗面化され、金属箔の表面から微小に突出した部分を生じる。このような突出部を生じれば、後の工程で金属箔の上面に塗装や熱転写によるコーティングを施した場合、表面が粗面化する場合がある。またコーティングの際に生じた微細な気泡がエッジ部分に捕捉され、粗面化の原因となり、さらに意匠性が低下する場合がある。また、機械的特性を向上させる目的においても、気泡のようなボイドの原因となるものが捕捉された状態でゴルフクラブシャフトを作成すれば、機械的特性の低下や炭素繊維強化樹脂層間の剥離を生じるおそれがある。
本発明は、ゴルフクラブシャフトにおいて、上記課題を解決した意匠性と機械的特性の向上を両立することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、以下の発明により上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、以下のゴルフクラブシャフトである。
【0007】
[1] 炭素繊維強化樹脂層を複数積層してなるゴルフクラブシャフトであって、金属シート層を少なくとも1層含んでなり、金属シート層はケミカルエッチング処理された金属シートにより構成されていることを含む、ゴルフクラブシャフト。
[2] 前記金属シートには任意の形状の孔が形成されているゴルフクラブシャフト。
[3] 前記金属シート層はガラス繊維織布を含むものであるゴルフクラブシャフト。
[4] ガラス繊維織布の目付けが、10g/m2〜40g/mm2であるゴルフクラブシャフト。
[5] 炭素繊維強化樹脂層を複数積層してなるゴルフクラブシャフトであって、ゴルフクラブシャフトの最外層にガラス繊維強化樹脂層を配し、前記ガラス繊維強化樹脂層の内側に金属シート層を配置することを含む、ゴルフクラブシャフト。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、金属シートに形成された模様が精密に設計できることから、模様のバリエーションが広がる。また、形成された模様のエッジ部は粗面化、突出していないため、後のコーティング等の処理により気泡が残らず、平滑に仕上がり、剥がれ等の外観不良を生じることのない意匠性に優れたゴルフクラブシャフトを提供することができる。さらに、金属シートは任意の位置に配置することが可能であるので、意匠性と機械的特性に優れたゴルフクラブシャフトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明で使用する金属シートの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明は、「炭素繊維強化樹脂層を複数積層してなるゴルフクラブシャフトであって、金属シート層を少なくとも1層含んでなり、金属シート層はケミカルエッチング処理された金属シートにより構成されていることを含む、ゴルフクラブシャフト。」である。
【0011】
本発明のゴルフシャフトは、炭素繊維強化樹脂層を複数積層することにより製造される。ここで、「炭素繊維強化樹脂層」とは、ポリアクリロニトリル系繊維シートを炭素化してポリアクリロニトリル系炭素繊維を得、次いで得られた前記炭素繊維シートに樹脂を含浸させた後、含浸時及び/又は含浸後に加熱して得られる炭素繊維強化樹脂シートである。具体的には、炭素繊維を並べたシート状の材料に樹脂を含浸させたプリプレグが挙げられる。このような炭素繊維強化樹脂層を、例えば、特開平6−198808号公報号に記載の方法によりゴルフクラブシャフトを製造する。以下、製造工程を簡単に説明する。
【0012】
ゴルフクラブシャフトは近年、軽量で且つ機械的強度が高いという理由から、強化繊維として炭素繊維を使用した複数の炭素繊維強化複合樹脂層などから構成され、所定の形状寸法に裁断した炭素繊維強化プリプレグを所定枚数マンドレルに巻き付け、硬化することによって製造される。このとき、捩り及び曲げ性能を向上せしめるために、炭素繊維強化プリプレグとしては、炭素繊維がゴルフクラブシャフトの軸線に対して互いに反対方向に角度θ(通常、θ=35°〜45°)だけ傾斜するように配列されたプリプレグ(アングル層)と、炭素繊維がゴルフクラブシャフトの軸線に対して平行(θ=0°)に配列されたプリプレグ(ストレート層)とが使用され、基本的には、ゴルフクラブシャフトの内側層にプリプレグ(アングル層)が、外側層にプリプレグ(ストレート層)が使用されることでゴルフクラブシャフトが製造される。
【0013】
本発明においては、複数の積層構造のうち、少なくとも1層又はその一部を金属シート層とすることを特徴とする。ここで「金属シート層」とは、ケミカルエッチングにより、連続又は非連続の空孔又は模様が形成されたシート材料を包含する層である。シート材料は、主にステンレス系の箔材料の設計に基づいた模様又は穿孔を形成したものである。その製造方法には、様々な方法が知られているが、例えば箔にマスキング剤をコート又は転写(ドライフィルムの場合)し、そこに希望するパターンを形成した原版を通して露光後、現像することによりパターンを箔上に転写する。次いで、現像後、洗浄にてパターンは流しだされ、箔の素地が見えた非露光部をエッチング剤で腐食して穿孔することで任意の形状に加工したものである。材料によっては露光部を流しだす手法も知られている。なお、本発明においてはエッチング方法に限定はない。
【0014】
ケミカルエッチングとは、化学的にはプリント基板やEMIシールドシート、フォトスケール等に使用される精密加工手法である。他に金属シートに連続又は非連続の穿孔又は模様を形成する方法としては、プレス型によるパンチング処理による加工やエキスパンドメタル等が挙げられるが、前記のごとく模様の精密性等の点でケミカルエッチングを採用することが好ましい。
【0015】
シートの材料として金属としては、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、金、銀など純金属だけでなく、ステンレス系材料のような合金系の材料も使うことができる。そのうち、エッチング処理時の薬液管理と加工後の、材料表面の非酸化性の点でステンレス系材料が好適に使用される。シートに形成する模様としては任意に選択することが可能であるが、ケミカルエッチングを採用する点で、たとえばエッチングの深さ方向の管理が容易でハーフエッチングにより浮かび文字のような模様も形成することが可能である。
【0016】
配置される位置は、金属シート層を配置する目的により異なる。たとえば、ゴルフクラブのシャフト軸方向に関しては、ゴルフクラブシャフトのバランス調整(ウエイトコントロール)の目的で適宜ゴルフクラブシャフトのコンセプトに応じた任意の位置に配置される。このときの金属シート層の構成としては、目的とする重量配分に応じた最適な比重の材料から作成されるものを使用することが好ましい。
【0017】
また、補強効果の目的では、圧縮強度、衝撃強度、捩り破壊強度などに必要な任意の位置に配置される。ゴルフクラブのシャフト断面方向に関しては、意匠性の目的で最外層に配置する透明な樹脂層であるガラス繊維強化樹脂層と隣接する内側(最外層から数えて2層目)に配置される。また、ゴルフクラブシャフトの特徴であるフィーリングの違いを創出する目的では中間層、または最内層に配置される。
【0018】
取り扱い性や密着性、作業性の向上などのような目的で、金属シート層は、ガラス繊維織布を含むものであってもよい。具体的にはガラス繊維織布を強化繊維とする少なくとも1層の繊維強化樹脂層を含浸させることによって構成される金属シート層である。このようなシート層を使用することは、炭素繊維強化樹脂層との密着性の点で好ましい。ガラス繊維織布の目付けは、10g/m2〜40g/m2であり、好ましくは20g/m2〜30g/m2である。40g/m2以下であれば、金属シート層の厚さが厚くなることによる断面の偏肉や剛性への影響がなく、10g/m2以上であれば、材料の取り扱い性や作業性が優れ、研磨による金属シートへの影響も緩和される。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明が実施例に限定解釈されることはない。
【実施例】
【0019】
[実施例1]
下記に示す三菱レイヨン株式会社製の市販のプリプレグA〜Fをそれぞれ裁断し、マンドレルの上に細径先端部〜該細径先端部より80mmの位置迄、及び太径先端部〜該太径先端部より230mmの位置迄を除いた全領域に、下記の工程(1)〜(3)に説明する手順により、強化繊維の配向角が0°の先端補強層用の巻き付け層、アングル層用の巻き付け層、及びストレート層用の巻き付け層を形成した。
<プリプレグ>
プリプレグA: TR350E100R
プリプレグB: HSX350C100S
プリプレグC: MRX350C075R
プリプレグD: MRX350C150S
プリプレグE: 金属シート層
プリプレグF: GE352G135S
【0020】
なお、プリプレグEは金属シート層であり、ケミカルエッチング処理を施した厚さ20μmのステンレス材料の両面にガラス繊維織布を含浸した複合一体化材料である。より具体的には、ガラス繊維織物プリプレグである三菱レイヨン株式会社製のWPA03 104EGE(繊維目付:25g/m2、樹脂量:59%)を金属シートの表裏両面に貼り合わせて一体にした金属シートプリプレグである。金属シートについては、その模様を図1に示す。
<マンドレルの形状>
【0021】
細径先端部外径4.15mm、太径先端部外径13.80mm、長さ1500mmを有しており、かつ太径先端部〜該太径先端部から500mmの部分が外径13.80mmの平行部をなしており、太径先端部から500mmの位置〜細径先端側に700mmの範囲がテーパー度8.79/1000のテーパー部、さらに先端側に100mmの範囲がテーパー度17.50/1000のテーパー部、さらには細径先端部までがテーパー度8.75/1000を有する。
<工程1>
【0022】
プリプレグAを、繊維方向がマンドレルの径方向中心線に対して0°となるようにしてマンドレルに巻き付けたときに、細径側端部(=マンドレルの細径先端部から80mmの位置)〜該細径側端部から120mmまでの長さに亙って4層となり、その後はなだらかに減少して細径側端部から220mmの位置で巻き付けが無くなるような略台形に裁断し、これをマンドレルに巻き付け、強化繊維の配向角が0°の先端補強層用の巻き付けを行なった。
<工程2>
【0023】
プリプレグBを、繊維方法がマンドレルの径方向中心線に対して、+45°となるようにして、細径側は(1)にて形成した先端補強層用の巻き付け層の上に巻き付けたときに、細径側端部において4.65層、太径側端部において2.63層となって巻き付かるように裁断し、又同じくプリプレグBを、繊維方向がマンドレルの径方向中心線に対して−45°となるようにして、同じく(1)にて形成した先端補強層用の巻き付け層の上に巻き付けたときに、細径側端部において4.65層、太径側端部において2.63層となって巻き付かるように裁断し、これらの2枚のプリプレグをその繊維方向が互いに直交するようにして貼り合わせた後、この貼り合わせプリプレグを、(1)にて形成した先端補強層用の巻き付け層の上に巻き付け、アングル層用の巻き付けを行なった。
<工程3>
【0024】
プリプレグC及びDを、繊維方向がマンドレルの径方向中心線に対して0°となるようにして、工程2にて形成したアングル層用の巻き付け層の上に巻き付けたときに、プリプレグCは細径側端部〜太径側端部に亙って1層、プリプレグDは細径側端部〜太径側端部に亙って2層となって巻き付かるような略台形に裁断し、これらの2枚のプリプレグをプリプレグC、プリプレグDの順に、工程2にて形成したアングル層用の巻き付け層の上に巻き付け、ストレート層用の巻き付けを行なった。
【0025】
次いで、同じく下記の工程4〜工程8に説明する手順によって、それぞれ所定の領域に、第1補強層用の巻き付け層、第2補強層用のエッチング処理を施した金属シート層、第3補強層用の巻き付け層、及び第4補強層用の巻き付け層を、順次巻き付けて形成した。
<工程4>
【0026】
プリプレグCを、繊維方向がマンドレルの径方向中心線に対して0°となるようにして、工程3にて形成したストレート層用の巻き付け層の上に巻き付けたときに、細径側端部〜該細径側端部から650mmまでの長さに亙って1層となり、その後はなだらかに減少して細径側端部から700mmの位置で巻き付けが無くなる、つまり細径側端部〜該細径側端部から700mmの位置迄に巻き付かるような略台形に裁断し、工程3にて形成したストレート層用の巻き付け層の上に巻き付け、第1補強層用の巻き付けを行なった。
<工程5>
【0027】
ガラス繊維織布を強化繊維とする繊維強化樹脂層を表裏両面に含浸してなるプリプレグEを、工程4の手順に続いて巻き付けたときに、細径側端部から650mmの位置で0層、その後は巻き付けが徐々に増加し、細径側端部から700mmの位置で1層となり、さらに細径側端部から850mmまでの長さに亙って1層、その後は巻き付けが徐々に減少し、細径側端部から900mmの位置で巻き付けが無くなる、つまり細径側端部から650mm〜該細径側端部から900mmの位置迄に巻き付かるような略台形に裁断し、工程3にて形成したストレート層用の巻き付け層の上に巻き付け、第2補強層用のエッチング処理を施した金属シート層の巻き付けを行なった。プリプレグEの金属シート層は、他の強化繊維との密着性の向上を図るため、表裏両面にガラス繊維織布を貼り合わせたものを使用した。また巻き付けに当たっては、シャフトの凹凸を防ぐため、工程4にて形成した第1補強層用の巻き付け層の巻き終わりに合致するように巻き付けを行なった。
<工程6>
【0028】
プリプレグCを、繊維方向がマンドレルの径方向中心線に対して0°となるようにして、工程5の手順に続いて巻き付けたときに、細径側端部から850mmで0層、その後は巻き付けが徐々に増加し、細径側端部から900mmの位置で1層となり、太径側端部までの長さに亙って1層巻き付ける、つまり細径側端部から850mm〜太径側端部の位置迄に巻き付かれるような略台形に裁断し、工程3にて形成したストレート層用の巻き付け層の上に巻き付け、第3補強層用の巻き付けを行なった。巻き付けに当たっては、シャフトの凹凸を防ぐため、工程5にて形成した第2補強層用の巻き付け層の巻き終わりに合致するように巻き付けを行なった。
<工程7>
【0029】
ガラス繊維強化樹脂層であるプリプレグFを、繊維方向がマンドレルの径方向中心線に対して0°となるようにして、工程6の手順に続いて巻き付けたときに、細径側端部において1層、太径側端部において1層となって巻き付かるように裁断し巻き付ける、つまり細径側端部から太径側端部までの長さに亙って巻き付かれるように裁断し、工程4〜工程6にて形成した第1〜3補強層用の巻き付け層の上に巻き付け、プリプレグFの巻き付けを行なった。プリプレグFは、工程5にて形成したプリプレグEをシャフト表面に浮かび上がらせるための研磨層としての役割を担う。
<工程8>
【0030】
プリプレグAを、繊維方向が直角を挟む2辺のうちの1辺と同方向であって、かつ直角を挟む辺の長さが120mm×115mmの直角三角形に裁断し、これを繊維方向がマンドレルの径方向中心線に対して0°となるようにして、細径側端部において最も多重になって巻き付き、その後は徐々に巻き付けが無くなるようにして、工程7にて形成したプリプレグFの巻き付け層の上に巻き付け、第4補強層用の巻き付けを行なった。
【0031】
しかる後に、ポリプロピレン製のラッピングテープの巻き付けを行なった後、硬化炉での加熱硬化、マンドレルからの脱抜、ラッピングテープの除去、外周面の研磨を順次行ない、更に細径側端部から10mm及び太径側端部から10mmをトリミングカット、コーティング処理し、ドライバー用ゴルフクラブシャフトを得た。
【0032】
ゴルフクラブシャフトとして完成した状態でプリプレグEを使用した表面を観察したところ、形成された模様のエッジ部は粗面化、突出していないため、コーティング処理により気泡が残らず、平滑に仕上がり、剥がれ等の外観不良を生じることのない意匠性に優れたゴルフクラブシャフトを作製することができた。
[比較例1]
実施例1のゴルフシャフトにおけるプリプレグEの材料を、パンチング処理した厚さ30μmのステンレス材料に変更する以外は、全て実施例と対応する構成によるゴルフクラブシャフトを得た。
【0033】
このゴルフクラブシャフトに使用したプリプレグEは、材料加工の段階で任意形状の孔端部のエッチが起ち、ガラス繊維織布を含浸する際に凹凸が生じていた。また、ゴルフクラブシャフトとして完成した状態でプリプレグEを使用した表面を観察したところ、材料の厚さと凹凸が原因で細かな気泡が生じており、外観不良の様相を呈していた。
[比較例2]
実施例1のゴルフシャフトにおけるプリプレグEの材料を、エキスパンドメタル処理した厚さ30μmのステンレス材料に変更する以外は、全て実施例と対応する構成によるゴルフクラブシャフトを得た。
【0034】
このゴルフクラブシャフトに使用したプリプレグEは、刻み目(スリット)を形成し、この刻み目と直交する方向を引き伸ばすことによって作製されるが、この材料加工の段階で刻み目の間に亀裂が発生し、この亀裂によりガラス繊維織布を含浸する際に凹凸が生じていた。また、ゴルフクラブシャフトとして完成した状態でプリプレグEを使用した表面を観察したところ、材料の厚さと凹凸が原因で細かな気泡が生じており、外観不良の様相を呈していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素繊維強化樹脂層を複数積層してなるゴルフクラブシャフトであって、金属シート層を少なくとも1層含んでなり、金属シート層はケミカルエッチング処理された金属シートにより構成されていることを含む、ゴルフクラブシャフト。
【請求項2】
前記金属シートには、任意の形状の孔が形成されている、請求項1記載のゴルフクラブシャフト。
【請求項3】
前記金属シート層は、ガラス繊維織布を含むものである、請求項1又は2記載のゴルフクラブシャフト。
【請求項4】
前記ガラス繊維織布の目付けが、10g/m〜40g/mである、請求項3記載のゴルフクラブシャフト。
【請求項5】
炭素繊維強化樹脂層を複数積層してなるゴルフクラブシャフトであって、ゴルフクラブシャフトの最外層にガラス繊維強化樹脂層を配し、前記ガラス繊維強化樹脂層の内側に金属シート層を配置することを含む、ゴルフクラブシャフト。

【図1】
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【公開番号】特開2012−161549(P2012−161549A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25781(P2011−25781)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】