説明

ゴルフスイング練習具

【課題】 ゴルフクラブの正しいスイングを簡単かつ正確に体得できるようにした練習具を提供する。
【解決手段】 ゴルフクラブ(10)のスイングを体得できるようにしたゴルフスイング練習具(20)であって、ゴルフクラブのシャフト(12)又はグリップ(13)に取付けられる取付け基部(21)と、該取付け基部に取付けられたロッド(22)と、該ロッドの先端に取付けられ、テイクバックのトップの位置において使用者のゴルフボール(B)を見る視界内に位置されてシャフト及びクラブヘッド(11)の姿勢及び位置を示す指示体(23)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフスイング練習具に関し、特に正しいスイングを簡単かつ正確に体得できるようにした練習具に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ競技中にゴルフボールが意図する方向に正確に飛球するとともに飛距離が大きく伸びると、次のショットを楽に行え、スコアアップにつながる。
【0003】
ゴルフボールを正確にしかも遠くに飛球させる上で、アドレスからのテイクバック、トップの位置からのダウンスイング、その後のフォロースルーまでを理想的なスイングで行うことが重要であるが、初心者やスコアの悪いプレイヤーは理想的なスイングを体得していないのが実情である。
【0004】
これに対し、スイングを矯正し、理想的なスイングを体得するための種々な装置や器具が提案されている。例えば、いわゆるスイングプレーンに沿ってガイドレールを設け、ガイドレールによってゴルフクラブのスイングをガイドすることにより、スイングプレーン理論に基づいて理想的なスイングを体得できるようしたスイング練習機が提案されている(特許文献1)。
【0005】
また、股間指示部によってプレイヤーの股間の位置決めを行うとともに、ニーガイドによってテイクバック中及びダウンスイング中の両膝の移動を案内し、身体の動きを拘束することによって理想的なスイングを体得できるようにしたスイング練習用具が提案されている(特許文献2)。
【0006】
また、アドレス時のボールの位置に紐の一端を取付け、他端をゴルフクラブに取付け、テイクバック中に紐が描く軌跡がスイングプレーン上にあるか否かを確認し、理想的なスイングを体得できるようにした練習具が提案されている(特許文献3)。
【0007】
【特許文献1】特開2005−218784号公報
【特許文献2】特開2003−111879号公報
【特許文献3】特開2002−253721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1記載の練習機ではプレイヤーの体形やクラブの種類によってスイングプレーンやクラブヘッドの軌道が異なり、プレイヤーの体形やクラブの種類に応じたガイドレールを準備する必要がある。
【0009】
また、特許文献2記載の練習用具ではプレイヤーの体形やクラブの種類に応じて股間指示部やニーガイドの高さを調整する必要があって煩わしい。
【0010】
さらに、特許文献3記載の練習用具ではクラブヘッドがスイングプレーン上にあるか否かは確認できるものの、クラブヘッドの開きやかぶりを確認することはできない。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑み、正しいスイングを簡単かつ正確に体得できるようにしたゴルフスイング練習具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明に係るゴルフスイング練習具は、ゴルフクラブのスイングを体得できるようにしたゴルフスイング練習具であって、ゴルフクラブのシャフト又はグリップに取付けられる取付け基部と、該取付け基部に取付けられたロッドと、該ロッドの先端に取付けられ、テイクバックのトップの位置において使用者のゴルフボールを見る視界内に位置されてシャフト及びクラブヘッドの姿勢及び位置を示す指示体と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
本件発明の特徴の1つは使用者がゴルフボールを見たまま、クラブヘッドをトップの位置までテイクバックしたときに、使用者の視界内に指示体を位置させ、その指示体によってテイクバックのトップの位置におけるシャフト及びクラブヘッドの姿勢及び位置を確認できるようにした点にある。
【0014】
これによってテイクバックのときに後ろを振り返ってシャフトやクラブヘッドの姿勢や位置を確認する必要がなく、視界内にある指示体を見ることのみにより、テイクバックのトップの状態においてシャフトが正しい姿勢と位置になっていること及びクラブヘッドが正しい姿勢及び位置にあることを確認でき、つまりテイクバックのトップの位置だと思っていてもトップの位置の手前やオーバースイングになっていること、テイクバックのトップの位置にあっても手首が曲がってクラブヘッドが開いたりかぶったりしていること、あるいは打撃フェイスがスイングプレーンに対して平行になっていないことを確認することができる。
【0015】
その結果、視界内にある指示体から、テイクバックの正しいトップの位置におけるシャフトやクラブヘッドの正しい姿勢を知ることができ、トップの位置におけるクラブヘッドの正しい姿勢からダウンスイングをするだけで理想的なダウンスイングとなるので、指示体を確認してシャフトやクラブヘッドの姿勢や位置を修正し、正しい姿勢及び位置からダウンスイングするという動作を繰り返すだけで理想的なスイングを体得できる。
【0016】
取付け基部はシャフト又はクリップに固定してもよいが、取付け基部を単に固定すると、ダウンスイング中にロッドが邪魔になることがある。そこで、取付け基部はシャフト又はグリップの廻りに回転可能に取付け、テイクバック中にはそのトップの位置で指示体がシャフト及びクラブヘッドの姿勢及び位置を示し得る使用位置にストッパーによって位置決めする一方、ダウンスイング中にはロッドがダウンスイング方向に対して後方に残るように旋回されるように構成するのが好ましい。
【0017】
ロッドは一定の長さとしてもよいが、プレイヤーの体格や使用するゴルフクラブの番手等などに応じて長さを調整できるのがよい。そこで、ロッドは伸縮可能に構成するのが好ましい。
【0018】
また、指示体は身体と接触した時に目を突かないように、材質を軟質部材、例えばスポンジで覆い、鋭角な突出部分の少ない三角形状とするのがよい。
【0019】
また、グリップの近くに取付け基部を設けると、毛髪の長い女性の場合にはテイクバックをしダウンスイングをするときに毛髪が取付け基部に巻きつくおそれがある。そこで、取付け基部を毛髪の巻込み防止用カバーによって覆うようにするのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図5は本発明に係るゴルフスイング練習具の好ましい実施形態を示す。図において、ゴルフクラブ10はクラブヘッド11、クラブヘッド11のホーゼルに取付けられたシャフト12及びシャフト12の上端部に取付けられたグリップ13から構成される。
【0021】
シャフト12のグリップ13近傍には本例のスイング練習具20の取付け基部21がシャフト12廻りに回転し得るように取付けられ、取付け基部21は差込み部を有し、差込み部にはロッド22の基部22Cが差し込まれ、取付け基部21の差込み部及びロッド22の基部22Cの穴に取付けピン21Aが挿通されることによってロッド22が着脱可能に取付けられている。
【0022】
また、取付け基部21には当たり部21Dが形成され、シャフト12にはストッパー筒21Bが固定され、ストッパー筒21Bには所定の幅のストッパー21Cが形成され、取付け基部21と当接して取付け基部21を位置決めするようになっている。
【0023】
また、シャフト12には毛髪の巻込み防止用カバー24が取付けられ、カバー24は取付け基部21及びロッド22の基部22Cを覆って包み込み、毛髪が巻き込まれるのを防止するようになっている。
【0024】
上記ロッド22はほぼ円弧状に湾曲されるとともに大径及び小径の2つのパイプ22A、22Bから構成され、小径のパイプ22Bは大径のパイプ22Aに差し込まれて伸縮可能に構成され、小径のパイプ22Bにはロッド22の長さを示す目盛22Dが形成されている。
【0025】
ロッド22の先端には三角形状の指示板(指示体)23が取付けられ、指示板23には白色帯状のマーク23Aがシャフト12と平行な方向に伸びるように設けられるとともに、他の部位には黒色のスポンジ23Bが貼り付けられ、指示板23が不意にプレイヤーの顔面に当たった時に顔面や目が損傷を受けないようにしている。帯状のマーク23Aはテイクバックのトップの位置においてゴルフボールBを見る使用者の視界内に位置されてシャフト12やクラブヘッド11の姿勢や位置を示すようになっている。
【0026】
スイングの練習を行う場合、図4の(a)(b)に示されるように、プレイヤーがゴルフボールBに向かい、ゴルフクラブ10を構えてアドレスし、腰及び肩をひねってテイクバックを行う。なお、ゴルフボールBを使用せず、ゴルフボールBがセットしてあるものと想定して練習を行うこともできる。
【0027】
テイクバックを行うと、スイング練習具20の取付け基部21はストッパー筒21Bのストッパー21Cによって位置決めされ、ロッド22はテイクバックのトップの位置において指示板23がクラブヘッドの位置及び姿勢を示し得る使用位置に位置決めされており、ロッド22はプレイヤーの身体の廻りを移動し、図5の(a)(b)に示されるように、クラブ10がテイクバックのトップの位置まで来ると、ロッド22先端の指示板23がゴルフボールBを見ているプレイヤーの視界に入る。
【0028】
そこで、テイクバックの正しいトップの位置におけるシャフト12やクラブヘッド11の理想的な姿勢や位置、具体的にはクラブヘッド11が開いたりかぶったりせず、打撃フェイスが所定の方向を指向した姿勢に対応する指示板23の姿勢(プレイヤーが見たときの指示板23の帯状マーク23Aが指向する方向や傾きなど)を予め確認して覚えておき、この指示板23の理想的な姿勢と現在の指示板23の姿勢とを比較する。
【0029】
クラブヘッド11がトップの位置まで達してなかったり、オーバースイングになったり、あるいはクラブヘッド11がトップの位置に達しているが開いたりかぶったりし、打撃フェイスがスイングプレーンに平行になっていなかったりしているときには、トップの位置に正確に来るように、又クラブヘッドが理想的な姿勢となるように、プレイヤーが握ったグリップの位置、腰や肩のひねりを調整する。
【0030】
こうしてゴルフクラブ10の理想的な姿勢が分かると、そのような理想的な姿勢が得られるように指示板23によって確認しながらテイクバックを行い、トップの位置からゴルフクラブ10をダウンスイングすると、理想的なスイングを行うことができ、これを繰り返すことによって理想的なスイングを確実に体得できることとなる。
【0031】
ゴルフクラブ10をダウンスイングすると、ロッド22の慣性力に起因し、図6の(a)(b)に示されるようにロッド22がダウンスイングの方向に対して後方に残るように、ダウンスイングの途中から取付け基部21がシャフト12の廻りに旋回してストッパー21Cによって位置決めされるので、本例のスイング練習具20がダウンスイングからフォロースルーの邪魔になることはなく、しかも指示板23がプレイヤーの顔面や目に当たって傷つけるおそれがない。
【0032】
また、本例のスイング練習具20は取付け基部21、ロッド22及び指示板23という簡単な構造であり、コスト高を招来することはない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係るゴルフスイング練習具の好ましい実施形態における全体構成図である。
【図2】上記実施形態における要部を示す図である。
【図3】上記実施形態における取付け基部を示す拡大斜視図である。
【図4】上記実施形態におけるアドレス時の状態を示す図である。
【図5】上記実施形態におけるテイクバックのトップの状態を示す図である。
【図6】上記実施形態におけるダウンスイング時の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
10 ゴルフクラブ
11 クラブヘッド
12 シャフト
13 グリップ
20 スイング練習具
21 取付け基部
22 ロッド
23 指示板(指示体)
B ゴルフボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブのスイングを体得できるようにしたゴルフスイング練習具であって、
ゴルフクラブのシャフト又はグリップに取付けられる取付け基部と、
該取付け基部に取付けられたロッドと、
該ロッドの先端に取付けられ、テイクバックのトップの位置において使用者のゴルフボールを見る視界内に位置されてシャフト及びクラブヘッドの姿勢及び位置を示す指示体と、
を備えたことを特徴とするゴルフスイング練習具。
【請求項2】
上記取付け基部は上記シャフト又はグリップの廻りに回転可能に取付けられ、テイクバック中にはそのトップの位置で上記指示体がシャフト及びクラブヘッドの姿勢及び位置を示し得る使用位置にストッパーによって位置決めされる一方、ダウンスイング中には上記ロッドがダウンスイング方向に対して後方に残るように旋回されるようになっている請求項1記載のゴルフスイング練習具。
【請求項3】
上記ロッドが伸縮可能に構成されている請求項1記載のゴルフスイング練習具。
【請求項4】
上記取付け基部が毛髪の巻込み防止用カバーによって覆われている請求項1記載のゴルフスイング練習具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−153557(P2009−153557A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331789(P2007−331789)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(305051679)
【Fターム(参考)】