サンプルチャンバアレイおよび生物学的サンプルを処理するための方法
【課題】サンプルチャンバアレイの提供。
【解決手段】本発明のサンプルチャンバアレイは、少なくとも1つのサンプルチャンバと流体連絡する少なくとも1つのレザバおよびサンプルチャンバを規定する移動可能な部分を備え得る。レザバは、液体生物学的サンプルで充填可能である。移動可能な部分は、第1の位置から第2の位置まで、サンプルチャンバの残りに関して移動可能であり得る。第1の位置において、移動可能な部分は窪んでおり、かつサンプルチャンバは生物学的サンプルを含まない。第2の位置において、移動可能な部分は出っ張っており、かつサンプルチャンバは生物学的サンプルを含む。第2の位置への移動可能な部分の移動は、圧力低下を生じ、少なくとも1つのレザバからサンプルチャンバへの生物学的サンプルを移動させる。生物学的サンプルを処理する方法およびサンプルチャンバアレイを作製する方法もまた提供される。
【解決手段】本発明のサンプルチャンバアレイは、少なくとも1つのサンプルチャンバと流体連絡する少なくとも1つのレザバおよびサンプルチャンバを規定する移動可能な部分を備え得る。レザバは、液体生物学的サンプルで充填可能である。移動可能な部分は、第1の位置から第2の位置まで、サンプルチャンバの残りに関して移動可能であり得る。第1の位置において、移動可能な部分は窪んでおり、かつサンプルチャンバは生物学的サンプルを含まない。第2の位置において、移動可能な部分は出っ張っており、かつサンプルチャンバは生物学的サンプルを含む。第2の位置への移動可能な部分の移動は、圧力低下を生じ、少なくとも1つのレザバからサンプルチャンバへの生物学的サンプルを移動させる。生物学的サンプルを処理する方法およびサンプルチャンバアレイを作製する方法もまた提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(分野)
本教示は、一般に、生物学的材料のサンプルのために構成されたサンプルチャンバアレイ、およびサンプルチャンバアレイを用いて生物学的サンプルを処理する方法に関する。本教示は、さらに、種々の局面において、サンプルチャンバを生物学的サンプルで充填させるサンプルチャンバの移動可能な部分を有するサンプルチャンバアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
生物学的試験は、疾患を検出およびモニタリングする際の重要なツールとなってきている。生物学的試験の分野において、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および他の反応を実施することによって核酸を増幅するために、サーマルサイクリングが用いられている。PCRは、例えば、クローニング、遺伝子発現の分析、DNA配列決定および薬物発見のような用途の価値ある研究ツールとなっている。PCRのような方法は、試験サンプルの分析物特異的試薬に対する反応を検出するために使用され得る。代表的には、分析物特異的試薬は、生物学的試験を実施する前に、各サンプルチャンバ内に入れられる。次いで、試験サンプルが、サンプルチャンバに後から挿入され、次いで、サンプルトレイまたはマイクロカードがサーマルサイクルに供される。
【0003】
この分野における最近の発展は、生物学的試験デバイスについての需要の増加を生じた。生物学的試験デバイスは、現在、増加する数の方法において使用されている。サンプルトレイおよびマイクロカードのような、物質を充填し、かつ、サーマルサイクルするための、より効率的でかつ小型の方法および構造を提供することが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
代表的なシステムにおいて、サンプルトレイまたはマイクロカードに試薬がロードされ、次いで、試験サンプルがロードされ、そして、次いで、サーマルサイクリングのための別のデバイスに移されて挿入される。サンプルトレイまたはマイクロカードを充填し、かつサーマルサイクルするためにかかる、時間の量および工程の数を減らすことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要旨)
本教示の種々の局面に従って、サンプルチャンバアレイが提供される。サンプルチャンバアレイは、少なくとも1つのサンプルチャンバと流体連絡する少なくとも1つのレザバ、および、サンプルチャンバを規定する移動可能な部分を備え得る。このレザバは、流体生物学的サンプルで充填可能である、移動可能な部分は、第1の位置から第2の位置まで、サンプルチャンバの残りに関して移動可能であり得る。第1の位置において、移動可能な部分は窪んでおり、かつ、サンプルチャンバは生物学的サンプルを含まない。第2の位置において、移動可能な部分は出っ張っており、かつ、サンプルチャンバは生物学的サンプルを含む。移動可能な部分の第2の位置への移動は、圧力低下を生じ、生物学的サンプルを、少なくとも1つのレザバからサンプルチャンバへと移動させる。
【0006】
さらなる局面において、生物学的サンプルを処理するための方法が提供される。この方法は、少なくとも1つのサンプルチャンバと流体連絡する少なくとも1つのレザバを備えるサンプルチャンバアレイを提供する工程、このレザバを生物学的サンプルで充填する工程、および、窪んでいる位置から出っ張っている位置までサンプルチャンバを移動する工程を包含する。サンプルチャンバの移動は、圧力低下を生じ、生物学的サンプルをレザバからサンプルチャンバへと移動させる。
【0007】
本教示のなおさらなる局面において、サンプルチャンバアレイを作製する方法が提供される。この方法は、少なくとも1つのチャンバ基部を備える第1の部材を提供する工程、少なくとも1つの移動可能な部分を備える第2の部材を提供する工程、第1の部材および第2の部材を位置決めして、チャンバ基部および移動可能な部分を整列する工程、ならびに、第1の部材を第2の部材に固定する工程を包含する。第1の部材を第2の部材に固定することにより、第1の部材と第2の部材との間に少なくとも1つのレザバを形成する。種々の局面において、チャンバ基部および移動可能な部分は窪んでいる。
本発明は、以下を提供する。
(1)サンプルチャンバアレイであって、以下:
少なくとも1つのサンプルチャンバと流体連絡している少なくとも1つのレザバであって、該レザバは、液体生物学的サンプルで充填可能である、レザバ;および
該サンプルチャンバを規定する少なくとも1つの移動可能な部分であって、該移動可能な部分は、第1の位置から第2の位置へと該サンプルチャンバの残りに関して移動可能である、移動可能な部分
を備え、ここで、該第1の位置において、該移動可能な部分が窪んでいて、かつ、該サンプルチャンバが、生物学的サンプルを含まず、そして、該第2の位置において、該移動可能な部分は、出っ張っていて、かつ該サンプルチャンバが生物学的サンプルを含み、
ここで、該移動可能な部分の該第2の位置への移動が、圧力低下を生じ、該生物学的サンプルを該レザバから該サンプルチャンバへと移動させる、サンプルチャンバアレイ。
(2)前記レザバと前記サンプルチャンバとの間の前記流体連絡のための充填チャネルをさらに備える、項目1に記載のサンプルチャンバアレイ。
(3)前記移動可能な部分が、前記サンプルチャンバの外側表面に所定の力が適用される際に、前記第2の位置へと移動するように構成される、項目1に記載のサンプルチャンバアレイ。
(4)前記所定の力が、外部吸引を含む、項目3に記載のサンプルチャンバアレイ。
(5)前記移動可能な部分が、熱の適用の際に、前記第2の位置へと移動するように構成される、項目1に記載のサンプルチャンバアレイ。
(6)前記移動可能な部分が、電流の適用の際に、前記第2の位置へと移動するように構成される、項目1に記載のサンプルチャンバアレイ。
(7)前記充填チャネルの閉鎖を可能にする接着要素をさらに備える、項目2に記載のサンプルチャンバアレイ。
(8)前記充填チャネルが、前記レザバと前記サンプルチャンバとの間の流体連絡を封鎖するために変形されるように構成された、変形可能な物質を含む、項目2に記載のサンプルチャンバアレイ。
(9)前記少なくとも1つのレザバが、作動可能に複数のサンプルチャンバと連絡する、項目1に記載のサンプルチャンバアレイ。
(10)前記複数のサンプルチャンバが、前記少なくとも1つのレザバから半径方向に延びる、項目9に記載のサンプルチャンバアレイ。
(11)前記充填チャネルと前記複数のサンプルチャンバとの間の流体連絡において複数の分枝チャネルをさらに備える、項目2に記載のサンプルチャンバアレイ。
(12)前記レザバが、前記生物学的サンプルで該レザバを充填するための充填開口をさらに備える、項目1に記載のサンプルチャンバアレイ。
(13)前記充填開口が、前記レザバの隆起した部分に配置され、かつ、該レザバを充填するためにピペットの挿入を可能にするように構成された穴を備える、項目12に記載のサンプルチャンバアレイ。
(14)前記充填開口が、前記レザバの周囲に実質的に配置された開口端部分を備える、項目12に記載のサンプルチャンバアレイ。
(15)前記レザバおよび前記サンプルチャンバが各々、可撓性物質を含み、ここで、前記アレイが、巻くことが可能な(rollable)テープ中に構成されている、項目1に記載のサンプルチャンバアレイ。
(16)前記サンプルチャンバアレイが、ポリプロピレンおよびポリエチレンのうちの少なくとも1つを含む、項目1に記載のサンプルチャンバアレイ。
(17)前記サンプルアレイが、PCRのために構成されている、項目1に記載のサンプルチャンバアレイ。
(18)生物学的サンプルを処理するための方法であって、以下:
少なくとも1つのサンプルチャンバと流体連絡する少なくとも1つのレザバを備えるサンプルチャンバアレイを提供する工程;
該レザバを該生物学的サンプルで充填する工程;および
該サンプルチャンバを窪んでいる位置から出っ張っている位置へと移動する工程
を包含し、ここで、該移動する工程が、圧力低下を生じ、該生物学的サンプルを該レザバから該サンプルチャンバへと移動させる、方法。
(19)前記サンプルチャンバアレイをサーマルサイクルさせる工程をさらに包含する、項目18に記載の方法。
(20)前記サンプルチャンバと前記レザバとの間の流体連絡を封鎖するために充填チャネルを閉鎖する工程をさらに包含する、項目18に記載の方法。
(21)前記サンプルチャンバアレイの一部を切断することによって、前記サンプルチャンバから前記レザバを取り外す工程をさらに包含する、項目20に記載の方法。
(22)サンプルチャンバアレイを作製する方法であって、以下:
少なくとも1つのチャンバ基部を含む第1の部材を提供する工程;
少なくとも1つの移動可能な部分を含む第2の部材を提供する工程;
該第1の部材および該第2の部材を位置決めして、該チャンバ基部と該移動可能な部分を整列させる工程;ならびに
該第1の部材を該第2の部材に固定する工程
を包含し、ここで、該固定する工程が、該第1の部材と該第2の部材との間に少なくとも1つのレザバを形成し、そして、ここで、該チャンバ基部および該移動可能な部分が窪んでいる、方法。
(23)前記固定する工程が、接着剤を適用する工程、超音波溶接する工程および熱溶接する工程のうちの少なくとも1つを包含する、項目22に記載の方法。
【0008】
上記の一般的な説明および以下の種々の実施形態の説明の両方が、例示的かつ説明的であり、限定的ではないことが理解されるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(種々の実施形態の説明)
ここで、種々の例示的な実施形態に対して参照がなされ、これらの例は、添付の図面に例示される。可能な限り、同じ参照番号が、図面および明細書において、同じ部品または類似の部品を参照するために用いられる。
【0010】
種々の実施形態に従って、複数のサンプルチャンバを有するサンプルチャンバアレイが提供される。1つの局面において、サンプルアレイは、複数のサンプルチャンバを備え、各々が、充填チャネルを介してレザバと流体連絡している。
【0011】
図1に示される実施形態のような、種々の実施形態において、複数のサンプルチャンバを有するサンプルチャンバアレイ10が開示される。種々の実施形態において、サンプルチャンバアレイ10は、テープの形態である。他の種々の実施形態において、サンプルチャンバアレイは、堅固もしくは可撓性のサンプルトレイもしくはマイクロカードであり得る。サンプルチャンバアレイは、任意の他の型の適切な媒体上に置かれ得ることが理解されるはずである。
【0012】
サンプルチャンバアレイ10は、サーマルサイクリングデバイス中で生物学的材料のサンプルをサーマルサイクルさせるために構成され得る。サーマルサイクリングデバイスは、生物学的材料のサンプルについて、核酸増幅を実施するために構成され得る。生物学的サンプルの核酸増幅を実施する1つの一般的な方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。種々のPCR法が当該分野で公知であり、例えば、Woudenbergらに対する米国特許第5,928,907号および同第6,015,674号(これらの完全な開示は、あらゆる目的のために、本明細書により参考として援用される)に記載される。核酸増幅のための他の方法としては、例えば、リガーゼ連鎖反応、オリゴヌクレオチド連結アッセイおよびハイブリダイゼーションアッセイが挙げられる。これらの方法および他の方法は、米国特許第5,928,907号および同第6,015,674号により詳細に記載される。
【0013】
種々の実施形態において、サンプルチャンバアレイが、サーマルサイクリングデバイスにおいて使用され得、これらのデバイスにおいて、サーマルサイクリングの間に、サンプルチャンバアレイ中のサンプルの核酸増幅のリアルタイム検出を実施する。リアルタイム検出システムは当該分野で公知であり、例えば、Woudenbergらに対する米国特許第5,928,907号および同第6,015,674号(上で、本明細書中に援用される)にまた、より詳細に記載される。リアルタイム検出の間、当該分野で公知の様式で、サーマルサイクリングの間にサンプルの種々の特徴が検出される。リアルタイム検出は、核酸増幅プロセスの間に、サンプルのより正確で、効率的な検出およびモニタリングを可能にする。あるいは、サーマルサイクリングデバイスにおいてサンプルチャンバアレイが使用され得、このデバイスは、サンプルの核酸増幅の終点検出を実施する。いくつかの型の検出装置が、Bedinghamらに対するWO 02/00347A2に示されており、この完全な開示は、あらゆる目的のために、本明細書により参考として援用される。
【0014】
サンプルチャンバアレイは、サンプルチャンバテープセクションのサンプルチャンバ中の生物学的材料をサーマルサイクルさせるためにサンプルブロックを接触するように構成され得る。サンプルブロックは、ユーザーが規定したプロフィールに従ってサンプルブロックの温度を上下するようにプログラムされた温度制御ユニットに作動可能に接続され得る。例えば、種々の実施形態において、ユーザーは、所望のPCRプロトコールの時間および温度パラメータを規定するデータをコントロールコンピュータに提供し得、このコンピュータは、温度制御ユニットの中央処理装置(CPU)に、サンプルブロックのサーマルサイクリングを制御させる。マイクロカードまたは他のサンプル保持部材の温度を上下するための適切な温度制御ユニットのいくつかの非限定的な例は、Mullisらに対する米国特許第5,656,493号、およびにAtwoodらに対す得る米国特許第5,475,610号に記載され、これら両方の開示は、あらゆる目的のために、本明細書により参考として援用される。
【0015】
1つの実施形態において、サンプルチャンバアレイは、サンプルチャンバアレイ上の少なくとも1つの充填チャンバもしくはレザバ、複数のサンプルチャンバ、および複数の充填導管もしくはチャネルを備える。本教示に従うサンプルチャンバアレイの1つの実施形態を図1〜4に示す。本明細書中で実施され、図1〜4に示されるように、サンプルチャンバアレイは、一般に、参照番号10により指定されるテープ、マイクロカード、またはサンプルトレイの形状であり得る。サンプルチャンバアレイ10の基本的な構造および作動は、各々の形式について同一である:テープ、マイクロカードまたはサンプルトレイ。図1〜4に示すように、サンプルチャンバアレイ10は、複数のサンプルチャンバ12を有し、各々は、充填チャネル16を介してレザバ14に連結されている。
【0016】
種々の実施形態において、レザバ14の各々は、ユーザーが、試験されるべきサンプルを、例えば、ピペッティングによって、レザバ14に導入することを可能にするように構成されている開口14aを備える。レザバ14は、その対応するサンプルチャンバ12の充填を可能にするのに十分な容量の流体を含むように構成される。サンプルチャンバ12は、拡張位置にある場合、任意の適切な容量であり得る。1つの例において、容量は、0.1μLと1,000μLとの間であり、別の例において、1μLと100μLとの間であり、別の例においては、約5μLである。本教示に従うサンプルチャンバは、生物学的試験に適切な任意のサイズであり得ることが理解されるはずである。いくつかの実施形態において、レザバ14内に含まれる全ての流体が、チャンバ12に移されることは可能ではなく、従って、レザバ14は、適切な充填を保証するために、チャンバ12の容量よりも大きい容量を有し得る。
【0017】
種々の実施形態において、サンプルチャンバアレイ10は、サンプルチャンバ12が充填された後に、充填チャネル16をシールすることを可能にするように構成された、接着物質18のセクションを備え得る。サンプルチャンバの充填、ならびに、チャネル16のシールは、図2a〜2eを参照してさらに記載される。サンプルチャンバアレイ10は、さらに、例えば、接着ラベルを受容するように構成された複数の領域28、または、サンプルチャンバの中身または任意の他の所望の情報を同定するための他の同定マーキングもしくはインジケータを備え得る。
【0018】
図4は、PCRサンプルチャンバテープ5のロールを図示し、ここから、サンプルチャンバアレイ10のようなサンプルチャンバアレイが切り出され得るか、または、他の方法で得られ得る。ロール5を使用することによって、ユーザーは、サンプルチャンバアレイ内に含まれる固定数のサンプルチャンバにより束縛されることなく、任意の特定の試験に必要とされるサンプルチャンバの数を分離することができる。サンプルチャンバアレイ10は、ロール5のセクションとして図示されるが、固定数のサンプルチャンバ12を有するアレイとしても製造され得る。前以て製造された型のサンプルアレイは、ユーザーにより所望される任意の数のレザバ14およびチャンバ12を有し得る。サンプルチャンバアレイ10は、図4に示される可撓性テープ5の代わりに、堅固または可撓性のマイクロカードもしくはサンプルトレイ上に置かれ得ることが理解されるべきである。
【0019】
図1は、2列のチャンバ、レザバおよび充填チャネルを有するサンプルチャンバアレイ10を図示する。図2a〜2eは、ほぼ図1の線II−IIに沿う、サンプルチャンバアレイ10の断面を図示し、これは、サンプルアレイ10の長さに対して垂直であり、チャンバ12、レザバ14およびチャネル16の隣接する対を通過する。図2a〜2eは、2列のチャンバ、レザバおよびチャネルを図示する。代替的な実施形態が、図5〜12に示されるが、一般には、少なくとも、以下に記載される移動可能な部分12bの移動によるスナップ作動充填に関しては、図1〜4の実施形態と同様の様式で作動する。単純にするために、以下の説明は、単一の列(図2a〜2eの上列)に焦点を当てるが、サンプルチャンバアレイ10の下列に対してもまた、これらの説明が適用されることが理解されるはずである。
【0020】
図2a〜2eに示すように、本教示に従うサンプルチャンバアレイ10は、第2の部材10bに固定された第1の部材10aを備え得る。第1の部材10aおよび第2の部材10bは、例えば、ポリプロピレンもしくはポリエチレンのようなPCR試験に適切な任意の物質であり得る。第1の部材および第2の部材はまた、アルミニウムもしくはステンレス鋼のような任意の他の適切な物質から作製され得る。アルミニウムもしくはステンレス鋼を用いた実施形態は、例えば、0.1mm〜0.2mmの範囲の厚みを有し得る。第1の部材10aおよび第2の部材10bは、例えば、PCR適合性の接着剤、超音波溶接もしくは熱溶接、または、サンプルチャンバアレイ製造の分野で公知の任意の他の様式で、互いに固定され得る。
【0021】
図1〜4に図示するように、第2の部材10bは、第1の部材10aに沿って、レザバ14を規定する隆起した部分14bを備え得る。レザバ14は、代表的には、試験されるべき所定容量の生物学的サンプルを含むのに適切な形状およびサイズである。隆起した部分14bは、図1〜4において、円筒形レザバ14を規定するように、ほぼ円筒形であるように示されるが、隆起した部分14bおよびレザバ14が、任意の他の適切な形状(例えば、正方形もしくは長方形)であり得ることが理解されるはずである。示される実施形態において、第1の部材10aは、第2の部材の隆起した部分14bに対向する領域内において平坦であり、レザバ14の基部を規定する。種々の実施形態において、第1の部材10aがまた、隆起した部分を備え得ること、または、他の実施形態において、第1の部材および第2の部材の両方が、隆起した部分を備え得、その結果、生物学的サンプルが試験されるためのレザバを規定することが理解されるはずである。レザバ14へのアクセスを獲得し、生物学的サンプルのレザバ内への流入のための通路を提供するために、開口もしくは充填ポート14aが、図1〜2に示されるように、第2の部材10bの隆起した部分14b中に備えられ得る。あるいは、開口もしくは充填ポートは、(第1の部材10aにおける)レザバの基部内に提供され得る。
【0022】
第1の部材および第2の部材はまた、レザバ14とサンプルチャンバ12との間の通路もしくは充填チャネル16を規定し、この通路もしくは充填チャネルは、その間の流体連絡を可能にする。図1に示すように、充填チャネル16は、レザバ14とサンプルチャンバ12との間に位置決めされる導管もしくは通路である。充填チャネルは、例えば、円形、正方形もしくは長方形のような、任意の適切な断面形状を有し得る。充填チャネルは、好ましくは、このような流入が望ましい場合に、レザバ14からサンプルチャンバ12へと生物学的サンプルが流入することを可能にするようなサイズである。さらに議論されるように、充填チャネルは、レザバ14とサンプルチャンバ12との間の流体連絡を妨げるために、選択的にブロックされ得る。
【0023】
種々の実施形態において、第1の部材10aおよび第2の部材10bはさらに、それぞれ、窪んでいる部分12aおよび12bを備える。第1の位置(図2aおよび2bに示される)において、第2の部材の窪んでいる部分12bは、第1の部材の窪んでいる部分12bと嵌合し、そして、直接接触している。この第1の位置において、第1の窪んでいる部分および第2の窪んでいる部分は、直接接触し、従って、これらの突出部の間には、液体サンプルのための空間がない。第2の部材の窪んでいる部分12bは、第1の部材の窪んでいる部分12aに関して移動可能であるように構成され、第2の部材の窪んでいる部分が第2の位置にある場合に、その間にサンプルチャンバ12を含む、一定の容量の空間を規定する。この第2の位置において、第1の部材の窪んでいる部分12aは、サンプルチャンバ基部を規定する。このことは、以下により詳細に記載される。
【0024】
図2aは、本教示の実施形態に従う、ロードされていないサンプルチャンバアレイ10を示す。図2aにおいて、レザバ14に導入されている液体サンプルはない。図2aにおいて、第2の部材の窪んでいる部分12bは、第1の位置にあり、ここで、窪んでいる部分12bの内側表面20が、第1の部材の窪んでいる部分12aの内側表面22に対して押し、これと嵌合する。
【0025】
図2bは、レザバ14および充填チャネル16内に含まれる、試験されるべき液体サンプル30を含むサンプルチャンバアレイを示す。液体サンプル30は、任意の公知の方法によってレザバ内に導入され得る。1つの実施形態において、ユーザーは、サンプル30を、例えば、充填ポート14aを通してサンプルをピペッティングすることによって、充填ポート14aを介してサンプル30をレザバ14に導入し得る。別の実施形態において、サンプル30は、微小流体学の分野で公知の能動輸送もしくは受動輸送を介して、レザバ14内に導入され得る。サンプル30は、既に予め混合されているサンプルおよび試薬の両方を含み得るか、または、サンプルチャンバ12は、一旦サンプル30がチャンバ12内に流入すると、サンプル30との反応のための乾燥した試薬でスポッティングされ得る。図2bに示すように、サンプル30は、レザバ14および充填チャネル16を充填する。しかし、サンプル30は、窪んでいる部分12aと12bとの間で流動することを妨げられる。これは、窪んでいる部分の内側表面が、互いに対してしっかりと押されているからである。窪んでいる部分は、窪んでいる部分の特定の形状に起因して、互いに対してしっかりと押されている。図2aおよび2bに示される位置において、窪んでいる部分は、好ましくは、窪んでいる部分の間の液体の通過を妨げるのに十分な力で、互いに係合するように偏向されている。
【0026】
液体サンプルのためにサンプルチャンバを形成することが望ましい場合、ユーザーは、第2の部材の窪んでいる部分12bを、第1の部材の窪んでいる部分12aから離して移動させ、それによって、図2cに示すようなサンプルチャンバ12を作製し得る。特定の実施形態において、図2cに示すように、第2の部材の窪んでいる部分12bは、窪んでいる部分12bの凹部を反転させることによって、第1の部材の窪んでいる部分12aから離して移動させ得、それによって、サンプルチャンバ12を形成する。第2の位置において、図2cに示されるように、部分12bは、形状が出っ張っている。
【0027】
部分12bの反転は、新しく形成されたサンプルチャンバ12とレザバ14との間に内部吸引または圧力低下を生じ、それによって、液体サンプル30を、充填チャネル16を介してレザバ14からサンプルチャンバ12内へと流入させる。第2の部材の窪んでいる部分12bの、第1の部材の窪んでいる部分12aから離れる移動は、種々の方法のいずれかによって達成され得る。1つの実施形態において、サンプルチャンバアレイは、第2の部材の窪んでいる部分12bを第1の部材の窪んでいる部分12aから離して、図2cに示される位置にスナップまたは移動させるのに十分な外部吸引または他の力を、サンプルチャンバアレイ10の窪んでいる部分12bの外側表面24に適用し得る真空チャックまたは他の適切なデバイス上に配置される。1つの実施形態において、真空チャックは、サンプルチャンバアレイのサンプルチャンバに対応する複数の穴を有する実質的に平坦なプレートであり得る。これらの穴は、サンプルチャンバアレイのサンプルチャンバと整列するように構成され得る。これらの穴は、任意の適切なサイズであり得る。1つの実施形態において、穴は、サンプルチャンバの直径とほぼ同じ直径を有する。真空チャックは、任意の適切な物質(例えば、金属)であり得る。真空チャックは、適切な吸引力を生じて、第1の部材の窪んでいる部分12bを、第2の部材の窪んでいる部分12aから離してスナップもしくは移動するために、サンプルチャンバアレイとの接触の際に、穴内を真空に引くように構成され得る。適切な封着構造がまた提供され得る。
【0028】
示される実施形態において、十分な力が窪んでいる部分12bの外側表面24に置かれる場合、窪んでいる部分12bは、第1の別個の位置(図2bに示される)から第2の別個の位置(図2cに示される)に自動的にスナップする。別の実施形態において、部分12bは、熱および/もしくは電流に感受性の物質から作製され、ここで、部分12bへのこのような適用は、反転を生じる。例えば、部分12bは、ニチノール、他のアロイ、もしくは、形状記憶物質の分野で公知のポリマーから作製され得る。
【0029】
第2の部材の窪んでいる部分12bが、図2cに示される位置にスナップする場合、サンプルチャンバ12は、窪んでいる部分12aと窪んでいる部分12bとの間の空間に形成される。図2cに示される位置において、第1の部材10aの窪んでいる部分12aは、サンプルチャンバ基部と呼ばれ得る。図2cに示されるサンプルチャンバ12は、球根状の形状を有する。任意の他の適切な形状がまた、サンプルチャンバに適用可能であることが理解されるはずである。サンプルチャンバは、任意の適切な容量の生物学的サンプルを扱うように設計され得る。
【0030】
カードの充填開口14aと同じ側に(例えば、第2の部材上)、移動可能な部分12bを有するように図示されているが、部分12aおよび12bの凹部は、図2aに図示されるものと反対方向に面し得、その結果、部分12bに適用される真空または他の力が、その代わりに部分12aに適用され得る。
【0031】
一旦サンプルチャンバ12が所望のサンプル30で充填されると、充填チャネル16が、図2dに示されるように、領域26に沿ってステークされ得るか、または他の方法でシールされ得、その結果、サンプル30は、サンプルチャンバ12から漏れない。上記のように、この封着は、チャネル16に沿うサンプルチャンバアレイ10の片側に圧力を適用することによって達成され得、その結果、領域26の空間内の第1の部材10aまたは第2の部材10bのうちの一部分が、図1に図示される部材10a、10bの間に位置する接着部材18に接着する。図2dは、ステーキング作動後の、閉じた充填チャネル16を示す。ステーキングはまた、部材10aおよび10bの1つにおいて、少なくともチャネル16の空間内にフォイルバッキングまたは他の適切な物質を用いることによって達成され得、その結果、針または他の適切なデバイスが、フォイルの一部を変形し、チャネル16に沿ってシールを生じ得る。図2dに示す位置において、サンプルチャンバ12がシールされ、それゆえ、サンプルは、サンプルチャンバから出入りし得ない。
【0032】
図2eに示すように、レザバ14を含むアレイ10の部分を捨てる必要はないが、例えば、これらのセクションをアレイ10から切り取って、その結果、試験されるべき実際のアレイ10−1のサイズが、レザバ14を含むアレイ10よりも小さいことが望ましくあり得る。図2eおよび3は、レザバを含むアレイの部分が、サンプルチャンバアレイから切り取られているサンプルチャンバアレイ10−1を示す。レザバを含むアレイの部分は、任意の適切なカッティング法によって切り取られ得る。切り取られたサンプルチャンバアレイ10−1は、適切なPCR試験デバイスにおいて試験される状態である。
【0033】
上記の説明から明らかであるように、本教示は、生物学的サンプルを処理するための方法を含む。この方法は、少なくとも1つのサンプルチャンバと流体連絡する少なくともレザバを備えるサンプルチャンバアレイを提供する工程、レザバに生物学的サンプルを充填する工程、および、窪んでいる位置から出っ張っている位置にサンプルチャンバを移動する工程を包含する。サンプルチャンバの移動は、圧力低下を生じ、生物学的サンプルをレザバからサンプルチャンバへと移動させる。
【0034】
本教示はさらに、サンプルチャンバアレイを作製する方法を含む。この方法は、少なくとも1つのチャンバ基部を含む第1の部材を提供する工程、少なくとも1つの移動可能な部分を含む第2の部材を提供する工程、第1の部材および第2の部材を位置決めして、チャンバ基部および移動可能な部分を整列する工程、ならびに、第1の部材を第2の部材に固定する工程を包含する。第1の部材を第2の部材に固定することにより、第1の部材と第2の部材との間に少なくとも1つのレザバを形成する。種々の局面において、チャンバ基部および移動可能な部分は窪んでいる。
【0035】
本教示の別の例示的な実施形態に従って、サンプルチャンバアレイは、任意の数の列を提供され得る。図5は、単一の列のサンプルチャンバ112、レザバ114および充填チャネル116を備えるサンプルチャンバアレイ110を示す。レザバ114は、図1〜4に示されるものと同一であり、充填ポート114aを備える。サンプルチャンバアレイ110はまた、接着ストリップ118を備え、一旦チャンバが充填されると、チャンバ112のステーキングまたは封着を補助する。サンプルチャンバ112および充填チャネル116はまた、図1〜4に示すものと同一である。図6a〜6eは、サンプルアレイ110の充填工程および切り取り工程の作動を例示する。この工程は、図2a〜2eに関して上で議論されたものと同一であり、繰り返されない。図7は、図6eの切り取られ、かつ充填されたサンプルアレイ110−1を図示する。
【0036】
本教示の別の例示的な実施形態に従って、サンプルチャンバアレイは、垂直な配向に適切な複数のレザバを提供され得る。図8に示すように、サンプルアレイ210は、充填チャネル216を介して流体連絡する複数のサンプルチャンバ212およびレザバ214を備え得る。サンプルチャンバアレイ210はまた、接着ストリップ218を備え、一旦チャンバが充填されると、チャンバ212のステーキングもしくは封着を補助する。レザバ214は、実質的に垂直な位置にあるサンプルアレイ210を備えるレザバ214の充填を促進するように構成された開口214aを備える。レザバ214は、ほぼ漏斗様形状を有するが、任意の他の適切な形状が使用され得る。アレイ210は、異なるレザバ構成を利用するが、図9a〜9eに図示されるようなチャンバ212の充填は、アレイ10および110のものと同じ様式で達成される。
【0037】
図9a〜9eは、図8のサンプルチャンバアレイのロード、充填、シールおよび切り取りの工程の作動を示す。図9aは、レザバ214内に導入される流体サンプルを含まないサンプルアレイ210を示す。図9bは、流体サンプルで充填されたレザバ214を示す。図9cは、第2の部材210bの窪んでいる部分212bが、その凹部を反転し、その結果、第1の部材の窪んでいる部分212aから間隔が空いた後のサンプルアレイを示す。液体サンプルは、図9cに示すようにサンプルチャンバ230を充填する。図9dは、図2dに議論された方法による充填チャネル216の封着の後の、サンプルアレイ210を示す。図9eおよび10は、切り取られたサンプルアレイ210−1を示す。図9eおよび10に示される切り取られたアレイ210−1は図6eおよび7に示されるアレイ110−1と同一であり得る。
【0038】
本教示の別の例示的な実施形態に従って、サンプルチャンバアレイは、複数の主要チャネルおよび分枝チャネルを備え得る。図11に示されるように、サンプルアレイ310は、複数のサンプルチャンバ312のための単一のレザバ314を有する。レザバ314は、単一の充填開口もしくは充填ポート314aを備えるが、複数の充填開口もまた提供され得る。サンプルレザバ314は、サンプルアレイ310の水平充填のために位置決めされた充填ポート314aを有するように図示されるが、レザバ314はまた、レザバ314の少なくとも上端の一部に沿って開いており、かつ、サンプルアレイ310の垂直充填を可能にする、図8〜10のレザバ214と類似のレザバを有し得る。サンプルアレイ310は、6つの主要充填チャネル316aを備え、各々は、複数のサンプルチャンバ312と一体になっている。主要充填チャネル316aは、分枝チャネル316bを介してサンプルチャンバ312と連絡している。
【0039】
以前の実施形態においてのように、サンプルチャンバ312の各々は、サンプルチャンバ312内に吸引を生じ、従って、チャネル316a、316bを介して流体をサンプルチャンバ内に引く移動可能な部分を備え得る。充填後、次いで、サンプルチャンバ312が、例えば、接着ストリップ18と類似の接着ストリップの使用によって、レザバ314からシールされ得るか、または、サンプルアレイ310は、数ある封着手段または封着方法の中でもとりわけ、上記のステーキングを可能にする変形可能な物質を備え得る。1つの実施形態において、レザバ314は、複数のサンプルチャンバに供給し、少なくとも、その供給するサンプルチャンバ312の数と同じ容量を有する。別の実施形態において、各サンプルチャンバ312に向かって引かれる流体は、チャネル316aおよび316b内に残り、サンプルチャンバ312の窪んでいる部分が、試験に所望される実際の容量よりも多い容量まで拡大する。
【0040】
例えば、ユーザーが、各サンプルチャンバ312に5μLを充填することを望み、ならびに、チャネル316aおよびその対応する分枝チャネル316bのうちの1つの合計容量が3μLを含む場合、チャンバ312の各々が、6μL以上に拡大し得ることが望ましくあり得る。この構成に関して、例えば、図2cを参照して記載されるように、チャンバ312の窪んでいる部分が反転する場合、3つのチャンバが、レザバ314から合計18μLを引くことが可能な吸引を作製する。従って、5μLが、チャンバ312の各々に流れ、3μLが主要チャネル316aおよび分枝チャネル316bに残り得る。サンプルアレイ310は、全てのサンプルチャンバ312と一体になった単一のレザバ314を有するように図示されるが、アレイ310は、所定の数のサンプルチャンバ312と各々一体になった複数のレザバを備え得る。さらに、分枝チャネルが図示されるが、アレイ310は、分枝チャネルを含まない1つ以上の主要供給チャネルを含み得る。この配置において、流体は、各チャンバが充填されるまで、各々次のサンプルチャンバを通って流れ、最後のチャンバに達する。
【0041】
図11のサンプルチャンバを充填する1つの方法において、所定のパターンでサンプルチャンバ312の窪んでいる部分を反転することが望ましくあり得る。例えば、1つの実施形態において、レザバから最も遠いサンプルチャンバをまず反転し、次いで、連続的な様式で、レザバに近付く方向でサンプルチャンバを連続的に反転することが望ましくあり得る。このことは、充填プロセスにより生じる、サンプルチャンバ内の気泡の発生を最小限にすることを補助し得る。図11のサンプルチャンバを充填する別の方法において、サンプルチャンバ312の窪んでいる部分を反転する前に、主要充填チャネル316aを予め充填することが望ましくあり得る。主要充填チャネルは、任意の公知の様式(例えば、真空ローディング、遠心ローディングおよび毛細管作用)において、生物学的サンプルで充填され得る。主要充填チャネルを生物学的サンプルで充填した後、任意の残存する気泡が、主要充填チャネル上の適切な通気孔を通して発散させ得る。次いで、サンプルチャンバの窪んでいる部分が反転され、生物学的サンプルを、主要充填チャネルからサンプルチャンバへと流れさせ得る。この方法はまた、サンプルチャンバにおける気泡の可能性を最小限にすることを補助し得る。
【0042】
本教示のなお別の例示的な実施形態に従って、サンプルチャンバアレイは、各レザバについて複数のサンプルチャンバを提供され得る。図12に示されるように、サンプルチャンバアレイ410は、一対のレザバ414を備える。各レザバは、レザバの充填を可能にするために、充填開口もしくは充填ポート414aを有する。各レザバ414は、同じ数の充填チャネル416を介して複数のサンプルチャンバ412(この場合6つ)に供給する。しかし、より多くもしくはより少ない数のチャンバが、各レザバと一体にされ得ること、そしてまた、単一の供給チャネル416が、レザバ414から離れて延びるように1つより多くのチャンバ412と一体にされ得ることに注意すべきである。図12に示される実施形態において、サンプルチャンバ412は、レザバ414を半径方向に取り囲んで位置決めされる。サンプルチャンバは、レザバに対して任意の構成で位置決めされ得ることが理解されるはずである。
【0043】
本明細書中に記載される実施形態は、サンプルチャンバ、チャネルおよびレザバの数およびサイズの、全ての可能な構成を記載することは意図されない。種々のサイズおよび形状のサンプルアレイが使用され得、これらとしては、本明細書中に開示されるような、充填のためのスナップ作動の詳細が含まれる。種々の改変およびバリエーションが、上記の構造および方法になされ得ることが当業者に明らかである。従って、本教示は、明細書において議論される実施例に限定されないことが理解されるはずである。むしろ、本教示は、改変およびバリエーションを包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本明細書に援用され、本明細書の一部を構成する添付の図面は、いくつかの例示的な実施形態を例示する。
【図1】図1は、例示的な実施形態に従うサンプルチャンバアレイのセクションの部分平面図である。
【図2】図2a〜2eは、図1のサンプルチャンバアレイの切断線II−IIに沿った、一連の断面図であり、サンプルチャンバアレイのロード、充填、シールおよび切り取りの連続動作を示す。
【図3】図3は、図2eのサンプルチャンバアレイの部分平面図である。
【図4】図4は、図1に示すサンプルチャンバ構成を有するPCRテープのロールの斜視図である。
【図5】図5は、別の例示的な実施形態に従う、サンプルチャンバアレイのセクションの部分平面図である。
【図6】図6a〜6eは、図5の切断線VI−VIに沿った、サンプルチャンバアレイの一連の断面図であり、サンプルチャンバアレイのロード、充填、シールおよび切り取りの連続動作を示す。
【図7】図7は、図6eのサンプルチャンバアレイの部分平面図である。
【図8】図8は、別の例示的な実施形態に従う、PCRサンプルチャンバアレイのセクションの部分平面図である。
【図9】図9a〜9eは、図8の切断線IX−IXに沿った、サンプルチャンバアレイの一連の断面図であり、サンプルチャンバアレイのロード、充填、シールおよび切り取りの連続動作を示す。
【図10】図10は、図9eのサンプルチャンバアレイの部分平面図である。
【図11】図11は、複数のチャンバに供給する単一のレザバを有するサンプルチャンバアレイの例示的な実施形態の平面図である。
【図12】図12は、各々が、複数の半径方向に位置決めされたサンプルチャンバに供給する、1対のレザバを有するサンプルチャンバアレイの例示的な実施形態の平面図である。
【技術分野】
【0001】
(分野)
本教示は、一般に、生物学的材料のサンプルのために構成されたサンプルチャンバアレイ、およびサンプルチャンバアレイを用いて生物学的サンプルを処理する方法に関する。本教示は、さらに、種々の局面において、サンプルチャンバを生物学的サンプルで充填させるサンプルチャンバの移動可能な部分を有するサンプルチャンバアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
生物学的試験は、疾患を検出およびモニタリングする際の重要なツールとなってきている。生物学的試験の分野において、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および他の反応を実施することによって核酸を増幅するために、サーマルサイクリングが用いられている。PCRは、例えば、クローニング、遺伝子発現の分析、DNA配列決定および薬物発見のような用途の価値ある研究ツールとなっている。PCRのような方法は、試験サンプルの分析物特異的試薬に対する反応を検出するために使用され得る。代表的には、分析物特異的試薬は、生物学的試験を実施する前に、各サンプルチャンバ内に入れられる。次いで、試験サンプルが、サンプルチャンバに後から挿入され、次いで、サンプルトレイまたはマイクロカードがサーマルサイクルに供される。
【0003】
この分野における最近の発展は、生物学的試験デバイスについての需要の増加を生じた。生物学的試験デバイスは、現在、増加する数の方法において使用されている。サンプルトレイおよびマイクロカードのような、物質を充填し、かつ、サーマルサイクルするための、より効率的でかつ小型の方法および構造を提供することが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
代表的なシステムにおいて、サンプルトレイまたはマイクロカードに試薬がロードされ、次いで、試験サンプルがロードされ、そして、次いで、サーマルサイクリングのための別のデバイスに移されて挿入される。サンプルトレイまたはマイクロカードを充填し、かつサーマルサイクルするためにかかる、時間の量および工程の数を減らすことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要旨)
本教示の種々の局面に従って、サンプルチャンバアレイが提供される。サンプルチャンバアレイは、少なくとも1つのサンプルチャンバと流体連絡する少なくとも1つのレザバ、および、サンプルチャンバを規定する移動可能な部分を備え得る。このレザバは、流体生物学的サンプルで充填可能である、移動可能な部分は、第1の位置から第2の位置まで、サンプルチャンバの残りに関して移動可能であり得る。第1の位置において、移動可能な部分は窪んでおり、かつ、サンプルチャンバは生物学的サンプルを含まない。第2の位置において、移動可能な部分は出っ張っており、かつ、サンプルチャンバは生物学的サンプルを含む。移動可能な部分の第2の位置への移動は、圧力低下を生じ、生物学的サンプルを、少なくとも1つのレザバからサンプルチャンバへと移動させる。
【0006】
さらなる局面において、生物学的サンプルを処理するための方法が提供される。この方法は、少なくとも1つのサンプルチャンバと流体連絡する少なくとも1つのレザバを備えるサンプルチャンバアレイを提供する工程、このレザバを生物学的サンプルで充填する工程、および、窪んでいる位置から出っ張っている位置までサンプルチャンバを移動する工程を包含する。サンプルチャンバの移動は、圧力低下を生じ、生物学的サンプルをレザバからサンプルチャンバへと移動させる。
【0007】
本教示のなおさらなる局面において、サンプルチャンバアレイを作製する方法が提供される。この方法は、少なくとも1つのチャンバ基部を備える第1の部材を提供する工程、少なくとも1つの移動可能な部分を備える第2の部材を提供する工程、第1の部材および第2の部材を位置決めして、チャンバ基部および移動可能な部分を整列する工程、ならびに、第1の部材を第2の部材に固定する工程を包含する。第1の部材を第2の部材に固定することにより、第1の部材と第2の部材との間に少なくとも1つのレザバを形成する。種々の局面において、チャンバ基部および移動可能な部分は窪んでいる。
本発明は、以下を提供する。
(1)サンプルチャンバアレイであって、以下:
少なくとも1つのサンプルチャンバと流体連絡している少なくとも1つのレザバであって、該レザバは、液体生物学的サンプルで充填可能である、レザバ;および
該サンプルチャンバを規定する少なくとも1つの移動可能な部分であって、該移動可能な部分は、第1の位置から第2の位置へと該サンプルチャンバの残りに関して移動可能である、移動可能な部分
を備え、ここで、該第1の位置において、該移動可能な部分が窪んでいて、かつ、該サンプルチャンバが、生物学的サンプルを含まず、そして、該第2の位置において、該移動可能な部分は、出っ張っていて、かつ該サンプルチャンバが生物学的サンプルを含み、
ここで、該移動可能な部分の該第2の位置への移動が、圧力低下を生じ、該生物学的サンプルを該レザバから該サンプルチャンバへと移動させる、サンプルチャンバアレイ。
(2)前記レザバと前記サンプルチャンバとの間の前記流体連絡のための充填チャネルをさらに備える、項目1に記載のサンプルチャンバアレイ。
(3)前記移動可能な部分が、前記サンプルチャンバの外側表面に所定の力が適用される際に、前記第2の位置へと移動するように構成される、項目1に記載のサンプルチャンバアレイ。
(4)前記所定の力が、外部吸引を含む、項目3に記載のサンプルチャンバアレイ。
(5)前記移動可能な部分が、熱の適用の際に、前記第2の位置へと移動するように構成される、項目1に記載のサンプルチャンバアレイ。
(6)前記移動可能な部分が、電流の適用の際に、前記第2の位置へと移動するように構成される、項目1に記載のサンプルチャンバアレイ。
(7)前記充填チャネルの閉鎖を可能にする接着要素をさらに備える、項目2に記載のサンプルチャンバアレイ。
(8)前記充填チャネルが、前記レザバと前記サンプルチャンバとの間の流体連絡を封鎖するために変形されるように構成された、変形可能な物質を含む、項目2に記載のサンプルチャンバアレイ。
(9)前記少なくとも1つのレザバが、作動可能に複数のサンプルチャンバと連絡する、項目1に記載のサンプルチャンバアレイ。
(10)前記複数のサンプルチャンバが、前記少なくとも1つのレザバから半径方向に延びる、項目9に記載のサンプルチャンバアレイ。
(11)前記充填チャネルと前記複数のサンプルチャンバとの間の流体連絡において複数の分枝チャネルをさらに備える、項目2に記載のサンプルチャンバアレイ。
(12)前記レザバが、前記生物学的サンプルで該レザバを充填するための充填開口をさらに備える、項目1に記載のサンプルチャンバアレイ。
(13)前記充填開口が、前記レザバの隆起した部分に配置され、かつ、該レザバを充填するためにピペットの挿入を可能にするように構成された穴を備える、項目12に記載のサンプルチャンバアレイ。
(14)前記充填開口が、前記レザバの周囲に実質的に配置された開口端部分を備える、項目12に記載のサンプルチャンバアレイ。
(15)前記レザバおよび前記サンプルチャンバが各々、可撓性物質を含み、ここで、前記アレイが、巻くことが可能な(rollable)テープ中に構成されている、項目1に記載のサンプルチャンバアレイ。
(16)前記サンプルチャンバアレイが、ポリプロピレンおよびポリエチレンのうちの少なくとも1つを含む、項目1に記載のサンプルチャンバアレイ。
(17)前記サンプルアレイが、PCRのために構成されている、項目1に記載のサンプルチャンバアレイ。
(18)生物学的サンプルを処理するための方法であって、以下:
少なくとも1つのサンプルチャンバと流体連絡する少なくとも1つのレザバを備えるサンプルチャンバアレイを提供する工程;
該レザバを該生物学的サンプルで充填する工程;および
該サンプルチャンバを窪んでいる位置から出っ張っている位置へと移動する工程
を包含し、ここで、該移動する工程が、圧力低下を生じ、該生物学的サンプルを該レザバから該サンプルチャンバへと移動させる、方法。
(19)前記サンプルチャンバアレイをサーマルサイクルさせる工程をさらに包含する、項目18に記載の方法。
(20)前記サンプルチャンバと前記レザバとの間の流体連絡を封鎖するために充填チャネルを閉鎖する工程をさらに包含する、項目18に記載の方法。
(21)前記サンプルチャンバアレイの一部を切断することによって、前記サンプルチャンバから前記レザバを取り外す工程をさらに包含する、項目20に記載の方法。
(22)サンプルチャンバアレイを作製する方法であって、以下:
少なくとも1つのチャンバ基部を含む第1の部材を提供する工程;
少なくとも1つの移動可能な部分を含む第2の部材を提供する工程;
該第1の部材および該第2の部材を位置決めして、該チャンバ基部と該移動可能な部分を整列させる工程;ならびに
該第1の部材を該第2の部材に固定する工程
を包含し、ここで、該固定する工程が、該第1の部材と該第2の部材との間に少なくとも1つのレザバを形成し、そして、ここで、該チャンバ基部および該移動可能な部分が窪んでいる、方法。
(23)前記固定する工程が、接着剤を適用する工程、超音波溶接する工程および熱溶接する工程のうちの少なくとも1つを包含する、項目22に記載の方法。
【0008】
上記の一般的な説明および以下の種々の実施形態の説明の両方が、例示的かつ説明的であり、限定的ではないことが理解されるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(種々の実施形態の説明)
ここで、種々の例示的な実施形態に対して参照がなされ、これらの例は、添付の図面に例示される。可能な限り、同じ参照番号が、図面および明細書において、同じ部品または類似の部品を参照するために用いられる。
【0010】
種々の実施形態に従って、複数のサンプルチャンバを有するサンプルチャンバアレイが提供される。1つの局面において、サンプルアレイは、複数のサンプルチャンバを備え、各々が、充填チャネルを介してレザバと流体連絡している。
【0011】
図1に示される実施形態のような、種々の実施形態において、複数のサンプルチャンバを有するサンプルチャンバアレイ10が開示される。種々の実施形態において、サンプルチャンバアレイ10は、テープの形態である。他の種々の実施形態において、サンプルチャンバアレイは、堅固もしくは可撓性のサンプルトレイもしくはマイクロカードであり得る。サンプルチャンバアレイは、任意の他の型の適切な媒体上に置かれ得ることが理解されるはずである。
【0012】
サンプルチャンバアレイ10は、サーマルサイクリングデバイス中で生物学的材料のサンプルをサーマルサイクルさせるために構成され得る。サーマルサイクリングデバイスは、生物学的材料のサンプルについて、核酸増幅を実施するために構成され得る。生物学的サンプルの核酸増幅を実施する1つの一般的な方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。種々のPCR法が当該分野で公知であり、例えば、Woudenbergらに対する米国特許第5,928,907号および同第6,015,674号(これらの完全な開示は、あらゆる目的のために、本明細書により参考として援用される)に記載される。核酸増幅のための他の方法としては、例えば、リガーゼ連鎖反応、オリゴヌクレオチド連結アッセイおよびハイブリダイゼーションアッセイが挙げられる。これらの方法および他の方法は、米国特許第5,928,907号および同第6,015,674号により詳細に記載される。
【0013】
種々の実施形態において、サンプルチャンバアレイが、サーマルサイクリングデバイスにおいて使用され得、これらのデバイスにおいて、サーマルサイクリングの間に、サンプルチャンバアレイ中のサンプルの核酸増幅のリアルタイム検出を実施する。リアルタイム検出システムは当該分野で公知であり、例えば、Woudenbergらに対する米国特許第5,928,907号および同第6,015,674号(上で、本明細書中に援用される)にまた、より詳細に記載される。リアルタイム検出の間、当該分野で公知の様式で、サーマルサイクリングの間にサンプルの種々の特徴が検出される。リアルタイム検出は、核酸増幅プロセスの間に、サンプルのより正確で、効率的な検出およびモニタリングを可能にする。あるいは、サーマルサイクリングデバイスにおいてサンプルチャンバアレイが使用され得、このデバイスは、サンプルの核酸増幅の終点検出を実施する。いくつかの型の検出装置が、Bedinghamらに対するWO 02/00347A2に示されており、この完全な開示は、あらゆる目的のために、本明細書により参考として援用される。
【0014】
サンプルチャンバアレイは、サンプルチャンバテープセクションのサンプルチャンバ中の生物学的材料をサーマルサイクルさせるためにサンプルブロックを接触するように構成され得る。サンプルブロックは、ユーザーが規定したプロフィールに従ってサンプルブロックの温度を上下するようにプログラムされた温度制御ユニットに作動可能に接続され得る。例えば、種々の実施形態において、ユーザーは、所望のPCRプロトコールの時間および温度パラメータを規定するデータをコントロールコンピュータに提供し得、このコンピュータは、温度制御ユニットの中央処理装置(CPU)に、サンプルブロックのサーマルサイクリングを制御させる。マイクロカードまたは他のサンプル保持部材の温度を上下するための適切な温度制御ユニットのいくつかの非限定的な例は、Mullisらに対する米国特許第5,656,493号、およびにAtwoodらに対す得る米国特許第5,475,610号に記載され、これら両方の開示は、あらゆる目的のために、本明細書により参考として援用される。
【0015】
1つの実施形態において、サンプルチャンバアレイは、サンプルチャンバアレイ上の少なくとも1つの充填チャンバもしくはレザバ、複数のサンプルチャンバ、および複数の充填導管もしくはチャネルを備える。本教示に従うサンプルチャンバアレイの1つの実施形態を図1〜4に示す。本明細書中で実施され、図1〜4に示されるように、サンプルチャンバアレイは、一般に、参照番号10により指定されるテープ、マイクロカード、またはサンプルトレイの形状であり得る。サンプルチャンバアレイ10の基本的な構造および作動は、各々の形式について同一である:テープ、マイクロカードまたはサンプルトレイ。図1〜4に示すように、サンプルチャンバアレイ10は、複数のサンプルチャンバ12を有し、各々は、充填チャネル16を介してレザバ14に連結されている。
【0016】
種々の実施形態において、レザバ14の各々は、ユーザーが、試験されるべきサンプルを、例えば、ピペッティングによって、レザバ14に導入することを可能にするように構成されている開口14aを備える。レザバ14は、その対応するサンプルチャンバ12の充填を可能にするのに十分な容量の流体を含むように構成される。サンプルチャンバ12は、拡張位置にある場合、任意の適切な容量であり得る。1つの例において、容量は、0.1μLと1,000μLとの間であり、別の例において、1μLと100μLとの間であり、別の例においては、約5μLである。本教示に従うサンプルチャンバは、生物学的試験に適切な任意のサイズであり得ることが理解されるはずである。いくつかの実施形態において、レザバ14内に含まれる全ての流体が、チャンバ12に移されることは可能ではなく、従って、レザバ14は、適切な充填を保証するために、チャンバ12の容量よりも大きい容量を有し得る。
【0017】
種々の実施形態において、サンプルチャンバアレイ10は、サンプルチャンバ12が充填された後に、充填チャネル16をシールすることを可能にするように構成された、接着物質18のセクションを備え得る。サンプルチャンバの充填、ならびに、チャネル16のシールは、図2a〜2eを参照してさらに記載される。サンプルチャンバアレイ10は、さらに、例えば、接着ラベルを受容するように構成された複数の領域28、または、サンプルチャンバの中身または任意の他の所望の情報を同定するための他の同定マーキングもしくはインジケータを備え得る。
【0018】
図4は、PCRサンプルチャンバテープ5のロールを図示し、ここから、サンプルチャンバアレイ10のようなサンプルチャンバアレイが切り出され得るか、または、他の方法で得られ得る。ロール5を使用することによって、ユーザーは、サンプルチャンバアレイ内に含まれる固定数のサンプルチャンバにより束縛されることなく、任意の特定の試験に必要とされるサンプルチャンバの数を分離することができる。サンプルチャンバアレイ10は、ロール5のセクションとして図示されるが、固定数のサンプルチャンバ12を有するアレイとしても製造され得る。前以て製造された型のサンプルアレイは、ユーザーにより所望される任意の数のレザバ14およびチャンバ12を有し得る。サンプルチャンバアレイ10は、図4に示される可撓性テープ5の代わりに、堅固または可撓性のマイクロカードもしくはサンプルトレイ上に置かれ得ることが理解されるべきである。
【0019】
図1は、2列のチャンバ、レザバおよび充填チャネルを有するサンプルチャンバアレイ10を図示する。図2a〜2eは、ほぼ図1の線II−IIに沿う、サンプルチャンバアレイ10の断面を図示し、これは、サンプルアレイ10の長さに対して垂直であり、チャンバ12、レザバ14およびチャネル16の隣接する対を通過する。図2a〜2eは、2列のチャンバ、レザバおよびチャネルを図示する。代替的な実施形態が、図5〜12に示されるが、一般には、少なくとも、以下に記載される移動可能な部分12bの移動によるスナップ作動充填に関しては、図1〜4の実施形態と同様の様式で作動する。単純にするために、以下の説明は、単一の列(図2a〜2eの上列)に焦点を当てるが、サンプルチャンバアレイ10の下列に対してもまた、これらの説明が適用されることが理解されるはずである。
【0020】
図2a〜2eに示すように、本教示に従うサンプルチャンバアレイ10は、第2の部材10bに固定された第1の部材10aを備え得る。第1の部材10aおよび第2の部材10bは、例えば、ポリプロピレンもしくはポリエチレンのようなPCR試験に適切な任意の物質であり得る。第1の部材および第2の部材はまた、アルミニウムもしくはステンレス鋼のような任意の他の適切な物質から作製され得る。アルミニウムもしくはステンレス鋼を用いた実施形態は、例えば、0.1mm〜0.2mmの範囲の厚みを有し得る。第1の部材10aおよび第2の部材10bは、例えば、PCR適合性の接着剤、超音波溶接もしくは熱溶接、または、サンプルチャンバアレイ製造の分野で公知の任意の他の様式で、互いに固定され得る。
【0021】
図1〜4に図示するように、第2の部材10bは、第1の部材10aに沿って、レザバ14を規定する隆起した部分14bを備え得る。レザバ14は、代表的には、試験されるべき所定容量の生物学的サンプルを含むのに適切な形状およびサイズである。隆起した部分14bは、図1〜4において、円筒形レザバ14を規定するように、ほぼ円筒形であるように示されるが、隆起した部分14bおよびレザバ14が、任意の他の適切な形状(例えば、正方形もしくは長方形)であり得ることが理解されるはずである。示される実施形態において、第1の部材10aは、第2の部材の隆起した部分14bに対向する領域内において平坦であり、レザバ14の基部を規定する。種々の実施形態において、第1の部材10aがまた、隆起した部分を備え得ること、または、他の実施形態において、第1の部材および第2の部材の両方が、隆起した部分を備え得、その結果、生物学的サンプルが試験されるためのレザバを規定することが理解されるはずである。レザバ14へのアクセスを獲得し、生物学的サンプルのレザバ内への流入のための通路を提供するために、開口もしくは充填ポート14aが、図1〜2に示されるように、第2の部材10bの隆起した部分14b中に備えられ得る。あるいは、開口もしくは充填ポートは、(第1の部材10aにおける)レザバの基部内に提供され得る。
【0022】
第1の部材および第2の部材はまた、レザバ14とサンプルチャンバ12との間の通路もしくは充填チャネル16を規定し、この通路もしくは充填チャネルは、その間の流体連絡を可能にする。図1に示すように、充填チャネル16は、レザバ14とサンプルチャンバ12との間に位置決めされる導管もしくは通路である。充填チャネルは、例えば、円形、正方形もしくは長方形のような、任意の適切な断面形状を有し得る。充填チャネルは、好ましくは、このような流入が望ましい場合に、レザバ14からサンプルチャンバ12へと生物学的サンプルが流入することを可能にするようなサイズである。さらに議論されるように、充填チャネルは、レザバ14とサンプルチャンバ12との間の流体連絡を妨げるために、選択的にブロックされ得る。
【0023】
種々の実施形態において、第1の部材10aおよび第2の部材10bはさらに、それぞれ、窪んでいる部分12aおよび12bを備える。第1の位置(図2aおよび2bに示される)において、第2の部材の窪んでいる部分12bは、第1の部材の窪んでいる部分12bと嵌合し、そして、直接接触している。この第1の位置において、第1の窪んでいる部分および第2の窪んでいる部分は、直接接触し、従って、これらの突出部の間には、液体サンプルのための空間がない。第2の部材の窪んでいる部分12bは、第1の部材の窪んでいる部分12aに関して移動可能であるように構成され、第2の部材の窪んでいる部分が第2の位置にある場合に、その間にサンプルチャンバ12を含む、一定の容量の空間を規定する。この第2の位置において、第1の部材の窪んでいる部分12aは、サンプルチャンバ基部を規定する。このことは、以下により詳細に記載される。
【0024】
図2aは、本教示の実施形態に従う、ロードされていないサンプルチャンバアレイ10を示す。図2aにおいて、レザバ14に導入されている液体サンプルはない。図2aにおいて、第2の部材の窪んでいる部分12bは、第1の位置にあり、ここで、窪んでいる部分12bの内側表面20が、第1の部材の窪んでいる部分12aの内側表面22に対して押し、これと嵌合する。
【0025】
図2bは、レザバ14および充填チャネル16内に含まれる、試験されるべき液体サンプル30を含むサンプルチャンバアレイを示す。液体サンプル30は、任意の公知の方法によってレザバ内に導入され得る。1つの実施形態において、ユーザーは、サンプル30を、例えば、充填ポート14aを通してサンプルをピペッティングすることによって、充填ポート14aを介してサンプル30をレザバ14に導入し得る。別の実施形態において、サンプル30は、微小流体学の分野で公知の能動輸送もしくは受動輸送を介して、レザバ14内に導入され得る。サンプル30は、既に予め混合されているサンプルおよび試薬の両方を含み得るか、または、サンプルチャンバ12は、一旦サンプル30がチャンバ12内に流入すると、サンプル30との反応のための乾燥した試薬でスポッティングされ得る。図2bに示すように、サンプル30は、レザバ14および充填チャネル16を充填する。しかし、サンプル30は、窪んでいる部分12aと12bとの間で流動することを妨げられる。これは、窪んでいる部分の内側表面が、互いに対してしっかりと押されているからである。窪んでいる部分は、窪んでいる部分の特定の形状に起因して、互いに対してしっかりと押されている。図2aおよび2bに示される位置において、窪んでいる部分は、好ましくは、窪んでいる部分の間の液体の通過を妨げるのに十分な力で、互いに係合するように偏向されている。
【0026】
液体サンプルのためにサンプルチャンバを形成することが望ましい場合、ユーザーは、第2の部材の窪んでいる部分12bを、第1の部材の窪んでいる部分12aから離して移動させ、それによって、図2cに示すようなサンプルチャンバ12を作製し得る。特定の実施形態において、図2cに示すように、第2の部材の窪んでいる部分12bは、窪んでいる部分12bの凹部を反転させることによって、第1の部材の窪んでいる部分12aから離して移動させ得、それによって、サンプルチャンバ12を形成する。第2の位置において、図2cに示されるように、部分12bは、形状が出っ張っている。
【0027】
部分12bの反転は、新しく形成されたサンプルチャンバ12とレザバ14との間に内部吸引または圧力低下を生じ、それによって、液体サンプル30を、充填チャネル16を介してレザバ14からサンプルチャンバ12内へと流入させる。第2の部材の窪んでいる部分12bの、第1の部材の窪んでいる部分12aから離れる移動は、種々の方法のいずれかによって達成され得る。1つの実施形態において、サンプルチャンバアレイは、第2の部材の窪んでいる部分12bを第1の部材の窪んでいる部分12aから離して、図2cに示される位置にスナップまたは移動させるのに十分な外部吸引または他の力を、サンプルチャンバアレイ10の窪んでいる部分12bの外側表面24に適用し得る真空チャックまたは他の適切なデバイス上に配置される。1つの実施形態において、真空チャックは、サンプルチャンバアレイのサンプルチャンバに対応する複数の穴を有する実質的に平坦なプレートであり得る。これらの穴は、サンプルチャンバアレイのサンプルチャンバと整列するように構成され得る。これらの穴は、任意の適切なサイズであり得る。1つの実施形態において、穴は、サンプルチャンバの直径とほぼ同じ直径を有する。真空チャックは、任意の適切な物質(例えば、金属)であり得る。真空チャックは、適切な吸引力を生じて、第1の部材の窪んでいる部分12bを、第2の部材の窪んでいる部分12aから離してスナップもしくは移動するために、サンプルチャンバアレイとの接触の際に、穴内を真空に引くように構成され得る。適切な封着構造がまた提供され得る。
【0028】
示される実施形態において、十分な力が窪んでいる部分12bの外側表面24に置かれる場合、窪んでいる部分12bは、第1の別個の位置(図2bに示される)から第2の別個の位置(図2cに示される)に自動的にスナップする。別の実施形態において、部分12bは、熱および/もしくは電流に感受性の物質から作製され、ここで、部分12bへのこのような適用は、反転を生じる。例えば、部分12bは、ニチノール、他のアロイ、もしくは、形状記憶物質の分野で公知のポリマーから作製され得る。
【0029】
第2の部材の窪んでいる部分12bが、図2cに示される位置にスナップする場合、サンプルチャンバ12は、窪んでいる部分12aと窪んでいる部分12bとの間の空間に形成される。図2cに示される位置において、第1の部材10aの窪んでいる部分12aは、サンプルチャンバ基部と呼ばれ得る。図2cに示されるサンプルチャンバ12は、球根状の形状を有する。任意の他の適切な形状がまた、サンプルチャンバに適用可能であることが理解されるはずである。サンプルチャンバは、任意の適切な容量の生物学的サンプルを扱うように設計され得る。
【0030】
カードの充填開口14aと同じ側に(例えば、第2の部材上)、移動可能な部分12bを有するように図示されているが、部分12aおよび12bの凹部は、図2aに図示されるものと反対方向に面し得、その結果、部分12bに適用される真空または他の力が、その代わりに部分12aに適用され得る。
【0031】
一旦サンプルチャンバ12が所望のサンプル30で充填されると、充填チャネル16が、図2dに示されるように、領域26に沿ってステークされ得るか、または他の方法でシールされ得、その結果、サンプル30は、サンプルチャンバ12から漏れない。上記のように、この封着は、チャネル16に沿うサンプルチャンバアレイ10の片側に圧力を適用することによって達成され得、その結果、領域26の空間内の第1の部材10aまたは第2の部材10bのうちの一部分が、図1に図示される部材10a、10bの間に位置する接着部材18に接着する。図2dは、ステーキング作動後の、閉じた充填チャネル16を示す。ステーキングはまた、部材10aおよび10bの1つにおいて、少なくともチャネル16の空間内にフォイルバッキングまたは他の適切な物質を用いることによって達成され得、その結果、針または他の適切なデバイスが、フォイルの一部を変形し、チャネル16に沿ってシールを生じ得る。図2dに示す位置において、サンプルチャンバ12がシールされ、それゆえ、サンプルは、サンプルチャンバから出入りし得ない。
【0032】
図2eに示すように、レザバ14を含むアレイ10の部分を捨てる必要はないが、例えば、これらのセクションをアレイ10から切り取って、その結果、試験されるべき実際のアレイ10−1のサイズが、レザバ14を含むアレイ10よりも小さいことが望ましくあり得る。図2eおよび3は、レザバを含むアレイの部分が、サンプルチャンバアレイから切り取られているサンプルチャンバアレイ10−1を示す。レザバを含むアレイの部分は、任意の適切なカッティング法によって切り取られ得る。切り取られたサンプルチャンバアレイ10−1は、適切なPCR試験デバイスにおいて試験される状態である。
【0033】
上記の説明から明らかであるように、本教示は、生物学的サンプルを処理するための方法を含む。この方法は、少なくとも1つのサンプルチャンバと流体連絡する少なくともレザバを備えるサンプルチャンバアレイを提供する工程、レザバに生物学的サンプルを充填する工程、および、窪んでいる位置から出っ張っている位置にサンプルチャンバを移動する工程を包含する。サンプルチャンバの移動は、圧力低下を生じ、生物学的サンプルをレザバからサンプルチャンバへと移動させる。
【0034】
本教示はさらに、サンプルチャンバアレイを作製する方法を含む。この方法は、少なくとも1つのチャンバ基部を含む第1の部材を提供する工程、少なくとも1つの移動可能な部分を含む第2の部材を提供する工程、第1の部材および第2の部材を位置決めして、チャンバ基部および移動可能な部分を整列する工程、ならびに、第1の部材を第2の部材に固定する工程を包含する。第1の部材を第2の部材に固定することにより、第1の部材と第2の部材との間に少なくとも1つのレザバを形成する。種々の局面において、チャンバ基部および移動可能な部分は窪んでいる。
【0035】
本教示の別の例示的な実施形態に従って、サンプルチャンバアレイは、任意の数の列を提供され得る。図5は、単一の列のサンプルチャンバ112、レザバ114および充填チャネル116を備えるサンプルチャンバアレイ110を示す。レザバ114は、図1〜4に示されるものと同一であり、充填ポート114aを備える。サンプルチャンバアレイ110はまた、接着ストリップ118を備え、一旦チャンバが充填されると、チャンバ112のステーキングまたは封着を補助する。サンプルチャンバ112および充填チャネル116はまた、図1〜4に示すものと同一である。図6a〜6eは、サンプルアレイ110の充填工程および切り取り工程の作動を例示する。この工程は、図2a〜2eに関して上で議論されたものと同一であり、繰り返されない。図7は、図6eの切り取られ、かつ充填されたサンプルアレイ110−1を図示する。
【0036】
本教示の別の例示的な実施形態に従って、サンプルチャンバアレイは、垂直な配向に適切な複数のレザバを提供され得る。図8に示すように、サンプルアレイ210は、充填チャネル216を介して流体連絡する複数のサンプルチャンバ212およびレザバ214を備え得る。サンプルチャンバアレイ210はまた、接着ストリップ218を備え、一旦チャンバが充填されると、チャンバ212のステーキングもしくは封着を補助する。レザバ214は、実質的に垂直な位置にあるサンプルアレイ210を備えるレザバ214の充填を促進するように構成された開口214aを備える。レザバ214は、ほぼ漏斗様形状を有するが、任意の他の適切な形状が使用され得る。アレイ210は、異なるレザバ構成を利用するが、図9a〜9eに図示されるようなチャンバ212の充填は、アレイ10および110のものと同じ様式で達成される。
【0037】
図9a〜9eは、図8のサンプルチャンバアレイのロード、充填、シールおよび切り取りの工程の作動を示す。図9aは、レザバ214内に導入される流体サンプルを含まないサンプルアレイ210を示す。図9bは、流体サンプルで充填されたレザバ214を示す。図9cは、第2の部材210bの窪んでいる部分212bが、その凹部を反転し、その結果、第1の部材の窪んでいる部分212aから間隔が空いた後のサンプルアレイを示す。液体サンプルは、図9cに示すようにサンプルチャンバ230を充填する。図9dは、図2dに議論された方法による充填チャネル216の封着の後の、サンプルアレイ210を示す。図9eおよび10は、切り取られたサンプルアレイ210−1を示す。図9eおよび10に示される切り取られたアレイ210−1は図6eおよび7に示されるアレイ110−1と同一であり得る。
【0038】
本教示の別の例示的な実施形態に従って、サンプルチャンバアレイは、複数の主要チャネルおよび分枝チャネルを備え得る。図11に示されるように、サンプルアレイ310は、複数のサンプルチャンバ312のための単一のレザバ314を有する。レザバ314は、単一の充填開口もしくは充填ポート314aを備えるが、複数の充填開口もまた提供され得る。サンプルレザバ314は、サンプルアレイ310の水平充填のために位置決めされた充填ポート314aを有するように図示されるが、レザバ314はまた、レザバ314の少なくとも上端の一部に沿って開いており、かつ、サンプルアレイ310の垂直充填を可能にする、図8〜10のレザバ214と類似のレザバを有し得る。サンプルアレイ310は、6つの主要充填チャネル316aを備え、各々は、複数のサンプルチャンバ312と一体になっている。主要充填チャネル316aは、分枝チャネル316bを介してサンプルチャンバ312と連絡している。
【0039】
以前の実施形態においてのように、サンプルチャンバ312の各々は、サンプルチャンバ312内に吸引を生じ、従って、チャネル316a、316bを介して流体をサンプルチャンバ内に引く移動可能な部分を備え得る。充填後、次いで、サンプルチャンバ312が、例えば、接着ストリップ18と類似の接着ストリップの使用によって、レザバ314からシールされ得るか、または、サンプルアレイ310は、数ある封着手段または封着方法の中でもとりわけ、上記のステーキングを可能にする変形可能な物質を備え得る。1つの実施形態において、レザバ314は、複数のサンプルチャンバに供給し、少なくとも、その供給するサンプルチャンバ312の数と同じ容量を有する。別の実施形態において、各サンプルチャンバ312に向かって引かれる流体は、チャネル316aおよび316b内に残り、サンプルチャンバ312の窪んでいる部分が、試験に所望される実際の容量よりも多い容量まで拡大する。
【0040】
例えば、ユーザーが、各サンプルチャンバ312に5μLを充填することを望み、ならびに、チャネル316aおよびその対応する分枝チャネル316bのうちの1つの合計容量が3μLを含む場合、チャンバ312の各々が、6μL以上に拡大し得ることが望ましくあり得る。この構成に関して、例えば、図2cを参照して記載されるように、チャンバ312の窪んでいる部分が反転する場合、3つのチャンバが、レザバ314から合計18μLを引くことが可能な吸引を作製する。従って、5μLが、チャンバ312の各々に流れ、3μLが主要チャネル316aおよび分枝チャネル316bに残り得る。サンプルアレイ310は、全てのサンプルチャンバ312と一体になった単一のレザバ314を有するように図示されるが、アレイ310は、所定の数のサンプルチャンバ312と各々一体になった複数のレザバを備え得る。さらに、分枝チャネルが図示されるが、アレイ310は、分枝チャネルを含まない1つ以上の主要供給チャネルを含み得る。この配置において、流体は、各チャンバが充填されるまで、各々次のサンプルチャンバを通って流れ、最後のチャンバに達する。
【0041】
図11のサンプルチャンバを充填する1つの方法において、所定のパターンでサンプルチャンバ312の窪んでいる部分を反転することが望ましくあり得る。例えば、1つの実施形態において、レザバから最も遠いサンプルチャンバをまず反転し、次いで、連続的な様式で、レザバに近付く方向でサンプルチャンバを連続的に反転することが望ましくあり得る。このことは、充填プロセスにより生じる、サンプルチャンバ内の気泡の発生を最小限にすることを補助し得る。図11のサンプルチャンバを充填する別の方法において、サンプルチャンバ312の窪んでいる部分を反転する前に、主要充填チャネル316aを予め充填することが望ましくあり得る。主要充填チャネルは、任意の公知の様式(例えば、真空ローディング、遠心ローディングおよび毛細管作用)において、生物学的サンプルで充填され得る。主要充填チャネルを生物学的サンプルで充填した後、任意の残存する気泡が、主要充填チャネル上の適切な通気孔を通して発散させ得る。次いで、サンプルチャンバの窪んでいる部分が反転され、生物学的サンプルを、主要充填チャネルからサンプルチャンバへと流れさせ得る。この方法はまた、サンプルチャンバにおける気泡の可能性を最小限にすることを補助し得る。
【0042】
本教示のなお別の例示的な実施形態に従って、サンプルチャンバアレイは、各レザバについて複数のサンプルチャンバを提供され得る。図12に示されるように、サンプルチャンバアレイ410は、一対のレザバ414を備える。各レザバは、レザバの充填を可能にするために、充填開口もしくは充填ポート414aを有する。各レザバ414は、同じ数の充填チャネル416を介して複数のサンプルチャンバ412(この場合6つ)に供給する。しかし、より多くもしくはより少ない数のチャンバが、各レザバと一体にされ得ること、そしてまた、単一の供給チャネル416が、レザバ414から離れて延びるように1つより多くのチャンバ412と一体にされ得ることに注意すべきである。図12に示される実施形態において、サンプルチャンバ412は、レザバ414を半径方向に取り囲んで位置決めされる。サンプルチャンバは、レザバに対して任意の構成で位置決めされ得ることが理解されるはずである。
【0043】
本明細書中に記載される実施形態は、サンプルチャンバ、チャネルおよびレザバの数およびサイズの、全ての可能な構成を記載することは意図されない。種々のサイズおよび形状のサンプルアレイが使用され得、これらとしては、本明細書中に開示されるような、充填のためのスナップ作動の詳細が含まれる。種々の改変およびバリエーションが、上記の構造および方法になされ得ることが当業者に明らかである。従って、本教示は、明細書において議論される実施例に限定されないことが理解されるはずである。むしろ、本教示は、改変およびバリエーションを包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本明細書に援用され、本明細書の一部を構成する添付の図面は、いくつかの例示的な実施形態を例示する。
【図1】図1は、例示的な実施形態に従うサンプルチャンバアレイのセクションの部分平面図である。
【図2】図2a〜2eは、図1のサンプルチャンバアレイの切断線II−IIに沿った、一連の断面図であり、サンプルチャンバアレイのロード、充填、シールおよび切り取りの連続動作を示す。
【図3】図3は、図2eのサンプルチャンバアレイの部分平面図である。
【図4】図4は、図1に示すサンプルチャンバ構成を有するPCRテープのロールの斜視図である。
【図5】図5は、別の例示的な実施形態に従う、サンプルチャンバアレイのセクションの部分平面図である。
【図6】図6a〜6eは、図5の切断線VI−VIに沿った、サンプルチャンバアレイの一連の断面図であり、サンプルチャンバアレイのロード、充填、シールおよび切り取りの連続動作を示す。
【図7】図7は、図6eのサンプルチャンバアレイの部分平面図である。
【図8】図8は、別の例示的な実施形態に従う、PCRサンプルチャンバアレイのセクションの部分平面図である。
【図9】図9a〜9eは、図8の切断線IX−IXに沿った、サンプルチャンバアレイの一連の断面図であり、サンプルチャンバアレイのロード、充填、シールおよび切り取りの連続動作を示す。
【図10】図10は、図9eのサンプルチャンバアレイの部分平面図である。
【図11】図11は、複数のチャンバに供給する単一のレザバを有するサンプルチャンバアレイの例示的な実施形態の平面図である。
【図12】図12は、各々が、複数の半径方向に位置決めされたサンプルチャンバに供給する、1対のレザバを有するサンプルチャンバアレイの例示的な実施形態の平面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材および第2の部材を備える生物学的サンプルを処理するためのデバイスであって:
該第1の部材は、生物学的サンプルおよび複数のサンプルチャンバで充填可能である少なくとも1つのリザーバを規定する第2の部材に固定され、ここで、がお複数のサンプルチャンバは、該少なくとも1つのリザーバと該複数のサンプルチャンバとの間の流体連絡を可能にし;
該第2の部材は、複数のサンプルチャンバの各々のサンプルチャンバに対して移動可能な部分を有し、ここで該移動可能な部分は、第1の位置から第2の一に移動可能であり、該移動可能な部分の第二位置への移動は、圧力の低下を引き起こし、該生物学的サンプルを該リザーバから該複数のサンプルチャンバへと移動させるものである、
デバイス。
【請求項2】
明細書に記載の方法。
【請求項1】
第1の部材および第2の部材を備える生物学的サンプルを処理するためのデバイスであって:
該第1の部材は、生物学的サンプルおよび複数のサンプルチャンバで充填可能である少なくとも1つのリザーバを規定する第2の部材に固定され、ここで、がお複数のサンプルチャンバは、該少なくとも1つのリザーバと該複数のサンプルチャンバとの間の流体連絡を可能にし;
該第2の部材は、複数のサンプルチャンバの各々のサンプルチャンバに対して移動可能な部分を有し、ここで該移動可能な部分は、第1の位置から第2の一に移動可能であり、該移動可能な部分の第二位置への移動は、圧力の低下を引き起こし、該生物学的サンプルを該リザーバから該複数のサンプルチャンバへと移動させるものである、
デバイス。
【請求項2】
明細書に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−14735(P2009−14735A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210185(P2008−210185)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【分割の表示】特願2005−518336(P2005−518336)の分割
【原出願日】平成16年1月21日(2004.1.21)
【出願人】(500069057)アプレラ コーポレイション (120)
【住所又は居所原語表記】850 Lincoln Centre Drive Foster City CALIFORNIA 94404 U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【分割の表示】特願2005−518336(P2005−518336)の分割
【原出願日】平成16年1月21日(2004.1.21)
【出願人】(500069057)アプレラ コーポレイション (120)
【住所又は居所原語表記】850 Lincoln Centre Drive Foster City CALIFORNIA 94404 U.S.A.
【Fターム(参考)】
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