説明

サッシフレームの取付方法

【課題】輸送効率に優れ、かつ施工現場での工数も少なくすることのできるサッシフレームの取付方法を提供する。
【解決手段】上下枠及び左右の縦枠を方形状に枠組みして窓枠体5を形成し、窓枠体5を構成する上下枠10、11に対し、長手方向全長に渡る上フレーム材21と下フレーム材22とを取付けて窓枠フレーム体8を形成し、窓枠体5を構成する縦枠12を長手方向複数個所に取付可能な縦フレーム材20を形成し、2本の縦フレーム材20を離隔して配置し建物開口部に対して上下端部をそれぞれ固定し、固定された縦フレーム材20の任意の位置に窓枠フレーム体8の上フレーム材21及び下フレーム材22を固定することで、サッシフレーム3を建物開口部に取付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓枠体にフレーム体を取付けたサッシフレームをRC造やSRC造などの躯体開口部に取付けるサッシフレームの取付方法に関し、特に輸送効率に優れ現場での組み立て作業も容易なサッシフレームの取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄筋コンクリート(RC)造や鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造の建物躯体に対して窓枠体を効率よく取付けるため、窓枠体にフレーム体を取付けてなるサッシフレームを躯体開口部に取付ける構造が知られている。窓枠体は、上下枠と左右の縦枠を方形状に枠組みしてなり、フレーム体はこの窓枠体を取り囲むように、上フレーム材と下フレーム材及び左右の縦フレーム材がそれぞれ上下枠及び縦枠に固定される。
【0003】
このようなサッシフレームを建物の躯体開口部に取付けるには、予め窓枠体とフレーム体をそれぞれ工場で枠組みしておき、それぞれを施工現場に輸送し、施工現場ではまずフレーム体を躯体開口部に対して固定し、その後に窓枠体をフレーム体に対して溶接により固定する工法が採用されていた。しかし、この工法では施工現場で窓枠体をフレーム体に対して固定する必要があり、また溶接作業も必要となるため、施工現場での工数が多くなって作業性に問題があった。
【0004】
このため、サッシフレームについて、窓枠体とフレーム体とを工場で固定して予めユニット化しておき、施工現場ではフレーム体を躯体開口部に取付けられた下地材に対して固定する工法が考えられている。この工法によれば、施工現場での作業を大幅に減らすことができ、作業性を良好にすることができる。このようなサッシフレームの取付方法は、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【特許文献1】特開平6−299758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のサッシフレームの取付方法においては、工場で予め窓枠体とフレーム体とを一体化するため、その状態で施工現場まで輸送する必要があった。しかし、窓枠体とフレーム体が一体化された状態では、トラック等に効率よく積み込むことが困難であり、輸送効率が悪いという問題があった。
【0006】
また、輸送の際には、サッシフレームをパレット等に載置することが必要である。フレーム体は、縦フレーム材の前面側に上下フレーム材が取付けられた構造を有しているため、そのままではパレット等にサッシフレームを載置する際に、縦フレーム材のみが載置されることとなる。これでは安定的に載置することができないので、縦フレーム材の上下端部には、それぞれこれらの間を渡すように横方向の補助フレーム材が取付けられる。この補助フレーム材は、躯体開口部に対する取付時には不要なものであり、輸送のためだけに必要なものであるため、コストアップの要因となっていた。
【0007】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、輸送効率に優れ、かつ施工現場での工数も少なくすることのできるサッシフレームの取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係るサッシフレームの取付方法は、窓枠体と該窓枠体を取り囲むように設けられるフレーム体とが一体化されたサッシフレームを建物開口部に取付ける方法において、
上下枠及び左右の縦枠を方形状に枠組みして前記窓枠体を形成し、該窓枠体を構成する上下枠に対し、長手方向全長に渡る上フレーム材と下フレーム材とを取付けて窓枠フレーム体を形成し、前記窓枠体を構成する縦枠を長手方向複数個所に取付可能な縦フレーム材を形成し、
2本の前記縦フレーム材を離隔して配置し前記建物開口部に対して上下端部をそれぞれ固定し、該固定された前記縦フレーム材の長手方向任意の位置に前記窓枠フレーム体の上フレーム材及び下フレーム材を固定することで、前記サッシフレームを建物開口部に取付けることを特徴として構成されている。
【0009】
また、本発明に係るサッシフレームの取付方法は、前記縦フレーム材には長手方向に沿って複数の固定孔が形成され、前記上フレーム材及び下フレーム材は前記縦フレーム材の固定孔にボルト止めされることにより、前記縦フレーム材の長手方向任意の位置に取付可能とされることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るサッシフレームの取付方法によれば、上下枠及び左右の縦枠を方形状に枠組みして窓枠体を形成し、窓枠体を構成する上下枠に対し、長手方向全長に渡る上フレーム材と下フレーム材とを取付けて窓枠フレーム体を形成し、窓枠体を構成する縦枠を長手方向複数個所に取付可能な縦フレーム材を形成し、2本の縦フレーム材を離隔して配置し建物開口部に対して上下端部をそれぞれ固定し、固定された縦フレーム材の長手方向任意の位置に窓枠フレーム体の上フレーム材及び下フレーム材を固定することで、サッシフレームを建物開口部に取付けることにより、窓枠フレーム体と縦フレーム材が別々の状態で輸送できるので輸送効率がよく、また施工現場では縦フレーム材を建物開口部に取付けて窓枠フレーム体を縦フレーム材の長手方向任意の位置に取付けるだけでよいので、窓枠フレーム体の位置調整及び取付の工数を減らして作業性を良好にすることができる。
【0011】
また、本発明に係るサッシフレームの取付方法によれば、縦フレーム材には長手方向に沿って複数の固定孔が形成され、上フレーム材及び下フレーム材は縦フレーム材の固定孔にボルト止めされることにより、縦フレーム材の長手方向任意の位置に取付可能とされることにより、ボルトの取付位置を選択するだけで、窓枠フレーム体の縦フレーム材に対する取付位置を容易に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。図1には、本実施形態におけるサッシフレームが建物開口部に取付けられた状態の正面図を示している。本実施形態のサッシフレームは、RC造あるいはSRC造の建物開口部に取付けられるものであり、建物開口部は上側躯体1と下側躯体2との間に空間が形成され、この空間部分にサッシフレーム3が配置されて上下端部がそれぞれ上側躯体1と下側躯体2に固定される。
【0013】
サッシフレーム3は、フレーム体4内に窓枠体5が固定されることで構成されている。窓枠体5は、上枠10と下枠11及び左右の縦枠12、12を方形状に枠組みして構成されている。また、フレーム体4は、2本の縦フレーム材20、20が窓枠体5の左右方向幅の間隔を有して配置され、縦フレーム材20間には左右方向に上フレーム材21及び下フレーム材22が渡されている。左右の縦フレーム材20はそれぞれ窓枠体5を構成する縦枠12に対して固定され、上フレーム材21は上枠10に、下フレーム材22は下枠11に、それぞれ固定される。
【0014】
フレーム体4は建物開口部に取付けられる上部下地アングル30及び下部下地アングル31に締結固定されることで、建物開口部に固定される。上部下地アングル30は、建物躯体の上側躯体1に固定されており、下部下地アングル31は、建物躯体の下側躯体2に固定されている。フレーム体4の縦フレーム材20は、上端部が上部下地アングル30に固定され、下端部が下部下地アングル31に固定されている。
【0015】
縦フレーム材20には、長手方向に沿って多数の固定孔23が形成されている。上フレーム材21及び下フレーム材22は、両端部において縦フレーム材20の固定孔23にボルトにより固定することができ、したがって、上フレーム材21及び下フレーム材22は、縦フレーム材20の長手方向任意の位置に固定することができるようにされている。
【0016】
図2にはサッシフレームの縦断面図を、図3にはサッシフレームの横断面図を、それぞれ示している。これらの図は、サッシフレーム3を建物開口部に取付けた上で、窓枠体5の周囲にALCパネルを配設した状態を表している。図2及び図3に示すように、窓枠体5内には、内障子13と外障子14が引き違い状に納められており、内障子13及び外障子14は窓枠体5内を走行自在とされている。
【0017】
図2に示すように、窓枠体5の上下には、それぞれ外壁パネルとしてALCパネル6が設けられる。また、図3に示すように、窓枠体5の両側には、それぞれ外壁パネルとしてALCパネル6が設けられる。なお、本実施形態では外壁パネルとしてALCパネルを用いているが、PCパネル等であってもよい。窓枠体5の室内側には、四周に渡って額縁材7が設けられる。なお、図2においては縦辺の額縁材7は省略し、図3においては横辺の額縁材7は省略しており、フレーム体4の構成が見えるように表している。
【0018】
フレーム体4においては、縦フレーム材20が室内側寄りに配置されており、上フレーム材21及び下フレーム材22は縦フレーム材20の室外面にそれぞれボルト止めされている。上フレーム材21と下フレーム材22の縦フレーム材20に対する固定は、前述のように縦フレーム材20に形成された複数の固定孔23のうちいずれかに対して、ボルトを挿通、締結することでなされる。
【0019】
窓枠体5の上枠10は、室内側と室外側でそれぞれ上フレーム材21に対してネジ止めされることで固定されている。また、窓枠体5の下枠11も、室内側と室外側でそれぞれ下フレーム材22に対してネジ止めされることで固定されている。さらに、窓枠体5の縦枠12も、室内側と室外側でそれぞれ縦フレーム材20に対してネジ止めされることで固定されている。このように、窓枠体5はフレーム体4に対してネジ止めされることによって固定されている。
【0020】
次に、サッシフレーム3の取付方法について説明する。図4には、サッシフレーム3の取付工程について表した図を示している。図4(a)は、工場出荷時の状態を表しており、図4(b)、(c)は、施工現場における取付工程を表している。図4(a)に示すように、工場においては窓枠体5を枠組みしておくと共に、上枠10と下枠11にそれぞれ上フレーム材21と下フレーム材22を固定して窓枠フレーム体8を形成しておく。また、縦フレーム材20も個々に形成しておく。
【0021】
窓枠フレーム体8と縦フレーム材20は、別々の状態で輸送される。窓枠フレーム体8は窓枠体5に上下フレーム材21、22が取付けられた状態であるため、略方形状をなしており、効率よくトラック等に積み込むことができる。また、縦フレーム材20は、単純な棒状をなしているため、これも効率よくトラック等に積み込むことができる。したがって、フレーム体4と窓枠体5を予めすべて一体化した場合に比べて、より効率的な輸送を行うことができる。また、フレーム体4と窓枠体5を予めすべて一体化した場合において、輸送の際に必要な補助フレーム材も不要とすることができる。
【0022】
図4(b)に示すように、施工現場においては、建物開口部に対してまず縦フレーム材20を固定する。そのために、建物開口部を構成する上側躯体1と下側躯体2には、予めそれぞれ上部下地アングル30と下部下地アングル31が取付けられている。縦フレーム材20は上下端部がそれぞれ上部下地アングル30と下部下地アングル31に固定される。
【0023】
次に、図4(c)に示すように、建物開口部に取付けられた縦フレーム材20に対して、窓枠フレーム体8を固定する。前述のように、窓枠フレーム体8は窓枠体5に上フレーム材21及び下フレーム材22が一体化されてなり、上フレーム材21と下フレーム材22をそれぞれ縦フレーム材20の固定孔23のいずれかに対してボルトにより固定することにより、窓枠フレーム体8を縦フレーム材20に対して固定することができる。
【0024】
このように、本実施形態のサッシフレーム3によれば、施工現場では縦フレーム材20を建物開口部に取付け、その縦フレーム材20に対して窓枠フレーム体8を固定することとしたので、フレーム体8に窓枠体5を取付ける工法に比べて施工現場での工数を少なくすることができる。また、縦フレーム材20には長手方向に沿って複数の固定孔23が形成されているので、窓枠フレーム体8を上下方向任意の位置に固定することができ、窓位置を容易に調整することができる。また、本実施形態では窓枠体5として腰高窓を想定しているが、掃き出し窓など異なるサイズの窓であっても、容易に固定を行うことができる。
【0025】
ここで、本実施形態では縦フレーム材20の長手方向に複数の固定孔23を設けることにより、窓枠フレーム体8を縦フレーム材20の長手方向任意の位置に固定することとしたが、縦フレーム材20にフック状の引っ掛け部を複数設け、窓枠フレーム体8を構成する上フレーム材21に引っ掛け部に対する係合部を設けることで、窓枠フレーム体8を縦フレーム材20に対して固定するなど、他の手段により両者を固定するようにしてもよい。
【0026】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。例えば本実施形態では、サッシフレーム3に用いられる窓を引き違い窓としたが、開き窓や嵌め殺し窓など他の種類の窓であっても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態におけるサッシフレームが建物開口部に取付けられた状態の正面図である。
【図2】サッシフレームの縦断面図である。
【図3】サッシフレームの横断面図である。
【図4】サッシフレームの取付工程について表した図である。
【符号の説明】
【0028】
1 上側躯体
2 下側躯体
3 サッシフレーム
4 フレーム体
5 窓枠体
6 ALCパネル
7 額縁材
8 窓枠フレーム体
10 上枠
11 下枠
12 縦枠
13 内障子
14 外障子
20 縦フレーム材
21 上フレーム材
22 下フレーム材
23 固定孔
30 上部下地アングル
31 下部下地アングル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓枠体と該窓枠体を取り囲むように設けられるフレーム体とが一体化されたサッシフレームを建物開口部に取付ける方法において、
上下枠及び左右の縦枠を方形状に枠組みして前記窓枠体を形成し、該窓枠体を構成する上下枠に対し、長手方向全長に渡る上フレーム材と下フレーム材とを取付けて窓枠フレーム体を形成し、前記窓枠体を構成する縦枠を長手方向複数個所に取付可能な縦フレーム材を形成し、
2本の前記縦フレーム材を離隔して配置し前記建物開口部に対して上下端部をそれぞれ固定し、該固定された前記縦フレーム材の長手方向任意の位置に前記窓枠フレーム体の上フレーム材及び下フレーム材を固定することで、前記サッシフレームを建物開口部に取付けることを特徴とするサッシフレームの取付方法。
【請求項2】
前記縦フレーム材には長手方向に沿って複数の固定孔が形成され、前記上フレーム材及び下フレーム材は前記縦フレーム材の固定孔にボルト止めされることにより、前記縦フレーム材の長手方向任意の位置に取付可能とされることを特徴とする請求項1記載のサッシフレームの取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−112126(P2010−112126A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288005(P2008−288005)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】