説明

サイズプレス塗布におけるシェーディング用の酸性染料水溶液

本発明は、シェーディング染料と、ジアミノスチルベン誘導体と、結着剤と、保護ポリマーと、任意選択で、高品質インクジェット印刷に適した基材を包含する基材の光学的増白に使用することができる二価金属塩とを含む液体サイズ組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シェーディング染料と、ジアミノスチルベン誘導体と、結着剤と、保護ポリマーと、場合により、高品質インクジェット印刷に適した基材を包含する基材の光学的増白に使用することができる二価金属塩とを含む液体サイズ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シェーディング染料の使用時に明度が低下する問題は、広く知られている問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願第2007/0277950号
【特許文献2】欧州特許出願公開第884,312号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第899,373号
【特許文献4】国際公開02/055646号
【特許文献5】国際公開2006/061399号
【特許文献6】国際公開2007/017336号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】G. A. Smook著のHandbook for Pulp & Paper Technologists、第2版、283〜286頁、Angus Wilde Publications、1992年
【非特許文献2】G. A. Smook著のHandbook for Pulp & Paper Technologists、第2版、第13章および第15章の各々、Angus Wilde Publications、1992年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
驚くべきことに、本発明者らは、今回、製紙業者が白色度(whiteness)および明度(brightness)を高レベルにすることができるように、白色度には非常に良い影響を及ぼすが、明度にはほとんどまたはまったく影響を及ぼさず、かつ光学的増白剤(optical brightness)と、保護ポリマーと、結着剤と、場合により二価金属塩とを含むサイズ組成物において使用することができる、いくつかのシェーディング染料(shading dyes)を発見した。
【0006】
したがって、本発明の目的は、技術水準として認められているシェーディング染料の使用を特徴とする欠点(明度の損失)を回避しながら高白色度レベルを増大させる、ジアミノスチルベン誘導体光学的増白剤と、いくつかのシェーディング染料と、保護ポリマーと、結着剤と、場合により二価金属塩とを含有する水性サイズ組成物を提供することである。
【0007】
したがって、本発明の目的は、明度の損失を著しく低くさせる、酸性染料とジアミノスチルベン誘導体光学的増白剤とを含有する液体サイズ組成物を提供することである。
【0008】
好ましくは、本発明の方法は、液体サイズ組成物が少なくとも1種の保護ポリマーを含有していることを特徴とする。
【0009】
好ましくは、本発明の方法はまた、液体サイズ組成物がさらに少なくとも1種の二価金属塩を含有していることを特徴とする。
【0010】
本発明はさらに、少なくとも1種の酸性染料と少なくとも1種の光学的増白剤とを含有する水性サイズ組成物を使用することを特徴とする表面着色用方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、基材、好ましくは、紙の光学的増白用の水性サイズ組成物であって、
(a)0.0001〜0.005重量%の式(1)の酸性染料
【0012】
【化1】

(式中、R1は、H、メチルまたはエチルを示し、R2は、パラメトキシフェニル、メチルまたはエチルを示し、Mは、アルカリ金属陽イオンを示す)
(b)以下から選択される0.000002〜0.0027重量%の少なくとも1種の保護ポリマー
(i)ポリビニルアルコール、またはカルボン酸含有ポリビニルアルコール;
(ii)アクリルアミド、アクリル酸またはメタクリル酸のホモポリマー;
(iii)アクリル酸またはメタクリル酸とアクリルアミドまたはメタクリルアミドとのコポリマー;
(iv)ポリエチレングリコール;
(c)0.01〜2重量%の少なくとも1種の式(2)の光学的増白剤;
【0013】
【化2】

(但し、増白剤の陰イオン電荷は、水素、アルカリ金属陽イオン、アルカリ土類金属、アンモニウム、C1〜C4の直鎖状もしくは分岐状アルキル基で一、二もしくは三置換されたアンモニウム、C1〜C4の直鎖状もしくは分岐状ヒドロキシアルキル基で一、二もしくは三置換されたアンモニウム、または前記化合物の混合物からなる群から選択される1個または複数の同一または異なる陽イオンからできている陽イオン電荷によって平衡が保たれており、
およびR3’は、同一でも異なっていてもよく、各々は、水素、C1〜C4直鎖状もしくは分岐状アルキル、C2〜C4直鎖状もしくは分岐状ヒドロキシアルキル、CHCO、CHCHCONH、またはCHCHCNであり、
およびR4’は、同一でも異なっていてもよく、各々は、C1〜C4直鎖状または分岐状アルキル、C2〜C4直鎖状または分岐状ヒドロキシアルキル、CHCO、CH(CO)CHCO、CH(CO)CHCHCO、CHCHSO、ベンジルであり、あるいは
およびRならびに/またはR3’およびR4’は、隣接する窒素原子と一緒になって、モルホリン環を示し、
pは、0、1、または2である)
(d)1〜30重量%の少なくとも1種の結着剤;
(e)場合により、0.1〜10重量%の少なくとも1種の二価金属塩;
(f)場合により、殺生物剤(biozide)、および
(g)残りは全体を100重量%にする量の水
を含む水性サイズ組成物を提供する。
【0014】
成分(a)と(b)と(c)と(d)と(e)と(f)と(g)とを含むこの組成物を、好ましくは、サイズプレスにおいて紙をサイジングするのに使用する。したがって成分(a)と(b)と(c)と(d)と(e)と(f)と(g)とを含む組成物は、コート紙の製造に使用する水性サイズ組成物である。
【0015】
pが1の場合の光学的増白剤では、SO基は、好ましくは、フェニル基の4位にある。
【0016】
pが2の場合の光学的増白剤では、SO基は、好ましくは、フェニル基の2,5位にある。
【0017】
好ましい式(2)の化合物は、
増白剤の陰イオン電荷が、水素、アルカリ金属陽イオン、アルカリ土類金属、C1〜C4の直鎖状もしくは分岐状ヒドロキシアルキル基で一、二もしくは三置換されたアンモニウム、または前記化合物の混合物からなる群から選択される1個または複数の同一または異なる陽イオンからなる陽イオン電荷によって平衡が保たれており、
およびR3’が、同一でも異なっていてもよく、各々が、水素、C1〜C4直鎖状もしくは分岐状アルキル、C2〜C4直鎖状もしくは分岐状ヒドロキシアルキル、CHCO、CHCHCONH、またはCHCHCNであり、
およびR4’が、同一でも異なっていてもよく、各々が、C1〜C4直鎖状もしくは分岐状アルキル、C2〜C4直鎖状もしくは分岐状ヒドロキシアルキル、CHCO、CH(CO)CHCO、またはCH(CO)CHCHCOであり、
pが、0、1、または2のものである。
【0018】
より好ましい式(2)の化合物は、
増白剤の陰イオン電荷が、Li、Na、K、Ca、Mg、C1〜C4の直鎖状もしくは分岐状ヒドロキシアルキル基で一、二、もしくは三置換されたアンモニウム、または前記化合物の混合物からなる群から選択される1個または複数の同一または異なる陽イオンからなる陽イオン電荷によって平衡が保たれており、
およびR3’が、同一でも異なっていてもよく、各々が、水素、メチル、エチル、α−メチルプロピル、β−メチルプロピル、β−ヒドロキシエチル、β−ヒドロキシプロピル、CHCO、CHCHCONH、またはCHCHCNであり、
およびR4’が、同一でも異なっていてもよく、各々が、メチル、エチル、α−メチルプロピル、β−メチルプロピル、β−ヒドロキシエチル、β−ヒドロキシプロピル、CHCO、またはCH(CO)CHCOであり、
pが、0、1、または2のものである。
【0019】
特に好ましい式(2)の化合物は、
増白剤の陰イオン電荷が、Na、Kおよびトリエタノールアミンまたは前記化合物の混合物からなる群から選択される1個または複数の同一または異なる陽イオンからなる陽イオン電荷によって平衡が保たれており、
およびR3’が、同一でも異なっていてもよく、各々が、水素、エチル、β−ヒドロキシエチル、β−ヒドロキシプロピル、CHCO、またはCHCHCNであり、
およびR4’が、同一でも異なっていてもよく、各々が、エチル、β−ヒドロキシエチル、β−ヒドロキシプロピル、CHCO、またはCH(CO)CHCOであり、
pが、2のものである。
【0020】
結着剤は、天然デンプン、酵素変性デンプン、および化学変性デンプンからなる群から選択する。変性デンプンは、好ましくは、酸化デンプン、ヒドロキシエチル化デンプン、またはアセチル化デンプンである。天然デンプンは、好ましくは、陰イオンデンプン、陽イオンデンプン、または両性デンプンである。デンプン源はどれでもよいが、好ましくは、デンプン源は、トウモロコシ、コムギ、ジャガイモ、イネ、タピオカ、またはサゴである。
【0021】
サイズ組成物中の結着剤の濃度は、1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%、最も好ましくは5〜15重量%とすることができる。
【0022】
好ましい二価金属塩は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、ギ酸カルシウム、ギ酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、クエン酸カルシウム、クエン酸マグネシウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸マグネシウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸マグネシウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸マグネシウム、亜硫酸水素カルシウム、亜硫酸水素マグネシウム、亜ジチオン酸カルシウム、亜ジチオン酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、チオ硫酸カルシウム、チオ硫酸マグネシウム、または前記化合物の混合物からなる群から選択する。
【0023】
より好ましい二価金属塩は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、チオ硫酸カルシウム、もしくはチオ硫酸マグネシウム、または前記化合物の混合物からなる群から選択する。
【0024】
特に好ましい二価金属塩は、塩化カルシウムもしくは塩化マグネシウムまたは前記化合物の混合物からなる群から選択する。
【0025】
サイズ組成物が二価金属塩を含有する場合、サイズ組成物中の二価金属塩の濃度は、1〜100g/l、好ましくは2〜75g/l、最も好ましくは5〜50g/lとすることができる。
【0026】
二価金属塩が1種または複数のカルシウム塩および1種または複数のマグネシウム塩の混合物である場合、カルシウム塩の量は、0.1〜99.9%の範囲とすることができる。
【0027】
成分(b)として使用することができるポリエチレングリコールは、平均分子量が100〜8000の範囲内、好ましくは200〜6000の範囲内、最も好ましくは300〜4500の範囲内である。成分(b)として使用する場合、染料溶液中での含有量は、0.1〜10%、好ましくは0.1〜7%、最も好ましくは0.4〜6%とすることができる。
【0028】
成分(b)として使用することができるポリビニルアルコールは、加水分解度が60%以上、ブルックフィールド粘度が20℃の4%水溶液では2〜40mPa.sである。好ましくは、加水分解度は69%〜95%、ブルックフィールド粘度は2〜20mPa.s(20℃の4%水溶液)である。最も好ましくは、加水分解度は69%〜90%、ブルックフィールド粘度は2〜20mPa.s(20℃の4%水溶液)である。成分(b)として使用する場合、染料溶液中での含有量は、0.1〜6%、好ましくは0.1〜5%、最も好ましくは0.2〜5%とすることができる。
【0029】
成分(b)として使用することができるカルボン酸含有ポリビニルアルコールは、加水分解度が60%以上、ブルックフィールド粘度が20℃の4%水溶液では2〜40mPa.sである。好ましくは、加水分解度は70%〜95%、ブルックフィールド粘度は2〜35mPa.s(20℃の4%水溶液)である。最も好ましくは、加水分解度は70%〜90%、ブルックフィールド粘度は2〜30mPa.s(20℃の4%水溶液)である。成分(b)として使用する場合、染料溶液中での含有量は、0.1〜6%、好ましくは0.1〜5%、最も好ましくは0.2〜5%とすることができる。
【0030】
成分(b)として使用することができるアクリルアミドのポリマーは、ブルックフィールド粘度が20〜25℃の0.5〜20%水溶液では100〜40000mPa.sである。好ましくは、粘度は100〜30000mPa.s(20〜25℃の0.5〜20%水溶液)である。最も好ましくは、粘度は100〜10000mPa.s(20〜25℃の0.5〜20%水溶液)である。成分(b)として使用する場合、染料溶液中での含有量は、0.05〜3%、好ましくは0.05〜2%、最も好ましくは0.05〜1.5%とすることができる。
【0031】
成分(b)として使用することができるアクリル酸またはメタクリル酸のポリマーは、ブルックフィールド粘度が20℃の7〜8%水溶液では100〜40000mPa.sである。ポリマーは、場合により、部分的または完全な塩の形で使用することができる。好ましい塩は、Na、K、Ca、Mg、アンモニウム、または直鎖状もしくは分岐状のアルキルもしくはヒドロキシアルキル基で一、二もしくは三置換されたアンモニウムである。好ましくは、粘度は、1000〜30000mPa.s(20℃の7〜8%水溶液)である。最も好ましくは、粘度は、5000〜20000mPa.s(20℃の7〜8%の水溶液)である。成分(b)として使用する場合、染料溶液中での含有量は、0.1〜6%、好ましくは0.1〜5%、最も好ましくは0.2〜5%とすることができる。
【0032】
成分(b)として使用することができるアクリル酸およびアクリルアミドとのコポリマーは、ブルックフィールド粘度が20℃の0.1%水溶液では1〜100mPa.sである。コポリマーは、ブロックコポリマーまたは架橋コポリマーとすることができる。コポリマーは、場合により、部分的または完全な塩の形で使用することができる。好ましい塩は、Na、K、Ca、Mg、アンモニウム、または直鎖状もしくは分岐状のアルキルもしくはヒドロキシアルキル基で一、二もしくは三置換されたアンモニウムである。好ましくは、粘度は、1〜80mPa.s(20℃の0.1%水溶液)である。最も好ましくは、粘度は、1〜50mPa.s(20℃の0.1%の水溶液)である。成分(b)として使用する場合、染料溶液中での含有量は、0.1〜6%、好ましくは0.1〜5%、最も好ましくは0.2〜5%とすることができる。
【0033】
成分(b)として使用することができるメタクリル酸とメタクリルアミドとのコポリマーは、ブルックフィールド粘度が20℃の8%水溶液では1〜100000mPa.sである。コポリマーは、ブロックコポリマーまたは架橋コポリマーとすることができる。コポリマーは、場合により、部分的または完全な塩の形で使用することができる。好ましい塩は、Na、K、Ca、Mg、アンモニウム、または直鎖状もしくは分岐状のアルキルもしくはヒドロキシアルキル基で一、二もしくは三置換されたアンモニウムである。好ましくは、粘度は、10000〜80000mPa.s(20℃の8%水溶液)である。最も好ましくは、粘度は、40000〜50000mPa.s(20℃の8%の水溶液)である。成分(b)として使用する場合、染料溶液中での含有量は、0.1〜6%、好ましくは0.1〜5%、最も好ましくは0.2〜4%とすることができる。
【0034】
サイズ組成物のpH値は、一般に5〜13、好ましくは6〜11の範囲内にある。
【0035】
サイズ組成物はさらに、光学的増白剤ならびに他の従来の紙用添加剤の調製中に形成される副生成物を含有することができる。こうした添加剤の例は、不凍剤、殺生物剤、消泡剤、ワックスエマルジョン、無機塩、可溶化補助剤、保存剤、錯化剤、増粘剤、表面サイズ剤、架橋剤、顔料、特殊な樹脂などである。
【0036】
サイズ組成物は、光学的増白剤、シェーディング染料、保護ポリマー、および場合により二価金属塩を、事前に形成した結着剤水溶液に20℃〜90℃の温度で添加することによって調製する。
【0037】
サイズ組成物は、保護ポリマーと、光学的増白剤と、場合により二価金属塩とを含有するシェーディング染料溶液を、事前に形成した結着剤水溶液に20℃〜90℃の温度で添加することによって調製する。
【0038】
あるいは、単一成分を別々に添加し、次いで混合することもできる。しかし、多くの場合、酸性染料および保護ポリマーからストック溶液を製造し、このストック溶液をさらなる成分と混合することが有利かもしれない。
【0039】
サイズ組成物は、当技術分野で周知の任意の表面処理方法によって紙基材の表面に塗布することができる。塗布方法の例としては、サイズプレス塗布、カレンダーサイズ塗布(calendar size application)、タブサイジング法、コート塗布、およびスプレー塗布が挙げられる。(例えば、G. A. Smook著のHandbook for Pulp & Paper Technologists、第2版、283〜286頁、Angus Wilde Publications、1992年(非特許文献1)、および米国特許出願第2007/0277950号(特許文献1)を参照されたい。)塗布の好ましい方法は、パドルサイズプレスなどのサイズプレスである。事前成形した紙シートを、サイズ組成物で満たした2ロールニップに通す。紙は組成物をいくらか吸収し、残りはニップで除去される。
【0040】
紙基材は、任意の繊維性植物から入手することができるセルロース繊維のウェブを含有する。好ましくは、セルロース繊維は、広葉樹および/または針葉樹から入手する。繊維は、バージン繊維でも、リサイクル繊維でも、バージン繊維およびリサイクル繊維の任意の組合せでもよい。
【0041】
紙基材に含有されるセルロース繊維は、例えば、G. A. Smook著のHandbook for Pulp & Paper Technologists、第2版、第13章および第15章の各々、Angus Wilde Publications、1992年(非特許文献2)に記載されるような物理的および/または化学的方法によって改質することができる。セルロース繊維の化学的改質の一例は、例えば、欧州特許出願公開第884,312号(特許文献2)、欧州特許出願公開第899,373号(特許文献3)、国際公開02/055646号(特許文献4)、国際公開2006/061399号(特許文献5)、および国際公開2007/017336号(特許文献6)に記載されるような光学的増白剤の添加である。
【0042】
特に好ましい式(2)の光学的増白剤の一例は、式(3)によって記述される。式(3)の光学的増白剤を合成するための調製方法は、よく知られている。
【0043】
【化3】

【実施例】
【0044】
以下の実施例は、本発明をより詳細に実証するものである。本出願では、別段の指示がない限り、「部」は「重量部」を意味し、「%」は「重量%」を意味し、粘度は、DIN53214に従って、スピンドルN°18を使用し、ブルックフィールド粘度計を使用して20℃で測定する。ポリビニルアルコールの粘度は、DIN53015に従ってヘプラー粘度計で測定する。
【0045】
染料溶液に、殺生物剤、例えば、Proxel(商標)GXL(Proxelは、Zeneca AG Products,Inc.の商標であり、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(CAS番号:2634−33−5)を含む)を任意選択で添加することができる。
【0046】
以下の溶液またはサイズ組成物の個々の部の添加順序を以下に概説するが、言及したものに限定されるわけではない。しかし、添加順序は、一般には重要ではない。
【0047】
調製例1
50〜60℃の温水567gに、Acid Violet49(95%材料)73.4gを撹拌しながら60分以内で添加する。溶液が生じている間、撹拌を60℃でさらに1時間継続する。次いで、ろ過助剤を使用して、染料溶液を清澄化する。その後、加水分解度69.5〜72.5%およびブルックフィールド粘度5〜5.8mPa.sを有するポリビニルアルコール2.8gを、80〜90℃の脱イオン水約104mlに、この温度で1時間撹拌させることで溶解させる。この淡黄色溶液を室温に冷却した後、それを染料溶液に注ぐ。さらに脱イオン水を添加して、711.5gの染料溶液を得る。室温への冷却後、溶液は安定なままであり、pHは6.5〜7.5の範囲にある。
【0048】
このようにして得た溶液試料は、0℃で2週間保存した後でも安定であり、分離またはストリークを発生することなく溶けていた。同様に、50℃で2週間保存し、室温に冷却させた試料も、分離またはストリークの発生は観察されなかった。
【0049】
調製例2
染料溶液は例1と同じ手順に従って得られるが、唯一異なるのは、加水分解度69.5〜72.5%およびブルックフィールド粘度5〜5.8mPa.sを有するポリビニルアルコール14.2gを使用することである。溶液のpHは、6.5〜7.0の範囲にある。
【0050】
調製例3
染料溶液は例1と同じ手順に従って得られるが、唯一異なるのは、加水分解度約88%およびブルックフィールド粘度7.0〜9.0mPa.sを有するポリビニルアルコール2.8gを使用することである。溶液のpHは、6.5〜7.5の範囲にある。
【0051】
調製例4
50〜60℃の温水567gに、Acid Violet49(95%材料)73.4gを撹拌しながら60分以内で添加する。溶液が生じている間、撹拌を60℃でさらに30分間継続する。その後、加水分解度約85%およびブルックフィールド粘度3.4〜4.0mPa.sを有するポリビニルアルコール3.6gを添加する。混合物を60℃でさらに30分間撹拌し、脱イオン水で希釈して、711.5gの溶液を得る。室温への冷却後、溶液は安定なままであり、pHは6.5〜7.5の範囲にある。
【0052】
調製例5
染料溶液は例1と同じ手順に従って得られるが、唯一異なるのは、ポリアクリルアミド3.6gを3.3%水溶液109.1gの形で使用することである。このポリアクリルアミドの透明な3.3%水溶液は、ブルックフィールド粘度が20℃で105mPa.sである。染料溶液のpHは、6.5〜7.0の範囲にある。
【0053】
調製例6
染料溶液は例4と同じ手順に従って得られるが、唯一異なるのは、ポリアクリルアミド3.6gを20%水溶液18gの形で使用することである。このポリアクリルアミドの透明な20%水溶液は、ブルックフィールド粘度が25℃で500〜1000mPa.sである。染料溶液のpHは、6.5〜7.0の範囲にある。
【0054】
調製例7
染料溶液は例4と同じ手順に従って得られるが、唯一異なるのは、ポリアクリルアミド3.6gを使用することである。このポリアクリルアミドの透明な0.5%水溶液は、ブルックフィールド粘度が25℃で120mPa.sである。染料溶液のpHは、6.0〜6.5の範囲にある。
【0055】
調製例8
染料溶液は例4と同じ手順に従って得られるが、唯一異なるのは、ポリアクリルアミド3.6gを使用することである。このポリアクリルアミドの透明な0.5%水溶液は、ブルックフィールド粘度が25℃で約240mPa.sである。染料溶液のpHは、6.0〜6.5の範囲にある。
【0056】
調製例9
染料溶液は例4と同じ手順に従って得られるが、唯一異なるのは、ポリアクリルアミド3.6gを使用し、80℃で溶解させることである。このポリアクリルアミドの透明な10%水溶液は、ブルックフィールド粘度が25℃で約320mPa.sである。染料溶液のpHは、約6.5である。
【0057】
調製例10
50〜60℃の温水567gに、Acid Violet49(95%材料)36.7gを撹拌しながら60分以内で添加する。溶液が生じている間、撹拌を60℃でさらに1時間継続する。次いで、ろ過助剤を使用して、染料溶液を清澄化する。その後、ポリアクリルアミド3.6gを3.3%水溶液109.1gの形で添加する。さらに脱イオン水を添加して、711.5gの染料溶液を得る。室温への冷却後、溶液は安定なままであり、pHは6.0〜6.5の範囲にある。このポリアクリルアミドの透明な3.3%水溶液は、ブルックフィールド粘度が20℃で105mPa.sである。
【0058】
調製例11
染料溶液は例10と同じ手順に従って得られるが、唯一異なるのは、平均分子量1500を有するポリエチレングリコール35.6gを使用することである。染料溶液のpHは、約6.0である。
【0059】
調製例12
染料溶液は例10と同じ手順に従って得られるが、唯一異なるのは、0.1%水溶液において20℃でのブルックフィールド粘度2〜3mPa.sを有するポリ(アクリルアミド−co−アクリル酸)3.6gを使用することである。染料溶液のpHは、6.0〜6.5の範囲にある。
【0060】
調製例13
染料溶液は例10と同じ手順に従って得られるが、唯一異なるのは、加水分解度85%〜90%および4%水溶液において20℃でのブルックフィールド粘度20〜30mPa.sを有するカルボン酸含有ポリビニルアルコール17.8gを使用することである。染料溶液のpHは、約6.0である。
【0061】
調製例14
ポリ(メタクリルアミド−co−メタクリル酸)の調製:ラジカル開始剤Vazo68 0.15部を、メタクリル酸43.25部、メタクリルアミド43.18部、および脱塩水1000部と混合する。混合物を窒素下で1時間かけて74〜76℃に撹拌かつ加熱する。74〜76℃で10分した後、撹拌を停止し、混合物を74〜76℃で16時間放置する。水酸化ナトリウム水溶液(33%)45.6部を添加し、撹拌を再開始し、温度を室温に低下させる。最終生成物のpHは約7.0〜8.0であり、粘度は20℃で約40000〜50000mPa.sである。
【0062】
このようにして形成した水溶液(1132部)は、ポリ(メタクリルアミド−co−メタクリル酸)をそのナトリウム塩として約90部含有する。
【0063】
調製例15
染料溶液は例10と同じ手順に従って得られるが、唯一異なるのは、調製例14に従って調製したポリ(メタクリルアミド−co−メタクリル酸)7.1gが、88.9gの水溶液形状にある。染料溶液のpHは、6.5〜7.0の範囲にある。
【0064】
調製例16
50〜60℃の温水567gに、Acid Violet17(95%材料)73.4gを撹拌しながら60分以内で添加する。溶液が生じている間、撹拌を60℃でさらに30分間継続する。次いで、ろ過助剤を使用して、染料溶液を清澄化する。その後、加水分解度69.5〜72.5%およびブルックフィールド粘度5〜5.8mPa.sを有するポリビニルアルコール2.8gを添加する。混合物を80℃に加熱し、この温度でさらに60分間撹拌し、脱イオン水で希釈して、711.5gの溶液を得る。室温への冷却後、溶液は安定なままであり、pHは6.5〜7.5の範囲にある。
【0065】
調製例17
染料溶液は例16と同じ手順に従って得られるが、唯一異なるのは、加水分解度69.5〜72.5%およびブルックフィールド粘度5〜5.8mPa.sを有するポリビニルアルコール14.2gを使用することである。溶液のpHは、6.5〜7.0の範囲にある。
【0066】
調製例18
染料溶液は例16と同じ手順に従って得られるが、唯一異なるのは、加水分解度約88%およびブルックフィールド粘度7.0〜9.0mPa.sを有するポリビニルアルコール2.8gを使用することである。溶液のpHは、6.5〜7.5の範囲にある。
【0067】
調製例19
染料溶液は例16と同じ手順に従って得られるが、唯一異なるのは、ポリアクリルアミド3.6gを使用することである。このポリアクリルアミドの透明な0.5%水溶液は、ブルックフィールド粘度が25℃で約240mPa.sである。染料溶液のpHは、6.0〜6.5の範囲にある。
【0068】
調製例20
染料溶液は例16と同じ手順に従って得られるが、唯一異なるのは、ポリアクリルアミド3.6gを使用し、80℃で溶解させることである。このポリアクリルアミドの透明な10%水溶液は、ブルックフィールド粘度が25℃で320mPa.sである。染料溶液のpHは、約6.5である。
【0069】
比較例1
染料溶液は例1と同じ手順に従って得られるが、唯一異なるのは、保護ポリマーを添加しないことである。染料溶液のpHは、約7.0である。
【0070】
比較例2
染料溶液は例10と同じ手順に従って得られるが、唯一異なるのは、保護ポリマーを添加しないことである。染料溶液のpHは、約7.0である。
【0071】
比較例3
染料溶液は例16と同じ手順に従って得られるが、唯一異なるのは、保護ポリマーを添加しないことである。染料溶液のpHは、約7.0である。
【0072】
応用例1 CaClを用いた場合
調製例4に従って調製した染料溶液を、0.01%の濃度に希釈する。
【0073】
濃度範囲が0〜0.03g/lの希釈染料溶液を、塩化カルシウム(35g/l)、式3の光学的増白剤(40g/l)の18.2%ストック溶液、および陰イオンデンプン(100g/l)(Penford Starch260)の撹拌している水溶液に60℃で添加することによって、サイズ組成物を調製する。サイズ溶液を放冷し、次いで、実験室用サイズプレスの移動ローラー間に注ぎ、市販の75g/mのAKD(アルキルケテン二量体)でサイジングされた漂白済み紙基材シートに塗布する。処理した紙を平床式乾燥機において70℃で5分間乾燥させる。
【0074】
乾燥させた紙を適当な状態にし、次いで、較正済みのAuto Elrepho分光光度計でCIE白色度および明度を測定する。結果を表1〜2に示す。
【0075】
MinoltaのCM−3700d分光光度計で光堅ろう性(light fastness)を測定し、結果を表3に示す。
【0076】
比較応用例1 CaClを用いた場合
比較例2に従って調製した染料溶液を、0.01%の濃度に希釈する。
【0077】
濃度範囲が0〜0.03g/lの希釈染料溶液を、塩化カルシウム(35g/l)、式3の光学的増白剤(40g/l)の18.2%ストック溶液、および陰イオンデンプン(100g/l)(Penford Starch260)の撹拌している水溶液に60℃で添加することによって、サイズ組成物を調製する。サイズ溶液を放冷し、次いで、実験室用サイズプレスの移動ローラー間に注ぎ、市販の75g/mのAKD(アルキルケテン二量体)でサイジングされた漂白済み紙基材シートに塗布する。処理した紙を平床式乾燥機において70℃で5分間乾燥させる。
【0078】
乾燥させた紙を適当な状態にし、次いで、較正済みのAuto Elrepho分光光度計でCIE白色度および明度を測定する。結果を表1〜2に示す。
【0079】
MinoltaのCM−3700d分光光度計で光堅ろう性を測定し、結果を表3および4に示す。
【0080】
応用例2 CaClを用いた場合
調製例10〜13および15に従って調製した染料溶液を、0.01%の濃度に希釈する。
【0081】
濃度範囲が0〜0.03g/lのこの希釈水溶液を、塩化カルシウム(35g/l)と式3の光学的増白剤(40g/l)の18.2%ストック溶液とを含有する陰イオンデンプン(100g/l)(Penford Starch260)の撹拌している水溶液に60℃で添加することによって、サイズ組成物を調製する。サイズ溶液を放冷し、次いで、実験室用サイズプレスの移動ローラー間に注ぎ、市販の75g/mのAKD(アルキルケテン二量体)でサイジングされた漂白済み紙基材シートに塗布する。処理した紙を平床式乾燥機において70℃で5分間乾燥させる。
【0082】
乾燥させた紙を適当な状態にし、次いで、MinoltaのCM−3700d分光光度計で光堅ろう性を測定し、結果を表4に示す。
【0083】
応用例3 CaClを用いた場合
調製例1〜3および5〜9ならびに比較例1に従って調製した染料溶液を、0.01%の濃度に希釈する。
【0084】
濃度範囲が0〜0.03g/lの希釈水溶液を、塩化カルシウム(35g/l)、式3の光学的増白剤(40g/l)の18.2%ストック溶液、および陰イオンデンプン(100g/l)(Penford Starch260)の撹拌している水溶液に60℃で添加することによって、サイズ組成物を調製する。サイズ溶液を放冷し、次いで、実験室用サイズプレスの移動ローラー間に注ぎ、市販の75g/mのAKD(アルキルケテン二量体)でサイジングされた漂白済み紙基材シートに塗布する。処理した紙を平床式乾燥機において70℃で5分間乾燥させる。
【0085】
乾燥させた紙を適当な状態にし、次いで、較正済みのAuto Elrepho分光光度計でCIE白色度および明度を測定する。結果を表5〜6に示す。
【0086】
MinoltaのCM−3700d分光光度計で光堅ろう性を測定し、結果を表7に示す。
【0087】
応用例4 CaClを用いない場合
調製例2、7、9および比較例1に従って調製した染料溶液を、0.01%の濃度に希釈する。
【0088】
濃度範囲が0〜0.03g/lのこの希釈水溶液を、撹拌している、式3の光学的増白剤(40g/l)の18.2%ストック溶液を含有する陰イオンデンプン(100g/l)(Penford Starch260)の水溶液に60℃で添加することによって、サイズ組成物を調製する。サイズ溶液を放冷し、次いで、実験室用サイズプレスの移動ローラー間に注ぎ、市販の75g/mのAKD(アルキルケテン二量体)でサイジングされた漂白済み紙基材シートに塗布する。処理した紙を平床式乾燥機において70℃で5分間乾燥させる。
【0089】
乾燥させた紙を適当な状態にし、MinoltaのCM−3700d分光光度計で光堅ろう性を測定する。結果を表8に示す。
【0090】
応用例5 CaClを用いた場合
調製例16〜20および比較例3に従って調製した染料溶液を、0.01%の濃度に希釈する。
【0091】
応用例2に従って、サイズ組成物を作製し、紙上に塗布する。乾燥させた紙を適当な状態にし、次いで、較正済みのAuto Elrepho分光光度計でCIE白色度および明度を測定する。結果を表9〜10に示す。
【0092】
応用例6 CaClを用いない場合
調製例17、18および比較例3に従って調製した染料溶液を、0.01%の濃度に希釈する。
【0093】
濃度範囲が0〜0.03g/lのこの希釈水溶液を、撹拌している、式3の光学的増白剤(40g/l)の18.2%ストック溶液を含有する陰イオンデンプン(100g/l)(Penford Starch260)の水溶液に60℃で添加することによって、サイズ組成物を調製する。サイズ溶液を放冷し、次いで、実験室用サイズプレスの移動ローラー間に注ぎ、市販の75g/mのAKD(アルキルケテン二量体)でサイジングされた漂白済み紙基材シートに塗布する。処理した紙を平床式乾燥機において70℃で5分間乾燥させる。
【0094】
乾燥させた紙を適当な状態にし、次いで、MinoltaのCM−3700d分光光度計で光堅ろう性を測定し、結果を表11に示す。
【0095】
応用例7 CaClを用いた場合 UV OFF
調製例16〜20および比較例3に従って調製した染料溶液を、0.01%の濃度に希釈する。
【0096】
濃度範囲が0〜0.03g/lのこの希釈染料溶液を、撹拌している、塩化カルシウム(35g/l)を含有する陰イオンデンプン(100g/l)(Penford Starch260)の水溶液に60℃で添加することによって、サイズ組成物を調製する。サイズ溶液を放冷し、次いで、実験室用サイズプレスの移動ローラー間に注ぎ、市販の75g/mのAKD(アルキルケテン二量体)でサイジングされた漂白済み紙基材シートに塗布する。処理した紙を平床式乾燥機において70℃で5分間乾燥させる。
【0097】
乾燥させた紙を適当な状態にし、次いで、較正済みのAuto Elrepho分光光度計でCIE白色度および明度を測定する。結果を表12〜13に示す。
【0098】
【表1】

【0099】
結果は、本発明(Acid Violet49溶液、ポリマーありおよびなし)が技術水準に相当するDirect Violet35よりも高いレベルの白色度をもたらすことを明らかに示している(表1)。
【0100】
【表2】

【0101】
結果は、本発明が技術水準に相当するDirect Violet35よりも著しく低い明度の損失をもたらすことを明らかに示している。シェーディング染料の添加レベルが最も高い場合での明度の損失(調製例4)は、Direct Violet35を使用したときの3.5%と比べてわずか0.7%である(表2)。
【0102】
【表3】

【0103】
調製例4に記載のポリビニルアルコールを含有するAcid Violet49溶液を用いて、サイズプレスでシェーディングした紙は、保護ポリマーを使用しない比較例2よりも良好な光堅ろう性をもたらす(表3)。
【0104】
【表4】

【0105】
調製例10〜13および15に従って合成した様々な保護ポリマーを含有するAcid Violet49溶液を用いて、サイズプレスでシェーディングした紙は、保護ポリマーなしの比較例2よりも良好な光堅ろう性をもたらす(表4)。平均分子量1500を有するポリエチレングリコール(調製例11)および調製例10に記載のポリアクリルアミドを用いた場合に最良の結果が得られる。
【0106】
【表5】

【0107】
Acid Violet49溶液(ポリマーありおよびなし)を用いた場合、白色度は、Direct Violet35の場合よりも高くなる(表5)。調製例3に記載のポリビニルアルコールならびに調製例8および5に記載のポリアクリルアミドを用いた場合に最良の結果が得られる。
【0108】
【表6】

【0109】
Acid Violet49溶液の添加レベルが最も高い場合の明度の損失は、わずか0.12%〜0.7%の範囲であり(調製例5、比較例1)、これは明度の著しい低下を示すDirect Violet35とは対照的である(表6)。調製例5、8、および9に記載のポリアクリルアミドを用いた場合に最良の結果が得られる。
【0110】
【表7】

【0111】
調製例2、6、および9に従って合成した様々な保護ポリマーを含有するAcid Violet49溶液を用いた、サイズプレスでシェーディングした紙は、保護ポリマーなしの比較例1と同様またはより良好な光堅ろう性をもたらす(表7)。調製例9に記載のポリアクリルアミドを用いた場合に最良の結果が得られる。
【0112】
【表8】

【0113】
サイズ組成物中にCaClが存在しないとき、調製例9に記載のポリアクリルアミドを用いた場合に最良の光堅ろう性が得られる(表8)。
【0114】
【表9】

【0115】
Acid Violet17溶液(ポリマーありおよびなし)を用いた場合、白色度は、Direct Violet35の場合よりも高くなる(表9)。白色度は、Acid Violet49で得られたものと類似している(表5)。
【0116】
【表10】

【0117】
Acid Violet17溶液(ポリマーありおよびなし)の添加レベルが最も高い場合でも、明度は、原紙(いずれの染料も含まない)のレベルよりも高く、これは明度の著しい低下を示すDirect Violet35とは対照的である(表10)。様々なポリマーで得られた結果は、非常に類似している。明度は、Acid Violet49で得られたものと類似している(表6)。
【0118】
【表11】

【0119】
調製例18に記載のポリビニルアルコールは、比較例3で得られたものよりも高い光堅ろう性をもたらす(表11)。
【0120】
【表12】

【0121】
光学的増白剤なしでも、白色度は、Direct Violet35の場合よりも高くなる(表12)。
【0122】
【表13】

【0123】
AV17溶液を使用した場合、光学的増白剤なしでも、明度は原紙のレベルよりも高く、これはDirect Violet35とは対照的である(表13)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)0.0001〜0.005重量%の式(1)の酸性染料
【化1】

(式中、R1は、H、メチルまたはエチルを示し、R2は、パラメトキシフェニル、メチルまたはエチルを示し、Mは、アルカリ金属陽イオンを示す)
(b)以下から選択される0.000002〜0.00225重量%の少なくとも1種の保護ポリマー
(i)ポリビニルアルコール、またはカルボン酸含有ポリビニルアルコール;
(ii)アクリルアミド、アクリル酸またはメタクリル酸のホモポリマー;
(iii)アクリル酸またはメタクリル酸とアクリルアミドまたはメタクリルアミドとのコポリマー;
(iv)ポリエチレングリコール;
(c)0.01〜2重量%の少なくとも1種の式(2)の光学的増白剤;
【化2】

(但し、増白剤の陰イオン電荷は、水素、アルカリ金属陽イオン、アルカリ土類金属、アンモニウム、C1〜C4の直鎖状もしくは分岐状アルキル基で一、二もしくは三置換されたアンモニウム、C1〜C4の直鎖状もしくは分岐状ヒドロキシアルキル基で一、二もしくは三置換されたアンモニウム、または前記化合物の混合物からなる群から選択される1個または複数の同一または異なる陽イオンからなる陽イオン電荷によって平衡が保たれており、
式中、RおよびR3’は、同一でも異なっていてもよく、各々は、水素、C1〜C4直鎖状もしくは分岐状アルキル、C2〜C4直鎖状もしくは分岐状ヒドロキシアルキル、CHCO、CHCHCONHまたはCHCHCNであり、
およびR4’は、同一でも異なっていてもよく、各々は、C1〜C4直鎖状または分岐状アルキル、C2〜C4直鎖状または分岐状ヒドロキシアルキル、CHCO、CH(CO)CHCO、CH(CO)CHCHCO、CHCHSO、ベンジルであり、あるいは
およびRならびに/またはR3’およびR4’は、隣接する窒素原子と一緒になって、モルホリン環を示し、
pは、0、1、または2である)
(d)1〜30重量%の少なくとも1種の結着剤;
(e)場合により、0.1〜10重量%の少なくとも1種の二価金属塩;
(f)場合により、殺生物剤;および
(g)残りは全体を100重量%にする量の水、
を含む、サイズ組成物。
【請求項2】
前記二価金属塩が、塩化カルシウムもしくは塩化マグネシウムまたは前記化合物の混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式(3)の光学的増白剤を使用する、請求項1および/または請求項2に記載の組成物。
【化3】

【請求項4】
前記サイズ組成物中の二価金属塩の濃度が、1〜100g/lの範囲にある、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記サイズ組成物のpH値が、5〜10の範囲にある、請求項1〜4のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項6】
成分(a)と(b)と(c)と(d)と(e)と(f)と(g)とを含む請求項1に記載の組成物を、サイズプレスにおいて紙をサイジングするために使用することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の組成物の使用。
【請求項7】
請求項1に記載のサイズ組成物を、サイズプレスにおいて紙をサイジングするために使用する、サイズ紙の製造方法。

【公表番号】特表2013−500403(P2013−500403A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520962(P2012−520962)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004539
【国際公開番号】WO2011/009632
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】