サクションフィルタ
【課題】サクションフィルタ内での異物発生を抑制する。
【解決手段】濾材によって所定方向に伸縮可能な袋状に形成された袋体(11、21)と、袋体の外側に設けられ、袋体を伸長させるばね部材(47、57)とを備えるという技術的手段を採用する。ばね部材(47、57)が袋体(11、21)の外側に設けられる。このため、生産性の向上、および/または袋体(11、21)内における異物発生の抑制が可能となる。
【解決手段】濾材によって所定方向に伸縮可能な袋状に形成された袋体(11、21)と、袋体の外側に設けられ、袋体を伸長させるばね部材(47、57)とを備えるという技術的手段を採用する。ばね部材(47、57)が袋体(11、21)の外側に設けられる。このため、生産性の向上、および/または袋体(11、21)内における異物発生の抑制が可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の吸入口に装着される袋状のサクションフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1および特許文献2に記載のサクションフィルタが知られている。この種のサクションフィルタは、タンク内の液位が低下しても液体の吸い上げを可能とするために、サクションフィルタをタンクの底面に接触させることが求められる。そのため、サクションフィルタ自体を、上下方向に変形可能に構成している。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のサクションフィルタでは、サクションフィルタを上下方向に伸縮可能な袋状に構成するとともに、サクションフィルタ内にコイルばね状の樹脂部材を配置して伸長方向へ押し広げることにより、伸長状態を保持させている。このサクションフィルタはタンクの底面に押し付けられることで、取り付け位置の誤差、タンク底面の変形、振動による変形があっても、タンク底面との接触状態を保持することができる。
【0004】
また、特許文献2に記載のサクションフィルタでは、サクションフィルタ内にコイルばね状の部材を配置するとともに、さらに、サクションフィルタ内に濾材どうしの密着を防止する樹脂部材である密着防止部材(張付き防止片(8))を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平7−73643号公報
【特許文献2】特開2003−172220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載の技術では、濾材の密着を抑制するための密着防止部材(張付き防止片(8))をサクションフィルタ内に配置している。しかし、サクションフィルタ内の密着防止部材(張付き防止片(8))が変形可能な部位を備えている。このため、サクションフィルタ内に配置された密着防止部材(張付き防止片(8))が、変形可能な部位から破損するおそれがあった。サクションフィルタ内に配置された密着防止部材(張付き防止片(8))が破損すると、その破片などがサクションフィルタ内から吸入口に直接に吸入されるおそれがある。破片は異物としてポンプなどの機器に吸入され、機器の機能を損なうおそれがある。
【0007】
一方、特許文献1に記載の技術のように、サクションフィルタ内にばね部材を配置するだけの構成では、濾材の密着を抑制することができず、吸引可能な濾過面積を維持できないという問題点があった。
【0008】
このように、サクションフィルタ内に密着防止部材(張付き防止片(8))を配置した従来のサクションフィルタでは、濾材の密着抑制と、サクションフィルタ内における異物の発生抑制との両立を図ることが困難であるという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、改良されたサクションフィルタを提供することを目的とする。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑み、サクションフィルタ内での異物発生を抑制できるサクションフィルタを提供することを他の目的とする。
【0011】
また、本発明は、サクションフィルタ内に配置される部品が生産工程における生産性を低下させる要因となっていたという問題点に鑑み、伸長可能であって、しかも生産性に優れたサクションフィルタを提供することをさらに他の目的とする。
【0012】
また、本発明は、サクションフィルタは、ばね部材によって伸長方向へ付勢されるため、伸長状態のままでは寸法が大きく、保管、運送における効率が低いという問題点に鑑み、伸長可能であって、しかも短縮状態で保持可能なサクションフィルタを提供することをさらに他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用することができる。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
請求項1に記載の発明は、濾材によって所定方向に伸縮可能な袋状に形成された袋体(11、21)と、袋体の外側に設けられ、袋体を伸長させるばね部材(47、57)とを備えるという技術的手段を採用する。この発明によると、ばね部材が袋体の外側に設けられる。このため、生産性の向上、および/または袋体内における異物発生の抑制が可能となる。例えば、ばね部材を袋体の内側に配置しながら袋体を形成するという煩わしい作業を回避することができ、さらにばね部材が装着されていることを容易に目視して確認することができる。別の観点では、例えば、ばね部材に起因して袋体の内側に異物が生じる事態を回避することができる。
【0024】
請求項2に記載の発明は、袋体は、所定方向の両端外側に設けられた一対の台座部材(43、46、53、56、63、66)を備え、ばね部材(47、57)は一対の台座部材(43、46、53、56、63、66)に連結されているという技術的手段を採用する。この発明によると、ばね部材と袋体とが台座部分を介して連結される。
【0025】
請求項3に記載の発明は、ばね部材による伸長を許容する解放状態、および、ばね部材による伸長を規制する規制状態に切換可能な伸長規制部材(63a、66a)とを備えるという技術的手段を採用する。この発明によると、ばね部材による袋体の伸長を規制することができるので、袋体の寸法を抑えることができる。例えば、サクションフィルタの使用状態では解放状態とし、サクションフィルタの保管時、運送時には規制状態とすることができる。
【0026】
請求項4に記載の発明は、伸長規制部材(63a、66a)は、袋体の伸縮方向の両端であって袋体の内側に設けられ、袋体の外側から係脱操作が可能な一対の係合部材を備え、係合部材が係合状態にあるときばね部材による伸長が規制され、係合部材が非係合状態にあるときばね部材による伸長を許容するという技術的手段を採用する。この発明によると、袋体の外側に表れない係合部材によって袋体の寸法を抑えることができる。
【0027】
なお、特許請求の範囲および上記各手段に記載の括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態(参考例)のサクションフィルタを示す断面図である。
【図2】第1実施形態(参考例)のサクションフィルタを示す断面図である。
【図3】第1実施形態(参考例)のサクションフィルタを示す斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態(参考例)のサクションフィルタを示す斜視図である。
【図5】本発明の第3実施形態(参考例)のサクションフィルタを示す斜視図である。
【図6】本発明の第4実施形態のサクションフィルタを示す分解斜視図である。
【図7】第4実施形態のばね部材を示す平面図である。
【図8】本発明の第5実施形態のサクションフィルタを示す分解斜視図である。
【図9】本発明の第6実施形態のサクションフィルタを示す断面図である。
【図10】第6実施形態のサクションフィルタを示す断面図である。
【図11】第6実施形態のサクションフィルタを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1実施形態(参考例))
以下、本発明を車両用燃料供給装置のサクションフィルタに適用した第1実施形態(参考例)を説明する。図1は、本発明の第1実施形態(参考例)のサクションフィルタ10を示す断面図であって、サクションフィルタ10がその伸縮方向に伸長し、かつ燃料タンク内に収容された状態を示している。図2は、サクションフィルタ10を示す断面図であって、サクションフィルタ10をその伸縮方向に縮小させた状態を示す。図3は、サクションフィルタ10を示す斜視図である。なお、図2は、図3のII−II断面を示している。
【0030】
図1において、サクションフィルタ10は、袋体11と、この袋体11上に設けられた樹脂部品12とを有する。袋体11は、樹脂製の糸を織って形成されたメッシュ状の濾材11aを袋状に形成したものである。袋体11は、濾材11aの上面11cと下面11dとを二層に積層し、その外周縁を封止することにより形成されている。袋体11の外周縁には、上面11cと下面11dとを溶着した溶着部11bが形成されている。袋体11は、ほぼ四角形の上面11cと下面11dとを積層して構成されており、その積層方向に沿って伸縮可能に構成されている。袋体11は、濾材11aによって所定の方向へ伸縮可能な形状である。
【0031】
樹脂部品12は、上面11cに固定された固定部13と、下面11dに固定された固定部16とを有する。上面11cのほぼ中央を貫通する開口部に固定部13がインサート成形されている。下面11dのほぼ中央を貫通する開口部に固定部16がインサート成形されている。固定部13と固定部16とは、袋体11の伸縮方向上の対向する位置に設けられている。固定部13は、流体通路としての出口管14と、濾材11aを所定の展開状態に保持する形状保持部材15を有している。固定部13は、濾材11aに開設された開口部の周囲にインサート成形されている。固定部13から延び出す出口管14の一端には出口14aが開口し、他端は袋体11内に開口している。固定部16は、下面11dに開設された開口部を塞ぐように成形されている。
【0032】
金属製のコイルばね17が、固定部13と固定部16との間に圧縮状態で配置されている。コイルばね17は、袋体11の積層方向を伸縮方向としてその袋体11を伸長方向へ押し広げるばね部材である。固定部13と固定部16とは、コイルばね17の両端が接触し、コイルばね17の付勢力を受ける台座部材でもある。
【0033】
サクションフィルタ10は、固定部16または下面11dを車載の燃料タンク1の底面に接触させるように配置されることができる。袋体11が上下方向へ伸縮可能に構成されているため、サクションフィルタ10の取り付け位置の誤差、燃料タンクの変形、あるいは振動があってもサクションフィルタ10と燃料タンク底面との接触状態が持続される。サクションフィルタ10は、燃料消費機器である内燃機関2に燃料を供給するポンプ3の吸入口に接続されている。
【0034】
袋体11の上面11cには形状保持部材15が設けられている。形状保持部材15は、袋体11の外側に位置して上面11c上に固定されている。形状保持部材15は、固定部13とともに一体成形されている。形状保持部材15は、固定部13と同じ樹脂材料製であって、袋体11の変形に追従して弾性変形可能な断面積、形状をもっている。
【0035】
形状保持部材15は、袋体11の外側に沿って所定の長さにわたって延び、濾材11aと接合された部材である。形状保持部材15は、細長い板状の変形可能な腕状部分15aを有する。腕状部分15aの一端は固定部13に連結されている。腕状部分15aの他端は、接合部分15bによって上面11cに接合されている。
【0036】
接合部分15bは、リベット状であって腕状部分15aと一体成形されている。接合部分15bは、上面11cに開設された小穴を貫通して設けられている。接合部分15bの一端は腕状部分15aに連結されており、他端は袋体11の内部に突出して位置している。接合部分15bは弾力変形することを期待して形成された部分ではなく、形状保持部材15と上面11cとを連結するにとどまる。接合部分15bは、上面11cのうち固定部13から離れており、しかも外周縁部である溶着部11bからも離れている部位に設けられる。接合部分15bは、どちらかというと外周縁部寄りの位置に設けられている。これにより上面11cのうちでも変形しやすい広い範囲の形状が形状保持部材15によって保持される。
【0037】
袋体11の下面11dにも形状保持部材18が設けられている。形状保持部材18は、袋体11の外側に位置して下面11d上に固定されている。形状保持部材18は、固定部16とともに一体成形されている。形状保持部材18は、固定部16と同じ樹脂材料製であって、袋体11の変形に追従して弾性変形可能な断面積、形状をもっている。
【0038】
形状保持部材18は、袋体11の外側に沿って所定の長さにわたって延び、濾材11aと接合された部材である。形状保持部材18は、細長い板状の変形可能な腕状部分18aを有する。腕状部分18aの一端は固定部16に連結されている。腕状部分18aの他端は、接合部分18bによって下面11dに接合されている。
【0039】
接合部分18bは、リベット状であって腕状部分18aと一体成形されている。接合部分18bは、下面11dに開設された小穴を貫通して設けられている。接合部分18bの一端は腕状部分18aに連結されており、他端は袋体11の内部に突出して位置している。接合部分18bは弾力変形することを期待して形成された部分ではなく、形状保持部材18と下面11dとを連結するにとどまる。接合部分18bは、下面11dのうち固定部16から離れており、しかも外周縁部である溶着部11bからも離れている部位に設けられる。接合部分18bは、どちらかというと外周縁部寄りの位置に設けられている。これにより下面11dのうちでも変形しやすい広い範囲の形状が形状保持部材18によって保持される。
【0040】
図2において、コイルばね17を軸方向に押し縮めた状態が図示されている。この状態は、形状保持部材15、18が、弾性変形していない初期状態を示している。初期状態においては形状保持部材15、18は、図示のように平面状の上面11cおよび下面11dに沿って延びている。形状保持部材15、18は、上面11c、下面11dが湾曲するにつれて、弾性変形する。形状保持部材15、18は、上面11c、下面11dを初期状態の平面状に戻すように復元力を発揮する。形状保持部材15、18に比べて固定部13、16は格段に高い剛性を与えられており、上面11c、下面11dが通常の範囲で変形しても固定部13、16は変形することはない。よって、形状保持部材15、18は、固定部13、16との連結部の近傍において大きく曲がる。
【0041】
図1および図2に図示されるように、形状保持部材15と形状保持部材18とは、上下対称に設けられている。吸引圧力によって上面11cと下面11dとが接近する方向に力が作用しても、接合部分15bと接合部分18bとは接触しない程度の復元力を与えている。
【0042】
図3に図示されるように、袋体11はその4辺に溶着部11bを有している。上面11c上には、複数の形状保持部材15が設けられている。複数の形状保持部材15は、上面11c上にほぼ均等に分散して配置されている。複数の形状保持部材15は、固定部13から径方向に延び出して設けられている。複数の形状保持部材15は、固定部13に対して放射状に設けられている。複数の形状保持部材15は、ほぼ四辺形の袋体11上の対角線に沿って設けられている。同様に、下面11dの外側にも、複数の形状保持部材18が袋体11上の対角線に沿って設けられている。
【0043】
図1に図示されるように、コイルばね17が自由長に伸びようとすることによって上面11cと下面11dとが湾曲する。この結果、袋体11は、伸縮方向へ伸長される。袋体11は、縮小状態の高さLSから伸長状態の高さLEの範囲において伸縮することができる。上面11cと下面11dとの湾曲に伴って、形状保持部材15、18が弾性変形する。ばね部材による袋体の伸長量が大きくなるにつれて形状保持部材15、18の弾性変形量が大きく、形状保持部材15、18は、初期状態に戻ろうとする弾性復元力を生じる。このとき、形状保持部材15は接合部分15bによって上面11cと連結されているから、形状保持部材15は上面11cを広げるように引き上げる。同様に、形状保持部材18は接合部分18bによって下面11dと連結されているから、形状保持部材18は下面11dを広げるように引き下げる。このように、形状保持部材15、18は、袋体11の伸長に伴う袋体11の変形に抗して袋体11を膨らんだ形状に保持するように濾材11aを付勢し、伸張させる。この結果、袋体11は膨らむ方向へ拡げられる。
【0044】
この実施形態によると、形状保持部材15、18が、濾材11aの上面11cと下面11dとに配置されているから、袋体11の形状を膨らんだ状態に保持することができる。さらに、形状保持部材15、18のような変形可能な樹脂部材を袋体11の外側すなわち非清浄空間側に配置したから、袋体11内すなわち清浄空間側に配置される変形可能な部材を削減することができる。このため、もし変形可能な部材が折損するなどして破片を生じることがあっても、袋体11内における異物の発生を抑制することができる。また、上記実施形態では、袋体11内には変形可能な樹脂部材を全く配置していないから、異物の発生を顕著に抑えることができる。なお、コイルばね17が袋体11内に依然として設けられているが、金属製のコイルばね17は破損の可能性が格段に低い。
【0045】
(第2実施形態(参考例))
次に、本発明の第2実施形態(参考例)を説明する。図4は、第2実施形態(参考例)のサクションフィルタ20を示す斜視図である。先行する説明を参照することができる構成要素には、先行実施形態と同一の符号を付した。袋体21は、1枚の濾材21aを半分に折り曲げることにより袋状に形成されている。濾材21aは、長方形であって、折曲部21eにおいて折り曲げられている。よって、袋体21の残る三辺に溶着部21bが設けられている。この実施形態においても、先行する実施形態と同様に形状保持部材15、18が設けられている。なお、この袋体21は、後続の実施形態の袋体として用いることもできる。
【0046】
(第3実施形態(参考例))
次に、本発明の第3実施形態(参考例)を説明する。図5は、第3実施形態(参考例)のサクションフィルタ30を示す斜視図である。先行する説明を参照することができる構成要素には、先行実施形態と同一の符号を付した。袋体21は、先行する第2実施形態(参考例)と同じである。先行する実施形態では、形状保持部材15、18を袋体11、21の対角線に沿って配置したが、これに代えて、この実施形態では、形状保持部材15、18を袋体21の各辺と平行に配置している。なお、この実施形態で示された形状保持部材15、18の配置は、先行する実施形態にも、後続の実施形態にも適用することができる。
【0047】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を説明する。図6は、第4実施形態のサクションフィルタ40を示す分解斜視図である。図7は、ばね部材を示す平面図である。先行する説明を参照することができる構成要素には、先行実施形態と同一の符号を付した。
【0048】
図6において、この実施形態では、先行する実施形態のコイルばね17に代えて、袋体の外側に配置されるばね部材を採用した。サクションフィルタ40の上面11cには固定部43が設けられている。下面11dには固定部46が設けられている。固定部43と固定部46とは、袋体11の両端外側に設けられた一対の台座部材を提供する。袋体11の外側には、袋体11をその伸縮方向へ伸長させるばね部材としての板ばね47が設けられる。板ばね47は、平板状の初期状態から、弾性領域内でU字状に曲げられて、固定部43、46に連結される。板ばね47の一方の端部47aは、固定部43の連結部43aに挿入されて連結される。板ばね47の他方の端部47bは、固定部46の連結部46aに挿入されて連結される。板ばね47の端部47a、47bには、脱落を防止するロック機構47cが設けられる。袋体11内には、袋体11の変形にともなって弾性変形する部材は配置されていない。さらに、この実施形態においても、形状保持部材15が設けられている。板ばね47が平板状に戻ろうとするため、袋体11は、固定部43、46を介して積層方向に伸長され、拡げられる。
【0049】
図7において、板ばね47の生産工程が図示されている。板ばね47は、細長い板材49を切断して生産される。板ばね47の形状は、廃棄される材料を抑制することを可能としつつ、固定部43との安定的な連結を可能とする。
【0050】
この実施形態によると、ばね部材が袋体の外側に設けられる。このため、生産性の向上、および/または袋体内における異物発生の抑制が可能となる。例えば、ばね部材を袋体の内側に配置しながら袋体を形成するという煩わしい作業を回避することができ、さらにばね部材が装着されていることを容易に目視して確認することができる。別の観点では、例えば、ばね部材に起因して袋体の内側に異物が生じる事態を回避することができる。特に、この実施形態では、ばね部材を含む弾性変形可能な部材が袋体11内には全く設けられていない。この結果、袋体11内における異物の発生を著しく抑制しながら、袋体11を膨らんだ形状に保持することができる。
【0051】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態を説明する。図8は、第5実施形態のサクションフィルタ50を示す分解斜視図である。先行する説明を参照することができる構成要素には、先行実施形態と同一の符号を付した。
【0052】
図8において、この実施形態では、先行する実施形態の板ばね47に代えて、ワイヤばね57を採用した。サクションフィルタ50は、上面11cに固定部53を有し、下面11dに固定部56を有する。固定部53には、2つの連結部53a、53bが設けられている。固定部56には、2つの連結部56a、56bが設けられている。ワイヤばね57は、互いに交差するように対角上に配置される2つのワイヤばね57a、57bを有する。ワイヤばね57aの一端は連結部56aに挿入され、他端は連結部53bに挿入される。ワイヤばね57bの一端は連結部56bに挿入され、他端は連結部53aに挿入される。袋体11内には、袋体11の変形にともなって弾性変形する部材は配置されていない。さらに、この実施形態においても、形状保持部材15が設けられている。2つのワイヤばね57a、57bが棒状に戻ろうとするため、袋体11は、固定部53、56を介して積層方向に伸長され、拡げられる。このとき、2つのワイヤばね57a、57bが対称に配置された2つのばね部材を提供するため、袋体11をまっすぐに伸長させる。
【0053】
この実施形態によると、ばね部材を含む弾性変形可能な部材が袋体11内には全く設けられていない。この結果、袋体11内における異物の発生を著しく抑制しながら、袋体11を膨らんだ形状に保持することができる。
【0054】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態を説明する。図9ないし図11は、第6実施形態のサクションフィルタ60を示す断面図である。先行する説明を参照することができる構成要素には、先行実施形態と同一の符号を付した。
【0055】
図9および図10において、サクションフィルタ60の袋体11は、第4実施形態の板ばね47を装着可能な固定部63、66を有している。このため、袋体11の中には、形状保持部材もばね部材も配置されていない。固定部63には係合部63aが設けられている。係合部63aは固定部63とともに樹脂材料によって一体成形されている。固定部66には係合部66aが設けられている。係合部66aは固定部66とともに樹脂材料によって一体成形されている。係合部63aと係合部66aとは、袋体11の伸縮方向とは直交する方向に沿って、互いに逆方向に向けて開口したL字型断面をもつ。これら係合部63a、66aは、それらを互いに接近させることによって互いに係合させることが可能な一対の係合部材を提供している。これら係合部63a、66aは、ばね部材による伸長を許容する解放状態、および、ばね部材による伸長を規制する規制状態に切換可能な伸長規制部材でもある。
【0056】
図9において、係合部63a、66aが非係合状態にある状態が図示されている。このとき、袋体11は、ばね部材によって伸長し、形状保持部材15、18によって膨らんだ状態に保持される。
【0057】
図10において、係合部63a、66aが係合状態にある状態が図示されている。このとき、ばね部材に抗して2つの固定部63、66の間が比較的接近した状態に保持される。
【0058】
図11において、係合部63aと係合部66aとを非係合状態から係合状態へ、あるいは係合状態から非係合状態へ操作する際の状態が図示されている。図示のように、固定部63と固定部66とを、袋体11の伸縮方向と直交する方向に沿って互いに逆方向へ平行移動させることで、係合部63a、66aが操作される。
【0059】
この実施形態によると、係合部63a、66aを係合状態とすることで袋体11の寸法および容積を小さくすることができる。例えば、サクションフィルタの使用状態では非係合状態(解放状態)とし、サクションフィルタの保管時、運送時には係合状態(規制状態)とすることができる。このため、サクションフィルタ60の運送、保管が容易になる。また、係合部63a、66aを袋体11の中に設けていながら、袋体11の外側から係脱操作が可能な構造としたため、作業性を損なうことなく袋体11内の空間を有効に利用することができる。
【0060】
(他の実施形態)
本発明の技術的範囲は、上述した実施形態にのみ限定されるものではない。上述した実施形態は、本発明の技術的範囲内で、多様な変形、改良、または拡張を伴うことができる。本発明は、少なくとも次のような変形、改良または拡張を伴う実施形態を包含する。例えば、上述の実施形態では、袋体11内には変形可能な樹脂部材を全く配置していないが、いくつかの変形可能な樹脂部材が配置されてもよい。例えば、第1実施形態(参考例)におけるコイルばね17を樹脂製のばね部材と置き換えてもよい。かかる構成においても変形可能な樹脂部材のひとつである形状保持部材15、18が袋体の外側に配置されることで、袋体内における異物の発生を抑制する作用効果を得ることができる。形状保持部材15、18のうちの一方だけを備えてもよい。また、形状保持部材15、18は、複数の接合部分によって濾材11aと接合されてもよい。また、形状保持部材15、18は、その全長にわたって濾材11aと接合されていてもよい。また、コイルばね17、板ばね47、およびワイヤばね57は、所要の弾性復元力が得られるようにその材質、形状を設定することができ、例えば樹脂製のばね部材を採用してもよい。
開示された第1発明は、濾材によって所定方向に伸縮可能な袋状に形成された袋体(11、21)と、袋体を伸長させるばね部材(17、47、57)と、袋体の伸縮に追従して弾性変形可能な樹脂製の部材であって、袋体の外側に沿って設けられ、袋体を膨らんだ形状に保持する形状保持部材(15、18)とを備えることを特徴とするサクションフィルタという技術的手段を採用する。
この発明によると、形状保持部材によって袋体が膨らんだ形状に保持される。しかも、形状保持部材が袋体の外側に配置されるため、袋体の内側に配置される弾性変形可能な樹脂製の部材を削減することができる。このため、弾性変形可能な樹脂製の部材が袋体の内側で破損し異物を生じることを抑制することができる。
開示された第2発明は、第1発明において、形状保持部材(15、18)は、袋体の伸長に伴う袋体の変形に抗して袋体を膨らんだ形状に保持するように、ばね部材による袋体の伸長量が大きくなるにつれて弾性変形量が大きくなるように形成されているという技術的手段を採用する。この発明によると、形状保持部材の弾性力、特に弾性力によって初期形状に戻ろうとする弾性復元力によって袋体を膨らんだ形状に向けて付勢することができる。
開示された第3発明は、第1発明または第2発明において、袋体(11、21)には、濾材に固定された樹脂製の台座部材(13、16、43、46、53、56、63、66)が設けられており、形状保持部材(15、18)は、台座部材から延びる腕状部分(15a、18a)と、腕状部分と濾材とを接合する接合部分(15b、18b)とを備えるという技術的手段を採用する。この発明によると、濾材の任意の箇所を腕状部分に接合することができ、形状保持部材によって濾材製の袋体を望ましい形状に膨らませることができる。
開示された第4発明は、第3発明において、台座部材(13、16、43、46、53、56、63、66)から、複数の形状保持部材(15、18)が径方向に延び出しているという技術的手段を採用する。この発明によると、台座部分を基準として袋体を所定の膨らんだ形状に保持することができる。
開示された第5発明は、第3発明または第4発明において、台座部材(13、16、43、46、53、56、63、66)と形状保持部材(15、18)とは、濾材上にインサート成形されており、接合部分(15b、18b)は、腕状部分(15a、18a)から濾材を貫通して袋体(11、21)の内部に突出するリベット状の形状をもつという技術的手段を採用する。この発明によると、形状保持部材と濾材とを確実に接合することができる。
開示された第6発明は、第1発明から第5発明のいずれかにおいて、ばね部材(17)は、袋体(11、21)の内側に配置されているという技術的手段を採用する。この発明によると、形状が比較的複雑なばね部材を袋体の内側に配置することができる。
開示された第7発明は、第1発明から第5発明のいずれかにおいて、ばね部材(47、57)は、袋体(11、21)の外側に設けられているという技術的手段を採用する。この発明によると、ばね部材が袋体の外側に設けられる。このため、生産性の向上、および/または袋体内における異物発生の抑制が可能となる。例えば、ばね部材を袋体の内側に配置しながら袋体を形成するという煩わしい作業を回避することができ、さらにばね部材が装着されていることを容易に目視して確認することができる。別の観点では、例えば、ばね部材に起因して袋体の内側に異物が生じる事態を回避することができる。
開示された第8発明は、第1発明から第7発明のいずれかにおいて、ばね部材(17、47、57)による伸長を許容する解放状態、および、ばね部材による伸長を規制する規制状態に切換可能な伸長規制部材(63a、66a)をさらに備えるという技術的手段を採用する。この発明によると、ばね部材による袋体の伸長を規制することができるので、袋体の寸法を抑えることができる。例えば、サクションフィルタの使用状態では解放状態とし、サクションフィルタの保管時、運送時には規制状態とすることができる。
開示された第9発明は、濾材によって所定方向に伸縮可能な袋状に形成された袋体(11、21)と、袋体の外側に設けられ、袋体を伸長させるばね部材(47、57)とを備えるという技術的手段を採用する。この発明によると、ばね部材が袋体の外側に設けられる。このため、生産性の向上、および/または袋体内における異物発生の抑制が可能となる。例えば、ばね部材を袋体の内側に配置しながら袋体を形成するという煩わしい作業を回避することができ、さらにばね部材が装着されていることを容易に目視して確認することができる。別の観点では、例えば、ばね部材に起因して袋体の内側に異物が生じる事態を回避することができる。
開示された第10発明は、第9発明において、袋体は、所定方向の両端外側に設けられた一対の台座部材(43、46、53、56、63、66)を備え、ばね部材(47、57)は一対の台座部材(43、46、53、56、63、66)に連結されているという技術的手段を採用する。この発明によると、ばね部材と袋体とが台座部分を介して連結される。
開示された第11発明は、濾材によって所定方向に伸縮可能な袋状に形成された袋体(11、21)と、袋体を伸長させるばね部材(17、47、57)と、ばね部材による伸長を許容する解放状態、および、ばね部材による伸長を規制する規制状態に切換可能な伸長規制部材(63a、66a)とを備えるという技術的手段を採用する。この発明によると、ばね部材による袋体の伸長を規制することができるので、袋体の寸法を抑えることができる。例えば、サクションフィルタの使用状態では解放状態とし、サクションフィルタの保管時、運送時には規制状態とすることができる。
開示された第12発明は、第11発明において、伸長規制部材(63a、66a)は、袋体の伸縮方向の両端であって袋体の内側に設けられ、袋体の外側から係脱操作が可能な一対の係合部材を備え、係合部材が係合状態にあるときばね部材による伸長が規制され、係合部材が非係合状態にあるときばね部材による伸長を許容するという技術的手段を採用する。この発明によると、袋体の外側に表れない係合部材によって袋体の寸法を抑えることができる。
【符号の説明】
【0061】
10、20、30、40、50、60 サクションフィルタ
11、21 袋体
11a、21a 濾材
11b、21b 溶着部
11c 上面
11d 下面
12 樹脂部品
13、16、43、46、53、56、63、66 固定部
14 出口管
15、18 形状保持部材
15a、18a 腕状部分
15b、18b 接合部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の吸入口に装着される袋状のサクションフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1および特許文献2に記載のサクションフィルタが知られている。この種のサクションフィルタは、タンク内の液位が低下しても液体の吸い上げを可能とするために、サクションフィルタをタンクの底面に接触させることが求められる。そのため、サクションフィルタ自体を、上下方向に変形可能に構成している。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のサクションフィルタでは、サクションフィルタを上下方向に伸縮可能な袋状に構成するとともに、サクションフィルタ内にコイルばね状の樹脂部材を配置して伸長方向へ押し広げることにより、伸長状態を保持させている。このサクションフィルタはタンクの底面に押し付けられることで、取り付け位置の誤差、タンク底面の変形、振動による変形があっても、タンク底面との接触状態を保持することができる。
【0004】
また、特許文献2に記載のサクションフィルタでは、サクションフィルタ内にコイルばね状の部材を配置するとともに、さらに、サクションフィルタ内に濾材どうしの密着を防止する樹脂部材である密着防止部材(張付き防止片(8))を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平7−73643号公報
【特許文献2】特開2003−172220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載の技術では、濾材の密着を抑制するための密着防止部材(張付き防止片(8))をサクションフィルタ内に配置している。しかし、サクションフィルタ内の密着防止部材(張付き防止片(8))が変形可能な部位を備えている。このため、サクションフィルタ内に配置された密着防止部材(張付き防止片(8))が、変形可能な部位から破損するおそれがあった。サクションフィルタ内に配置された密着防止部材(張付き防止片(8))が破損すると、その破片などがサクションフィルタ内から吸入口に直接に吸入されるおそれがある。破片は異物としてポンプなどの機器に吸入され、機器の機能を損なうおそれがある。
【0007】
一方、特許文献1に記載の技術のように、サクションフィルタ内にばね部材を配置するだけの構成では、濾材の密着を抑制することができず、吸引可能な濾過面積を維持できないという問題点があった。
【0008】
このように、サクションフィルタ内に密着防止部材(張付き防止片(8))を配置した従来のサクションフィルタでは、濾材の密着抑制と、サクションフィルタ内における異物の発生抑制との両立を図ることが困難であるという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、改良されたサクションフィルタを提供することを目的とする。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑み、サクションフィルタ内での異物発生を抑制できるサクションフィルタを提供することを他の目的とする。
【0011】
また、本発明は、サクションフィルタ内に配置される部品が生産工程における生産性を低下させる要因となっていたという問題点に鑑み、伸長可能であって、しかも生産性に優れたサクションフィルタを提供することをさらに他の目的とする。
【0012】
また、本発明は、サクションフィルタは、ばね部材によって伸長方向へ付勢されるため、伸長状態のままでは寸法が大きく、保管、運送における効率が低いという問題点に鑑み、伸長可能であって、しかも短縮状態で保持可能なサクションフィルタを提供することをさらに他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用することができる。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
請求項1に記載の発明は、濾材によって所定方向に伸縮可能な袋状に形成された袋体(11、21)と、袋体の外側に設けられ、袋体を伸長させるばね部材(47、57)とを備えるという技術的手段を採用する。この発明によると、ばね部材が袋体の外側に設けられる。このため、生産性の向上、および/または袋体内における異物発生の抑制が可能となる。例えば、ばね部材を袋体の内側に配置しながら袋体を形成するという煩わしい作業を回避することができ、さらにばね部材が装着されていることを容易に目視して確認することができる。別の観点では、例えば、ばね部材に起因して袋体の内側に異物が生じる事態を回避することができる。
【0024】
請求項2に記載の発明は、袋体は、所定方向の両端外側に設けられた一対の台座部材(43、46、53、56、63、66)を備え、ばね部材(47、57)は一対の台座部材(43、46、53、56、63、66)に連結されているという技術的手段を採用する。この発明によると、ばね部材と袋体とが台座部分を介して連結される。
【0025】
請求項3に記載の発明は、ばね部材による伸長を許容する解放状態、および、ばね部材による伸長を規制する規制状態に切換可能な伸長規制部材(63a、66a)とを備えるという技術的手段を採用する。この発明によると、ばね部材による袋体の伸長を規制することができるので、袋体の寸法を抑えることができる。例えば、サクションフィルタの使用状態では解放状態とし、サクションフィルタの保管時、運送時には規制状態とすることができる。
【0026】
請求項4に記載の発明は、伸長規制部材(63a、66a)は、袋体の伸縮方向の両端であって袋体の内側に設けられ、袋体の外側から係脱操作が可能な一対の係合部材を備え、係合部材が係合状態にあるときばね部材による伸長が規制され、係合部材が非係合状態にあるときばね部材による伸長を許容するという技術的手段を採用する。この発明によると、袋体の外側に表れない係合部材によって袋体の寸法を抑えることができる。
【0027】
なお、特許請求の範囲および上記各手段に記載の括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態(参考例)のサクションフィルタを示す断面図である。
【図2】第1実施形態(参考例)のサクションフィルタを示す断面図である。
【図3】第1実施形態(参考例)のサクションフィルタを示す斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態(参考例)のサクションフィルタを示す斜視図である。
【図5】本発明の第3実施形態(参考例)のサクションフィルタを示す斜視図である。
【図6】本発明の第4実施形態のサクションフィルタを示す分解斜視図である。
【図7】第4実施形態のばね部材を示す平面図である。
【図8】本発明の第5実施形態のサクションフィルタを示す分解斜視図である。
【図9】本発明の第6実施形態のサクションフィルタを示す断面図である。
【図10】第6実施形態のサクションフィルタを示す断面図である。
【図11】第6実施形態のサクションフィルタを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1実施形態(参考例))
以下、本発明を車両用燃料供給装置のサクションフィルタに適用した第1実施形態(参考例)を説明する。図1は、本発明の第1実施形態(参考例)のサクションフィルタ10を示す断面図であって、サクションフィルタ10がその伸縮方向に伸長し、かつ燃料タンク内に収容された状態を示している。図2は、サクションフィルタ10を示す断面図であって、サクションフィルタ10をその伸縮方向に縮小させた状態を示す。図3は、サクションフィルタ10を示す斜視図である。なお、図2は、図3のII−II断面を示している。
【0030】
図1において、サクションフィルタ10は、袋体11と、この袋体11上に設けられた樹脂部品12とを有する。袋体11は、樹脂製の糸を織って形成されたメッシュ状の濾材11aを袋状に形成したものである。袋体11は、濾材11aの上面11cと下面11dとを二層に積層し、その外周縁を封止することにより形成されている。袋体11の外周縁には、上面11cと下面11dとを溶着した溶着部11bが形成されている。袋体11は、ほぼ四角形の上面11cと下面11dとを積層して構成されており、その積層方向に沿って伸縮可能に構成されている。袋体11は、濾材11aによって所定の方向へ伸縮可能な形状である。
【0031】
樹脂部品12は、上面11cに固定された固定部13と、下面11dに固定された固定部16とを有する。上面11cのほぼ中央を貫通する開口部に固定部13がインサート成形されている。下面11dのほぼ中央を貫通する開口部に固定部16がインサート成形されている。固定部13と固定部16とは、袋体11の伸縮方向上の対向する位置に設けられている。固定部13は、流体通路としての出口管14と、濾材11aを所定の展開状態に保持する形状保持部材15を有している。固定部13は、濾材11aに開設された開口部の周囲にインサート成形されている。固定部13から延び出す出口管14の一端には出口14aが開口し、他端は袋体11内に開口している。固定部16は、下面11dに開設された開口部を塞ぐように成形されている。
【0032】
金属製のコイルばね17が、固定部13と固定部16との間に圧縮状態で配置されている。コイルばね17は、袋体11の積層方向を伸縮方向としてその袋体11を伸長方向へ押し広げるばね部材である。固定部13と固定部16とは、コイルばね17の両端が接触し、コイルばね17の付勢力を受ける台座部材でもある。
【0033】
サクションフィルタ10は、固定部16または下面11dを車載の燃料タンク1の底面に接触させるように配置されることができる。袋体11が上下方向へ伸縮可能に構成されているため、サクションフィルタ10の取り付け位置の誤差、燃料タンクの変形、あるいは振動があってもサクションフィルタ10と燃料タンク底面との接触状態が持続される。サクションフィルタ10は、燃料消費機器である内燃機関2に燃料を供給するポンプ3の吸入口に接続されている。
【0034】
袋体11の上面11cには形状保持部材15が設けられている。形状保持部材15は、袋体11の外側に位置して上面11c上に固定されている。形状保持部材15は、固定部13とともに一体成形されている。形状保持部材15は、固定部13と同じ樹脂材料製であって、袋体11の変形に追従して弾性変形可能な断面積、形状をもっている。
【0035】
形状保持部材15は、袋体11の外側に沿って所定の長さにわたって延び、濾材11aと接合された部材である。形状保持部材15は、細長い板状の変形可能な腕状部分15aを有する。腕状部分15aの一端は固定部13に連結されている。腕状部分15aの他端は、接合部分15bによって上面11cに接合されている。
【0036】
接合部分15bは、リベット状であって腕状部分15aと一体成形されている。接合部分15bは、上面11cに開設された小穴を貫通して設けられている。接合部分15bの一端は腕状部分15aに連結されており、他端は袋体11の内部に突出して位置している。接合部分15bは弾力変形することを期待して形成された部分ではなく、形状保持部材15と上面11cとを連結するにとどまる。接合部分15bは、上面11cのうち固定部13から離れており、しかも外周縁部である溶着部11bからも離れている部位に設けられる。接合部分15bは、どちらかというと外周縁部寄りの位置に設けられている。これにより上面11cのうちでも変形しやすい広い範囲の形状が形状保持部材15によって保持される。
【0037】
袋体11の下面11dにも形状保持部材18が設けられている。形状保持部材18は、袋体11の外側に位置して下面11d上に固定されている。形状保持部材18は、固定部16とともに一体成形されている。形状保持部材18は、固定部16と同じ樹脂材料製であって、袋体11の変形に追従して弾性変形可能な断面積、形状をもっている。
【0038】
形状保持部材18は、袋体11の外側に沿って所定の長さにわたって延び、濾材11aと接合された部材である。形状保持部材18は、細長い板状の変形可能な腕状部分18aを有する。腕状部分18aの一端は固定部16に連結されている。腕状部分18aの他端は、接合部分18bによって下面11dに接合されている。
【0039】
接合部分18bは、リベット状であって腕状部分18aと一体成形されている。接合部分18bは、下面11dに開設された小穴を貫通して設けられている。接合部分18bの一端は腕状部分18aに連結されており、他端は袋体11の内部に突出して位置している。接合部分18bは弾力変形することを期待して形成された部分ではなく、形状保持部材18と下面11dとを連結するにとどまる。接合部分18bは、下面11dのうち固定部16から離れており、しかも外周縁部である溶着部11bからも離れている部位に設けられる。接合部分18bは、どちらかというと外周縁部寄りの位置に設けられている。これにより下面11dのうちでも変形しやすい広い範囲の形状が形状保持部材18によって保持される。
【0040】
図2において、コイルばね17を軸方向に押し縮めた状態が図示されている。この状態は、形状保持部材15、18が、弾性変形していない初期状態を示している。初期状態においては形状保持部材15、18は、図示のように平面状の上面11cおよび下面11dに沿って延びている。形状保持部材15、18は、上面11c、下面11dが湾曲するにつれて、弾性変形する。形状保持部材15、18は、上面11c、下面11dを初期状態の平面状に戻すように復元力を発揮する。形状保持部材15、18に比べて固定部13、16は格段に高い剛性を与えられており、上面11c、下面11dが通常の範囲で変形しても固定部13、16は変形することはない。よって、形状保持部材15、18は、固定部13、16との連結部の近傍において大きく曲がる。
【0041】
図1および図2に図示されるように、形状保持部材15と形状保持部材18とは、上下対称に設けられている。吸引圧力によって上面11cと下面11dとが接近する方向に力が作用しても、接合部分15bと接合部分18bとは接触しない程度の復元力を与えている。
【0042】
図3に図示されるように、袋体11はその4辺に溶着部11bを有している。上面11c上には、複数の形状保持部材15が設けられている。複数の形状保持部材15は、上面11c上にほぼ均等に分散して配置されている。複数の形状保持部材15は、固定部13から径方向に延び出して設けられている。複数の形状保持部材15は、固定部13に対して放射状に設けられている。複数の形状保持部材15は、ほぼ四辺形の袋体11上の対角線に沿って設けられている。同様に、下面11dの外側にも、複数の形状保持部材18が袋体11上の対角線に沿って設けられている。
【0043】
図1に図示されるように、コイルばね17が自由長に伸びようとすることによって上面11cと下面11dとが湾曲する。この結果、袋体11は、伸縮方向へ伸長される。袋体11は、縮小状態の高さLSから伸長状態の高さLEの範囲において伸縮することができる。上面11cと下面11dとの湾曲に伴って、形状保持部材15、18が弾性変形する。ばね部材による袋体の伸長量が大きくなるにつれて形状保持部材15、18の弾性変形量が大きく、形状保持部材15、18は、初期状態に戻ろうとする弾性復元力を生じる。このとき、形状保持部材15は接合部分15bによって上面11cと連結されているから、形状保持部材15は上面11cを広げるように引き上げる。同様に、形状保持部材18は接合部分18bによって下面11dと連結されているから、形状保持部材18は下面11dを広げるように引き下げる。このように、形状保持部材15、18は、袋体11の伸長に伴う袋体11の変形に抗して袋体11を膨らんだ形状に保持するように濾材11aを付勢し、伸張させる。この結果、袋体11は膨らむ方向へ拡げられる。
【0044】
この実施形態によると、形状保持部材15、18が、濾材11aの上面11cと下面11dとに配置されているから、袋体11の形状を膨らんだ状態に保持することができる。さらに、形状保持部材15、18のような変形可能な樹脂部材を袋体11の外側すなわち非清浄空間側に配置したから、袋体11内すなわち清浄空間側に配置される変形可能な部材を削減することができる。このため、もし変形可能な部材が折損するなどして破片を生じることがあっても、袋体11内における異物の発生を抑制することができる。また、上記実施形態では、袋体11内には変形可能な樹脂部材を全く配置していないから、異物の発生を顕著に抑えることができる。なお、コイルばね17が袋体11内に依然として設けられているが、金属製のコイルばね17は破損の可能性が格段に低い。
【0045】
(第2実施形態(参考例))
次に、本発明の第2実施形態(参考例)を説明する。図4は、第2実施形態(参考例)のサクションフィルタ20を示す斜視図である。先行する説明を参照することができる構成要素には、先行実施形態と同一の符号を付した。袋体21は、1枚の濾材21aを半分に折り曲げることにより袋状に形成されている。濾材21aは、長方形であって、折曲部21eにおいて折り曲げられている。よって、袋体21の残る三辺に溶着部21bが設けられている。この実施形態においても、先行する実施形態と同様に形状保持部材15、18が設けられている。なお、この袋体21は、後続の実施形態の袋体として用いることもできる。
【0046】
(第3実施形態(参考例))
次に、本発明の第3実施形態(参考例)を説明する。図5は、第3実施形態(参考例)のサクションフィルタ30を示す斜視図である。先行する説明を参照することができる構成要素には、先行実施形態と同一の符号を付した。袋体21は、先行する第2実施形態(参考例)と同じである。先行する実施形態では、形状保持部材15、18を袋体11、21の対角線に沿って配置したが、これに代えて、この実施形態では、形状保持部材15、18を袋体21の各辺と平行に配置している。なお、この実施形態で示された形状保持部材15、18の配置は、先行する実施形態にも、後続の実施形態にも適用することができる。
【0047】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を説明する。図6は、第4実施形態のサクションフィルタ40を示す分解斜視図である。図7は、ばね部材を示す平面図である。先行する説明を参照することができる構成要素には、先行実施形態と同一の符号を付した。
【0048】
図6において、この実施形態では、先行する実施形態のコイルばね17に代えて、袋体の外側に配置されるばね部材を採用した。サクションフィルタ40の上面11cには固定部43が設けられている。下面11dには固定部46が設けられている。固定部43と固定部46とは、袋体11の両端外側に設けられた一対の台座部材を提供する。袋体11の外側には、袋体11をその伸縮方向へ伸長させるばね部材としての板ばね47が設けられる。板ばね47は、平板状の初期状態から、弾性領域内でU字状に曲げられて、固定部43、46に連結される。板ばね47の一方の端部47aは、固定部43の連結部43aに挿入されて連結される。板ばね47の他方の端部47bは、固定部46の連結部46aに挿入されて連結される。板ばね47の端部47a、47bには、脱落を防止するロック機構47cが設けられる。袋体11内には、袋体11の変形にともなって弾性変形する部材は配置されていない。さらに、この実施形態においても、形状保持部材15が設けられている。板ばね47が平板状に戻ろうとするため、袋体11は、固定部43、46を介して積層方向に伸長され、拡げられる。
【0049】
図7において、板ばね47の生産工程が図示されている。板ばね47は、細長い板材49を切断して生産される。板ばね47の形状は、廃棄される材料を抑制することを可能としつつ、固定部43との安定的な連結を可能とする。
【0050】
この実施形態によると、ばね部材が袋体の外側に設けられる。このため、生産性の向上、および/または袋体内における異物発生の抑制が可能となる。例えば、ばね部材を袋体の内側に配置しながら袋体を形成するという煩わしい作業を回避することができ、さらにばね部材が装着されていることを容易に目視して確認することができる。別の観点では、例えば、ばね部材に起因して袋体の内側に異物が生じる事態を回避することができる。特に、この実施形態では、ばね部材を含む弾性変形可能な部材が袋体11内には全く設けられていない。この結果、袋体11内における異物の発生を著しく抑制しながら、袋体11を膨らんだ形状に保持することができる。
【0051】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態を説明する。図8は、第5実施形態のサクションフィルタ50を示す分解斜視図である。先行する説明を参照することができる構成要素には、先行実施形態と同一の符号を付した。
【0052】
図8において、この実施形態では、先行する実施形態の板ばね47に代えて、ワイヤばね57を採用した。サクションフィルタ50は、上面11cに固定部53を有し、下面11dに固定部56を有する。固定部53には、2つの連結部53a、53bが設けられている。固定部56には、2つの連結部56a、56bが設けられている。ワイヤばね57は、互いに交差するように対角上に配置される2つのワイヤばね57a、57bを有する。ワイヤばね57aの一端は連結部56aに挿入され、他端は連結部53bに挿入される。ワイヤばね57bの一端は連結部56bに挿入され、他端は連結部53aに挿入される。袋体11内には、袋体11の変形にともなって弾性変形する部材は配置されていない。さらに、この実施形態においても、形状保持部材15が設けられている。2つのワイヤばね57a、57bが棒状に戻ろうとするため、袋体11は、固定部53、56を介して積層方向に伸長され、拡げられる。このとき、2つのワイヤばね57a、57bが対称に配置された2つのばね部材を提供するため、袋体11をまっすぐに伸長させる。
【0053】
この実施形態によると、ばね部材を含む弾性変形可能な部材が袋体11内には全く設けられていない。この結果、袋体11内における異物の発生を著しく抑制しながら、袋体11を膨らんだ形状に保持することができる。
【0054】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態を説明する。図9ないし図11は、第6実施形態のサクションフィルタ60を示す断面図である。先行する説明を参照することができる構成要素には、先行実施形態と同一の符号を付した。
【0055】
図9および図10において、サクションフィルタ60の袋体11は、第4実施形態の板ばね47を装着可能な固定部63、66を有している。このため、袋体11の中には、形状保持部材もばね部材も配置されていない。固定部63には係合部63aが設けられている。係合部63aは固定部63とともに樹脂材料によって一体成形されている。固定部66には係合部66aが設けられている。係合部66aは固定部66とともに樹脂材料によって一体成形されている。係合部63aと係合部66aとは、袋体11の伸縮方向とは直交する方向に沿って、互いに逆方向に向けて開口したL字型断面をもつ。これら係合部63a、66aは、それらを互いに接近させることによって互いに係合させることが可能な一対の係合部材を提供している。これら係合部63a、66aは、ばね部材による伸長を許容する解放状態、および、ばね部材による伸長を規制する規制状態に切換可能な伸長規制部材でもある。
【0056】
図9において、係合部63a、66aが非係合状態にある状態が図示されている。このとき、袋体11は、ばね部材によって伸長し、形状保持部材15、18によって膨らんだ状態に保持される。
【0057】
図10において、係合部63a、66aが係合状態にある状態が図示されている。このとき、ばね部材に抗して2つの固定部63、66の間が比較的接近した状態に保持される。
【0058】
図11において、係合部63aと係合部66aとを非係合状態から係合状態へ、あるいは係合状態から非係合状態へ操作する際の状態が図示されている。図示のように、固定部63と固定部66とを、袋体11の伸縮方向と直交する方向に沿って互いに逆方向へ平行移動させることで、係合部63a、66aが操作される。
【0059】
この実施形態によると、係合部63a、66aを係合状態とすることで袋体11の寸法および容積を小さくすることができる。例えば、サクションフィルタの使用状態では非係合状態(解放状態)とし、サクションフィルタの保管時、運送時には係合状態(規制状態)とすることができる。このため、サクションフィルタ60の運送、保管が容易になる。また、係合部63a、66aを袋体11の中に設けていながら、袋体11の外側から係脱操作が可能な構造としたため、作業性を損なうことなく袋体11内の空間を有効に利用することができる。
【0060】
(他の実施形態)
本発明の技術的範囲は、上述した実施形態にのみ限定されるものではない。上述した実施形態は、本発明の技術的範囲内で、多様な変形、改良、または拡張を伴うことができる。本発明は、少なくとも次のような変形、改良または拡張を伴う実施形態を包含する。例えば、上述の実施形態では、袋体11内には変形可能な樹脂部材を全く配置していないが、いくつかの変形可能な樹脂部材が配置されてもよい。例えば、第1実施形態(参考例)におけるコイルばね17を樹脂製のばね部材と置き換えてもよい。かかる構成においても変形可能な樹脂部材のひとつである形状保持部材15、18が袋体の外側に配置されることで、袋体内における異物の発生を抑制する作用効果を得ることができる。形状保持部材15、18のうちの一方だけを備えてもよい。また、形状保持部材15、18は、複数の接合部分によって濾材11aと接合されてもよい。また、形状保持部材15、18は、その全長にわたって濾材11aと接合されていてもよい。また、コイルばね17、板ばね47、およびワイヤばね57は、所要の弾性復元力が得られるようにその材質、形状を設定することができ、例えば樹脂製のばね部材を採用してもよい。
開示された第1発明は、濾材によって所定方向に伸縮可能な袋状に形成された袋体(11、21)と、袋体を伸長させるばね部材(17、47、57)と、袋体の伸縮に追従して弾性変形可能な樹脂製の部材であって、袋体の外側に沿って設けられ、袋体を膨らんだ形状に保持する形状保持部材(15、18)とを備えることを特徴とするサクションフィルタという技術的手段を採用する。
この発明によると、形状保持部材によって袋体が膨らんだ形状に保持される。しかも、形状保持部材が袋体の外側に配置されるため、袋体の内側に配置される弾性変形可能な樹脂製の部材を削減することができる。このため、弾性変形可能な樹脂製の部材が袋体の内側で破損し異物を生じることを抑制することができる。
開示された第2発明は、第1発明において、形状保持部材(15、18)は、袋体の伸長に伴う袋体の変形に抗して袋体を膨らんだ形状に保持するように、ばね部材による袋体の伸長量が大きくなるにつれて弾性変形量が大きくなるように形成されているという技術的手段を採用する。この発明によると、形状保持部材の弾性力、特に弾性力によって初期形状に戻ろうとする弾性復元力によって袋体を膨らんだ形状に向けて付勢することができる。
開示された第3発明は、第1発明または第2発明において、袋体(11、21)には、濾材に固定された樹脂製の台座部材(13、16、43、46、53、56、63、66)が設けられており、形状保持部材(15、18)は、台座部材から延びる腕状部分(15a、18a)と、腕状部分と濾材とを接合する接合部分(15b、18b)とを備えるという技術的手段を採用する。この発明によると、濾材の任意の箇所を腕状部分に接合することができ、形状保持部材によって濾材製の袋体を望ましい形状に膨らませることができる。
開示された第4発明は、第3発明において、台座部材(13、16、43、46、53、56、63、66)から、複数の形状保持部材(15、18)が径方向に延び出しているという技術的手段を採用する。この発明によると、台座部分を基準として袋体を所定の膨らんだ形状に保持することができる。
開示された第5発明は、第3発明または第4発明において、台座部材(13、16、43、46、53、56、63、66)と形状保持部材(15、18)とは、濾材上にインサート成形されており、接合部分(15b、18b)は、腕状部分(15a、18a)から濾材を貫通して袋体(11、21)の内部に突出するリベット状の形状をもつという技術的手段を採用する。この発明によると、形状保持部材と濾材とを確実に接合することができる。
開示された第6発明は、第1発明から第5発明のいずれかにおいて、ばね部材(17)は、袋体(11、21)の内側に配置されているという技術的手段を採用する。この発明によると、形状が比較的複雑なばね部材を袋体の内側に配置することができる。
開示された第7発明は、第1発明から第5発明のいずれかにおいて、ばね部材(47、57)は、袋体(11、21)の外側に設けられているという技術的手段を採用する。この発明によると、ばね部材が袋体の外側に設けられる。このため、生産性の向上、および/または袋体内における異物発生の抑制が可能となる。例えば、ばね部材を袋体の内側に配置しながら袋体を形成するという煩わしい作業を回避することができ、さらにばね部材が装着されていることを容易に目視して確認することができる。別の観点では、例えば、ばね部材に起因して袋体の内側に異物が生じる事態を回避することができる。
開示された第8発明は、第1発明から第7発明のいずれかにおいて、ばね部材(17、47、57)による伸長を許容する解放状態、および、ばね部材による伸長を規制する規制状態に切換可能な伸長規制部材(63a、66a)をさらに備えるという技術的手段を採用する。この発明によると、ばね部材による袋体の伸長を規制することができるので、袋体の寸法を抑えることができる。例えば、サクションフィルタの使用状態では解放状態とし、サクションフィルタの保管時、運送時には規制状態とすることができる。
開示された第9発明は、濾材によって所定方向に伸縮可能な袋状に形成された袋体(11、21)と、袋体の外側に設けられ、袋体を伸長させるばね部材(47、57)とを備えるという技術的手段を採用する。この発明によると、ばね部材が袋体の外側に設けられる。このため、生産性の向上、および/または袋体内における異物発生の抑制が可能となる。例えば、ばね部材を袋体の内側に配置しながら袋体を形成するという煩わしい作業を回避することができ、さらにばね部材が装着されていることを容易に目視して確認することができる。別の観点では、例えば、ばね部材に起因して袋体の内側に異物が生じる事態を回避することができる。
開示された第10発明は、第9発明において、袋体は、所定方向の両端外側に設けられた一対の台座部材(43、46、53、56、63、66)を備え、ばね部材(47、57)は一対の台座部材(43、46、53、56、63、66)に連結されているという技術的手段を採用する。この発明によると、ばね部材と袋体とが台座部分を介して連結される。
開示された第11発明は、濾材によって所定方向に伸縮可能な袋状に形成された袋体(11、21)と、袋体を伸長させるばね部材(17、47、57)と、ばね部材による伸長を許容する解放状態、および、ばね部材による伸長を規制する規制状態に切換可能な伸長規制部材(63a、66a)とを備えるという技術的手段を採用する。この発明によると、ばね部材による袋体の伸長を規制することができるので、袋体の寸法を抑えることができる。例えば、サクションフィルタの使用状態では解放状態とし、サクションフィルタの保管時、運送時には規制状態とすることができる。
開示された第12発明は、第11発明において、伸長規制部材(63a、66a)は、袋体の伸縮方向の両端であって袋体の内側に設けられ、袋体の外側から係脱操作が可能な一対の係合部材を備え、係合部材が係合状態にあるときばね部材による伸長が規制され、係合部材が非係合状態にあるときばね部材による伸長を許容するという技術的手段を採用する。この発明によると、袋体の外側に表れない係合部材によって袋体の寸法を抑えることができる。
【符号の説明】
【0061】
10、20、30、40、50、60 サクションフィルタ
11、21 袋体
11a、21a 濾材
11b、21b 溶着部
11c 上面
11d 下面
12 樹脂部品
13、16、43、46、53、56、63、66 固定部
14 出口管
15、18 形状保持部材
15a、18a 腕状部分
15b、18b 接合部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾材によって所定方向に伸縮可能な袋状に形成された袋体(11、21)と、
前記袋体の外側に設けられ、前記袋体を伸長させるばね部材(47、57)と
を備えることを特徴とするサクションフィルタ。
【請求項2】
前記袋体は、前記所定方向の両端外側に設けられた一対の台座部材(43、46、53、56、63、66)を備え、前記ばね部材(47、57)は一対の前記台座部材(43、46、53、56、63、66)に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のサクションフィルタ。
【請求項3】
前記ばね部材による伸長を許容する解放状態、および、前記ばね部材による伸長を規制する規制状態に切換可能な伸長規制部材(63a、66a)と
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサクションフィルタ。
【請求項4】
前記伸長規制部材(63a、66a)は、
前記袋体の伸縮方向の両端であって前記袋体の内側に設けられ、前記袋体の外側から係脱操作が可能な一対の係合部材を備え、前記係合部材が係合状態にあるとき前記ばね部材による伸長が規制され、前記係合部材が非係合状態にあるとき前記ばね部材による伸長を許容することを特徴とする請求項3に記載のサクションフィルタ。
【請求項1】
濾材によって所定方向に伸縮可能な袋状に形成された袋体(11、21)と、
前記袋体の外側に設けられ、前記袋体を伸長させるばね部材(47、57)と
を備えることを特徴とするサクションフィルタ。
【請求項2】
前記袋体は、前記所定方向の両端外側に設けられた一対の台座部材(43、46、53、56、63、66)を備え、前記ばね部材(47、57)は一対の前記台座部材(43、46、53、56、63、66)に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のサクションフィルタ。
【請求項3】
前記ばね部材による伸長を許容する解放状態、および、前記ばね部材による伸長を規制する規制状態に切換可能な伸長規制部材(63a、66a)と
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサクションフィルタ。
【請求項4】
前記伸長規制部材(63a、66a)は、
前記袋体の伸縮方向の両端であって前記袋体の内側に設けられ、前記袋体の外側から係脱操作が可能な一対の係合部材を備え、前記係合部材が係合状態にあるとき前記ばね部材による伸長が規制され、前記係合部材が非係合状態にあるとき前記ばね部材による伸長を許容することを特徴とする請求項3に記載のサクションフィルタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−228692(P2012−228692A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−176362(P2012−176362)
【出願日】平成24年8月8日(2012.8.8)
【分割の表示】特願2009−39800(P2009−39800)の分割
【原出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000161840)京三電機株式会社 (99)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月8日(2012.8.8)
【分割の表示】特願2009−39800(P2009−39800)の分割
【原出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000161840)京三電機株式会社 (99)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
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