説明

サムホイール付き固定クランプ

【課題】固定要素の助けを借りて互いに隣り合う骨片を保持するための創外固定システムを提供する。
【解決手段】固定クランプ10であって、少なくとも1つのクランプアセンブリ20,30と、このクランプアセンブリを通って延びる少なくとも1つのロック要素40とを有し、クランプアセンブリは、少なくとも1つの収容部71,73を有し、収容部の長手方向軸にそって固定要素を収容し、ロック要素はロック要素に張力をかけると固定要素をクランプするためのクランプ力を提供する固定クランプ。固定クランプは、固定要素と接触する作動要素を有し、固定要素は作動要素を用いて作動可能であり、この作動要素は、使用後ロック要素から取り外すことができ、ロック要素から作動要素を取り外した後は、ロック要素上への再取り付けが阻止されるように形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定クランプに関し、及び、より具体的には、互いに隣り合う(adjacent)骨片を保持するための創外固定システムで使用する固定クランプに関する。
【背景技術】
【0002】
創外固定システムは、2つ以上の骨片を互いに連結するために広く用いられる。このようなシステムは、骨材料内に直接挿入される骨ねじ、ピン、ワイヤを含み、これらのシステムは固定ロッド、バー及びリング等の創外構造要素を使用する。ロッド及びバーを連結して剛性フレームを形成するために、固定クランプが用いられる。さらに、固定クランプは、特に骨片を所望の場所で保持するため、このねじ及びピンを剛性フレームに連結するために使用される。
【0003】
1つの調整可能な固定クランプは特許文献1から公知であり、これはロッド並びにピンのクランプを可能にする二対の顎部を含む。
【0004】
特許文献2からは、顎部を一対だけ有する複数のロッド形要素用のクランプが公知である。このようなクランプは、2より多い、例えば3又は4個のピン等のロッド形要素をただ1つのクランプでクランプできるため、クランプの数を減らすことができる。しかしながら、前記クランプのロッドを固定システムのフレームに固定するには、さらに1つの固定クランプが必要となる。
【0005】
特許文献3は、例えば特許文献1から公知の通常の固定クランプでは、フレームにクランプできるのは、ねじ又はピン1つだけで、複数のピン又はロッドをこの方法で取り付けると、固定システムが嵩張ってしまうと述べる。そのため、特許文献3は、この問題に対処する固定クランプを開示し、二対の顎部を有し、この二対の各対の顎部が2つのロッド又はピン等の挿入及びクランプを同時に可能にする。
【0006】
これらの先行技術によるクランプは、寸法の異なるロッド、ピン又はワイヤを挿入するために、顎部によって提供される収容部の直径を違わせておくか、又は、例えば特許文献4に開示されるような、付加的なインサートに頼っている。このようなインサートは、収容部の空洞の直径を小さくし、寸法の異なるロッド、ピン又はワイヤを確実に固定できる。
【0007】
特許文献5からは、さらなる固定クランプが公知である。外科医等の使用者は、このような固定クランプの取り扱いに関し非常によい評価を与えるが、使用者の多くは、いくつかの場合においてクランプ工程が困難であると述べた。
【0008】
さらに、先行技術から公知の固定クランプは、固定クランプが滅菌されているかどうか、又は既に使用したものかどうかを使用者が認識できないという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】EP 0 700 664
【特許文献2】EP 1 627 609
【特許文献3】WO 2007/001945
【特許文献4】EP 1 661 523
【特許文献5】EP 2 250 968
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、より簡単なクランプ工程を提供する固定クランプを提供することであり、特に、本固定クランプは、手で又は手動で予め張力をかけられ(pre−tensioned)、レンチ等の工具を用いて張力をかける(tensioned)ものとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的は、請求項1の特徴により解決される。従って、固定クランプ、より具体的には、固定要素を用いて互いに隣り合う骨片を保持するための創外固定システムにおいて用いるための固定クランプであって、少なくとも1つのクランプアセンブリとこのクランプアセンブリを通って延びる少なくとも1つのロック要素とを有し、前記クランプアセンブリは、少なくとも1つの収容部を有し、この収容部の長手方向軸に沿って固定要素を収容し、前記ロック要素は、ロック要素に張力をかけると前記固定要素をクランプするためのクランプ力を提供する。本固定クランプは、ロック要素と関連する作動要素を含み、ロック要素はこの作動要素を用いて作動可能であり、作動要素は、使用後ロック要素から取り外し可能で、ロック要素から作動要素を取り外した後は、ロック要素上への再取り付けが阻止されるように形成される。
【0012】
作動要素を用いて、ロック要素に予め張力をかける又はロック要素を予め締め付ける(pre−tightened)ことができる。作動要素を取り外した後、通常の工具を用いて、ロック要素をしっかりと締め付けることができる。作動要素は、一旦ロック要素から取り外されてしまうと再取り付けできないようになっているため、使用者は、固定クランプが使用されているか、未使用かを区別することができる。
【0013】
好ましくは、作動要素は、一度しか使用できない又は使い捨ての要素として形成される。
【0014】
好ましくは、作動要素には、ロック要素と係合する少なくとも1つのラッチ要素が設けられる。あるいは、作動要素は、少なくとも2つの又は少なくとも3つのラッチ要素を有し、これらが、互いからロック要素に対して斜めに(diagonal)配置される。これにより、ラッチ要素は、ねじ回し等の工具を用いてラッチ要素を広げることができないように配置される、つまり、このような構造により、使用者が作動要素を再取り付けするリスクがより小さくなる。
【0015】
本発明のさらなる実施形態は従属請求項に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の固定クランプの第1の実施形態の斜視図である。
【図2】図2は、図1の固定クランプの断面図である。
【図3】図3は、図1の固定クランプの上面図である。
【図4】図4は、図1の固定クランプに接続可能な作動要素の上からの斜視図である。
【図5】図5は、図4の作動要素の下からの斜視図である。
【図6】図6は、図4の作動要素の断面図である。
【図7】図7は、固定クランプ上に作動要素を取り付ける前の、図1の固定クランプと図4の作動要素の斜視図である。
【図8】図8は、図7の断面図である。
【図9】図9は、取り付け前の状態の、図7の配置の断面図である。
【図10】図10は、取り付け状態での、図7の配置の断面図である。
【図11】図11は、取り付けた状態の、図7の配置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の好ましい実施形態を、図を参照して以下に述べるが、これらは、本発明の好ましい実施形態を例示するためのものであって、本発明を限定するためのものではない。
【0018】
図1及び2は、本発明によるクランプ要素又は固定クランプ10の好ましい第1の実施形態を示す。クランプ要素10は、第1のクランプアセンブリ20及び第2のクランプアセンブリ30、及びロック要素又はシャフト40から成り、このロック要素又はシャフトは、シャフト40の長手方向軸Mに沿う2つのクランプアセンブリ20,30内の穴21,31を通って配置される。シャフト40は好ましくは、クランプアセンブリ20及び30を閉じることができるように構成されるロック要素である。シャフト40はワッシャ41を通って第1の顎部11に入る。
【0019】
シャフト40は、ヘッド部分44、シャフト部分42が続く減径部分43、及びねじ山部分49を有する。外ねじ部分49は、遠位顎部11内の相補的な内ねじにねじ込まれるように構成され、その結果、シャフト40のヘッドを回すと下側の顎部11に対するシャフト40の長手方向部分が変わり、これによって、2つのクランプアセンブリ20及び30の間に設けられるバネ15の力に反してクランプ10全体を開閉することができる。前記バネ15は、好ましくは、顎部12内の対応する収容部16に配置される。シャフト40の周りに設けたバネ15の代わりに、皿ばね(Belleville washer)等の異なるバネ手段、又は弾性圧縮性の固体又は発泡体を設けることもできる。クランプアセンブリ20及び30を閉鎖すると、バネ15に隣接する顎部12同士が最終的に接触し、両顎部12の面に設けられる両回転防止面55が、各クランプアセンブリ20及び30の角度方向を他方に対し固定できる。
【0020】
好ましくは、下側顎部11内のねじ山49を用いてシャフト40を取り付けた後は、ランプを1つの部品として維持するために、シャフト40のクランプアセンブリ20,30からの取り外しが確実にできないようにするため、ねじ山49の端部は圧力によって破壊される。
【0021】
各クランプアセンブリ20又は30は、2つの向かい合うクランプ顎部11及び12を有する。これらの顎部11及び12は、互いと向き合う側は実質的に同じ形状をしている。顎部12,11のそれぞれは、相手側の顎部11,12の面に向いている接触面18,19をそれぞれ有する。
【0022】
顎部11及び顎部12の間の回転を阻止するため、並びに顎部11,12の不整合を防ぐため、面18,19上に少なくとも1つの方向付け装置13,14が配置される。本実施形態では、第2のクランプアセンブリ30において、顎部11が面18内に延びる開口部14を有し、顎部12が面19から延びるピン13を有する。ピン13は開口部14内に延びる。従って、このピン−穴式接続により、顎部11,12間の起こり得る回転と、顎部11,12間の起こり得る不整合が阻止される。
【0023】
ここでは、顎部11及び12に3つの溝51,52及び53が設けられる。溝51,52及び53は、全て、シャフト40の長手方向軸に垂直な同一平面に設けられる。この平面において、これらの溝は、穴21又は31の中心から半径方向に対して垂直に向いている。このように(as such)、溝51,52及び53は、顎部11及び12からなる各対の外側壁61,62又は63にほぼ平行である。
【0024】
各顎部11及び12において、溝51,52又は53の各対はそれぞれ、1つの収容部、つまり、第1の収容部71、第2の収容部72及び第3の収容部73を画定する。溝51,52及び53はそれぞれ、断面が丸い半球の凹所として形成され、クランプが閉じられた場合に、規定の直径を有する円筒形のピン又はロッドを収容する収容部71,72及び73を提供する。このようなピン又はロッド100を対応する収容部内へより簡単に挟むことができるように、外側壁61,62又は63は、斜めになった摺動面を有してもよい。溝51,52,53は、断面が丸い半球の凹所を形成するように求められる(called to)。このことは、溝51,52,53によって提供される凹所が、ロッド形の要素を収容するために、中空の円筒形であることを意味する。溝51,52及び53のいくつか又は全てには、リブ56のような摩擦増強要素も設けられる。
【0025】
3つの溝51,52及び53の全ては異なる寸法を有するため、対応する収容部71,72及び73は、3つの異なる寸法を有することができる。言い換えれば、各収容部71,72又は73は、異なる固定要素、つまり、異なる直径を有するロッド、ねじ、ピン又はワイヤを受け入れるように構成される。第1のクランプアセンブリ20の1つの好ましい実施形態は、それぞれ12mm、8mm及び5mmの直径を有する固定要素を受け入れるための溝を有する。異なる実施形態では、それぞれ8mm、6mm及び4mmの一連の直径を有してもよい。
【0026】
図1の実施形態による第2のクランプアセンブリ30もまた、2つの顎部11及び12を有し、これらが3つの溝51,52,53を有する。これらの溝51,52,53もまた、一連の異なる寸法を持つ。この実施例では、内側の顎部12は、とりわけ回転防止装置55、バネ15用の収容部16に関して、外側の顎部11と同一の構造を有する。
【0027】
好ましい実施形態において、第1のクランプアセンブリ20が、例えば7mm、5mm及び3mm、又は6mm、5mm及び4mmといった一連のより小さな寸法を有してもよく、第2のクランプアセンブリ30が、例えば13.5mm、12mm及び10mmといった一連のより大きな寸法を有してもよい。このようなクランプ10内では、通常、2mm径のワイヤに始まり、30mmの直径を有するより太いロッドまで、異なる寸法の使用が可能である。このようなクランプ10により、万能クランプ1つだけを用いることが可能となり、この場合、第1のクランプアセンブリ20が、収容部71,72又は73の1つに適応される直径を有する特定のピン又はねじ又はワイヤを固定するために使用される。使用者はクランプ10を手に取り、第1のクランプアセンブリ20を、方向を正しく位置合わせすることによって、ピン又はねじを対応する収容部内に挟むことができる。
【0028】
その後、クランプ10を第2のクランプアセンブリ30を用いて、創外固定器のロッドにクランプすることができる。前記第2のクランプアセンブリ30を幾分(in a way)方向付けることができるため、ロッドを対応する収容部内に挟むことができる。本発明の2つのクランプアセンブリ20及び30を有するクランプ10の利点は、1つのクランプアセンブリ20を用いてこのようなクランプを骨ねじに取り付け、その後、もう一方のクランプアセンブリ30に創外固定器のロッドを取り付ける施術者が、自分の創外固定器の頑健性をチェックでき、施術者が使用したロッドのかたさ(stiff)が十分でないと分かれば、第2のクランプアセンブリ30を開けて、より細いロッドを取り除き、第2のクランプアセンブリ30を長手方向軸の周りに例えば60度一方向又は他方向に回して、より大きい収容部を新しいより太いロッドで調整してこれに置き換えるだけでよいことである。この取り換えは、先行技術のシステムには必要であった、クランプ10自体の置き換えを必要としない。このようなロッドを置き換える方法は、骨ねじのクランプを変えないためより迅速且つより確実であり、当該時点で、第2の殺菌したクランプの使用が避けられる。
【0029】
もちろん、第2のクランプアセンブリ30は、従来のクランプアセンブリ、又はクランプ要素を有する先行技術で公知の他のいずれの要素であってもよい。3つの異なる寸法のねじ、ピン又はワイヤの1つを、第1のクランプアセンブリ20の簡単な再配向(reorientation)によりクランプすることができるため、万能クランプアセンブリとしての目的は、第1のクランプアセンブリ20ひとつによって既に達成されている。
【0030】
図2は、図1のクランプの断面図であり、クランプ10が取り付け前の状態であり、すなわち、バネ15に張力がかかっている状態を示す。従って、第1のクランプアセンブリ20の上側の顎部11は、シャフト40のヘッドのフランジ45に対し、ワッシャ41を押している。シャフト部分42の一部と減径部分43を収容する穴21には、シャフト40の各直径より大きな直径が与えられており、そのため、シャフト40に対する第1のクランプアセンブリ20の角運動又は旋回運動が可能となる。このことは、固定クランプの取り付け工程時、特に有利である。これに関し、第2のクランプアセンブリの顎部12がシャフト40に対し旋回可能となるように、穴31にもシャフト40の各部分より大きな直径を与えることができる点に留意しなければならない。
【0031】
第1のクランプアセンブリ20の穴21の直径D1,D2は、穴21を通って延びるロック要素40の直径より大きい。これにより、クランプアセンブリ20,30、及びピン又はロッドを配置する間、ロック要素40と第1のクランプアセンブリ20との間の旋回運動又は移動が可能となる。本実施形態においては、第1の顎部11内の穴21は当接面86を有する穴21である。この当接面86は、第1の直径D1を有する第1の部分と、第2の直径D2を有する第2の部分とを有する階段状の穴21によって提供される。第1の直径D1は第2の直径D2より大きい。当接面86は、ワッシャ41が取り外された場合に、ロック要素40、特にフランジ45のための当接要素として働く。従って、ワッシャが取り外されたとき、当接面86はフランジ45とともに、第1のクランプアセンブリ20が第2のクランプアセンブリ30から分離されることを防ぐ。特に、洗浄又は殺菌工程中に、このような分離が防止されることは非常に有利である。
【0032】
あるいは、第1のクランプアセンブリの顎部12の穴21で示されるように、穴21に円錐部分32を設けることができる。本実施形態では、2つの円錐部分が配置されており、これにより、穴21の直径は、顎部12の外側から見て、穴の長さが増すにつれて減少する。円錐部分32が2つある場合、旋回運動の程度(degree)を増やすことができる。
【0033】
ロック要素の一部であるシャフト40は、第2のクランプアセンブリ30の下側の顎部11にねじ込まれる。従って、下側の顎部11はねじ山付き開口部を有する。ねじ切りは穴の中に設けられてもよいし、又はねじがセルフタッピングねじ切りであってもよい。かなり一般的に(quite generally)、ロック要素が設けられてもよく、ロック要素は、レバーロック要素又はバヨネットロックであってもよい。これらのロック要素の間に、支持ディスク又は歯付きディスクがあってもよいが、簡単のため図には示さない。
【0034】
従って、2つのクランプアセンブリ20,30は、シャフト40のヘッドを回して、故にこのシャフト40を顎部ねじ山に回し入れることによって、開閉することができる。
【0035】
図2の断面図では、ロック要素40が第1のクランプアセンブリ20を通って延び、ネジ山付き部分49によって第2のクランプアセンブリ30と接触していることも分かる。ロッド又はピンを収容部71,72,73内に配置しようとする取り付けポジションでは、第1のクランプアセンブリ20は、ねじ山付き部分49の中心軸Mに沿って移動可能である。ロック要素40を作動させると、第1のクランプアセンブリ20が第2のクランプアセンブリ30の方へバネ圧に対抗して動かされ、第1のクランプアセンブリ20の回転防止面55が、第2のクランプアセンブリ30の回転防止面55と接触するようになる。一旦、ロック要素40がしっかりと締め付けられると、第1のクランプアセンブリ20及び第2のクランプアセンブリ30は、回転防止面55を介して互いと接触する。
【0036】
図2は、クランプアセンブリ20,30の取り付けポジションを示す。この場合、クランプアセンブリ20,30は、中心軸Mに関して、互いに対し距離をおいて配置される。第2のクランプアセンブリ20はロック要素40と接触し、バネ15は、第1のクランプアセンブリを、第2のクランプアセンブリ20から離れロック要素のフランジ45と接触するワッシャ41の方に押す。
【0037】
まとめると、クランプアセンブリ20,30は、ロック要素40の作動により、取り付けポジションからロックポジションへ、その後固定が解除されると、ロックポジションから取り付けポジションへと動かされる。使用後、さらなる使用のためにクランプ要素10を殺菌するため、以下に説明するように、ワッシャ41が取り外される。
【0038】
図3は、図1及び2のクランプを上から見た図である。図1の実施形態は3つの溝51,52及び53を有するため、3つの側壁61,62及び63があり、これらにより、上から見ると、図2でも同様に、各クランプアセンブリ20又は30は三角形となる。
【0039】
クランプ要素10はさらに、作動要素90又はサムホイールを有し、これは、レンチ等の工具を用いて締め付ける前に、ロック要素40を予め締め付ける(pretighten)ために使用される。このような作動要素90を図4から11に示すが、これらの図中には図1及び3の固定クランプが示されている。簡単のため、固定クランプ10に関する参照数字の全ては付加していない。
【0040】
図4から6は、固定クランプ10を手で予め締め付けるために、ロック要素40を作動するための作動要素90の図を示す。作動要素90は1回使い切り要素として形成される。好ましくは、作動要素90は、固定クランプ10の殺菌工程中又はその直後に、ロック要素40上に取り付けられる。固定クランプ10を予め締め付けた後、作動要素90は使用者、例えば外科医又は外科医の助手によって取り外される。その後、使用者は、ロック要素のヘッド部分44に係合する工具を用いて、ロック要素を締め付けることができる。作動要素90は一回使い切り要素として形成されるため、ロック要素90から取り外した後で、ロック要素40上に作動要素90を再取り付けすることはできない。これは、固定クランプ10が既に使用されたものであるか、又は使用準備の整った状態、例えば殺菌された状態であるかを、人が簡単に認識できるという利点を有する。
【0041】
まとめると、作動要素90は、取り付け工具110を用いてロック要素40上に取り付け可能であり、使用後ロック要素40から取り外し可能であり、ロック要素40から作動要素90を取り外した後は、ロック要素40上への再取り付けが阻止されるように形成される。
【0042】
従って、作動要素90は、主に3つの状態、つまり、作動要素90が固定クランプ10上に取り付けられる取り付け状態と、作動要素90がロック要素40と固定して連結される取り付けられた状態と、作動要素90がロック要素10から取り外され、作動要素90を再取り付け出来ない取り外された状態とで提供される。取り付けられた状態では、固定クランプ10は手術で使用できる状態になっている。
【0043】
作動要素90は、本実施形態では、円筒形の側壁93、この側壁93にほぼ垂直に延びる前面壁95、前記側壁93にほぼ平行な中心軸M2に沿って延びる中央開口部92、及び、少なくとも1つの、ここでは4つの、ラッチ要素91を有する。側壁93及び前面壁95は内部空間94を取り囲み、この中でラッチ要素91が延びる。ラッチ要素91は、前面壁95から中心軸M2の方向に前記内部空間94内へと延び、ロック要素40と係合するように形成される。
【0044】
ラッチ要素91は、側壁93又は前面壁95と接触している第1の端部98と、解放端部(loose end)として提供される第2の端部99とを有する弾力性のある又は弾力的な梁要素として提供される。本実施形態では、第1の端部98は前面壁95と接触しており、第1の端部98は、前記前面壁95にほぼ平行な第1の部分101を越え、前記前面壁95にほぼ垂直又は斜めの第2の部分102を越えて延びる。前記ラッチ要素91は、取り付け工具110を用いて、ロック要素40が作動要素90に挿入できないブロックポジションから、作動要素90が作動要素90上に取り付け可能な取り付けポジションへと、弾力的に変形できる。
【0045】
第2の端部又は解放端部99には、ロック要素40と係合する係合要素97が設けられる。係合要素99は、ここでは、解放端部99から内部空間94内へと延びるエンボス(embossment)形状を有する。
【0046】
図6の作動要素90の断面図を参照する。作動要素90は、ロック要素40に対し、その中心軸M1に沿って動かすことができる。本実施形態では、ロック要素40は、矢印200によって示されるように、図6の下から内部空間に入る。
【0047】
第2の端部99付近には、当接面96が配置される。この当接面96は、前記中心軸M2にほぼ垂直に配置され、中央開口部92内へと延びる。使用者がロック要素40上に作動要素90を再取り付けしようとする場合、当接面96はロック要素40が内部空間94内に入り込むのを阻止する。従って、当接面96は、ロック要素40の経路内に延びるので、ロック要素40の内部空間94内への動きを妨げる。
【0048】
本実施形態のラッチ要素91には、中央開口部92又は中心軸M2から見て、ラッチ要素91内へと延びる任意のガイドスロット103が設けられる。このガイドスロット103は、取り付け工具110のそれぞれの対となる部分(counter part)を収容する働きをする。
【0049】
作動要素90は、さらに、前記円筒形の側壁上に、使用者の手と作動要素の間の摩擦を高めるために摩擦増強要素100を備えた外側表面を有する。本実施形態では、この摩擦増強要素100は、中心軸M2の方向に前記側壁93内へと延びるくぼんだ溝(hollow channel)である。さらに、側壁93は、側壁93内へと延びる凹所104も有する。
【0050】
図1及び2から、ロック要素40は、フランジ45に隣接するそのヘッド部分44に、複数の凹所46を有することがわかる。本実施形態では、ヘッド部分は、フランジ45から中心軸Mに沿って延びる複数の、ここでは4つの側面48を有する。ヘッド部分44は、中心軸M及び側面48にほぼ垂直に配置される上面47で終わる。上面47はここではわずかに凸状である。側面48は、ロック要素40を締め付けるために、工具のための係合面として働く。本実施形態では、凹所46は、ロック要素40のヘッド部分44、具体的には側面48内へと延びる。
【0051】
次に、図7及び8を参照する。図7及び8では、固定クランプ10の上側に作動要素90が見られる。さらに、固定クランプ10上に作動要素90を取り付けるための取り付け工具110が示されている。取り付け工具110は、固定クランプ10の殺菌中又はその直後に、作動要素90をロック要素40上に取り付けるために使用される。取り付け工具110は、主に、ロック要素40のヘッド部分44を受け入れるために、ラッチ要素91間の隙間がより大きくなるよう、中心軸M2から離れる方向にラッチ要素91を押す。言い換えると、当接面96が、中心軸M2から離れるように動かされ、ヘッド部分44に通り道を与えるとも言える。
【0052】
取り付け工具110には、工具部分111及び取っ手部分112が含まれる。工具部分111は、取り付け工具110が中央開口部92内に挿入可能なようになっており、ラッチ要素91の間の隙間を広げるために、中央軸M2から離れるようにラッチ要素91を押す。ラッチ要素91にガイドスロット103が設けられる場合、工具部分111は、ガイドスロット103内に係合するように構成されるエンボス部分(embossment)113をそれぞれ有する。取っ手部分112は、取り付ける人が手でしっかり掴めるようになっている。
【0053】
図9は、取り付け工具110の工具部分111が中央開口部92内に挿入されるところを示す。これを矢印201で示す。これにより、ラッチ要素91は中心軸M2から離れる方向に動かされる。それ故、当接面96及び係合要素97は、中心軸M2から離れて側壁の方へ動かされる。
【0054】
図10は、作動要素90が矢印202の方向に固定クランプ10の方へ動かされる取り付け状態の作動要素90を示し、ロック要素40のヘッド部分44がラッチ要素91の間の内部空間94内に延びる。これによって、ラッチ要素91は、ロック要素40の側面48と接触し、作動要素90をロック要素40に対して動かすことができる。
【0055】
図11は、ロック要素40に対する、作動要素90の最終ポジションを示す。この場合、作動要素90は、係合要素97がロック要素40の凹所46に係合できるポジションにある。一旦、作動要素90が図11に示す最終ポジションに達してしまうと、弾力性のあるラッチ要素91はその元のポジションに移動し、凹所46に係合する。この状態では、固定クランプ10は、手術中の手術室で、使用者によって使用される準備ができている。
【0056】
一旦、使用者が作動要素90を用いて固定クランプ10に予め張力をかける又は予め締め付けてしまうと、作動要素90はロック要素10から取り外せる。この取り外し工程を向上させるため、凹所46に対して作動要素90が移動するとラッチ要素91が中心軸M2から離れる方向に動かされるように、凹所46は中心軸M1の方に傾斜する面取り端460を有する。その後、固定クランプ10と作動要素90の間の距離が増すに伴い、ラッチ要素91はロック要素40の側面48と接触し、前記面上を滑る。作動要素90を取り外す間、使用者は、図11に示す矢印203の方向に力を加えなければならない。
【0057】
一旦作動要素90をロック要素40から完全に取り外すと、ラッチ要素91は弾力性のある構造のために、その元のポジションに戻る。これにより、当接面96は、ロック要素40が当接面96上にその上面47で当接するように配置される。従って、作動要素90を再取り付けすることはできない。
【0058】
作動要素90は、好ましくは、プラスチック材料、特に熱可塑性物質からなる。
【0059】
本作動要素90には、以下の利点がある:まず、付加的な工具の力を借りずに、手で固定クランプ10を予め締め付けることができる。さらに、使用者は、固定クランプが、作動要素90が取り付けられたままの使用準備ができた状態なのか、又は作動要素90が取り外されて使用されている状態なのかを認識できる。さらに、作動要素90を各工具の助け無しには再取り付けできないという事実により、間違った使用が防がれる。
【符号の説明】
【0060】
10 固定クランプ
11 顎部
12 顎部
13 ピン
14 穴
15 バネ
16 収容部
18 接触面
19 接触面
20 第1のクランプアセンブリ
21 穴
30 第2のクランプアセンブリ
31 穴
32 円錐部分
40 シャフト、ロック要素
41 ワッシャ
42 シャフト部分
43 減径部分
44 ヘッド部分
45 フランジ
49 ネジ山付き部分
51 第1の溝
52 第2の溝
53 第3の溝
54 限界端
55 回転防止面
56 リブ
61 第1の側壁
62 第2の側壁
63 第3の側壁
71 第1の収容部
72 第2の収容部
73 第3の収容部
90 作動要素
91 ラッチ要素
92 中央開口部
93 側壁
94 内部空間
95 前面壁
96 当接面
97 係合要素
98 第1の端部
99 第2の端部
100 摩擦増強要素
101 第1の部分
102 第2の部分
103 ガイドスロット
110 取り付け工具
111 工具部分
112 取っ手部分
46 凹所
47 上面
48 側面
460 面取り端
D1 直径
D2 直径
M1 中心軸
M2 作動要素の中心軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定クランプ(10)、より具体的には、固定要素の助けを借りて互いに隣り合う(adjacent)骨片を保持するための創外固定システムで用いられる固定クランプ(10)であって、
少なくとも1つのクランプアセンブリ(20,30)と前記クランプアセンブリ(20,30)を通って延びる少なくとも1つのロック要素(40)を有し、
前記クランプアセンブリは、少なくとも1つの収容部(71,72,73)を有し、この収容部(71,72,73)の長手方向軸にそって固定要素を収容し、
前記ロック要素(40)は前記ロック要素(40)に張力をかけると前記固定要素をクランプするクランプ力を提供する固定クランプ(10)において、
前記固定クランプ(10)が、前記ロック要素(40)と関連する作動要素(90)を有し、前記ロック要素(40)は前記作動要素(90)を用いて作動可能であり、及び
前記作動要素(90)が、使用後前記ロック要素(40)から取り外すことができ、且つ、前記ロック要素(40)から前記作動要素(90)を取り外した後は、前記ロック要素(40)上への再取り付けが阻止されるように形成されることを特徴とする固定クランプ(10)。
【請求項2】
前記作動要素(90)が、一回使い切りの又は使い捨ての要素として形成されることを特徴とする、請求項1に記載の固定クランプ(10)。
【請求項3】
前記作動要素(90)には、前記ロック要素(40)と係合する少なくとも1つのラッチ要素(91)が設けられ、又は、前記作動要素(90)が、互いから前記ロック要素(40)に対して斜めに(diagonal)配置される少なくとも2つ又は少なくとも3つのラッチ要素(91)を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の固定クランプ(10)。
【請求項4】
前記作動要素(90)が中心軸(M2)に沿って延びる中央開口部(92)と、少なくとも1つ、好ましくは4つの、前記中央開口部(92)の方向に延びる前記ラッチ要素(91)とを有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の固定クランプ(10)。
【請求項5】
前記作動要素(90)が、内部空間(94)を提供する実質的に円筒形の側壁(93)と、前記側壁(93)から前記内部空間(94)内へと延びる前面壁(95)とを有し、前記前面壁(95)が前記中央開口部(92)を有し、これに沿って前記ラッチ要素(91)が延びることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の固定クランプ(10)。
【請求項6】
前記ロック要素(40)が凹所(46)を有し、この凹所に前記ラッチ要素(91)が係合し、前記凹所(46)が好ましくは、前記ロック要素(40)のヘッド部分(44)内へと延びることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の固定クランプ(10)。
【請求項7】
前記ロック要素(40)の前記ヘッド部分(44)が、前記ロック要素(40)の中心軸(M)にほぼ垂直に延びる上面(47)と、前記中心軸(M)にほぼ平行に延びる複数の側面(48)とを有し、前記凹所(46)が前記側面内へと延びることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の固定クランプ(10)。
【請求項8】
前記ラッチ要素(91)が、前記作動要素(90)を再取り付けする際、前記ロック要素(40)、特に前記上面(47)に当接するように配置される当接面(96)を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の固定クランプ(10)。
【請求項9】
前記ラッチ要素(91)が、取り付け工具(110)を用いて、ブロックポジションから取り付けポジションへと弾力的に変形可能であり、前記ブロックポジションにおいては、前記ラッチ要素(91)が、再取り付けを防止するために前記ロック要素(40)上に当接するように配置され、前記取り付けポジションにおいては、前記ラッチ要素(91)が、前記作動要素(90)が前記ロック要素(40)に対し可動であるように配置されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の固定クランプ(10)。
【請求項10】
前記取り付け工具(110)が、前記ラッチ要素(91)の間の隙間を前記ロック要素(40)を受け入れるために広げるように、前記ラッチ要素(91)を前記側壁(93)の方に変形させることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の固定クランプ(10)。
【請求項11】
前記ラッチ要素(91)が、前記側壁(93)又は前記前面壁(95)と接触する第1の端部(98)と、解放端部(loose end)として提供される第2の端部(99)とを有する弾力性のある又は弾力的な梁要素として提供されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の固定クランプ(10)。
【請求項12】
前記ラッチ要素(91)が、前記ロック要素(40)、好ましくは前記凹所(46)に係合する係合要素(97)を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の固定クランプ(10)。
【請求項13】
前記係合要素(97)及び/又は前記当接面(96)が、前記第2の端部(99)付近に配置されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の固定クランプ(10)。
【請求項14】
前記作動要素(90)が、使用者の手と前記作動要素との間の摩擦を高めるために、摩擦増強要素(100)を有する外側表面を有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の固定クランプ(10)。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の固定クランプ(10)上に作動要素(90)を再取り付けするのに適した工具(110)であって、前記工具(110)は、前記ラッチ要素(91)と係合し、且つ前記ラッチ要素(91)を前記中心軸(M2)から離れる方に押し、その結果前記作動要素(90)が殺菌された固定クランプの前記ロック要素(40)上に取り付けられるように構成される工具部分(111)を含むことを特徴とする工具(110)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−125577(P2012−125577A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−271929(P2011−271929)
【出願日】平成23年12月13日(2011.12.13)
【出願人】(505103253)ストリカー トラウマ エスエー (22)
【Fターム(参考)】