ゴルフクラブヘッド
【課題】 反発性能の低下を抑えつつ打球時の衝撃吸収性を高めて優れた打球感を得ることが可能なゴルフクラブヘッドを提供する。
【解決手段】 フェース部材2は、前記フェース面2Aと反対側の面であるフェース背面2Bと、このフェース背面2Bとフェース面2Aとの間を継ぐ側端面2Cとを含む板状体からなる。ヘッド本体3は、打球時にフェース部材2と接触することなく該フェース部材2をヘッド後方に自由に撓ませる開口部Oを有し、かつこの開口部Oの周りにフェース部材2が接合される環状のフェース取付部4が設けられる。フェース取付部4とフェース部材2との間の少なくとも一部かつ前記垂線Nと交わらない位置に、弾性材料からなる衝撃吸収体6が配される。衝撃吸収体6は、フェース取付部に沿ってのびる長尺状をなしかつその断面積が2.5〜24.0(mm2 )である。
【解決手段】 フェース部材2は、前記フェース面2Aと反対側の面であるフェース背面2Bと、このフェース背面2Bとフェース面2Aとの間を継ぐ側端面2Cとを含む板状体からなる。ヘッド本体3は、打球時にフェース部材2と接触することなく該フェース部材2をヘッド後方に自由に撓ませる開口部Oを有し、かつこの開口部Oの周りにフェース部材2が接合される環状のフェース取付部4が設けられる。フェース取付部4とフェース部材2との間の少なくとも一部かつ前記垂線Nと交わらない位置に、弾性材料からなる衝撃吸収体6が配される。衝撃吸収体6は、フェース取付部に沿ってのびる長尺状をなしかつその断面積が2.5〜24.0(mm2 )である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反発性能の低下を抑えつつ打球時の衝撃吸収性を高めて優れた打球感を得ることが可能なゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ボールを打撃するフェース部材と、このフェース部材とは別体をなすヘッド本体とを接合した例えばアイアン型のゴルフクラブヘッドが種々提案されている。この種のゴルフクラブヘッドは、通常、フェース部材に強度及び反発性に優れたチタン系やステンレス系の合金が、またヘッド本体にはフェース部材よりも比重が大きい金属材料がそれぞれ用いられる。これにより、反発性の向上や低重心化を図りつつ慣性モーメントの大きいゴルフクラブヘッドが作られる。なお反発性能は、打球時におけるフェース部材の撓み量が大きいほど向上するため、前記ゴルフクラブヘッドのフェース部材は極力薄く構成される。
【0003】
ところが、上述のようなゴルフクラブヘッドは、従来の鍛造型ゴルフクラブヘッドなどに比べると、打球時にプレーヤの手に伝わる衝撃が大きいという欠点がある。これは、フェース部材の金属材料が高強度化かつ薄肉化されたことにより、打球時におけるフェース部材の振動が大きく、これがシャフトを介してプレーヤの手に伝えられるためと考えられる。
【0004】
打球感を向上させるために、前記ゴルフクラブヘッドにおいてフェース部材とヘッド本体との間に樹脂やゴム等の弾性材を配する技術が例えば下記特許文献1ないし2で提案される。しかしながら、前記文献記載のゴルフクラブヘッドは、弾性体の配設位置が適切ではない。すなわち、弾性材は、フェース部材の、ボールと頻繁に打球する位置の背面側に設けられる。このようなヘッドでは、打球時のフェース部材の撓みが弾性材によって制限される結果、反発性能が低下するという欠点がある。
【0005】
【特許文献1】特開2004−89434号公報
【特許文献2】特許第2850315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような実情に鑑み案出なされたもので、フェース部材とヘッド本体との間の少なくとも一部に弾性材料からなる衝撃吸収体を配するとともに、該衝撃吸収体を、ヘッド重心からフェース面に下ろした垂線と交わらない位置に設けること等を基本として、反発性能の低下を抑えつつ打球時の衝撃吸収性を高めて優れた打球感を得るゴルフクラブヘッドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のうち請求項1記載の発明は、ボールを打撃するフェース面を有する金属材料からなるフェース部材と、前記フェース部材が接合されかつ金属材料からなるヘッド本体とを含むゴルフクラブヘッドであって、前記フェース部材は、前記フェース面と反対側の面であるフェース背面と、このフェース背面と前記フェース面との間を継ぐ側端面とを含む板状体からなり、前記ヘッド本体は、ヘッド重心からフェース面に下ろした垂線を囲むとともに打球時に前記フェース部材と接触することなく該フェース部材をヘッド後方に自由に撓ませる開口部を有し、かつこの開口部の周りに前記フェース部材が接合される環状のフェース取付部が設けられてなり、しかも前記フェース取付部と前記フェース部材との間の少なくとも一部かつ前記垂線と交わらない位置に、弾性材料からなる衝撃吸収体が配されるとともに、前記衝撃吸収体は、前記フェース取付部に沿ってのびる長尺状をなしかつその断面積が2.5〜24.0(mm2 )であることを特徴としている。
【0008】
また請求項2記載の発明は、前記フェース取付部は、前記側端面を保持する内向き面と、前記フェース背面の周縁部と接触しこれを保持する支え面と、前記支え面から凹むとともに前記衝撃吸収体が配された凹部とを含むことを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッドである。
【0009】
また請求項3記載の発明は、前記凹部は、全てが前記衝撃吸収体で満たされかつ前記フェース背面の周縁部で閉塞されることを特徴とする請求項2記載のゴルフクラブヘッドである。
【0010】
また請求項4記載の発明は、前記衝撃吸収体は、前記内向き面と前記支え面との間に設けられることにより、前記フェース背面の前記周縁部の最外周部分と接触することを特徴とする請求項2又は3に記載のゴルフクラブヘッドである。
【0011】
また請求項5記載の発明は、前記衝撃吸収体は、ヘッド本体のトップ領域をのびるトップ側の吸収体、ソール領域をのびるソール側の吸収体、トウ領域をのびるトウ側の吸収体及びヒール領域をのびるヒール側の吸収体の少なくとも一つからなる請求項1ないし4のいずれかに記載のゴルフクラブヘッドである。
【0012】
また請求項6記載の発明は、前記衝撃吸収体は、前記垂線からの最短距離が7mm以上であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のゴルフクラブヘッドである。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、フェース部材とヘッド本体のフェース取付部との間の少なくとも一部に弾性材料からなる衝撃吸収体が配される。従って、この衝撃吸収体が打球時のフェース部材の振動を吸収することにより、プレーヤの手に伝えられる衝撃が緩和されて打球感が向上する。また衝撃吸収体は、ヘッド重心からフェース面に下ろした垂線と交わらない位置に設けられる。一般に、フェース部材は、ヘッド重心からフェース面に下ろした垂線がフェース面と交わる点であるスイートスポットで最も撓みが大きくなり、反発性能を向上するためにはこのスイートスポットでの撓みを制限することなく最大限に確保することが必要である。本発明のゴルフクラブヘッドは、打球時におけるスイートスポットの変位方向である前記垂線と交わらない位置に衝撃吸収体が設けられているため、該スイートスポットの撓みが何ら拘束されることが無い。したがって、本発明のゴルフクラブヘッドは、打球感と反発性能とを高い次元で両立しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態としてアイアン型ゴルフクラブヘッドの基準状態の正面図、図2はその背面図、図3は図1のA−A拡大端面図、図4はヘッドの分解斜視図をそれぞれ示す。前記基準状態とは、ヘッド1を、当該ヘッドに定められた規定のライ角αとロフト角β(リアルロフト角)に設定して水平面HPに接地させた状態とする。
【0015】
本実施形態のアイアン型ゴルフクラブヘッド(以下、単に「ヘッド」ということがある。)1は、ボールを打撃するフェース面2Aを有する金属材料からなるフェース部材2と、該フェース部材2が接合された金属材料からなるヘッド本体3とを含んで構成されたものが例示される。
【0016】
本実施形態のフェース部材2は、フェースライン12等の細溝を除いて実質的に平坦面をなす前記フェース面2Aと、その反対側の面であるフェース背面2Bと、フェース背面2Bとフェース面2Aとの間を継ぐ側端面2Cとを含む板状体で構成され、この例では基準状態の正面視において、ヒール側からトウ側に向かって高さが徐々に大きくなっている。フェース部材2は、高強度かつ反発性に優れた金属材料、例えばチタン合金、アルミニウム合金又はSUS450(マレージング銅)等により構成されるのが望ましい。ただし、これら例示の金属材料に限定されるものではない。
【0017】
図5には、フェース部材2をフェース背面2Bから見た斜視図が示される。本実施形態のフェース部材2は、そのフェース背面2Bに、前記側端面2Cに沿って環状に連続してのびる凹溝9が設けられる。これにより、フェース部材2は、該凹溝9で囲まれた中央厚肉部10と、前記凹溝9と前記側端面2Cとで挟まれた周縁厚肉部11とが区画される。凹溝9は、フェース部材2の周辺部分において適度に剛性を低下させることにより、打球時にフェース部材2をより大きく撓ませて反発係数を向上させるのに役立つ。
【0018】
前記中央厚肉部10は、図3に示されるように、ヘッド重心Gからフェース面Fに下ろした垂線Nが該フェース面2Aと交わる点であるスイートスポットSSを含む。スイートスポットSSは、打球時にボールが最も良く飛ぶ打点の一つであるため、中央厚肉部10のフェース面側はボールとの頻繁な打撃が予定され、十分な強度が必要である。このため、特に限定はされないが、中央厚肉部10の厚さt1が小さすぎると、強度が不足して耐久性が悪化する傾向があり、逆に大きすぎてもフェース部材2の全体的な剛性が過度に高められ、打球時にフェース部材2が撓み難くなって反発性能が悪化する傾向がある。このような観点より、前記厚さt1は、好ましくは2.5mm以上、より好ましくは2.7mm以上が望ましく、また上限については、前記下限のいずれかとの組み合わせにおいて3.5mm以下、より好ましくは3.3mm以下が望ましい。
【0019】
また本実施形態のフェース部材2は、図3に示されるように、前記周縁厚肉部11がヘッド本体3に接合される。このため、該周縁厚肉部11の厚さt2が小さすぎると、接合強度が不足しやすくなってヘッドの耐久性を低下させる傾向があり、逆に大きすぎてもヘッドの反発性能を低下させる傾向がある。このような観点より、周縁厚肉部11の厚さt2は、前記中央厚肉部6の厚さt1と同等とするのが望ましい。また、凹溝9の外縁9oは、前記側端面2Cと一定の距離を隔てて設けられており、これにより周縁厚肉部11は実質的に一定幅で形成されている。
【0020】
またフェース部材2は、凹溝9の溝底での厚さt3が小さすぎると、フェース部材2の耐久性を悪化させる傾向があり、逆に大きすぎても、フェース部材2の反発性能を高めるのが困難になる。このような観点より、前記厚さt3は、好ましくは1.6mm以上、より好ましくは1.8mm以上とするのが望ましく、上限については、好ましくは2.5mm以下、より好ましくは2.3mm以下が望ましい。同様の観点より、凹溝4の溝幅GWについては特に制限はないが、例えば2.5mm以上、より好ましくは4.0mm以上が望ましく、同上限については好ましくは15.0mm以下、より好ましくは10.0mm以下が望ましい。
【0021】
またこの実施形態では、フェース部材2の前記側端面2Cのフェース面2A側に、予めステップ状をなす段差部2Eがその全周に亘って設けられる。これについては後で述べる。
【0022】
前記ヘッド本体3は、例えばヘッド上部をなすトップ部枠3aと、ヘッド下部をなすソール部枠3bと、ヘッドのトウ側でこれらの間を継ぐトウ部枠3cと、ヘッドのヒール側でトップ部枠3aとソール部枠3bとを継ぐネック部3dと、このネック部3dから上方にのび図示しないシャフトが差し込まれるシャフト差込孔3fが設けられたホーゼル部3eとを含み、しかも金属材料で構成されている。なおソール部枠3bの後端側にはトップ部枠3a側に小高さで立ち上がる背壁部3gが設けられる。この背壁部3gとフェース部材2のフェース背面2Bとの間には、ポケット状のキャビティCが形成される。またヘッド1を基準状態とする際、シャフト軸線の代わりにシャフト差込孔3fの軸中心線CLが用いられる。
【0023】
ヘッド本体3を構成する金属材料は特に限定はされないが、例えばSUS630、SUS255、SUS450等のステンレス鋼、その他比較的比重が大きい材料が好ましい。またこの金属材料は、フェース部材2と同じでも良いし、また異なるものでも良い。好ましくはヘッド本体3の金属材料は、フェース部材2の金属材料よりも比重が大きいものが好ましい。これにより、フェース部材2の周辺により多くの重量を配分でき、慣性モーメントやスイートエリアの大きいヘッド1を提供するのに役立つ。ヘッド本体3の製造方法は、特に限定はされないが、好ましくは鋳造等により前記各部が一体に成形されるのが望ましい。
【0024】
またヘッド本体3は、前記トップ部枠3a、トウ部枠3c、ソール部枠3b及びネック部3dで囲まれた一つの開口部Oが形成され、かつ、その周りにフェース部材2が接合される環状のフェース取付部4が設けられている。
【0025】
ヘッド本体3は、前記開口部Oではフェース部材2と接触しない。言い換えれば、開口部Oは、打球時に該開口部Oに面したフェース部材2がいずれにも接触せずヘッド後方に自由に撓み得る空間を提供する。これにより、フェース部材2の大きな撓みが確保される。また開口部Oは、打球時におけるスイートスポットSSの撓み方向である前記垂線Nを囲む所定の大きさを持っている。このため、開口部Oは、スイートスポットSSの後方への変位を何ら拘束せず、ひいてはヘッド1の反発性能を最大限に発揮させる。開口部Oは、上述の作用を発揮できれば良いため、本実施形態のようにヘッド本体3を前後方向で貫通する形状に限定されるわけではない。例えば、打球時に変形したフェース部材2のフェース背面2Bと接触しないように背壁部(図示せず)などで開口部Oを閉じても良い。
【0026】
また、特に限定はされないが、開口部Oをフェース面2Aに投影した開口投影面積Soと、前記フェース面2Aの面積(フェースライン12を埋めて平坦として測定する)Sとの比(So/S)は、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上とすることにより、さらに効果的にフェース部材2の大きな撓みを確保できる。ただし、開口投影面積Soが大きすぎると、フェース部材2とヘッド本体3との接合面積が減少し、接合強度や耐久性を悪化させる傾向がある。このような観点より、前記比(So/S)は、好ましくは85%以下、より好ましくは80%以下が望ましい。
【0027】
前記フェース取付部4は、図6(A)、(B)に拡大して示されるように、フェース部材2の側端面2Cを保持する内向き面7と、フェース背面2Bの周縁部13(この例では前記周縁厚肉部11の背面になる)と接触しこれを保持する支え面8と、前記支え面8から凹むとともに弾性材料からなる衝撃吸収体6が配された凹部5とを含む。
【0028】
また本実施形態では、フェース部材2とヘッド本体3とはカシメと接着剤とを併用して接合されたものが例示される。カシメは、例えば図6に仮想線で示されるように、ヘッド本体3に予め形成された被圧縮部3Tをプレス等により押圧して塑性変形させ、フェース部材2の前記段差部2Eに満たすことにより行われる。このため、本実施形態の内向き面7は、前記段差部2Eに接触した段差面7aを含む。フェース部材2とヘッド本体3とは、かしめ以外にも、種々の方法、例えば接着剤、ネジ止め、圧入、可能の場合には溶接などの1ないし複数の方法を組み合わせて接合できる。
【0029】
またフェース取付部4の支え面8は、フェース面2Aと実質的に平行な単一の平面によって形成される。支え面8は、開口部Oの周りで途切れることなく連続した無端環状のものが示されるが、一部が途切れた有端環状でも良い。支え面8の幅W1は、特に限定はされないが、小さすぎるとフェース部材2と十分な接合面積を確保することができず、ひいては接合部の耐久性が悪化しやすい傾向があり、逆に大きすぎるとフェース部材2の反発性能を低下させる傾向がある。このような観点より、支え面8の幅W1は、好ましくは2mm以上、より好ましくは3mm以上が望ましく、上限については好ましくは15mm以下、より好ましくは12mm以下、さらに好ましくは10mm以下が望ましい。なお支え面8の幅W1は、各部において実質的に一定でも良いしまた変化させても良い。
【0030】
前記凹部5は、フェース部材2とフェース取付部4との間に衝撃吸収体6を配設する空間を提供する。これにより、開口部Oの周りに設けられたフェース取付部4とフェース部材2との間の少なくとも一部に、衝撃吸収体6が配される。本実施形態の凹部5及びそこに配された衝撃吸収体6は、図7に示されるように、フェース取付部4に沿ってのびる長尺状をなし、この例では長手方向と直角方向の断面積が実質的に一定に形成されたものが例示される。
【0031】
衝撃吸収体6は、フェース部材2の周縁部13と接触し、その振動を吸収する。これにより、プレーヤの手に伝えられる衝撃が緩和され、打球感が向上する。また衝撃吸収体6は、前記垂線Nと交わらない位置に設けられる。一般に、フェース部材2は、前記垂線Nの方向にスイートスポットSSでの振幅幅が最大となるような振動モードを持つ。このため、反発性を損ねずにフェース部材2の打球時の振動エネルギーを吸収するためには、スイートスポットSSでの撓みを制限しないよう前記垂線Nからできるだけ離れた位置に衝撃吸収体6を設けることが望ましい。特に好ましくは、内向き面7と支え面8との間に衝撃吸収体6を設けること(言い換えれば、凹部6の外周側には支え面8が存在しないこと)により、該衝撃吸収体6がフェース背面2Bの前記周縁部13の最外周部分と接触することが望ましい。
【0032】
また定量的に述べると、衝撃吸収体6は、前記垂線Nからの最短距離Vが、好ましくは5mm以上、より好ましくは6mm以上、さらに好ましくは7mm以上が望ましい。この最短距離Vの上限は特に定めないが、例えば15mm以下程度が望ましい。このように、本実施形態のヘッド1は、反発性能の低下をも抑制しつつ、フェース部材2の周縁部から振動吸収を効果的に行い得るため、打球感と反発性能とを高い次元で両立しうる。
【0033】
前記衝撃吸収体6は、フェース部材2と接触しその衝撃を吸収する弾性材料であれば特に限定はされないが、例えばNBRやIRを架橋剤により加硫している加硫ゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー等のソフトセグメントとハードセグメントとからなる熱可塑性エラストマー又はナイロン等の熱可塑性エラストマーが望ましい。とりわけ、2種以上のポリマーを混合または化学結合させて得られたポリマーアロイが好適である。ポリマーアロイは、一方のポリマーが他方のポリマー中に適当に分散して、巨視的には均一相を呈している多成分系高分子である。微視的には均一な場合もあるが、一方のポリマー相が他方のポリマー相に分散して不均一な構造を形成する場合もある。このような状態になった高分子多成分系は成分ポリマーの単なる平均的性質に加えて、新たな物性が生じるので樹脂やゴム等の改質に広く利用されている。このようなポリマーアロイとしては、例えば三菱化学(株)から商品名「ラバロン」(例えば、「ラバロンSJ4400N」、「ラバロンSJ5400N」、「ラバロンSJ6400N」、「ラバロンSJ7400N」、「ラバロンSJ8400N」、「ラバロンSJ9400N」、「ラバロンSR04」等)で市販されているスチレン系熱可塑性エラストマーが好適である。
【0034】
また衝撃吸収体6の硬度は、特に限定されないが、大きすぎると、十分な衝撃吸収能力を発揮できない傾向があり、逆に小さすぎても耐久性が悪化する傾向がある。このような観点より前記衝撃吸収体5の硬度(JIS−A硬度)は、好ましくは40゜以上、より好ましくは50゜以上が望ましく、上限については90゜以下、より好ましくは80゜以下が望ましい。
【0035】
図7には、図1の基準状態からフェース部材2が取り外されたヘッド本体3の正面図が示されており、衝撃吸収体6の配設位置(凹部5の位置でもある。)は、前記垂線Nと交わらない位置であれば種々の位置に設けることができる。本実施形態では、衝撃吸収体6が、ヘッド本体3のトップ領域をのびるトップ側の吸収体6Aと、ソール領域をのびるソール側の吸収体6Bと、トウ領域をのびるトウ側の吸収体6Cと、ヒール領域をのびるヒール側の吸収体6Dの4つからなるものが例示される。フェース部材2の振動は、その全体で生じるため、このような4つの領域にそれぞれ衝撃吸収体6を配することが特に好ましい。ただし、これらの全てを具えなくても、少なくとも1つ、より好ましくは2つ、さらに好ましくは3つ以上含むことが望ましい。特にアイアン型ゴルフクラブヘッドでは、芝生上に直接置かれたゴルフボールを打球する機会が多いため、フェース面2Aにおける打点はフェース面の幾何学的な中心よりも低い位置になることが多い。従って、最小の個数で衝撃力を効果的に吸収する場合、ソール側の吸収体6Bを含ませることが特に望ましい。なお図8に示されるように、衝撃吸収体6(凹部5)は、開口部Oの周りで連続する環状にも構成できる。
【0036】
また前記各領域は、図2、図3に示されるように、ヘッド1の基準状態において、前記垂線Nとフェース背面2Bとの交点である裏スイートスポットBSを特定し、この裏スイートスポットBSを通りかつフェース面2Aと直交する垂直面VPがフェース背面2Bを横切る基準軸を前記垂線Nの周りに右回りに45゜及び135゜で回転させた線分L1、L2を定め、上部側の領域を前記トップ領域、トウ側の領域を前記トウ領域、下方側の領域を前記ソール領域、他を前記ヒール領域としてそれぞれ定める。
【0037】
また衝撃吸収体6の長手方向と直角な断面積(凹部5の断面積)は、2.5〜24.0mm2 に限定される。前記断面積が2.5mm2 未満の場合、衝撃吸収効果が十分に得られない傾向があり、逆に24.0mm2 を超える場合、トップ領域などに設けるのが困難になるばかりか、ヘッド本体3の強度を低下させる傾向があり好ましくない。特に好ましくは、衝撃吸収体6の前記断面積は、3.0mm2 以上、さらに好ましくは4.0mm2 以上が望ましく、上限については好ましくは24.0mm2 以下、さらに好ましくは20.0mm2 以下が望ましい。
【0038】
また図9に示されるように、衝撃吸収体6は、フェース部材2の接合前の状態において、凹部5の断面積よりも大きな断面積を持っており、前記支え面8から突出して配される。そして、フェース部材2をフェース取付部4に接合することにより、フェース背面2Bと凹部5とがなす密閉された空間に圧縮状態で保持される。このような状態の衝撃吸収体6は、実質的な気体を内包しないため、フェース背面2Bに強く密着し、衝撃吸収効果をより一層効率の良いものとする。このような観点より、衝撃吸収体6の圧縮率(衝撃吸収体6の体積を、自由状態における衝撃吸収体単体の体積で除した値の百分率)は、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上が望ましく、上限については50%以下、より好ましくは35%以下が望ましい。
【0039】
また衝撃吸収体6による衝撃吸収効果は、その体積ないしはフェース部材2との接触面積に一定の相関が見られる。即ち、衝撃吸収体6の全体積(複数個に分けて設けられている場合には、その合計体積)ないしは前記接触面積が小さすぎると、衝撃吸収効果が低下して打球感の改善が期待できない傾向があり、逆に大きすぎるとヘッドの耐久性を悪化させる傾向がある。このような観点より、衝撃吸収体6の全体積は、好ましくは250mm2 以上、より好ましくは400mm3 以上が望ましく、上限については2000mm3 以下、より好ましくは1600mm3 以下、さらに好ましくは1500mm3 以下が望ましい。同様に、衝撃吸収体6の前記接触面積は、好ましくは100mm2 以上、より好ましくは150mm2 以上、さらに好ましくは200mm2 以上が望ましく、上限については600mm2 以下、より好ましくは500mm2 以下、さらに好ましくは450mm2 以下が望ましい。
【0040】
図10には、本発明の他の実施形態が示されている。
この実施形態では、凹部5の一部が内向き面7に掘り下げられており、衝撃吸収体6が前記フェース部材2のフェース背面2Bと側端面2Cとに跨ってフェース部材2と接触する態様が例示される。この実施形態では、ミスショット時に生じがちなフェース面2Aに沿った方向の衝撃を吸収するのに効果がある。
【0041】
以上、本発明の実施形態について、アイアン型ゴルフクラブヘッドを例示したが、フェース部材とヘッド本体3とかからなるゴルフクラブヘッドであれば、アイアン型のみならず、ウッド型、パター型、ユーティリティー型など種々のタイプのヘッドに適用できる。
【実施例】
【0042】
表1に基づき、ロフト角24゜のアイアン型ゴルフクラブヘッドが試作された。各ヘッドは、いずれもSUS630をロストワックス精密鋳造法により成形された鋳造品からなるヘッド本体と、6Al−4V−Tiの板材を打ち抜き後、NC加工により仕上げられたフェース部材とを接着剤を併用して圧入しかつ図3のようにカシメることにより形成された。なおフェース部材の背面に設けられた凹溝は、幅4mmとしNC機械を用いてミーリング加工により形成した。また衝撃吸収体には、三菱化学(株)製の商品名「ラバロンSR04」をインジェクション成形して形成された弾性体(ポリマーアロイ)が用いられた。また夫々のヘッド本体は図11〜16に示される。さらに実施例9は、図17に示されるように、凹部の底に空所が設けられたものとした。
テスト方法は、次の通りである。
【0043】
<反発性能>
U.S.G.A.の Procedure for Measureing the Velocity Ratio of a Club Head for Conformance to Rule 4-1e, Revision 2 (February 8, 1999) に基づき、各供試ヘッドの反発係数を測定した。なお測定は、各ヘッドについてそれぞれ10回行われ、その平均値を計算した。評価は、衝撃吸収体の無いヘッド(比較例1)の反発係数を100とする指数で表示した。数値が大きいほど良好である。
【0044】
<打球感>
各供試ヘッドに、SRIスポーツ社製の繊維強化樹脂シャフトMP−200(フレックスR)を装着してクラブ長38インチのアイアン型ゴルフクラブを試作した。そして、ハンディキャップ10〜20の10名のアベレージゴルファが、天然芝上に置かれたゴルフボールを各供試クラブで5球づつ打撃し、打球時に手に伝わる衝撃力を各評価者のフィーリングにより5点法で評価した。評価は、衝撃吸収体が配置されていない供試クラブのフィーリングを1点として、衝撃力が小さく打球感が最高に良いものを5点とする相対評価であり、10名の平均値が示されている。テストの結果などを表1及び図11〜17に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
テストの結果、実施例のヘッドは、いずれも良好な耐久性能を発揮していることが確認できた。また反発係数についても比較例と遜色ない結果を示していることが確認できる。
【0047】
次に、実施例6の構造をベースとして、衝撃吸収体の材料を異ならせた他のヘッドを試作し、同様の試験を行った。テストの結果は表2に示される。
【0048】
【表2】
【0049】
テストの結果、反発性能としては、ラバロンを用いた実施例が最も良いことが分かった。また打球感についてはNBRが優れていることも分かった。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態を示す基準状態のアイアン型ゴルフクラブヘッドの正面図である。
【図2】その背面図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】ヘッドの分解斜視図である。
【図5】フェース部材を背面側から見た斜視図である。
【図6】(A)は図3のトップ側、(B)はソール側のそれぞれの部分拡大図である。
【図7】図1からフェース部材を外したヘッド本体の正面図である。
【図8】図1からフェース部材を外したヘッド本体の正面図である。
【図9】フェース部材と接合前のヘッド本体の部分拡大断面図である。
【図10】他の実施形態を示すヘッドの部分拡大断面図である。
【図11】比較例1のヘッド本体の正面図である。
【図12】比較例2のヘッド本体の正面図である。
【図13】比較例3のヘッド本体の正面図である。
【図14】実施例1のヘッド本体の正面図である。
【図15】実施例2のヘッド本体の正面図である。
【図16】実施例3他のヘッド本体の正面図である。
【図17】実施例9のヘッドの部分断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 アイアン型ゴルフクラブヘッド
2 フェース部材
2A フェース面
2B フェース背面
2C 側端面
3 ヘッド本体
4 フェース取付部
5 凹部
6 衝撃吸収体
7 内向き面
8 支え面
N 垂線
G ヘッド重心
【技術分野】
【0001】
本発明は、反発性能の低下を抑えつつ打球時の衝撃吸収性を高めて優れた打球感を得ることが可能なゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ボールを打撃するフェース部材と、このフェース部材とは別体をなすヘッド本体とを接合した例えばアイアン型のゴルフクラブヘッドが種々提案されている。この種のゴルフクラブヘッドは、通常、フェース部材に強度及び反発性に優れたチタン系やステンレス系の合金が、またヘッド本体にはフェース部材よりも比重が大きい金属材料がそれぞれ用いられる。これにより、反発性の向上や低重心化を図りつつ慣性モーメントの大きいゴルフクラブヘッドが作られる。なお反発性能は、打球時におけるフェース部材の撓み量が大きいほど向上するため、前記ゴルフクラブヘッドのフェース部材は極力薄く構成される。
【0003】
ところが、上述のようなゴルフクラブヘッドは、従来の鍛造型ゴルフクラブヘッドなどに比べると、打球時にプレーヤの手に伝わる衝撃が大きいという欠点がある。これは、フェース部材の金属材料が高強度化かつ薄肉化されたことにより、打球時におけるフェース部材の振動が大きく、これがシャフトを介してプレーヤの手に伝えられるためと考えられる。
【0004】
打球感を向上させるために、前記ゴルフクラブヘッドにおいてフェース部材とヘッド本体との間に樹脂やゴム等の弾性材を配する技術が例えば下記特許文献1ないし2で提案される。しかしながら、前記文献記載のゴルフクラブヘッドは、弾性体の配設位置が適切ではない。すなわち、弾性材は、フェース部材の、ボールと頻繁に打球する位置の背面側に設けられる。このようなヘッドでは、打球時のフェース部材の撓みが弾性材によって制限される結果、反発性能が低下するという欠点がある。
【0005】
【特許文献1】特開2004−89434号公報
【特許文献2】特許第2850315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような実情に鑑み案出なされたもので、フェース部材とヘッド本体との間の少なくとも一部に弾性材料からなる衝撃吸収体を配するとともに、該衝撃吸収体を、ヘッド重心からフェース面に下ろした垂線と交わらない位置に設けること等を基本として、反発性能の低下を抑えつつ打球時の衝撃吸収性を高めて優れた打球感を得るゴルフクラブヘッドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のうち請求項1記載の発明は、ボールを打撃するフェース面を有する金属材料からなるフェース部材と、前記フェース部材が接合されかつ金属材料からなるヘッド本体とを含むゴルフクラブヘッドであって、前記フェース部材は、前記フェース面と反対側の面であるフェース背面と、このフェース背面と前記フェース面との間を継ぐ側端面とを含む板状体からなり、前記ヘッド本体は、ヘッド重心からフェース面に下ろした垂線を囲むとともに打球時に前記フェース部材と接触することなく該フェース部材をヘッド後方に自由に撓ませる開口部を有し、かつこの開口部の周りに前記フェース部材が接合される環状のフェース取付部が設けられてなり、しかも前記フェース取付部と前記フェース部材との間の少なくとも一部かつ前記垂線と交わらない位置に、弾性材料からなる衝撃吸収体が配されるとともに、前記衝撃吸収体は、前記フェース取付部に沿ってのびる長尺状をなしかつその断面積が2.5〜24.0(mm2 )であることを特徴としている。
【0008】
また請求項2記載の発明は、前記フェース取付部は、前記側端面を保持する内向き面と、前記フェース背面の周縁部と接触しこれを保持する支え面と、前記支え面から凹むとともに前記衝撃吸収体が配された凹部とを含むことを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッドである。
【0009】
また請求項3記載の発明は、前記凹部は、全てが前記衝撃吸収体で満たされかつ前記フェース背面の周縁部で閉塞されることを特徴とする請求項2記載のゴルフクラブヘッドである。
【0010】
また請求項4記載の発明は、前記衝撃吸収体は、前記内向き面と前記支え面との間に設けられることにより、前記フェース背面の前記周縁部の最外周部分と接触することを特徴とする請求項2又は3に記載のゴルフクラブヘッドである。
【0011】
また請求項5記載の発明は、前記衝撃吸収体は、ヘッド本体のトップ領域をのびるトップ側の吸収体、ソール領域をのびるソール側の吸収体、トウ領域をのびるトウ側の吸収体及びヒール領域をのびるヒール側の吸収体の少なくとも一つからなる請求項1ないし4のいずれかに記載のゴルフクラブヘッドである。
【0012】
また請求項6記載の発明は、前記衝撃吸収体は、前記垂線からの最短距離が7mm以上であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のゴルフクラブヘッドである。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、フェース部材とヘッド本体のフェース取付部との間の少なくとも一部に弾性材料からなる衝撃吸収体が配される。従って、この衝撃吸収体が打球時のフェース部材の振動を吸収することにより、プレーヤの手に伝えられる衝撃が緩和されて打球感が向上する。また衝撃吸収体は、ヘッド重心からフェース面に下ろした垂線と交わらない位置に設けられる。一般に、フェース部材は、ヘッド重心からフェース面に下ろした垂線がフェース面と交わる点であるスイートスポットで最も撓みが大きくなり、反発性能を向上するためにはこのスイートスポットでの撓みを制限することなく最大限に確保することが必要である。本発明のゴルフクラブヘッドは、打球時におけるスイートスポットの変位方向である前記垂線と交わらない位置に衝撃吸収体が設けられているため、該スイートスポットの撓みが何ら拘束されることが無い。したがって、本発明のゴルフクラブヘッドは、打球感と反発性能とを高い次元で両立しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態としてアイアン型ゴルフクラブヘッドの基準状態の正面図、図2はその背面図、図3は図1のA−A拡大端面図、図4はヘッドの分解斜視図をそれぞれ示す。前記基準状態とは、ヘッド1を、当該ヘッドに定められた規定のライ角αとロフト角β(リアルロフト角)に設定して水平面HPに接地させた状態とする。
【0015】
本実施形態のアイアン型ゴルフクラブヘッド(以下、単に「ヘッド」ということがある。)1は、ボールを打撃するフェース面2Aを有する金属材料からなるフェース部材2と、該フェース部材2が接合された金属材料からなるヘッド本体3とを含んで構成されたものが例示される。
【0016】
本実施形態のフェース部材2は、フェースライン12等の細溝を除いて実質的に平坦面をなす前記フェース面2Aと、その反対側の面であるフェース背面2Bと、フェース背面2Bとフェース面2Aとの間を継ぐ側端面2Cとを含む板状体で構成され、この例では基準状態の正面視において、ヒール側からトウ側に向かって高さが徐々に大きくなっている。フェース部材2は、高強度かつ反発性に優れた金属材料、例えばチタン合金、アルミニウム合金又はSUS450(マレージング銅)等により構成されるのが望ましい。ただし、これら例示の金属材料に限定されるものではない。
【0017】
図5には、フェース部材2をフェース背面2Bから見た斜視図が示される。本実施形態のフェース部材2は、そのフェース背面2Bに、前記側端面2Cに沿って環状に連続してのびる凹溝9が設けられる。これにより、フェース部材2は、該凹溝9で囲まれた中央厚肉部10と、前記凹溝9と前記側端面2Cとで挟まれた周縁厚肉部11とが区画される。凹溝9は、フェース部材2の周辺部分において適度に剛性を低下させることにより、打球時にフェース部材2をより大きく撓ませて反発係数を向上させるのに役立つ。
【0018】
前記中央厚肉部10は、図3に示されるように、ヘッド重心Gからフェース面Fに下ろした垂線Nが該フェース面2Aと交わる点であるスイートスポットSSを含む。スイートスポットSSは、打球時にボールが最も良く飛ぶ打点の一つであるため、中央厚肉部10のフェース面側はボールとの頻繁な打撃が予定され、十分な強度が必要である。このため、特に限定はされないが、中央厚肉部10の厚さt1が小さすぎると、強度が不足して耐久性が悪化する傾向があり、逆に大きすぎてもフェース部材2の全体的な剛性が過度に高められ、打球時にフェース部材2が撓み難くなって反発性能が悪化する傾向がある。このような観点より、前記厚さt1は、好ましくは2.5mm以上、より好ましくは2.7mm以上が望ましく、また上限については、前記下限のいずれかとの組み合わせにおいて3.5mm以下、より好ましくは3.3mm以下が望ましい。
【0019】
また本実施形態のフェース部材2は、図3に示されるように、前記周縁厚肉部11がヘッド本体3に接合される。このため、該周縁厚肉部11の厚さt2が小さすぎると、接合強度が不足しやすくなってヘッドの耐久性を低下させる傾向があり、逆に大きすぎてもヘッドの反発性能を低下させる傾向がある。このような観点より、周縁厚肉部11の厚さt2は、前記中央厚肉部6の厚さt1と同等とするのが望ましい。また、凹溝9の外縁9oは、前記側端面2Cと一定の距離を隔てて設けられており、これにより周縁厚肉部11は実質的に一定幅で形成されている。
【0020】
またフェース部材2は、凹溝9の溝底での厚さt3が小さすぎると、フェース部材2の耐久性を悪化させる傾向があり、逆に大きすぎても、フェース部材2の反発性能を高めるのが困難になる。このような観点より、前記厚さt3は、好ましくは1.6mm以上、より好ましくは1.8mm以上とするのが望ましく、上限については、好ましくは2.5mm以下、より好ましくは2.3mm以下が望ましい。同様の観点より、凹溝4の溝幅GWについては特に制限はないが、例えば2.5mm以上、より好ましくは4.0mm以上が望ましく、同上限については好ましくは15.0mm以下、より好ましくは10.0mm以下が望ましい。
【0021】
またこの実施形態では、フェース部材2の前記側端面2Cのフェース面2A側に、予めステップ状をなす段差部2Eがその全周に亘って設けられる。これについては後で述べる。
【0022】
前記ヘッド本体3は、例えばヘッド上部をなすトップ部枠3aと、ヘッド下部をなすソール部枠3bと、ヘッドのトウ側でこれらの間を継ぐトウ部枠3cと、ヘッドのヒール側でトップ部枠3aとソール部枠3bとを継ぐネック部3dと、このネック部3dから上方にのび図示しないシャフトが差し込まれるシャフト差込孔3fが設けられたホーゼル部3eとを含み、しかも金属材料で構成されている。なおソール部枠3bの後端側にはトップ部枠3a側に小高さで立ち上がる背壁部3gが設けられる。この背壁部3gとフェース部材2のフェース背面2Bとの間には、ポケット状のキャビティCが形成される。またヘッド1を基準状態とする際、シャフト軸線の代わりにシャフト差込孔3fの軸中心線CLが用いられる。
【0023】
ヘッド本体3を構成する金属材料は特に限定はされないが、例えばSUS630、SUS255、SUS450等のステンレス鋼、その他比較的比重が大きい材料が好ましい。またこの金属材料は、フェース部材2と同じでも良いし、また異なるものでも良い。好ましくはヘッド本体3の金属材料は、フェース部材2の金属材料よりも比重が大きいものが好ましい。これにより、フェース部材2の周辺により多くの重量を配分でき、慣性モーメントやスイートエリアの大きいヘッド1を提供するのに役立つ。ヘッド本体3の製造方法は、特に限定はされないが、好ましくは鋳造等により前記各部が一体に成形されるのが望ましい。
【0024】
またヘッド本体3は、前記トップ部枠3a、トウ部枠3c、ソール部枠3b及びネック部3dで囲まれた一つの開口部Oが形成され、かつ、その周りにフェース部材2が接合される環状のフェース取付部4が設けられている。
【0025】
ヘッド本体3は、前記開口部Oではフェース部材2と接触しない。言い換えれば、開口部Oは、打球時に該開口部Oに面したフェース部材2がいずれにも接触せずヘッド後方に自由に撓み得る空間を提供する。これにより、フェース部材2の大きな撓みが確保される。また開口部Oは、打球時におけるスイートスポットSSの撓み方向である前記垂線Nを囲む所定の大きさを持っている。このため、開口部Oは、スイートスポットSSの後方への変位を何ら拘束せず、ひいてはヘッド1の反発性能を最大限に発揮させる。開口部Oは、上述の作用を発揮できれば良いため、本実施形態のようにヘッド本体3を前後方向で貫通する形状に限定されるわけではない。例えば、打球時に変形したフェース部材2のフェース背面2Bと接触しないように背壁部(図示せず)などで開口部Oを閉じても良い。
【0026】
また、特に限定はされないが、開口部Oをフェース面2Aに投影した開口投影面積Soと、前記フェース面2Aの面積(フェースライン12を埋めて平坦として測定する)Sとの比(So/S)は、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上とすることにより、さらに効果的にフェース部材2の大きな撓みを確保できる。ただし、開口投影面積Soが大きすぎると、フェース部材2とヘッド本体3との接合面積が減少し、接合強度や耐久性を悪化させる傾向がある。このような観点より、前記比(So/S)は、好ましくは85%以下、より好ましくは80%以下が望ましい。
【0027】
前記フェース取付部4は、図6(A)、(B)に拡大して示されるように、フェース部材2の側端面2Cを保持する内向き面7と、フェース背面2Bの周縁部13(この例では前記周縁厚肉部11の背面になる)と接触しこれを保持する支え面8と、前記支え面8から凹むとともに弾性材料からなる衝撃吸収体6が配された凹部5とを含む。
【0028】
また本実施形態では、フェース部材2とヘッド本体3とはカシメと接着剤とを併用して接合されたものが例示される。カシメは、例えば図6に仮想線で示されるように、ヘッド本体3に予め形成された被圧縮部3Tをプレス等により押圧して塑性変形させ、フェース部材2の前記段差部2Eに満たすことにより行われる。このため、本実施形態の内向き面7は、前記段差部2Eに接触した段差面7aを含む。フェース部材2とヘッド本体3とは、かしめ以外にも、種々の方法、例えば接着剤、ネジ止め、圧入、可能の場合には溶接などの1ないし複数の方法を組み合わせて接合できる。
【0029】
またフェース取付部4の支え面8は、フェース面2Aと実質的に平行な単一の平面によって形成される。支え面8は、開口部Oの周りで途切れることなく連続した無端環状のものが示されるが、一部が途切れた有端環状でも良い。支え面8の幅W1は、特に限定はされないが、小さすぎるとフェース部材2と十分な接合面積を確保することができず、ひいては接合部の耐久性が悪化しやすい傾向があり、逆に大きすぎるとフェース部材2の反発性能を低下させる傾向がある。このような観点より、支え面8の幅W1は、好ましくは2mm以上、より好ましくは3mm以上が望ましく、上限については好ましくは15mm以下、より好ましくは12mm以下、さらに好ましくは10mm以下が望ましい。なお支え面8の幅W1は、各部において実質的に一定でも良いしまた変化させても良い。
【0030】
前記凹部5は、フェース部材2とフェース取付部4との間に衝撃吸収体6を配設する空間を提供する。これにより、開口部Oの周りに設けられたフェース取付部4とフェース部材2との間の少なくとも一部に、衝撃吸収体6が配される。本実施形態の凹部5及びそこに配された衝撃吸収体6は、図7に示されるように、フェース取付部4に沿ってのびる長尺状をなし、この例では長手方向と直角方向の断面積が実質的に一定に形成されたものが例示される。
【0031】
衝撃吸収体6は、フェース部材2の周縁部13と接触し、その振動を吸収する。これにより、プレーヤの手に伝えられる衝撃が緩和され、打球感が向上する。また衝撃吸収体6は、前記垂線Nと交わらない位置に設けられる。一般に、フェース部材2は、前記垂線Nの方向にスイートスポットSSでの振幅幅が最大となるような振動モードを持つ。このため、反発性を損ねずにフェース部材2の打球時の振動エネルギーを吸収するためには、スイートスポットSSでの撓みを制限しないよう前記垂線Nからできるだけ離れた位置に衝撃吸収体6を設けることが望ましい。特に好ましくは、内向き面7と支え面8との間に衝撃吸収体6を設けること(言い換えれば、凹部6の外周側には支え面8が存在しないこと)により、該衝撃吸収体6がフェース背面2Bの前記周縁部13の最外周部分と接触することが望ましい。
【0032】
また定量的に述べると、衝撃吸収体6は、前記垂線Nからの最短距離Vが、好ましくは5mm以上、より好ましくは6mm以上、さらに好ましくは7mm以上が望ましい。この最短距離Vの上限は特に定めないが、例えば15mm以下程度が望ましい。このように、本実施形態のヘッド1は、反発性能の低下をも抑制しつつ、フェース部材2の周縁部から振動吸収を効果的に行い得るため、打球感と反発性能とを高い次元で両立しうる。
【0033】
前記衝撃吸収体6は、フェース部材2と接触しその衝撃を吸収する弾性材料であれば特に限定はされないが、例えばNBRやIRを架橋剤により加硫している加硫ゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー等のソフトセグメントとハードセグメントとからなる熱可塑性エラストマー又はナイロン等の熱可塑性エラストマーが望ましい。とりわけ、2種以上のポリマーを混合または化学結合させて得られたポリマーアロイが好適である。ポリマーアロイは、一方のポリマーが他方のポリマー中に適当に分散して、巨視的には均一相を呈している多成分系高分子である。微視的には均一な場合もあるが、一方のポリマー相が他方のポリマー相に分散して不均一な構造を形成する場合もある。このような状態になった高分子多成分系は成分ポリマーの単なる平均的性質に加えて、新たな物性が生じるので樹脂やゴム等の改質に広く利用されている。このようなポリマーアロイとしては、例えば三菱化学(株)から商品名「ラバロン」(例えば、「ラバロンSJ4400N」、「ラバロンSJ5400N」、「ラバロンSJ6400N」、「ラバロンSJ7400N」、「ラバロンSJ8400N」、「ラバロンSJ9400N」、「ラバロンSR04」等)で市販されているスチレン系熱可塑性エラストマーが好適である。
【0034】
また衝撃吸収体6の硬度は、特に限定されないが、大きすぎると、十分な衝撃吸収能力を発揮できない傾向があり、逆に小さすぎても耐久性が悪化する傾向がある。このような観点より前記衝撃吸収体5の硬度(JIS−A硬度)は、好ましくは40゜以上、より好ましくは50゜以上が望ましく、上限については90゜以下、より好ましくは80゜以下が望ましい。
【0035】
図7には、図1の基準状態からフェース部材2が取り外されたヘッド本体3の正面図が示されており、衝撃吸収体6の配設位置(凹部5の位置でもある。)は、前記垂線Nと交わらない位置であれば種々の位置に設けることができる。本実施形態では、衝撃吸収体6が、ヘッド本体3のトップ領域をのびるトップ側の吸収体6Aと、ソール領域をのびるソール側の吸収体6Bと、トウ領域をのびるトウ側の吸収体6Cと、ヒール領域をのびるヒール側の吸収体6Dの4つからなるものが例示される。フェース部材2の振動は、その全体で生じるため、このような4つの領域にそれぞれ衝撃吸収体6を配することが特に好ましい。ただし、これらの全てを具えなくても、少なくとも1つ、より好ましくは2つ、さらに好ましくは3つ以上含むことが望ましい。特にアイアン型ゴルフクラブヘッドでは、芝生上に直接置かれたゴルフボールを打球する機会が多いため、フェース面2Aにおける打点はフェース面の幾何学的な中心よりも低い位置になることが多い。従って、最小の個数で衝撃力を効果的に吸収する場合、ソール側の吸収体6Bを含ませることが特に望ましい。なお図8に示されるように、衝撃吸収体6(凹部5)は、開口部Oの周りで連続する環状にも構成できる。
【0036】
また前記各領域は、図2、図3に示されるように、ヘッド1の基準状態において、前記垂線Nとフェース背面2Bとの交点である裏スイートスポットBSを特定し、この裏スイートスポットBSを通りかつフェース面2Aと直交する垂直面VPがフェース背面2Bを横切る基準軸を前記垂線Nの周りに右回りに45゜及び135゜で回転させた線分L1、L2を定め、上部側の領域を前記トップ領域、トウ側の領域を前記トウ領域、下方側の領域を前記ソール領域、他を前記ヒール領域としてそれぞれ定める。
【0037】
また衝撃吸収体6の長手方向と直角な断面積(凹部5の断面積)は、2.5〜24.0mm2 に限定される。前記断面積が2.5mm2 未満の場合、衝撃吸収効果が十分に得られない傾向があり、逆に24.0mm2 を超える場合、トップ領域などに設けるのが困難になるばかりか、ヘッド本体3の強度を低下させる傾向があり好ましくない。特に好ましくは、衝撃吸収体6の前記断面積は、3.0mm2 以上、さらに好ましくは4.0mm2 以上が望ましく、上限については好ましくは24.0mm2 以下、さらに好ましくは20.0mm2 以下が望ましい。
【0038】
また図9に示されるように、衝撃吸収体6は、フェース部材2の接合前の状態において、凹部5の断面積よりも大きな断面積を持っており、前記支え面8から突出して配される。そして、フェース部材2をフェース取付部4に接合することにより、フェース背面2Bと凹部5とがなす密閉された空間に圧縮状態で保持される。このような状態の衝撃吸収体6は、実質的な気体を内包しないため、フェース背面2Bに強く密着し、衝撃吸収効果をより一層効率の良いものとする。このような観点より、衝撃吸収体6の圧縮率(衝撃吸収体6の体積を、自由状態における衝撃吸収体単体の体積で除した値の百分率)は、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上が望ましく、上限については50%以下、より好ましくは35%以下が望ましい。
【0039】
また衝撃吸収体6による衝撃吸収効果は、その体積ないしはフェース部材2との接触面積に一定の相関が見られる。即ち、衝撃吸収体6の全体積(複数個に分けて設けられている場合には、その合計体積)ないしは前記接触面積が小さすぎると、衝撃吸収効果が低下して打球感の改善が期待できない傾向があり、逆に大きすぎるとヘッドの耐久性を悪化させる傾向がある。このような観点より、衝撃吸収体6の全体積は、好ましくは250mm2 以上、より好ましくは400mm3 以上が望ましく、上限については2000mm3 以下、より好ましくは1600mm3 以下、さらに好ましくは1500mm3 以下が望ましい。同様に、衝撃吸収体6の前記接触面積は、好ましくは100mm2 以上、より好ましくは150mm2 以上、さらに好ましくは200mm2 以上が望ましく、上限については600mm2 以下、より好ましくは500mm2 以下、さらに好ましくは450mm2 以下が望ましい。
【0040】
図10には、本発明の他の実施形態が示されている。
この実施形態では、凹部5の一部が内向き面7に掘り下げられており、衝撃吸収体6が前記フェース部材2のフェース背面2Bと側端面2Cとに跨ってフェース部材2と接触する態様が例示される。この実施形態では、ミスショット時に生じがちなフェース面2Aに沿った方向の衝撃を吸収するのに効果がある。
【0041】
以上、本発明の実施形態について、アイアン型ゴルフクラブヘッドを例示したが、フェース部材とヘッド本体3とかからなるゴルフクラブヘッドであれば、アイアン型のみならず、ウッド型、パター型、ユーティリティー型など種々のタイプのヘッドに適用できる。
【実施例】
【0042】
表1に基づき、ロフト角24゜のアイアン型ゴルフクラブヘッドが試作された。各ヘッドは、いずれもSUS630をロストワックス精密鋳造法により成形された鋳造品からなるヘッド本体と、6Al−4V−Tiの板材を打ち抜き後、NC加工により仕上げられたフェース部材とを接着剤を併用して圧入しかつ図3のようにカシメることにより形成された。なおフェース部材の背面に設けられた凹溝は、幅4mmとしNC機械を用いてミーリング加工により形成した。また衝撃吸収体には、三菱化学(株)製の商品名「ラバロンSR04」をインジェクション成形して形成された弾性体(ポリマーアロイ)が用いられた。また夫々のヘッド本体は図11〜16に示される。さらに実施例9は、図17に示されるように、凹部の底に空所が設けられたものとした。
テスト方法は、次の通りである。
【0043】
<反発性能>
U.S.G.A.の Procedure for Measureing the Velocity Ratio of a Club Head for Conformance to Rule 4-1e, Revision 2 (February 8, 1999) に基づき、各供試ヘッドの反発係数を測定した。なお測定は、各ヘッドについてそれぞれ10回行われ、その平均値を計算した。評価は、衝撃吸収体の無いヘッド(比較例1)の反発係数を100とする指数で表示した。数値が大きいほど良好である。
【0044】
<打球感>
各供試ヘッドに、SRIスポーツ社製の繊維強化樹脂シャフトMP−200(フレックスR)を装着してクラブ長38インチのアイアン型ゴルフクラブを試作した。そして、ハンディキャップ10〜20の10名のアベレージゴルファが、天然芝上に置かれたゴルフボールを各供試クラブで5球づつ打撃し、打球時に手に伝わる衝撃力を各評価者のフィーリングにより5点法で評価した。評価は、衝撃吸収体が配置されていない供試クラブのフィーリングを1点として、衝撃力が小さく打球感が最高に良いものを5点とする相対評価であり、10名の平均値が示されている。テストの結果などを表1及び図11〜17に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
テストの結果、実施例のヘッドは、いずれも良好な耐久性能を発揮していることが確認できた。また反発係数についても比較例と遜色ない結果を示していることが確認できる。
【0047】
次に、実施例6の構造をベースとして、衝撃吸収体の材料を異ならせた他のヘッドを試作し、同様の試験を行った。テストの結果は表2に示される。
【0048】
【表2】
【0049】
テストの結果、反発性能としては、ラバロンを用いた実施例が最も良いことが分かった。また打球感についてはNBRが優れていることも分かった。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態を示す基準状態のアイアン型ゴルフクラブヘッドの正面図である。
【図2】その背面図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】ヘッドの分解斜視図である。
【図5】フェース部材を背面側から見た斜視図である。
【図6】(A)は図3のトップ側、(B)はソール側のそれぞれの部分拡大図である。
【図7】図1からフェース部材を外したヘッド本体の正面図である。
【図8】図1からフェース部材を外したヘッド本体の正面図である。
【図9】フェース部材と接合前のヘッド本体の部分拡大断面図である。
【図10】他の実施形態を示すヘッドの部分拡大断面図である。
【図11】比較例1のヘッド本体の正面図である。
【図12】比較例2のヘッド本体の正面図である。
【図13】比較例3のヘッド本体の正面図である。
【図14】実施例1のヘッド本体の正面図である。
【図15】実施例2のヘッド本体の正面図である。
【図16】実施例3他のヘッド本体の正面図である。
【図17】実施例9のヘッドの部分断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 アイアン型ゴルフクラブヘッド
2 フェース部材
2A フェース面
2B フェース背面
2C 側端面
3 ヘッド本体
4 フェース取付部
5 凹部
6 衝撃吸収体
7 内向き面
8 支え面
N 垂線
G ヘッド重心
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールを打撃するフェース面を有する金属材料からなるフェース部材と、前記フェース部材が接合されかつ金属材料からなるヘッド本体とを含むゴルフクラブヘッドであって、
前記フェース部材は、前記フェース面と反対側の面であるフェース背面と、このフェース背面と前記フェース面との間を継ぐ側端面とを含む板状体からなり、
前記ヘッド本体は、ヘッド重心からフェース面に下ろした垂線を囲むとともに打球時に前記フェース部材と接触することなく該フェース部材をヘッド後方に自由に撓ませる開口部を有し、かつこの開口部の周りに前記フェース部材が接合される環状のフェース取付部が設けられてなり、
しかも前記フェース取付部と前記フェース部材との間の少なくとも一部かつ前記垂線と交わらない位置に、弾性材料からなる衝撃吸収体が配されるとともに、
前記衝撃吸収体は、前記フェース取付部に沿ってのびる長尺状をなしかつその断面積が2.5〜24.0(mm2 )であることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記フェース取付部は、前記側端面を保持する内向き面と、前記フェース背面の周縁部と接触しこれを保持する支え面と、前記支え面から凹むとともに前記衝撃吸収体が配された凹部とを含むことを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記凹部は、全てが前記衝撃吸収体で満たされかつ前記フェース背面の周縁部で閉塞されることを特徴とする請求項2記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記衝撃吸収体は、前記内向き面と前記支え面との間に設けられることにより、前記フェース背面の前記周縁部の最外周部分と接触することを特徴とする請求項2又は3に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記衝撃吸収体は、ヘッド本体のトップ領域をのびるトップ側の吸収体、ソール領域をのびるソール側の吸収体、トウ領域をのびるトウ側の吸収体及びヒール領域をのびるヒール側の吸収体の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記衝撃吸収体は、前記垂線からの最短距離が7mm以上であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項1】
ボールを打撃するフェース面を有する金属材料からなるフェース部材と、前記フェース部材が接合されかつ金属材料からなるヘッド本体とを含むゴルフクラブヘッドであって、
前記フェース部材は、前記フェース面と反対側の面であるフェース背面と、このフェース背面と前記フェース面との間を継ぐ側端面とを含む板状体からなり、
前記ヘッド本体は、ヘッド重心からフェース面に下ろした垂線を囲むとともに打球時に前記フェース部材と接触することなく該フェース部材をヘッド後方に自由に撓ませる開口部を有し、かつこの開口部の周りに前記フェース部材が接合される環状のフェース取付部が設けられてなり、
しかも前記フェース取付部と前記フェース部材との間の少なくとも一部かつ前記垂線と交わらない位置に、弾性材料からなる衝撃吸収体が配されるとともに、
前記衝撃吸収体は、前記フェース取付部に沿ってのびる長尺状をなしかつその断面積が2.5〜24.0(mm2 )であることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記フェース取付部は、前記側端面を保持する内向き面と、前記フェース背面の周縁部と接触しこれを保持する支え面と、前記支え面から凹むとともに前記衝撃吸収体が配された凹部とを含むことを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記凹部は、全てが前記衝撃吸収体で満たされかつ前記フェース背面の周縁部で閉塞されることを特徴とする請求項2記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記衝撃吸収体は、前記内向き面と前記支え面との間に設けられることにより、前記フェース背面の前記周縁部の最外周部分と接触することを特徴とする請求項2又は3に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記衝撃吸収体は、ヘッド本体のトップ領域をのびるトップ側の吸収体、ソール領域をのびるソール側の吸収体、トウ領域をのびるトウ側の吸収体及びヒール領域をのびるヒール側の吸収体の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記衝撃吸収体は、前記垂線からの最短距離が7mm以上であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のゴルフクラブヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−554(P2006−554A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182830(P2004−182830)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(504017809)SRIスポーツ株式会社 (701)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(504017809)SRIスポーツ株式会社 (701)
【Fターム(参考)】
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