説明

サッシ

【課題】 火災時において、横框の伸びを許容しつつ、障子の変形を抑えることで気密性を維持するサッシを提供する。
【解決手段】 障子2a,2bを備え、障子2a,2bは、縦框3と、横框4と、スペーサ5とを有し、左右の縦框3の間に上下の横框4を取り付けたものであって、スペーサ5は、横框4の熱伸び寸法を考慮した厚さを有し、左右両側の縦框3の内周側面と横框4の端面の間に取り付けてあって、火災時に軟化及び融解する樹脂からなる。そして、スペーサ5の室外側と室内側に、火災時に熱によって発泡する耐火材6を取り付けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災時においても気密性を維持できるサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
サッシは、火災時においても一定の気密性を維持することが求められるが、特に、炎熱により障子を構成する框が伸びて障子が変形し、隙間を生じることが問題となる。従来、この框の伸びを抑えるために、各種の補強材や断熱材を用いていた。しかしながら、どのような補強材や断熱材を用いても、框の伸びを完全に抑えることは困難であった。そして、特に引違い窓などのように障子が左右方向にスライド自在なサッシの場合、障子が左右方向について枠体に規制されていないので、障子の横框が炎熱により大きく伸び、室外側の障子と室内側の障子をロックするクレセント錠を破壊してしまう場合さえあり、こうなると、室外側の障子と室内側の障子の間に大きな隙間が生じてしまう。ところで、框の端部にスペーサ(接合部)を備えるものとして、特許文献1の発明が公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−338179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなサッシにおいて、スペーサ(接合部)が火災時に収縮したり消滅したりするものであれば、その分だけ框の伸びを吸収し得る。しかしながら、特許文献1の発明におけるスペーサ(接合部)は、緩衝性と密閉性を保持するためのものであり、一般にそのような目的のスペーサは厚さ1mm程度のものであって、框同士を接合するネジを締め付けることによってさらに薄くなってしまうから、火災時において框の伸びを吸収することができるものではなかった。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、火災時において、横框の伸びを許容しつつ、障子の変形を抑えることで気密性を維持するサッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち請求項1の発明は、障子を備え、障子は、縦框と、横框と、スペーサとを有し、左右の縦框の間に上下の横框を取り付けたものであって、スペーサは、横框の熱伸び寸法を考慮した厚さを有し、左右の少なくとも一方の縦框の内周側面と横框の端面の間に取り付けてあって、火災時に軟化、融解又は焼失するものであることを特徴とする。なお、横框の熱伸び寸法を考慮した厚さとは、サッシが炎熱にさらされた際の、横框の素材及び長さから予測される熱伸び寸法を基準とした厚さのことであり、熱伸び寸法に略等しい厚さに加え、熱伸び寸法以下の厚さであってその厚さ分の伸びを吸収することで障子の変形を抑えられる厚さ及び熱伸び寸法以上の厚さであってスペーサが軟化、融解又は焼失した後に障子にガタツキを生じない厚さを含む。
【0007】
本発明のうち請求項2の発明は、スペーサは、火災時に軟化及び融解する樹脂からなるものであることを特徴とする。
【0008】
本発明のうち請求項3の発明は、縦框の内周側面と横框の端面の間に、火災時に熱によって発泡する耐火材を取り付けてあることを特徴とする。
【0009】
本発明のうち請求項4の発明は、耐火材は、スペーサの室外側と室内側に取り付けてあることを特徴とする。
【0010】
本発明のうち請求項5の発明は、障子を備え、障子は、縦框と、横框と、スペーサとを有し、左右の縦框の間に上下の横框を取り付けたものであって、スペーサは、横框の熱伸び寸法を考慮した厚さを有し、左右の少なくとも一方の縦框の内周側面と横框の端面の間に取り付けてあって、耐火性を有し火災時に熱によって発泡するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のうち請求項1の発明によれば、サッシが炎熱にさらされた際に、横框が伸びるのに伴ってスペーサが軟化、融解又は焼失するので、スペーサの厚さ分だけ、横框の伸びを吸収することができる。横框の素材及び長さから、炎熱にさらされた際の熱伸び寸法は予測できるので、予測に基づき所定長さだけ横框を短くして、それと同じ厚さのスペーサを取り付ければ、障子の変形を確実に防ぐことができる。
【0012】
本発明のうち請求項2の発明によれば、サッシが炎熱にさらされた際に、まずスペーサが軟化し、温度上昇に伴って伸び始める横框に押しつぶされることで横框の伸びを吸収する。そして、最終的にはスペーサが融解して、厚さ分だけ横框の伸びを吸収することができる。
【0013】
本発明のうち請求項3の発明によれば、サッシが炎熱にさらされた際に、耐火材が発泡して縦框と横框の間の隙間を塞ぎ、煙の流通を遮断する。また、発泡した耐火材は空気層を有し断熱性に優れているから、直接炎熱にさらされている部位から他の部位への熱伝導を抑え、熱による損傷範囲を小さくすることができる。そして、特にスペーサが融解する素材からなるものである場合、融解することにより発生するガスも遮断し、さらに融解したスペーサを包み込んで、その流出を防ぐ。
【0014】
本発明のうち請求項4の発明によれば、耐火材をスペーサの室外側と室内側の両方に取り付けたことにより、サッシが室外側と室内側のどちらから炎熱にさらされた場合であっても、耐火材が確実に発泡して隙間を塞ぐ。
【0015】
本発明のうち請求項5の発明によれば、サッシが炎熱にさらされた際に、横框が伸びるのに伴ってスペーサが押しつぶされ、横框の伸びを吸収しつつ、スペーサが発泡して横框と縦框の間の隙間を塞ぎ、煙の流通を遮断する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第一実施形態のスペーサ取り付け部分の分解斜視図である。
【図2】本発明のサッシの縦断面図である。
【図3】本発明のサッシの横断面図である。
【図4】横框の伸び吸収の説明図であり、(a)は通常時、(b)は火災時である。
【図5】室外側障子の戸当り側縦框の下端部を示し、(a)は左側側面図、(b)は正面図、(c)は右側側面図である。
【図6】室外側障子の召合せ側縦框の下端部を示し、(a)は左側側面図、(b)は正面図、(c)は右側側面図である。
【図7】室内側障子の戸当り側縦框の下端部を示し、(a)は左側側面図、(b)は正面図、(c)は右側側面図である。
【図8】室内側障子の召合せ側縦框の下端部を示し、(a)は左側側面図、(b)は正面図、(c)は右側側面図である。
【図9】第二実施形態のスペーサ取り付け部分の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、上下は図2中の上下方向を、左右は図3中の左右方向を表す。ここでは、サッシの一例として、図2及び図3に示すように、枠体1に二枚の障子2a,2bを引違いに納めた引違い窓の例を挙げる。本発明の第一実施形態において、枠体1は、上枠11と、下枠12と、左右の縦枠13とを四周枠組みしたもので、上枠11の下側面にはレール11a,11bが形成してあり、下枠12の上側面にはレール12a,12bが形成してあって、二枚の障子2a,2bが左右方向スライド自在に納めてある。障子2a,2bは、何れも左右の縦框3と、上下の横框4(上框41及び下框42)と、パネル7とを備え、左右の縦框3の間に上下の横框4を取り付けて(縦框3の内周側面に横框4の端面を当接させて、縦框3の外周側からボルト止めしてある)四周框組みして、パネル7を嵌め込んだものである。なお、このサッシは、障子2a,2bの各縦框3及び横框4が(室外側の障子2aの召合せ側の縦框3を除く)、室外側のアルミ部材3c,4cと室内側の樹脂部材3d,4dとを組み合わせて構成された、いわゆる複合サッシである。
【0018】
そして、縦框3の内周側面と横框4の端面の間には、スペーサ5が取り付けてある。図1は、下框42の場合を示したものであり、スペーサ5は、厚さ3mmの長方形状で、上下に二つのボルト孔51が形成してあり、縦框3と下框42を接合するボルト8が貫通している。スペーサ5の上下方向長さは、下框42端面の上下方向長さの半分以下で、下框42端面の上側部分に位置しており、またスペーサ5の室内外方向長さも、下框42端面の室内外方向長さより短く、下框42端面の室外側のアルミ部材4c部分に位置している。さらに、スペーサ5の室外側と室内側には、上下方向に延びる耐火材6を取り付けてある。耐火材6は、火災時に熱によって発泡するものであって、縦框3の内周側面に接着してあり、上下方向長さは下框42端面の上下方向長さと略同一であり、下框42のアルミ部材4c端面の室外側辺と室内側辺に当接している。なお、上框41についても略同様であるが、上框41に取り付けたスペーサ5はボルト孔が一つで、上框41端面の下側部分に位置している(図2)。
【0019】
なお、本実施形態におけるスペーサ5は、ABS樹脂からなるもので、約100℃で軟化し始め、約300℃で融解する。融解する際には、可燃性のガスを生じる。また、耐火材6は、エポキシ系の素材からなるもので、約200℃で発泡して厚さ方向(取付面に対して垂直方向)に膨張する。
【0020】
このように構成した本発明のサッシについて、通常時には(図4(a))、スペーサ5や耐火材6は通常のサッシの機能にまったく影響しない。そして火災時には(図4(b))、サッシが炎熱にさらされることにより、横框4が長手方向に伸び始めるが、約100℃に達するとスペーサ5が軟化し始めるので、スペーサ5が横框4に押しつぶされて、横框4の伸びを吸収する。その際、ボルト8はスペーサ5のボルト孔51を貫通して下框42に螺合されているから、横框4が伸びた分だけボルト8の頭部が縦框3の当接面から離隔することになり、ボルト8が横框4の伸びを妨げることはない。そして約200℃に達すると、耐火材6が発泡して横框4側に膨張し、横框4のホロー内に侵入する。発泡した耐火材6は弾性を有するものであるから、自在に変形して空間部分を埋め、横框4と縦框3の間の隙間を塞ぐ。さらに約300℃に達すると、スペーサ5が融解して、横框4の端面は縦框3の内周側面に当接する。融解したスペーサ5は、発泡した耐火材6により受け止められ、外部へは流出しない。こうして、スペーサ5の当初の厚さ分だけ、横框4の伸びが吸収され、障子2a,2bの変形を防ぐことができる(本実施形態では、横框4の左右両端に厚さ3mmのスペーサ5を取り付けてあるので、6mmの伸びを吸収できる)。横框4の素材及び長さから、炎熱にさらされた際の熱伸び寸法は予測できるので、予測に基づき所定長さだけ横框4を短くして、それと同じ厚さのスペーサ5を取り付けておけばよい。そして、耐火材6は、融解したスペーサ5の流出を防ぐとともに、スペーサ5が融解する際に発生するガスの流通を遮断し、さらに煙や、サッシの樹脂部材が融解して発生する可燃性ガスの流通も遮断する。また、発泡した耐火材6は空気層を有し断熱性に優れているから、直接炎熱にさらされている部位から他の部位への熱伝導を抑え、熱による損傷範囲を小さくすることができる。なお、耐火材6をスペーサ5の室外側と室内側の両方に取り付けてあるから、サッシが室外側と室内側のどちらから炎熱にさらされた場合であっても、耐火材6が確実に発泡して隙間を塞ぐ。また、スペーサ5の大きさが横框4端面の大きさよりも小さいのは、スペーサ5が大きすぎると溶け残りを生じて横框4の伸び吸収の妨げになるからである。一方、耐火材6の上下方向長さは横框4端面の上下方向長さと略同一であり、横框4と縦框3の間の隙間を確実に塞ぐ。また、横框4のうち伸びるのはアルミ部材4cであり、樹脂部材4dは溶けてしまうから、スペーサ5及び耐火材6は、アルミ部材4c部分に当接させてある。
【0021】
なお、図2及び図3に示すように、本発明のサッシの障子2a,2bにおいては、パネル7の全周にわたって、鉄製で断面コ字形のパネル支持材100を取り付けてある。これは、サッシが炎熱にさらされて縦框3及び横框4が融解した場合にパネル7が外れるのを防ぎ、サッシの気密性を維持するためのものである。
【0022】
また、各縦框3のホロー内には、鉄製で断面コ字形の補強材110を挿入してある。補強材110は縦框3の全長にわたるもので、外側からネジ止めしてある。これは、サッシが炎熱にさらされた際に、縦框3の伸びを抑えるためのものである。
【0023】
さらに、上框41の上側面には上框耐火材61が、下框42の下部内側面には下框耐火材62が、戸当り側の縦框3の戸当り面には縦框耐火材63が、室外側の障子2aの召合せ側の縦框3の召合せ面には召合耐火材64が、それぞれ全長にわたって取り付けてある。何れも、耐火材6と同じ素材からなるもので、サッシが炎熱にさらされた際に、枠体1と障子2a,2b又は障子2a,2b同士の間に生じる隙間を塞いで、サッシの気密性を維持するためのものである。
【0024】
また、各縦框3の上下端部には、樹脂製のコーナー部材9を取り付けて開口部を塞いである。図5〜8に示すのは、各縦框3(室外側の障子2aの戸当り側、召合せ側及び室内側の障子2bの戸当り側、召合せ側)の下端部であり、各コーナー部材9は、細部の形状は異なるものの、何れも縦框3端部の開口部に嵌め込むものであり、下面にはレール12a,12bを跨ぐ溝部91を形成してある。そして、この溝部91内側の前後の壁面に、溝部耐火材65を取り付けてある。また、図5(a)及び図7(c)に示すように、戸当り側の縦框3において、コーナー部材9の外周側面(戸当り面)は露出しており、ここに上下に延びる戸当耐火材66を取り付けてある。なお、各縦框3の上端部のコーナー部材にも、同様に溝部耐火材及び戸当耐火材を取り付けてある。上框耐火材61、下框耐火材62及び縦框耐火材63と、溝部耐火材65及び戸当耐火材66とは、炎熱にさらされた際に、膨張して互いに密接し、障子2a,2bの周囲に連続した防火ラインが形成され、障子2a,2bと枠体1との間を隙間なく塞ぎ、サッシの気密性を維持することができる。
【0025】
また、図5、6及び8に示すように、各縦框3(室内側の障子2bの戸当り側の縦框3を除く)の下端部のコーナー部材9の下面(室外側の障子2aにおいては溝部91の室内側、室内側の障子2bにおいては溝部91の室外側)に、溝部91に沿って端部耐火材67を取り付けてある。この端部耐火材67は、炎熱にさらされた際に発泡してコーナー部材9自身を炎熱から守る。なお、本実施形態では室内側の障子2bの戸当り側の縦框3のコーナー部材9の下面には端部耐火材を取り付けていないが、もちろんここにも取り付けてもよい。そして、下枠12の、召合せ側の縦框3のコーナー部材9に対向する位置には、樹脂製で室内外方向に連通するアタッチメント10を取り付けてあり、これは、図6(a)及び図8(a)に示すように、室内側への水の流入を抑えるための止水ピースである。また、室外側の障子2aの戸当り側の縦框3の下部にも、図3及び図5(a)に示すように、アタッチメント10として下枠12の排気孔の上方に室内側の障子2bのストッパーを取り付けてある。召合せ側のアタッチメント10(止水ピース)は、それ自体が室内外に連通しており、戸当り側のアタッチメント10(ストッパー)は、排気孔を覆うものであるから、何れにおいてもアタッチメント10が無くなるとサッシの室内外が連通してしまうが、火災時には、コーナー部材9下面の端部耐火材67が発泡してアタッチメント10を覆うので、アタッチメント10が炎熱にさらされて融解し、室内外が連通して気密性が維持できなくなることを防ぐ。なお、各縦框の上端部のコーナー部材の上面にも端部耐火材を取り付けてあり、さらに上枠の、召合せ側の縦框3のコーナー部材に対向する位置にはアタッチメントとして風の侵入や音もれを抑えるための風止板を取り付けてある。
【0026】
次に、本発明の第二実施形態について、図9に基づき説明する。第二実施形態は、第一実施形態と比較して、スペーサ5の形状及び素材が異なっており、耐火材は設けられていない。第二実施形態のスペーサ5は、第一実施形態のスペーサと耐火材を一体にした形状となっており、すなわち、長方形状の基部52と、基部52の下部両端から下方に延びる脚部53とを有する。基部52の上下方向長さは、横框4(下框42)端面の上下方向長さの半分以下で、下框42端面の上側部分に位置しており、また基部52の室内外方向長さも、下框42端面の室内外方向長さより短く、下框42端面の室外側のアルミ部材4c部分に位置している。また、基部52には上下に二つのボルト孔51が形成してあり、縦框3と下框42を接合するボルト8が貫通している。さらに、脚部53は下框42のアルミ部材4c端面の室外側辺と室内側辺に位置しており、その下端は下框42の下端まで延びている。そしてこのスペーサ5は、耐火性を有し火災時に熱によって発泡するものであって、上述の各耐火材と同じ素材からなる。なお、上框についても同様に、基部と脚部を有するスペーサが取り付けてあるが、上框に取り付けたスペーサは基部の上部両端から脚部が上方に延びている。
【0027】
このように構成した第二実施形態においては、スペーサ5が弾力性を有しているから、サッシが炎熱にさらされた際に、横框4が伸びるのに伴ってスペーサ5が押しつぶされ、横框4の伸びを吸収する。そして、温度が約200℃に達すると、スペーサ5が発泡して横框4側に膨張し、横框4のホロー内に侵入する。発泡したスペーサ5は横框4の伸びを妨げることはなく、自在に変形して空間部分を埋め、横框4と縦框3の間の隙間を塞ぎ、煙や、サッシの樹脂部材が融解して発生する可燃性ガスの流通を遮断する。この際、スペーサ5全体が発泡し、広い範囲にわたって隙間を塞ぐので、確実に煙などの流通を遮断できる。なお、室外側と室内側の両方に脚部53を形成したことにより、サッシが室外側と室内側のどちらから炎熱にさらされた場合であっても、確実に発泡して隙間を塞ぐ。また、基部52と脚部53が一体であるから、製造が容易である。さらに、取り付けも基部52をボルト8で固定するだけでよく、容易である。
【0028】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、本発明は引違い窓以外の種々の窓に適用できる。また、第一実施形態のスペーサの素材について、「火災時に軟化、融解又は焼失するもの」とは、サッシが炎熱にさらされることにより、縦框及び横框より低い温度で軟化、融解又は焼失するものであればよく、ABS樹脂以外の樹脂や、紙、木材又ははんだのような低温で融解する金属などでもよい。さらに、各耐火材及び第二実施形態のスペーサの素材について、「火災時に熱によって発泡するもの」とは、同様の性質を備えるものであればどのようなものでもよい。また、スペーサの形状については、サッシの形状に合わせて適宜変更できる。さらに、耐火材の形状については、サッシの形状に合わせて適宜変更でき、スペーサの上下に取り付けたり、スペーサと重ねて取り付けたりしてもよい。また、スペーサと耐火材とをあらかじめ接合して一体にしておけば、それぞれを別個に取り付ける必要がなくなり、施工が容易になる。さらに、スペーサ及び耐火材は、上記の実施形態のように左右両側の縦框の内周側面と横框の端面の間に取り付けてあってもよいし、左右の何れか一方のみに取り付けてあってもよい。また、第二実施形態において、スペーサの基部と脚部とは一体に形成してもよいし、別々に形成してもよい。別々に形成した場合は、基部をボルトで固定し、脚部を縦框の内周側面に接着すればよい。
【符号の説明】
【0029】
2a,2b 障子
3 縦框
4 横框
5 スペーサ
6 耐火材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
障子を備え、障子は、縦框と、横框と、スペーサとを有し、左右の縦框の間に上下の横框を取り付けたものであって、スペーサは、横框の熱伸び寸法を考慮した厚さを有し、左右の少なくとも一方の縦框の内周側面と横框の端面の間に取り付けてあって、火災時に軟化、融解又は焼失するものであることを特徴とするサッシ。
【請求項2】
スペーサは、火災時に軟化及び融解する樹脂からなるものであることを特徴とする請求項1記載のサッシ。
【請求項3】
縦框の内周側面と横框の端面の間に、火災時に熱によって発泡する耐火材を取り付けてあることを特徴とする請求項1又は2記載のサッシ。
【請求項4】
耐火材は、スペーサの室外側と室内側に取り付けてあることを特徴とする請求項3記載のサッシ。
【請求項5】
障子を備え、障子は、縦框と、横框と、スペーサとを有し、左右の縦框の間に上下の横框を取り付けたものであって、スペーサは、横框の熱伸び寸法を考慮した厚さを有し、左右の少なくとも一方の縦框の内周側面と横框の端面の間に取り付けてあって、耐火性を有し火災時に熱によって発泡するものであることを特徴とするサッシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−136928(P2012−136928A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96329(P2011−96329)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)
【Fターム(参考)】