サンシェードの駆動装置
【課題】限られたスペース内に良好に配置することができると共に、サンシェードを安定した状態で円滑に引出し及び巻取ることができるサンシェードの駆動装置を提供する。
【解決手段】シェード軸30と、サンシェード40と、シェード軸30の両端部に配設の第1、第2の両ケーブルドラム31、35と、一端部が第1のケーブルドラム31のケーブル案内溝32に巻取り及び引出し可能に連結され、他端部がサンシェード40の端末バー41に連結され、中間部が駆動ドラム73に連結された駆動系のケーブル51と、一端部が第2のケーブルドラム35のケーブル案内溝36に巻取り及び引出し可能に連結され、他端部が端末バー41に連結された従動系のケーブル81とを備える。第1、第2の両ケーブルドラム31、35の両ケーブル案内溝32、36は、シェード軸30に巻き取られているサンシェード40の巻取径の変化に対応して変化する螺旋状に形成されている。
【解決手段】シェード軸30と、サンシェード40と、シェード軸30の両端部に配設の第1、第2の両ケーブルドラム31、35と、一端部が第1のケーブルドラム31のケーブル案内溝32に巻取り及び引出し可能に連結され、他端部がサンシェード40の端末バー41に連結され、中間部が駆動ドラム73に連結された駆動系のケーブル51と、一端部が第2のケーブルドラム35のケーブル案内溝36に巻取り及び引出し可能に連結され、他端部が端末バー41に連結された従動系のケーブル81とを備える。第1、第2の両ケーブルドラム31、35の両ケーブル案内溝32、36は、シェード軸30に巻き取られているサンシェード40の巻取径の変化に対応して変化する螺旋状に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はサンシェードの駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サンシェードの駆動装置としては、例えば、特許文献1に開示されている。
これにおいては、図8に示すように、窓切抜き部の下側の細長い穴を通って窓巻上日よけ325が側面ドア311の本体から引き出されるようになっている。
また、窓巻上日よけ325は、巻取シャフト331に巻き取り可能で自由な縁で引張り棒334を有する巻上日よけ生地329を含む。
格納された位置と引き伸ばされた位置との間の引張り棒334に対する案内装置として、2つの支持棒336、337が備えられる。
2つの支持棒336、337は、2つの案内レール338、339によって窓下縁部に略垂直に滑動的に案内される。
また、2つの支持棒336、337のそれぞれは、個々のばねモータ346、347によって、引き伸ばされた位置に片寄る。
また、窓巻上日よけ325はギア付きモータ装置370を含む。ギア付きモータ装置370は、巻取シャフト331に対して同軸に配置されて、ともに回転するよう固定されるギア372を出力ギア371により駆動する。
そして、格納状態において、巻上日よけ生地329は巻取シャフト331に巻き上げられ、ギア付モータ370の自己ロック効果によって、ばねモータ346、347が巻上日よけ生地329を巻取シャフト331から引き出すのを防止するようになっている。
また、窓巻上日よけ325を拡げたい場合には、ギア付モータ370を作動することによって、巻取シャフト331は巻上日よけ生地329の巻きを解くように回転する。日よけ329が巻取シャフト331からゆるめられる手段によって、2つのばねモータ346、347は支持棒336、337の先の引張り棒334を押し上げて拡げる。
窓巻上日よけ325を格納する場合には、ギア付モータ370を逆転させることにより、取シャフト331は巻上日よけ生地329を巻き上げるように回転して格納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−302919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示され構造のものにおいては、日よけ生地329の自由な縁に配置された引張り棒334を昇降動作するための2つの支持棒336、337と2つの案内レール338、339とを配設するためのスペースを側面ドア311の本体内部に確保しなければならない。
このため、車両のルーフ窓を開閉するためのサンシェードの駆動装置として特許文献1に開示され構造のものを採用することが困難となる場合がある。
例えば、車両のルーフ部の前後方向に長いパノラマルーフと呼ばれるルーフ窓である場合、そのルーフ窓の後側(又は前側)のルーフ部分に2つの支持棒336、337と2つの案内レール338、339とを配設するためのスペースを確保することができない。
【0005】
この発明の目的は、前記問題点に鑑み、限られたスペース内に良好に配置することができると共に、サンシェードを安定した状態で円滑に引出し及び巻取ることができるサンシェードの駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、この発明の請求項1に係るサンシェードの駆動装置は、車両のルーフ部に設けられたルーフ窓の一端縁に沿って回転可能に配置されたシェード軸と、
前記シェード軸に引出可能にロール状に巻取られ、かつ巻取り端位置まで巻取られたときに前記ルーフ窓を非遮光状態とし、引出し端位置まで引出されたときに前記ルーフ窓を遮光状態とするシート状のサンシェードと、
前記シェード軸の両端部に一体回転可能に取り付けられると共に、外周面にケーブル案内溝がそれぞれ形成された第1、第2の両ケーブルドラムと、
一端部が前記第1のケーブルドラムのケーブル案内溝に沿って巻取り及び引出し可能に連結され、他端部が前記サンシェードの引出し端に取付けられた端末バーの一方端部に連結され、中間部がモータを駆動源として正逆回転される駆動ドラムに連結された駆動系のケーブルと、
一端部が前記第2のケーブルドラムのケーブル案内溝に沿って巻取り及び引出し可能に連結され、他端部が前記端末バーの他方端部に連結された従動系のケーブルとを備え、
前記第1、第2の両ケーブルドラムはそれぞれテーパ軸状に形成され、
前記両ケーブル案内溝は、前記サンシェードの引出長さに対応する長さをもち、かつ前記シェード軸に巻き取られている前記サンシェードの巻取径の変化に対応して変化する螺旋状に形成されていることを特徴とする。
【0007】
前記構成によると、駆動系のケーブルと従動系のケーブルとを主体として構成されるため、車両のルーフ部に設けられたルーフ窓の周縁部の限られたスペース内に容易に配置することができる。
また、シェード軸にロール状に巻き取られたサンシェードを引き出してルーフ窓を遮光状態にする場合、モータを駆動源として駆動ドラムを正逆一方向へ回転させ、駆動系のケーブルを一方向へ移動させる。
すると、駆動系のケーブルの他端部に一方端部が連結された端末バーが引出し端位置に向けて移動され、この端末バーの移動によって、サンシェードがシェード軸を引出方向へ回転させながら引き出される。
シェード軸の引出方向への回転に伴って、第1、第2の両ケーブルドラムが同方向へ回転され、これによって、第1、第2の両ケーブルドラムの各ケーブル案内溝に沿って駆動系のケーブルと従動系のケーブルがそれぞれ巻き取られていく。
第1、第2の両ケーブルドラムの各ケーブル案内溝は、サンシェードの引出長さに対応する長さをもち、かつシェード軸に巻き取られているサンシェードの巻取径の変化に対応して変化する螺旋状に形成されている。
このため、従動系のケーブルの他端部に他方端部が連結された端末バーが引出し端位置に向けて移動される。
すなわち、端末バーは、シェード軸と平行状態を保ってサンシェードを引き出しながら引出し端位置まで円滑に移動され、これによってルーフ窓が遮光状態となる。
シェード軸にサンシェードをロール状に巻き取ってルーフ窓を非遮光状態にする場合、モータによって駆動ドラムを前記とは逆方向へ回転させ、駆動系のケーブルを他方向へ移動させる。
すると、駆動系のケーブルの一端部に連結された第1ドラムを前記とは逆方向へ回転させると共に、シェード軸及び第2ドラムが同方向へ回転される。
これによって、シェード軸にサンシェードが巻き取られ、ルーフ窓が遮光状態となる。
前記したように、サンシェードを安定した状態で円滑に引き出したりあるいは巻き取ってルーフ窓を遮光状態にしたり非遮光状態にすることができる。
【0008】
請求項2に係るサンシェードの駆動装置は、請求項1に記載のサンシェードの駆動装置であって、
前記駆動系のケーブルは、前記ルーフ窓の一側部に沿って配設され、
前記従動系のケーブルは、前記ルーフ窓の他側部に沿って配設されていることを特徴とする。
【0009】
前記構成によると、ルーフ窓の一側部に沿って駆動系のケーブルを配設し、ルーフ窓の他側部に沿って従動系のケーブルを配設することで、各ケーブルの長さを必要最小限に抑えることができる。
【0010】
請求項3に係るサンシェードの駆動装置は、請求項1又は2に記載のサンシェードの駆動装置であって、
前記第1、第2の両ケーブルドラムは、シェード軸の軸線上に同方向の姿勢をなして配置されていることを特徴とする。
【0011】
前記構成によると、第1、第2の両ケーブルドラムを部品共通化することができ、製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施例1に係るサンシェードの駆動装置によってサンシェードがシェード軸にロール状に巻き取られた非遮光状態を示す平面図である。
【図2】同じく図1のII−II線に基づく断面図である。
【図3】同じくシェード軸、サンシェード及び第2のケーブルドラムの関係を示す説明図である。
【図4】同じく駆動系のケーブル、駆動ドラム及びテンション機構の関係を示す説明図である。
【図5】同じくサンシェードの駆動装置によってサンシェードがシェード軸から引出し端位置まで引き出された遮光状態を示す平面図である。
【図6】この発明の実施例2に係るサンシェードの駆動装置を示す平面図である。
【図7】シェード軸の両端部の軸線上に第1、第2の両ケーブルドラムが同方向の姿勢をなして配置された実施態様を示す説明図である。
【図8】従来のサンシェードの駆動装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明を実施するための最良の形態について実施例にしたがって説明する。
【実施例1】
【0014】
この発明の実施例1を図1〜図5にしたがって説明する。
図1と図2に示すように、車両ボディのルーフ部(天井部)には、前後左右の各ルーフレールパネル11で囲まれたルーフ窓開口部が形成され、このルーフ窓開口部に窓板としての樹脂製ルーフパネル15が固定状態で装着されてルーフ窓13が構成されている。
【0015】
図1に示すように、ルーフ窓13の一端縁(図では後端縁)には、車幅方向に延びるシェード軸30が軸受部材16によって回転可能に配置されている。
この実施例1において、図2に示すように、樹脂製ルーフパネル15は、その主体部をなす透明樹脂材により形成されたパネル部15aと、このパネル部15aの下面周縁部に沿って環状をなし不透明樹脂材により形成(二色成形)された周縁枠部15bとを一体に備えている。そして、軸受部材16は、周縁枠部15bの一部に一体に形成されている。
【0016】
図1に示すように、シェード軸30の外周面には、ルーフ窓13を遮光状態としたり、非遮光状態とするためのサンシェード40が引出可能にロール状に巻取られている。
すなわち、サンシェード40は、ルーフ窓13から入射する光を遮光可能な大きさの織布、樹脂シート等によって形成され、その引出し端(自由端)には、剛性を有する車幅方向の端末バー41が装着されている。
図1と図2に示すように、端末バー41の両端部は、周縁枠部15bの左右の両枠部に一体に形成された案内レール20に挿入されて前後方向へ移動案内されるようになっている。
そして、図1に示すように、シェード軸30にサンシェード40が巻取り端位置まで巻取られたときにはルーフ窓13を非遮光状態とし、図5に示すように、サンシェード40が引出し端位置まで引出されたときにルーフ窓13を遮光状態とするようになっている。
【0017】
図1と図3に示すように、シェード軸30の両端部軸回りには、同シェード軸30と一体回転可能に第1、第2の両ケーブルドラム31、35が取り付けられている。
第1、第2の両ケーブルドラム31、35はそれぞれテーパ軸状に形成され、各小径側が車幅方向の外側に位置し大径側が車幅方向に内側に位置するように対称状(車両の中心線に対し左右対称)に取り付けられている。
そして、第1、第2の両ケーブルドラム31、35の外周面には、サンシェード40の引出長さに対応する長さをもち、かつシェード軸30に巻き取られているサンシェード40の巻取径の変化に対応して変化する螺旋状のケーブル案内溝32、36がそれぞれ形成されている。
すなわち、図3に示すように、螺旋状のケーブル案内溝32、36の最大径寸法D1は、シェード軸30にサンシェード40が巻取り端位置まで巻取られたときの巻取径寸法Daと略同じ大きさで、螺旋状のケーブル案内溝32、36の最小径寸法D2は、サンシェード40が引出し端位置まで引出されたときのシェード軸30の巻取径寸法Dbと略同じ大きさに設定されている。
【0018】
図1に示すように、シェード軸30に対しサンシェード40を引出及び巻取る駆動装置50は、駆動系のケーブル51と従動系のケーブル81とを主体として構成されている。
図1と図4に示すように、駆動系のケーブル51は、二本のケーブル52、60を備え、これらケーブル52、60は、可撓性を有する案内筒55、64に挿通されて移動案内される。
駆動系のケーブル51の一方のケーブル52の一端部は、第1のケーブルドラム31のケーブル案内溝32に沿って巻取り及び引出し可能に連結されている。
図4に示すように、駆動系のケーブル51の中間部をなす一方のケーブル52の他端部と、他方のケーブル60の一端部は、モータ71を駆動源とし、かつハウジング72内に正逆回転可能に配置された駆動ドラム73にそれぞれ連結されると共に、この駆動ドラム73の外周面に互いに逆方向に巻き付けられて連結されている。
さらに、駆動系のケーブル51の他方のケーブル60の他端部はサンシェード40の端末バー41の一方端部(第1のケーブルドラム31が配置される側と反対側)に連結されている。
なお、モータ71及び駆動ドラム73のハウジング72は、ルーフ窓13の他端縁(図では前端縁)に配置されている。
【0019】
また、この実施例1において、駆動系のケーブル51の二本のケーブル52、60にそれぞれ所要とする張力を付与するために、例えば、図4に示すように、駆動ドラム73のハウジング72の両ケーブル挿通口と両案内筒55、64の一端部との間には、テンション機構57、65をそれぞれ構成するテンション用ばね58、66が配設され、両案内筒55、64の端部は、ルーフパネル(車体)側に固定のハウジング72の両ケーブル挿通口72a、72b対しケーブル方向へ移動可能に支持される。
【0020】
図1に示すように、従動系のケーブル81は、可撓性を有する案内筒85に挿通されて移動案内される。この従動系のケーブル81の一端部は、第2のケーブルドラム35のケーブル案内溝36に沿って巻取り及び引出し可能に連結されている。また、従動系のケーブル81の他端部は、端末バー41の他方端部に連結されている。
また、従動系のケーブル81に対しても前記駆動系のケーブル51のテンション機構57、65と同様の構造をもつテンション機構(図示しない)が必要に応じて配設される。
【0021】
この実施例1に係るサンシェードの駆動装置は上述したように構成される。
したがって、サンシェードの駆動装置が駆動系のケーブル51と従動系のケーブル81とを主体として構成されるため、駆動系及び従動系のケーブル51、81を、ルーフ窓13の左右両側縁部及び前縁部に沿う車両のルーフ部の限られスペース内に容易に配置することができる。
【0022】
また、図1に示すように、非遮光状態にある(シェード軸30に巻取り端位置まで巻き取られた)サンシェード40を引き出してルーフ窓13を遮光状態にする場合、例えば、スイッチ操作によってモータ71を作動し、駆動ドラム73を正逆一方向へ回転させる。これによって、駆動系のケーブル51の二本のケーブル52、60を一方向へ同速度で移動させる。
すると、駆動系のケーブル51の他方のケーブル60によって端末バー41の一端部が引出し端位置に向けて移動され、この端末バー41の移動によって、サンシェード40がシェード軸30を引出方向へ回転させながら引き出される。
シェード軸30の引出方向への回転と同時に、第1、第2の両ケーブルドラム31、35が同方向へ回転される。
これによって、第1、第2の両ケーブルドラム31、35の各ケーブル案内溝32、36に沿って駆動系のケーブル51の一方のケーブル52と、従動系のケーブル81とがそれぞれ巻き取られていく。
【0023】
第1、第2の両ケーブルドラム31、35の各ケーブル案内溝32、36は、サンシェード40の引出長さに対応する長さをもち、かつシェード軸30に巻き取られているサンシェード40の巻取径の変化に対応して変化する螺旋状に形成されている。
このため、第1、第2の両ケーブルドラム31、35の各ケーブル案内溝32、36に沿って駆動系のケーブル51の一方のケーブル52と、従動系のケーブル81とがそれぞれ同速度で巻き取られると共に、従動系のケーブル81によって端末バー41の他端部が同端末バー41の一端部と同速度で引出し端位置に向けて移動される。
この結果、端末バー41は、シェード軸30と平行状態を保ってサンシェード40を引き出しながら引出し端位置まで円滑に移動され、これによってルーフ窓13が遮光状態となる(図5参照)。
【0024】
図5に示すように、遮光状態にあるサンシェード40を非遮光状態にする場合、モータ71によって駆動ドラム73を前記とは逆方向へ回転させ、駆動系のケーブル51の二本のケーブル52、60を前記とは逆方向へ同速度で移動させる。
すると、第1のケーブルドラム31のケーブル案内溝32に巻き取られた駆動系のケーブル51の一方のケーブル52のケーブル部分がケーブル案内溝32から引き出されながらが同第1のケーブルドラム31を前記とは逆方向へ回転させる。これと同時に、シェード軸30及び第2のケーブルドラム35が同方向へ回転される。
これによって、シェード軸30にサンシェード40が巻取り端位置まで巻き取られ、図1に示すように、ルーフ窓13が非遮光状態となる。
【0025】
前記したようにして、モータ71によって駆動ドラム73を正逆方向へ回転させることによって、サンシェード40を安定した状態で円滑に引き出したり、あるいは巻き取ってルーフ窓13を遮光状態にしたり、非遮光状態にすることができる。
また、シェード軸30をばねによって巻取方向あるいは引出方向へ付勢する必要がない。
この結果、モータ71の回転力がばねの付勢力によって損失されることがないため、回転力(容量)が小さい小型のモータ71を使用可能となり、モータ71の配設スペースの確保も容易となる。
【実施例2】
【0026】
次に、この発明の実施例2を図6にしたがって説明する。
この実施例2においては、図6に示すように、駆動系のケーブル151がルーフ窓13の一側部及び前縁部に沿って配設され、従動系のケーブル81がルーフ窓13の他側部に沿って配設されている。
【0027】
すなわち、この実施例2において、駆動系のケーブル151は、二本のケーブル152、160を備え、これらケーブル152、160は、可撓性を有する案内筒155、164に挿通されて移動案内される。
駆動系のケーブル151の一方のケーブル152の一端部は、第2のケーブルドラム35のケーブル案内溝36に沿って巻取り及び引出し可能に連結されている。
駆動系のケーブル151の中間部をなす一方のケーブル152の他端部と、他方のケーブル160の一端部は、モータ171を駆動源とし、かつハウジング172内に正逆回転可能に配置された駆動ドラム(図示しない)にそれぞれ連結されると共に、この駆動ドラムの外周面に互いに逆方向に巻き付けられている。
さらに、駆動系のケーブル151の他方のケーブル160の他端部はサンシェード40の端末バー41の他方端部(第2のケーブルドラム35が配設される側)に連結されている。
また、この実施例2においても実施例1と同様にして、駆動系のケーブル151の二本のケーブル152、160にそれぞれ所要とする張力を付与するためのテンション機構157、165がそれぞれ配設されている。
【0028】
従動系のケーブル181は、可撓性を有する案内筒185に挿通されて移動案内される。この従動系のケーブル181の一端部は、第1のケーブルドラム31のケーブル案内溝32に沿って巻取り及び引出し可能に連結されている。また、従動系のケーブル181の他端部は、プーリ190に案内されてUターン状に折り返され、かつ端末バー41の一方端部に連結されている。
また、従動系のケーブル181に対しても、実施例1と同様にしてテンション機構(図示しない)が必要に応じて配設される。
この実施例2のその他の構成は、実施例1と同様に構成されるため、同一構成部分に対し同一符号を付記してその説明は省略する。
【0029】
したがって、この実施例2においても、実施例1と同様の作用効果を奏する。
特に、この実施例2においては、ルーフ窓13の一側部(前縁部の一部も含む)に沿って駆動系のケーブル151を配設し、ルーフ窓13の他側部に沿って従動系のケーブル81を配設することで、駆動系、従動系の各ケーブルの長さを必要最小限に抑えることが可能となる。
【0030】
なお、この発明は前記実施例1及び2に限定するものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することもできる。
例えば、前記実施例1及び2においては、シェード軸30の両端部軸回りに、第1、第2の両ケーブルドラム31、35の各小径側が車幅方向の外側に位置し大径側が車幅方向に内側に位置するように対称状に取り付けられる場合を例示したが、図7に示すように、第1、第2の両ケーブルドラム31、35を、シェード軸30の軸線上に同方向の姿勢をなして配置することもできる。
この場合には、第1、第2の両ケーブルドラム31、35を部品共通化することができ、製造コストの低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0031】
13 ルーフ窓
15 樹脂製ルーフパネル(窓板)
30 シェード軸
31 第1のケーブルドラム
32 ケーブル案内溝
35 第2のケーブルドラム
36 ケーブル案内溝
40 サンシェード
41 端末バー
51 駆動系のケーブル
71 モータ
73 駆動ドラム
81 従動系のケーブル
【技術分野】
【0001】
この発明はサンシェードの駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サンシェードの駆動装置としては、例えば、特許文献1に開示されている。
これにおいては、図8に示すように、窓切抜き部の下側の細長い穴を通って窓巻上日よけ325が側面ドア311の本体から引き出されるようになっている。
また、窓巻上日よけ325は、巻取シャフト331に巻き取り可能で自由な縁で引張り棒334を有する巻上日よけ生地329を含む。
格納された位置と引き伸ばされた位置との間の引張り棒334に対する案内装置として、2つの支持棒336、337が備えられる。
2つの支持棒336、337は、2つの案内レール338、339によって窓下縁部に略垂直に滑動的に案内される。
また、2つの支持棒336、337のそれぞれは、個々のばねモータ346、347によって、引き伸ばされた位置に片寄る。
また、窓巻上日よけ325はギア付きモータ装置370を含む。ギア付きモータ装置370は、巻取シャフト331に対して同軸に配置されて、ともに回転するよう固定されるギア372を出力ギア371により駆動する。
そして、格納状態において、巻上日よけ生地329は巻取シャフト331に巻き上げられ、ギア付モータ370の自己ロック効果によって、ばねモータ346、347が巻上日よけ生地329を巻取シャフト331から引き出すのを防止するようになっている。
また、窓巻上日よけ325を拡げたい場合には、ギア付モータ370を作動することによって、巻取シャフト331は巻上日よけ生地329の巻きを解くように回転する。日よけ329が巻取シャフト331からゆるめられる手段によって、2つのばねモータ346、347は支持棒336、337の先の引張り棒334を押し上げて拡げる。
窓巻上日よけ325を格納する場合には、ギア付モータ370を逆転させることにより、取シャフト331は巻上日よけ生地329を巻き上げるように回転して格納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−302919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示され構造のものにおいては、日よけ生地329の自由な縁に配置された引張り棒334を昇降動作するための2つの支持棒336、337と2つの案内レール338、339とを配設するためのスペースを側面ドア311の本体内部に確保しなければならない。
このため、車両のルーフ窓を開閉するためのサンシェードの駆動装置として特許文献1に開示され構造のものを採用することが困難となる場合がある。
例えば、車両のルーフ部の前後方向に長いパノラマルーフと呼ばれるルーフ窓である場合、そのルーフ窓の後側(又は前側)のルーフ部分に2つの支持棒336、337と2つの案内レール338、339とを配設するためのスペースを確保することができない。
【0005】
この発明の目的は、前記問題点に鑑み、限られたスペース内に良好に配置することができると共に、サンシェードを安定した状態で円滑に引出し及び巻取ることができるサンシェードの駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、この発明の請求項1に係るサンシェードの駆動装置は、車両のルーフ部に設けられたルーフ窓の一端縁に沿って回転可能に配置されたシェード軸と、
前記シェード軸に引出可能にロール状に巻取られ、かつ巻取り端位置まで巻取られたときに前記ルーフ窓を非遮光状態とし、引出し端位置まで引出されたときに前記ルーフ窓を遮光状態とするシート状のサンシェードと、
前記シェード軸の両端部に一体回転可能に取り付けられると共に、外周面にケーブル案内溝がそれぞれ形成された第1、第2の両ケーブルドラムと、
一端部が前記第1のケーブルドラムのケーブル案内溝に沿って巻取り及び引出し可能に連結され、他端部が前記サンシェードの引出し端に取付けられた端末バーの一方端部に連結され、中間部がモータを駆動源として正逆回転される駆動ドラムに連結された駆動系のケーブルと、
一端部が前記第2のケーブルドラムのケーブル案内溝に沿って巻取り及び引出し可能に連結され、他端部が前記端末バーの他方端部に連結された従動系のケーブルとを備え、
前記第1、第2の両ケーブルドラムはそれぞれテーパ軸状に形成され、
前記両ケーブル案内溝は、前記サンシェードの引出長さに対応する長さをもち、かつ前記シェード軸に巻き取られている前記サンシェードの巻取径の変化に対応して変化する螺旋状に形成されていることを特徴とする。
【0007】
前記構成によると、駆動系のケーブルと従動系のケーブルとを主体として構成されるため、車両のルーフ部に設けられたルーフ窓の周縁部の限られたスペース内に容易に配置することができる。
また、シェード軸にロール状に巻き取られたサンシェードを引き出してルーフ窓を遮光状態にする場合、モータを駆動源として駆動ドラムを正逆一方向へ回転させ、駆動系のケーブルを一方向へ移動させる。
すると、駆動系のケーブルの他端部に一方端部が連結された端末バーが引出し端位置に向けて移動され、この端末バーの移動によって、サンシェードがシェード軸を引出方向へ回転させながら引き出される。
シェード軸の引出方向への回転に伴って、第1、第2の両ケーブルドラムが同方向へ回転され、これによって、第1、第2の両ケーブルドラムの各ケーブル案内溝に沿って駆動系のケーブルと従動系のケーブルがそれぞれ巻き取られていく。
第1、第2の両ケーブルドラムの各ケーブル案内溝は、サンシェードの引出長さに対応する長さをもち、かつシェード軸に巻き取られているサンシェードの巻取径の変化に対応して変化する螺旋状に形成されている。
このため、従動系のケーブルの他端部に他方端部が連結された端末バーが引出し端位置に向けて移動される。
すなわち、端末バーは、シェード軸と平行状態を保ってサンシェードを引き出しながら引出し端位置まで円滑に移動され、これによってルーフ窓が遮光状態となる。
シェード軸にサンシェードをロール状に巻き取ってルーフ窓を非遮光状態にする場合、モータによって駆動ドラムを前記とは逆方向へ回転させ、駆動系のケーブルを他方向へ移動させる。
すると、駆動系のケーブルの一端部に連結された第1ドラムを前記とは逆方向へ回転させると共に、シェード軸及び第2ドラムが同方向へ回転される。
これによって、シェード軸にサンシェードが巻き取られ、ルーフ窓が遮光状態となる。
前記したように、サンシェードを安定した状態で円滑に引き出したりあるいは巻き取ってルーフ窓を遮光状態にしたり非遮光状態にすることができる。
【0008】
請求項2に係るサンシェードの駆動装置は、請求項1に記載のサンシェードの駆動装置であって、
前記駆動系のケーブルは、前記ルーフ窓の一側部に沿って配設され、
前記従動系のケーブルは、前記ルーフ窓の他側部に沿って配設されていることを特徴とする。
【0009】
前記構成によると、ルーフ窓の一側部に沿って駆動系のケーブルを配設し、ルーフ窓の他側部に沿って従動系のケーブルを配設することで、各ケーブルの長さを必要最小限に抑えることができる。
【0010】
請求項3に係るサンシェードの駆動装置は、請求項1又は2に記載のサンシェードの駆動装置であって、
前記第1、第2の両ケーブルドラムは、シェード軸の軸線上に同方向の姿勢をなして配置されていることを特徴とする。
【0011】
前記構成によると、第1、第2の両ケーブルドラムを部品共通化することができ、製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施例1に係るサンシェードの駆動装置によってサンシェードがシェード軸にロール状に巻き取られた非遮光状態を示す平面図である。
【図2】同じく図1のII−II線に基づく断面図である。
【図3】同じくシェード軸、サンシェード及び第2のケーブルドラムの関係を示す説明図である。
【図4】同じく駆動系のケーブル、駆動ドラム及びテンション機構の関係を示す説明図である。
【図5】同じくサンシェードの駆動装置によってサンシェードがシェード軸から引出し端位置まで引き出された遮光状態を示す平面図である。
【図6】この発明の実施例2に係るサンシェードの駆動装置を示す平面図である。
【図7】シェード軸の両端部の軸線上に第1、第2の両ケーブルドラムが同方向の姿勢をなして配置された実施態様を示す説明図である。
【図8】従来のサンシェードの駆動装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明を実施するための最良の形態について実施例にしたがって説明する。
【実施例1】
【0014】
この発明の実施例1を図1〜図5にしたがって説明する。
図1と図2に示すように、車両ボディのルーフ部(天井部)には、前後左右の各ルーフレールパネル11で囲まれたルーフ窓開口部が形成され、このルーフ窓開口部に窓板としての樹脂製ルーフパネル15が固定状態で装着されてルーフ窓13が構成されている。
【0015】
図1に示すように、ルーフ窓13の一端縁(図では後端縁)には、車幅方向に延びるシェード軸30が軸受部材16によって回転可能に配置されている。
この実施例1において、図2に示すように、樹脂製ルーフパネル15は、その主体部をなす透明樹脂材により形成されたパネル部15aと、このパネル部15aの下面周縁部に沿って環状をなし不透明樹脂材により形成(二色成形)された周縁枠部15bとを一体に備えている。そして、軸受部材16は、周縁枠部15bの一部に一体に形成されている。
【0016】
図1に示すように、シェード軸30の外周面には、ルーフ窓13を遮光状態としたり、非遮光状態とするためのサンシェード40が引出可能にロール状に巻取られている。
すなわち、サンシェード40は、ルーフ窓13から入射する光を遮光可能な大きさの織布、樹脂シート等によって形成され、その引出し端(自由端)には、剛性を有する車幅方向の端末バー41が装着されている。
図1と図2に示すように、端末バー41の両端部は、周縁枠部15bの左右の両枠部に一体に形成された案内レール20に挿入されて前後方向へ移動案内されるようになっている。
そして、図1に示すように、シェード軸30にサンシェード40が巻取り端位置まで巻取られたときにはルーフ窓13を非遮光状態とし、図5に示すように、サンシェード40が引出し端位置まで引出されたときにルーフ窓13を遮光状態とするようになっている。
【0017】
図1と図3に示すように、シェード軸30の両端部軸回りには、同シェード軸30と一体回転可能に第1、第2の両ケーブルドラム31、35が取り付けられている。
第1、第2の両ケーブルドラム31、35はそれぞれテーパ軸状に形成され、各小径側が車幅方向の外側に位置し大径側が車幅方向に内側に位置するように対称状(車両の中心線に対し左右対称)に取り付けられている。
そして、第1、第2の両ケーブルドラム31、35の外周面には、サンシェード40の引出長さに対応する長さをもち、かつシェード軸30に巻き取られているサンシェード40の巻取径の変化に対応して変化する螺旋状のケーブル案内溝32、36がそれぞれ形成されている。
すなわち、図3に示すように、螺旋状のケーブル案内溝32、36の最大径寸法D1は、シェード軸30にサンシェード40が巻取り端位置まで巻取られたときの巻取径寸法Daと略同じ大きさで、螺旋状のケーブル案内溝32、36の最小径寸法D2は、サンシェード40が引出し端位置まで引出されたときのシェード軸30の巻取径寸法Dbと略同じ大きさに設定されている。
【0018】
図1に示すように、シェード軸30に対しサンシェード40を引出及び巻取る駆動装置50は、駆動系のケーブル51と従動系のケーブル81とを主体として構成されている。
図1と図4に示すように、駆動系のケーブル51は、二本のケーブル52、60を備え、これらケーブル52、60は、可撓性を有する案内筒55、64に挿通されて移動案内される。
駆動系のケーブル51の一方のケーブル52の一端部は、第1のケーブルドラム31のケーブル案内溝32に沿って巻取り及び引出し可能に連結されている。
図4に示すように、駆動系のケーブル51の中間部をなす一方のケーブル52の他端部と、他方のケーブル60の一端部は、モータ71を駆動源とし、かつハウジング72内に正逆回転可能に配置された駆動ドラム73にそれぞれ連結されると共に、この駆動ドラム73の外周面に互いに逆方向に巻き付けられて連結されている。
さらに、駆動系のケーブル51の他方のケーブル60の他端部はサンシェード40の端末バー41の一方端部(第1のケーブルドラム31が配置される側と反対側)に連結されている。
なお、モータ71及び駆動ドラム73のハウジング72は、ルーフ窓13の他端縁(図では前端縁)に配置されている。
【0019】
また、この実施例1において、駆動系のケーブル51の二本のケーブル52、60にそれぞれ所要とする張力を付与するために、例えば、図4に示すように、駆動ドラム73のハウジング72の両ケーブル挿通口と両案内筒55、64の一端部との間には、テンション機構57、65をそれぞれ構成するテンション用ばね58、66が配設され、両案内筒55、64の端部は、ルーフパネル(車体)側に固定のハウジング72の両ケーブル挿通口72a、72b対しケーブル方向へ移動可能に支持される。
【0020】
図1に示すように、従動系のケーブル81は、可撓性を有する案内筒85に挿通されて移動案内される。この従動系のケーブル81の一端部は、第2のケーブルドラム35のケーブル案内溝36に沿って巻取り及び引出し可能に連結されている。また、従動系のケーブル81の他端部は、端末バー41の他方端部に連結されている。
また、従動系のケーブル81に対しても前記駆動系のケーブル51のテンション機構57、65と同様の構造をもつテンション機構(図示しない)が必要に応じて配設される。
【0021】
この実施例1に係るサンシェードの駆動装置は上述したように構成される。
したがって、サンシェードの駆動装置が駆動系のケーブル51と従動系のケーブル81とを主体として構成されるため、駆動系及び従動系のケーブル51、81を、ルーフ窓13の左右両側縁部及び前縁部に沿う車両のルーフ部の限られスペース内に容易に配置することができる。
【0022】
また、図1に示すように、非遮光状態にある(シェード軸30に巻取り端位置まで巻き取られた)サンシェード40を引き出してルーフ窓13を遮光状態にする場合、例えば、スイッチ操作によってモータ71を作動し、駆動ドラム73を正逆一方向へ回転させる。これによって、駆動系のケーブル51の二本のケーブル52、60を一方向へ同速度で移動させる。
すると、駆動系のケーブル51の他方のケーブル60によって端末バー41の一端部が引出し端位置に向けて移動され、この端末バー41の移動によって、サンシェード40がシェード軸30を引出方向へ回転させながら引き出される。
シェード軸30の引出方向への回転と同時に、第1、第2の両ケーブルドラム31、35が同方向へ回転される。
これによって、第1、第2の両ケーブルドラム31、35の各ケーブル案内溝32、36に沿って駆動系のケーブル51の一方のケーブル52と、従動系のケーブル81とがそれぞれ巻き取られていく。
【0023】
第1、第2の両ケーブルドラム31、35の各ケーブル案内溝32、36は、サンシェード40の引出長さに対応する長さをもち、かつシェード軸30に巻き取られているサンシェード40の巻取径の変化に対応して変化する螺旋状に形成されている。
このため、第1、第2の両ケーブルドラム31、35の各ケーブル案内溝32、36に沿って駆動系のケーブル51の一方のケーブル52と、従動系のケーブル81とがそれぞれ同速度で巻き取られると共に、従動系のケーブル81によって端末バー41の他端部が同端末バー41の一端部と同速度で引出し端位置に向けて移動される。
この結果、端末バー41は、シェード軸30と平行状態を保ってサンシェード40を引き出しながら引出し端位置まで円滑に移動され、これによってルーフ窓13が遮光状態となる(図5参照)。
【0024】
図5に示すように、遮光状態にあるサンシェード40を非遮光状態にする場合、モータ71によって駆動ドラム73を前記とは逆方向へ回転させ、駆動系のケーブル51の二本のケーブル52、60を前記とは逆方向へ同速度で移動させる。
すると、第1のケーブルドラム31のケーブル案内溝32に巻き取られた駆動系のケーブル51の一方のケーブル52のケーブル部分がケーブル案内溝32から引き出されながらが同第1のケーブルドラム31を前記とは逆方向へ回転させる。これと同時に、シェード軸30及び第2のケーブルドラム35が同方向へ回転される。
これによって、シェード軸30にサンシェード40が巻取り端位置まで巻き取られ、図1に示すように、ルーフ窓13が非遮光状態となる。
【0025】
前記したようにして、モータ71によって駆動ドラム73を正逆方向へ回転させることによって、サンシェード40を安定した状態で円滑に引き出したり、あるいは巻き取ってルーフ窓13を遮光状態にしたり、非遮光状態にすることができる。
また、シェード軸30をばねによって巻取方向あるいは引出方向へ付勢する必要がない。
この結果、モータ71の回転力がばねの付勢力によって損失されることがないため、回転力(容量)が小さい小型のモータ71を使用可能となり、モータ71の配設スペースの確保も容易となる。
【実施例2】
【0026】
次に、この発明の実施例2を図6にしたがって説明する。
この実施例2においては、図6に示すように、駆動系のケーブル151がルーフ窓13の一側部及び前縁部に沿って配設され、従動系のケーブル81がルーフ窓13の他側部に沿って配設されている。
【0027】
すなわち、この実施例2において、駆動系のケーブル151は、二本のケーブル152、160を備え、これらケーブル152、160は、可撓性を有する案内筒155、164に挿通されて移動案内される。
駆動系のケーブル151の一方のケーブル152の一端部は、第2のケーブルドラム35のケーブル案内溝36に沿って巻取り及び引出し可能に連結されている。
駆動系のケーブル151の中間部をなす一方のケーブル152の他端部と、他方のケーブル160の一端部は、モータ171を駆動源とし、かつハウジング172内に正逆回転可能に配置された駆動ドラム(図示しない)にそれぞれ連結されると共に、この駆動ドラムの外周面に互いに逆方向に巻き付けられている。
さらに、駆動系のケーブル151の他方のケーブル160の他端部はサンシェード40の端末バー41の他方端部(第2のケーブルドラム35が配設される側)に連結されている。
また、この実施例2においても実施例1と同様にして、駆動系のケーブル151の二本のケーブル152、160にそれぞれ所要とする張力を付与するためのテンション機構157、165がそれぞれ配設されている。
【0028】
従動系のケーブル181は、可撓性を有する案内筒185に挿通されて移動案内される。この従動系のケーブル181の一端部は、第1のケーブルドラム31のケーブル案内溝32に沿って巻取り及び引出し可能に連結されている。また、従動系のケーブル181の他端部は、プーリ190に案内されてUターン状に折り返され、かつ端末バー41の一方端部に連結されている。
また、従動系のケーブル181に対しても、実施例1と同様にしてテンション機構(図示しない)が必要に応じて配設される。
この実施例2のその他の構成は、実施例1と同様に構成されるため、同一構成部分に対し同一符号を付記してその説明は省略する。
【0029】
したがって、この実施例2においても、実施例1と同様の作用効果を奏する。
特に、この実施例2においては、ルーフ窓13の一側部(前縁部の一部も含む)に沿って駆動系のケーブル151を配設し、ルーフ窓13の他側部に沿って従動系のケーブル81を配設することで、駆動系、従動系の各ケーブルの長さを必要最小限に抑えることが可能となる。
【0030】
なお、この発明は前記実施例1及び2に限定するものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することもできる。
例えば、前記実施例1及び2においては、シェード軸30の両端部軸回りに、第1、第2の両ケーブルドラム31、35の各小径側が車幅方向の外側に位置し大径側が車幅方向に内側に位置するように対称状に取り付けられる場合を例示したが、図7に示すように、第1、第2の両ケーブルドラム31、35を、シェード軸30の軸線上に同方向の姿勢をなして配置することもできる。
この場合には、第1、第2の両ケーブルドラム31、35を部品共通化することができ、製造コストの低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0031】
13 ルーフ窓
15 樹脂製ルーフパネル(窓板)
30 シェード軸
31 第1のケーブルドラム
32 ケーブル案内溝
35 第2のケーブルドラム
36 ケーブル案内溝
40 サンシェード
41 端末バー
51 駆動系のケーブル
71 モータ
73 駆動ドラム
81 従動系のケーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフ部に設けられたルーフ窓の一端縁に沿って回転可能に配置されたシェード軸と、
前記シェード軸に引出可能にロール状に巻取られ、かつ巻取り端位置まで巻取られたときに前記ルーフ窓を非遮光状態とし、引出し端位置まで引出されたときに前記ルーフ窓を遮光状態とするシート状のサンシェードと、
前記シェード軸の両端部に一体回転可能に取り付けられると共に、外周面にケーブル案内溝がそれぞれ形成された第1、第2の両ケーブルドラムと、
一端部が前記第1のケーブルドラムのケーブル案内溝に沿って巻取り及び引出し可能に連結され、他端部が前記サンシェードの引出し端に取付けられた端末バーの一方端部に連結され、中間部がモータを駆動源として正逆回転される駆動ドラムに連結された駆動系のケーブルと、
一端部が前記第2のケーブルドラムのケーブル案内溝に沿って巻取り及び引出し可能に連結され、他端部が前記端末バーの他方端部に連結された従動系のケーブルとを備え、
前記第1、第2の両ケーブルドラムはそれぞれテーパ軸状に形成され、
前記両ケーブル案内溝は、前記サンシェードの引出長さに対応する長さをもち、かつ前記シェード軸に巻き取られている前記サンシェードの巻取径の変化に対応して変化する螺旋状に形成されていることを特徴とするサンシェードの駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載のサンシェードの駆動装置であって、
前記駆動系のケーブルは、前記ルーフ窓の一側部に沿って配設され、
前記従動系のケーブルは、前記ルーフ窓の他側部に沿って配設されていることを特徴とするサンシェードの駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のサンシェードの駆動装置であって、
前記第1、第2の両ケーブルドラムは、シェード軸の軸線上に同方向の姿勢をなして配置されていることを特徴とするサンシェードの駆動装置。
【請求項1】
車両のルーフ部に設けられたルーフ窓の一端縁に沿って回転可能に配置されたシェード軸と、
前記シェード軸に引出可能にロール状に巻取られ、かつ巻取り端位置まで巻取られたときに前記ルーフ窓を非遮光状態とし、引出し端位置まで引出されたときに前記ルーフ窓を遮光状態とするシート状のサンシェードと、
前記シェード軸の両端部に一体回転可能に取り付けられると共に、外周面にケーブル案内溝がそれぞれ形成された第1、第2の両ケーブルドラムと、
一端部が前記第1のケーブルドラムのケーブル案内溝に沿って巻取り及び引出し可能に連結され、他端部が前記サンシェードの引出し端に取付けられた端末バーの一方端部に連結され、中間部がモータを駆動源として正逆回転される駆動ドラムに連結された駆動系のケーブルと、
一端部が前記第2のケーブルドラムのケーブル案内溝に沿って巻取り及び引出し可能に連結され、他端部が前記端末バーの他方端部に連結された従動系のケーブルとを備え、
前記第1、第2の両ケーブルドラムはそれぞれテーパ軸状に形成され、
前記両ケーブル案内溝は、前記サンシェードの引出長さに対応する長さをもち、かつ前記シェード軸に巻き取られている前記サンシェードの巻取径の変化に対応して変化する螺旋状に形成されていることを特徴とするサンシェードの駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載のサンシェードの駆動装置であって、
前記駆動系のケーブルは、前記ルーフ窓の一側部に沿って配設され、
前記従動系のケーブルは、前記ルーフ窓の他側部に沿って配設されていることを特徴とするサンシェードの駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のサンシェードの駆動装置であって、
前記第1、第2の両ケーブルドラムは、シェード軸の軸線上に同方向の姿勢をなして配置されていることを特徴とするサンシェードの駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2010−274693(P2010−274693A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126603(P2009−126603)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
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