説明

ゴルフクラブ用シャフトとその製法

【課題】潰れにも強くて可級的に軽量なゴルフクラブ用シャフトとその製法を提供する。
【解決手段】繊維強化樹脂製のゴルフクラブ用シャフトであって、シャフトの元側端から所定長さL2の範囲に亘ってストレート又は緩いテーパの大径部10Aが形成されており、該大径部に隣接した先側には、該大径部よりも急なテーパ部10Bを設けており、シャフトの全長又は80%以上の長さに亘る本体層の他に、シャフトの元側端から前記急なテーパ部を含む長さ範囲内において、強化繊維が円周方向指向の補強層P7を設け、該補強層の外側に繊維強化樹脂の補助層P8が設けられているが、補強層の元側端から所定長さL1の範囲には設けられておらず、該補助層の外表面に研摩又は研削が施されており、前記補強層の強化繊維には研摩も研削も及んでいない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブ用の繊維強化樹脂製のシャフトとその製法に関する。例えば、全長が114cmで、重量が55g以下に軽量化されたシャフトとその製法に関する。
【背景技術】
【0002】
元側領域がグリップ用の大径部であり、ヘッドを装着させる先側が細径部であるゴルフクラブ用シャフトは全長に亘って捩れや撓みに対して所定の剛性が必要である。また、先端部のヘッドでボールを打撃するものであるため、強度も求められる。更に、最近ではシャフトの軽量化が求められるようになってきている。下記特許文献1にはそうした剛性、強度、軽量化を満たすシャフトを提供しようとしている。
【特許文献1】特許3652764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
然しながら、特許文献1のシャフトでは、強化繊維が円周方向指向の層(直交層)をシャフト全長に対する大きな割合の領域に亘って積極的に設けている。従って、シャフトの潰れ破壊に対する強度は向上するが、軽量化の点では必ずしも可級的に軽量化させているとはいえない。
依って解決しようとする課題は、潰れにも強くて可級的に軽量なゴルフクラブ用シャフトとその製法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の発明では、繊維強化樹脂製のゴルフクラブ用シャフトであって、シャフトの元側端から所定長さ範囲に亘ってストレート又は緩いテーパの大径部が形成されており、該大径部に隣接した先側には、該大径部よりも急なテーパ部を設けており、シャフトの全長又は80%以上の長さに亘る本体層の他に、シャフトの元側端から前記急なテーパ部を含む長さ範囲内において、強化繊維が円周方向指向の補強層を設け、該補強層の外側に繊維強化樹脂の補助層が設けられているが、補強層の元側端から所定長さ範囲には設けられておらず、該補助層の外表面に研摩又は研削が施されており、前記補強層の強化繊維には研摩も研削も及んでいないことを特徴とするゴルフクラブ用シャフトを提供する。
大径部よりも急なテーパ部とは、大径部がストレートの場合も含んでいる。
【0005】
第2の発明では、第1の発明の前記補強層と前記補助層は共に前記急なテーパ部に至っており、補助層は補強層の先側端よりも前方にまで至っており、該補助層の先側端はシャフト外表面として前記本体層に対して滑らかになるように研摩又は研削されているように構成する。
【0006】
第3の発明では、第1の発明又は第2の発明の前記補強層の円周方向強化繊維は炭素繊維であり、前記補助層の強化繊維はガラス繊維であり、該ガラス繊維は少なくとも2方向に交差するように配交されている。
【0007】
第4の発明では、繊維強化樹脂製のゴルフクラブ用シャフトの製造方法であって、シャフトの元側端から所定長さ範囲に亘ってストレート又は緩いテーパの大径部が形成されており、該大径部に隣接した先側には、該大径部よりも急なテーパ部を設けており、シャフトの全長又は80%以上の長さに亘る本体層の他に、シャフトの元側端から前記急なテーパ部を含む長さ範囲内において、強化繊維が円周方向指向の補強層を設け、該補強層の外側に繊維強化樹脂の補助層用のプリプレグを設け、補強層の元側端から所定長さ範囲には設けられておらず、加圧用に表面に緊締テープを巻回して加熱成形し、加熱成形され、緊締テープを除去したシャフト素材の表面凹凸を研摩又は研削により除去する除去作業の際に、前記補強層の元側端から所定長さ範囲は前記除去作業をしないか又は凹凸を残す表面荒らしに留め、残りの補強層の領域では、前記補助層用プリプレグの巻回厚さ範囲内で前記除去作業を行うことを特徴とするゴルフクラブ用シャフトの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
第1の発明では、シャフトとしての各剛性を維持しつつ軽量化を図ると、シャフトの元側端から所定長さ範囲であるグリップ用の大径部を特に薄肉化することになる。即ち、軽量化のために大径部を薄肉化しても、大径故に各剛性は確保できるが、潰れ強度が大きく低下する。その潰れに対する補強として、この大径部に強化繊維が円周方向指向の補強層を設ける。ここで、繊維強化樹脂製のシャフトを形成する場合、加圧用に緊締テープを巻回する手法のため、加圧加熱成形後のシャフト素材の表面には長手方向に沿った波打ち状の緊締テープ跡が形成されている。この緊締テープ跡をそのまま残置させてグリップ部材を接着接合させると、接合強度が低下する。そこで前記補強層の外側も研摩又は研削を行う必要が生じる。この作業によって、円周方向強化繊維を研摩や研削すれば潰れ補強効果が大きく低下する。このため、そうした研摩や研削を及ばなくさせる必要があり、補強層の外側に補助層を設け、研摩や研削はこの補助層の厚さ範囲内で行う。
【0009】
然しながら、本願は可級的に軽量化を図るものであるため、研摩、研削後の補助層の残留量を可級的に少なくしたい。そこで、補助層を補強層の元側端から所定長さ範囲には設けないでおき、この範囲の補強層の外側は、研摩や研削を行わないか、行っても緊締テープ跡の凹凸を全て除去するのではなく、表面荒らし程度の作業にし、円周方向強化繊維を損傷させないようにしてもよい。表面荒らし程度の作業でも、それを全く行っていない素材表面のままよりは接合強度が向上する。即ち、グリップ部領域全体の緊締テープ跡を除去しなくても、グリップ部材の接着接合強度保持が可能である。グリップ部材の接着接合強度を考慮して、上記補助層を設けていない前記所定長さ範囲が短い場合は研摩や研削を行わないで済ますこともでき、長い場合は表面荒らし程度の研摩や研削を行う。
こうして、研摩や研削の及んでいない補強層の存在によってシャフトの潰れが防止でき、補助層も残留量を少なくすべく、補助層を設けない補強層の範囲が存在するため、可級的に軽量化できる。
【0010】
第2の発明では、補強層の先側端ラインにおいて、補強層用のプリプレグ1枚分の厚さの段差が発生しているため、シャフトを撓ませた際にこの補強層先側端ラインにおいて応力集中が発生するが、補助層が補強層の外側に設けられていて補強層の先方にまで至っているので前記部位での応力集中は緩和防止される。また、シャフト成形後における研摩又は研削において、下側の補強層を研摩や研削することなく、補助層の先側端(ライン)付近を本体層に対して滑らかになるように(傾斜状に)研摩又は研削することができる。従って、研摩や研削で残った補助層の先側端においても応力集中は防止される。特に、大径部の先側に急テーパ部が設けられており、この部位は撓みが生じ始める部位であって補強層がこの急テーパ部に至っているため、応力集中が生じ易い部位であり、補助層の存在は効果的である。更には、本願のように可及的な軽量化を図る構造(薄肉化)の場合には、応力集中によってより損傷し易くなるので、応力集中防止構造は意義が大きい。
【0011】
第3の発明では、補助層の強化繊維がガラス繊維であるため、補強層の炭素繊維よりも研摩や切削が容易な特性のため、研摩や研削する前のプリプレグ巻回状態補助層を研摩や研削作業をして限界近くまで薄くする場合に、それだけ、補強層の炭素繊維を損傷させ難い。
【0012】
第4の発明では、円周方向指向の強化繊維を損傷させないで凹凸の除去作業ができ、補助層用のプリプレグ層を十分に除去してもよいため、潰れに対する補強層の重量を最小にできる他、補助層の重量も最小にでき、シャフトの軽量化に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明に係るゴルフクラブ用シャフトを使用したゴルフクラブの正面図であり、図2はそのシャフトを製造する過程の説明図である。シャフト10の先端部にはゴルフクラブヘッド20が接着接合されており、元側所定領域にはグリップ部材Gが接着接合されている。シャフトは、エポキシ樹脂等の合成樹脂をマトリックスとし、炭素繊維やガラス繊維で強化した繊維強化樹脂製の管状体であり、芯金30にプリプレグを巻回し、最外層に緊締用のテープを巻回して加圧し、その状態で加熱炉において加熱成形し、緊締用テープを除去する。
加熱成形後にシャフト素材の前後端部をカット除去する除去分は、以下の説明では無いものとして長さ寸法等を説明しているが、現実の製造では、そうしたカット除去分を見込んだ長さのプリプレグで製造することがある。
【0014】
芯金30は、その元側のストレートか緩いテーパ率(直径差を離隔距離で除した値)3/1000以下のテーパ状の芯金大径部30Aと、これに隣接した急テーパ率、例えば、4/1000〜10/1000の急テーパ部30Bと、これに隣接した緩いテーパ率、例えば、2/1000〜3/1000の中間部30Cと、これに隣接した略ストレート部30Dとを有している。順序は上記の順で、夫々の部位の長さは350mm,80mm,520mm,290mmであり、図2の各直径D1,D2,D3,D4,D5は、13.25mm,12.30mm,11.65mm,7.40mm,4.90mmである。
【0015】
以下では合成樹脂は全てエポキシ樹脂であるが、他の合成樹脂を使用してもよい。
シャフトの全長に亘る本体層内の最内層として、強化繊維に弾性率40ton/mm(390000N/mm)の炭素繊維を使用したプリプレグP1を巻回する。繊維方向は±45度付近(30度〜60度)であり、プリプレグ厚さは0.09〜0.10mm、樹脂含浸率は20〜28重量%、巻回数は、例えば、1.5〜3.5回である。この層の外側に、本体層の中間層として、弾性率30ton/mm(294000N/mm)の炭素繊維を使用したプリプレグP2を巻回する。繊維方向は軸長方向であり、裏打ちも無い引き揃え繊維のプリプレグである。プリプレグ厚さは0.06〜0.12mm、樹脂含浸率は20〜28重量%、巻回数は、例えば、1.5〜3.5回である。強化繊維の弾性率は、プリプレグP1より外側層であるプリプレグP2を小さくすると共に、強度に関しては、プリプレグP2の強化繊維はプリプレグP1のものよりも高強度である。
【0016】
上記プリプレグP2の層の外側であって、ゴルフクラブヘッド20を装着させる先端部領域には、弾性率24t/mm(235200N/mm)の炭素繊維を軸長方向に引き揃えたプリプレグP3を巻回する。樹脂含浸率は30〜35重量%、巻回数は2〜4回である。このプリプレグP3の外側に、更に弾性率24ton/mm(235200N/mm)の炭素繊維を軸長方向に引き揃えたプリプレグP4を巻回する。樹脂含浸率は30〜40重量%、巻回数は1〜3回である。
【0017】
このプリプレグP4の層の外側に、本体層の最外側層として、弾性率30t/mm(294000N/mm)の炭素繊維を使用したプリプレグP5を巻回する。繊維方向は軸長方向であり、裏打ちも無い引き揃え繊維のプリプレグである。プリプレグ厚さは0.06〜0.12mm、樹脂含浸率は20〜28重量%、巻回数は、例えば、1〜3回である。以上により、シャフトの全長又はその80%以上に亘る本体層としては円周方向指向強化繊維の層は無い。
【0018】
上記プリプレグP5の外側であって、ゴルフクラブヘッド20を装着させる先端部領域に、ガラス繊維を交差状に織ったスクリムクロスのプリプレグP6を巻回する。プリプレグの厚さは0.02〜0.05mmであり、樹脂含浸率は26〜50重量%、ゴルフクラブヘッドのホーゼル孔の孔径との関係で、外径調節等のために巻回数は適宜数である。
【0019】
一方、プリプレグP5の層の外側であって、プリプレグP5の元側端から所定長さのプリプレグP7を巻回する。この例では、プリプレグP7は、その元側端の位置から先側の芯金大径部30A領域を覆い、急テーパ部30Bの領域にまで至っている。プリプレグP7の元側端ラインは芯金長手方向に対して直交しており、先側端ラインは傾斜状であって、プリプレグ形状は略台形状といえる。強化繊維は弾性率が24t/mm(235200N/mm)以上の炭素繊維を使用し、繊維方向は円周方向であり、裏打ちも無い引き揃え繊維である。プリプレグ厚さは0.03mm〜0.08mmであり、樹脂含浸率は30重量%以上、好ましくは35〜55重量%であり、巻回数は1〜2回である。このプリプレグP7の巻回層が特許請求の範囲に言う補強層である。この補強層は、本体層のプリプレグP5よりも肉厚の薄いプリプレグを使用し、巻回端部の応力集中を防止している。
【0020】
この例でのプリプレグP7の長さL0は290mmである。プリプレグP7の長さ(巻回領域)は、少なくともプレーヤーのグリップエンド側の手(右利きの場合は左手)が位置する領域をカバーすべく150mm以上である。グリップエンド側の手は他方の手よりもグリップ部を強く把持するので潰れ易いからである。従って、長さL0は150mm〜330mmがよい。
【0021】
このプリプレグP7の元側端から距離L1だけ先側に離隔した位置に元側端を位置させて、プリプレグP8を巻回させる。このプリプレグP8の巻回層の研摩、研削後の残りが特許請求の範囲に言う補助層である。プリプレグP8は、そのプリプレグP8の元側端の芯金大径部30A領域から急テーパ部30Bの領域にまで至っている。プリプレグP8の元側端ラインは芯金長手方向に対して直交しており、先側端ラインは傾斜状であって、プリプレグ形状は略台形状といえる。強化繊維はガラス繊維であり、繊維を交差状に織ったスクリムクロスである。プリプレグ厚さは0.02〜0.05mmであり、上記プリプレグP7の厚さよりも薄い。樹脂含浸率は25〜60重量%、好ましくは30〜50重量%であり、巻回数は1〜3回、或いは3回以上でもよく、巻回するプリプレグの厚さと研摩(研削)量等の条件で設定する。ガラス繊維故、前記プリプレグP7に使用の炭素繊維よりも低弾性であるが、プリプレグP8の強化繊維として炭素繊維を使用する場合も、プリプレグP7の強化繊維よりも低弾性のものを使用する。
【0022】
プリプレグP8の先側端ラインは芯金の急テーパ部30Bの領域に至っていると共に、このプリプレグP8の長さ範囲においてはプリプレグP7の層を完全に覆っている。
前記長さL1は、この例では70mmであり、一般に50mm〜100mmとする。
その他、軽量化目的を損なわない範囲で、シャフトのキックポイント位置近く等の適宜な位置に部分的な長さ範囲のプリプレグを設けて、シャフトの剛性調節を行うこと等も許容できる。こうしてプリプレグを巻回した後、外周に緊締テープを巻回して加圧しつつ、加熱炉で加熱成形し、緊締テープを除去するとシャフトの素材が成形できる。その表面には緊締テープの跡として、長手方向に波状となった凹凸が形成されている。そこで、この凹凸を除去すべく、前記補助層を含む補助層以降のシャフト素材の先側領域を研摩や研削作業する。
【0023】
既述の通り、長さL1の領域は研摩や研削作業を行わないか、或いは、その凹凸の表面を荒らす研摩や研削作業を行い、凹凸跡を残す。補助層の研摩や研削では、補助層の強化繊維がガラス繊維であるため、少なくとも弾性率のより大きな、補強層の使用している炭素繊維よりも研摩や研削がされ易く、センタレス研摩や研削では、シャフト素材が真円でなくても、研摩等の対象としていない補助層内側の補強層の炭素繊維を不用意に研摩等することが防止できる。
【0024】
こうして形成された塗装前のシャフト10’が図2の最下に図示されている。この例では、全長L4は114cm、芯金大径部30Aに対応する握り大径部10Aの長さL2は例えば250mm、芯金急テーパ部30Bに対応する急テーパ部10Bの長さL3は芯金急テーパ部30Bの長さと同じ80mmである。握り大径部10Aの元側端の肉厚はこの例では0.75mmであるが、0.5〜1.0mmである。大径部10Aと急テーパ部10Bとの境界の肉厚は、この例では0.75mmであるが、0.5〜1.0mmである。、急テーパ部10Bの左端(図のL3の左端)の肉厚は、この例では0.70mmであるが、0.45〜0.95mmである。シャフト先端の肉厚は、この例では1.70mmであるが、1.30〜2.10mmである。特に、大径部10Aが薄肉化されているが、強化繊維が円周方向指向のプリプレグP7による補強層の存在で潰れに対しても強い。この補強層の長さ領域にはプリプレグP7以外には円周方向指向の強化繊維が存在していない。これに塗装を施しても重量は55g以下である。これにグリップ部材Gが接着接合される。
【0025】
また、プリプレグP7の巻回された補強層の先側端傾斜ラインに沿って、プリプレグ厚さの段差が存在し、これによるシャフトの応力集中が起こり得るが、補助層用プリプレグP8がこの補強層の先側端傾斜ラインを覆って補助層を形成し、加熱成形後のシャフト素材表面を滑らかに研摩(研削)するため、補助層自身の先側傾斜ラインのプリプレグ厚さによる段差部もテーパ状に研摩されるため、応力集中を防止できる。
【0026】
こうして形成されたシャフトを使用したゴルフクラブでは、シャフトが軽量故に、その軽量化分をヘッド20に付加することも可能であり、その分重量バランスを適宜調整したゴルフクラブの提供が可能となり、また、握り用の大径部の潰れ強度も十分なため、従来通り自在な握りが可能であって、自在なスイングが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、ゴルフクラブ用の繊維強化樹脂製シャフトに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は本発明に係るゴルフクラブ用シャフトを使用したゴルフクラブの正面図である。
【図2】図2は図1のシャフトを製造する過程の説明図である。
【符号の説明】
【0029】
10 ゴルフクラブ用シャフト
10’ シャフト素材
P7 補強層用プリプレグ
P8 補助層用プリプレグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維強化樹脂製のゴルフクラブ用シャフトであって、
シャフトの元側端から所定長さ範囲に亘ってストレート又は緩いテーパの大径部が形成されており、該大径部に隣接した先側には、該大径部よりも急なテーパ部を設けており、
シャフトの全長又は80%以上の長さに亘る本体層の他に、シャフトの元側端から前記急なテーパ部を含む長さ範囲内において、強化繊維が円周方向指向の補強層を設け、
該補強層の外側に繊維強化樹脂の補助層が設けられているが、補強層の元側端から所定長さ範囲には設けられておらず、該補助層の外表面に研摩又は研削が施されており、
前記補強層の強化繊維には研摩も研削も及んでいない
ことを特徴とするゴルフクラブ用シャフト。
【請求項2】
前記補強層と前記補助層は共に前記急なテーパ部に至っており、補助層は補強層の先側端よりも前方にまで至っており、該補助層の先側端はシャフト外表面として前記本体層に対して滑らかになるように研摩又は研削されている請求項1記載のゴルフクラブ用シャフト。
【請求項3】
前記補強層の円周方向強化繊維は炭素繊維であり、前記補助層の強化繊維はガラス繊維であり、該ガラス繊維は少なくとも2方向に交差するように配交されている請求項1又は2記載のゴルフクラブ用シャフト。
【請求項4】
繊維強化樹脂製のゴルフクラブ用シャフトの製造方法であって、
シャフトの元側端から所定長さ範囲に亘ってストレート又は緩いテーパの大径部が形成されており、該大径部に隣接した先側には、該大径部よりも急なテーパ部を設けており、
シャフトの全長又は80%以上の長さに亘る本体層の他に、シャフトの元側端から前記急なテーパ部を含む長さ範囲内において、強化繊維が円周方向指向の補強層を設け、
該補強層の外側に繊維強化樹脂の補助層用のプリプレグを設け、補強層の元側端から所定長さ範囲には設けられておらず、
加圧用に表面に緊締テープを巻回して加熱成形し、
加熱成形され、緊締テープを除去したシャフト素材の表面凹凸を研摩又は研削により除去する除去作業の際に、前記補強層の元側端から所定長さ範囲は前記除去作業をしないか又は凹凸を残す表面荒らしに留め、残りの補強層の領域では、前記補助層用プリプレグの巻回厚さ範囲内で前記除去作業を行う
ことを特徴とするゴルフクラブ用シャフトの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−153836(P2009−153836A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337178(P2007−337178)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000002495)ダイワ精工株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】