説明

サンプリング装置及び微生物を濃縮するための方法

本開示は、サンプリング装置中で濃縮剤により微生物を濃縮するための方法、及び本明細書に記載のサンプリング装置を記載する。より詳細には、このようなサンプリング装置中で濃縮剤により大容量の試料から微生物を濃縮するための方法は、様々な条件下において迅速で、低コストで、単純で(複雑な装置又は手順を含まずに)、及び/又は有効なプロセスを提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2008年12月31日に出願された米国仮特許出願第61/141,900号に関する利益を請求する。
【0002】
(発明の分野)
本開示はサンプリング装置及びこのような装置を用いて微生物を濃縮するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
微生物汚染により生じる食品媒介疾患及び院内感染は、世界中の無数の場所で懸案となっている。したがって多くの場合、微生物の存在の同定及び/又は定量測定を行うために、さまざまな医療、食品、環境、又はその他の試料中における、細菌又は他の微生物の存在を検定することが望ましく、あるいは必要である。
【0004】
例えば、たとえ他の細菌の存在下であっても、細菌DNA又は細菌RNAを、特定の細菌種の存在又は不在を評価するために検定することができる。しかしながら、特定の細菌の存在を検出する能力は、少なくとも部分的に、分析される試料中の細菌数に依存する。細菌試料は、検出に十分な濃度を確保するため、試料中の細菌の数を増加させるために播種され又は培養されるが、この培養工程はしばしば時間がかかり、よって評価結果を顕著に遅らせることがある。
【0005】
試料中の細菌を濃縮することで、培養時間を短縮することができ、培養の工程の必要を排除することすら可能になる。よって、菌株に特異的な抗体を使用することによって、特定の細菌株を分離する(及びこれにより濃縮する)ための方法が開発されている(例えば、抗体をコーティングした磁石又は非磁石粒子の形態で)。しかしながらこのような方法は高価になり、少なくとも一部の診断用途に望まれるよりも依然としてやや遅い傾向がある。
【0006】
菌株特異的でない濃縮方法も使用されている(例えば、試料に存在する微生物の、より総合的な評価を得るため)。混合した微生物群を濃縮した後、望ましい場合は、菌株特異的な精査を用いることによって特定の菌株の存在を判定することができる。
【0007】
微生物の非特異的な濃縮又は捕捉は、炭水化物とレクチンタンパク質との相互作用に基づいた方法によって達成されている。これまでに非特異的捕捉装置としてキトサンコーティングされた支持体が使用され、微生物の栄養素の役目を果たす物質(例えば、炭水化物、ビタミン、鉄キレート化合物、及びシデロホア)が、微生物の非特異的捕捉を提供するための配位子として有用であることも記述されてきた。さまざまな無機物質(例えばヒドロキシアパタイト及び金属水酸化物)が、細菌に非特異的に結合しこれを濃縮するために使用されている。
【0008】
非特異的な捕捉のためには、無機結合剤を使用する及び/又は使用しない、物理的な濃縮方法(例えば濾過、クロマトグラフィー、遠心分離、及び重力による沈殿)も利用されている。このような非特異的な濃縮方法は、速度、費用(少なくとも一部のものは高価な装置、材料、及び/又は訓練を受けた技術者が必要になる)、試料要件(例えば、試料の性質及び/又は量の制限)、空間的要件、使用の容易さ(少なくとも一部のものは複雑な複数の工程のプロセスを必要とする)、現場使用の適合性、及び/又は高価さの点において様々に異なっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示は、サンプリング装置中で濃縮剤により微生物を濃縮するための方法を記載する。より詳細には、このような装置の中で、濃縮剤の存在下で、大容量の試料から微生物を濃縮するための方法は、微生物を濃縮するのに迅速で、低コストで、単純で(複雑な装置又は手順を含まずに)、及び/又は有効なプロセスを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様では、方法は微生物を濃縮するために提供される。当該方法は、第1リザーバ、第2リザーバ、及び第1リザーバに連通した第1開口部と、第2リザーバに連通した第2開口部と、を有する通路を備える、一体型サンプリング装置を提供する工程を含み、流体は通路を通って2つのリザーバ間を流れ得る。一体型サンプリング装置が直立配置にある場合、第1リザーバの全容量は第1開口部の上にあり、一体型サンプリング装置が任意配置である場合、第2リザーバの全容量は第2開口部の上にはない。第2リザーバは、少なくとも1つの再密閉可能な外開口部を有する。当該方法は、濃縮剤と、微生物を含む試料とを一体型サンプリング装置で混合して、微生物を固定した組成物を得ることを含む。方法はまた、第2リザーバから、微生物を固定した組成物の大部分を回収するために、第2リザーバが第1リザーバの実質的に上に配置されるよう一体型サンプリング装置を反転させることも含む。
【0011】
一態様では、一体型サンプリング装置が提供される。一体型サンプリング装置は、第1開口部を有する第1リザーバ、第2開口部を有する第2リザーバ、及び少なくとも1つの再密閉可能な外開口部を備える。一体型サンプリング装置はまた、第1リザーバと第2リザーバとを連結する通路も備える。通路は、第1リザーバに連通した第1開口部、及び第2リザーバに連通した第2開口部を有する。一体型サンプリング装置が直立配置である場合、第1リザーバの全容量は第1開口部の上にある。一体型サンプリング装置が任意配置である場合、第2リザーバの全容量は第2開口部の上にはない。
【0012】
一態様では、微生物を濃縮するための方法が提供される。当該方法は、本体、再密閉可能な外開口部、及び本体から最も遠位の部分においてより狭くなるよう成形された第1端部、を有する第1リザーバを備える、2区画サンプリング装置を提供することを含む。第1端部の最も遠位の部分は、第2コネクタを有する取り外し可能で吸引可能な第2リザーバへと連結された、第1コネクタを有する。第1リザーバは、取り外し可能で吸引可能な第2リザーバの、実質的に上に配置される。第1コネクタは、2つのリザーバ間を流体が流れ得るよう、第2コネクタに取り付けることができる。当該方法は、濃縮剤と、微生物を含む試料とを2区画サンプリング装置中で混合して、微生物を固定した組成物を得ることを含む。当該方法はまた、微生物を固定した組成物を、第1リザーバの第1端部から、取り外し可能で吸引可能な第2リザーバへと通過させることも含む。
【0013】
一態様では、2区画サンプリング装置が記載される。2区画サンプリング装置は、本体、再密閉可能な外開口部、及び本体から最も遠位の部分においてより狭くなるよう成形された第1端部、を有する第1リザーバを備える。最も遠位の部分は第1コネクタを有する。2区画サンプリング装置は、第2コネクタを有する、取り外し可能で吸引可能な第2リザーバを備える。第1コネクタは、第1リザーバと取り外し可能で吸引可能な第2リザーバとの間を流体が流れ得るように、第2コネクタへと取り付けられる。
【0014】
一態様では、微生物を濃縮するための方法が提供される。当該方法は、第1開口部と、少なくとも1つの再密閉可能な外開口部とを有する第1リザーバ、及び第2開口部を有する第2リザーバ、を備える、一体型サンプリング装置を提供することを含む。一体型サンプリング装置はまた、ハウジングと、ハウジング内部に存在する可動性機能部とを備える要素、及び第2外開口部を備える。可動性機能部は少なくとも第1配置と第2配置とを有する。第2リザーバの内部は可動性機能部内に配置され、第2開口部は可動性機能部の外側又は可動性機能部の一部に存在する。一体型サンプリング装置が直立配置である場合、第1リザーバは要素の上に配置される。一体型サンプリング装置が直立配置である場合、第2外開口部は要素の下に配置される。第1配置では、第1開口部が第2開口部と連通するように、第1通路が第1リザーバと第2リザーバとを連結する。第2配置では、第2開口部が第2外開口部と流体連通するように、第2通路が第2リザーバと第2外開口部とを連結する。当該方法は、濃縮剤と、微生物を含む試料とをサンプリング装置中で混合して、微生物を固定した組成物を得ることを含む。当該方法はまた、第2開口部が第2外開口部と流体連通するように、微生物を固定した組成物を第1配置から第2配置へと移動させることも含む。
【0015】
一態様では、一体型サンプリング装置が提供される。一体型サンプリング装置は、第1開口部と、少なくとも1つの再密閉可能な外開口部とを有する第1リザーバ、第2開口部を有する第2リザーバ、要素、及び第2外開口部を備える。要素は、ハウジングと、ハウジング内部に存在する可動性機能部とを備える。可動性機能部は少なくとも第1配置と第2配置とを有する。第2リザーバの内部は可動性機能部内に配置され、第2開口部は可動性機能部の一部の外側に存在する。一体型サンプリング装置が直立配置である場合、第1リザーバは要素の上に配置される。一体型サンプリング装置が直立配置である場合、第2外開口部は要素の下に配置される。第1配置では、第1開口部が第2開口部と流体連通するように、第1通路が第1リザーバと第2リザーバとを連結する。第2配置では、第2開口部が第2外開口部と流体連通するように、第2通路が第2リザーバと第2外開口部とを連結する。
【0016】
一態様では、微生物を濃縮するための方法が提供される。当該方法は、第1開口部と、再密閉可能な第1外開口部と、第1容量とを有する第1リザーバを備える、一体型サンプリング装置を提供することを含む。一体型サンプリング装置は、第2開口部と、第2外開口部と、第2容量とを有する、第2リザーバを備える。一体型サンプリング装置はまた、密閉部を有するプランジャも備える。密閉部は、プランジャの遠位端に近接する、プランジャの一部に存在する。密閉部は、第2リザーバの第2容量を第1リザーバの第1容量から分離する。第2容量は第2外開口部を通して取り出され、サンプリング装置が直立配置である場合には第1リザーバが第2リザーバの上に配置される。当該方法は、濃縮剤と、微生物を含む試料とを一体型サンプリング装置で混合して、微生物を固定した組成物を得ることを含む。当該方法はまた、プランジャを用いて、第2外開口部を介して第2リザーバに配置された、微生物を固定した組成物を移動させることを含む。
【0017】
一態様では、一体型サンプリング装置が提供される。一体型サンプリング装置は第1リザーバ、第2リザーバ、及びプランジャを備える。第1リザーバは第1開口部、再密閉可能な第1外開口部、及び第1容量を有する。第2リザーバは第2開口部、第2外開口部、及び第2容量を有する。プランジャは密閉部を有する。密閉部は、プランジャの遠位端に近接する、プランジャの一部に存在する。密閉部は、第1リザーバの第1容量から第2リザーバの第2容量を捕捉する。第2容量は第2外開口部を通して取り出され、サンプリング装置が直立配置である場合には第1リザーバが第2リザーバの上に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】微生物を濃縮するための方法の略図。
【図2】第1リザーバ、第2リザーバ及び通路を有する、一体型サンプリング装置の略図。
【図3】第1リザーバ及び取り外し可能で吸引可能な第2リザーバを有する、2区画サンプリング装置の略図。
【図4】通路へと延びる突出部を有する蓋部材を装備した、再密閉可能な外開口部を有する、図2の一体型サンプリング装置の略図。
【図5】通路へとは延びない突出部を有する蓋部材を装備した、再密閉可能な外開口部を有する、図2の一体型サンプリング装置の略図。
【図6】第1リザーバの中心から第2リザーバの中心へと延びる軸を中心にして位置する通路を有する、図2の一体型サンプリング装置の略図。
【図7】第1リザーバの中心から第2リザーバの中心へと延びる軸を中心にしないで位置づけられる通路を有する、図2の一体型サンプリング装置の略図。
【図8】第1リザーバ、第2リザーバ、要素、及び第2外開口部を有する、一体型サンプリング装置の略図。一体型サンプリング装置は第1配置の状態で例示した。
【図9】図8の一体型サンプリング装置の略図。一体型サンプリング装置は第2配置の状態で例示した。
【図10】図8の要素の側面図の略図。
【図11】第1リザーバ、第2リザーバ及びプランジャを有する、一体型サンプリング装置の略図。プランジャは第2リザーバの上に配置されている。
【図12】第2リザーバを介して延びるプランジャを有する、図11の一体型サンプリング装置の略図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示を具体的な実施形態によって説明文中に説明するが、本発明の趣旨から逸脱することなく様々な改変、配置の変更及び置換を行うことができる点は当業者には直ちに明らかとなろう。したがって、本発明の範囲は本明細書に添付される特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【0020】
端点による数の範囲の列挙には、その範囲内に包括される全ての数が含まれる(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.8、4、及び5を含む)。
【0021】
本明細書及び添付の特許請求の範囲に含まれるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含する。したがって、例えば「化合物」を含有する組成物の言及は、二種以上の化合物の混合物を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、用語「又は」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、一般的に「及び/又は」を包含する意味で用いられる。
【0022】
特に指示がない限り、明細書及び「特許請求の範囲」で使用される成分の量、性質の測定等を表す全ての数は、どの場合においても、「およそ」という用語で修飾されていると理解すべきである。したがって、特に指示がない限り、先行の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載の数値的パラメータは、本開示の教示を利用して当業者により得ることが求められる所望の性質に応じて変化し得る近似値である。最低でも、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効桁数を考慮して、及び通常の四捨五入法を適用して解釈されるべきである。本開示の広い範囲を述べる数値範囲及びパラメータは近似値であるが、具体例に記載の数値は可能な限り正確に記述する。しかし、いずれの数値もそれらの試験測定値それぞれにおいて見られる標準偏差から必然的に生じる誤差を本来含む。
【0023】
本開示は、大容量の試料から微生物を濃縮するための方法を記載する。濃縮剤と、微生物を含む試料とを混合して、微生物を固定した組成物を形成するために、第1リザーバ及び第2リザーバを有する一体型サンプリング装置が提供される。2区画サンプリング装置もまた記載される。濃縮剤は、試料中に存在する少なくとも一部の微生物を濃縮する。微生物を固定した組成物は、サンプリング装置の第2リザーバに回収される。
【0024】
統合型(例えば一体構造型)第1リザーバ及び第2リザーバを有する、一体型サンプリング装置が提供される。同様にして、本明細書に記載の2区画サンプリング装置は、独立型第1リザーバ及び独立型第2リザーバ(例えば取り外し可能な第1及び第2リザーバ)を有する、2区画装置を指す。第1リザーバ及び第2リザーバは、2区画サンプリング装置を形成させるために連結することができる。サンプリング装置の第1リザーバは、典型的には第2リザーバの容量よりも大きい容量を有する。第2リザーバは、微生物を固定した組成物を含有する試料を、より少量回収するのに有用である。
【0025】
本明細書に記載のサンプリング装置は、低濃度の微生物を有する大容量の試料の、迅速かつ効果的な回収を提供する。一部の実施例では、このようなサンプリング装置を密閉し、大容量の試料を含有させるために開放し、次いで試料中に存在する微生物を濃縮するために再密閉することができる。試料と混合し、微生物を固定した組成物を形成するために、濃縮剤をサンプリング装置に添加する。本明細書に記載の、本出願のサンプリング装置は小型であり、持ち運びでき(例えば野外環境での使用)、使い捨てであることから、試料間汚染の可能性が排除される。
【0026】
現行の技術では、例えば膜濾過及び遠心沈降などが、大容量の試料から微生物の直接的な計数を得るために使用される。しかしながら、水などの試料の微生物学的分析のためのこれらの方法は、一般的に高価で多工程の手段であり、精巧な装置と非常に訓練された作業者を必要とする。加えて、膜濾過又は遠心沈降技術について操作上要件は、これらの技術をその場(例えば野外環境)で実行するのを困難にする。
【0027】
例えば「Standard Methods for the Examination of Water and Wastewater(SMEWW)」(第21版,American Public Health Association,the American Water Works Association,and the Water Environment Federation)には、水試料中の微生物を計数する方法が記載されている。このような方法及び水の品質試験の規則は、100mLの試料容量を試験することを要求することから、野外環境で容易に実施することはできない。
【0028】
図1は本明細書に記載の方法により微生物を濃縮するためのプロセスフローチャートである。図1に例示されるように、微生物を含む大容量の試料をサンプリング装置に加える。大容量の試料と濃縮剤とをサンプリング装置中で混合して、微生物を固定した組成物を形成させる。次いで微生物を固定した組成物を第2リザーバに回収する。一部の実施形態では、濃縮剤は、微生物を含む試料を加える前に、サンプリング装置に加えることができる。一部の実施形態では、濃縮剤は、微生物を含む試料を加えた後に、サンプリング装置に加えることができる。一部の実施形態では、サンプリング装置は、効率性と、野外利用で持ち運びしての使用のために、濃縮剤を含み得る。試料収集部位において、濃縮剤を有するサンプリング装置を、試料の送達及び格納のために開放することができる。濃縮剤と試料とを混合することで、微生物を固定した組成物を形成した後、微生物を固定した組成物を更なる分析のために回収することができる。
【0029】
本明細書に記載の各サンプリング装置は、第1リザーバ及び第2リザーバを提供する。第1リザーバは、試料と濃縮剤とを混合して微生物を固定した組成物を形成させるのに十分な量の、大容量の試料を収容するよう、設計される。例えば、微生物を固定した組成物を試料中に分散させることができ、次いでサンプリング装置の第1リザーバから第2リザーバへと回収又は移動させることができる。第2リザーバは、微生物を固定した組成物を含有するために、第1リザーバと比べて少量の容量を有する。
【0030】
図2は一体型サンプリング装置10を例示する。一体型サンプリング装置10は、第1リザーバ20、第2リザーバ35、通路40、及び再密閉可能な外開口部30を備える。第1リザーバ20に隣接する開口部25は任意選択的なものである。第1リザーバ20は、交点55で第2リザーバ35と連結し、一体型構造をもたらす。第1リザーバ20と第2リザーバ35の両方が容量を有する。第1リザーバ20は第1容量60を有し、第2リザーバ35は第2容量45を有する。通路40は、第1リザーバ20に連通した第1開口部22、及び第2リザーバ35に連通した第2開口部27を有する。第1リザーバ20は第2リザーバ35と交点55で接触する。
【0031】
一部の実施形態では、少なくとも1種の微生物を含む試料を、再密閉可能な外開口部30を介して図2の一体型サンプリング装置10に加えることができる。一体型サンプリング装置10内の試料には濃縮剤を加えることができ、あるいは濃縮剤は試料の添加に先立ち一体型サンプリング装置10内に存在させることもできる。第1リザーバ20の全量が第1開口部22の上にあるような、直立配置である一体型サンプリング装置10の第1リザーバ20で試料と濃縮剤とを混合して、微生物を固定した組成物を得ることができる。例えば、微生物を固定した組成物を、第1リザーバ20から通路40を介して第2リザーバ35へと沈降させることもできる。第2リザーバが第1リザーバの実質的に上に配置されるように、一体型サンプリング装置10を反転させることもできる。微生物を固定した組成物の少なくとも大部分を第2リザーバ35の第2容量45に回収することができる。一体型サンプリング装置10は、第1リザーバ20から第2リザーバ35への、微生物を固定した組成物の効率的な移動をもたらす。
【0032】
2区画サンプリング装置300が図3に例示される。2区画サンプリング装置300は、取り外し可能で吸引可能な第2リザーバ340の実質的に上に配置された、第1リザーバ320を備える。第1リザーバ320は、本体355、再密閉可能な外開口部315、第1端部325、第一容量310、及び第1コネクタ330を有する。第1コネクタ330は、取り外し可能で吸引可能な第2リザーバ340に交点335で取り付けられる。取り外し可能で吸引可能な第2リザーバ340は、第2容量350と、第1リザーバ320の第1コネクタ330に接触する第2コネクタ345(交点335にて存在する)とを有する。
【0033】
一部の実施形態では、微生物を含む試料を、図3の再密閉可能な外開口部360で2区画サンプリング装置300に加えることができる。試料の添加に先立ち、あるいは試料の添加後に、濃縮剤を2区画サンプリング装置300に添加することもできる。試料と濃縮剤を第1リザーバ320内で混合して、微生物を固定した組成物を得ることもできる。一部の実施形態では、微生物を固定した組成物は、重力により本体355内の試料を通過させて、例えば第1リザーバ320の第1端部325へと移動させることができる。第1リザーバ320の第1コネクタ330を、取り外し可能で吸引可能な第2リザーバ340の、第2コネクタ345の交点335で連結させることができる。微生物を固定した組成物を、第1端部325から、第1リザーバ320の円錐形状の第1端部325を介して取り外し可能で吸引可能な第2リザーバ340へと通過させることができる。更なる分析のために、既知の容量の微生物を固定した組成物を、取り外し可能で吸引可能な第2リザーバ340に回収することもできる。
【0034】
図4は一体型サンプリング装置400の一実施形態を例示する。第2リザーバ435は、突出部465を有する蓋部材430を備える、再密閉可能な外開口部450を有する。蓋部材430が再密閉可能な外開口部450に取り付けられる場合、突出部465は、第2開口部470から第1開口部445へと通路440を通って延びる。突出部465は、一体型サンプリング装置400を反転させ、微生物を固定した組成物を第2リザーバ435で回収した後に、微生物を固定した組成物が第1リザーバ480に再び入り込むことを防ぐために選択される。
【0035】
一部の実施形態では、突出部465は、試料及び/又は濃縮剤を添加する前に、第2リザーバ435から第1リザーバ480を分離することができる。一部の実施形態では、突出部465を使用することで、微生物を固定した組成物の少なくとも一部を、第1リザーバ480から第2リザーバ435の内部に分離できる。突出部465は、一体型サンプリング装置400の第1開口部445から通路440を経由して第2開口部470を通る、微生物を固定した組成物の流れを低減又は防ぐことができる。
【0036】
図5は一体型サンプリング装置500の一実施形態を例示する。第2リザーバ535は、突出部565を有する蓋部材530を備える、再密閉可能な外開口部550を有する。蓋部材530が再密閉可能な外開口部550に取り付けられる場合、突出部565は、通路540内に延びることなく、第2開口部570に近接して蓋部材530から延びる。突出部565は、一体型サンプリング装置500を反転させ、微生物を固定した組成物を第2リザーバ535で回収した後に、微生物を固定した組成物が第1リザーバ580に再び入り込むことを防ぐために選択される。
【0037】
一部の実施形態では、突出部565は、第1リザーバ580を第2リザーバ535から部分的に分離することができる。一体型サンプリング装置500で、濃縮剤と、微生物を含む試料とを混合した後、第2リザーバ535が第1リザーバ580の実質的に上に配置されるように、一体型サンプリング装置500を反転させることもできる。反転工程時に、蓋部材530の突出部565は、微生物を固定した組成物の少なくとも一部を、回収目的で第2リザーバ535内に移動させることもできる。
【0038】
図6は一体型サンプリング装置610の一実施形態を例示する。一体型サンプリング装置610の通路620は、第1開口部615と第2開口部625とを備える。通路620は、第1リザーバ630の中心から第2リザーバ640へと延びる軸605を中心とする。
【0039】
一部の実施形態では、図6の一体型サンプリング装置610の通路620は、第1リザーバ630の第1開口部615から通路620を通って第2リザーバ640の第2開口部625への、微生物を固定した組成物の流れを提供することができる。微生物を固定した組成物の少なくとも大部分を第2リザーバ640で回収できるように、第1リザーバ630の上に第2リザーバ640が配置されるよう、一体型サンプリング装置610を反転させることもできる。
【0040】
図7は一体型サンプリング装置710の一実施形態を例示する。一体型サンプリング装置710の通路740は、第1開口部715と第2開口部725とを備える。通路740は、第1リザーバ725の中心から第2リザーバ735へと延びる軸705を中心にすることはない。
【0041】
一部の実施形態では、図7の一体型サンプリング装置710の通路740は、第1リザーバ725からの、軸705を中心にせずに位置づけられる(例えば中心からずれている(off-centered))通路740を通る、微生物を固定した組成物の流れを提供することができる。微生物を固定した組成物の少なくとも大部分を第2リザーバ735で回収できるように、第1リザーバ725の上に第2リザーバ735が配置されるよう、一体型サンプリング装置710を反転させることもできる。
【0042】
図8は一体型サンプリング装置800を例示する。一体型サンプリング装置800は、第1リザーバ810、第2リザーバ850、要素820、及び第2外開口部880を備える。第1リザーバ810は、第1開口部860と、少なくとも1つの再密閉可能な外開口部890とを有する。第2リザーバ850は、第2開口部870を有する。要素820は、ハウジング830と、ハウジング830の内側に存在する可動性機能部840とを備える。可動性機能部840は、第2リザーバ850が第1リザーバ810と流体連通するよう、第1開口部860と第2開口部870とを第1通路が連結する、第1配置を有する。第2リザーバ850の内部は可動性機能部840内に配置され、第2開口部870は可動性機能部840の一部の外側に存在する。一体型サンプリング装置800が直立配置である場合、第1リザーバ810は要素820の上に配置される。
【0043】
一部の実施形態では、一体型サンプリング装置800の第2リザーバ850は、微生物を固定した組成物の少なくとも一部を含有する第1配置を有し得る。典型的には、第2リザーバ850は、微生物を固定した組成物を回収するために固定容量を有する。第2リザーバ850を備える可動性機能部840は、第1リザーバ810と第2リザーバ850との間の配置を選択するために回転させることができる。
【0044】
図9は、第1リザーバ910、第2リザーバ950、要素920、及び第2外開口部980を備える、一体型サンプリング装置900を例示する。第1リザーバ910は、第1開口部960と、少なくとも1つの再密閉可能な外開口部990とを有する。第2リザーバ950は、第2開口部970を有する。要素920は、ハウジング930と、ハウジング930の内側に存在する可動性機能部940とを備える。可動性機能部940は、第2開口部970が第2外開口部980と流体連通するよう、第2リザーバ950と第2外開口部980とを第2通路が連結する、第2配置を有する。
【0045】
一部の実施形態では、一体型サンプリング装置900の可動性機能部940の内部に存在する第2リザーバ950は、第2リザーバ950内に得られた、微生物を固定した組成物の固定容量を第2通路を介して移動させることができるような第2配置を有し得る。第2配置の第2通路は、微生物を固定した組成物を第2リザーバ950から送達するために、第2リザーバ950と第2外開口部980を連結する。
【0046】
図10は要素1020の側面図を例示する。要素1020は、ハウジング1030及び可動性機能部1040を有する。可動性機能部1040は、第2リザーバを第1配置から第2配置へと動かす(図示せず)ために第1構成要素1070を有する。一部の実施形態では、第1構成要素1070は、可動性機能部1040に対する接近性のため、可動性機能部1040から突き出す。
【0047】
図11は一体型サンプリング装置1100を例示する。一体型サンプリング装置1100は、第1リザーバ1110、第2リザーバ1120、及びプランジャ1130を備える。第1リザーバ1110は、第1開口部1190、再密閉可能な第1外開口部1170、及び第1容量1115を有する。第2リザーバ1120は、第2外開口部1140、及び第2容量1125を有する。プランジャ1130は、遠位端1155に近接してプランジャ1130の一部に存在する密閉部1160を有する。密閉部1160は、第2リザーバ1120の第2容量1125を、第1リザーバ1110の第1容量1115から分離する。第2容量1125は、第2外開口部1140を介して第2リザーバ1120から取り出すことができる。一体型サンプリング装置1100が直立配置である場合、第1リザーバ1110は第2リザーバ1120の上に配置される。
【0048】
一部の実施形態では、一体型サンプリング装置1100は、直立配置である一体型サンプリング装置1100を支持及び/又は配置するための基材又はクランプと共に利用することができる。一部の実施形態では、基材及び/又はクランプは、一体型サンプリング装置1100を静止位置で固定するために使用することができる。同様にして、持ち運び易さのために基材又はクランプを一体型サンプリング装置1100から取り外すこともできる。
【0049】
図12は一体型サンプリング装置1200を例示する。一体型サンプリング装置1200は、第1リザーバ1210、第2リザーバ1220、及びプランジャ1230を備える。密閉部1260を有するプランジャ1230を動かして、第2リザーバ1220の第2容量1225を配置移動させることができる。プランジャ1230の遠位端1255は、第2リザーバ1220及び第2外開口部1240の下に延びることができる。
【0050】
本開示の図2〜12に例示のサンプリング装置は多数の材料から形成することができる。サンプリング装置を形成するのに有用な材料としては、例えばガラス、高分子材料、複合材料、及び同様物などが挙げられる。これらの装置はまた、1種以上の材料からも構成され得る。高分子材料一部の例としては、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン、高密度ポリエチレン、高密度ポリプロピレン、及び同様物などが挙げられる。一部の実施形態では、装置は例えば射出成形、吹込み成形、及び他の製造技術によるものなどの1つ以上の製造方法で形成することができる。
【0051】
微生物を固定した組成物を得るために微生物を含む試料と混合するのに好適な濃縮剤は記載される。濃縮剤は一般的に粒子状であり、あるいは試料に分散性であり、かつ大容量試料中に存在する微生物を濃縮する。微生物の捕捉に有効なこのような濃縮剤はこれまでに見出されてきた。一般的に、用語「濃縮剤」は、試料中に存在する微生物の雑多な集団を濃縮する物質を指す。濃縮剤の例は、米国特許第60/912,711号、同第60/977180号、同第60/977,171号、同第60/977,188号、並びに米国特許出願公開第2007/0269341号に記載されてきた。これらの特許の各々は、本明細書においてその全文が参考として組み込まれる。
【0052】
一部の実施形態では、濃縮剤(例えば捕捉剤)を用いる濃縮又は捕捉は、微生物のいずれかの特定の株、種、又は型に、非特異的又は特異的であるように選択することができ、したがって試料中の微生物の雑多な集団の濃縮が得られる。一部の実施形態では、微生物の特定の株は、株特異的プローブ又は株選択的培養培地を用いるいずれかの既知の検出法を用いて捕捉される微生物集団から検出することができる。したがってこの濃縮剤は、例えば医療、食品、環境、又はその他の試料における微生物汚染又は病原体(特に細菌などの水媒介及び食品媒介病原体)の検出に使用することができる。
【0053】
本開示の方法の実施において、濃縮剤は、試料に接触し微生物を捕捉するような任意の形態で使用することができる(例えば粒子の形態で、又はディップスティック、フィルム、フィルタ、チューブ、ウェル、プレート、ビーズ、膜、若しくはマイクロ流体装置のチャネル、その他同等物などの支持体に適用して使用できる)。好ましくは、この濃縮剤は特定の形態で使用され、より好ましくは粒子(好ましくは粒径が約1マイクロメートル(より好ましくは約2マイクロメートル)〜約100マイクロメートル(より好ましくは約50マイクロメートル、更に好ましくは約25マイクロメートル、最も好ましくは約15マイクロメートルで、ここで任意の下限を範囲の任意の上限と組み合わせることができる)の範囲である。
【0054】
本開示の方法を実施するのに有用な濃縮剤としては、金属、金属酸化物微小粒子、金属珪酸塩、珪藻土、表面改質珪藻土、官能基を有する粒子、生体分子、生体分子断片、ナノ粒子、及びこれらの組み合わせを含む微粒子濃縮剤が挙げられる。
【0055】
濃縮剤の一部の例としては、鉄、シリカ、チタニア、ジルコニア、並びに試料を回収し濃縮するのに有用な他の物質が挙げられる。一部の実施形態では、γ−FeO(OH)(レピドクロサイトとしても既知)を濃縮剤として使用することができる。このような濃縮剤は、グラム陰性菌(食品媒介及び水媒介の疾患及び人間の細菌感染に関して最大の懸念である微生物)を捕捉する他の鉄含有濃縮剤よりも効果的であることが見出されている。濃縮剤は更に、(γ−FeO(OH)に加えて)他の構成成分(例えばベーマイト(α−AlO(OH))、粘土、酸化鉄、及び酸化ケイ素)を含み得るが、好ましくはそのような他の構成成分は、本開示の方法の実施の際に、試料と濃縮剤との密接な接触を顕著に阻害しない。γ−FeO(OH)はまた、市販のものが入手できる(例えば、A Johnson Matthey Company(Ward Hill,MA)の一企業であるAlfa Aesar Company及びSigma−Aldrich社(St.Louis,MO))。
【0056】
本開示の方法の実施において、この濃縮剤は特定の形態で使用することができ、より好ましくは微粒子(好ましくは粒径(最大寸法)が約3マイクロメートル(より好ましくは約5マイクロメートル、最も好ましくは約10マイクロメートル)〜約100マイクロメートル(より好ましくは約80マイクロメートル、更に好ましくは約50マイクロメートル、最も好ましくは約35マイクロメートル)の範囲である(ここで任意の下限を範囲の任意の上限と組み合わせることができる)。好ましくは、この粒子は小さな粒子の凝集体である。この粒子は好ましくは、寸法が約1マイクロメートル未満(好ましくは寸法が約0.5マイクロメートル未満)のクリスタライトを含む。クリスタライトは、針状結晶クリスタライトとして、針状クリスタライトを含むいかだ状構造として、又は針状クリスタライトといかだ状構造との組み合わせとして、存在し得る。濃縮剤は好ましくは、BET(ブルナウアー・エメット・テラー(Brunauer-Emmett-Teller))法(窒素ガス分子の物理的吸着による固体の表面積計算)によって測定される表面積が、1グラム当たり約25平方メートル(m/g)を超え、より好ましくは約50m/gを超え、最も好ましくは約75m/gを超える。
【0057】
このような粒子の好ましい凝集体は、微粒子にしばしば伴う取扱い及びその他の危険性なく微粒子系の吸着機能を提供することができる。更に、そのような凝集体粒子は容易に流体中に沈殿させることができ、これにより流体相からの迅速な微生物分離が得られる(同時に、濾過適用に使用する際には背圧が低くて済む)。
【0058】
一部の実施形態では、金属珪酸塩を濃縮剤として使用することができる。特に有用な金属珪酸塩は、X線光電子分光法(XPS)により測定されるものとして約0.5以下の金属原子対シリコン原子比を有する表面組成を有する。好ましくは表面組成は、X線光電子分光法(XPS)により測定されるものとして、少なくとも約10の平均原子百分率の炭素も含む。XPSは、試料表面の、最も外側約3〜10ナノメートル(nm)の元素組成を測定できる技法であり、周期表のうち水素及びヘリウムを除くすべての元素に対して感受性がある。XPSは、多くの元素について、0.1〜1原子パーセントの濃度範囲の検出限界を伴った定量的測定技法である。XPSの好ましい表面組成評価条件には、受光立体角±10度で試料表面に対して測定される取り出し角90度が含まれ得る。
【0059】
金属珪酸塩は、水性系中に分散又は懸濁された状態で、材質及び水性系のpHに特有の表面電荷を呈することができる。表面−水界面上の電位は「ゼータ電位」と呼ばれ、これは電気泳動の可動性から(すなわち、水性系に置かれた帯電電極の間を材質粒子が移動する速度から)算出される。本開示の方法の実施に使用される濃縮剤は、例えば、普通のタルクなどの一般的な金属ケイ酸塩よりも負のゼータ電位を有する。更にこの濃縮剤は、細菌などの微生物の濃縮においてタルクよりも効果的であり、その表面は一般にマイナスに帯電する傾向にある。好ましくは、濃縮剤はpHが約7で負のゼータ電位を有する(より好ましくは、pHが約7でスモルコウスキー(Smoluchowski)ゼータ電位が約−9ミリボルト〜約−25ミリボルトの範囲、更に好ましくは、pHが約7でスモルコウスキーゼータ電位が約−10ミリボルト〜約−20ミリボルトの範囲、最も好ましくは、pHが約7でスモルコウスキーゼータ電位が約−11ミリボルト〜約−15ミリボルトの範囲である)。
【0060】
有用な金属ケイ酸塩の例としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、鉄、チタン、及び同様物(好ましくはマグネシウム、亜鉛、鉄、及びチタンであり、より好ましくはマグネシウム)、及びこれらの組み合わせの金属の非晶質ケイ酸塩が挙げられる。好ましいのは、少なくとも部分的に融合した粒子形状の非晶質金属ケイ酸塩である(より好ましくは非晶質の長球化金属ケイ酸塩であり、最も好ましくは非晶質の長球化ケイ酸マグネシウムである)。金属ケイ酸塩は既知であり、既知の方法によって化学的に合成するか、又は天然に生じる未加工鉱石の採鉱及び処理によって入手することができる。
【0061】
非晶質の、少なくとも部分的に融合した粒子形態の金属ケイ酸塩は、管理された条件下で、比較的小さな供給粒子(例えば、最大約25マイクロメートルの平均粒度)を溶融又は軟化させ、全体に長円形又は長球形の粒子(すなわち、真円又は実質的な円及び楕円形状、及びその他の丸みを帯びた又は曲線形状などのように、全体に丸く、鋭い角やエッジがない、拡大二次元画像を有する粒子)を形成する既知の任意の方法によって調整することができる。この方法には、アトマイゼーション、火炎研磨(fire polishing)、直接溶融、及び同様の方法が挙げられる。好ましい方法は炎融であり、この方法においては、固体の共有粒子を直接溶融又は火炎研磨することにより、少なくとも部分的に溶融した実質的にビー玉状の粒子が形成される(例えば、米国特許第6,045,913号(Castle)に記述されている方法があり、この記述は参考として本明細書に組み込まれる)。より好ましくは、このような方法を利用して、不規則な形状の供給粒子のかなりの部分(例えば、約15〜約99体積パーセント、好ましくは約50〜約99体積パーセント、より好ましくは約75〜約99体積パーセント、最も好ましくは約90〜約99体積パーセント)を、全体に長円形又は長球形の粒子に転化させることにより、非晶質の長球化金属ケイ酸塩を生成することができる。
【0062】
一部の非晶質金属ケイ酸塩は、市販されている。例えば、非晶質の長球化されたケイ酸マグネシウムは、化粧品処方での使用のために市販されている(例えば、3M Cosmetic Microspheres CM−111(3M社(St.Paul,MN)から販売))。
【0063】
濃縮剤が上述の表面構成を有することを条件として、一部の実施形態では、非晶質金属ケイ酸塩に加え、金属(例えば鉄又はチタン)酸化物、結晶質金属ケイ酸塩、その他の結晶質物質、及び同様物が更に含まれ得る。しかしながら濃縮剤は、好ましくは本質的に結晶質シリカは含まない。
【0064】
一部の実施形態では、二酸化チタン、微細ナノスケール金若しくは白金、又はこれらの組み合わせを含む表面改質剤を含む表面処理を、少なくとも表面の一部に施した珪藻土が、濃縮剤として使用される。
【0065】
このように、特定の種類の表面処理済み又は表面改変済み珪藻土(すなわち、二酸化チタン、微細ナノスケール金若しくは白金、又はこれらの組み合わせを含む表面改質剤を含む表面処理が施されている)を含む濃縮剤は、微生物の濃縮の点で、未処理の珪藻土に比べた場合に効果的であり得る。表面処理は好ましくは、酸化第二鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、及び同等物、及びこれらの組み合わせから選択される金属酸化物(より好ましくは酸化第二鉄)を更に含む。金などの貴金属は、抗菌特性を呈することが知られているにもかかわらず、本発明のプロセスにおいて使用される金含有濃縮剤は、微生物の濃縮に有効なだけでなく、検出又は分析の目的向けに微生物を生存可能な状態にしておくことができる。
【0066】
有用な表面改質剤には、微細ナノスケール金、微細ナノスケール白金、少なくとも1つの金属酸化物(好ましくは二酸化チタン、酸化第二鉄、又はこれらの組み合わせ)と組み合わせた微細ナノスケール金、二酸化チタン、少なくとも1つの他の金属酸化物(すなわち二酸化チタン以外)と組み合わせた二酸化チタン、及び同様物、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい表面改質剤には、微細ナノスケール金、微細ナノスケール白金、少なくとも酸化第二鉄又は二酸化チタンと組み合わせた微細ナノスケール金、二酸化チタン、少なくとも酸化第二鉄と組み合わせた二酸化チタン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0067】
より好ましい表面改質剤には、微細ナノスケール金、微細ナノスケール白金、酸化第二鉄又は二酸化チタンと組み合わせた微細ナノスケール金、二酸化チタン、酸化第二鉄と組み合わせた二酸化チタン、及びこれらの組み合わせが挙げられる(更に好ましくは、微細ナノスケール金、酸化第二鉄又は二酸化チタンと組み合わせた微細ナノスケール金、酸化第二鉄と組み合わせた二酸化チタン、及びこれらの組み合わせが挙げられる)。微細ナノスケール金、酸化第二鉄又は二酸化チタンと組み合わせた微細ナノスケール金、及びこれらの組み合わせが最も好ましい。
【0068】
一部の実施形態では、有用な濃縮剤(例えば分散性粒子)はこのような粒子に結合する結合基を有し得る。粒子の結合基(例えば官能基)は、試料中に存在する特定の微生物に対して特異的な親和性を有し得る。一部の実施形態では、結合基は、試料中に存在する複数種類の微生物を結合するために利用可能な部位を1つ以上有する。
【0069】
一部の実施形態では、粒子は磁気特性を有する。例えば粒子は磁性コアを有し得る。このような濃縮剤を含有している、微生物を固定した組成物は、磁場の適用により回収することができ、例えばサンプリング装置の第1リザーバから第2リザーバへと組成物を移動させることができる。
【0070】
一部の実施形態では、生体分子(例えば抗体)は、濃縮剤を形成するいずれかの各種方法により粒子と共有結合させることができる。例えば、グルタルアルデヒド、アルデヒド−シッフ塩基、n−ヒドロキシルスクシンイミド、アズラクトン、臭化シアン、無水マレイン酸などを好適な結合化学物質として使用してもよい。
【0071】
生体分子結合基は、生体分子に結合することが許容される様々な化学基によって官能化してもよい。このような基は典型的には、式A−L−Bにより表される生体分子結合化合物により得られる。生体分子結合基Bは、対象とする生体分子のいずれかと反応して共有結合(好ましくは不可逆的な共有結合)を形成することができるいずれかの有用な官能基であり得る。非常に多様なこのような基が既知であり、有用であることができる。一般に、B基はA基(表面結合基)とは異なる。この表記において、Lは結合又は種々の有機連結のいずれかであることができる。有機リンカーLは、直鎖若しくは分枝アルキレン、アリーレン、又はアルキレンとアリーレン基との組み合わせであることができ、所望によりヘテロ原子を含む。特定の実施形態では、L基は、2価のアルキレンオキシド含有オリゴマー又はポリマー基を含まない。特定の実施形態では、L基が、ナノ粒子に遮蔽及び/又は水分散性特性を供給することができる2価のアルキレンオキシド含有オリゴマー又はポリマー基を含まない時、これらはナノ粒子上に存在する唯一の遮蔽基及び/又は水分散性基ではない。
【0072】
このような反応性基Bの非限定例としては、アミン(特に第1級アミンであるが、第2級アミンも使用することができ、これは芳香族及び/又は脂肪族であることができる)、ヒドラジン、ヒドロキシル基(−OH)、スルホン、アルデヒド、アルコール(−OR)、オキシラン(エチレンオキシドなど)、ハロゲン化物(Cl、Br、I、F)、N−オキシスクシンイミド、アクリレート、アクリルアミド、電子求引性基を有するα,β−エチレン性又はアセチレン性不飽和基(例えば、α,β−不飽和ケトン)、カルボキシレート、エステル、無水物、カルボネート、オキサレート、アジリジン、エポキシ基、N−置換マレイミド、アズラトン(azlatones)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるものが挙げられる。
【0073】
L連結が結合しているこれらのB基の特定の例が以下に示されており、式中、B基はアルデヒド及びヒドロキシル基、ハロゲン化物、エステル、ヒドラジン(脂肪族又は芳香族)、及びN−オキシスクシンイミドを含む:
【0074】
【化1】

【0075】
一部の実施形態では、ビニルスルホン、エポキシ基、アクリレート、及びアミンが好ましいが、それはこれらが(例えば、カルボキシレートに必要とされるような)複雑な化学反応なしに、直接結合することができるからである。以下は、L連結を有する好ましいB基の表記であり、式中、B基はビニルスルホン、エポキシ、アクリレート、及びアミン基を含む。
【0076】
【化2】

【0077】
生体分子結合基の種々の組み合わせを使用することができる。これらは同一の粒子上又は異なる粒子上にあることができる。
【0078】
一部の実施形態では、生体分子結合基は加水分解耐性であるものである。生体分子との反応のための加水分解耐性官能基としては、アクリレート、α,β−不飽和ケトン、N−スルホニルジカルボキシイミド誘導体、アシルスルホンアミド、N−スルホニルアミノカルボニル、フッ素化エステル、環式アズラクトン、スルホニルフルオリド、環式オキソ炭素酸(デルタ、スクエア、クロコン、及びロジゾン)、シアヌルフルオリド、ビニルスルホン、ペルフルオロ化フェノール、及びこれらの種々の組み合わせが挙げられる。
【0079】
生体分子結合化合物A−L−Bについて、表面結合基Aは、典型的には、シラノール、アルコキシシラン、又はクロロシランであり、これらは一官能性、二官能性、又は三官能性であることができる。例えば、シリカナノ粒子の表面のシラノール基は、生体分子を結合する化合物の少なくとも1つのシラノール基、アルコキシシラン基、又はクロロシラン基と反応し、官能化されたナノ粒子を形成する。
【0080】
特定の実施形態では、生体分子結合基は、電子求引性基を有するα,β−エチレン性又はアセチレン性不飽和基を含む。電子求引性基の非限定例としては、カルボニル、ケトン、エステル、アミド、−SO−、−SO−、−CO−CO−、−CO−COOR−、スルホンアミド、ハロゲン化物、トリフルオロメチル、スルホンアミド、ハロゲン化物、マレイミド、マレエート、又はこれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、電子求引性基は、ケトン、エステル、又はアミドである。
【0081】
生体分子結合基は、式A−L−Bによって表される生体分子結合化合物により供給することができる。生体分子結合基Bは、α,β−エチレン性又はアセチレン性不飽和基である。一般に、B基は、A基(表面結合基)とは異なる。この表記では、Lは結合又は種々の有機リンカーのいずれかであることができ、特定の好ましいL−B(又は単にB)基は以下の構造を有する。
【0082】
【化3】

【0083】
特定の実施形態では、生体分子結合基は、アクリレート又はα,β−不飽和ケトンである。アクリレート及びα,β−不飽和ケトンは、広い範囲のpHにわたる水中での安定性という望ましい特性を呈し、更にまた、マイケル付加反応付加物を不可逆的に形成するための第1級アミンとの高い反応性を呈する。
【0084】
生体分子のアミノ基とα位にカルボニル単位を有するα,β−エチレン性不飽和基のβ位とを伴う炭素−窒素結合によって、アミノ基を有する生体分子が生体分子結合基に共有結合する際、マイケル付加反応付加物が生じ得る。
【0085】
一部の実施形態では、多様な表面結合基と適合性であることから、アクリレート及びα,β−不飽和ケトンを使用することができる。特定の実施形態では、アクリレートは多官能性である。生体分子結合化合物の例としては、N−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルスルホントリエトキシシラン−2,1,1,2−トリフルオロビニル、1,1,2−トリクロロビニル、1,1−ジクロロビニル、1,1−ジフルオロビニル、1−フルオロ又は1−クロロビニルシラン、α,β−不飽和含有シラン、シラン含有キノンが挙げられる。当業者であれば、多様な他の生体分子結合化合物が、生体分子結合基による粒子の官能化に使用できる化合物として、本開示に有用であることを理解するであろう。好ましくは、十分な量の生体分子結合化合物をこのような粒子の表面と反応させることで、対象とする生体分子(抗体、好ましくはIgG抗体などのポリペプチド)の結合を所望される程度供給する。
【0086】
一部の実施形態では、生体分子結合基としては、アミン及び/又はヒドラジンを挙げることができる。アミン及び/又はヒドラジンは、芳香族、脂肪族、又はこれらの組み合わせであってもよい。アミンは第1級でも第2級でもよいが、好ましくは第1級アミンであり、より好ましい第1級アミンは、ポリ(エチレンオキシド)アミン及びポリイミンなどの親水性アミンである。
【0087】
一部の実施形態では、生体分子結合基としては、アリルアミン及び/又はアリルヒドラジンを挙げることができる。アミンは第1級でも第2級でもよい(すなわち、非3級)が、好ましくは第1級アミンである。このような実施形態では、生体分子結合基は、式A−L−Bにより表される生体分子結合化合物によって供給することができ、式中、生体分子結合基Bはアリル非第3級アミン及び/又はアリルヒドラジン基である。一般に、B基は、A基(表面結合基)とは異なる。この表記では、Lは結合又は種々の有機リンカーのいずれかであることができ、特定の好ましいL−B(又は単にB)基は以下の構造を有する。
【0088】
【化4】

【0089】
一部の実施形態では、B基としてはアリルアミン及び/又はアリルヒドラジンを挙げることができ、シッフ塩基機構を介し、遊離カルボニル基を有する生体分子と反応し、これにより、式−Ar−N=C(H)−生体分子、又はAr−NHN=C(H)−生体分子の結合を形成する(式中、Arはアリル基であり、不飽和であっても、飽和であってもよい)。アリル基は単一の芳香環又は複数の芳香環を含み、これはヘテロ原子(特に、S、N、O)を含んでも含まなくてもよい。例としては、ナフタレン、アントラセン、ピレン、及びビフェニルが挙げられる。アリル基が置換される場合には、置換基(例えば、ヒドロキシル、カルボキシル、メトキシ、メチル、アミノ基)は、生体分子結合基としてのアリルアミン及び/又はアリルヒドラジンの機能について立体的に又は電子的に干渉するべきではない。
【0090】
アリル基のサイズは、ナノ粒子の過剰な凝集を回避するために、水分散性基の数及び種類に対してバランスをとるべきである。所望される場合には、アリル基は、粒子の分散を助けるために、親水基で置換することができる。
【0091】
一部の実施例では、式A−L−Bにより表される生体分子結合化合物(すなわち、アリルアミン及び/又はアリルヒドラジン基を有する生体分子結合基を得ることができる化合物)の例としては、4−アミノフェニルトリメトキシシランを挙げることができる。
【0092】
好ましくは、対象とする生体分子(酸化抗体などの酸化ポリペプチド、好ましくはIgG抗体)の所望される程度の結合が得られるように、十分な量の生体分子結合化合物を粒子と反応させることができる。
【0093】
一部の実施形態では、生体分子結合基は、第1級脂肪族及び/又は芳香族アミンを含み得、生体分子が共有結合されている生体分子結合基は、粒子の表面にアミン官能化基を介して共有結合されているビオチン含有基を含む。
【0094】
一部の実施形態では、アミン含有生体分子結合基は芳香族アミンであり得る。脂肪族アミンとして、特に水分散性及び/又は遮蔽基がポリ(アルキレンオキシド)含有基を含む場合、それらは一般的に約6個以上の炭素原子を有する。
【0095】
一部の実施形態では、濃縮剤として有用な生体分子は、生体内で天然に生じるいずれかの化合物、並びにこのような天然に生じる化合物の誘導体又は断片であり得る。生体分子は主に炭素及び水素から構成され、窒素、酸素、リン、及び硫黄を伴う。他の元素が組み込まれる場合もあるが、通常はあまりない。生体分子には、タンパク質、抗体、ポリペプチド、炭水化物、多糖、脂質、脂肪酸、ステロイド、プロスタグランジン、プロスタサイクリン、ビタミン、補助因子、サイトカイン、及び核酸(DNA、RNA、ヌクレオシド、ヌクレオチド、プリン、及びピリミジンを含む)、例えば、抗生物質及び毒素などの生体により産生される代謝産物が挙げられるが、これらに限定されない。生体分子はまた、化学物質で改質された(例えば、過ヨウ素酸ナトリウムで酸化された)タンパク質又は抗体などの、天然に生じる生体分子の誘導体を含む。生体分子はまた、架橋された天然に生じる生体分子、又は天然に生じる生体分子の化学物質による架橋産物を含む。それゆえに、本明細書で使用する時、用語「生体分子」は、非改質及び改質分子(例えば、グリコシル化タンパク質、酸化抗体)の両方並びにこれらの断片(例えば、タンパク質断片)を含むが、これらに限定されない。生体分子の断片としては、例えば、化学、酵素又は放射処理による加水分解から生じるものを挙げることができる。
【0096】
特定の実施形態では、生体分子は1つ以上の生体分子結合基に共有結合してもよい。特定の実施形態では、生体分子は、生体分子結合基への結合に先立って、アルデヒド基を含むか又は含むように改質することができる。
【0097】
抗体(例えば酸化抗体)又は他の生体分子(例えば酸化生体分子)の結合は、典型的には穏やかな条件下で起き、広いpH範囲で、好ましくはpH 4〜11で、より好ましくはpH 6〜10で、最も好ましくはpH 7〜9で生じることができる。抗体(例えば酸化抗体)又は他の生体分子(例えば酸化生体分子)の結合に好ましい温度は室温である。また、より低い又はより高い温度を使用することもできるが、生体分子を変性する温度では行われない。この化学作用は、全種類の生体媒質、塩基性及び更には弱い酸性の緩衝溶液、並びにDMSO又はアセトニトリルなどの溶液を含む混合溶液において好適である。
【0098】
一部の実施形態では、標的とする生体分子分析物(例えば抗体)を捕捉するのに、ビオチンなどの生体分子を使用できる。ビオチンが結合されているこのようなアミン含有基は、第1級脂肪族及び/又は芳香族アミン(生体分子結合基)との(+)−ビオチン−N−ヒドロキシ−スクシンイミドエステル化合物の反応により形成することができ、アミン官能基は表面に連結基Lを介して結合される。あるいは、アミンとの(+)−ビオチン−N−ヒドロキシ−スクシンイミドエステル化合物の反応は、シリカナノ粒子の表面への結合に先立って行うことができる。
【0099】
ビタミンH又はシス−ヘキサヒドロ−2−オキソ−1H−チエノ−[3−,4]−イミダゾール−4−ペンタン酸としても知られるビオチンは、細菌及び酵母を含むほとんどの生物に不可欠である基本のビタミンである。ビオチンは、その結合パートナーであるアビジン及びストレプトアビジンよりも更に小さい、244ダルトンの分子量を有する。ビオチンはまた、ピルベートカルボキシラーゼ、トランス−カルボキシラーゼ、アセチル−CoA−カルボキシラーゼ及びβ−メチルクロトニル−CoAカルボキシラーゼの酵素補助因子でもあり、それらは、多種多様な基質を共にカルボキシル化する。ビオチンのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS−ビオチンとして表される)、ビオチンのN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル(スルホ−NHS−ビオチンとして表される)、スルホスクシンイミジル−6−[ビオチンアミド]ヘキサノエート(スルホ−NHS−LC−ビオチンとして表される)、スルホスクシンイミジル−6−[ビオチンアミド]−6−ヘキサンアミドヘキサノエート(スルホ−NHS−LC−LC−ビオチンとして表される)、及びN−ヒドロキシスクシンイミドPEG12−ビオチン、又はN−ヒドロキシスクシンイミドPEG−ビオチン(NHS−PEO12−ビオチン若しくはスルホ−NHS−PEO−ビオチンとして表される)などの、ビオチンの誘導体は、シリカナノ粒子上でアミンを結合するために使用することができる。したがって、この命名法を使用すると、ビオチン又はビオチン誘導体は生体分子である一方で、生体分子結合基はアミンである。ビオチン含有化合物(例えば、ビオチン又はビオチンの誘導体)はアビジン又はストレプトアビジン(strepavidin)と結合を形成する。この複合体は、標的とする分析物であり得る、あるいは標的とする分析物(例えば、細菌)に特異的であり得る、抗体に結合する能力がある。
【0100】
標的とする生物分析物の選択的な結合は直接達成されてよく、又は捕捉剤、例えば抗体抗原結合、を介して達成されてもよい(標的とする生物分析物自体が、検出表面上に固定化された抗体に結合されている抗原を含む)。
【0101】
捕捉剤を有する濃縮剤は、標的とする生物分析物に高い親和性を有し、好ましくは標的とする分析物と特異的である種(例えば、分子、分子群)を含む。捕捉剤は、例えば、抗体及びこれらの断片(Fab、Fab’、Fc)、ポリペプチド、アプタマー、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、タンパク質、抗体、炭水化物、多糖、脂質、脂肪酸、ステロイド、ビタミン、サイトカイン、レクチン、補助因子、及び受容体(例えば、ファージ受容体)を含む。捕捉剤はまた、化学物質で改質されたタンパク質又は抗体などの、天然に生じる生体分子の誘導体を含んでもよい。これらはまた、架橋された天然に生じる生体分子、又は天然に生じる生体分子の化学物質による架橋産物を含んでもよい。
【0102】
本開示での使用に好適な一部の生体分子捕捉剤としては、抗体、抗体複合体及びタンパク質(アビジン、ストレプトアビジン、及びクランピング因子など)を含む、ポリペプチドが挙げられる。特に、生体分子捕捉剤は、抗体である。用語「抗体」は、脊椎動物、例えば、哺乳類種からの、任意のアイソタイプの抗体全体(IgG、IgA、IgM、IgEなど)、及びこれらの断片を含むことを意図し、それらはまた、異物化合物、例えば、タンパク質に特異的に反応する。
【0103】
抗体は、モノクローナル、ポリクローナル、又はそれらの組み合わせであることができる。抗体は、従来の技術を使用してフラグメントにすることができ、フラグメントは抗体全体と同様に、使用するために選別される。したがって、この用語には、選択的に特定のタンパク質と反応することが可能な抗体分子の、タンパク質分解的に切断又は組み換え技術によって調製された部分が含まれる。このようなタンパク質分解及び/又は組み換え断片の非限定例には、Fab、F(ab’)、Fv、並びにペプチドリンカーにより結合されたVL及び/又はVH領域を含有する単鎖抗体(scFv)が挙げられる。scFvは、2つ以上の結合部位を有する抗体を形成するために共有結合又は非共有結合により結合することができる。抗体は、当業者に既知の任意の検出可能な部分で標識することができる。一部の態様では、測定したい検体に結合する抗体(1次抗体)は標識されないが、その代わり、標識された2次抗体又は1次抗体に特異的に結合する他の試薬の結合により間接的に検出される。
【0104】
濃縮剤表面に対する表面被覆及び捕捉剤の充填は、標的とする生物分析物を検出する感度に影響を与え得る。表面に捕捉剤を結合する固定化化学作用は、捕捉剤の充填、捕捉剤の活性の保存に役割を果たすことができ、また、表面の再現可能性及び貯蔵寿命に寄与することもできる。本明細書の他の部分に記載されている種々の固定化方法が、高収率、活性、貯蔵寿命及び安定性の目標を達成するために、表面と関連して使用することができる。
【0105】
抗原/ハプテン、抗体/抗体の抗原結合断片、又は相補的核酸、生体受容体/リガンド(インターロイキン−4及びその受容体)などの生体親和性対(bioaffinity pairs)が、捕捉剤を結合するために使用されてよい。このような生体分子の対の1つが生体分子結合剤に共有結合される。これらの生体分子は、標的生体検体のための「捕捉剤」の一部を形成する。例えば、ビオチンとアビジン及び/又はストレプトアビジンとの間に形成される強い結合は、表面に抗体を結合する場合に、特に有用であり得る。好ましくは、ストレプトアビジンは、表面に抗体を結合する手段として使用することができる。ストレプトアビジンはストレプトミセス・アビジニイ(Streptomyces avidinii)から単離される四量体タンパク質であり、これはビタミンビオチンに緊密に結合する。ストレプトアビジンなどのタンパク質は、多数の化学作用を介して表面に結合することができる。
【0106】
ビオチンのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS−ビオチンと呼ばれる)、ビオチンのN−ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル(スルホ−NHS−ビオチンと呼ばれる)、スルホスクシンイミジル−6−[ビオチンアミド]ヘキサノエート(スルホ−NHS−LC−ビオチンと呼ばれる)、スルホスクシンイミジル−6−[ビオチンアミド]−6−ヘキサンアミドヘキサノエート(スルホ−NHS−LC−LC−ビオチンと呼ばれる)、及びN−ヒドロキシスクシンイミドPEG12−ビオチン、及びN−ヒドロキシスクシンイミドPEG−ビオチン(NHS−PEO12−ビオチン又はスルホ−NHS−PEO−ビオチンと呼ばれる)などの、ビオチンの誘導体は、第1級アミノ酸基において、抗体などの生体分子にビオチンを結合するために使用することができる。これらのビオチニル化生体分子は引き続いて、ストレプトアビジンが結合されている表面に結合することができる。
【0107】
例えば「標的とする生物分析物」としては、組織、細胞、又はこれらの中にあるか若しくはこれらに由来する生体分子(例えば、生物特異的な抗原、酵素、あるいは他のタンパク質、ペプチド、炭水化物、毒素、又はプリオン、細胞壁構成要素若しくは断片、鞭毛、ピリ線毛、核酸、抗体)が挙げられる。
【0108】
本明細書で使用する時、用語「組織」は、多細胞凝集体又は動物若しくは植物に由来する組織を指し、生育可能及び生育不能の両方の細胞、結合組織、並びに間質液を含む。「細胞」は、動物、植物及び単細胞微生物を含む全生体の基本構造及び機能単位を指す。
【0109】
本開示の方法に有用な濃縮剤は、微生物を含む様々な異なる種類の試料に適用することができる。低濃度で微生物を有する試料は、本明細書に記載されるように濃縮した試料内に微生物を有し得る。試料の一部の例としては、限定するものではないが、薬学試料、環境試料、食品試料、食餌試料、医療試料、及び研究試料、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。医療又は獣医試料としては、例えば、臨床診断のために検査される生物源(例えばヒト又は動物)から得た細胞、組織、又は流体を挙げることができる。例えば環境試料は、医療又は獣医設備、工業設備、土壌、水源、食品の調理場(食品が接触する及び接触しない領域)、環境表面(例えば床、壁、天井、感染媒介物、装置、水、水の容器、及び空気フィルタ)、研究室、又はバイオテロにさらされた可能性のある領域由来のものであり得る。病原菌による食物供給源の汚染に関し、多くの場合特に関心が寄せられるものとして、食品の加工場、取り扱い場、及び調理場の試料、飲料水、並びに環境表面が好まれる。
【0110】
本開示の方法に有用な試料は流体の形態であり得る(例えば液体、又は分散体若しくは懸濁液)。一部の実施形態では、液体の形態で得た試料を、微生物を固定した組成物が形成され得るよう、分散性濃縮剤により濃縮することができる。
【0111】
本発明のプロセスを実施するのに(直接、又は流体試料を得るための処理後に)使用できる試料の例としては、食品(例えば、生鮮農産物の低濃度汚染物(rinsates)又はそのまま食べる昼食若しくは「調理済み」食肉)、飲料(例えばジュース又は炭酸飲料)、飲料水、並びに生物学的流体(例えば全血、又は血漿、多血小板血液分画、血小板濃縮物、圧縮した赤血球などの血液構成成分);細胞調製物(例えば組織分散液、骨髄吸引物、又は脊椎骨髄);細胞懸濁液;尿、唾液、及びその他の体液;骨髄;脊髄液;その他同様物が挙げられ、また溶解緩衝液の使用などの既知の手法を用いて形成することのできる細胞可溶化物などの溶解調製物、並びに同様物が挙げられる。好ましい試料としては、食品、飲料、飲料水、生物学的流体、環境試料、及びこれらの組み合わせが挙げられる(食品、飲料、飲料水、環境試料、及びこれらの組み合わせが更に好ましい)。
【0112】
サンプリング装置の試料容量は、具体的な用途によって異なり得る。例えば、本開示の方法を臨床診断用途又は研究用途に使用する場合、試料容量は通常、約0.5mL〜約10mLの範囲であり得る。当該方法が食品病原体試験検査又は飲料水安全性試験のために使用される場合、試料容量は通常、ミリリットル〜リットルの範囲であり得る(例えば100ミリリットル〜3リットル)。例えばバイオプロセス又は製剤処方などの産業用途においては、試料容量は数万リットルである場合がある。
【0113】
本発明のプロセスは、濃縮剤を用いて濃縮した状態の試料から微生物を分離し、更に、使用される検出手順を阻害し得る試料マトリックス構成成分から低濃度の微生物を分離することも可能にする。これらすべての場合において、本発明のプロセスは、他の微生物濃縮方法に追加して、又はその代わりに、使用することができる。したがって、所望により、追加の濃縮が望ましい場合には、培養物は本開示のプロセス実施の前又は後のいずれかの試料から増殖させることができる。
【0114】
微生物を含む様々な試料を、微生物を固定した組成物として濃縮し、本明細書に記載の、本開示のサンプリング装置を用いる方法によって回収することができる(例えば移動法)。例えば、微生物を固定した組成物を得ることに関する、試料中に存在する微生物としては、真菌、酵母、原生動物、ウイルス、及び同様物など、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。一部の実施形態では、微生物としてはグラム陰性細菌、グラム陽性細菌、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。本明細書に記載のサンプリング装置を用いる、微生物を濃縮する方法は、食の安全性のため、あるいは薬学的、環境的、又は抗テロリズム的理由のため重要なものであり得る病原体を濃縮し、検出するのに有用である。このプロセスは、病原菌(例えばグラム陰性菌とグラム陽性菌の両方)、並びにさまざまな酵母、カビ、及びマイコプラズマ(及びこれらの任意の組み合わせ)の検出に特に有用であり得る。本明細書で使用する時、用語「微生物」は、細菌、ウイルス、酵母菌、糸状菌及び原生動物として一般に分類される原核又は真核生物を指す。本明細書で使用される時、用語「原核生物」は、球菌、桿菌、スピロヘータ、スフェロプラスト(sheroplast)、プロトプラスト、胞子などの細菌であると考えられる全ての形状の微生物を含む。
【0115】
特に対象となる病原菌(すなわち、微生物)としては、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、真菌、原生動物、マイコプラズマ、酵母菌、ウイルスが挙げられる。特に関連する微生物としては、Enterobacteriaceae科のメンバー、又はStaphylococcus属菌種、Streptococcus属菌種、Pseudomonas属菌種、Clostridium属菌種、Enterococcus属菌種、Esherichia属菌種、Bacillus属菌種、Listeria属菌種、Legionella属菌種、Vibrio属菌種、並びにヘルペスウイルス、Aspergillus属菌種Fusarium属菌種及びCandida属菌種が挙げられる。特に毒性の微生物としては、Staphylococcus aureus(メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)、バンコマイシン耐性Staphylococcus aureus(VRSA)、バンコマイシン中間耐性Staphylococcus aureus(VISA)などの耐性株を含む)、Clostridium difficile、S.epidermidis、Streptococcus pneumoniae、S.agalactiae、S.pyogenes、Enterococcus faecalis、バンコマイシン耐性Enterococcus(VRE)、Bacillus anthracis、Bacillus amyloliquefaciens、Bacillus amylolyticus、Bacillus cereus、Bacillus coagulans、Bacillus macerans、Bacillus megaterium、Bacillus polymyxa、Bacillus stearothermophillus、Bacillus subtilis、Pseudomonas aeruginosa、Escherichia coli、Aspergillus niger、A.fumigatus、A.clavatus、Fusarium solani、F.oxysporum、F.chlamydosporum、Listeria monocytogenes、Vibrio cholera、V.parahemolyticus、Salmonella cholerasuis、S.typhi、S.typhimurium、Candida albicans、C.glabrata、C.krusei、Strep A、Strep B、Agrobacterium tumefaciens、Alcaligenes xylosoxydans亜種denitrificans、Sphingomonas paucimobilis、及び多剤耐性グラム陰性桿菌(MDR)が挙げられる。
【0116】
このような病原菌又は他の対象種は、例えば、血液、唾液、眼球レンズ液、滑液、脳脊髄液、膿、汗、滲出液、尿、粘液、又は乳汁といった生理学的流体などの任意の供給源に由来し得る試験試料中で分析することができる。更に、試験試料は、例えば、創傷、皮膚、鼻孔、頭皮、爪等の体部位に由来し得る。
【0117】
生理学的な液に加え、他の試験試料としては、他の液体並びに液体媒質に溶解される固体を挙げることが可能である。対象試料としては、プロセス流、水、土壌、植物又はその他の草木、空気、表面(例えば、汚染された表面)などを挙げることができる。
【0118】
一部の実施形態では、微生物を濃縮するための方法は、2つの材料間の接触をもたらす及び/又は2つの材料を混合する(例えば、分散体を形成する)ための、いずれかの多様な既知の又は以降に展開される方法により、実施することができる。例えば濃縮剤(例えば粒子として)を、微生物を含む試料に添加することができ、あるいは試料を、サンプリング装置内の濃縮剤に添加することもできる。濃縮剤と試料は、本出願に記載される各種サンプリング装置のいずれかで組み合わせることができる。試料の添加前の汚染を低減させるために、任意選択的に、しかし好ましくは、使用に先立ち、サンプリング装置は蓋をし、閉じ、又は密閉する。同様にして、本明細書で使用するとき、サンプリング装置は、格納のため、貯蔵のため、及び持ち運びのしやすさのため、使用後に蓋をし、閉じ、又は密閉することができる。
【0119】
本開示の方法を実施するのに好適なサンプリング装置(例えば一体型サンプリング装置又は2区画サンプリング装置)は、試料の大きさにより決定することができる。有用なサンプリング装置は、大きさ及び設計の点で多岐に渡り得る。一部の実施形態では、サンプリング装置は0.5ミリリットルの小さい容量を有し、あるいはサンプリング装置は、100ミリリットル〜3リットルの範囲のようなより大きい容量であり得る。一部の実施形態では、試料に接触するサンプリング装置及び濃縮剤は、使用前に滅菌することができ(例えば、制御された熱、エチレンオキシドガス、過酸化水素、又は放射線によって)、これにより、検出エラーを生じ得る、試料のなんらかの汚染を低減又は防ぐことができる。特定の試料の微生物を捕捉又は濃縮するための、検出を成功させるのに十分な濃縮剤の量は、場合によって異なり(例えば、濃縮剤の性質及び形態並びに試料の量に依存する)、当業者によって容易に決定できる。一般的に、捕捉効率(試料中の微生物が濃縮剤に結合した割合)は、微生物を濃縮剤に接触させる時間を増加させることにより上昇する。捕捉効率はまた、より高濃度の濃縮剤を用いることによっても上昇させることができ、これにより、捕捉されるために微生物が移動すべき平均拡散距離が減少し、インキュベーション時間がより短くにする。したがって、全体として、より多量の濃縮剤が添加されるにつれて、同量の微生物を捕捉するために必要とされるインキュベーション時間はより短くなる。例えば一部の実施形態では、ある適用に際し、試料1mLあたり10mgの濃縮剤が有用であり得る。他の適用については、試料1mLあたり1〜50mgの範囲の濃縮剤が有用であり得る。
【0120】
必要に応じて、サンプリング装置内での接触又は混合は、濃縮剤を試料に少なくとも1回通過させる(例えば、重力による沈降に基づく方法によって、あるいはある期間にわたる他の方法によって)ことにより達成することができる。接触は、混合によって(例えば攪拌、振盪、又は揺動プラットフォームによって)強化することができ、これにより濃縮剤の粒子が試料の大部分を通って繰り返し通過又は沈殿することができる。マイクロリットルオーダーの少量の容量(典型的には10ミリリットル未満)の場合、混合は、例えば米国特許第5,238,812号(Coulterら)(この記述は参考として本明細書に組み込まれる)に記載のように、ボルテックス又は「転動(nutation)」などの急速なものであり得る。約1ミリリットル以上の、より大量の容量(典型的には1ミリリットル〜3リットル)の場合、混合は、例えば米国特許第5,576,185号(Coulterら)(この記述は参考として本明細書に組み込まれる)に記載のように、濃縮剤及び試料を「上下回転」させる方法で穏やかに混転することにより達成できる。接触は、所望の時間にわたって実施することができる(例えば、試料量が約100ミリリットル以下の場合、最高約60分間の接触が有用であり得、好ましくは、約15秒〜約10分又はそれ以上、より好ましくは、約15秒〜約5分の接触が有用であり得る)。
【0121】
したがって、微生物と濃縮剤との接触を増加させる目的で、本開示の方法の実施、混合(例えば撹拌(agitation)、揺動(rocking)、又は撹拌(stirring))及び任意選択的にインキュベーションを用いることができる。好ましい接触方法には、微生物含有試料を濃縮剤と混合すること(例えば、約15秒〜約5分)と、インキュベートすること(例えば約3分〜約4時間)との両方が含まれる。必要に応じ、1種以上の添加剤(例えば溶解試薬、核酸捕捉試薬(例えば磁性ビーズ)、微生物用増殖培地、緩衝液(例えば固体試料を分散又は抽出するために)、微生物染色試薬、洗浄用緩衝液(例えば、結合していない物質を洗い流すために)、溶出試薬(例えば血清アルブミン)、界面活性剤(例えば、Union Carbide Chemicals and Plastics(Houston,TX)から販売されているTriton(商標)X−100非イオン系界面活性剤)、機械的磨耗/溶出試薬(例えばガラスビーズ)、及び同様物)を、濃縮剤及び試薬の組み合わせに添加することができる。
【0122】
本明細書において形成される、微生物を固定した組成物は、サンプリング装置の第2リザーバで回収される。好ましくは、微生物を固定した組成物の回収は、少なくとも一部が重力による沈殿により達成され得る(重力沈降;例えば約5分〜約4時間の期間にわたる)。しかしながら一部の実施形態では、回収の促進(例えば遠心分離又は濾過によって)が、あるいは何らかの回収方法の組み合わせの使用が望ましい場合がある。
【0123】
微生物を固定した組成物を形成する、本明細書に記載の濃縮剤により捕捉又は固定した微生物は、本質的に、何らかの所望される方法(現在既知である、あるいは以降に展開される)により検出することができる。このような方法には、例えば、培養による方法(時間が許す場合は好ましいことがある)、顕微鏡(例えば透過光型顕微鏡又は落射蛍光顕微鏡(蛍光染料で標識した微生物を可視化するのに使用できる))、及びその他の画像手法、免疫学的検出方法、及び遺伝子学的検出方法が挙げられる。微生物捕捉後の検出プロセスは、所望により、試料マトリックス構成成分を除去するための洗浄が含まれる。
【0124】
同様に、一部の実施形態では、濃縮剤により捕捉又は固定した微生物は、装置から取り出し、培養皿に配置し、ある一定の期間にわたって増殖させることができ、並びに生物発光試薬、及びMilliflex(登録商標)Rapid Microbiology Detection and Enumeration System(Millipore,Bedford,MA)などのイメージングシステムを用いるプレートイメージングの使用により、コロニーを検出することができる。
【0125】
一部の実施形態では、微生物を固定した組成物は、好適な反応キュベット/容器に移し、容器に生物発光試薬を添加することにより直接検出することができる。生物発光は、照度計で生物発光を測定することにより定量化できる。
【0126】
一部の用途では、サンプリング装置内の、微生物を固定した組成物は、検出のために研究室に移送してもよい。しかるべき用途のために、微生物を固定した組成物は、取り出して、微生物を検出する研究室への移送用滅菌容器に配置することができ、この場合の容器は、微生物の生存能の低下を避けるよう設計することができる。任意選択的に、容器に保存料を加えて、移送中の微生物の生存能力を維持することができる。
【0127】
一部の実施形態では、第2リザーバ内に存在する、微生物を固定した組成物を、微生物について分析することができる。一部の実施形態では、微生物を固定した組成物を、第2リザーバから取り出し、微生物について分析することができる。微生物を固定した組成物の、このような微生物を検出するのに有用な分析技術は、例えば比色測定的に、電気化学的に、蛍光定量的に、発光定量的に、培養により、イムノアッセイの利用により、又は酵素アッセイ若しくは遺伝的解析により達成される。
【0128】
本開示のサンプリング装置は、濃縮剤の存在下で、大容量の試料由来の、低濃度の微生物の濃縮を配備し、利便性と、持ち運び性とをもたらす。本明細書に記載のサンプリング装置は、安価であり、再生利用可能なものであることから、使用前及び使用後のそれぞれにこれらの装置を洗浄及び滅菌する必要性を排除する。既知の容量の、微生物を固定した組成物を、第2リザーバから回収し、続いてこのような試料中の微生物の存在を同定するために分析することができる。
【0129】
本開示は、例示的なものであり、本開示の範囲を制限することを意図しない以下の非限定的な実施例により、更に明らかになるであろう。
【実施例】
【0130】
特に断らないかぎり、以下の実施例において記載する割合、百分率、及び比率はすべて重量を基準としたものであり、実施例において使用する試薬はすべて、後述する化学製品供給業者から得られるか、又は入手可能なものであり、あるいは従来の技法によって合成することも可能である。
【0131】
実施例1−一体型サンプリング装置
図2に例示の一体型サンプリング装置を準備した。第1リザーバには250mLのポリプロピレン遠心管(#430776;Corning Inc.,Ithaca,New York)を用いた。円形開口部(およそ6mm)をチューブの幅細の端部に形成し、角付き開口部を形成した。第2リザーバには50mLのポリプロピレン遠心管(#430921;Corning,Inc.,Ithaca,New York)を用いた。ポリプロピレンを軟らかくするために50mLチューブを加熱し、次いでこの50mLチューブを250mLチューブに隣り合わせて配置し、図2の一体型サンプリング装置を形成した。
【0132】
実施例2−2区画サンプリング装置
図3に例示の2区画サンプリング装置を準備した。6mm開口部を有する第1リザーバには、250mL遠心管(上記)を用いた。2mmねじ山付きメス型ルアーロックを6mm開口部に挿入した。ルアーロックを構造用接着剤を有する部位で取り付けた。5mLポリプロピレン注射器(取り外し可能で吸引可能な第2リザーバ)をルアーロックに取り付け、図3の2区画サンプリング装置を形成した。
【0133】
実施例3−一体型サンプリング装置
軸を中心にせずに6mmの円形開口部を形成したことを除き、図7の一体型サンプリング装置を、実施例1に記載のように準備した。
【0134】
実施例4−一体型サンプリング装置
第2リザーバを100mL遠心管から形成したことを除き、図2の一体型サンプリング装置を、実施例1に記載のように準備した。
【0135】
実施例5−一体型サンプリング装置
第2リザーバを25mL遠心管から形成したことを除き、図2の一体型サンプリング装置を、実施例1に記載のように準備した。
【0136】
実施例6−一体型サンプリング装置
実施例1に記載のような図2の一体型サンプリング装置を使用した。第2リザーバの再密閉可能な外開口部に、図5に例示のような突出部を有する蓋部材を装備した。
【0137】
サンプリング装置を用いて微生物を濃縮する方法
分離したE.coli(ATCC 51813)のコロニーを、画線プレートから5mLのBBL Trypticase Soy Broth(Becton Dickinson,Sparks,MD)に接種し、37℃で18〜20時間にわたってインキュベートした(一晩培養物)。10コロニー(単位/mL)までの一晩培養物を、Butterfield緩衝液(pH 7.2,VWR;West Chester,PA)に希釈した。10細菌/mL希釈物を100mLの水で1:1000希釈して、最終濃度0.1/mL(合計10cfus)を調製した。濾過滅菌した1mLの100X濃縮吸着緩衝液(pH7.2;5mMのKCl、1mMのCaCl、0.1mMのMgCl及び1mMのKHPO含有)を加えた。
【0138】
濃縮剤の3M微小粒子(250mg)(非晶質,長球化ケイ酸マグネシウムX296−タルク(3M Company,St.Paul,Minnesota);米国特許第6,045,913号))を実施例1〜6(サンプリング装置)のそれぞれに加えた。同様に、100mLのE.coli添加水をそれぞれのサンプリング装置に加えた。サンプリング装置はそれぞれ蓋部材で密閉し、室温(25℃)で60分にわたってThermolyne VariMix固定式(混合)プラットフォーム(14サイクル/分)(Barnstead International,Dubuque,Iowa)上でインキュベートした。混合及びインキュベーション工程の後、サンプリング装置は45〜60分にわたり静置した。同様にして、濃縮していないE coli添加水を含有しているチューブを同様の条件で処理した。
【0139】
微生物を固定した組成物を回収するために、組成物が第2リザーバに回収されるよう、サンプリング装置(実施例1、3〜6)を独立して反転させた。微生物を固定した組成物(2〜5mL)を第2リザーバからピペットで取り、15mL滅菌ポリプロピレンチューブ(VWR,West Chester,Pennsylvania)に移した。各チューブ内で微生物を固定した組成物を混合して、同時に1mLをEC/CC Petrifilm(3M Company,St.Paul,Minnesota)上にピペットで取った。
【0140】
実施例2では、プランジャを含有する取り外し可能で吸引可能な第2リザーバを吸引して、微生物を固定した組成物を3〜4mL得て、15mL滅菌ポリプロピレンチューブに加え、混合し、1mLをピペットで同時にEC/CC Petrifilm上に取った。
【0141】
実施例1〜6のpetrifilmsを製造元からの取扱説明書に基づき加工した。E.coli数/E.coli群数を、EC/CC Petrifilm Plate Reader(3M Company,St.Paul.,Minnesota)を用いて定量した。実施例1〜6についての結果を、以下に記載の式により算出した。
【0142】
捕捉効率=(フィルタ上の濃縮剤由来のコロニー数/未処理対照を播種した場合のコロニー数(濃縮剤無))×100
実施例1〜6のサンプリング装置を用いてのE.Coliの捕捉効率を表1に例示する。捕捉データは、回収した微生物を固定した組成物を配置した、EC/CC Petrifilmより得た。
【0143】
【表1】

【0144】
本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく本開示の様々な修正形態及び変更形態が、当業者には、明らかとなろう。また、本開示は、本明細書に記載した例示的な要素に限定されないことが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物を濃縮するための方法であって、
第1リザーバ、第2リザーバ、及び前記第1リザーバに連通した第1開口部と、前記第2リザーバに連通した第2開口部と、を有する通路を備える、一体型サンプリング装置を提供する工程であって、ここで流体は前記通路を通って前記2つのリザーバ間を流れることができ、前記装置が直立配置にある場合、前記第1リザーバの全容量は前記第1開口部の上にあり、前記装置が任意配置である場合、前記第2リザーバの全容量は前記第2開口部の上にはなく、少なくとも前記第2リザーバは少なくとも1つの再密閉可能な外開口部を有する、一体型サンプリング装置を提供する工程と、
濃縮剤と、微生物を含む試料とを前記一体型サンプリング装置で混合して、微生物を固定した組成物を得る工程と、
前記第2リザーバから、前記微生物を固定した組成物の大部分を回収するために、前記第2リザーバが前記第1リザーバの実質的に上に配置されるよう前記一体型サンプリング装置を反転させる工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記提供する工程が、前記第1リザーバの全容量と前記第2リザーバの全容量との比を約10:1〜約1000:1の範囲で含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記提供する工程が、再密閉可能な外開口部を有する前記第1リザーバを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記提供する工程が、円錐形状を有する前記通路を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記提供する工程が、前記第1リザーバの中心から前記第2リザーバへと延びる軸を中心にして位置する前記第2開口部を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記提供する工程が、前記第1リザーバの中心から前記第2リザーバへと延びる軸を中心にせずに位置づけられる前記第2開口部を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記提供する工程が、前記通路の前記第2開口部を部分的に塞ぐ突出部を含む蓋部材を有する、前記再密閉可能な外開口部を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
一体型サンプリング装置であって、
第1開口部を有する第1リザーバ、
第2開口部及び少なくとも1つの再密閉可能な外開口部を有する第2リザーバ、及び
前記第1リザーバと前記第2リザーバとを連結する通路、を備え、該通路は前記第1リザーバと連通した前記第1開口部と、前記第2リザーバと連通した前記第2開口部とを有し、前記一体型サンプリング装置が直立配置である場合、前記第1リザーバの全容量は前記第1開口部の上にあり、前記一体型サンプリング装置が任意配置である場合、前記第2リザーバの全容量は前記第2開口部の上にはない、一体型サンプリング装置。
【請求項9】
前記第1リザーバの全容量と前記第2リザーバの全容量との比が10:1以上である、請求項8に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項10】
前記第1リザーバの全容量と前記第2リザーバの全容量との比が100:1以上である、請求項8に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項11】
前記第1リザーバの全容量と前記第2リザーバの全容量との比が1000:1以上である、請求項8に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項12】
前記第1リザーバが再密閉可能な外開口部を更に備える、請求項8に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項13】
前記通路が円錐形状を有する、請求項8に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項14】
前記第2開口部が、前記第1リザーバの中心から前記第2リザーバへと延びる軸を中心にして位置する、請求項8に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項15】
前記第2開口部が、前記第1リザーバの中心から前記第2リザーバへと延びる軸を中心にせずに位置づけられる、請求項8に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項16】
前記再密閉可能な外開口部が、前記通路の前記第2開口部を部分的に塞ぐ突出部を含む蓋部材を更に備える、請求項8に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項17】
親和性リガンドを有する粒子、親和性リガンドを有さない粒子、断片に結合する抗体又は抗原、受容体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される濃縮剤を更に含む、請求項8に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項18】
検出剤及び増殖培地を更に含む、請求項8に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項19】
前記検出剤及び前記増殖培地が、前記第2リザーバ内に存在する、請求項18に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項20】
前記第2リザーバ内に存在する溶解剤を更に含む、請求項8に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項21】
前記第1開口部がプレフィルタを更に備える、請求項8に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項22】
微生物を濃縮するための方法であって、
本体、再密閉可能な外開口部、及び前記本体から最も遠位の部分においてより狭くなるよう成形された第1端部、を有する第1リザーバを備える、2区画サンプリング装置を提供する工程であって、前記最も遠位の部分は、第2コネクタを有する取り外し可能で吸引可能な第2リザーバへと連結された、第1コネクタを有し、前記第1リザーバは、前記取り外し可能で吸引可能な第2リザーバの、実質的に上に配置され、前記第1コネクタは、前記2つのリザーバ間に流体が流れ得るよう、前記第2コネクタに取り付けることができる、2区画サンプリング装置を提供する工程と、
濃縮剤と、微生物を含む試料とを前記サンプリング装置で混合して、微生物を固定した組成物を得る工程と、
前記微生物を固定した組成物を、前記第1リザーバの第1端部から、前記取り外し可能で吸引可能な第2リザーバへと通過させる工程と、を含む、方法。
【請求項23】
前記提供する工程が、第1容量を更に含む前記第1リザーバと、第2容量を更に含む前記取り外し可能で吸引可能な第2リザーバと、を含み、ここで、前記第1容量と前記第2容量との比が約10:1〜約1000:1の範囲である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
2区画サンプリング装置であって、
本体、再密閉可能な外開口部、及び本体から最も遠位の部分においてより狭くなるよう成形された第1端部を有し、前記最も遠位の部分が第1コネクタを有する、第1リザーバ、並びに
第2コネクタを有する取り外し可能で吸引可能な第2リザーバであって、前記第1コネクタが、前記第1リザーバと前記取り外し可能で吸引可能な第2リザーバとの間を流体が流れ得るように、前記第2コネクタへと取り付けられる、第2リザーバ、を備える、2区画サンプリング装置。
【請求項25】
前記第1リザーバが更に第1容量を含み、前記取り外し可能で吸引可能な第2リザーバが更に第2容量を含み、ここで、前記第1容量と前記第2容量との比が約10:1〜約1000:1の範囲である、請求項24に記載の2区画サンプリング装置。
【請求項26】
親和性リガンドを有する粒子、親和性リガンドを有さない粒子、断片に結合する抗体又は抗原、受容体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される濃縮剤を更に含む、請求項24に記載の2区画サンプリング装置。
【請求項27】
前記濃縮剤が分散性濃縮剤を含む、請求項26に記載の2区画サンプリング装置。
【請求項28】
前記濃縮剤がγ−FeO(OH)を含む、請求項26に記載の2区画サンプリング装置。
【請求項29】
前記濃縮剤が金属ケイ酸塩を含む、請求項26に記載の2区画サンプリング装置。
【請求項30】
前記濃縮剤が珪藻土を含む、請求項26に記載の2区画サンプリング装置。
【請求項31】
前記濃縮剤が表面処理済み珪藻土を含み、前記表面処理が二酸化チタン、ナノスケール金、ナノスケール白金、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項26に記載の2区画サンプリング装置。
【請求項32】
前記サンプリング装置が検出剤及び増殖培地を更に含む、請求項24に記載の2区画サンプリング装置。
【請求項33】
前記検出剤及び前記増殖培地が前記第2リザーバ内に存在する、請求項32に記載の2区画サンプリング装置。
【請求項34】
前記取り外し可能で吸引可能な第2リザーバ内に存在する溶解剤を更に含む、請求項24に記載の2区画サンプリング装置。
【請求項35】
微生物を濃縮するための方法であって、
第1開口部と、少なくとも1つの再密閉可能な外開口部とを有する第1リザーバ、第2開口部を有する第2リザーバ、ハウジングと、前記ハウジング内部に存在する可動性機能部とを含む要素を備える一体型サンプリング装置を提供する工程であって、前記可動性機能部は少なくとも第1配置と第2配置とを有し、前記第2リザーバの内部は前記可動性機能部内に配置され、前記第2開口部は前記可動性機能部の一部の外側に存在し、ここで、前記一体型サンプリング装置が直立配置である場合、前記第1リザーバは前記要素の上に配置され、前記一体型サンプリング装置が直立配置である場合、前記第2外開口部は前記要素の下に配置され、前記第1配置では、前記第1開口部が前記第2開口部と流体連通するように、第1通路が前記第1リザーバと前記第2リザーバとを連結し、前記第2配置では、前記第2開口部が前記第2外開口部と流体連通するように、第2通路が前記第2リザーバと前記第2外開口部とを連結する、一体型サンプリング装置を提供する工程と、
濃縮剤と、微生物を含む試料とを前記一体型サンプリング装置で混合して、微生物を固定した組成物を得る工程と、
前記第2開口部が前記第2外開口部と流体連通するように、前記微生物を固定した組成物を第1配置から第2配置へと移動させる工程と、を含む、方法。
【請求項36】
一体型サンプリング装置であって、
第1開口部と、少なくとも1つの再密閉可能な外開口部とを有する第1リザーバ、
第2開口部を有する第2リザーバ、
要素であって、
i)ハウジングと、
ii)前記ハウジング内部に存在する可動性機能部と、を備え、ここで、前記可動性機能部は少なくとも第1配置と第2配置とを有し、
前記第2リザーバの内部は前記可動性機能部の内部に配置され、前記第2開口部は前記可動性機能部の一部の外側に存在し、前記一体型サンプリング装置が直立配置である場合、前記第1リザーバは前記要素の上に配置される、要素、並びに
第2外開口部、を備え、前記一体型サンプリング装置が直立配置である場合、前記第2外開口部は前記要素の下に配置され、前記第1配置では、前記第1開口部が前記第2開口部と流体連通するように、第1通路が前記第1リザーバと前記第2リザーバとを連結し、前記第2配置では、前記第2開口部が前記第2外開口部と流体連通するように、第2通路が前記第2リザーバと前記第2外開口部とを連結する、一体型サンプリング装置。
【請求項37】
前記第1リザーバが更に第1容量を含み、前記第2リザーバが更に第2容量を含み、ここで、前記第1容量と、前記第2容量との比が約10:1〜約1000:1の範囲である、請求項36に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項38】
親和性リガンドを有する粒子、親和性リガンドを有さない粒子、断片に結合する抗体又は抗原、受容体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される濃縮剤を更に含む、請求項36に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項39】
検出剤及び増殖培地を更に含む、請求項36に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項40】
前記検出剤及び前記増殖培地が、前記第2リザーバに存在する、請求項39に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項41】
前記第2リザーバに存在する溶解剤を更に含む、請求項36に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項42】
微生物を濃縮するための方法であって、
第1開口部と、再密閉可能な第1外開口部と、第1容量とを有する第1リザーバ、第2開口部と、第2外開口部と、第2容量とを有する第2リザーバ、並びに密閉部を有するプランジャ、を備える一体型サンプリング装置を提供する工程であって、前記密閉部は前記プランジャの遠位端に近接する、前記プランジャの一部に存在し、前記密閉部は前記第2リザーバの前記第2容量を前記第1リザーバの前記第1容量から分離し、前記第2容量は前記第2外開口部を通して取り出され、前記サンプリング装置が直立配置である場合には前記第1リザーバは前記第2リザーバの上に配置される、一体型サンプリング装置を提供する工程と、
濃縮剤と、微生物を含む試料とを前記一体型サンプリング装置で混合して、微生物を固定した組成物を得る工程と、
前記プランジャを用いて、前記第2外開口部を介して前記第2リザーバに配置された、前記微生物を固定した組成物を移動させる工程と、を含む、方法。
【請求項43】
前記混合する工程が、親和性リガンドを有する粒子、親和性リガンドを有さない粒子、断片に結合する抗体又は抗原、受容体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される濃縮剤を更に含む、請求項1、22、35、又は42に記載の方法。
【請求項44】
前記混合する工程が緩衝液を更に含む、請求項1、22、35、又は42に記載の方法。
【請求項45】
前記混合する工程が検出剤及び増殖培地を更に含む、請求項1、22、35、又は42に記載の方法。
【請求項46】
一体型サンプリング装置であって、
第1開口部と、再密閉可能な第1外開口部と、第1容量とを有する、第1リザーバ、
第2開口部と、第2外開口部と、第2容量とを有する、第2リザーバ、並びに
密閉部を有するプランジャ、を備え、前記密閉部は前記プランジャの遠位端に近接する、前記プランジャの一部に存在し、前記密閉部は前記第2リザーバの前記第2容量を前記第1リザーバの前記第1容量から分離し、前記第2容量は前記第2外開口部を通して取り出され、前記サンプリング装置が直立配置である場合には前記第1リザーバは前記第2リザーバの上に配置される、一体型サンプリング装置。
【請求項47】
前記第1容量と前記第2容量との比が約10:1〜約1000:1の範囲である、請求項46に記載のサンプリング装置。
【請求項48】
親和性リガンドを有する粒子、親和性リガンドを有さない粒子、断片に結合する抗体又は抗原、受容体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される濃縮剤を更に含む、請求項46に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項49】
前記濃縮剤が分散性濃縮剤を含む、請求項17、38、又は48のいずれか一項に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項50】
前記濃縮剤がγ−FeO(OH)を含む、請求項17、38、又は48のいずれか一項に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項51】
前記濃縮剤が金属珪酸塩を含む、請求項17、38、又は48のいずれか一項に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項52】
前記濃縮剤が珪藻土を含む、請求項17、38、又は48のいずれか一項に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項53】
前記濃縮剤が表面処理済み珪藻土を含み、前記表面処理が二酸化チタン、ナノスケール金、ナノスケール白金、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項17、38、又は48のいずれか一項に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項54】
検出剤及び増殖培地を更に含む、請求項46に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項55】
前記検出剤及び前記増殖培地が、前記第2リザーバ内に存在する、請求項54に記載の一体型サンプリング装置。
【請求項56】
前記第2リザーバ内に存在する溶解剤を更に含む、請求項46に記載の一体型サンプリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−513768(P2012−513768A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544599(P2011−544599)
【出願日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/069780
【国際公開番号】WO2010/078399
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】