説明

ゴルフクラブ

【課題】シャフトのしなり易い部分を変更することができ、しかもヘッドに対するシャフトケースの着脱が容易であるゴルフクラブと、このゴルフクラブのシャフト交換方法とを提供することを目的とする。
【解決手段】ゴルフクラブは、ヘッド1のホゼル穴3にシャフト4を、シャフトケース5、延長部材10、アタッチメント11及び螺子部材6を介して取り付けたものである。シャフト4に螺子部材6を嵌め通し、該シャフト4の先端にシャフトケース5を接着剤を用いて固着しておく。シャフトケース5を、延長部材10を通してホゼル穴3に差し込み、斜面5c,5cと斜面3d,3dとを重ね合わせ螺子部材6の雄螺子6bを延長部材10の雌螺子10aに螺じ込むことによりホゼル部の長いゴルフクラブとなる。延長部材10及びアタッチメント11を省略するとホゼル部の短いゴルフクラブとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブに係り、特にシャフト交換を容易に行うことができると共に、シャフト先端部のしなり易さを変えることにより、スイング中のヘッドの挙動を変えることができるゴルフクラブに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブは、シャフトの先端部にヘッドが取り付けられたものである。シャフトの基端側にグリップが装着されている。
【0003】
従来の一般的なゴルフクラブヘッドにあっては、ヘッドに直にホゼル穴が設けられており、シャフトは該ホゼル穴に挿入され、接着剤によって固着されている。なお、この接着剤は、一般にエポキシ系接着剤が用いられている。シャフト交換に際しては、ホゼル部分を加熱してエポキシ樹脂硬化物よりなる組織を壊すことにより、シャフトを引き抜くことができる。
【0004】
特開2009−254449には、シャフトの先端にヘッドが取り付けられたゴルフクラブにおいて、該シャフトの先端に略円筒形のシャフトケースが固着され、前記ヘッドのホゼルの上端側から該ホゼル内に該シャフトケースが挿入され、該ホゼルの該上端側に着脱可能に螺着された環状の螺子部材によって該シャフトケースが該ホゼルに固定されているゴルフクラブが記載されている。
【0005】
このゴルフクラブによると、螺子部材を緩めて外すと、シャフトケースをホゼル穴から抜き出すことができる。予めシャフトにシャフトケースを取り付けた新たなシャフトケース・シャフト連結体をこのホゼル穴に差し込み、螺子部材を螺着することにより、シャフト交換を容易に行うことができる。
【0006】
実用新案登録3124867号公報には、ヘッド本体に軽質ホーゼルを連結することによりヘッドの全体の重心を相対的に低くすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−254449号公報
【特許文献2】実用新案登録3124867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1,2には、シャフトを交換することなく、シャフト先端部のしなり易さを変えることにより、スイング中のヘッドの挙動を変えることは記載されていない。
【0009】
本発明は、上記のようにシャフトケースをホゼルに対して着脱可能としたゴルフクラブにおいて、シャフトを交換するまでもなく、シャフト先端部のしなり易さを変えることにより、スイング中のヘッドの挙動を変えることができるようにしたゴルフクラブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1のゴルフクラブは、シャフトの先端にヘッドが取り付けられたゴルフクラブであって、該シャフトの先端に略円筒形のシャフトケースが固着され、前記ヘッドのホゼル穴の上端側から該ホゼル内に該シャフトケースが挿入され、シャフトは外嵌した環状の螺子部材によって該シャフトケースが固定されるゴルフクラブにおいて、該ホゼル穴の上端側に下端側が螺着されると共に、前記螺子部材が螺着された延長部材と、前記シャフトに外嵌し、該シャフトケースの上端面と該螺子部材の下端面との間に介在した1対の半割円筒形のアタッチメントとを備えており、該螺子部材が該アタッチメントを介してシャフトを押えることにより該シャフトケースが該ホゼル穴に固定されているゴルフクラブであって、該延長部材及びアタッチメントを取り外し、該螺子部材をホゼル穴の上端側に螺着することによっても該シャフトケースがホゼル穴に固定可能であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2のゴルフクラブは、請求項1において、前記ホゼル穴の該上端側の内周面に雌螺子が刻設されており、前記延長部材の下端側の外周面に雄螺子が設けられ、上端側の内周面に雌螺子が設けられており、前記螺子部材の外周面に雄螺子が設けられており、該螺子部材の雄螺子を延長部材の該雌螺子に螺着させ、延長部材の該雄螺子をホゼル穴の該雌螺子に螺合させることにより該螺子部材が該延長部材に螺着され、該延長部材が該ホゼルに螺着されており、該螺子部材の下端面が前記アタッチメントの上端面に当接し、該アタッチメントの下端面が前記シャフトケースの上端面に当接することにより該シャフトケースが固定されているゴルフクラブであって、該延長部材及びアタッチメントを省略し、該螺子部材をホゼル穴の上端側に螺着させ、該螺子部材の下端面を前記シャフトケースの上端面に当接させることによっても該シャフトケースがホゼル穴に固定可能であることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3のゴルフクラブは、請求項2において、前記シャフトケースは、下端側が封じられ、上端側が開放した筒状体よりなり、該シャフトケースに前記シャフトが挿入され、接着剤によって固着されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4のゴルフクラブは、請求項3において、該シャフトケースの少なくとも下端側が非円形断面形状部となっており、前記ホゼルの少なくとも下端側に、該シャフトケースの先端側が係合した非円形断面形状部が設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項5のゴルフクラブは、請求項4において、前記シャフトケースの非円形断面形状部は、シャフトケースの中心軸に対して斜交する斜面よりなり、前記ホゼルの非円形断面形状部は、該ホゼルの中心軸に対して斜交する斜面よりなることを特徴とするものである。
【0015】
請求項6のゴルフクラブは、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記シャフトケースの下端側とホゼル穴の内面との間に弾性体が介在していることを特徴とするものである。
【0016】
請求項7のゴルフクラブは、請求項1ないし6のいずれか1項において、前記螺子部材と延長部材との間に弾性体が介在していることを特徴とするものである。
【0017】
請求項8のゴルフクラブは、請求項1ないし7のいずれか1項において、前記ヘッドに重量調整用のウェイト材が着脱可能に設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、シャフトケースが延長部材を通ってホゼル穴内に挿入され、アタッチメントを介して螺子部材によって該シャフトケースを固定しているので、螺子部材を緩めて外すと、シャフトケースをホゼル穴から抜き出すことができる。予めシャフトにシャフトケースを取り付けた新たなシャフトケース・シャフト連結体をこのホゼル穴に差し込み、螺子部材を螺着することにより、シャフト交換を行うことができる。
【0019】
本発明のゴルフクラブにおいて、ホゼル部に延長部材を設けることにより、ホゼル部の長さが長くなり、シャフト先端部のしなりが抑制されることになる。これにより、一般的には、ボールの打ち出し角が低くなるが、ボールの方向や飛距離は安定し易くなる。
【0020】
本発明のゴルフクラブにあっては、延長部材及びアタッチメントを省略し、螺子部材を直接にホゼル穴に螺着することによってもシャフトケースを固定することができる。このように延長部材及びアタッチメントを省略したり、短い延長部材及びアタッチメントに交換した場合、ボールの打ち出し角は高くなる。従って、延長部材を交換又は取り外すことにより、好みの打球(球筋)を得ることができる。
【0021】
なお、延長部材及びアタッチメントの装着及び取り外しにより、ヘッドの重量調節が可能である。延長部材及びアタッチメントの材質(比重)の変更によっても、この重量調節が可能である。
【0022】
本発明によれば、加熱によって接着剤の組織を壊してシャフトを取り外し、新たなシャフトを再度接着剤で取り付けるという面倒な手間及び時間を省くことができる。そのため、試打したばかりのゴルフクラブのヘッドからシャフトを取り外し、このヘッドに異なる特性の別シャフトを取り付けて直ちに試打を行うことができるので、ゴルフショップ等でゴルファーが適切なゴルフクラブを見出すことが極めて容易となる。
【0023】
請求項3のゴルフクラブにあっては、シャフトをシャフトケースの奥まで差し込んで強固に接着することができる。
【0024】
請求項4のゴルフクラブによると、シャフトケースの周方向の位置決めが行われる。また、ヘッドとシャフトケースとの間での回転が防止される。なお、このようにシャフトケース及びホゼルに非円形断面形状部を設けておくと、グリップに凸条部がある場合、この凸条部をアドレス状態で地面を向く面に正確に位置させることができる。
【0025】
請求項5のゴルフクラブによると、シャフトケースをホゼル内に差し込み易い。
【0026】
請求項6のゴルフクラブによると、シャフトケースとホゼル内面との間の衝撃や振動が吸収される。
【0027】
請求項7のゴルフクラブによると、螺子部材とシャフトとの間のがたつきが防止される。
【0028】
請求項8のゴルフクラブによると、延長部材及びアタッチメントの装着によるヘッドの重量増加分を、ウェイト材の軽量化によって相殺ないし低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施の形態に係るヘッドの正面図である。
【図2】ヘッドのヒール側の側面図である。
【図3】第2図のIII−III線断面図である。
【図4】シャフトの取付、交換方法を示す斜視図である。
【図5】シャフトの取付、交換方法を示す斜視図である。
【図6】シャフトの取付、交換方法を示す斜視図である。
【図7】ホゼル、シャフトケース及び螺子部材の斜視図である。
【図8】ホゼル、シャフトケース及び螺子部材の断面図である。
【図9】ホゼルの断面斜視図である。
【図10】ヘッドの底面図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図である。
【図12】図10のXII−XII線断面図である。
【図13】別の実施の形態に係るヘッドの底面図である。
【図14】別の実施の形態を示す斜視図である。
【図15】別の実施の形態を示す斜視図である。
【図16】別の実施の形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は実施の形態に係るゴルフクラブヘッド正面図、第2図はゴルフクラブヘッドのヒール側の側面図である。第3図は第2図のIII−III線断面図、第4図、第5図及び第6図はシャフトの取付、交換方法を示す斜視図、第7図はホゼル、シャフトケース及び螺子部材の斜視図、第8図はホゼル、シャフトケース及び螺子部材の断面図、第9図はホゼルの断面斜視図である。なお、第1図〜第8図の(a)図は螺子部材をホゼル穴に直に螺着した構成を示し、(b)率はホゼル穴に延長部材を螺着し、該延長部材に螺子部材を螺着した構成を示している。
【0031】
このゴルフクラブは、ヘッド1のホゼル穴3にシャフト4を、シャフトケース5、延長部材10、アタッチメント11及び螺子部材6を介して取り付けたものである。
【0032】
このヘッド1は、ヘッド本体2と、このヘッド本体2に取り付けられたホゼル穴3とを有する。このヘッド1は中空のウッド型のものであり、フェース部2aと、クラウン部2bと、ソール部2cと、トウ部2dと、ヒール部2eと、バック部2fとを有する。第10図〜第12図の通り、ソール部2cに設けられた係留部(雌ネジ部)18に対し底面側からウェイト材17が着脱可能に螺着されている。また、この実施の形態では、ソール部2cの内面にリブ20が設けられている。リブは第10図のようにトウ・ヒール方向に延在してもよく、第13図(a)のヘッド1Aのように前後方向に延在してもよく、第13図(b),(c)のヘッド1B,1Cのように2方向に十字状又はX字状に延在してもよい。
【0033】
第3図の通り、クラウン部2bのフェース部2a側かつヒール部2e側に円筒状のホゼル設置部2gが設けられている。このホゼル設置部2gは、上端が開放し、下端が閉じた円筒形であり、シャフト4と同軸状に延在している。このホゼル設置部2g内にホゼル穴3が上方から挿入され、溶接、ろう付け、接着、焼き嵌め、冷し嵌めなどの適宜の固着手段によって固着されている。なお、ホゼル穴3はヘッド本体2と一体に鋳造等によって形成されてもよい。
【0034】
第7〜9図に示す通り、ホゼル穴3は、上端から下端に向けて軸心線方向に穴が穿説された略円筒形である。
【0035】
ホゼル穴3の入口側すなわちホゼル穴3の上端側の内周面には雌螺子3aが設けられている。雌螺子3aに引き続いて、縮径方向に段差面3bが設けられ、この段差面3bよりも奥側が円筒部3cとなっている。この円筒部3cよりも奥側に、ホゼル穴3の軸心と斜交する1対の斜面3d,3dが設けられている。斜面3d,3dは、ホゼル穴3の軸心を挟んで対称に配置されている。斜面3d,3d間の距離すなわちホゼル軸心線と直交方向の間隔は、ホゼル下端側ほど小さくなっている。斜面3d,3d同士の交差角度θ(第8図)は10〜30°特に15〜20°程度が好適である。
【0036】
第8,9図の通り、シャフトケース5は、ホゼル穴3の円筒部3cよりも極くわずかに小径の円筒形部材であり、上端側から下端側に向って、シャフト4の挿入用の穴5aが設けられている。この穴5aの円筒部分の長さは10mm以上、例えば10〜50mm特に20〜40mm程度が好ましい。穴5aの奥底面からシャフトケース5の下端面に空気抜き用の小孔5bが穿設されている。なお、シャフトケースの穴5aの円筒部分は斜面3dを形成する位置まで(より深く)及んでいるのが好ましい。斜面で打撃時に衝撃を受けているので、一般の接着剤でヘッドとシャフトを固定しているクラブと打感が近くなる。
【0037】
シャフトケース5の下端側の外面には1対の斜面5c,5cが設けられている。斜面5c,5cは、シャフトケース5の軸心線を挟んで対称に設けられている。斜面5c,5c間の距離すなわちシャフトケース5の軸心線と直交方向の間隔は、シャフトケース下端側ほど小さくなっている。斜面5c,5c同士の交差角度は、ホゼル穴3の斜面3d,3dの交差角度θと同一である。シャフトケース5の斜面5cの大きさは、ホゼル穴3の斜面3dと同一とされてもよく、弾性体を介在させる場合にはわずかに小さなものとされてもよい。
【0038】
なお、図示は省略するが、シャフトケース5の上端側の内周縁に角度20〜45°程度の面取りを形成してシャフト4を差し込み易くしてもよい。また、シャフトケース5の上端側の外径を大きくし、該上端側をフランジ状としてもよい。このようにすれば、後述の通り、螺子部材6の下端面でシャフトケースの上端面を押すときの押圧面積が大きくなる。
【0039】
延長部材10は、略円環形であり、その上半部に比べて下半部が小径とされ、この下半部の外周面に上記の雌螺子3aに螺着する雄螺子10bが刻設されている。延長部材10の上部の内周面に雌螺子10aが刻設されている。延長部材10の孔10cの内径は、ホゼル穴3の円筒部3cの内径と同一である。延長部材10の上半部の外周面に、工具係合用の凹部や平面部を設けてもよい。
【0040】
アタッチメント11,11は、半割円筒形であり、1対のアタッチメント11,11を組み合わせると円筒形となる。この円筒の内径はシャフトケース5の穴5aの内径とほぼ等しい。また、この円筒の外径は、シャフトケース5の外径と等しい。アタッチメント11,11の円筒軸心線方向の長さは、延長部材10の上半部の軸心線方向の長さに等しい。この軸心線方向の長さは5〜40mm特に12〜26mm程度(0.5〜1インチ程度)が好ましい。なお、この軸心線方向の長さが異なる延長部材とアタッチメントのセットを複数セット用意しておいてもよい。
【0041】
螺子部材6は、略円環形であり、その上半部6aに比べて下半部が小径とされ、下半部の外周面に雄螺子6bが刻設されている。上半部6aの上端側はテーパ状(切頭円錐形)となっている。螺子部材6の下半部は、雄螺子6bが延長部材10及びホゼル穴3の雌螺子10a,3aに螺合する直径のものとなっている。螺子部材6は、軸心線方向に貫通する、シャフト挿通用の孔6cを有する。螺子部材6の上半部6aの外周面に工具を係合させるための凹部や平面部を設けてもよい。
【0042】
なお、この孔6cの直径はシャフト4の直径よりも若干大きいものとなっている。孔6cの内周面にゴム、エラストマー等よりなるOリング6rを装着し、Oリング6rの円周をシャフト4に当接させ、シャフト4と孔6cの内周面との間の摺動性を向上させたり、シャフト4のガタツキを防止するようにしている。また、螺子部材6と延長部材10又はホゼル穴3との間、及び螺子部材6とアタッチメント11,11又はシャフトケース5の端面との間にゴム又はエラストマー等の弾性体よりなる薄いスペーサ6f,6gを介在させている。
【0043】
ゴルフクラブを組み立てるには、第4図(a)又は(b)のように、シャフト4の先端側から螺子部材6を嵌め通し、該シャフト4の先端にシャフトケース5を接着剤を用いて固着しておく。好ましくは、この接着剤をシャフト4の先端部の外周面に塗着し、シャフトケース5の穴5aの最奥部まで該シャフト4を差し込む。
【0044】
シャフトケース5に小孔5bが設けられているので、シャフト4をシャフトケース5の穴5aに差し込んだときに空気が該小孔5bを通って流出する。接着剤としてはエポキシ系接着剤などが好適である。
【0045】
ホゼルを長くしたゴルフクラブを組み立てる場合には、第4図(b)のようにホゼル穴3の雌螺子3aに延長部材10の雄螺子10bをねじ込んでおく。そして、上記のように螺子部材6が嵌挿されると共にシャフトケース5が固着されたシャフトケース・シャフト連結体のシャフト4に対し、該シャフトケース5の上側においてアタッチメント11,11を装着する。そして、このシャフトケース5を、延長部材10からホゼル穴3に差し込む。なお、この実施の形態では、シャフトケース5の斜面5c,5c及びシャフトケース先端面に、薄い(例えば厚さ0.5〜5mm程度)のゴム、エラストマー等の薄片状の弾性体7を塗着、貼り付けなどにより設けておく。弾性体7は、予めシャフトケース5に設けておいてもよく、シャフトケース・シャフト連結体を構成してからシャフトケース5に設けてもよい。
【0046】
第5図(b)の通り、シャフトケース5をホゼル穴3内に挿入し、斜面5c,5cと斜面3d,3dとを重ね合わせる。次いで、第6図(b)の通り、螺子部材6の雄螺子6bを延長部材10の雌螺子10aに螺じ込む。
【0047】
これにより、第3図(b)の通り、螺子部材6の下端面がアタッチメント11の上端面に当接し、アタッチメント11の下端面がシャフトケース5の上端面に当接し、シャフトケース5の斜面5cが弾性体7を介してホゼル穴3の斜面3dに押し付けられ、シャフトケース5がホゼル穴3に固定される。シャフトケース5とシャフト4とは接着剤によって強固に接着されているので、これにより、シャフト4とヘッド1とが一体となった、ホゼルの長いゴルフクラブが完成する。このゴルフクラブにあっては、延長部材10付きのホゼル穴3にシャフト4付のシャフトケース5を差し込んで螺子部材6で固定しているので、ホゼルが長い。そのため、シャフト4の先端部のしなりが抑制されるようになり、打球方向のバラツキが抑えられる。また、ヘッドスピードの速いゴルファーにおいては、ボールのバックスピンを抑える事ができ、吹き上がりを抑えることができ、理想的な弾道に近い球筋が得られるようになる。
【0048】
ホゼル部が短いゴルフクラブを組み立てるときには、第4図(a)の通り、ホゼル穴3の雌螺子10aから延長部材10を取り外すと共に、シャフト4からアタッチメント11,11を取り外しておく。この状態で、第5図(a)のようにシャフトケース5をホゼル穴3に差し込み、斜面5c,5cと、斜面3d,3dとを重ね合わせた後、第6図(a)の通り、螺子部材6の雄螺子6bをホゼル穴3の雌螺子3aにねじ込む。これにより、第7図(a)及び第8図(a)の通り、螺子部材6の下端面がシャフト5の上端面に直に当接し、シャフトケース5がホゼル穴3に固定され、ホゼル部の短いゴルフクラブが完成する。第6図(a)のように、このホゼル部の短いゴルフクラブは、シャフト4の先端部のしなりが大きくなり、ヘッドスピードが向上し、またボールの打ち出し角が増加し、飛距離の増大を期待できるようになる。
【0049】
このようにして、シャフト先端部のしなり易さを変えることにより、スイング中のヘッドの挙動を変えることができ、それぞれのゴルファーにとって、好ましい球筋等を調整することができる。なお、延長部材10及びアタッチメント11,11を装着したり省略したりすることにより、ヘッドの重量調節も可能である。
【0050】
延長部材10やアタッチメント11,11として比重の異なるものを用いることにより、ヘッドの重量調節をきめ細かく行うこともできる。
【0051】
ゴルフクラブのシャフト交換を行うには、交換すべき新シャフトに、予め上記シャフトケース5と同型のシャフトケースを接着剤によって固着しておく。なお、螺子部材6もこのシャフトに装着しておく。
【0052】
既存のゴルフクラブの螺子部材6を外し、旧シャフト4を旧シャフトケース5及び螺子部材6共々ヘッド1から取り外す。次いで、シャフトケース及び螺子部材付きの新シャフト(シャフトケース・シャフト連結体)をヘッド1に差し込み、螺子部材6によって固定する。ホゼル部を短くするときには、第1図〜第8図の各(a)図のように延長部材10及びアタッチメント11を省略し、ホゼル部を長くするときには、第1図〜第8図の各(b)図のように延長部材10及びアタッチメント11を装着する。
【0053】
このようにシャフトの取り付けや交換を極めて簡単かつ迅速に行うことができる。なお、従来では、シャフトの交換に際し既存のゴルフクラブのホゼル部分を加熱して接着剤硬化物の組織を壊し、シャフトを抜いた後、新シャフトを接着剤で固着するようにしていたため、数時間〜1日程度の時間がかかっていたが、上記実施の形態では、予め新シャフトにシャフトケース5を接着剤で取り付けておくことにより、シャフト交換を数分程度で行うことができる。従って、シャフトケース付きの各種スペックのシャフトを用意しておき、同一のヘッド本体に順次に異なるシャフトを取り付けて試打する様な利用方式が実現可能となる。
【0054】
なお、この実施の形態では、斜面3d,5cを設けることにより、ホゼル穴3の穴奥側の内面と、シャフトケース5の下端側の外面とを、それぞれ非円形断面形状(軸心線と垂直な断面が非円形であること。)とし、この斜面3d,5c同士を係合させるので、ガタツキが少なく、シャフト4のシャフト軸心周り方向の回転が阻止される。すなわち、シャフト4のトルク方向の固定剛性が高い。
【0055】
また、1対の斜面5c,5cを設けてシャフトケース5の先端側を先細形としているので、シャフトケース5をホゼル穴3内に挿入し易い。
【0056】
上記実施の形態では螺子部材6に雄螺子6bを設け、ホゼル穴3に雌螺子3aを設けているが、ホゼルの上端をヘッド本体2から突出させ、このホゼル上端の外周に雄螺子を設けてもよい。この場合、延長部材及び螺子部材はキャップ状とされ、この雄螺子に螺合する雌螺子が設けられる。
【0057】
上記ホゼル、シャフトケース、延長部材、アタッチメント及び螺子部材は金属製とされることが好ましく、特にアルミ又はチタンもしくはそれらの合金よりなることが好ましい。ヘッド1とは別体のホゼル穴3については、ヘッド本体と同等又はそれよりも低い比重の材質が好ましく、例えばチタン合金、アルミニウム、アルミ合金、マグネシウム合金、FRP、合成樹脂などを用いてもよい。
【0058】
ヘッドの材質は特に限定されないが、ウッド型ゴルフクラブヘッドの場合、例えばチタン合金やアルミ合金、ステンレス等とすることができる。
【0059】
上記実施の形態では1対の斜面5c,5c,3d,3dを設けているが、斜面の数は1又は3以上でもよい。ただし、図示のように1対ずつとするのが好ましい。
【0060】
本発明では、螺子部材と延長部材10又はホゼル穴3との間のスペーサ6gを省略し、その代りにOリングを、シャフト4を取り巻くように設けてもよい。例えば、螺子部材の下端内周面に凹段部を周設し、Oリングを該凹段部に設ける。
【0061】
本発明では、ホゼルの長さを変えるために、延長部材10やアタッチメント11を使うところから、ゴルフクラブのスイングバランスが変化する。そのため、スイングバランスを調整するように、重量の異なるウエイト材17を複数用意しておき、必要に応じウエイト材を交換するのが好ましい。ウエイト材17としては、具体的には、ビス形状のウエイトネジであって、ナイロンなどのプラスチックビス、Mg合金ビス、Al合金ビス、ステンレスビス、メッキを施した鋼ビス、銅合金ビス、タングステン合金ビスなど比重が異なる材料よりなるものが好ましい。係留部18の位置は、第10,13図のように、ソールの中心付近で、ヘッド本体の重心位置の直下付近が好ましい。これは、ヘッドの重心位置をあまり変化させないためである。
【0062】
本発明では、第14図〜第16図のように、半割円筒形のアタッチメント11,11同士の係合手段を設けて取り扱いし易くしてもよい。
【0063】
第14図(a),(b)では、一方のアタッチメント11の筒軸方向の端面にピン11aが設けられ、他方のアタッチメント11の筒軸方向の端面に凹穴11bが設けられている。ピン11aを凹穴11bに差し込むようにアタッチメント11,11同士を係合させて円筒状とする。
【0064】
第15図(a),(b)では、一方のアタッチメント11の筒軸方向の端面に爪部11cを設け、他方のアタッチメント11の筒軸方向の端面に係止溝部11dを設けている。爪部11cを係止溝部11dに係止させるようにアタッチメント11,11同士を係合させて円筒状とする。
【0065】
第16図(a),(b)では、アタッチメント11の筒軸方向の2つの端面のうちの一方の端面にあっては、外周側に凸条11fを設け、内周側に凹条11eを設けている。他方の端面にあっては、外周側に凹条11eを設け、内周側に凹条11eを設けている。凸条11f、凹条11eは、いずれもアタッチメント11の筒軸心方向の一端から他端にまで延在している。一方のアタッチメント11の凸条11fを他方のアタッチメント11の凹条11eに係合させてアタッチメント11,11同士を係合させて円筒状とする。
【符号の説明】
【0066】
1 ヘッド
2 ヘッド本体
2a フェース部
2e ヒール部
2t 肉厚部
3 ホゼル穴
3a 雌螺子穴
3d 斜面
4 シャフト
5,5A シャフトケース
5c 斜面
6 螺子部材
10 延長部材
11 アタッチメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトの先端にヘッドが取り付けられたゴルフクラブであって、
該シャフトの先端に略円筒形のシャフトケースが固着され、
前記ヘッドのホゼル穴の上端側から該ホゼル内に該シャフトケースが挿入され、シャフトは外嵌した環状の螺子部材によって該シャフトケースが固定されるゴルフクラブにおいて、
該ホゼル穴の上端側に下端側が螺着されると共に、前記螺子部材が螺着された延長部材と、
前記シャフトに外嵌し、該シャフトケースの上端面と該螺子部材の下端面との間に介在した1対の半割円筒形のアタッチメントと
を備えており、該螺子部材が該アタッチメントを介してシャフトを押えることにより該シャフトケースが該ホゼル穴に固定されているゴルフクラブであって、
該延長部材及びアタッチメントを取り外し、該螺子部材をホゼル穴の上端側に螺着することによっても該シャフトケースがホゼル穴に固定可能であることを特徴とするゴルフクラブ。
【請求項2】
請求項1において、前記ホゼル穴の該上端側の内周面に雌螺子が刻設されており、
前記延長部材の下端側の外周面に雄螺子が設けられ、上端側の内周面に雌螺子が設けられており、
前記螺子部材の外周面に雄螺子が設けられており、
該螺子部材の雄螺子を延長部材の該雌螺子に螺着させ、延長部材の該雄螺子をホゼル穴の該雌螺子に螺合させることにより該螺子部材が該延長部材に螺着され、該延長部材が該ホゼルに螺着されており、
該螺子部材の下端面が前記アタッチメントの上端面に当接し、該アタッチメントの下端面が前記シャフトケースの上端面に当接することにより該シャフトケースが固定されているゴルフクラブであって、
該延長部材及びアタッチメントを省略し、該螺子部材をホゼル穴の上端側に螺着させ、該螺子部材の下端面を前記シャフトケースの上端面に当接させることによっても該シャフトケースがホゼル穴に固定可能であることを特徴とするゴルフクラブ。
【請求項3】
請求項2において、前記シャフトケースは、下端側が封じられ、上端側が開放した筒状体よりなり、
該シャフトケースに前記シャフトが挿入され、接着剤によって固着されていることを特徴とするゴルフクラブ。
【請求項4】
請求項3において、該シャフトケースの少なくとも下端側が非円形断面形状部となっており、
前記ホゼルの少なくとも下端側に、該シャフトケースの先端側が係合した非円形断面形状部が設けられていることを特徴とするゴルフクラブ。
【請求項5】
請求項4において、前記シャフトケースの非円形断面形状部は、シャフトケースの中心軸に対して斜交する斜面よりなり、
前記ホゼルの非円形断面形状部は、該ホゼルの中心軸に対して斜交する斜面よりなることを特徴とするゴルフクラブ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、前記シャフトケースの下端側とホゼル穴の内面との間に弾性体が介在していることを特徴とするゴルフクラブ。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、前記螺子部材と延長部材との間に弾性体が介在していることを特徴とするゴルフクラブ。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項において、前記ヘッドに重量調整用のウェイト材が着脱可能に設けられていることを特徴とするゴルフクラブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−229562(P2011−229562A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99965(P2010−99965)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(592014104)ブリヂストンスポーツ株式会社 (652)
【Fターム(参考)】