サッシ
【課題】 ねじれ力に対して強く、接着剤がサッシの意匠性を損なうことがない接着方式のサッシを提供する。
【解決手段】 枠体及び障子の框の構成部材である縦枠と横枠又は縦框と横框の一方部材に他方部材の長手方向端部を嵌合する凹部を形成し、その凹部のコ字形に連続する3面に、他方部材の長手方向端部のコ字形に連続する3面を接着した。
【解決手段】 枠体及び障子の框の構成部材である縦枠と横枠又は縦框と横框の一方部材に他方部材の長手方向端部を嵌合する凹部を形成し、その凹部のコ字形に連続する3面に、他方部材の長手方向端部のコ字形に連続する3面を接着した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成枠材及び框材の接続にビスを用いない新規なサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
サッシは、枠体とその枠体の中に保持される障子とから構成されている。従来のサッシにおける枠体は縦枠と横枠とをビスにより方形に接続し、また、従来のサッシにおける障子は、縦框と横框とを同様にビスにより方形に接続している。
【0003】
さらに詳しくは、枠体においては、縦枠の障子嵌合用の突縁を上下端部において所定高さに渡って切除して、左右の縦枠同士において対向する平坦面を形成し、その平坦面に横枠である上枠と下枠の長手方向端面を突き合わせ、縦枠に貫通したビスを、上枠及び下枠のそれぞれに設けてあるビスホールにねじ込むことにより、縦枠と横枠とを接続していた。
【特許文献1】特になし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、資源環境の推移とともに、ビス接続方式による従来のサッシには、次のような問題が指摘されるようになった。すなわち、第1には、ビスを用いるため、横枠にはビスをねじ込むためのビスホールが必要である。しかも、接続後の回転阻止のために、一つの横枠に少なくとも2個のビスホールを必要とする。そして、ビスは横枠の長手方向端部においてのみビスホールにねじ込まれるが、ビスホールは横枠の全長に沿って成形されている。そのため、サッシ材料金属の価格高騰の折り、ビスホールはサッシの単位重量当たりのコスト削減の障害になっている。さらに、サッシが樹脂製である場合は、撤去後、スクラップして再使用を図るときに、ビスが異物として混入するため、再生処理を困難にする。
【0005】
本発明者は、上記の事情に鑑み、ビスホールを不要化するとともに、ビスを用いずに構成枠材及び框材の接続ができるサッシを追求してきた。そして、ビス方式に代えて接着方式、すなわち、構成枠材及び框材を接着剤で接続する方式を用いることを考察してきた。 ところが、接着剤は、接着部位に加わるねじれ力に対しては弱いという特性を有する。また、接着剤は、特に接着力の大きい接着剤ほど、乾燥後に特有の色を発色する。従って、単純に接着するといっても、所要の接続強度を得ること、接着作業性を向上すること、接着剤により完成したサッシの意匠性を低下させないことは、容易にはできない。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、接着後に十分な接続強度を有してねじれ力に対して強く、また、乾燥した接着剤がサッシの意匠性を損なうことがない接着方式のサッシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、枠体及び障子の框の構成部材である縦枠と横枠又は縦框と横框の一方部材に他方部材の長手方向端部を嵌合する凹部を形成し、その凹部のコ字形に連続する3面に、他方部材の長手方向端部のコ字形に連続する3面を接着してあることを特徴としている。
【0008】
本発明の好ましい例では、枠体については、上枠の長手方向端部に縦枠の上端部を嵌合する凹部を形成するとともに、その凹部の下方開口コ字形に連続する3面に縦枠の上端部を嵌合して、その縦枠の上端部の下方開口コ字形に連続する3面を接着し、前記縦枠の下端部に下枠の長手方向端部を嵌合する凹部を形成するとともに、その凹部に下枠の長手方向端部を嵌合して、その下枠の側面開口コ字形に連続する3面を接着したことを特徴としている。
【0009】
本発明の他の好ましい例では、(a)障子の召し合わせ框においては、ガラス嵌合溝を形成する両側壁の端部の屈曲縁を召合わせ框の上下端部において切除して側面開口コ字形の凹部を形成するとともに、上端部の凹部には上框の長手方向一端部を、下端部の凹部には下框の長手方向端部をそれぞれ緊密に嵌合してそれらの上、下框の長手方向一端部の平面コ字形に連続する3面を前記凹部の内面に接着剤により接着し、(b)縦框においては、ガラス嵌合溝を屋外側にのみ側壁を有するL溝状に形成し、そのガラス嵌合溝の側壁の端部の屈曲縁を縦框の上下端部において切除してL字形に連続する凹部を形成し、上端部の凹部には上框の長手方向他端部を、下端部の凹部には下框の長手方向他端部をそれぞれ緊密に嵌合してそれらの上、下框の長手方向他端部の平面コ字形に連続する3面を前記凹部の内面に接着したことを特徴としている。
【0010】
上記障子においては、上框と縦框のガラス嵌合溝には、ガラス板を嵌めた後に、ガラス嵌合溝の側壁の反対側から押縁が嵌着されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、枠体及び障子の框の構成部材である縦枠と横枠又は縦框と横框の一方部材に他方部材の長手方向端部を嵌合する凹部を形成し、その凹部のコ字形に連続する3面に、他方部材の長手方向端部のコ字形に連続する3面を接着してあるので、縦枠と横枠又は縦框と横框の接続強度が格段に大きく、ねじれ力に対しても十分な強度を備えている。
【0012】
請求項2の発明によれば、縦枠の上枠に対する接続、縦枠に対する下枠の接続が、それぞれの枠構造との関係から容易であり、より強い接続強度が得られる。
【0013】
請求項3の発明によれば、障子においても接着剤による強い接続が可能である。
【0014】
請求項4の発明によれば、押縁によりガラス板を固定する障子においても、各框の接着が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
続いて、本発明の実施の形態を図示された実施例について説明する。
図1及び図2は、本発明を概念的に説明する枠体の接続構造の2例を示す部分的分解斜視図である。
【0016】
図1は、例えば窓枠としての枠体を構成する上下の横枠と左右の縦枠のうち、上側の横枠(上枠)1と左側の縦枠2との一部を示す。この例では、上枠1の他方の横枠(下枠)に対向する側に、屋外側壁11と屋内側壁12とこれらを平行に所定距離を隔てて接続する接続壁13とにより下方開口の凹部14を形成している。また、縦枠2は、平行な屋外側壁21と屋内側壁22との外面間の距離を上枠1の凹部14の内面間距離とほぼ等しく設定し、縦枠2の上端部を上枠1の凹部14に緊密に嵌合して、上枠1の凹部14の下方開口コ字形に連続する3つの内面f1,f2,f3に、縦枠2の上端部の屋外側壁21の外面から縦枠2の上端面を経て縦枠2の屋内側壁22に至る下方開口コ字状に連続する3つの外面f1’E,f2’E,f3’Eを接着剤(又は接着テープ。以下、同一。)により接着することができるように構成してある。
【0017】
図1の例の場合は、縦枠2は、上枠1のコ字形に連続する屋外側壁11、接続壁13及び屋内側壁12の間に嵌合されるほかに、平面コ字状に連続する3面同士(f1,f2,f3;f1’,f2’,f3’)が接着されるので、上枠1と縦枠2を非常に強固に接続し、接着剤の特性であるねじれ力に対する弱点をよく克服することができる。
【0018】
図2は、例えば窓枠としての枠体を構成する左右の縦枠と上下の横枠のうち、右側の縦枠2Eと上側の横枠(上枠)1Eの一部を示す。
【0019】
縦枠2Eの他の縦枠に対向する側に、屋外側壁21Eと屋内側壁22Eと、これらの側壁を平行に一定の距離を隔てて接続する接続壁23Eとで凹部24を形成してある。図示されていない左側の縦枠も対称形に形成されている。
【0020】
上枠1Eは、屋外側壁11Eの外面と屋内側壁12Eの外面との間の距離を、縦枠2Eの屋外側壁21Eの内面と屋内側壁22Eの内面との間の距離とほぼ等しく設定し、上枠1Eの長手方向端部(図1にいては右側端部)を縦枠2Eの凹部24の上端部に緊密に嵌合して、図1の場合と同様に、その嵌合部位における凹部の平面コ字状に連続する3つの内面f1,f2,f3と、上枠1Eの長手方向端面と上枠2Eの長手方向端部の屋外側壁21Eの外面と屋内側壁22Eの外面との平面コ字形に連続する3つの外面f1’,f2’,f3’とを、それらのいずれか一方又は両方に塗布してある接着剤又は貼り付けてある接着シート(図示せず)により、接着することができるように構成されている。
【0021】
上記の構成により、上枠1Eは、縦枠1の平面コ字形に連続する屋外側壁11E、接続壁13E及び屋内側壁12E間に嵌合されるほかに、平面コ字形に連続する3面同士(f1,f2,f3;f1’,f2’,f3’)が接着されるので、縦枠1と上枠2は非常に強固に接続し、接着剤の特性であるねじれ力に対する弱点をよく克服することができる。
【0022】
図3は、本発明を窓枠と障子の框に適用したサッシの縦断面図である。図示の好ましい実施例では、上記の接続構造の基本的な考えのうち、図1に基づいて説明した接続構造を窓枠WFの上枠10と縦枠20の接続に、図2に基づいて説明した接続構造を窓枠の縦枠20と下枠30との接続に適用したものである。以下に、さらに詳述する。
【0023】
上枠10の長手方向両端部における上レール105を切除して、屋外側壁101と屋内側壁102との間に下方に開口する凹部104が形成されている。縦枠20の屋外側壁201と屋内側壁202の外面間距離は上枠10の屋外側壁101と屋内側壁102の内面間距離、すなわち凹部104の幅と等しく設定してある。そして、縦枠20の上端部を上枠10の凹部104に緊密に嵌合し、上枠の屋外側壁101と縦枠の屋外側壁201、上枠の屋内側壁102と縦枠20の屋内側壁202、上枠の接続壁103と縦枠の上端面とが、下方開口コ字状に連続する3面に沿って接着剤(又は接着シート。以下同じ。)により接着されている。
【0024】
また、縦枠20の接続壁103の屋外側壁201と屋内側壁202との中間に設けられている障子の振れ止め用突縁(図示省略)は、下枠30が突き当てられる部分において切除されて、屋外側壁201と屋内側壁202との中間に反対側の縦枠に対向して開口する凹部204が形成されている。縦枠20の屋外側壁201と屋内側壁202の内面間距離、すなわち凹部204の幅と、下枠30のもっとも屋外側に設けてある集水溝301の屋外側面から屋内側壁302の屋内側面までの距離とは、等しく設定してある。そして、下枠の長手方向端部を縦枠の凹部204に緊密に嵌合して、縦枠20の屋外側壁201と集水溝301の屋外側面、縦枠20の屋内側壁202と下枠の屋内側壁302、及び縦枠の接続壁203と下枠30の長手方向端面とが平面コ字状に連続する3面に沿って接着剤により接着されている。
【0025】
従って、窓枠WFは、上枠10と縦枠20及び縦枠20と下枠30の各接続部がコ字状に連続する3面において接着されているから、ねじれ力に対して非常に強固な窓枠となっている。
【0026】
図4は、図3の窓枠WFに建て付けられている障子40,40’の一つ40を抽出して示す正面図である。図5は図4のA−A断面図、図6は図4のB−B断面図、図7はC−C断面図である。
【0027】
障子40においては、図5−7に示すように、上框401と召し合わせ框403との接続、下框402と召し合わせ框403との接続、上框041と縦框404との接続、下框402と縦框404との接続のいずれにも、図2の接続構造を採用してある。
【0028】
図6に示すように、召し合わせ框403は、煙返し403aを有する角筒部403bの側面から平行に延出する屋外側壁403cと屋内側壁403d間にガラス嵌合溝403eを有し、屋外側壁と屋内側壁の先端にはビード(図示せず)を嵌着するための屈曲縁403fが形成されている。
その屈曲縁403fを召し合わせ框の上下両端部において切除して、平面コ字状に連続する3つの面を有する凹部403e’が形成されている。すなわち、この凹部403e’はガラス嵌合溝403eの端部を利用している。
そして、上側の凹部403e’には、図5及び図6(b)に示すように、上框401の長手方向一端部を緊密に嵌合し、その上框401の屋外側面、屋内側面及び上框の長手方向端面の3つの面を召し合わせ框の凹部403e’のコ字状に連続する3つの面に接着剤により接着してある。
【0029】
図示されていないが、召し合わせ框403の下端部に形成してある凹部403e’と同様の凹部に下框が同様に接着されている。
【0030】
上框401は、屋外側壁401aと接続壁401bのみによりL字形に形成されたガラス嵌合溝401eを有し、そのガラス嵌合溝の底部両側に、対向して延びる係止縁401cを設けて、後述される押縁51を嵌着するための係止溝404dが形成されている。屋外側壁401aの先端には、図示されていないガラス固定用のピードを嵌着するための屈曲縁401fが形成されている。
【0031】
縦框404は、屋外側壁404aと接続壁404bのみによりL字形に形成されたガラス嵌合溝404eを有し、そのガラス嵌合溝の底部両側に、対向して延びる係止縁404dを設けて、後述される押縁52を嵌着するための係止溝404cが形成されている。屋外側壁404aの先端には、図示されていないガラス固定用のピードを係止するための屈曲縁404fが形成されている。そして、縦框404の長手方向上下端部において、その屈曲縁404fが切除されて、その屈曲縁が切除された屋外側壁404の内面と両係止縁とによって、L字状に連続する面を有する凹部404e’が形成されている。
【0032】
そして、上下の凹部404e’には、上框401の長手方向一端部を緊密に嵌合し、その上框401の屋外側面及び上框の長手方向端面のL字状に連続する2つの面を召し合わせ框の凹部404e’のL字状に連続する面に接着してある。
【0033】
図5及び図7の51,52はそれぞれ上框401と縦框404のガラス嵌合溝401e,404eの底部の係止溝401d,404dに嵌合して係止縁401c,404cにより係止された押縁であり、それぞれガラス嵌合溝のもう一つの側壁を構成する。こうして、各ガラス嵌合溝に嵌合されたガラス板(図示せず)の周辺が図示されていないピードを介して固定される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の基本的構成を概念的に示す接続構造の一例の斜視図。
【図2】本発明の基本的構成を概念的に示す接続構造の他例の斜視図。
【図3】本発明を適用したサッシの縦断面図。
【図4】障子の屋内側から見た正面図。
【図5】図4のA−A断面図。
【図6】図4のB−B断面図。
【図7】図4のC−C断面図。
【符号の説明】
【0035】
1 上枠
11 屋外側壁
12 屋内側壁
13 接続壁
14 凹部
2 縦枠
21 屋外側壁
22 屋内側壁
WF 窓枠
10 上枠
101 屋外側壁
102 屋内側壁
103 接続壁
104 凹部
20 縦枠
201 屋外側壁
202 屋内側壁
30 下枠
40、40’ 障子
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成枠材及び框材の接続にビスを用いない新規なサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
サッシは、枠体とその枠体の中に保持される障子とから構成されている。従来のサッシにおける枠体は縦枠と横枠とをビスにより方形に接続し、また、従来のサッシにおける障子は、縦框と横框とを同様にビスにより方形に接続している。
【0003】
さらに詳しくは、枠体においては、縦枠の障子嵌合用の突縁を上下端部において所定高さに渡って切除して、左右の縦枠同士において対向する平坦面を形成し、その平坦面に横枠である上枠と下枠の長手方向端面を突き合わせ、縦枠に貫通したビスを、上枠及び下枠のそれぞれに設けてあるビスホールにねじ込むことにより、縦枠と横枠とを接続していた。
【特許文献1】特になし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、資源環境の推移とともに、ビス接続方式による従来のサッシには、次のような問題が指摘されるようになった。すなわち、第1には、ビスを用いるため、横枠にはビスをねじ込むためのビスホールが必要である。しかも、接続後の回転阻止のために、一つの横枠に少なくとも2個のビスホールを必要とする。そして、ビスは横枠の長手方向端部においてのみビスホールにねじ込まれるが、ビスホールは横枠の全長に沿って成形されている。そのため、サッシ材料金属の価格高騰の折り、ビスホールはサッシの単位重量当たりのコスト削減の障害になっている。さらに、サッシが樹脂製である場合は、撤去後、スクラップして再使用を図るときに、ビスが異物として混入するため、再生処理を困難にする。
【0005】
本発明者は、上記の事情に鑑み、ビスホールを不要化するとともに、ビスを用いずに構成枠材及び框材の接続ができるサッシを追求してきた。そして、ビス方式に代えて接着方式、すなわち、構成枠材及び框材を接着剤で接続する方式を用いることを考察してきた。 ところが、接着剤は、接着部位に加わるねじれ力に対しては弱いという特性を有する。また、接着剤は、特に接着力の大きい接着剤ほど、乾燥後に特有の色を発色する。従って、単純に接着するといっても、所要の接続強度を得ること、接着作業性を向上すること、接着剤により完成したサッシの意匠性を低下させないことは、容易にはできない。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、接着後に十分な接続強度を有してねじれ力に対して強く、また、乾燥した接着剤がサッシの意匠性を損なうことがない接着方式のサッシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、枠体及び障子の框の構成部材である縦枠と横枠又は縦框と横框の一方部材に他方部材の長手方向端部を嵌合する凹部を形成し、その凹部のコ字形に連続する3面に、他方部材の長手方向端部のコ字形に連続する3面を接着してあることを特徴としている。
【0008】
本発明の好ましい例では、枠体については、上枠の長手方向端部に縦枠の上端部を嵌合する凹部を形成するとともに、その凹部の下方開口コ字形に連続する3面に縦枠の上端部を嵌合して、その縦枠の上端部の下方開口コ字形に連続する3面を接着し、前記縦枠の下端部に下枠の長手方向端部を嵌合する凹部を形成するとともに、その凹部に下枠の長手方向端部を嵌合して、その下枠の側面開口コ字形に連続する3面を接着したことを特徴としている。
【0009】
本発明の他の好ましい例では、(a)障子の召し合わせ框においては、ガラス嵌合溝を形成する両側壁の端部の屈曲縁を召合わせ框の上下端部において切除して側面開口コ字形の凹部を形成するとともに、上端部の凹部には上框の長手方向一端部を、下端部の凹部には下框の長手方向端部をそれぞれ緊密に嵌合してそれらの上、下框の長手方向一端部の平面コ字形に連続する3面を前記凹部の内面に接着剤により接着し、(b)縦框においては、ガラス嵌合溝を屋外側にのみ側壁を有するL溝状に形成し、そのガラス嵌合溝の側壁の端部の屈曲縁を縦框の上下端部において切除してL字形に連続する凹部を形成し、上端部の凹部には上框の長手方向他端部を、下端部の凹部には下框の長手方向他端部をそれぞれ緊密に嵌合してそれらの上、下框の長手方向他端部の平面コ字形に連続する3面を前記凹部の内面に接着したことを特徴としている。
【0010】
上記障子においては、上框と縦框のガラス嵌合溝には、ガラス板を嵌めた後に、ガラス嵌合溝の側壁の反対側から押縁が嵌着されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、枠体及び障子の框の構成部材である縦枠と横枠又は縦框と横框の一方部材に他方部材の長手方向端部を嵌合する凹部を形成し、その凹部のコ字形に連続する3面に、他方部材の長手方向端部のコ字形に連続する3面を接着してあるので、縦枠と横枠又は縦框と横框の接続強度が格段に大きく、ねじれ力に対しても十分な強度を備えている。
【0012】
請求項2の発明によれば、縦枠の上枠に対する接続、縦枠に対する下枠の接続が、それぞれの枠構造との関係から容易であり、より強い接続強度が得られる。
【0013】
請求項3の発明によれば、障子においても接着剤による強い接続が可能である。
【0014】
請求項4の発明によれば、押縁によりガラス板を固定する障子においても、各框の接着が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
続いて、本発明の実施の形態を図示された実施例について説明する。
図1及び図2は、本発明を概念的に説明する枠体の接続構造の2例を示す部分的分解斜視図である。
【0016】
図1は、例えば窓枠としての枠体を構成する上下の横枠と左右の縦枠のうち、上側の横枠(上枠)1と左側の縦枠2との一部を示す。この例では、上枠1の他方の横枠(下枠)に対向する側に、屋外側壁11と屋内側壁12とこれらを平行に所定距離を隔てて接続する接続壁13とにより下方開口の凹部14を形成している。また、縦枠2は、平行な屋外側壁21と屋内側壁22との外面間の距離を上枠1の凹部14の内面間距離とほぼ等しく設定し、縦枠2の上端部を上枠1の凹部14に緊密に嵌合して、上枠1の凹部14の下方開口コ字形に連続する3つの内面f1,f2,f3に、縦枠2の上端部の屋外側壁21の外面から縦枠2の上端面を経て縦枠2の屋内側壁22に至る下方開口コ字状に連続する3つの外面f1’E,f2’E,f3’Eを接着剤(又は接着テープ。以下、同一。)により接着することができるように構成してある。
【0017】
図1の例の場合は、縦枠2は、上枠1のコ字形に連続する屋外側壁11、接続壁13及び屋内側壁12の間に嵌合されるほかに、平面コ字状に連続する3面同士(f1,f2,f3;f1’,f2’,f3’)が接着されるので、上枠1と縦枠2を非常に強固に接続し、接着剤の特性であるねじれ力に対する弱点をよく克服することができる。
【0018】
図2は、例えば窓枠としての枠体を構成する左右の縦枠と上下の横枠のうち、右側の縦枠2Eと上側の横枠(上枠)1Eの一部を示す。
【0019】
縦枠2Eの他の縦枠に対向する側に、屋外側壁21Eと屋内側壁22Eと、これらの側壁を平行に一定の距離を隔てて接続する接続壁23Eとで凹部24を形成してある。図示されていない左側の縦枠も対称形に形成されている。
【0020】
上枠1Eは、屋外側壁11Eの外面と屋内側壁12Eの外面との間の距離を、縦枠2Eの屋外側壁21Eの内面と屋内側壁22Eの内面との間の距離とほぼ等しく設定し、上枠1Eの長手方向端部(図1にいては右側端部)を縦枠2Eの凹部24の上端部に緊密に嵌合して、図1の場合と同様に、その嵌合部位における凹部の平面コ字状に連続する3つの内面f1,f2,f3と、上枠1Eの長手方向端面と上枠2Eの長手方向端部の屋外側壁21Eの外面と屋内側壁22Eの外面との平面コ字形に連続する3つの外面f1’,f2’,f3’とを、それらのいずれか一方又は両方に塗布してある接着剤又は貼り付けてある接着シート(図示せず)により、接着することができるように構成されている。
【0021】
上記の構成により、上枠1Eは、縦枠1の平面コ字形に連続する屋外側壁11E、接続壁13E及び屋内側壁12E間に嵌合されるほかに、平面コ字形に連続する3面同士(f1,f2,f3;f1’,f2’,f3’)が接着されるので、縦枠1と上枠2は非常に強固に接続し、接着剤の特性であるねじれ力に対する弱点をよく克服することができる。
【0022】
図3は、本発明を窓枠と障子の框に適用したサッシの縦断面図である。図示の好ましい実施例では、上記の接続構造の基本的な考えのうち、図1に基づいて説明した接続構造を窓枠WFの上枠10と縦枠20の接続に、図2に基づいて説明した接続構造を窓枠の縦枠20と下枠30との接続に適用したものである。以下に、さらに詳述する。
【0023】
上枠10の長手方向両端部における上レール105を切除して、屋外側壁101と屋内側壁102との間に下方に開口する凹部104が形成されている。縦枠20の屋外側壁201と屋内側壁202の外面間距離は上枠10の屋外側壁101と屋内側壁102の内面間距離、すなわち凹部104の幅と等しく設定してある。そして、縦枠20の上端部を上枠10の凹部104に緊密に嵌合し、上枠の屋外側壁101と縦枠の屋外側壁201、上枠の屋内側壁102と縦枠20の屋内側壁202、上枠の接続壁103と縦枠の上端面とが、下方開口コ字状に連続する3面に沿って接着剤(又は接着シート。以下同じ。)により接着されている。
【0024】
また、縦枠20の接続壁103の屋外側壁201と屋内側壁202との中間に設けられている障子の振れ止め用突縁(図示省略)は、下枠30が突き当てられる部分において切除されて、屋外側壁201と屋内側壁202との中間に反対側の縦枠に対向して開口する凹部204が形成されている。縦枠20の屋外側壁201と屋内側壁202の内面間距離、すなわち凹部204の幅と、下枠30のもっとも屋外側に設けてある集水溝301の屋外側面から屋内側壁302の屋内側面までの距離とは、等しく設定してある。そして、下枠の長手方向端部を縦枠の凹部204に緊密に嵌合して、縦枠20の屋外側壁201と集水溝301の屋外側面、縦枠20の屋内側壁202と下枠の屋内側壁302、及び縦枠の接続壁203と下枠30の長手方向端面とが平面コ字状に連続する3面に沿って接着剤により接着されている。
【0025】
従って、窓枠WFは、上枠10と縦枠20及び縦枠20と下枠30の各接続部がコ字状に連続する3面において接着されているから、ねじれ力に対して非常に強固な窓枠となっている。
【0026】
図4は、図3の窓枠WFに建て付けられている障子40,40’の一つ40を抽出して示す正面図である。図5は図4のA−A断面図、図6は図4のB−B断面図、図7はC−C断面図である。
【0027】
障子40においては、図5−7に示すように、上框401と召し合わせ框403との接続、下框402と召し合わせ框403との接続、上框041と縦框404との接続、下框402と縦框404との接続のいずれにも、図2の接続構造を採用してある。
【0028】
図6に示すように、召し合わせ框403は、煙返し403aを有する角筒部403bの側面から平行に延出する屋外側壁403cと屋内側壁403d間にガラス嵌合溝403eを有し、屋外側壁と屋内側壁の先端にはビード(図示せず)を嵌着するための屈曲縁403fが形成されている。
その屈曲縁403fを召し合わせ框の上下両端部において切除して、平面コ字状に連続する3つの面を有する凹部403e’が形成されている。すなわち、この凹部403e’はガラス嵌合溝403eの端部を利用している。
そして、上側の凹部403e’には、図5及び図6(b)に示すように、上框401の長手方向一端部を緊密に嵌合し、その上框401の屋外側面、屋内側面及び上框の長手方向端面の3つの面を召し合わせ框の凹部403e’のコ字状に連続する3つの面に接着剤により接着してある。
【0029】
図示されていないが、召し合わせ框403の下端部に形成してある凹部403e’と同様の凹部に下框が同様に接着されている。
【0030】
上框401は、屋外側壁401aと接続壁401bのみによりL字形に形成されたガラス嵌合溝401eを有し、そのガラス嵌合溝の底部両側に、対向して延びる係止縁401cを設けて、後述される押縁51を嵌着するための係止溝404dが形成されている。屋外側壁401aの先端には、図示されていないガラス固定用のピードを嵌着するための屈曲縁401fが形成されている。
【0031】
縦框404は、屋外側壁404aと接続壁404bのみによりL字形に形成されたガラス嵌合溝404eを有し、そのガラス嵌合溝の底部両側に、対向して延びる係止縁404dを設けて、後述される押縁52を嵌着するための係止溝404cが形成されている。屋外側壁404aの先端には、図示されていないガラス固定用のピードを係止するための屈曲縁404fが形成されている。そして、縦框404の長手方向上下端部において、その屈曲縁404fが切除されて、その屈曲縁が切除された屋外側壁404の内面と両係止縁とによって、L字状に連続する面を有する凹部404e’が形成されている。
【0032】
そして、上下の凹部404e’には、上框401の長手方向一端部を緊密に嵌合し、その上框401の屋外側面及び上框の長手方向端面のL字状に連続する2つの面を召し合わせ框の凹部404e’のL字状に連続する面に接着してある。
【0033】
図5及び図7の51,52はそれぞれ上框401と縦框404のガラス嵌合溝401e,404eの底部の係止溝401d,404dに嵌合して係止縁401c,404cにより係止された押縁であり、それぞれガラス嵌合溝のもう一つの側壁を構成する。こうして、各ガラス嵌合溝に嵌合されたガラス板(図示せず)の周辺が図示されていないピードを介して固定される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の基本的構成を概念的に示す接続構造の一例の斜視図。
【図2】本発明の基本的構成を概念的に示す接続構造の他例の斜視図。
【図3】本発明を適用したサッシの縦断面図。
【図4】障子の屋内側から見た正面図。
【図5】図4のA−A断面図。
【図6】図4のB−B断面図。
【図7】図4のC−C断面図。
【符号の説明】
【0035】
1 上枠
11 屋外側壁
12 屋内側壁
13 接続壁
14 凹部
2 縦枠
21 屋外側壁
22 屋内側壁
WF 窓枠
10 上枠
101 屋外側壁
102 屋内側壁
103 接続壁
104 凹部
20 縦枠
201 屋外側壁
202 屋内側壁
30 下枠
40、40’ 障子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体及び障子の一方又は双方の構成部材である縦枠と横枠又は縦框と横框の一方部材に他方部材の長手方向端部を嵌合する凹部を形成し、その凹部のコ字形に連続する3面に、他方部材の長手方向端部のコ字形に連続する3面を接着したことを特徴とするサッシ。
【請求項2】
請求項1に記載のサッシにおいて、枠体については、上枠の長手方向端部に縦枠の上端部を嵌合する凹部を形成するとともに、その凹部の下方開口コ字形に連続する3面に縦枠の上端部を嵌合して、その縦枠の上端部の下方開口コ字形に連続する3面を接着し、前記縦枠の下端部に下枠の長手方向端部を嵌合する凹部を形成するとともに、その凹部に下枠の長手方向端部を嵌合して、その下枠の側面開口コ字形に連続する3面を接着したことを特徴とするサッシ。
【請求項3】
請求項1に記載のサッシにおいて、
障子の召し合わせ框においては、ガラス嵌合溝を形成する両側壁の端部の屈曲縁を召合わせ框の上下端部において切除して側面開口コ字形の凹部を形成するとともに、上端部の凹部には上框の長手方向一端部を、下端部の凹部には下框の長手方向端部をそれぞれ緊密に嵌合してそれらの上、下框の長手方向一端部の平面コ字形に連続する3面を前記凹部の内面に接着剤により接着し、
縦框においては、ガラス嵌合溝を屋外側にのみ側壁を有するL溝状に形成し、そのガラス嵌合溝の側壁の端部の屈曲縁を縦框の上下端部において切除してL字形に連続する凹部を形成し、上端部の凹部には上框の長手方向他端部を、下端部の凹部には下框の長手方向他端部をそれぞれ緊密に嵌合してそれらの上、下框の長手方向他端部の平面コ字形に連続する3面を前記凹部の内面に接着したことを特徴とするサッシ。
【請求項4】
障子において、上框と縦框のガラス嵌合溝には、ガラス板を嵌めた後に、ガラス嵌合溝の側壁の反対側から押縁が嵌着されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のサッシ。
【請求項1】
枠体及び障子の一方又は双方の構成部材である縦枠と横枠又は縦框と横框の一方部材に他方部材の長手方向端部を嵌合する凹部を形成し、その凹部のコ字形に連続する3面に、他方部材の長手方向端部のコ字形に連続する3面を接着したことを特徴とするサッシ。
【請求項2】
請求項1に記載のサッシにおいて、枠体については、上枠の長手方向端部に縦枠の上端部を嵌合する凹部を形成するとともに、その凹部の下方開口コ字形に連続する3面に縦枠の上端部を嵌合して、その縦枠の上端部の下方開口コ字形に連続する3面を接着し、前記縦枠の下端部に下枠の長手方向端部を嵌合する凹部を形成するとともに、その凹部に下枠の長手方向端部を嵌合して、その下枠の側面開口コ字形に連続する3面を接着したことを特徴とするサッシ。
【請求項3】
請求項1に記載のサッシにおいて、
障子の召し合わせ框においては、ガラス嵌合溝を形成する両側壁の端部の屈曲縁を召合わせ框の上下端部において切除して側面開口コ字形の凹部を形成するとともに、上端部の凹部には上框の長手方向一端部を、下端部の凹部には下框の長手方向端部をそれぞれ緊密に嵌合してそれらの上、下框の長手方向一端部の平面コ字形に連続する3面を前記凹部の内面に接着剤により接着し、
縦框においては、ガラス嵌合溝を屋外側にのみ側壁を有するL溝状に形成し、そのガラス嵌合溝の側壁の端部の屈曲縁を縦框の上下端部において切除してL字形に連続する凹部を形成し、上端部の凹部には上框の長手方向他端部を、下端部の凹部には下框の長手方向他端部をそれぞれ緊密に嵌合してそれらの上、下框の長手方向他端部の平面コ字形に連続する3面を前記凹部の内面に接着したことを特徴とするサッシ。
【請求項4】
障子において、上框と縦框のガラス嵌合溝には、ガラス板を嵌めた後に、ガラス嵌合溝の側壁の反対側から押縁が嵌着されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のサッシ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2009−97141(P2009−97141A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266638(P2007−266638)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】
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