説明

サイクロンの異物除去機構並びにこれを具えたサイクロン

【課題】 サイクロンの稼働中、導入排ガスに伴う異物がサイクロン内壁に付着・成長し、これが落下しても、サイクロンのダスト吐出部を閉塞することがないようにし、また異物が落下した場合には、これを極めて早期に且つ正確に客観性を持って検知できるようにした新規な異物除去機構とサイクロンの開発を課題とする。
【解決手段】 本発明は、熱処理排ガスGを旋回させるためのサイクロン本体2に対し、ダスト排出路3と、サイクロン内で付着・成長した異物Wをサイクロン本体2から受け入れる異物排出路4とを二股状に形成して成り、この二股状部分に、選別孔51を有した分級装置5を設け、選別孔51よりも大きく成長した異物Wが落下した場合に、分級装置5によって異物Wをキャッチし異物排出路4に送るとともに、選別孔51よりも小さいダストDや異物Wは、選別孔51を通過させてダスト排出路3に送るようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば焼却排ガスに含まれるダストを分離・除去するサイクロンに関するものであって、排ガスに含まれる成分が化合物となってサイクロン内壁に付着・成長し、異物となって落下しても、この異物によってダスト吐出部が閉塞されることがないようにしたものであり、また異物が落下した場合には、ダスト吐出部が閉塞される前の段階で、異物の落下を正確に且つ素早く検知できるようにした新規な異物除去機構とこれを具えたサイクロンに係るものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、鶏糞、豚糞、牛糞等の畜糞やこれら糞のコンポスト(堆肥)は、減量化、無害化、再資源化などの目的から焼却処理、溶融処理、乾留処理、炭化処理などの適宜の熱処理が施されることが多く、これら熱処理の際に放出される熱処理排ガスGは、例えば図6に示すように、熱処理の後、直接または間接的にサイクロン1′(集塵装置)に導入され、排ガス中に含まれるダストDが分離・除去されるのが一般的である。
このようなサイクロン1′での処理中、例えばP、K等の畜糞(熱処理排ガスG)に含まれる成分が、サイクロン内壁に付着し、成長して行く。また、これら付着物は非常に硬く、成長した該付着物がサイクロン1′の内壁から剥離・落下しても、その衝撃で粉砕することはほとんどないため、サイクロン1′のダスト吐出部で閉塞(詰まり)を起こすことがあった(このためサイクロン内壁で付着・成長するものを異物Wとする)。
【0003】
ところで、このようなサイクロンの閉塞は、従来、例えば排ガス入口側とダスト吐出部(出口)側との差圧測定で検知するのが一般的であるが(例えば特許文献1、2参照)、差圧値のみで閉塞を検知するのは極めて困難であった。すなわち、差圧は設備の負荷量に応じて測定値が変動するものであり、このため差圧値のみでの閉塞判断はオペレータの経験に委ねるところが大きく、オペレータや運転状況に応じ多少判断が相違することがあった(客観的な判断とは言えなかった)。また、実際に閉塞が起きてから差圧値の現象(影響)として出現するまでにはタイムラグがあるため、差圧値で閉塞を発見した時点では、実際の閉塞は過度な状態であることが多く、早期発見が極めて困難であった。もちろん、閉塞が激しければ、サイクロンのみならず処理設備全体を一時ストップさせて、サイクロンの閉塞を解消しなければならないこともあった。
このようなことから、まずはサイクロンにおける閉塞(異物落下による詰まり)を未然に防ぐ手法が求められ、また異物の落下が起きた場合には差圧値以外の方法で、その状況を初期段階でしかも素早く且つ正確に検知する手法が求められていた。
【0004】
因みに、例えば一基の熱処理炉に二基のサイクロンを分岐状に並設しておけば、一基のサイクロンが閉塞を起こしても、熱処理排ガスを別のもう一基のサイクロンに導入することで(熱処理排ガスを導入するサイクロンを切り替えることで)、処理設備全体を停止させる事態は防ぐことができるかも知れない。しかし、このような対策は、サイクロンの閉塞を甘受するものであり、根本的な解決策とは言えなかった。また上記のような対策においては、二基目のサイクロンをスムーズに稼働させる(機能させる)ために、二基目のサイクロンを使用しなくても常に運転可能な状態で待機させておく必要があるし、場所も設備も余分に必要となる等、合理的な対策とは言えなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−103708号公報
【特許文献2】特開平10−114430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような背景を認識してなされたものであって、サイクロンを稼働させているうちに、導入排ガスに伴う異物がサイクロン内壁に付着・成長し、これが落下しても、サイクロンのダスト吐出部を閉塞することがないようにし、また異物が落下した場合には、この状況を極めて早期に且つ正確に客観性を持って検知できるようにした新規な異物除去機構とこれを具えたサイクロンの開発を試みたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
まず請求項1記載の、サイクロンの異物除去機構は、
熱処理炉から排出される熱処理排ガスをサイクロンに導入し、サイクロン内で熱処理排ガスを旋回させながら熱処理排ガス中に含まれるダストを分離・除去するにあたり、
前記サイクロンは、導入した熱処理排ガスを旋回させるためのサイクロン本体に対し、主に熱処理排ガスから分離したダストをサイクロン本体から受け入れるダスト排出路と、サイクロンの稼働中にサイクロンの内壁で付着・成長した異物をサイクロン本体から受け入れる異物排出路とが、二股状に形成されて成り、
この二股状部分には、選別孔を有した分級装置を設け、サイクロンの内壁で選別孔よりも大きく成長した異物が落下した場合に、前記分級装置によって、この異物をキャッチし異物排出路に送るようにするとともに、選別孔よりも小さいダストや異物については分級装置を通過させてダスト排出路に送るようにしたことを特徴として成るものである。
【0008】
また請求項2記載の、サイクロンの異物除去機構は、前記請求項1記載の要件に加え、
前記分級装置によりキャッチした異物については、分級装置から異物排出路に送る異物送出手段を設けたことを特徴として成るものである。
【0009】
また請求項3記載の、サイクロンの異物除去機構は、前記請求項2記載の要件に加え、
前記分級装置によりキャッチした異物を分級装置から異物排出路に送り込む異物送出手段としては、キャッチした異物を異物排出路に向けて自然落下させ得る分級装置の傾斜、スクリューコンベヤによる移送、プッシャーによる押し出しのうちの少なくとも一つが適用されることを特徴として成るものである。
【0010】
また請求項4記載の、サイクロンの異物除去機構は、前記請求項1、2または3記載の要件に加え、
前記サイクロンは、ダスト排出路の吐出側にダスト排出装置が設けられるものであり、
このダスト排出装置の筐体表面、または分級装置からダスト排出装置までの間のダスト排出路に、温度検出端を設け、該温度の低下により、分級装置上での異物の滞留を検知するようにしたことを特徴として成るものである。
【0011】
また請求項5記載の、サイクロンの異物除去機構は、前記請求項1、2、3または4記載の要件に加え、
前記サイクロンは、分級装置によりキャッチした異物を検知する異物検出センサを設けるようにしたことを特徴として成るものである。
【0012】
また請求項6記載の、サイクロンの異物除去機構は、前記請求項4または5記載の要件に加え、
前記異物排出路は、分級装置から異物を受け入れる受入口に開閉自在のゲートが設けられものであり、
このゲートは、前記温度検出端の温度低下信号および/または前記異物検出センサの異物検知信号によって分級装置上に異物の存在を検知した場合に開放されることを特徴として成るものである。
【0013】
また請求項7記載の、サイクロンの異物除去機構は、前記請求項1、2、3、4、5または6記載の要件に加え、
前記サイクロンには、鶏糞を焼却した際の熱処理排ガスが導入されることを特徴として成るものである。
【0014】
また請求項8記載のサイクロンは、
ダストを含む熱処理排ガスを導入し、装置内部で熱処理排ガスを旋回させながら熱処理排ガス中に含まれるダストを分離・除去するサイクロンにおいて、
前記サイクロンは、請求項1、2、3、4、5、6または7記載の異物除去機構を具えたことを特徴として成るものである。
【発明の効果】
【0015】
これら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
まず請求項1または8記載の発明によれば、サイクロン本体に対し、ダストを排出するダスト排出路と、異物を排出する異物排出路とを二股状に設け、この二股状部分に選別孔を有した分級装置を設けるため、サイクロンの内壁に付着し、時間とともに成長した異物が剥離・落下しても、分級装置の選別孔を通過できない大きな異物については、分級装置でキャッチすることができる。また分級装置でキャッチされた異物については、異物排出路に送り、ダスト排出路に送ることがないため、ダスト排出路の閉塞(詰まり)を防止することができる。
【0016】
また請求項2または8記載の発明によれば、分級装置でキャッチした異物を分級装置から異物排出路に送る異物送出手段を設けるため、該異物を分級装置上に停滞させることなく確実に異物排出路に送り込むことができる。また、このためサイクロン本来のダストの分離・除去作業を妨げることなくサイクロンを継続して稼働させることができる。
【0017】
また請求項3または8記載の発明によれば、分級装置によりキャッチした異物を分級装置から異物排出路に送り込む異物送出手段として、分級装置の傾斜、スクリューコンベヤ、プッシャーのうちの少なくとも一つが適用されるため、異物の性状(被処理物の性状)や処理条件(サイクロンに導入される熱処理排ガスの温度など)等によって、適宜の異物送出手段が適用できる。もちろん、異物送出手段としては、分級装置に傾斜を付けながらプッシャーを用いる等の併用形態も可能であり、この場合には異物が大きくても(重くても)、また多少流動性が低くても確実に異物排出路に送り込むことができる。
【0018】
また請求項4または8記載の発明によれば、温度検出端が、ダスト排出装置の筐体表面、または分級装置からダスト排出装置までの間のダスト排出路に設けられ、これらの部位の温度低下によって分級装置上の異物の滞留を検知するため、オペレータは温度検出端の温度低下により的確に異物の滞留を判断することができる(閉塞を予測することができる)。すなわち、これら温度検出端の温度測定位置は、分級装置の下方であることから、分級装置上に異物が溜まりサイクロン上方からの伝熱が低下すれば、該測定位置で温度低下が速やかに生じるため、温度検出端による検知もまた速やかに行われる。このため異物による分級装置上の滞留を極めて初期の段階(言わば兆しの段階)でいち早く捉え、これを速やかに解消することができる。
また検出された該温度を設備の自動運転を管理するプログラマブルコントローラに信号として取り込むことで、異物排出路の開放動作、前記スクリューコンベヤによる移送動作、プッシャーによる押出し動作など、設備の動作の制御に利用することができる。
因みに従来は、このようなサイクロンの閉塞を、差圧値のみで検出することが多かったが、この場合には、閉塞を起こしているか否かの判断に熟練度や経験が必要であり、しかも閉塞を起こしてから実際の差圧値の異常として現象が出るまでの時間が長かったことから、差圧値で検出したときには既に過度の閉塞が起きていることが多く、詰まりを取り除く作業も手間の掛かる作業となっていた。
【0019】
また請求項5または8記載の発明によれば、異物検出センサを設けるため、分級装置上に異物が存在することを確実に検知でき、異物除去への対応(異物排出路への送出)、あるいは運転上の制御動作に利用することができる。
【0020】
また請求項6または8記載の発明によれば、温度検出端の温度低下信号および/または異物検出センサの異物検知信号により分級装置上に異物があると判断した場合に、異物排出路のゲートが開放され、サイクロンの通常の稼働時には閉鎖されるため、サイクロン本来の処理、つまり熱処理排ガス中からダストを分離し、また分離したダストをダスト排出路からサイクロン外に排出する作業が能率的に(スムーズに)行える。
もちろん、異物排出路のゲートは、常時開放されることもあり得、この場合には、熱処理排ガス中から分離したダストが、一部、異物排出路に送られるため、ダスト排出路からダストを排出する必要性が低い場合に採られるものである。
【0021】
また請求項7または8記載の発明によれば、鶏糞を焼却した際の排ガスがサイクロンに導入されるものであり、この場合には、硬くて落下によっても粉砕しにくい異物が発生し易いが、本発明では、このような場合でもサイクロンの閉塞を効果的に防止することができる。すなわち、鶏糞にはP、K、Ca等が含まれ、サイクロン内では、これら成分による化合物が形成され易く、この化合物がサイクロン内壁に付着して層状あるいは塊状の異物に成長するものと考えられる。このような化合物を室温で観察すれば極めて硬く、サイクロン内壁から剥離・落下しても砕け難いために、サイクロンのダスト吐出部に閉塞を起こし易いと考えられるが、本発明では、このような異物でも分級装置によってキャッチでき、サイクロンの閉塞を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の異物除去機構を具えたサイクロンの一例を示す説明図(a)、並びに異物排出路の異物受入側に異物検出手段(異物検出センサ)を設けた実施例を部分的に示す説明図(b)、並びに分級装置を部分的に示す骨格的斜視図(c)である。
【図2】ダスト排出路に設けられるダスト排出装置を示す説明図である。
【図3】分級装置の剛性を補強材によって高めるようにした実施例を示す説明図であって、分級装置を設置状態(傾斜状態)で示す側面断面図と、この状態の分級装置を選別孔の方向(下側)から視た下面図(投影図)である。
【図4】分級装置でキャッチした異物を、スクリューコンベヤによって異物排出路(異物貯留ポット)に送るようにしたサイクロンの実施例を示す説明図(a)、並びに異物排出路に開閉ゲートを設けた場合を部分的に示す説明図(b)である。
【図5】分級装置でキャッチした異物を、プッシャーによって異物排出路(異物貯留ポット)に送るようにしたサイクロンの実施例を示す説明図(a)、並びに分級装置とプッシャーとを斜めに設けた実施例を部分的に示す説明図(b)である。
【図6】サイクロン内壁に付着した異物が成長し、その後、剥離・落下することによってサイクロンのダスト吐出部を閉塞する様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための形態は、以下の実施例に述べるものをその一つとするとともに、更にその技術思想内において改良し得る種々の手法を含むものである。
なお、説明にあたっては、まず異物除去機構を具えたサイクロン1について説明し、その後、このサイクロン1の作動態様について説明しながら、異物除去機構について説明する。
【実施例】
【0024】
サイクロン1には、例えば鶏糞等の被処理物を焼却した際に生じる熱処理排ガスGが導入されるものであり、まず鶏糞等を焼却する焼却炉(図示略)から説明する。焼却炉は、鶏糞等の被処理物を焼却処理するものであり、これには例えば本出願人による流動焼却炉(装置)が適用でき、また好ましいものである。
流動焼却炉は、高温下で安定した流動層を形成するために、炉内底部に珪砂が一定量充填され、この砂層下部から適温に加熱された(例えば排熱回収熱交換器により加熱された)流動化空気が送り込まれて、激しい流動状態を形成するものである。鶏糞等の被処理物は、その砂層上に投入され、砂層粒子の激しい流動化運動により分散し、瞬時に水分蒸発、品温の上昇が起こり、速やかに細分化され、高温空気との接触もよくなり、焼却・燃焼されるものである。
【0025】
なお、サイクロン1の前段に設けられる設備としては、上述した焼却炉に限定されるものではなく、他にも例えば溶融炉、乾留炉、炭化炉などを挙げることができ、本明細書ではこれらを総称して熱処理炉とする。また、このような熱処理炉から放出され、サイクロンに導入されるガスを熱処理排ガスGとするものである。
また、被処理物としては、鶏糞の他、牛糞や豚糞等の畜糞や、これら糞のコンポスト(堆肥)も挙げられる。
【0026】
このような熱処理炉から放出される熱処理排ガスGが、サイクロン1に導入され、この熱処理排ガスG中に含まれるダストDがサイクロン1により分離・除去されるものである。すなわちサイクロン1は、取り込んだ熱処理排ガスGを旋回気流として徐々に中心下部に送ることで、熱処理排ガスG中に含まれるダストD(旋回気流中に浮遊する固体粒子)を遠心力の作用によって、サイクロン1の内壁に衝突させ、最終的には旋回気流から分離させて、コーン状の円すい下部(ダスト吐出部)に集め、ここから外部に排出するものである。また、ダストDが除去されたエア(これをダスト除去エアAとする)についてはサイクロン1の上部から排出するものである。
【0027】
このようなことから本発明のサイクロン1は、一例として図1に示すように、一般的なサイクロンと同様にサイクロン本体2と、ダスト排出路3とを連設した構造を踏襲しながらも、更にこのダスト排出路3に対して異物排出路4を並列状または枝分かれ状に設けて成るものである。すなわち、本発明のサイクロン1は、サイクロン本体2に対してダスト排出路3と異物排出路4とを二股状に具えて成るものである。
また、この二股状部分には、選別孔51を有した分級装置5が設けられ、この選別孔51よりも小さいダストDが選別孔51を通過して(通り抜けて)ダスト排出路3に送られるものである。つまり、選別孔51よりも大きなもの(異物W)が、分級装置5によりキャッチされ、この異物Wを異物送出手段6によって分級装置5から異物排出路4に送るものである。
また、ダスト排出路3には、ダストDを外部に排出するためのダスト排出装置7と、ダスト排出路3の温度を検出するための温度検出手段8とが設けられる。
更に、異物排出路4には、異物受入口(分級装置5の近く)に、異物検出手段9が設けられるものである。
以下、サイクロン本体2、ダスト排出路3、異物排出路4について更に詳細に説明する。
【0028】
まずサイクロン本体2について説明する。サイクロン本体2は、平面視、円形のサイクロン1の接線方向から熱処理排ガスGを取り込み、これを旋回させながら下部に送る部分である(図6参照)。このためサイクロン本体2は、円柱(円筒)状部分の下側に、コーン状の円すい台部分を連接して成るものである。
ここで熱処理排ガスGの取込口を排ガス導入口21とし、またサイクロン1の上部中央に形成されるダスト除去エアAを排出する部位をエア吐出口22とする。またサイクロン1の内側(内壁)には、一例として厚さ100mm程度の耐火性のレンガ(シャモット質)が内張りされて成るものである。これによりサイクロン1の耐火性が向上し、サイクロン1に導入する熱処理排ガスGの導入温度を高くすることができる。従って、サイクロン1から排出するダスト除去エアAの温度も高めることができ、ダスト除去エアAから例えばサイクロン1の下流に熱交換器を具えた設備であれば、その熱交換器での熱回収が効率的に行えるものである。
なお、サイクロン1の耐火性を向上させる他の手法としては、サイクロン内側に型枠を入れ、キャスター(キャスターのスラリー)を流し込んで固めることも可能であるし、あるいは耐熱鋼板を使うことも可能である(鋼板だけのサイクロン)。
【0029】
次にダスト排出路3について説明する。ダスト排出路3は、熱処理排ガスGから分離・除去されたダストDを排出するための経路であり、サイクロン本体2のほぼ真下に一直線上になるように、言わばサイクロン本体2からダスト排出路3が主流となるように接続される。
ダスト排出路3には、上述したように、ダスト排出装置7と温度検出手段8とが設けられ、このうちダスト排出装置7は、サイクロン1(サイクロン本体2)内を密閉した状態でダストDの取り出し(排出)を行うためのものである。なお、ここではダスト排出装置7として、一例として図2に示すようにダブルダンパ71を設けるが、ロータリーバルブをダスト排出装置7として設けることも可能であり、要するにダスト排出装置7は外部と遮断した状態でダストDの排出が行えれば良いものである。
【0030】
また、温度検出手段8は、例えば図1・2に示すように、ダブルダンパ71のうち上側のダンパの筐体表面72に取り付けられる温度検出端81を主たる構成要素とするものであり、これは分級装置5上に異物Wが滞留したことを、当該部位の温度低下によって素早く検知するためのものである。すなわち、分級装置5上に異物Wが溜まると、分級装置5よりも下部空間であるダスト排出装置7への伝熱が低下するため、筐体表面72の温度がすぐに下がることから、筐体表面72の温度低下を検知することで、分級装置5上に異物Wが滞留したことを極めて初期の段階で(滞留というよりはむしろ存在という程度)、しかも速やかに確実に検知できるものである。もちろん、筐体表面72に温度検出端81を設置する形態は、温度検出端81が取り付け易く、またメンテナンスも行い易いものである。また、ダブルダンパ71の上部は、ダスト排出路3の断面積が小さいことが多いため、ダストDによるブリッジ(閉塞)を生じることもあるが、このブリッジによる温度低下も温度検出端81により速やかに検知できるため、ブリッジに対して速やかに対処することも可能である。
なお、温度検出端81は、必ずしもダブルダンパ71の筐体表面72に設けるだけでなく、別の位置に設けることもでき、例えば分級装置5下方のダストDが落下する空間部分であって、ダブルダンパ71の動作と干渉しない位置に設けることもできる。あるいはダスト排出装置7より上側の耐火性のレンガ内に検出端(温度の実質的なセンシング部)を設けることも可能である。
【0031】
そして、本発明では、このようなダスト排出路3に対し、異物排出路4を分岐させるように(枝分かれ状に)設けるものである。つまりサイクロン本体2に対しダスト排出路3と異物排出路4とが二股状になるように設けられるものである。
異物排出路4は、サイクロン1の内壁に付着し、これが時間の経過とともに成長し、落下した場合に、この異物Wを回収するための経路であり、これにより成長・落下した異物Wをダスト排出路3に移送しないようにしている。
【0032】
すなわちダスト排出路3と異物排出路4との分岐部分つまり二股状部分には、上述したように選別孔51を有した分級装置5が設けられるものであり、この選別孔51を通過せずに分級装置5上に載る大きな異物Wがここでキャッチされ(捕捉され)、異物排出路4へと送られるものである。
もちろん、選別孔51を通過する(通り抜ける)小さい異物Wは、ダスト排出路3(ダスト吐出部)を閉塞する虞がなく、またダブルダンパ71の動作に不具合を引き起こす虞がなく、更には回収するダストDを何らかの用途に利用する際に問題となる虞がない場合に、ダストDとともにそのままダスト排出路3に送られるものである。従って、このように問題を引き起こさないサイズの異物Wではなく、これよりも大きなサイズである過度に成長した異物Wを通過させないように、分級装置5の選別孔51の大きさ(通過許容サイズ)が、予め設定されるものである。
【0033】
ここで分級装置5は、異物Wの落下衝撃に耐え得るように、適宜の剛性を有する丸棒や角棒状のロッドを縦・横に交差状に組んで構成されるのが一般的と考えられる(いわゆる格子状)。この場合、キャッチした異物Wを載せる格子表面には、ロッドの凹凸が出現しないことが好ましく、これは図1に示すように、分級装置5を傾斜状態に設置することで、異物Wを自然に異物排出路4へ滑り落とす、または転がり落とすためである。因みに、分級装置5をこのような格子状に形成した場合には、選別孔51はほぼ正方形に形成されるのが一般的である。
なお、例えば縦・横のロッド(一例として直径9mm程度の丸鋼)を上下に重ねるように交差させて分級装置5を形成する場合には、交差させる部材の上側にロッドの段差が生じるため、例えば図1(c)に示すように、異物排出路4側に軸方向を向けたロッドを配し、これを交差の上側に位置させれば、これがあたかも異物Wを異物排出路4に誘導するガイドレールとして作用すると考えられ、分級装置5でキャッチした異物Wを、そのまま異物排出路4に向けて滑り落とすことができるものである。
【0034】
もちろん分級装置5は、必ずしもロッドを交差状に組み込んで形成される必要はなく、例えば適宜の板厚(剛性)を有する金属板材に多数の選別孔51をレーザ等で穿孔した多孔板を適用することも可能である。因みに、この場合には、選別孔51は通常、円形に開口されるものであり、もちろん異物Wが通過しない口径に開口される。
また、分級装置5としては、例えば図3に示すように、多数の選別孔51を有する薄い金属板(いわゆるスクリーン)を用いることも可能であり、この場合には、分級装置5としての強度を確保するために、適宜の剛性を有する補強材52でスクリーンを下部から支持するものである。この際、もちろん補強材52は、ダストDの選別孔51の通過を阻害しないように、選別孔51と重ならない位置に取り付けられるものである。
なお、上述したように、分級装置5は、ここでキャッチした異物Wを自然に異物排出路4側に送るべく、異物排出路4側への下り傾斜を有することが好ましいものである。このように、分級装置5によりキャッチした異物Wを、分級装置5から積極的に異物排出路4に向けて移送する作用を担うもの(ここでは傾斜)を異物送出手段6とし、特に分級装置5の傾斜に61という符号を付すものである(異物送出手段6の一つの手段である)。
【0035】
また図1に示す実施例では、異物排出路4の異物受入側(分級装置5付近)に、開閉自在のゲートが設けられ(これを開閉ゲート41とする)、この開閉ゲート41は、例えばエアシリンダ42によって開閉(スライド)制御されるものである。なお、この開閉ゲート41は、分級装置5でキャッチした異物Wを異物排出路4に送り込むときだけ開放させ、サイクロン本体2と連通させる制御が可能である(つまり、サイクロン1の通常の稼働時には閉鎖しておく)。
もちろん、異物排出路4(開閉ゲート41)は常時開放することもあり得る(開閉ゲート41を最初から設けない場合も含む)。すなわち、この場合には、熱処理排ガスG中から分離したダストDも一部が異物排出路4に送られ、異物貯留ポット43に流れ込むことになるため、ダスト排出路3からダストDを排出する必要性が低い場合に採られる手法である。
なお開閉ゲート41は、必ずしもエアシリンダ等の直線的なスライド作動で開閉させるだでなく、回動により開閉させることも可能である(いわゆるフラップバルブ)。
【0036】
また図中符号91は、異物検出手段9としての異物検出センサ(存在検知センサ)であり、分級装置5によりキャッチされた異物Wが、分級装置5上を異物排出路4に向かって滑り落ちた際に(または転がり落ちた際に)、異物検出センサ91のセンシングロッド91Aに接触し、センシングロッド91Aに変位を生じさせることで異物Wの存在を検知するものである。なお、ここではセンシングロッド91Aを有する接触式の異物検出センサ91を例に挙げたが、例えば投光素子と受光素子とによる光学式の検出器を異物排出路4に設置して異物Wが光路を遮ることにより異物Wの存在を検知する非接触式のセンサ等も適用できる。
また、この異物検出センサ91に、上記異物排出路4の開閉ゲート41を連動させることが可能である。つまり異物検出センサ91の検知信号によりエアシリンダ42を駆動させて、開閉ゲート41を自動的に開放させることができる。もちろん、サイクロン1の稼働中、定期的に(予め設定した一定時間経過毎に)、開閉ゲート41を開閉させることも可能である。
なお、異物検出センサ91の検知信号のみによらず、上述した温度検出端81が温度低下を検知した場合に開閉ゲート41を開放(開閉)させることもでき、あるいは異物検出センサ91と温度検出端81の両方を設け、どちらか一方の検知により開閉ゲート41を開放させることも可能である。
【0037】
また異物排出路4の移送終端部(送り込み終端部)には、サイクロン本体2から受け入れた(送られた)異物Wを一時的に収容しておく異物貯留ポット43が設置されるものである。このため異物排出路4は、例えば図1(a)に示すように、異物貯留ポット43に向かって下り傾斜を有するように屈曲状態に形成され、開閉ゲート41から受け入れた(通過した)異物Wが、自然に異物貯留ポット43まで落下するように形成されることが好ましい。
【0038】
なお分級装置5でキャッチした異物Wを、分級装置5から積極的に異物排出路4に送る異物送出手段6としては、必ずしも分級装置の傾斜61に限定されるものではなく、例えば図4(a)に示すように、スクリューコンベヤ62を適用することも可能である。ここで本実施例では、分級装置5をほぼ水平に設け、その上方にスクリューコンベヤ62を沿わせて設置するものである。
因みにスクリューコンベヤ62は、ケーシング状のトラフ62Aの中で螺旋状の羽根をつけた軸(スクリュー羽根62B)を回転させて、分級装置5上の異物Wを軸方向(異物排出路4)に移送するものである。また、本図に示す実施例ではスクリューコンベヤ62が、上記図1における開閉ゲート41や異物排出路4の作用も担っていると考えられる(スクリューコンベヤ62が異物排出路4に入り込んだ状態となっている)。
また、このようなことからスクリューコンベヤ62を用いた場合には、図4(a)に示すように開閉ゲート41のない構成が一般的と考えられるが、例えば図4(b)に示すようにスクリューコンベヤ62から異物貯留ポット43に異物Wを落下させる経路中に開閉ゲート41を設けることは可能である。
【0039】
また、図4に示す実施例では、分級装置5とスクリューコンベヤ62とを、ほぼ水平に設けたが、分級装置5を異物排出路4に向けて下り傾斜を有するように設け、且つスクリューコンベヤ62も同じ傾斜状態に設けることが可能であり、これにより異物Wの異物排出路4(異物貯留ポット43)への移送がより確実に行えるものである。因みに、この場合には、分級装置の傾斜61とスクリューコンベヤ62との双方が、異物送出手段6に該当する。
なお異物送出手段6としてスクリューコンベヤ62を用いた場合には、温度検出端81で検知する温度低下信号によって、開閉ゲート41を開放させ、スクリューコンベヤ62を起動させることで、分級装置5上の異物Wが該コンベヤのスクリュー羽根62Bに掻き出されて異物貯留ポット43に送られるものである。
【0040】
また異物送出手段6としては、例えば図5(a)に示すプッシャー63を適用することも可能である。なお、図5(a)の実施例においても分級装置5及びプッシャー63をほぼ水平に設けているが、図5(b)に示すように、分級装置5を異物排出路4に向けて下り傾斜を有するように斜めに設け、プッシャー63も同じ傾斜状態に設けることが可能である。因みに、この場合も分級装置の傾斜61とプッシャー63との双方が、異物送出手段6に該当する。
なお異物送出手段6としてプッシャー63を用いた場合には、温度検出端81で検知する温度低下信号によって、開閉ゲート41を開放させ、プッシャー63を起動させることで、異物Wが分級装置5上から異物貯留ポット43側に押し出されるものである。
また図5(a)では開閉ゲート41を、回動して開閉させるいわゆるフラップバルブとして図示したが、異物検出センサ91を併設する場合には、図5(b)に示すように、スライドバルブの形態を採ることが好ましい(装置の全体構成の観点から)。
因みに、異物検出センサ91は、斜めに設置した分級装置5から転がり落ちてくる異物Wを検知する構成上、分級装置5を傾斜設置した場合の併用が好適であるが、スクリューコンベヤ62の場合には、スクリュー羽根62Bが異物排出路4に入り込む構造上、分級装置5を傾斜設置したとしても異物検出センサ91は設置しないのが一般的である。
【0041】
本発明の異物除去機構を具えたサイクロン1は、以上のような基本構造を有するものであって、以下、このサイクロン1の作動態様について主に図1に基づいて説明しながら、併せて異物除去機構について説明する。
(1)サイクロンの通常の分離・除去処理
排ガス導入口21からサイクロン1内に取り込まれた熱処理排ガスGは、サイクロン1内を旋回しながら、下方のダスト排出路3(ダスト排出装置7)に向けて送られる。その間に、サイクロン内壁との衝突によって、熱処理排ガスGに含まれるダストDが分離され、ダストDは分級装置5の選別孔51を通過してダスト排出路3に至り、ダスト排出装置7から排出される。ここでダスト排出路3のダスト吐出側には、例えば図2に示すようなダブルダンパ71等のダスト排出装置7が設けられており、サイクロン1内(サイクロン本体2内)の高温状態を維持しながらダストDの排出(取り出し)が行われる。つまり、ダストDをサイクロン1から排出するには、まず上側のダンパのみを開放して、上側と下側のダンパの間にダストDを送り込んだ後(落下させた後)、今度は上側のダンパを閉鎖した状態で下側のダンパを開放して、ダストDをサイクロン1外に排出するものである。このようにダストDの取り出しにあたっては、上下のダンパをともに開放することがないようにしてダストDの取り出しを行うものである。
また、熱処理排ガスGからダストDが分離・除去された後のダスト除去エアAについては、サイクロン1の上方(エア吐出口22)から排出するものである。
【0042】
(2)異物のサイクロン内壁への付着・成長
このようなサイクロン1の通常の分離・除去処理の間に、熱処理排ガスGの種類や温度等によって、熱処理排ガスGに含まれる成分が化合物となってサイクロン1の内壁に異物Wとなって付着することがあり、これは時間とともに成長する。具体的にはP、K、Ca等が含まれる鶏糞等の畜糞を焼却処理し、且つ熱処理排ガスGの温度が約800℃等の高温である場合に、P、K、Ca等の成分を含む化合物である異物Wが付着・成長し易いものである。
【0043】
(3)分級装置による異物のキャッチ
なお、上述したP、K、Ca等の成分を含む化合物である異物Wは極めて硬く、サイクロン1の内壁から剥離して落下し、分級装置5に衝突しても粉砕することがなく、選別孔51よりも大きなもの(異物W)が分級装置5によりキャッチされる。もちろん選別孔51のサイズよりも小さい異物Wは、分級装置5を通り抜けてダストDとともに排出(回収)されるものである。言い換えれば、ダストDとともに排出(処理)して支障のないサイズ、あるいはダスト吐出部を閉塞する虞のないサイズの異物Wを通過させ、これよりも大きいものを捕捉するように、分級装置5の選別孔51の大きさが予め設定されるものである。
【0044】
(4)異物排出路への異物の移送(排出)
分級装置5によってキャッチ(捕捉)された異物Wは、異物送出手段6によって分級装置5上を積極的に異物排出路4に向けて送られる。この異物送出手段6としては、例えば分級装置5に予め付与された傾斜61が挙げられ、この場合には、分級装置5によってキャッチされた異物Wが、異物排出路4に向けて分級装置5上を自然に滑り落ち(または転がり落ち)、開閉ゲート41に至るものである。
開閉ゲート41に到達した異物Wは、例えば開閉ゲート41付近に設けられている異物検出センサ91に接触するため(図1参照)、この信号によりエアシリンダ42等が自動的に作動して開閉ゲート41が開放される。もちろん異物検出センサ91は必ずしも設けられるものではなく、開閉ゲート41の開放を定期的(予め設定した一定時間経過毎)に行う場合等には不要である。
このようにして異物排出路4内に送られた異物Wは、この経路内を自然に落下して行き、最終的には異物貯留ポット43に到達し、ここに一時貯留される。
なお、上記説明では、通常時には開閉ゲート41を閉鎖したままとし、異物Wを異物排出路4内に送り込むときだけ開放させる形態を採るようにしており、これはダストDの異物排出路4への移送を抑制するためである。従って、ダストDの一部を異物Wとともに異物貯留ポット43に移送しても構わない場合等には開閉ゲート41を常に開放したままににする、または開閉ゲート41そのものを設けないこともあり得る。
【0045】
以上述べたように本発明では、サイクロン1の異物Wによる閉塞を防止するものであるが、ダブルダンパ71のうちの上側のダンパの筐体表面72に温度検出端81を設け、サイクロン1の稼働中は、常に、この温度を検出することが好ましい。そして、温度検出端81の温度低下信号や、上記異物検出センサ91の検知信号により、サイクロン内から落下した異物Wが分級装置5上に存在する(滞留)と判断して、異物除去等の対応を採るものである。
ここで筐体表面72の温度低下で滞留検知と判断するのは、滞留が生じていない場合、ダスト排出路3には、サイクロン1(サイクロン本体2)内から流れてくるダストD及びガスにより機器温度が上昇するものであり、分級装置5に異物Wが滞留した場合に、高温のダストDやガスがダスト排出路3に流れて来なくなり、ダスト排出路3の機器温度が低下するためである。
また温度によって滞留を判断する本手法であれば、オペレータの経験や熟練度に依存することなく、誰でも客観的に滞留の判断が行えるものである。しかも、ダスト排出路3の温度変化は滞留発生からの反応が早いため(滞留を起こす分級装置5に極めて近い部位の温度で判断するため)、温度による検知は滞留を早期に検知でき(滞留の極めて初期の段階で検知でき)、その分、滞留を起こした異物Wの除去作業も容易となるものである。
【0046】
なお、上記説明では、主に熱処理炉から排出される熱処理排ガスGを直接サイクロン1に導入する場合を想定して説明したが、熱処理炉から排出される熱処理排ガスGを一旦、熱交換器に導入した後、ここからの熱処理排ガスをサイクロン1に導入すること(熱処理排ガスGを間接的にサイクロン1に導入する形態)も可能である。
また、上記説明では、異物除去機構を一体的に具えた(組み込んだ)サイクロン1について説明したが、異物排出路4や分級装置5等の異物除去機構の主たる構成要素を、従来のサイクロンに後付けして本発明のサイクロン1を実現できるように、異物排出路4や分級装置5をサイクロンとは独立した構成ユニットとして形成することも可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 サイクロン(異物除去機構を具えたサイクロン)
2 サイクロン本体
3 ダスト排出路
4 異物排出路
5 分級装置
6 異物送出手段
7 ダスト排出装置
8 温度検出手段
9 異物検出手段

2 サイクロン本体
21 排ガス導入口
22 エア吐出口

3 ダスト排出路

4 異物排出路
41 開閉ゲート
42 エアシリンダ
43 異物貯留ポット

5 分級装置
51 選別孔
52 補強材

6 異物送出手段
61 分級装置の傾斜
62 スクリューコンベヤ
62A トラフ
62B スクリュー羽根(軸)
63 プッシャー

7 ダスト排出装置
71 ダブルダンパ
72 筐体表面

8 温度検出手段
81 温度検出端

9 異物検出手段
91 異物検出センサ
91A センシングロッド

W 異物(付着物・成長物)
G 熱処理排ガス
D ダスト
A ダスト除去エア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱処理炉から排出される熱処理排ガスをサイクロンに導入し、サイクロン内で熱処理排ガスを旋回させながら熱処理排ガス中に含まれるダストを分離・除去するにあたり、
前記サイクロンは、導入した熱処理排ガスを旋回させるためのサイクロン本体に対し、主に熱処理排ガスから分離したダストをサイクロン本体から受け入れるダスト排出路と、サイクロンの稼働中にサイクロンの内壁で付着・成長した異物をサイクロン本体から受け入れる異物排出路とが、二股状に形成されて成り、
この二股状部分には、選別孔を有した分級装置を設け、サイクロンの内壁で選別孔よりも大きく成長した異物が落下した場合に、前記分級装置によって、この異物をキャッチし異物排出路に送るようにするとともに、選別孔よりも小さいダストや異物については分級装置を通過させてダスト排出路に送るようにしたことを特徴とするサイクロンの異物除去機構。
【請求項2】
前記分級装置によりキャッチした異物については、分級装置から異物排出路に送る異物送出手段を設けたことを特徴とする請求項1記載のサイクロンの異物除去機構。
【請求項3】
前記分級装置によりキャッチした異物を分級装置から異物排出路に送り込む異物送出手段としては、キャッチした異物を異物排出路に向けて自然落下させ得る分級装置の傾斜、スクリューコンベヤによる移送、プッシャーによる押し出しのうちの少なくとも一つが適用されることを特徴とする請求項2記載のサイクロンの異物除去機構。
【請求項4】
前記サイクロンは、ダスト排出路の吐出側にダスト排出装置が設けられるものであり、
このダスト排出装置の筐体表面、または分級装置からダスト排出装置までの間のダスト排出路に、温度検出端を設け、該温度の低下により、分級装置上での異物の滞留を検知するようにしたことを特徴とする請求項1、2または3記載のサイクロンの異物除去機構。
【請求項5】
前記サイクロンは、分級装置によりキャッチした異物を検知する異物検出センサを設けるようにしたことを特徴とする請求項1、2、3または4記載のサイクロンの異物除去機構。
【請求項6】
前記異物排出路は、分級装置から異物を受け入れる受入口に開閉自在のゲートが設けられものであり、
このゲートは、前記温度検出端の温度低下信号および/または前記異物検出センサの異物検知信号によって分級装置上に異物の存在を検知した場合に開放されることを特徴とする請求項4または5記載のサイクロンの異物除去機構。
【請求項7】
前記サイクロンには、鶏糞を焼却した際の熱処理排ガスが導入されることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載のサイクロンの異物除去機構。
【請求項8】
ダストを含む熱処理排ガスを導入し、装置内部で熱処理排ガスを旋回させながら熱処理排ガス中に含まれるダストを分離・除去するサイクロンにおいて、
前記サイクロンは、請求項1、2、3、4、5、6または7記載の異物除去機構を具えたことを特徴とするサイクロン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−179544(P2012−179544A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43802(P2011−43802)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000149310)株式会社大川原製作所 (64)
【Fターム(参考)】