説明

サル用制限給餌器

【課題】摂餌をより制限でき、よって、ストレス発散効果が得られ、消化不良の原因をなくし、栄養を摂取出来ない個体がでにくいサル用制限給餌器を提供する。
【解決手段】ゲージ5の外部に位置するエサ投入口7から斜め下に連通して、ケージの内部に本体11が位置する。この本体に形成される金網カゴ部17を構成する金網の目23は、エサ9が保持されるとともにサル3の指25が入る大きさである。また、金網カゴ部17の幅は、金網カゴ部の一方の側面から入ったサルの指25が、エサ9を押して他方の側面へ押し付けうる大きさである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、サルの給餌器に、摂餌を制限する金網を設けた給餌器に関する。
【背景技術】
【0002】
図4に示すように、従来、サル用給餌器101は、金属製箱状で、エサ103を投入するため上面105が開放された容器107が、ケージ109の外側に取り付けられる。この容器107のケージ側の面には、サル111の手113が入る程度の孔115が開けられている。ケージ内のサル111は、この孔115から手113を伸ばし、サル用給餌器101の底のエサ103を取り出す。この孔115を十分に小さくすることで、少量ずつ摘み出せるように設計されている。
【0003】
このようなサル用給餌器101は、サル111が食べやすく、エサ103がこぼれにくい構造に主眼が置かれていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のサル用給餌器101では、サル111はエサ103の取り出しを頻繁に繰り返すことで、給餌後の短時間でエサ103を食べ切ってしまう個体もあり、消化不良の原因となっている。
また、頻繁な取出しにより、スノコ117の下へエサ103が脱落したり、エサ103の食い散らかし等により必要量の栄養を摂取出来ない個体も発生し、発育に支障を起こすことがある。
この発明は、以上の問題点を解決するために、摂餌をより制限でき、よって、消化不良の原因をなくし、栄養を摂取出来ない個体がでにくいサル用制限給餌器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、第一発明は、サルのケージに取り付けられる給餌器において、ケージの外部に位置するエサ投入口と、このエサ投入口から斜め下に連通して前記ゲージの内部に位置する本体と、この本体に形成される金網カゴ部を有し、この金網カゴ部を構成する金網の目は、エサが保持されるとともにサルの指が入る大きさであり、金網カゴ部の幅は、金網カゴ部の一方の側面から入ったサルの指がエサを押して他方の側面へ押し付けうる大きさであることを特徴とするサル用制限給餌器である。
【0006】
第二発明は、さらに、前記エサは、略球形の人工固形食であり、前記金網の目は、前記略球形の直径の3/5から4/5の大きさで、かつ、サルの指の太い部分より2mm以上大きい大きさであることを基本のサイズとするが、金網の目23サイズを変えることによりエサ103の金網の目23から露出する体積が増減し、サルの摂餌にかかる時間も増減する。よって、金網の目23サイズを変えることで摂餌に必要とする時間を任意にコントロールできることを特徴とするサル用制限給餌器である。
【発明の効果】
【0007】
第一、又は第二発明によれば、ケージの外部に位置するエサ投入口から投入されたエサは、ケージの内部に位置する本体の中へ落下し、金網カゴ部に保持される。この金網カゴ部を通して、サルが摂餌する。
すなわち、サルは、この金網カゴ部の一方の面から金網の目へ指を入れ、中のエサを押して、他方の面の金網へ押し付ける。押し付けられたエサの一部は、金網の目から露出し、サルがかじる。かじられたエサは、小さくなり、さらに金網の目から露出し易くなる。
【0008】
このようにサルは、金網に指を入れてエサを押し付け、露出した部分をかじるという、適度に困難な摂餌行動を強いられる。よって、従来のように、エサの取り出しを頻繁に繰り返すことで、給餌後の短時間でエサを食べ切ってしまうことがなくなり、1.エサを長時間で摂取するので消化器系の負担が減少する。2.摂餌に集中する時間を長くすることにより、暇を持て余す事によって生じるストレスを発散させることができ、ケージ内飼育ザルの環境改善に繋がる。3.食べこぼしが少なく、必要量のエサを確実に摂取できる。 などの効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明の実施形態に係る給餌器1を、図1から図3、に示す。
図3、に示すように、この給餌器1はケージ5に外部から取付けられる。すなわち、給餌器1の取付部は、ケージ5の前面もしくは側面に位置し、その構造は、縦方向に配置された複数の金属製丸棒が一定の横間隔を空けて横方向に配列される。横方向に配列された金属製丸棒も、複数、一定の縦間隔を空けて縦方向へ配列される。これらの縦材19、横材21が、ケージ5の前面もしくは側面の給餌器1取付口として縦長の四角のスペースが格子状に形成される。
【0010】
このスペースのひとつに、給餌器1が外部から挿入されて取り付けられる。すなわち、図1に示すように、給餌器1は、ケージ5の外部に位置するエサ投入口7を有する。このエサ投入口7は、エサ9を投入し易いように、上向きに末広がりの広口でロート状をなし、ケージ5の四角のスペースより広い幅を有する。
【0011】
このエサ投入口7から斜め下に連通して、ケージ5の内部に本体11を有する。連通部13及び本体11の断面形状は、ケージ5の四角のスペースに、ほぼぴったりに嵌合する。給餌器1の取付は、扉116の横材に給餌器ストッパーで固定される。よって、エサ投入口7からサル3の手15は金網カゴ部17内のエサ9に直接届かないケージ5の外側に位置する。
【0012】
この金網カゴ部17を構成する金網は、ステンレス製であり、通常の金網のように、縦材19と横材21によって、四角形の目23が形成される。この金網の目23は、エサ9が保持されるとともに、サル3の指25が入る大きさである。すなわち、エサ9は、直径が15mm〜19mmの大きさの略球形の人工固形食である。金網の目23は、人工固形食の略球形の直径の3/5から4/5の大きさで、9mm〜15mmである。サル3の指25の太い部分は、カニクイザルで6mm〜8mmであり、これは金網の目23内に指25を十分挿入できる大きさである。
【0013】
また、金網カゴ部17の左右の幅Wは、図2に示すように、金網カゴ部17の一方の側面から入ったサル3の指25がエサ9を押して他方の側面へ押し付けうる大きさである。すなわち、サル3の人差し指、中指の長さはカニクイザルで30mm〜50mmであり、金網カゴ部17の幅Wを20mm〜40mmにすることにより、エサ9を金網カゴ部17の外から指25で押さえつけることができる幅である。
【0014】
「実施形態の効果」
この実施形態によれば、ケージ5の外部に位置するエサ投入口7から投入されたエサ9は、連通部13を通って、ケージ5の内部に位置する本体11の中へ落下し、金網カゴ部17に保持される。この金網カゴ部17を通して、サル3が摂餌する。
【0015】
すなわち、図2に示すように、サル3は、金網カゴ部17の上下面、左右面から指25を入れる。そして、金網カゴ部17の一方の面から入れた指25で、中のエサ9を押して、他方の側の金網へ押し付ける。押し付けられたエサ9の一部は、金網の目23から露出し、サル3がかじる。かじられたエサ9は、小さくなり、さらに金網の目23から露出し易くなる。
【0016】
このようにサル3は、金網に指25を入れてエサ9を押し付け、露出した部分9Aをかじるという、適度に困難な摂餌行動を強いられる。よって、従来のように、エサ9の取り出しを頻繁に繰り返すことで、給餌後の短時間でエサ9を食べ切ってしまうことがなく、消化不良の原因をなくせる。すなわち、エサ9を少量ずつしか食べられず、摂餌時間が長くなり、集中時間の増加によるストレス発散効果が得られる。また、消化器系の負担も軽減できる。
【0017】
また、エサ9の頻繁な取出しをなくせるので、栄養を摂取出来ない個体がでにくい。すなわち、エサ9が金網カゴ部17からこぼれ出ないので、食べこぼしが無くなり、必要量のエサ9を確実に摂取させることが出来る。スノコ27の下へエサ9が脱落したりしない。
【0018】
また、エサ103は金網カゴ部17内に投入されているため、サルが給餌器1のエサ投入口7から連通部13を通じて直接エサに触れることが無いので、汚物が混入しにくく衛生的である。
【0019】
「他の実施形態」
以上の実施形態では、本体11に形成される金網カゴ部17の形状は、本体11の断面形状の四角に対応して、直方体であったが、他の実施形態では、他の形状、例えば楕円形などでも良い。金網カゴ部17の幅Wが、金網カゴ部17の一方の側面から入ったサル3の指25がエサ9を押して他方の側面へ押し付けうる大きさであれば、形状は限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施形態を示すサル用制限給餌器の斜視図である。
【図2】図1の作用効果を示す拡大図である。
【図3】図1のサル用制限給餌器をサルのゲージに取り付けた状態の全体概略図である。
【図4】従来例を示すもので図3に対応する全体概略図である。
【符号の説明】
【0021】
1…給餌器、3…サル、5…ケージ、7…エサ投入口、9…エサ、11…本体、13…連通部、15…手、17…金網カゴ部、19…縦材、21…横材、23…目、25…指、27…スノコ、101…サル用給餌器、103…エサ、105…上面、107…容器、109…ケージ、111…サル、113…手、115…孔、117…スノコ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サルのケージに取り付けられる給餌器において、ケージの外部に位置するエサ投入口と、このエサ投入口から斜め下に連通して前記ケージの内部に位置する本体と、この本体に形成される金網カゴ部を有し、この金網カゴ部を構成する金網の目は、エサが保持されるとともにサルの指が入る大きさであり、金網カゴ部の幅は、金網カゴ部の一方の側面から入ったサルの指がエサを押して他方の側面へ押し付けうる大きさであることを特徴とするサル用制限給餌器。
【請求項2】
前記エサは、略球形の人工固形食であり、前記金網の目は、前記略球形の直径の3/5から4/5の大きさで、かつ、サルの指の太い部分より2mm以上大きい大きさであることを特徴とする請求項1に記載のサル用制限給餌器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−34(P2010−34A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161277(P2008−161277)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(504000605)
【Fターム(参考)】